Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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2ヶ月近く投稿できず、申し訳ないです。
何度も投稿できないかと試みてはいたのですが、諸事情でバタバタとしており、日が空いてしまいました。
一先ず学苑編での話もクライマックスに突入しますので、これが終われば本編に戻りますので、引き続き お付き合いいただければ幸いです。

485話です!どうぞ!


Mission485 編入生~狂気を孕む兄弟~

*街 10月7日 16:32*

 

誤送金ドッキリのネタバラシをした同日の夕方、ネロは街にある広場で黄昏ていた。

夕陽を見ながら伸びをするが、頭痛に襲われネロは頭を押さえる。

 

ネロ「イッ・・・!ヤッベェ感じの、身体になっちまったなぁ・・・」

 

普通の人間となってしまったネロに脳動脈瘤が見付かってから、10日以上が経っていたが、ネロは治療も受けず放置したままだった。

 

 

明陽(めいよう)学苑高校 校長室*

 

その頃、明陽学苑の校長室に善之(よしゆき)が入ると、そこには校長と、明陽学苑の制服を着た1人の少年が居た。

 

善之「どう?学苑改革、上手く進んでる?」

 

校長「これが上手くいけば、私が完全に この学苑を掌握できる。そうすれば理事長も ここから追い出せるわ。あなたの望み通りね」

 

善之「あぁ」

 

善之は笑みを浮かべながら、学苑を監視するカメラの映像が映るモニターに顔を向けると、そこには廊下を歩く理事長の姿が映っていた。

 

理事長「あなた達も、私の力になって」

 

少年「勿論だよ母さん。僕が居れば大丈夫だから」

 

そう言って校長と一緒に先に居た少年は、敵意を持った眼で善之を睨んだ。

どうやら校長を母と呼ぶ事から善之と兄弟のようだが、普通ではなさそうな様子に、新たな騒動が起こる予感をさせる。

そして少年の中に巣食う邪悪な意思は、着実に大きくなっていた。

 

?『アハハッ!全部 壊れちゃえ!

 

 

・・・・・・

 

*2年4組 10月8日 8:30*

 

翌日、2年4組の生徒達は朝早くから集まり、今年の文化祭も近いという事で、クラスメイトだった奈南(なな)が撮った写真を使って完成させたモザイクアートとは別に、モザイクアートでの看板作りに励み、楽しそうに作業していた。

そこに、理事長の部下であるスタッフ2人が教室に入ると、作業を中断させてきた。

生徒達は仕方なく一時的に作業を中断し、机や椅子を元に戻して それぞれの席に着く。

輝男(てるお)も自分の席に着こうとしていたのだが、手に持っていたスマホをスタッフに没収され、顔を引き攣らせながら固まった。

 

 

*教員室*

 

同時刻、教員室では職員会議が行われ、教師達は校長から、新たなルールとシステムの説明を受けていた。

 

校長「本日より、教師だけでなく生徒もポイント制にします。ポイントは、偏差値と普段の素行ポイントの総合により計算します。学力向上の妨げになるような行為は、逐一 見逃さず、減点対象となります」

 

 

*2年4組*

 

2年4組の教室では、校長の説明にあった通りスタッフが、黒いタブレットで早速 輝男のポイントを減点していた。

 

『・・・・・・・・・』

 

新たなシステムの導入によるスタッフの行動に、生徒達は皆 不安そうな表情をし、クラスのリーダーである(かえで)も、何を考えてるのか読めない顔で それを見ていた。

そして善之は、興味がないのか我 関せずで見向きもしていなかった。

 

 

*教員室*

 

校長「そして、ポイント上位の生徒には、名門大学への推薦枠を優先的に与えます。更に、指導方法を変更します」

 

教師達はタブレットを見ながら校長の説明を聞いており、指導マニュアルのページに画面をスクロールした。

 

羽黒「指導マニュアル?」

 

校長「今後は それに従って、生徒の学力向上に務めてください。生徒の学力を上げられない教師は、私の学苑には必要ありませんので」

 

