476話です!どうぞ!
時間が分岐した未来世界で、鳥海と瑞鶴が率いる戦闘集団リゲインは、オデレグシと呼ばれる悪魔と戦争状態だった。
オデレグシは悪魔の軍団を揃えており、リゲインは それに対抗するための準備を進める。
リゲインと悪魔の軍勢が血で血を洗う戦闘を繰り広げる裏では、オデレグシの前にボロ布を被る謎の女剣士が現れ、そちらでも戦いが始まるのだった。
*コロシアム ?月?日 4:55*
オデレグシが拠点として手下の悪魔に建築させたコロシアムで、謎の女剣士とオデレグシの戦いが続いていたが、それは戦いと呼べるか怪しい程お粗末なものだった。
オデレグシ『貴様・・・俺の前に立っておきながら、ちょこまかと逃げ回るだけか?!』
?「・・・・・・・・・」
謎の女剣士は鞘から刀を抜いてはいるが、戦いが始まってからは ずっとオデレグシの攻撃を避けるだけで、一切 攻撃しようとはしなかった。
オデレグシからすれば腰抜けとも言える その戦法に、不愉快 極まりなく、イライラしていた。
だが女剣士は沈黙しか返さず挑発も効果があるように見えず、オデレグシが一方的に話し掛けてるだけで何も変わらなかった。
オデレグシ『逃げるのが好きなようだが、逃げられなくなれば どうだ?』
オデレグシが両手に持つ巨大な剣とハンマーを天へと掲げると、空を雷雲が覆い、雷鳴が轟き、コロシアムに落雷が落ちてきた。
オデレグシ『これなら そう簡単に逃げれまい』
落雷は激しく、コロシアムに立つ女剣士とオデレグシの周囲に、忙しなく落ちてくる。これでは攻撃を避けようとして、闇雲に動けば危険だ。
更にオデレグシが掲げ続ける剣とハンマーにも落雷が落ち、2つ武器にエネルギーが溜まっていく。
オデレグシ『逃げ道を塞がれた お前に、為す術はない!』
そしてオデレグシが剣とハンマーを振り下ろすと、そこから電撃の衝撃波が放たれ女剣士に襲い掛かる。これに当たった者は、塵も残さず消滅してしまう。
衝撃波が消えた後、女剣士の姿が消えた事で死んだと思ったが、オデレグシがハンマーを持つ左腕に痛みを感じた。
左腕には斬り傷が入り血が流れており、オデレグシの左横には女剣士が立っていた。
オデレグシ『(俺の身体に傷を付けただと!?)』
上級悪魔であるオデレグシの身体は、とてつもない防御力を誇り、対等か それ以上の存在でなければ傷1つ付ける事はできない。
しかし腕に斬り傷を付けられ、落雷と正面からの衝撃波で逃げ道を塞いだにも拘わらず、女剣士が いつの間にか真横に居た事にオデレグシは驚いた。
オデレグシは剣で斬り掛かるが、女剣士が それを防ぐように刀を ぶつけると、オデレグシの剣が砕けた。
オデレグシは剣を砕かれた事に驚き一瞬だけ怯むが、続いてハンマーを振り下ろすと、そちらも刀で砕かれた。
オデレグシ『ぬぅ・・・!?貴様、人間ではないのか?』
?「俺は元々 人間じゃない。だが、この身は既に お前らと同じ化け物だ」
オデレグシ『・・・・・・・・・』
?「だからこそ憎い・・・お前ら悪魔が憎い・・・俺を こんな身体にした悪魔が・・・!だからこそ、お前ら悪魔は全て殺す・・・!この刀も お前の血と命を吸いたいと言っている」
オデレグシ『なるほど・・・俺の前に立つだけの事はある。ならば・・・この殺し合いを楽しもうじゃないか!』
武器を失ったオデレグシは、今度は右手に槍を、左手に鎖鉄球を手に取り構えた。
それに対し、女剣士も刀を構える。
?「滅びろ!」
