474話です!どうぞ!
*Devil May Cry鎮守府 正面ゲート 9月23日 10:00*
ある日、榛名は車に乗って出掛けようとしていた。
それだけなら問題がないように思えるが、問題は榛名自身にあった。彼女だけ極端に運転が下手だった。
他の鎮守府の榛名も下手なのか調査したところ、他の鎮守府の榛名達の運転に問題はない事が判明し、どういう訳かDevil May Cry鎮守府の榛名だけ おかしかった。
そんな彼女が車を運転すると死者が出てしまうので、鎮守府の皆は口酸っぱく車に乗らないよう注意してきたのだが、榛名は諦めなかった。
榛名は車に乗り込みシートベルトをすると、エンジンを始動させた。
榛名「榛名、発進!」
いきなりアクセルペダルをベタ踏みし、車が急発進して爆走する。
*食堂*
食堂に何人かの艦娘が残っており、まったりとした時間を過ごしていると、食堂の壁を突き破って榛名が乗る車が突っ込んできて止まった。
阿賀野「な、何事!?」
間宮「榛名さん!?」
榛名は車をバックさせようとしたのだが、自分で空けた穴の横の壁に ぶつかり また止まった。
瑞鶴「ちょ、危ない危ない危ない!!危ないって!!」
榛名が食堂内で何度も車を前後させるので、食堂に居た艦娘達は何度も轢かれそうになってはフェイントを喰らい、落ち着いていられなかった。
そして榛名は、壁に空いた穴から出ていき、食堂に居た者達は しばらく唖然としていた。
*居酒屋『鳳翔』*
開店準備のため、鳳翔は自分の店で料理の仕込みをしていたのだが、店の入り口から榛名の車が入店してきて、そのまま反対側の壁を突き抜けて どっか行った。
鳳翔「・・・・・・え・・・?」
*本館*
本館の通路を資料を持った大淀が歩いてると、轟音と共に いきなり目の前を榛名の車が壁を突き抜け横切り、驚いた大淀は資料を放り投げながら しゃがみ込んだ。
大淀「な、何・・・?」
*中庭*
中庭のベンチでは、北上と大井がイチャイチャしていたのだが、そこに本館を突き抜けた榛名の車が突っ込んできた。
北上「うわぁっ!?」
大井「何してけつかる?!」
北上と大井は間一髪で飛び退き轢かれる事はなかったのだが、榛名の車はベンチを破壊して中庭を横断し、また本館の壁を突き破って どこかに走り去った。
*グラウンド*
グラウンドでは、天龍がバージルを相手に刀の修行をしていた。
天龍「行くぞ師匠!」
バージル「一々 言わなくていい。さっさと掛かってこい」
天龍「おりゃあああああ!!」
天龍は駆け出しバージルに向かっていくのだが、横から突っ込んできた車に轢かれて吹き飛び、バージルの目の前から姿を消した。
天龍が居なくなって暇になったバージルは、仕方ないので彼女を探しに向かった。
*正面ゲート*
鎮守府中で暴れ回り、回り回って正面ゲートに戻ってきた榛名は そのまま外に出ようとしたのだが、何故か正面ゲートの横の壁に ぶつかって止まった。
3号「な、何だ!?」
正面ゲートの外側で警備に立っていた憲兵隊は、突然の轟音に驚きつつ、正面ゲートの内側を確認した。そこで見るも無惨な姿になった車と、運転席に乗る榛名を見て、憲兵隊は また驚いた。
3号「榛名さん!?何やってるんですか!?」
2号「またか・・・」
榛名「榛名は、榛名は・・・ただ車で お出掛けしたいだけなのに~!」
普通に鎮守府の外に出る事もできず、榛名は嘆き悲しむ悲鳴を上げるのだった。
・・・・・・
*執務室 13:31*
昼、執務室には榛名の件で、ダンテと加賀、金剛型、大淀が集まっていたのだが、姉妹に怒られた榛名だけシュンとして小さくなっていた。
大淀「被害状況を確認したところ、鎮守府中の至る所で破損が。唯一の救いは、工廠に突っ込まなかった事ですね」
工廠には燃料や弾薬も保管してあり、もし突っ込んでいたら どうなっていたか分からない。
艦娘の艤装もあるため、もし爆発などして使えなくなっていたら、海軍としての任務もできなくなっていただろう。
