477話です!どうぞ!
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ネロが学苑を去った翌日、教員室では教師達が、ネロが居なくなって異常な程に機嫌が良かった。
そんな学苑に、スーツを着た1人の女性が訪れた。
理事長室で理事長が仕事に励んでいると、扉がノックされた。
理事長「はい」
?「失礼します」
入室の許可を出し扉が開くと、スーツを着た女性が入ってきた。
その女性は笑みを浮かべながら自己紹介を始め、その正体は理事会から任命され就任した、明陽学苑の新たな校長だった。
理事長は、校長である女性に複雑そうな笑みを向けていた。
理事長「まさか あなたが この学苑に来るとはね」
校長「また ご一緒できて光栄です、先生」
しかし、校長は そこまで言うと突然 笑みを消した。
校長「いや、理事長」
この2人は以前からの知り合いで、浅からぬ因縁があった。そんな2人が同じ学苑で働く事になり、何か良くない事が起こりそうな予感をさせる。
ネロが居なくなった今、明陽学苑は どうなるのだろうか?
*2年4組*
2年4組の教室では、
その記事には、学苑に就任した あの校長の写真が載っており、学校再建のエキスパートとして取り上げられていた。
*新居*
学苑を辞めてからも賃貸に住んでいたネロは寝ていたのだが、目覚まし時計が鳴り目を覚ました。
目覚まし時計を止めて時間を見ると、ネロは驚き飛び起きた。
ネロ「ヤッベ、遅刻だ!」
だが学苑を辞めた事を すぐに思い出し、動きを止めた。
ネロ「ぁ・・・そっか・・・もう行かなくていいんだ・・・」
ネロは再びベッドに横になり、溜め息を吐いた。
すると いい匂いと共に、こっちに来ていたキリエの声がしてくる。
キリエ「ネロー!朝ご飯 出来たからー!早く起きてー!」
ネロ「・・・・・・へーい・・・」
*明陽学苑高校 理事長室*
理事長「あなたの活躍は聞いてるわ。学校再建のエキスパートと呼ばれてるそうね」
校長「私は、先生の教えを実践してきただけに過ぎません。あなたの言う、『絶対的管理教育』を」
“絶対的管理教育”・・・それは以前、理事長が考案した教育プログラムであるのだが、彼女にとっては あまり思い出したくない事であるため、複雑な表情で視線を落として溜め息を吐いた。
校長「それなのに理事長が勤める学校から再建要請だなんて。どういう事ですか?私は、家族さえ犠牲にして教えを守ってるのに」
理事長「・・・・・・・・・」
校長の顔には、どこか理事長に対して怒りや失望の感情が見て取れた。
しかし校長は、すぐに笑みを浮かべた。
校長「まぁ でも、私が来たからには もう心配 要りませんわ。必ず この学苑を一流校にしてみせます。私が あなたから学んだ、方法で。失礼します」
理事長「・・・・・・・・・」
校長は そのまま退室するが、理事長は彼女を歓迎できない様子だった。この2人の因縁は、どうにも根深いように思える。
*廊下*
理事長室から退室した校長が廊下を歩いてると、待っていた善之を見て足を止めた。
善之「1つ聞かせて。改革するの?」
校長「えぇ、それが私の仕事」
善之「その前に、用心した方がいい」
校長「・・・ネロね?」
善之「クビになったからって大人しくしてるとは限らない。ああいう何しでかすか分からない奴は排除しとかないと。頑張ろう、母さん」
善之と校長は親子であった。
善之は笑みを浮かべ、校長も笑みを浮かべると、黙って善之の横を通り過ぎて立ち去った。
だが立ち去る校長の背中を見詰めながら、善之の顔が笑みから、何かを心配してるような表情に変わった。もしかすると、この親子の間にも何か抱えているものがあるのかもしれない。
*2年4組*
その頃2年4組の教室では、元気のない生徒達がネロの事を考えていた。
『・・・・・・・・・』
彼らは皆、ネロに大切な事を教わり、変わり、前を向いて生きていけるようになった者ばかりだ。
