484話です!どうぞ!
加賀は鎮守府の皆に50万円のボーナスを配ったのだが、天龍の口座にだけ間違えて500万円を振り込んでしまった。
加賀は天龍から、差額の450万円を返してもらおうとしたのだが、素直に返す気がない天龍は摩耶に協力してもらい、話を引っ張るだけ引っ張った挙げ句、使い込んで500万円が もう無いと思わせる事に成功する。
お金の回収ができないと加賀が思い込んだ事で その日は話が終わったのだが、天龍は まだ、加賀を精神的に追い込もうと企んでいたのだった。
*Devil May Cry鎮守府 9月27日 本館 15:47*
執務室に残る摩耶と天龍が密談してるのと同時刻、本館の通路を歩いていた加賀は突然 立ち止まると、その場で寝転んだ。
それを見た通りすがりの何人かの艦娘は、加賀の異様な行動に困惑した。
香取「ほ、補佐艦?補佐艦あの・・・補佐艦?」
加賀「もうヤダ何も考えたくない」
島風「補佐艦なんで寝てるんですか?」
加賀「もう何も考えたくない」
・・・・・・
*正面ゲート 17:35*
日も暮れようと暗くなりかけてる時間、加賀は正面ゲートで呆然と立っていた。
正面ゲートでは他の艦娘や憲兵隊も居て、談笑しながら たむろしている姿もある。
そんな中、ニコが加賀に近付いてきた。
ニコ「加賀」
加賀「あぁ、ニコじゃない」
ニコ「ちょっとアレ見て、アレ」
ニコが指を指す方向を見ると、そこには泣きながら地面に座り込む ほっぽの姿があった。
そして加賀とニコは、泣いてる ほっぽの方へ向かうのだが・・・
ニコ「もう18歳を越えると、うちの施設には置いとけないんだよな」
ほっぽ『ウゥ~・・・デモ スム トコロ ナイシ、ゴハンモ タベタイヨォ・・・』
急に よく分からん寸劇が始まった。
ニコ「ご飯も食べたいし?」
加賀「ちょ、え?」
ほっぽ『マイニチガ クルシイ・・・』
ニコ「毎日が苦しいなぁ」
加賀「いや・・・」
ほっぽは鎮守府で面倒を見てるし、保護する年齢制限もないし、ご飯も食べさせてるし、何も悩む事なく毎日 遊ばせてるし、加賀からすれば、ニコと ほっぽが何を言ってるのか さっぱり分からなかった。
ほっぽ『オカネ クダサイ・・・』
ニコ「幾らくらい必要なの?」
加賀「食べ物が欲しいの?」
話してると、いつの間にか談笑していた艦娘達で殴り合いをしており、天龍が ぶっ倒れるのが見えた。
ほっぽ『10マングライ ホシイ・・・』
ニコ「何て言った?」
加賀「10万 欲しいの?」
すると加賀は、ほっぽの正面で しゃがんだ。
加賀「お姉ちゃんの話 聞いてくれる?お姉ちゃんの話。お姉ちゃん、海軍の鎮守府で補佐艦してるの」
ほっぽ『ソウナノ・・・?』
いや知ってるはずだが・・・。
加賀「そうなの。で皆にボーナス配らなきゃいけないのよ。1人だけね、お姉ちゃん間違えて、お姉ちゃんのポケットから、500万 入れちゃったの。あの倒れてる
ほっぽ『ウン・・・』
加賀「あの、倒れてる お姉ちゃんにね、返してもらおうと思ったらね、使い込んじゃってね、2万しか残ってなかったのよ!」
話してる内に感情が溢れ、加賀まで泣き始めてしまった。
加賀「だから お姉ちゃんはね、お姉ちゃん・・・4百・・・450万 失っちゃったの・・・!」
ほっぽ『カワイソ~!』
加賀「可哀想でしょ」
加賀と ほっぽは泣きながら ずっと話しているが、ニコは何の感情もない無表情で そんな2人を見ていた。
ほっぽ『オネエチャンモ タイヘンナンダネ・・・』
加賀「大変なのよ。でも、でも、全面的に私が悪いの、元はと言えば誤送金した私が・・・」
ほっぽ『イイ ヒトダネ、デモ・・・』
加賀「あなたも可哀想、私も可哀想な境遇だから・・・ご飯あげる」