オデレグシが鎖鉄球を飛ばしてくるのに対し、女剣士が跳躍して避けると、オデレグシが槍を繰り出してきた。
女剣士は身体を捻り避けると、槍の上を走りオデレグシに迫る。
オデレグシは鎖を持つ左手で殴り掛かるが、女剣士は槍から飛び降り避けると瞬時に後ろに回り込み、オデレグシの右足のアキレス腱を斬る。
アキレス腱を斬られた痛みにオデレグシが呻くが、それに耐えて再び槍を繰り出す。
女剣士は右に飛び退き避けると、間髪入れずに跳躍し、オデレグシの左腕を斬り飛ばした。
オデレグシ『この力、貴様自身の力か?それとも その刀の力か?』
?「・・・・・・・・・」
オデレグシ『答える気はないか。だが、面白い!やっと殺し合いが楽しめる相手に会えたのだからな!』
?「お前の楽しみは終わりだ」
オデレグシ『ん・・・?』
次の瞬間、オデレグシの右腕が吹き飛んだ。これは女剣士が斬り飛ばしたからだが、オデレグシや観戦する有象無象の悪魔は、いつ女剣士が刀を繰り出したのか見えていなかった。
両腕を失い為す術がなく、敗北であると理解したオデレグシは笑いながら両膝を突いた。
オデレグシ『そうか、お前の正体が判ったぞ。お前が あの、悪魔を食らう鬼━━』
喋ってる途中で、オデレグシの首が斬り飛ばされ、残った身体が ゆっくりと倒れ込んだ。
観戦していた有象無象の悪魔は、まさかオデレグシが倒されるとは思わず、驚きや理解が追い付かないせいで、唖然としながら固まっていた。
だが、死の運命にあるのはオデレグシだけではなかった。
?「悪魔は全て殺す・・・!」
女剣士は周りに居た有象無象の悪魔に襲い掛かり、コロシアムには悪魔の断末魔と、血と肉片が飛び散るのだった。
*山*
最終防衛ラインでは、鳥海も艤装で参戦するが、戦闘は続いていた。
元々 数では圧倒的にリゲインの方が負けているが、どうにか踏ん張ってる状態であり、着実に隊員達の命が散り、更に その人数が減っていく。
そして空中では、瑞鶴とヴェニュームが ぶつかり合っている。
そんな中で、ヴェニュームは瑞鶴を見ながら笑っていた。
ヴェニューム『さすが空の魔神と言ったところね』
瑞鶴「何度 攻めて来ようと、リゲインは負けない」
ヴェニューム『お前は そうかもしれない。だが、下の人間達は どうかな?』
瑞鶴「・・・・・・・・・」
ヴェニューム『お前とて1人になってしまえば、我らの敵ではない』
瑞鶴「その前に お前を倒すだけよ!」
瑞鶴は爆発する槍を手にヴェニュームへと向かっていき、爆発する槍を繰り出し、ヴェニュームは自身の爪で弾きながら応戦する。
激しい攻防を繰り広げる中、ヴェニュームが口から緑色の霧を吐き、それを浴びそうになった瑞鶴は咄嗟に後ろに下がる。
しかし それによって生じた隙を狙われ、ヴェニュームの蛇の尻尾に巻き付かれ捕まってしまった。
ヴェニューム『お前が苦しむ顔を よく見せておくれ』
瑞鶴「お前を殺す艦娘の顔を・・・よく覚えときなさい・・・!」
尻尾で絞め上げられる瑞鶴であったが、拘束から逃れていた左腕で槍を突き刺し爆破し、拘束から抜け出した。
ヴェニューム『生意気な!』
抵抗を続ける瑞鶴に苛立ったヴェニュームが飛行しながら襲い掛かり、瑞鶴は爆発する槍を配置しながら後退していく。しかし起爆する前に、突っ込んでくるヴェニュームに槍を破壊され不発に終わる。
ヴェニュームに掴まれ、瑞鶴は錐揉み回転しながら互いに殴り合い、地上へと落下する。
鳥海「瑞鶴さん!」
瑞鶴が墜落するのが視界の端で見えた鳥海は、助太刀するために そちらに急いだ。