まだ未熟であるのは彼ら自身も理解しており、ネロから もっと色んな事を教わりたいと思い、それは卒業するまで続くのだと思っていた。
しかし そんな彼らの想いとは裏腹に、心の準備ができていないまま終わりを迎え、少なからず彼らの心にショックを与えていた。
・・・・・・
*喫茶店 14:30*
昼、金剛が働く喫茶店にネロと、まだ警察に左遷させられてる警官服を着た天龍が居た。
普通の人間となってしまい、学苑も退職して無職となったネロは、ラジオで競馬中継を聞きながら1人ヒートアップし、そんな様子を黙って金剛と天龍が見ていた。
ネロ「行け!・・・うわあぁぁぁぁ!」
予想を外し、ネロはショックでテーブルに突っ伏した。
すると起き上がったネロは席から立ち上がり、カウンター席に座る天龍の横に行って いきなり肩を組んだ。
ネロ「天龍、金 貸してくんねぇかな?」
天龍「は!?嫌だよ」
ネロ「何でだよ、いいじゃねぇか」
天龍「嫌だよ!」
ネロ「なぁ!」
天龍「嫌だって!」
ネロ「友達甲斐のない奴だな~。あーあ、金もねぇし仕事もねぇし、優しい友達も居ねぇ」
「「・・・・・・・・・」」
ネロ「誰か俺の心を慰めてくれねぇかなぁ~」
拗ねたネロがカウンターに また突っ伏すと、スーツを着た女性が来店し、席に着いた。
金剛「いらっしゃいませ」
金剛は お冷やを持って、来店した女性の接客に向かうのだが・・・。
金剛「ネロ、あなたに お客さんデース。明陽学苑の新しい校長だそうデース」
ネロ「校長?」
校長は笑みを浮かべてネロに会釈した。
その後ネロは、自分に話があるという事なので、校長と相席して話を聞く事にした。
ネロ「校長が俺に、何の用だ?」
校長「確認に来たんです」
ネロ「・・・確認?」
校長「あなたが、学苑の生徒や教師に、再び近付かないように」
「「「・・・・・・・・・」」」
どう考えても穏やかではない様子の その話に、ネロは何も言えず沈黙する。
金剛も事態を把握しようとするように真剣に話を見守り、天龍は居心地が悪いのか気まずそうにしていた。
校長「明陽学苑は これから新しく生まれ変わります。それを、あなたが悪影響を与える可能性があるかもしれない」
その失礼な物言いに、機嫌を悪くした天龍が席から立ち上がり詰め寄ろうとしたが、金剛に腕を掴まれ席に戻された。
校長「生徒の事を“ダチ”とか言って、さも近しい関係を演じてたみたいだけど、そんな人から生徒達は何も得ない。無責任に楽しければ何をやってもいいという、軽率な行動しか取らないわ。悪影響なだけ」
ネロ「・・・・・・・・・」
校長「もし あなたが学苑に近付けば、2年4組の生徒も全員 退学処分にします」
ネロ「・・・あいつらは関係ねぇだろ」
校長「問題ばかり起こしていたクラスです。退学にしたところで誰も文句は言わない」
ネロ「・・・・・・・・・」
ネロが ここまで言われて強く反論しないのは、しないのではなく“できない”のだ。学苑を辞めた今、ネロは部外者となり、学苑の事に口出しできる立場にないと、ネロ自身が理解していた。
それに校長からの要求は、ネロからすれば生徒達を人質に取られてるも同然だった。
校長「・・・あの子達が可愛ければ言う事を聞きなさい」
ネロ「・・・・・・元々 関わる気なんてねぇよ」
ネロから返答に満足した校長は、笑みを浮かべた。
校長「流石はネロ先生。物分かりが良くて良かった。これも学苑のためですから。では」
校長はテーブルにコーヒー代を置くと、席から立って帰ろうとする。
金剛「あの、お釣り!」
校長「お釣りは結構よ」
校長が立ち去り、金剛は厳しい顔でネロに振り返る。
金剛「ネロいいんデスカ?あんな好き勝手 言わせといて」
ネロ「・・・・・・仕方ねぇだろ。俺もう教師 辞めてんだしよ」
天龍「ネロ」
金剛と天龍は納得できない様子だったが、ネロに どうにかしようとする意思はなかった。
