487話です!どうぞ!
彼らは徹夜で文化祭の準備を進め、翌日 無断で文化祭を決行した。
体育館で
全てを滅茶苦茶にされたと思った
その時、文化祭の看板が落下し、ネロが善之を庇い下敷きになり、保健室へと運ばれた。
善之は、クラスメイト達が楽しそうに文化祭の準備をしていた光景を思い出しながら、ネロから言われた事を考え、考えを改めると、学苑の管理システムの情報を外部に流出させた。
その犯人に気付いた
*明陽学苑高校 保健室 10月15日 11:56*
保健室でネロと羽黒が談笑してると、外でガラスが割れる音がして話が止まる。
直後 保健室の扉が開き、血を流して足を引き摺る善之が飛び込んできた。
羽黒「善之君!」
ネロ「どうした!?」
善之「加賀美が・・・あいつ、暴走し始めた━━」
ネロ「お前そんな事より足━━」
ネロは善之の傷の手当ての方が先だと動くが、血の付いた手で腕を掴まれ動きを止める。
善之「俺は大丈夫だから・・・。それより、
ネロ「・・・・・・・・・」
善之「あいつも、同じなんだ・・・」
ネロ「・・・・・・・・・」
善之「俺と同じで笑えないんだ・・・だから助けてやってほしいんだよ・・・
ネロ「・・・・・・あぁ」
前を向き始めた真剣な善之の願いに、ネロは彼の血の付いた手を強く握り、頷いた。
ネロは笑みを浮かべてから、善之から離れると保健室の出入り口に向かう。
羽黒「善之君!」
善之が倒れそうになるのを羽黒が支え、ネロは保健室から飛び出そうとしたが、また頭痛に襲われ足を止めた。
そこに、保険医が慌てて駆け込んできた。
保険医「今!体育館に変な奴らが!」
*体育館*
体育館では また明子のライブが行われていたのだが、ステージを見る後ろの生徒達の悲鳴が響き、音楽が止まった。
見ると、圭が半グレ達を引き連れて現れ、2年4組以外の生徒達は後退り左右に避難していく。
すると、
美香「何よ あんた達?」
すると問答無用で、圭が美香の顔に裏拳を入れて殴り倒し、また周りから悲鳴が上がった。
昂と
杏子「何すんのよ あんた!」
杏子も圭に突き飛ばされ、倒れて再び周りから悲鳴が上がる。
杏子が倒れた事で昂と輝男が咄嗟に動くのだが、昂の位置が悪かった。昂は圭の前に出てしまい、腹を蹴られて床に引き倒れてしまう。
輝男「何すんだテメェ?!」
圭「ぶっ潰してやるよ お前ら」
圭は挑発するように、倒れる昂の腹に再び蹴りを入れ、遂に輝男達の怒りが爆発した。
輝男「ダチに手ぇ出す奴は許さねぇ!」
圭「殺れ」
半グレ「来いやぁー!!」
男子生徒達は持っていたタオルを床に叩き付けるように投げ、半グレ達と ぶつかり一気に乱闘となり、2年4組以外の生徒達は逃げ出した。
だが、立ち向かっているのは男子生徒だけではなかった。女子生徒達も、文化祭を守るために果敢に立ち向かっていた。
そこを誠也が半グレの背を掴み、楓と潤羽から引き離す。
しかし横から別の半グレに殴られ、長机の上に倒れた誠也は首を絞められてしまうが・・・
楓「やめて!!」
潤羽「離して・・・!」
楓と潤羽が半グレを後ろから引っ張り、誠也を助けようとする。
昂は殴られテーブルの上に倒れると、半グレが更に暴行を加えようとするが、杏子と美香が後ろから飛び掛かり、必死に止めて昂を助けようとする。
しかし半グレに突き飛ばされて杏子と美香は倒れてしまい、今度は2人を助けようと昂が半グレの後ろから しがみ付く。
そこに加勢するように、杏子と美香も立ち上がり半グレに しがみ付く。
半グレ「ガキ クソ!」
明子「離せぇええええ!!」
ステージの上から明子がポカポカと半グレの後頭部を殴り、更に
しかし別の半グレに後ろから羽交い締めにされ、更に別の半グレに殴り倒されてしまう。
そこに鉄パイプを持った半グレが追い打ちを掛けようとするが、芽依と女子生徒が その半グレに飛び掛かり阻止しようとする。
だが半グレに突き飛ばされ、倒れた芽依と女子生徒を守るために剛が2人に覆い被さると、何度も鉄パイプで殴られ蹴りを入れられる。
しかし それで半グレの標的にされてしまうのだが、起き上がった晶人が半グレ2人を引き離し助けると、そこで別の半グレに後ろから首を絞められてしまう。
輝男も殴り倒され、追い打ちを掛けられそうになるが、そこに
そこを起き上がった輝男が半グレを掴み投げ飛ばす。
しかし別の半グレ2人が後ろから来て、遥香と女子生徒が捕まってしまう。