砂埃が舞う中、地上へと落下した瑞鶴が起き上がると、ヴェニュームが飛び掛かり押し倒されてしまう。
ヴェニュームは瑞鶴の首を狙い爪を繰り出し、瑞鶴も抵抗するが、一瞬の隙を突かれ、がら空きとなった脇腹をヴェニュームの爪で刺された。
瑞鶴「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛っ!!!」
瑞鶴は爪を抜こうとヴェニュームの腕を掴むが、抵抗も空しく爪は徐々に深く入っていき、指まで入っていく。
ヴェニューム『このまま お前の内蔵を引き摺り出してやるわ!』
ヴェニュームは自分の1番 好きな殺し方で瑞鶴を殺せると思い、邪悪な笑みを浮かべるのだが、背中に砲弾が着弾して爆発が起きた。
邪魔をされて怒るヴェニュームが振り返ると、主砲を構える鳥海が居た。
鳥海「瑞鶴さんから離れなさい!」
ヴェニューム『ゴミが!』
ヴェニュームは瑞鶴から爪を抜き、鳥海に飛び掛かろうとしたが、痛みと共に尻尾が動かず、それはできなかった。
ヴェニュームが背後を見ると、瑞鶴が杭のように爆発する槍をヴェニュームの尻尾に突き刺していた。
ヴェニュームは瑞鶴の方に襲い掛かろうとしたが、鳥海の砲撃で阻止される。
その隙に瑞鶴は更なる槍を突き刺し、鳥海との連携で それを繰り返しながら、尻尾から腰へ、腰から胴体へ、腕、手、首というように、次々と槍を突き刺し、ヴェニュームを地面に磔にした。
動けなくなったヴェニュームは抜け出そうと身動ぎしているが、そう簡単には抜け出せそうになかった。
瑞鶴「クソ、手間取らせてくれるじゃない」
鳥海「瑞鶴さん、大丈夫ですか!?」
瑞鶴「大丈夫。鳥海が居なかったらヤバかったかも」
ヴェニューム『バカめ!』
しかし瑞鶴と鳥海が一緒に並んだ事で、ヴェニュームは2人を纏めて殺せるチャンスと思い、顔を上げて口から霧を吐こうとする。だが脳天から槍を突き刺され地面に固定された事で、口を開く事ができなくなった。
瑞鶴「バカは お前の方」
鳥海「まだ悪魔は残っています。行きましょう」
瑞鶴「さっさと片付けて終わりにしましょ」
瑞鶴と鳥海はヴェニュームを放置し、背を向けて歩いて離れていく。
ヴェニュームは憎しみの籠った眼で2人を見ていたが、ある事を思い出した。瑞鶴が持つ人工魔具から繰り出される槍は、爆発すると。
瑞鶴と鳥海が ある程度の距離まで離れると、ヴェニュームに突き刺さる全ての槍が爆発し、ヴェニュームは跡形もなく消え去った。
軍団を指揮するヴェニュームが消え去ったからか、悪魔の軍勢が戦闘を中断し、散り散りに逃げ始める。
鳥海「ここで逃がしては駄目よ!追撃戦に移行!」
戦いには勝ったと言えるが、今後の事を考えると、ここで逃がすよりもできるだけ敵の戦力を削りたい。士気も高く熱も冷めやらぬ今、リゲインは追撃戦に移行し悪魔を追う。
その後 何体かの悪魔は取り逃がしたが、可能な限りの悪魔は屠り、リゲインは生き延びた。
*コロシアム*
悪魔の残骸である肉片と血が飛び散るコロシアムの中心で、抜き身の刀を手に持つ女剣士が立っていた。
?「足りない・・・まだ足りない・・・悪魔を殺さなければ・・・全ての命を殺さなければ・・・この衝動は止まらない・・・!」
女剣士は刀を鞘に納めると、静かに その場を後にし姿を消すのだった。
・・・・・・
*山 ?月?日 12:48*
それから10日後の事だった。鳥海から改めて連絡を受けた川内と五十鈴は、リゲインが拠点とする砦に行くため山の中を歩いていた。