・・・・・・
*明陽学苑高校 教員室 9月24日 8:30*
翌日、学苑の教員室には羽黒と教師達のみならず、校長と、学校再建の仕事における彼女の部下4人で、職員会議が行われていた。
校長「最近 立て続けに起きている不祥事のせいで、保護者の学校に対する不信感は高まっています。私は、この明陽学苑で、本来の評判を取り戻すために来ました。そのためには、プロフェッショナルな皆さんの、協力が必要不可欠です」
校長は部下の方に目配せすると、部下達は羽黒や教師達に黒いタブレットを配っていく。
校長「学校改革の手始めに、先ずは生徒とのネットワークを構築しようと思います。常に最新の情報を共有し、教育に活かすのが目的です。それから、先生方の給料を点数制にします」
教師「点数制?」
校長「業務成績において給料が変動する単純明快なシステムです」
タブレットの画面には細かい項目の一覧が並び、その項目には それぞれ、獲得できる様々な数字のポイントが決められており、その項目に書かれている事を行う事でポイントを獲得し、合計値で給料が決まる。
校長「尚、皆さんの行動は、最新鋭カメラでスタッフがモニタリングします。大いにポイントを稼いでください。給料が上がるか どうかは、先生方次第です」
羽黒「・・・・・・・・・」
教師達は給料のために、項目の確認でタブレットに釘付けだったが、羽黒だけは、校長を見ながら あまり いい顔をしていなかった。
教頭も、女性教師に教えてもらいながらタブレットで項目を確認していたが、藪から棒に校長に呼ばれ、顔を向ける。
校長「教頭には、新しく2年4組の担任になっていただきます」
教頭「え・・・?私が2年4組の担任を?」
校長「分かってると思いますが、ポイント次第では、次期校長のポストも・・・」
それを聞き、教頭は いきなり背筋を伸ばした。
*校舎*
ホームルームの時間が近付き、教頭は出席名簿を脇に挟みながら、羽黒と共に2年4組の教室に向かっていた。
教頭は心の中で独り語りしながら、これで校長の座に出世できると張り切り、妻や娘も自分を見直してくれるだろうと やる気に満ちていた。
*2年4組*
教室に着き、新たに担任になったという事で、教頭は改めて自己紹介するため、黒板に自分の名を書いていく。
書き終わると、生徒達に向き直った。
教頭「居なくなったネロ先生の代わりに、今日から このクラスの担任をする事になりました。スーパーティーチャー教頭ー!ナイス・トゥ・ミー・チュー」
『・・・・・・・・・』
急に大声を出したり、クソみたいな発音の英語を使ったり、情緒不安定な教頭のノリに付いていけず、生徒達は無反応だった。
そして教頭の横に居る羽黒も、意味が分からず呆れて顔を しかめていた。
そんな皆の反応が分かっていないのか、教頭は1人 決め顔をしていた。
教頭の挨拶も終わり出ていくと、1限目は羽黒の授業であるため彼女は残り、新しい校長の方針であると説明しながら、生徒達に黒いタブレットを配る。
生徒達は新しい玩具が与えられた気分で楽しそうにタブレットを触る者や、不思議に思う者と反応は様々だった。
善之「学校改革の手始めだ」ボソッ・・・
楓「善之・・・?」
善之がボソッと言った事に反応し、楓と潤羽は後ろの席に座る善之に振り返るのだが、彼は窓から外を見て黙ってるため、それ以上の事は聞けなかった。
・・・・・・
*校舎 9:42*
休み時間、1人の生徒が廊下を走ってるのを、男性教師が注意していた。
すると男性教師はタブレットを取り出し、廊下を走る生徒を注意した項目をタッチし、自分のポイントが加算されて喜んでいた。
別の男性教師も、生徒の制服の乱れを注意し、自分のポイントが加算されて張り切っていた。
そんな様子を見ながら、羽黒と保険医が話していた。
保険医「先生達、結構 必死ね」
羽黒「えぇ・・・」