そして加賀は、鳳翔が握って持たせてくれていた おにぎりを取り出し、ほっぽに差し出した。
ほっぽ『ゴハンハネ、イッパイ モラッタ・・・』
加賀「あるんかい」
ほっぽ『ウゥ~・・・マイニチ ツライヨ~・・・』
加賀「これで・・・」
すると加賀は、今度は財布から10万を取り出し ほっぽに渡した。
ほっぽ『アァ!10マン クレタ・・・!』
ニコ「10万くれた!?」
加賀「あったかい服 着て・・・」
ほっぽ『イイ ヒトダァ・・・』
ニコ「良かったな ほっぽ」
加賀「うん、あったかい服 着て、うん」
そして ほっぽは、10万を握り締めて立ち上がった。
ニコ「よし、行くぞ」
ほっぽ『コレデ アッタカイ フク カウ・・・オネエチャン アリガトウ・・・』
ニコ「もう それしなくていいぞ。パチンコ行くぞ」
加賀「おいおいおい、コラおい」
ほっぽ『オケーイ』
さっきまで泣いてたのが嘘のように ほっぽは泣き止み、ニコと共にバンの方に行ってしまう。
加賀「おいおいおいってコラ、おい」
ニコがバンに乗り込もうとドアを開けるが、加賀が彼女の肩を掴み止める。
ニコ「え?」
加賀「あなたやったわね?」
ニコ「何が?私がパチンコ行くだけだから」
そしてニコは運転席に座り、ほっぽが助手席に座った。
ほっぽ『ジャア チョット、パチンコ イッテク~。アリガト カガ~』
加賀「・・・・・・えぇ・・・」
ほっぽ『ダイスキ~、アリガト カガ~』
加賀「う~ん・・・」
ニコ「大好き~」
ほっぽ『ダイスキ~』
加賀「はい、はい・・・」
ほっぽ『オシゴト ガンバッテネー!』
加賀「はーい、いってらっしゃーい、あは、あははははは・・・」
ほっぽが楽して お金を稼ぐ方法を覚え、バンは鎮守府を出発し、お金を騙し取られた加賀は乾いた笑い声を上げて見送るのだった。
・・・・・・
夜、入渠した天龍を待っていた摩耶が、彼女と一緒に正面ゲートの近くを通ると、夕方 加賀が泣いていたのを天龍が思い出した。
天龍「摩耶」
摩耶「どうした?」
天龍「さっき あの、ここで、ここで あの、補佐艦が何か、体育座りで泣いてた」
摩耶「補佐艦がか?」
天龍「うん」
摩耶「我々のせいか?」
天龍「・・・・・・違うと思うけど・・・可能性はある」
摩耶「しかしなぁ、海防艦が泣いたら結構 気にするけど、空母が泣いても あまり気にしないからな、いいだろ。泣かしとけ」
天龍「でも可哀想だから」
摩耶「そうか、可哀想か」
天龍「うん」
摩耶「労ってやるか」
天龍「うん、サラ金から借りた体で返す」
摩耶「あっ、なるほど素晴らしい。大事な事を思い出させられたよ」
天龍「え?・・・・・・補佐艦 居るかな?」
2人は執務室へと向かいながら、加賀に電話を掛け呼び出した。
・・・・・・
*執務室 20:25*
摩耶と天龍が執務室に入ると、加賀は居なかった。まだ来てないようだ。
天龍は何も言わず、執務机の前に椅子を2つ置き、その内の1つに座った。
それを見て、摩耶は感心していた。
摩耶「おう、偉いな」
天龍「うん。下座 得意だから」
摩耶「あたしは上座だ。お前より偉いからな」
そう言って摩耶は、加賀が来るのに執務椅子の方に座った。
天龍「あ、摩耶は上座なんだな」
摩耶「軽巡より重巡の方が大人だからな」
天龍「なるほど」
だが鎮守府に所属してる歴で言えば、天龍の方が長く初期メンバーとも言えるので、彼女の方が先輩である。
摩耶「しかし本当に何があったのか分からん。お前から救援要請があったから急に飛んできたんだ」
天龍「結構・・・俺も よく分かんなかった」
摩耶「そうか」
殴り倒された当事者である天龍すら よく分かっていないため、なぜ正面ゲートで殴り合いになったのか説明不可能だった。