そこで話が終わり、校長は教員室から出ていったのだが、教師達は指導マニュアルを覚えるため、タブレットに夢中だった。

そんな中、復職したネロも教員室に居たのだが、気味が悪いほど静かで大人しかった。

 

羽黒「ネロ先生どうしましょ?」

 

羽黒が横の席に居るネロに声を掛けるが、彼から返事が返ってこず、羽黒は咄嗟にネロを見る。

 

ネロ「・・・・・・・・・」Zzz・・・

 

そのネロは、マジックペンで瞼に目が描かれており、イビキを掻いていた。

 

羽黒「ネロ先生!?」

 

ネロ「はい?」

 

羽黒の声でネロの意識が覚醒したのだが、寝惚けてるようで目を瞑ったまま、羽黒とは反対の方向に顔を向けて返事をした。

ネロは目を開けるが、そちらに羽黒が居ないため反対方向を見る。

 

羽黒「うわっ!?」

 

ネロが瞼に描いた目の上には、長い まつ毛も描かれており、ネロの顔を正面から見る事になった羽黒は ちょっと気持ち悪く思い軽く悲鳴を上げた。

 

羽黒「もしかして、さっきの校長の話 全然 聞いてませんでしたね?!」

 

問うが、ネロの呑気に欠伸をする態度に、羽黒は呆れて顔を しかめた。

 

羽黒「もう・・・」

 

そしてネロは、くだらないと言うように鼻で笑うと、また目を瞑って寝始めるのだった。

 

 

*校長室*

 

校長室へと戻った校長だったが、そこに理事長が勢い良く扉を開けて入ってきた。

 

理事長「校長!教師だけじゃなく、生徒にまで監視させて、どういうおつもりなんですか?!」

 

校長が新たに導入したシステム上、教師だけではなく、生徒が他の生徒の素行を見て その生徒を減点できるようになる。つまり それは、生徒達が互いに監視する事を意味する。そうなれば、生徒達は自分の周りに居る友達が自分を密告しようとするのではないかと疑い、互いに疑心暗鬼になり、人間関係や友情の崩壊を招くリスクがあった。

理事長からすれば、生徒達に そんな事を課すなど言語道断だったが、校長は意に介さなかった。

 

校長「管理教育の一環です」

 

理事長「こんなものは教育ではなくて、“強制”です!」

 

校長「理事会から学苑改革の権限を委ねられているんですよ、止める事はできませんよ」

 

校長は席から立ち上がると理事長と正面から向き合い・・・

 

校長「私が責任を持って この学苑を変えてみせますので、ご心配なく。ですが、変わった学苑には、あなたの居場所は、ないかもしれませんね」

 

そう言って校長は その場から立ち去り、目を瞑り やるせない表情をする理事長は、深く息を吐き出すのだった。

 

 

*教室*

 

1限目の授業の時間となり、羽黒は2年4組とは別のクラスに行くと、教室の中に入る。

教室では生徒達が大人しく席に着いており、教室の後ろでは、校長の部下であるスタッフ2人が立っていた。

 

羽黒「おはよー!」

 

『おはようございます・・・』

 

羽黒が明るく元気良く挨拶し、生徒達からも挨拶が返ってくるのだが、その声には覇気がなかった。

 

羽黒「もうすぐね、文化祭。準備 進んでる?」

 

『・・・・・・・・・』

 

それでも羽黒は、少しでも生徒達とコミュニケーションを取ろうと文化祭の話を持ち出すのだが、生徒達は誰1人として その話題に言葉を返さず、下を向いて黙々とタブレットを触っていた。

生徒の様子まで変わってしまい、明るさや元気良さまでなくなった彼らを見て、羽黒も やるせない気持ちになって口を への字に曲げた。

 

 

・・・・・・

 

*2年4組 10月13日 8:40*

 

それから5日後、文化祭まで あと2日となった日、その日も2年4組の生徒達は朝早くから集まり、楽しそうに文化祭の準備をしていた。

そこには羽黒も居て、文化祭の準備を手伝っていた。

そこに、ホームルームのためネロが教室に来た。

 