川内「遠いなー。遠いわぁ。もう5日も歩いてるわ。五十鈴、もう ここでキャンプしよう。私 疲れた」
五十鈴「もうすぐ着くから我慢しなさい」
川内「車 乗りてー」
五十鈴「無理なの知ってるでしょ」
リゲインの拠点は簡単に攻め入れないよう険しい場所に構えているため、道中は車で行くのは不可能だった。
それに今の この未来世界では動く車も少ないため、労働などで貴重な足でもあるので、人に会うためだけに安易に使う事もできなかった。
・・・・・・
*砦 14:23*
長い道のりを歩き、川内と五十鈴は やっとリゲインの砦まで着いた。
2人の目の前には、敵の侵入を妨げる遥かにデカい門が立っていた。
しかし門番などは見当たらず、2人が来た事に気付いてくれるか心配だった。
川内「これ、大声で呼べば気付いてくれるかな?」
五十鈴「無理じゃない・・・?」
川内「たのもー!!!」
五十鈴「何で?」
川内「こういう時のマナーじゃん」
五十鈴「武士の時代かっつの」
鳥海「何用じゃ?!名を名乗れ!!」
五十鈴「え・・・?」
川内「ほら!」
川内の時代劇ごっこに合わせるように、門の向こうから鳥海の声がし、五十鈴は戸惑った。
反対に川内は嬉しそうに五十鈴を見た。
川内「我が名は川内!!隣はレジスタンスの長、五十鈴である!!リゲインの長、鳥海殿に招かれ馳せ参じた!!砦の中に入る事を許されたし!!」
鳥海「良かろう!!よくぞ参った!!川内殿!!五十鈴殿!!」
五十鈴「(鳥海さんノリいいな・・・)」
そして門が、ゴゴゴゴと重厚な音と共に開き、中から笑みを浮かべる鳥海が出迎えてくれた。
鳥海「2人共、よく来たわね」
五十鈴「いや、さっきの何ですか?」
鳥海「だって川内が、時代劇風に言うから、私も合わせた方がいいのかなって」
川内「やっぱマナーだからさ」
五十鈴「あんたは何時代の艦娘だっつの」
川内「・・・・・・幕末」
五十鈴「その時代に存在してないから。艦娘 居ないから」
中に入り、鳥海の案内で砦の中を進んでると、リゲインの女性隊員の1人が駆け寄ってきた。
だが その駆け寄ってきた隊員の顔は、どこか緊張の面持ちだった。
隊員「あ、あの!」
鳥海「どうしました?」
五十鈴「私達に何か用?」
隊員「い、五十鈴さんと川内さんですよね?」
五十鈴「そうだけど・・・?」
隊員「風神と雷神の お噂は聞いています!良かったら、色々と お話を聞かせてもらえませんか?」
五十鈴はレジスタンスのリーダーとして、そして川内も悪魔に対抗できる人類側の実力者として、その名は広く知れ渡っている。
レジスタンスとリゲインは艦娘同士では連絡を取り合っているが、縄張りとしてる場所が違い距離もあるので、中々 直接 会う事はできない。だからリゲインの隊員達からすれば今の この状況は、物凄い有名人に会えたようなものだった。
五十鈴「今日は時間があるから、鳥海さんとの話が終わってからならいいわよ」
隊員「ほんとですか!?ありがとうございます!やった!」
隊員は気が狂ったかのように小躍りして喜ぶと、遠巻きに見ていた他の隊員達も、自分も自分もと押し寄せてきた。
しかし そんな中、鳥海は中々に厳しい目をしていた。
鳥海「ちょっと。そういうのは駄目って いつも言ってるでしょ」
隊員「す、すみません!」
自分達のリーダーである鳥海に怒られ、肝を冷やした隊員達は蜘蛛の子を散らすように逃げ出した。