輝男は2人を助けるために半グレを引き離すが、お返しとばかりに輝男は突き飛ばされ、それでも耐えて倒れる事はしない。
輝男は遥香と女子生徒を守るため、向かってくる半グレ2人にタックルして1人で止めようとする。
圭「クソが」
数でも不利な状況で抵抗する2年4組の生徒達を見ていた圭は、ステージの後ろに飾られているモザイクアートに顔を向ける。
そちらに向かいステージに上がると、モザイクアートを破壊しようとするのだが・・・
美香「やめてぇ!!」
「「「やめてぇ!!」」」
それに気付いた楓と美香、明子、潤羽が後ろから組み付き止めようとする。
しかし圭に振り払われ、4人は倒れてしまう。
楓「やめてぇ!!それだけは!!」
楓は再び立ち上がり圭を止めようとするが、顔をグーで殴られ倒れてしまった。
圭「そんなに大事か。だったら、こうしてやるよ」
圭はナイフを取り出すと、モザイクアートに刃を突き立て、引き裂いてしまった。
楓と
誠也「やめろぉおおお!!!おぉおおおい!!!やめろぉおおお!!!」
男子生徒達も圭を止めようとステージに上がっていたが、半グレの邪魔が入り それ以上は進む事はできず、反対に殴り倒されてしまった。
圭「お前らが信じてるもんなんてなぁ、こんなもんだ!」
更に圭はナイフを突き立て、何度も何度も引き裂いてはモザイクアートをズタズタにしていく。
楓「やめてぇええええっ!!!」
楓の絶叫が響く中、そこにネロが駆け付けた。
ネロの眼には、生徒達がボロボロになりながらも、泣きながらも、それでも暴れる半グレに立ち向かう姿だった。
楓「やめて・・・!」
フラフラになりながらも、楓はモザイクアートを破壊する半グレに後ろから掴み掛かるが、ビンタされ倒れてしまう。
ネロ「お前ら・・・」
誠也「おい!触るな!おおい!!」
輝男「おい!おい、やめろよ、おい・・・!」
誠也「加賀美ぃいい!!!やめろぉおおお!!!」
剛「加賀美ぃ!!」
晶人「加賀美ぃ!!」
剛「ふざけんな この野郎・・・!」
昂「それに触るな!!」
巧「やめろっつってんだよ・・・!」
ネロ「テメェ・・・」
明子「私達の思い出が・・・」
女子生徒達は泣きながら、ズタズタに引き裂かれた写真を必死に掻き集め、男子生徒達は怒鳴りながらも、もう立ち上がる事もできなくなっていた。
それを見たネロの怒りの臨界点が遂に限界を迎え、ネロは拳を握った。
ネロ「・・・・・・加賀美!!!」
圭「ラスボス登場か」
ネロ「・・・俺のダチ傷付けやがって・・・許さねぇ・・・!」
圭「こいつが最後だ。殺れ」
ネロは雄叫びを上げながら半グレ達に向かっていき、最初に向かってきた半グレ2人を躱し、生徒に暴行を加え続けている半グレを掴む。
横から蹴りを入れられたが、ネロは倒れる事もなく、怒りから雄叫びを上げて掴んでいた半グレを投げ飛ばし、蹴ってきた半グレに ぶつける。
直後ネロは顔面を殴られるが、殴ってきた半グレを突き飛ばし、鉄パイプで殴り掛かってきたのを受け止めると、膝蹴りを入れて放り投げ、別の半グレを蹴り飛ばし、まだ生徒に手を出してる半グレの襟首を掴んで引き離す。
するとステージの上から、ネロがコンクリートブロックで頭を殴られ膝を突く。
杏子「ネロ先生!!」
ゆっくりと立ち上がったネロはステージに上がり、次々と半グレを叩き落としていき、半グレの1人が殴り掛かってくるが、それを避けると反撃に拳を繰り出し、ステージから殴り落とした。
どうにか半グレをステージから叩き落としていたネロだったが、また頭痛に襲われフラフラになり、ネロは左右から腕を押さえられて腹に膝蹴りを入れられ、顔を殴られ膝を突いてしまう。
剛「ネロ!」
巧「ネロ!」
そこを最後の気力を振り絞って立ち上がった巧と剛が、半グレの1人に後ろから しがみ付く。
片腕が自由になったネロは、もう1人の半グレを殴り倒した。
するとネロの視界に、必死に写真を掻き集める楓の後ろから、金属バットを持った半グレが殴り掛かろうとしてるのが見えた。しかも楓は気付いていない。
ネロ「楓!!」
ネロが飛び込み楓を庇った事で、ネロは頭を殴られ倒れてしまった。
楓「先生!!」
明子「先生!!」
ネロも脳動脈瘤のせいで思うように身体が動かず、頭を殴られた事で中々 起き上がる事ができなかった。
圭「トドメだ」
圭の言葉に、半グレは金属バットを振り上げるが、そこに輝男が後ろから しがみ付いて止める。
どうにか引き離し半グレを投げ飛ばすと、2年4組の生徒達はネロの元に集まり、彼を守ろうと壁となる。