ネロ「ういぃ~。何だ これ?」

 

生徒達は2つのグループに分かれて準備を進めており、片方はモザイクアートその物の準備作業で、もう片方は席に座りながら集まり、何かの見取り図を広げており、ネロは その見取り図の方が気になった。

 

楓「モザイクアート展のレイアウト。文化祭でやるのが奈南の夢だったから」

 

ネロ「おぉ~、いいなぁ」

 

羽黒「皆いい顔してるね」

 

ネロと羽黒は、改めて生徒達が笑顔で写る写真を見て、2人も自然と笑顔が溢れる。

 

善之「・・・くだらないな・・・」ボソッ・・・

 

そこに校長が、学苑の制服を着た少年と、部下であるスタッフ2人を連れて教室に来た。

生徒達は校長を見るなり慌ただしくなり、モザイクアートを片付け、椅子と机を正しい位置に戻して席に着く。

ネロは背中を押してくる羽黒と共に、黒板の前に立った。

 

校長「今日から、このクラスに編入する事になった生徒です」

 

(けい)「・・・加賀美(かがみ) 圭です」

 

ネロ「俺なにも聞いてねぇぞ。・・・ん・・・?監視員?」

 

編入生である圭の腕には、『風紀監視員』と書かれた腕章が付けられていた。

 

校長「今日から私の息子である圭が、このクラスを監視します」

 

『・・・・・・・・・』

 

羽黒「校長の息子さん?」

 

生徒達は どういう事かと互いの顔を見合わせ、羽黒も驚いた。というのも、圭と校長の名字が違うのだ。

同じく校長の息子である善之も含め、3人共 名字が違い、この家族は どうなっているのだろうか?

 

 

・・・・・・

 

*校門 15:50*

 

放課後、2年4組の生徒達は学苑に残り、ペンキを使って文化祭の準備を進めており、ネロと羽黒は そんな様子を傍で見守っていた。

 

羽黒「やっぱり、生徒の笑顔を見るとホッとします」

 

ネロ「だなぁ」

 

羽黒「最近は ずっと、学苑の中がギスギスしてて、みんな笑顔を忘れてて・・・」

 

ネロ「だったら思い出させてやろうぜ、この文化祭で」

 

羽黒「はい!」

 

そして笑顔を浮かべるネロと羽黒は、生徒達の輪の中へと入っていくと・・・

 

ネロ「よーし、今年の文化祭は派手に ぶちカマすぞぉ!」

 

『おぉーい!』

 

ネロの鼓舞に生徒達は、声を上げて士気を高める。

 

美香(みか)「もう、私がやる」

 

(つよし)「頼んだ」

 

作業中、剛の手際が悪く美香が代わり、剛は大人しく従うのだが、彼は芽依(めい)の顔を見て固まった。剛が美香と仲良さげにしていたため、嫉妬して不機嫌顔になっていたのだ。

すると女子生徒の1人が、笑いながら肘で芽依を小突くと、冗談だったのか芽依が笑った。

 

(たくみ)「あ゛ーっはっはっはっ!」

 

明子(あきこ)「あーっ!?」

 

作業中、青いペンキを使っていた巧が晶人(あきと)の顔にペンキを塗り、それを見て明子は驚いていたのだが、結局 自分も一緒になって晶人の顔に緑のペンキを塗っていた。

輝男と遥香(はるか)は2人で、四つ葉のクローバーの形をした物に色を塗っていたのだが、2人は ふと同時に顔を上げて目が合うと動きを止め、気まずそうに また色塗りの作業に戻った。

(のぼる)杏子(あんず)も2人で作業してると ふと目が合い、杏子は笑いながら自分の鼻を指差し、昂の鼻に黄色のペンキが付いてる事を教えてあげる。

ネロと羽黒もペンキ塗りの作業を手伝っていたのだが、ネロが屈んだ拍子に羽黒の尻と尻が ぶつかり、2人は振り返る。

 

ネロ「ケツ デカいぞ羽黒先生」

 

羽黒「ケツ デカい!?」

 

失礼なネロに怒った羽黒はネロの顔に肌色のペンキを塗り、作業に戻った。

 