保険医は周囲を見渡すと教師達だけでなく、生徒達も皆タブレットを見ていた。
保険医「皆がタブレットに夢中。おかしな事にならなきゃいいけど」
そう言って保険医は立ち去っていくが、彼女が言った事は羽黒も危惧している事だった。
羽黒は、校舎内に取り付けられたカメラを見る。
新しい校長が来てから、教師も生徒も常に監視され、これでは まるで、刑務所も同然だった。これが校長の言う、“絶対的管理教育”の実態だった。
*校長室*
校長室では、校長の部下であるスタッフ達が仕事をするのを後ろに、理事長がシステムの説明を校長から受けていた。
巨大モニターには様々な生徒の最新の情報が映し出され、どんな物が好きか嫌いか、どんな話をしたか、どんな良い行いをしたか、どんな悪い行いをしたか、服装の乱れや、通学路での行動も監視されていた。
校長「この学苑の全てが私の管理下にある」
理事長「こんな事をして、何も いい事ないわ!」
校長「・・・・・・・・・」
理事長「行き過ぎた管理教育は、教師の心すら殺してしまうの」
それは つまり、生徒の粗探しばかりし、悪い部分だけを見て良い部分は見ず、生徒を信じず全ては生徒のせいにして、自分の保身ばかり考える教師を生み出してしまうという事だ。
“じゃあ誰が盗んだって言うの?!”
“私はやってない!”
“
“奈南ー!”
理事長も それに気付くのが遅かった結果、女子生徒の1人が自ら命を絶つ結果となり、2年4組が担任外しをする事に繋がってしまった。
当時 理事長は、奈南が命を絶った後に事件の真相を知り、2年4組の担任をしていた
“どうして話してくれなかったの?”
“本当のこと話したら、私の立場が危うくなるじゃないですか”
藤森の その言葉に、当時の理事長は絶句した。生徒を死に追いやってしまっても、それでも自分の事しか考えないのかと。
“皆そうやって、生徒の問題を隠蔽してる!”
理事長「叫ぶために、善悪の判断さえ邪魔になるの」
時として、正しい行いだからと それが正解だとは限らない。どうするべきかは、人が生きていく一瞬 一瞬の状況の中で判断していかなければならない。例え それが、人から見て間違っていたとしても、悪い行いだったとしても。それができていたのは、この学苑でネロ1人だけだった。
ネロは確かに、教師らしからぬ行動ばかり取っていた。生徒の自宅に押し入り壁を破壊、何度も留置所行き、保護者を殴り倒す、林間学校の参加費の使い込み、その回収で生徒をアイドルオーディションに参加させる、ヤクザと乱闘、保護者のオフィスを破壊したりなどだ。その行動だけ見れば、咎められても不思議ではないと思うだろう。
だが そのネロの破天荒な行動の結果、生徒達は声に出す事ができなかった助けを求める声を叫ぶ事ができるようになり、心に巣食う闇が打ち払われ、変わる事ができた。
しかし、それを傍で見てきた理事長の想いは、校長には届かなかった。
校長「適当なこと言わないでください。教育方針を心にシフトして、この国は良くなりましたか?学力低下、空想紛いの言い訳、身勝手な主張、将来の悲観、身勝手の拡大!全てが教育の弊害です」
理事長「・・・・・・・・・」
校長「私は、心の教育にドップリ嵌まった生徒達を叩き直し、もう1度この学苑を一流校にしてみせます。そして これが・・・ビジネスとして成立すると証明してみせる!」
理事長「・・・そんな勝手が・・・許されないわよ」
校長「何と言われようと、私が この学校を変えます」
理事長と校長の考えは、どうあっても相容れないものだった。
・・・・・・
*2年4組 15:40*
放課後、2年4組の教室でも、多くの生徒達がタブレットに夢中になっていた。
そんな中 昂と
輝男「新しい校長の やり方に染まっちまってるなぁ」
剛「ちょっと やり過ぎじゃねぇか?タブレットで全部 管理するなんて。ネロが居た時は こんなんじゃなくて、マジ楽しかったぜ」
昂達は剛の言う事に同意し、何度も頷く。