摩耶「登場人物は何人以上 居る?」
天龍「最低5人は居る。少なく見積もって5人だな」
摩耶「ダメだ。あたしの脳ミソのキャパじゃ3人以上は難しい」(冗談)
天龍「分かる」
摩耶「お前もか?」
天龍「いや・・・俺は そうでもない」
“分かる”と言ったのに すぐ裏切ったので、天龍の無責任発言に摩耶は失笑した。
摩耶「そうか、お前は優秀だな。素晴らしい」
天龍「うん」
「「・・・・・・・・・」」
話す事がなくなり、そのまま加賀が来るのを待つのだが、2人は黙ったまま妙な時間だけが流れる。
摩耶「遅いな」
天龍「遅いな」
摩耶「あぁ、呼ぶわ」
天龍「急かしてくれ」
そして摩耶は、執務室にあるマイクで館内放送を掛ける事にした。
摩耶『ちょ、補佐艦。早く来い』
館内放送を掛けた直後、執務室の扉が開いて加賀が入ってきた。
摩耶「お、来たぞ」
天龍「来たか」
摩耶「早いな」
加賀「素晴らしい艦娘の天龍じゃない」
摩耶「まぁ座れ」
執務椅子は摩耶が占領してるため、加賀は文句も言わず天龍の横の椅子に座った。
なのだが、摩耶のスマホに電話が掛かってきて着信音が鳴り響く。
天龍「さっき、泣いてたから、辛いのかなって」
加賀「いやいや、別に全然、うんうん」
摩耶「ちょっと待って電話 来た。うるさいから切る、すまない」
天龍「うん」
摩耶「よし」
天龍「補佐艦、何番だっけ?」
加賀「えっ?」
天龍「何番だった?」
加賀から口座番号を確認すると、天龍は加賀の口座の方に振り込むための作業に入る。
摩耶「さっき泣いてたらしいな」
加賀「そうよ」
摩耶「聞いたぞ」
天龍「これで・・・」
天龍は加賀の口座に450万円を振り込み、それを すぐに知った加賀は仰天した。
加賀「おぉ、何で、あなた どうしたの これ!?」
天龍「うん、あのー、何か“ハッピーサーカス”っていう団体の“ジャック”って人から借りた」
加賀「いや あなたやめて、今すぐ返して!今すぐ返して!」
摩耶「何でだ?」
加賀「いや、いやいやいや、ダメダメダメダメ━━」
摩耶「ちょっと待てよ」
天龍「450万円 欲しかったんだろ?」
加賀「いや━━」
摩耶「補佐艦、天龍の漢気を汲んでやってくれよ」
加賀「ちょっと待ってヤバい、選りにも選って・・・」
天龍「お?何が?」
摩耶「お?どうした?」
加賀からすれば、お金に意地汚いジャックから借りたとなれば、金銭面で究極のピンチだ。
と言っても、借りたのは嘘なので、心配してるのは加賀だけである。
摩耶「優しい団体と聞いたぞ」
加賀「え・・・?」
摩耶「市民に優しい団体と聞いたぞ」
天龍「サクッと貸してくれた。補佐艦が450万 借りたがってるって言ったら、すぐ貸してくれた」
加賀「ちょっと待って・・・それは・・・大変な事になった」
摩耶「どうした?」
天龍「大変な事になったか?」
加賀「大変な事になった」
「「素晴らしい/どういうこと?」」
加賀「いや、これは全部 私が招いた事で、私の責任だから、天龍は何も悪くないんだけど、天龍あなたマフィアから お金 借りてるのよ」
摩耶「ん?」
天龍「マフィアか?」
摩耶「マフィアじゃないぞ」
天龍「いや、でも、何か、なぁ?全然マフィア感なかったな」
摩耶「フレンドリーだったぞ」
加賀「バカあなた!マフィア感がない奴がマフィアなのよ!」
天龍「マフィア感がない奴がマフィアなのか?」
摩耶「よく分からないな」
天龍「よく分かんないな」
加賀「あ、よく分かんないか・・・」
天龍「うん」
加賀「いや、でも天龍 本当に あのぉ・・・・・・いやぁ・・・」
加賀は何かを言いかけたが、諦めたように溜め息を吐いて その先は言えなかった。
天龍「まぁ でも、これで一件落着だよな?」