ネロ「お前テメッ・・・」

 

それを晶人が冷やかしてくるのでネロは彼の方に向かうと、巧が晶人を羽交い締めにし、その間にネロは晶人の顔に黄色のペンキをベタ塗りにしていった。

その晶人は、されるがままに大人しかった。

そんな風に楽しそうにしてる2年4組の皆を見ながら、圭が隠れてタブレットで何かを密告していた。

更に その圭を離れた場所から、善之が見ていた。

 

 

・・・・・・

 

翌朝、昂と杏子が登校すると、昨日ペンキ塗りの作業をしていた場所で人だかりが出来ていた。

 

明子「杏子ちゃん!」

 

何事かと そちらに駆け寄り、人だかりを掻き分け前に出ると、昨日の作業に関係する物が何者かにグチャグチャにされていた。

 

 

*教員室 10月14日 8:30*

 

その頃 教員室でも、文化祭に関してネロと羽黒が、校長と揉めていた。理由は、校長が唐突に文化祭の廃止を決定したからだ。

 

校長「世間の評判を取り戻し、学苑再建で今すべき事は、学苑全体の偏差値向上です。無駄な時間を割く必要はありません」

 

ネロ「文化祭がムダって言いたいのか?生徒の皆が楽しみにしてるんだよ」

 

羽黒「そこまで全部を、偏差値アップに繋げなくてもいいんじゃ━━」

 

校長「だったら どうぞ、別の職場を お探しください」

 

羽黒「え・・・」

 

校長「私の学苑には、文化祭も体育祭も必要ありません。そして そんなもので、生徒の時間を浪費させようとする教師もね」

 

校長の物言いに、教頭や他の教師達も難しい顔をしていた。彼らとて、そこまでやる校長の やり方に付いていけてる訳ではないのかもしれない。

 

校長「必要なのは優秀な生徒。そして それを管理し、成績を伸ばせる優秀な教師です。そして それらが見事に揃った学苑には、また優秀な人材が集まってきます。私は、皆さんに期待してるんです。皆さんなら きっと、優秀な教師になってくれると。一緒に作りましょ、新しい明陽学苑を」

 

ネロ「何だよ それ?」

 

校長「・・・・・・・・・」

 

ネロ「俺にはアンタが自分の やり方を押し付けてるようにしか思えないけどな」

 

校長「・・・・・・・・・」

 

ネロ「いい伝統、いい偏差値になって いい大学に行く事が、教育なのか?」

 

校長「そうよ。少なくとも私は そう教わりました。理事長に」

 

そう言って校長は教員室を後にし、ネロは腹立たしさから立ち尽くしていた。

 

 

・・・・・・

 

*校門 9:43*

 

明子「一生懸命 作ったのに・・・」

 

校門近くでは、2年4組の生徒達がグチャグチャにされた物を、悲しい気持ちの中で どうにか修繕しようとしていた。

そんな様子を、善之が遠くから見ていた。

そこに圭も現れると、2年4組の様子を見て笑みを浮かべ、彼らの方に近付く。

笑いながら来た圭を見て輝男は、犯人が彼だと思い絡む。

 

輝男「テメェか?」

 

圭「母さんが言ったんだよ。文化祭は中止だってな。良かっただろ?これで諦めも付く。こんな状態じゃ、文化祭なんて無理だろ」

 

輝男「テンメェ・・・!」

 

輝男が圭を殴ろうと拳を振り上げたが、誰かに横から腕を掴まれ止められた。見ると、善之が輝男の腕を掴んでいた。

 

輝男「離せよ、テメェこんな奴 庇うのかよ?」

 

善之「殴れば退学だぞ」

 

輝男「何だ、それ、脅しかよ おい?」

 

輝男は、今度は善之の胸ぐらを掴むが、善之は淡々としていた。

 

善之「文化祭中止は校長の決定だ。仕方ない」

 

輝男「テメェまで校長の肩 持つのかよ」

 

善之「親の肩を持つのは当然だろ」

 

輝男「はぁ?」

 