鳥海「ごめんね。普段から ああいう振る舞いはしないよう言ってるんだけど」
五十鈴「気にしないでください。レジスタンスでも似たようなものですから」
歩みを再会し、鳥海の案内で司令室となる建物に入ると、今度は瑞鶴に出迎えられた。
瑞鶴「よく来たわね、川内、五十鈴」
川内「お久し振りです、瑞鶴さん」
積もる話もあるが、4人は先に大事な話をする事にした。それは、川内と五十鈴に砦まで来てもらった理由でもあった。
リゲインが悪魔の軍勢に勝った後、オデレグシが拠点とするコロシアムに偵察を送った。しかしコロシアムの周囲に悪魔の姿が見当たらず、これは本来 有り得ない事であった。
そして偵察はコロシアムの中にまで潜入したのだが、そこで とんでもないものを発見した。
鳥海「偵察隊が映像を撮ったから、2人にも見てほしいの」
鳥海が見せた映像には、バラバラになった大量の悪魔の死体や、血が飛び散っているのが映っていた。
川内と五十鈴は、真剣に その映像を見ている。
五十鈴「ちょっと待って。これオデレグシ?」
次に映像に映ったのは、地面に転がるオデレグシの首だった。
オデレグシは上級悪魔で厄介な相手でもあったため、奴も死んでる事に川内と五十鈴は驚いていた。
五十鈴「誰がやったんです?」
鳥海「正体不明。偵察隊が向かった時には、既にオデレグシの勢力が全滅してた」
川内「他の勢力の仕業?」
瑞鶴「かもしれない。ただ、他の勢力が大きく動いた痕跡はなかった」
川内「となると・・・単独犯か少数グループでやった事になる訳か」
五十鈴「ザッと見た感じ、映像に映る悪魔の死体からして、軽く5000は居るかしら?川内、あんた1人で この数を纏めて殺れる?」
川内「オデレグシも含めて?」
五十鈴「含めて」
川内「先ず無理。オデレグシだけでも勝てるか どうかだし。五十鈴は?」
五十鈴「私も無理ね」
川内「こりゃ私ら以上の誰かって事になるね」
鳥海「前に連絡した時に、2人は行方不明や死んだと思ってた艦娘が見付かるようになったって言ってたでしょ?」
川内「待ってくださいよ。艦娘がやったって言いたいんですか?」
だとしても、人工魔具を持つ陸奥や瑞鶴、摩耶、川内、五十鈴を上回る実力の艦娘など、川内と五十鈴には誰も思い当たらなかった。
瑞鶴「艦娘かは兎も角、少なくとも、私達の知り合いの誰かじゃないかとは考えてる。川内、悪魔の傷口を よく見て。何か気付かない?」
瑞鶴が映像に映るバラバラになった悪魔の断面をズームし、川内は その断面を見て目を細め、五十鈴は不思議そうにした。
五十鈴「確かに綺麗な断面ね」
鳥海「綺麗すぎるの」
瑞鶴「そう簡単に攻撃が通じないオデレグシまで、同じように首を落とされてる。並みの力じゃない」
五十鈴「う~ん・・・そう言われても私には━━」
川内「それができるのは閻魔刀。そう言いたいんですか?」
鳥海「バージルさんだと思う?」
川内「・・・・・・いや・・・バージルじゃないと思います」
瑞鶴「どうして?」
川内「確かに この断面、綺麗に斬られてはいますけど、でも どこか荒さがあるんですよね。よく切れる刃物で力任せにやってる感じ。バージルなら そんな荒さは残さない。それにバージルも、私達の目の前で死んだのは確かだし」
五十鈴「幽霊、とかじゃないわよね・・・?」
鳥海「となると、現状では誰か分からない。振り出しね」
川内「でも、可能性として1人 思い当たるのは居る」
瑞鶴「誰?」
川内「天龍」