摩耶「あぁ、解決だ。悩みが1つ消えたな」
天龍「ジャックさんに、Devil May Cry鎮守府の加賀名義で、借りてきた450万」
加賀「おわぁ あなたは何て事を・・・!」
天龍の名義で借りてると思いきや、自分が借金した事になってると知って加賀の胃がキリキリと痛む。
摩耶「そこは ちゃんとしないとな」
天龍「うん、ちゃんとしてきた」
摩耶「素晴らしい」
天龍「俺のじゃないからなって思って」
加賀「あなた・・・!」
摩耶「金に困ってたんだろ?」
天龍「困ってたんだもんな?さっき泣いてたのを見て、居ても立ってもいられなくなった」
加賀「あなた達との会話の後ね、ニコとの会話があったのよ。それで ほっぽが物乞いしてるやつがあってね」
天龍「あー、さっきのアレか?ゲートの所に居たやつか」
加賀「そうそうそう。それで天龍 今度なに?ハッピーサーカスに450万 借りてきたの?」
天龍「あー、まぁ、そうだな」
加賀「私名義で?」
天龍「うん」
摩耶「ちゃんと嘘 吐けないからな」
絶賛ちゃんと嘘 吐いてる真っ最中である。
加賀「1回 訊きたいんだけどね」
「「ん?/うん」」
加賀「全然 答えられな・・・いや、あの、ここだけの話にしとくからね、訊きたいんだけど、最初の500万は何に使ったの?因みに」
摩耶「・・・・・・ん?最初の500万って何だ?」
天龍「どういう事だ?最初って何だ?」
加賀「いや、えっと、私が、あなたに送った、やつ」
摩耶「ん?」
加賀「ん?ん?え?」
天龍「・・・・・・埒が明かねぇな、どういう事だ?」
摩耶「また振り出しに戻ったな」
加賀「いや、ちょっと待って、あれ?私おかしなこと言ってないわよね?」
天龍「いや、これ、もう、もう、もう450万 盗ろうとしてる!?」
加賀「違う違う違う違う違う!」
摩耶「おいおいおい、それは通じないぜ、補佐艦」
加賀「違う違う違う!」
天龍「畜生、そういう事だったのかよ」
摩耶「きたねぇなぁ。汚職だけは駄目だぞ」
加賀「そんな訳ない、まさか まさかよ。そんな、900万とかじゃない、あの・・・あれよ」
摩耶「ちょっと分かりやすく言ってくれよ」
加賀「分かりやすく言うと、ほら、私が誤送金した、あなたに誤送金した500万なにに使った?」
摩耶「ん?」
加賀「え・・・?」
天龍「どういう事だ?」
加賀「あれ・・・?」
摩耶「まぁ つまりだ、あたしが分かりやすく説明しよう。さっき、天龍から聞いた話だ。補佐艦が路上で泣いてたと。で、あたしはいいって言ったんだ、たまに泣かしとけって。そしたら天龍が いや可哀想だから━━」
加賀「なんて いい奴なの あなた」
摩耶「━━優しいフレンドリーな人から借りてくると」
天龍「そうだ」
摩耶「加賀名義で。それ渡して、補佐艦の・・・まぁ涙を拭いてやろうと」
加賀「450万で?」
摩耶「そういう事だ。話は終わりだ」
加賀「あ~、そういう事か~。天龍って あなた本当に何か凄い、いい奴ね」
摩耶「いや素晴らしい、ランク2にしてあげたいぐらいだ」
天龍「お願いします」
加賀「・・・・・・・・・」
いい感じの雰囲気で話が終わりそうだったのだが、加賀の様子が少し変だ。
しかし摩耶と天龍は それに気付かず、ここぞとばかりに昇格を要求する。
天龍「俺からも、お願いします」
摩耶「よろしくな、補佐艦」
天龍「ランク2」
加賀「あな・・・ほんとに あなた!ダメよ!」
天龍「何が?」
加賀「ハッピーサーカスから お金 借りてくる奴、その場で よし、ランク2、はダメよ」
摩耶「ん?」
天龍「・・・・・・な、何で?筋が通ってる説明がないと ちょっと・・・」
摩耶「ちょっと補佐艦いまのは苦しいぞ、結構」
天龍「流石の俺も苦しかった今のは」