楓「善之・・・?」

 

善之「あの人は俺の母さんでもあるんだ」

 

善之と校長が親子関係にあるのは、明陽学苑でも理事長しか知らない事実で、それを初めて知った楓達は驚き、言葉を失った。

 

善之「母さんに逆らわない方がいい」

 

善之も校長側であると知って怒った輝男は彼から手を離すと、さっさと その場から立ち去ってしまった。

そして楓達も想いは一緒だったのか、モザイクアートの紙を持って黙って立ち去った。

 

圭「何で止めた?殴れば母さんに言って すぐ退学にしてやったのに」

 

善之「ここまでする必要あるのか?中止にしただけで良かっただろ」

 

圭「は?なに言ってんだよ?これは母さんが望んだ事だから当たり前だ」

 

善之「・・・ここまでしろと言ったのか?」

 

圭「言わなくても分かるんだよ!息子だからなぁ。捨てられた あんたには分からないだろうけどな。母さんは、新しく僕を選んでくれたんだよ」

 

圭が幼少の頃、ある日、1人で壁に向かってサッカーボールを蹴って遊んでいると、あの校長が現れた。

 

 

“圭君?私が、今日から あなたの新しい お母さんよ”

 

“・・・・・・・・・”

 

“大丈夫、怖がらなくていいわ。何があっても、あなたの傍に居るわ、ずっと。だから もう怖がらないで”

 

 

そして校長は、幼少の圭を優しく抱き締めた。

 

圭「あの人は俺の母親なんだ。血の繋がりなんて関係ない。絶望の中から救い出してくれたんだよぉ・・・!」

 

善之と圭、校長の名字が違っていたのは、善之と圭は、それぞれ自身の父親の姓を名乗り、校長は旧姓を名乗っていたからだった。

それは兎も角、圭は校長に心酔してるようで、それは どこか危険な、狂気を孕んでるようにも見えた。

 

圭「僕は母さんのためだったら何だってする」

 

善之「お前・・・」

 

善之は ずっと圭と目を合わせなかったが、圭が取り返しの付かないところまで何かしそうな危険を感じ、善之は圭に顔を向けた。

 

圭「邪魔するな。邪魔したら殺すぞ」

 

それだけ言い残し、圭も その場から立ち去ると、善之は黙って その背中を見詰めていた。

その少し離れた場所では、ネロが新聞を見ながら話を盗み聞きしていた。

 

ネロ「荒れてるなぁ・・・」

 

そこに、購買の おばちゃんに扮する理事長が、コーヒー牛乳のビンを持ってネロの元に来た。

 

理事長「はい、ネロ先生」

 

ネロ「おお、どうも」

 

そして2人は場所を移し、校長について話をする事にした。

 

 

・・・・・・

 

理事長「校長先生は、過去の私の教育理念を引き継ぎ、更に発展させようとしてます。確かに、彼女の言う事が全て間違ってるとは言えない。今の日本は、学歴社会、競争社会で成り立ってるんですから」

 

ネロ「みたいだねぇ」

 

理事長「でもね、校長先生は、大事なものを奪ってると思うの」

 

それが何なのか気になり、ネロは理事長の方に顔を向けた。

 

理事長「笑顔よ。どんなに いい点を取っても、そこに子供らしい笑顔がなければ、それは本当の学校教育とは言えない。勉強だけじゃない。心の、教育も必要だと思うの」

 

ネロ「俺も、そう思う」

 

理事長「あなたが、生徒に ぶつかってったように、私も校長先生に ぶつかってみるわ」

 

ネロ「・・・理事長。それ、俺に任せてもらえないか?」

 

理事長は どういう事かと、要領を得ない顔でネロを見詰めた。

 

ネロ「いい考えがあるんだよ。皆が笑顔を取り戻せる、とっておきの方法が」

 

理事長はネロを信頼する笑みを浮かべ、ネロも自信に溢れた笑みを浮かべていた。

 

 

・・・・・・

 

*校舎 10:41*

 