大淀「あと艤装を装着してない状態の天龍が轢かれました」
ダンテ「死んだか?」
大淀「いえ、複雑骨折と打撲と流血で済んだので、バージルさんの手で入渠ドックに沈められました」
表現だけ聞くと、助けようとしてるのかトドメを刺そうとしてるのか よく分からん。
加賀「どうして立て続けに こんな・・・」
裁判で敗訴して3億円を払う事になり、挙げ句 艦娘寮も火事で崩れ去り、そこに来て これだ。修繕費を考えると正直、首を吊っても おかしくないほど財政難となっている。
比叡「榛名!あれほど車は運転しちゃ駄目だって言ったのに、どうして また運転しようとしたの?!」
榛名「グスッ・・・」
金剛「比叡、それは さっき話したデショ?」
比叡「しかし!」
霧島「金剛お姉さま、榛名に ちょっと甘くはないですか?」
金剛「お説教は さっきしたから充分ダヨ」
そして金剛は、執務椅子に座るダンテに顔を向けた。
金剛「提督、榛名も どんな罰も受けると言ってマース。処分は任せるデース」
ダンテ「って言われてもなぁ・・・」
車の運転を禁止したり、同じ事が起きる度に罰は与えていたのだが、榛名が懲りずに自分で運転しようとするので、罰を与えたとしても また同じ過ちを繰り返すだけで、根本的な解決になるとは思えなかった。
ダンテ「免許は持ってるんだろ?何で これで免許あるんだ?」
霧島「そ、それは~・・・」
霧島の説明では、榛名も当然 教習所には通ったのだが、技能実習でも暴走して、路上実習ではコンビニなどにも突っ込み、榛名を担当していた教官は何度も死にかけた事で、合格にするから もう来ないでくれと技能教習が修了したらしい。
検定試験は筆記であるため、そちらは ちゃんとやって問題なく合格し、無事 免許証が発行されてしまったのだ。
ダンテ「・・・・・・脅して免許を取得した訳か」
榛名「脅してません!」
榛名は否定するが、不合格にする度に教習所に来て命を脅かすので、あんまり変わらない気がする・・・。
ダンテ「誰か運転 教えてやれよ」
加賀「無理よ」
艦娘達とて、何もしなかった訳ではない。免許を持ってる者達は、榛名が普通に運転できるようにと気長に練習に付き合ったりしたのだが、榛名の運転技術が酷いなんてものじゃ済まないほど悲惨で、誰が付いても彼女の運転技術を向上させる事ができなかった。
最終的に皆は諦め、榛名に運転してはいけないと厳命だけして終わっていた。
ダンテ「どうせ榛名もやめる気ないぞ。目が そう言ってる。ならマトモに運転できるようになるまで誰かが教えるしかないぞ」
大淀「それを誰が教えるんですか?」
ダンテ「・・・・・・大淀」
大淀「業務で忙しくて無理です」
ダンテ「加賀」
加賀「私は もっと忙しい」
ダンテ「・・・金剛」
金剛「あ、バイトの時間デース。失礼しマース!」
金剛は逃げるように執務室から走り去った。
ダンテ「比叡!」
比叡「呉鎮守府へ出張するんで無理です!」
ダンテ「霧島!」
霧島「私も引き受けてる依頼の仕事があるので、ちょっと、無理かと・・・」
ダンテ「(こいつら揃いも揃って・・・)榛名、教えてくれそうな奴 片っ端から探してこい」
榛名「が、頑張ります・・・」
・・・・・・
夜、執務室でダンテが1人の時間を楽しみながら酒の入ったグラスを傾けてると、執務室に暗い顔の榛名が入ってきた。
ダンテ「榛名、どうだった?」
榛名「免許を持ってる人に一通り頼んだのですが・・・」
ダンテ「(・・・この様子だとダメだったんだろうな・・・)」
榛名「皆に断られました・・・」
ダンテ「(やっぱりか・・・)」
すると榛名が、泣きながら飛び掛かるようにダンテに抱き付いた。
ダンテはグラスを落としそうになるが、どうにか それだけは防ぐ。
ダンテ「おい、何だ?」
榛名「提督・・・私に運転 教えてください!」
ダンテ「俺も忙しい」
榛名「いつも暇そうにしながら執務室に居るじゃないですか!」
ダンテ「失礼だな。俺だって仕事はしてるぞ」
榛名「何の依頼も引き受けてないの知ってます!つまり提督は暇です!」