加賀「あーごめん、ちょっと変なこと言っちゃった」
摩耶「丸め込もうとしても あたし達は結構ちゃんと、考えて━━」
天龍「騙されないぞ」
摩耶「あぁ」
加賀「いや、えっと、まぁ先ず、事の発端は、私が原因よ、これは認める、これは完全に私が悪い」
摩耶「そうだな」
加賀「私が先ず、天龍に、間違えて500万 送っちゃったんだから」
摩耶「ん?」
天龍「いや もう誰が悪いとかないよ!誰が悪いとかじゃない!」
摩耶「補佐艦、自分を責めるのは良くないよ。悪い奴なんか居ないよ」
天龍「俺達も一緒に責任 負うから」
加賀「いやいやいや、どういうこと?」
大事な部分だけが伝わらず、すぐ話が変わっていくので、よく分からず加賀は呆れて笑うしかなかった。
摩耶「くっ・・・仲間だろ」
それに釣られて、摩耶も思わず笑ってしまいながら“仲間”だと言うが、笑ってしまってるから説得力がない。
天龍「仲間じゃないか俺ら」
加賀「敵よ今んとこ」
摩耶「ん?」
天龍「どぅえ、え、え!?どういうこと?」
加賀「いや、雰囲気的な話で。別に全然」
天龍「あー良かった良かった」
摩耶「あービックリしたビックリした。とりあえずアレだ。天龍が、補佐艦の涙を拭いたって事だよな?」
天龍「それは、うん、できた」
加賀「結論、纏まった」
摩耶「よし、じゃあ もういいじゃないか この話は。補佐艦も お金が・・・お金が増えたんだろ?」
加賀「だったら、さっき天龍から貰った あの・・・2万は返すわ。何番だった?」
天龍「それは勿論。イロ付けて返して」
自分の お金に関して一切の妥協はせず、更に多めに要求する天龍の意地汚さに摩耶は爆笑してしまい、加賀も呆れて笑っていた。
加賀「こいつ・・・」
天龍「端数あったと思うから」
摩耶「素晴らしい」
加賀「端数ね。じゃあ2万5000円で」
天龍「お願いします」
加賀「え?待って待って また騙され始めてる何か?」
天龍「いや こっちのセリフだよ」
摩耶「さっき、うちの天龍は、身銭を切って補佐艦に渡したのに」
天龍「畜生、お金のトラブルって怖いな」
加賀「いや、こわー。お金のトラブルなの、これは?」
天龍「お金で揉めたくないな」
摩耶「お金で揉めたくないな、十数年の友人もな、お金で揉めるからな」
天龍「本当に怖いよな」
加賀「あれよ、芸能人とかも友達をマネージャーにしたけど、何十億とか持ち逃げされたって よくあるらしいわ、ほんと気を付けないと」
天龍「そうなのか。怖いな」
摩耶「丸く済んで良かった」
天龍「良かった今回 丸く収まって」
摩耶「素晴らしい」
加賀「丸く済んだのかしら・・・?」
天龍「良かった良かった」
一先ず話は終わりという事で、加賀達3人は執務室から退室するため椅子から立ち上がる。
天龍「もしジャックさんから連絡 来たら、よろしく伝えといて」
摩耶「おう、頼むぞ補佐艦」
加賀「うん、オッケー」
摩耶「加賀名義だからな」
天龍「ジャックよく分かんないこと言ってたんだよな。“トゴ”だとか何か言ってたから」
トゴ━━利息が10日で5割。
摩耶「言ってたな」
加賀「何だって?」
天龍「トゴ。トゴが どうとか言ってたから。よく分かんなかったから“いいよ”って言っておいた」
加賀「ちょいちょいちょいちょいちょいちょいちょいちょいちょい、え?」
執務室を出た瞬間、とんでもない利息の話が出て加賀は固まった。
摩耶「よし、帰るぞ。じゃあな補佐艦」
天龍「元気 出してくれ!」
摩耶「頑張れよ!」
呆然と立ち尽くす加賀を放置し、摩耶と天龍は その場から離れた。
ある程度 執務室から離れると、2人は立ち止まってクスクスと笑っていた。
天龍「やったな」
摩耶「あぁ、100点だ」
天龍「一矢 報いたな」
摩耶「あぁ、チョロいな」