その横で、剛の話してる事を聞きながら善之は、タブレットで文字を打ち込んでいた。それは、剛が反抗の目を持っていると密告するものだった。
生徒達にまでタブレットを渡したのは、授業に活用するためが目的ではなかった。教師達が生徒を見張るのと同じく、生徒が生徒の行動を監視する体制を作り、徹底的な管理下に置くためだった。
昂達6人が鞄を手に帰ろうとすると剛が、
芽依「剛君、はい、これ」
剛「お、おう、ありがとう」
芽依はノートを渡し、受け取った剛を男子生徒達が冷やかした。実は、剛と芽依は付き合っていたのだ。
そんな様子を、善之は黙って見詰めていた。
・・・・・・
*広場 17:14*
夕陽で街が茜色に染まってる時間、ネロは広場で腕相撲大会を開き、倒した相手から お金を巻き上げていた。
警察の仕事をサボる天龍がレフェリーを務め、次のネロの相手は筋肉質な黒人だった。
天龍「レディ・・・ゴー!」
ネロと黒人が手を組み勝負が始まるが、ネロは余裕で倒してしまい、ギャラリーが盛り上がる。
そこに、訪れた羽黒にネロが呼ばれた。
ネロと羽黒は、場所を移して話す事にした。そこで、ネロは今の明陽学苑の様子を聞かされる事となる。
ネロ「ふ~ん、そんな感じなんだ」
羽黒「はい・・・まるで別の学校みたいです」
ネロ「・・・・・・・・・」
羽黒「ネロさん・・・戻ってこられないですか?」
ネロは横の羽黒に顔を向けるが、それは無理だと言わんばかりに難しい顔をし、羽黒から顔を逸らした。
羽黒「このままだと・・・取り返しの付かない事になるんじゃないかって思うんです。だからネロさんが居てくれたら━━」
ネロ「
羽黒「ネロさん、なに言ってるんですか?」
ネロ「そしたら俺も制服 着て、学生気分 味わえるのに」
羽黒「・・・もういいです・・・」
ネロ「羽黒!」
ネロが茶化すので、羽黒は怒って立ち去ってしまった。
ネロは笑いながら茶化していたが、羽黒が立ち去った後、思い詰めた表情をしていた。
ネロとて、話を聞いて今の学苑がいいとは思えないし、生徒達を助けたいとは思う。しかしネロ自身が関われば、逆に生徒達を困らせる事になってしまう。
校長に言われた事を話す気がないネロは、だから茶化して誤魔化すしかなかった。退学にならないよう、生徒達を守るために。
もし話せば、きっと羽黒はや生徒達は校長に抗議するだろう。そうなれば、羽黒もクビになって これ以上の潜入は不可能となり、生徒達が退学させられる可能性もあるから・・・。
*明陽学苑高校 校舎*
その頃 明陽学苑では、善之が学苑に まだ残る生徒の様子を、タブレットを使って密告していた。
そこで理事長に名を呼ばれ、善之はタブレットから顔を上げて理事長に視線を向ける。
理事長「あなたが、生徒を監視してるの?」
善之「・・・えぇ、そうですよ」
善之が不敵な笑みで そう答えるが、理事長は怯まず、歩を進め善之の前に立つ。
理事長「こんな事はすべきじゃないわ」
善之「やめるつもりはありませんよ。これが僕の あなたに対する“復讐”なんだから」
理事長「・・・・・・・・・」
善之「母は あなたの教えに酔狂して家族を犠牲にしてきた。僕達 家族はバラバラ。新しく来た校長が僕の母だ」
理事長「あなたの、お母さん!?」
理事長は、その事を知らず驚いた。何故なら、善之と校長の名字が違うのだから。しっかりとした身元調査でもしない限り、気付くのは難しいだろう。
善之「あなたは僕から大切なものを奪ったんだ!」
理事長「・・・・・・・・・」
善之「だから、僕は あなたの大切なものを奪う事にしたんです。この学苑から」
善之が今まで敵対するような様子を見せていたのは、全て自分自身に原因があると理事長は気付き、そして その原因として、自分が考案した“絶対的管理教育”が彼も歪ませていたと知り、理事長は それ以上なにも言えなくなってしまうのだった。
次回も宜しく お願い致します!