ダンテ「・・・・・・・・・」
榛名「お願いします提督・・・お願いしーまーす~!」
榛名が抱き付いたまま わんわん泣いて頼み込んで離さないので、根負けしたダンテが自ら運転を教える事になるのだった。
・・・・・・
*グラウンド 9月24日 14:03*
翌日、午前中に夕張とニコに頼んでいた教習用のコースが、グラウンドに完成していた。
ダンテ「随分と早かったな」
夕張「ふふ~ん。技術者を舐めてもらっちゃ困るわね」
ダンテ「お前も暇そうだから榛名に運転 教えてやってくれよ」
夕張「あっ、お腹 痛い・・・!急に腹痛が・・・!急な体調不良が・・・!」
夕張は仮病で言い訳しながら、腹痛が起きてるとは思えぬほど全力疾走で逃げていった。ただし足は遅かった。
ダンテ「・・・・・・仕方ない、榛名、車に乗れ」
榛名「はい!」
そしてダンテが車の助手席に乗り、榛名が運転席へと乗り込んだ。
ダンテ「シートベルトはしたか?」
榛名「はい、しました!」
ダンテ「最初だからな、先ずは ゆっくり進め」
榛名「は、はい!」
ゆっくりと言われたのに、榛名は またしてもアクセルペダルをベタ踏みし、車が急発進した。
ダンテ「ちょっと待て止まれ!!」
止まれと言ってるのに榛名は止まらず、コースを形作るコーンを薙ぎ倒しながら爆走すると、そのままグラウンドから離れてしまった。
*食堂*
食堂で何人かの艦娘が おやつを食べながら まったりした時間を楽しんでいると、榛名の車が また壁を突き破って現れた。
陽炎「ちょっと またぁ!?」
しかも今度は止まらず通路側の壁を ぶち破りながら曲がると、本館の通路に沿って走り去っていった。
ダンテ「おっ、ピザだ」
食堂に突っ込んだ時に、窓から艦娘の誰かが注文したピザが車内へ入り込み、ダンテはラッキーと思いながら それを食べる。
*本館*
本館の通路を妙高と足柄が歩いてると、本来なら聴こえてくるはずのない車のクラクションが聴こえてきて振り返る。すると、車が迫ってきていた。
妙高「なっ・・・!?」
足柄「何で!?」
ダンテ「逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ逃げろ!!!」
妙高と足柄は驚きつつも、運転席に榛名が居るのを見てヤバいと思い、全力で走りながら逃げる。
2人は通路の角を曲がれば助かると思い、曲がってから ある程度 角から離れたのだが、榛名の車がギャリギャリと車体を壁に擦りながら角を曲がり追ってきた。
足柄「何で そんな狭い所 曲がってこれるのよ!?」
妙高「提督!!榛名さんを止めてください!!」
ダンテ「止まれって言っても聞かねぇんだ こいつ!!死にたくなかったら走れ!!死ぬ気で走れーー!!!」
足柄「んにゃーー!」
必死に走り続け、妙高と足柄は左手にある階段に上がり避難すると、榛名の車は直進したまま壁を突き破り外に出ていった。
*中庭*
摩耶「なーんか暇だなー」
中庭では、空を見上げながら摩耶がボーッとして暇を持て余していた。
だが、摩耶の暇な時間は これで終わりだ。正面から車が突っ込んできたのだから。
摩耶「あっぶねぇ!!」
摩耶は咄嗟にジャンプして車に飛び移ると、フロントガラスに へばり付いた。
そして車は摩耶を乗せたまま また本館の壁を ぶち破り、貫通していった。
それでも摩耶は振り落とされないよう しがみ付いたままで、運転席に乗る者を見て また榛名かと思い、怒り心頭に怒鳴る。
摩耶「何やってんだよ あんたは!!早く止まれよ!!あたし死ぬって!!」
榛名「す、すぐ止めるから!」
普通ならブレーキペダルを踏めば済む話なのだが、パニックに陥る榛名は何故かハンドル周りを触り始め、ワイパーを動かした。
ワイパーが動き出した事でフロントガラスに へばり付く摩耶は、顔の側面を何度もシバかれる。
摩耶「ワイッ・・・!パー・・・!うごっ・・・!かす・・・!なよ・・・!ふざっ・・・!けんっ・・・!なっ・・・!」