天龍「うん」
摩耶は さっきの加賀の事を思い出し、またクスクスと笑い始める。
天龍「まぁ、黙っとくか」
摩耶「まぁ、この件は、あたしらだけの、秘密にしておこう」
天龍「勿論だ」
摩耶「あいつジャックに会う度に、冷や汗 掻くんだろうな」
天龍「可哀想に」
想像しただけで、摩耶と天龍は笑いが止まらなくなってしまう。
そして執務室に通じる通路の先を見ると、首を もたげる加賀がトボトボと歩いてくるのが見え、摩耶と天龍は再び爆笑した。
天龍「あっ、落ち込んだ!」
摩耶「ぶわっはっはっはっはっはっはっはっはっはっ!ど・・・どうした!?」
天龍「大丈夫か?」
加賀「何でもないわよ・・・」
摩耶「今日 厄日だな。帰って寝な」
そこに、偶然 大淀と明石が通り掛かり、加賀の様子に思わず立ち止まった。
大淀「どうしたんですか?」
加賀「ん、トラブル・・・」
訊くが、加賀が詳しく何があったのか答えず、大淀と明石は よく分からないままだった。
天龍「落ち込んじゃったよ」
摩耶「可哀想に」
これっぽっちも可哀想だと思ってない摩耶と天龍だった。
・・・・・・
*本館 10月7日 11:25*
10日後、加賀や摩耶、何人かの艦娘が通路で世間話をしてる中、天龍が加賀の背後で ずっと誰かと電話しており、加賀は そちらが気になり振り返って天龍を見詰める。
通話が終わり電話を切ると、加賀と目が合い天龍は戸惑う。
天龍「な、何すか?」
加賀「いや こっちのセリフよ」
天龍「どういうこと?」
摩耶「どうした?うちの天龍が また何かやったのか?」
加賀「いや、違う違う。ずっと私の後ろで電話 掛けてたから、何かなと思って」
天龍「何か、ジャックから電話 来た?」
加賀「いや来てないわよ」
天龍「来てないのか?」
加賀「ど、どうするの?これ ちょっと、私も怖いわよ」
天龍「補佐艦、ちょっと携帯 触らないで今」
加賀「え?」
天龍「携帯に触らないで」
加賀「携帯に触らないで?うん・・・」
そう言って天龍は、加賀から見えないようスマホを操作し、加賀に電話を掛ける。
すると加賀のスマホが震え、加賀自身も それに気付く。しかし、触るなと言われていたので電話には出ない。
加賀「あっ、電話 電話 電話!」
天龍「補佐艦!」
加賀「何!?」
天龍「・・・・・・450万マフィアから借金したの嘘だよ!」
加賀「・・・はぁぁぁあああああ?!お前、お前・・・!」
天龍「そのまま返した。普通に取っておいて」
加賀「お前・・・!」
天龍「痛っ!」
加賀「お前・・・お前ー!」
天龍「何だよ!?良かったじゃねぇか!」
加賀は10日間ずっと騙されていたという怒りから天龍を殴るのだが、普通にグーで顔面を殴られ天龍は焦った。
加賀「バカタレ!このアホが!アホが!」
天龍「ぐあああああ!!!」
加賀の怒りは収まらず、殴られ続けた天龍は殴り倒され遂にはダウンした。
摩耶「大丈夫か!?この野郎!」
加賀「痛い!おかしい、おかしいでしょ!」
摩耶は天龍の仇を取るため加賀に殴り掛かり、加賀も そのまま殴り倒されダウンした。
加賀「
摩耶「あべべべべべべべべ!」
摩耶の方を見ると、夕張が自作したテーザー銃で感電させて、暴れる摩耶を制圧していた。
加賀「やりやがったわね天龍!」
摩耶「どうした、大丈夫か?」
天龍「イッタ!痛い痛い!」
感電から解放された摩耶は起き上がると、心配する振りをしながら天龍に駆け寄り蹴りを入れ、続けて加賀にも蹴りを入れた。
こうして、今回の誤送金によるドッキリは、終わりを迎えたのだった。
次回は真面目に戻って、明陽学苑の話を集中してやって終わらせようと思います
その後に、ちゃんと本筋の話を進めていきます
次回も宜しく お願い致します!