休み時間、楓と昂、杏子、美香、輝男、晶人、明子、巧、潤羽(うるは)、剛は、怒り心頭に階段を下りていた。

すると階段の下でネロが、両腕を広げ道を塞いでいたため、生徒達は足を止めた。

 

輝男「何だよテメ?今から あのクソ校長に抗議しに行くんだよ」

 

それを聞きネロは、広げていた腕を下ろしてポケットに手を突っ込むと、笑った。

 

ネロ「いいじゃねぇか。だったら とっておきの いい方法があんだ。乗るか?」

 

 

・・・・・・

 

*食堂*

 

ネロに案に乗った生徒達は、昼休みに行動を開始した。

定食を載せたトレイを持つ明子が転び、スープを校長の部下であるスタッフに ぶっ掛けた。

 

明子「あっ!すいません、掛かっちゃいました?ごめんなさい!」

 

それを物陰から見ていた杏子と美香は、持っていた小さな紙を、食堂に居た生徒達に次々と渡していく。

そして食堂の外のテラスでも、楓と潤羽が そこに居る生徒に小さな紙を渡していた。

 

 

*校舎*

 

輝男「綺麗にしま~す」

 

剛に肩車される輝男は、変顔しながら雑巾 片手に、監視カメラを掃除しながら視界を塞ぐ。

 

晶人「ミッション・スタート」

 

巧「ガッテン承知の助」

 

一緒に居た晶人が離れた場所に居る巧に合図を送ると、昂と巧も近くに居る生徒達に小さな紙を次々と渡していく。

 

スタッフ「コラー!カメラに触るんじゃない!」

 

スタッフが急いで その場に来て、輝男と晶人、剛は笑いながら誤魔化した。

 

 

・・・・・・

 

*街 16:31*

 

放課後、善之は帰路に着き下校してると、マンガ喫茶の看板を手に呼び込みの仕事をするネロが居て、足を止めた。

 

ネロ「おお、善之!」

 

ネロも善之に気付き、手を振った。

そしてネロは、場所を移して善之と少し話す事にした。

 

 

・・・・・・

 

善之を残して離れていたネロが戻ると、自販機で買ってきた缶コーヒーを善之に渡した。

 

ネロ「奢りだ。学苑での給料 下がって、バイトするしかねぇんだよ、ハハッ」

 

ネロは階段に座り、缶コーヒーを開けて笑いながら そう言うと、一口 飲むのだが、善之は貰った缶コーヒーを返すように、ネロの横の地面に置いた。

 

善之「勉強で帰るからコーヒーは要らない」

 

善之は踵を返して帰ろうとするのだが、ネロに何度も呼び止められ足を止めた。

 

ネロ「偏差値も大事かもしれねぇけど、休息を取るのも大事だぞ」

 

善之「休息なんて必要ない」

 

ネロ「・・・お前さぁ、将来なにやりてぇんだよ?」

 

善之「・・・関係ないだろ」

 

ネロ「バカ、気になるよ。こっちは お前の担任だからなぁ」

 

善之「・・・・・・・・・」

 

ネロ「あれか?いい大学に入って一流企業に就職する。それか官僚か?それも母ちゃんの教えか?言われた通りの人生なんて つまんねぇぞ。途方もねぇこと選べるから人生 楽しいんじゃねぇか。俺なんかよぉ、教師になるなんて思ってなかったからよぉ。お前も あんなクラスの奴らと仲良くなるなんて思ってなかっただろ?」

 

善之「・・・・・・・・・」

 

ネロ「おっ、そろそろ時間だ」

 

ネロは善之が置いた缶コーヒーを手に取り立ち上がると、善之に歩み寄り横に立つ。

 

ネロ「なぁ善之。明日ぜってぇ学校 来いよ。人生 楽しく・・・って事を教えてやるからよぉ」

 

ネロは善之に再度 缶コーヒーを渡すと、そのまま立ち去っていくのだった。

果たして、善之にネロの想いは伝わったのだろうか?

そしてネロは、校長や圭の妨害がある中で、どうやって文化祭を決行させるつもりなのだろうか?

次回に続く。




次回も宜しく お願い致します!
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