ワイパーという邪魔が入り摩耶は掴まってられなくなり、ワイパーに弾かれながらボンネットから落ちた。
ダンテはサイドミラーで後ろを確認すると、ゴロゴロと地面を転がる摩耶の姿が見えた。
ダンテ「・・・・・・あいつ死んだな」
*居酒屋『鳳翔』*
居酒屋『鳳翔』では、榛名の車が突っ込んだ事で しばらく営業できそうにないため、食材を食堂に持っていこうとカウンターの中で纏めていたのだが、入り口の方から また車が入店し、店のド真ん中で停車した。
「「「・・・・・・・・・」」」
ダンテと榛名は助手席の窓から鳳翔と目が合うのだが、3人共なにも言わず、気まずい空気が流れる。
ダンテ「・・・・・・ビール貰えるか?」
鳳翔「・・・うちはドライブスルーお断りです」
怒られそうな雰囲気だったため、ダンテはバックで店から出るよう榛名に言ったのだが、どういう訳か榛名の車はバックではなく、前進して壁側から出ていった。
残された鳳翔は包丁を手に持ち、しばらく無言で その刃を見詰めていた。
*弓道場*
空母が艦載機の発艦を訓練する弓道場で、二航戦と五航戦が訓練に励んでいた。
4人は弓矢を構え、艦載機を発艦し、飛び立った艦載機が的に向かって機銃を撃つ。
そこに、轟音と共に壁を ぶち抜いて車が突っ込んできた。
蒼龍「何!?」
飛龍「ちょっと ちょっと!」
瑞鶴「おいいいいい!!ここにまで突っ込んできたー!!」
翔鶴「あらまぁ」
ダンテ「悪い、邪魔したな。榛名、帰るぞ」
榛名「はい!」
榛名は戻るために、車をUターンさせようと動くのだが、その進行方向が たまたま蒼龍達が居る方だったので、彼女達は轢かれそうになりながら車から逃げる。
瑞鶴「危ないって だから!」
飛龍「出口あっち!」
蒼龍達は車を避けようと横にズレて避難するのだが、何故か車は ゆっくりとした動きで ずっと蒼龍達に迫り、弓道場の中でグルグルと地味な追いかけっこが始まっていた。
翔鶴「何で こっちに!?」
蒼龍「もうっ!早く行ってよ!」
散々 蒼龍達を追い掛け回した後、車は弓道場から走り去った。
*正面ゲート*
憲兵隊が変わらず正面ゲートの警備に立っていると、また轟音がして驚き、正面ゲート横の壁の内側を見ると、また榛名が乗る車が ぶつかっていた。
3号「また榛名さん突っ込んでる!」
2号「(ダンテ提督まで増えてる・・・)」
ダンテ「警備ご苦労さん」
ダンテは再び榛名にバックするよう言うのだが、榛名の車は壁に ぶつかったまま前進しようとし、タイヤが地面に擦れて白煙が上がる。
ダンテ「ギアを変えろ!Rに入れるんだ!」
榛名「はい!」
榛名がギアを入れ直すと、物凄いスピードでバックして憲兵隊の前から姿を消した。
3号「どうなってんだ、こりゃ・・・?」
2号「分からん・・・」
*演習場*
バック走行で走り回る榛名の車は、演習場にまで来てしまい、自分でやってるのか偶然なのかドリフトターンすると、前進して海に向かっていく。
そして縁石に ぶつかり車が止まると、フロントガラスを突き破ってダンテが射出され、海に落ちた。
車に乗る時に、榛名にシートベルトはしたか確認を取っていたが、ダンテ自身がシートベルトを忘れていた。
沈んだダンテが海から顔を出して車の方を見ると、車内では榛名が泣き喚いていた。
榛名「何で こうなるの~!?」
ダンテ「(前より下手になってるじゃねぇか・・・)これ俺も お手上げだな。榛名!明日から自転車で我慢しろ!」
榛名「嫌です~!榛名だって車 運転したいです~!」
ダンテ「・・・・・・参ったな・・・」
・・・・・・
*執務室 15:36*
新たな被害が出た事で、加賀と大淀は執務室で頭を抱えていた。
大淀「1日しか経ってないのに、鎮守府の至る所で破損が増えてるんですが・・・」
加賀「やってくれたわね」
加賀と大淀は溜め息ばかり出て、仕事が手に付かなかった。
榛名がマトモに運転できるようになるには先が遠そうで、前途多難だった。
次回も宜しく お願い致します!