バージルの弟子として、彼の元で修行していた天龍であれば、刀の扱いも熟知しており、閻魔刀だって ある程度は扱えたかもしれない。
しかし悪魔を皆殺しにしたのが天龍と仮定するならば、1つ矛盾があった。
瑞鶴「でも文明が崩壊した日に、天龍は死んだはずでしょ?」
川内「そう思い込んでただけかも。それにバージルが死んだ後、最後に閻魔刀を持っていたのは天龍でした」
元々 天龍は行方不明という事になっていたのだが、生きてる痕跡が見付からず死んだとされた。つまり誰も天龍が死ぬところを見てないのだ。
もし天龍が生きており、まだ閻魔刀を持っていて それを使っているのなら、オデレグシや他の悪魔の死体の状態も辻褄が合いそうではある。
しかし この仮説にも1つ疑問は浮かんだ。
五十鈴「でも その閻魔刀も魔具なんでしょ?艦娘でも使える物?私達が使ってる人工魔具は、艦娘でも使えるようにアーロンが調整したって話だったし」
川内「そこまでは分からないんだよな~」
本来 魔具とは、元となる悪魔に認められるか、力を無理矢理 奪い使う事ができる。
川内も過去に、ダンテが持つキングケルベロスを使った事はあるが、それは一時的に力を貸してくれただけに過ぎず、いつでも扱えた訳ではなかった。
川内「閻魔刀は提督とバージルの父親であるスパーダが持ってたとしか聞いてないから、そもそものルーツは私達も知らないからね」
五十鈴「謎は深まるばかりね・・・」
鳥海「それと、正体までは不明だけど、最近 悪魔を手当たり次第に殺し回ってる者が居て、その人物は“斬鬼”と呼ばれてるみたい。もしかしたら、オデレグシ達を皆殺しにしたのと同一人物かも」
五十鈴「それ、レジスタンスの方でも噂になってます。一切の慈悲もないのを見ると、その線は濃厚ですね」
瑞鶴「ただ、そいつは何で1人で悪魔を殺しまくってるのかしらね?まぁ、穏やかな理由ではないでしょうけど」
鳥海「恨み、ですかね・・・」
五十鈴「悪魔を恨むとなると、人間か艦娘しか考えられないけど・・・」
川内「やっぱ艦娘に行き着いちゃうなぁ」
一先ず4人は天龍が生きてると仮定し、斬鬼も含めて調査する事を決め、互いに何か判れば連絡し合う事を約束した。
大事な話が一段落し、瑞鶴は川内と五十鈴に言いたい事があった。
瑞鶴「そういえば2人、過去の提督 呼び出して会ったらしいじゃない!何で その時に言わなかったのよ?!」
川内「ヤッベ、また このパターンだ」
五十鈴「もっと早く言いたかったんですけど、こっちもバタバタしてたもので・・・」
川内「でも、連絡は取り合えるようにはなりましたけどね」
瑞鶴「じゃあ話せるの!?私も今すぐ話したい!」
五十鈴「あー、通信機 置いてきたから無理です・・・」
瑞鶴「はぁ?!何よ自分達ばっかりぃ!」
過去のダンテと話せると思い瑞鶴のテンションが上がったが、無理と知った瞬間に癇癪を起こし、川内と五十鈴は その気迫に たじろぐ。
五十鈴「あの、また来る時には持ってきますから」
瑞鶴「絶対だからね!」
「「はい・・・」」
瑞鶴「それで、提督は どうだった?」
川内「相変わらずでした」
瑞鶴「よーし!今日は2人 泊まってくんでしょ?提督と会った時のこと全部 聞かせてもらうから!」
川内「りょーかい」
五十鈴「お手柔らかに・・・」
その後 川内と五十鈴は、リゲインの者達とも話しながら、ダンテの様子や、彼と共に戦い魔界兵器を破壊した時の事を瑞鶴と鳥海に聞かせ、陸奥を取り戻した事も話すのだった。
次回も宜しく お願い致します!