ネロ「ぅ・・・うっ・・・・・・お前ら・・・」
どうにか起き上がったネロは、自分を守ろうとする生徒達を見て驚いた。
圭「何で こんなセンコー庇うんだよ?」
誠也「ネロはセンコーなんかじゃねぇ!!」
輝男「俺達のダチなんだよ!!」
巧「ダチを放っておけるか!!」
晶人「俺達が守るんだ!!」
ネロ「お前ら・・・・・・ありがとな・・・」
生徒達は、本来なら守られる立場にある。半グレ達を前にして、本当なら怖いはずだ。身体が震えてしまうはずだ。
それでも立ち塞がり、自分を守ろうとしてくれる彼らに、ネロは込み上げてくるものがあり、声が震えていた。
剛「なに泣いてんだよネロ!」
楓「ダチ守るのは当然でしょ」
ネロ「・・・・・・・・・」
圭「だったら、守ってみろやぁ!!」
半グレの1人が金属バットを振り下ろすと、それを立ち上がったネロが掴み受け止め、押し返した。
すると生徒達も立ち上がり、まだ心が折れていない目で圭と半グレ達を睨む。
ネロ「お前ら・・・最っ高にイカしてるぜ!」
生徒達から元気を貰ったネロは、雄叫びを上げながら半グレ達に向かっていき、次々と殴り飛ばし、蹴りを入れていく。
後ろから金属バットを持った半グレが殴り掛かってくるが、それを察知していたネロは見もせず しゃがんで避けると、そいつも殴り飛ばした。
そしてネロは圭は見ながら、不敵な笑みを浮かべた。
ネロ「まだやるか?」
その声を合図に、生徒達も前に出てネロと立ち並ぶ。
圭「クソが!」
人数を集めてもネロを仕留められないと悟った圭は退却し、それに続いて半グレ達も逃げ出した。
圭と半グレ達を追い返し生徒達は笑みを浮かべていたが、ネロの身体が一瞬ビクンと跳ねた。
直後、頭からドロドロと血が流れ、鼻からも血が垂れてきた。
ネロは鼻を拭い、自分の手に付着した鼻血を見て、鼻で笑った。
ネロ「ダッセェなぁ・・・もうちょい持つと思ったのによぉ・・・グフッ・・・!」
ネロは口から血を吹いて吐血し、ステージの上から転がり落ちた。
『先生!/ネロ!』
生徒達は慌ててネロに駆け寄ったが、程なくしてネロは意識を失った。
・・・・・・
*校門 12:56*
それから少しして、学苑にパトカーと救急車が到着した。
半グレ達は、警察勤務が続いてる天龍と警官達に取り押さえられ、ネロは救急車の中に運ばれようとしていた。
そこに、騒ぎを聞き付けた理事長が駆けてきた。
理事長「ネロ先生!!ネロ先生!ネロ先生!?」
理事長が呼び掛けても、目を瞑るネロが返事をする事も、動く事もなかった。
理事長「何があったの!?」
羽黒「加賀美君が!」
理事長「加賀美君!?ネロ先生を お願い!」
羽黒「はい!」
ネロが救急車の中に入れられ、羽黒は一緒に行くため同乗すると、救急車は病院に行くため走り出した。
・・・・・・
*校長室 13:04*
救急車を見送った理事長は急いで走り、校長室へと飛び込んだ。
理事長「はぁ、はぁ・・・ネロ先生が、意識不明の重態で今、病院に搬送されたわ」
校長「え・・・?」
理事長「襲ったのは、加賀美 圭よ」
校長「圭が・・・?何で そんなこと・・・!?」
・・・・・・
*病院 13:29*
羽黒「ネロさん!ネロさん!」
病院へと着き運ばれるネロに付き添っていた羽黒だったが、ネロは処置室へと入っていき、羽黒は止められてしまった。
*明陽学苑高校 体育館*
同じ頃、学苑の体育館では、警官服を着た天龍が2年4組の生徒達に付き添っていた。
楓「ネロ先生は?」
昂「大丈夫だよね?助かるんだよね?」
天龍「・・・・・・・・・」
それは、天龍も安易に大丈夫とは言えなかった。
ネロはベルゼによって悪魔の力を消され、肉体も普通の人間と同等まで弱っていた。
そこに脳動脈瘤まで見付かり、ネロの身体は疾うに限界を迎えており、そして今回の乱闘騒ぎで頭部に甚大なダメージを受けた。脳動脈瘤を含め どうなってるのか、助かる見込みがあるのか天龍にも分からず、不安なのは一緒だった。
美香「どうしよう・・・?ネロ先生が死んじゃったら・・・」
天龍「・・・・・・馬鹿野郎!!お前ら それでもネロの生徒かよ?今までネロの何 見てきたんだよ?!あいつは、お前らの担任なんだろ?お前らが信じねぇで、どうすんだよ!!」
『・・・・・・・・・』
天龍「・・・・・・・・・」
・・・・・・
*病院 15:44*
それから しばらく時間が経ち、手術中のランプが消え、中から医師が出てきた。
だが医師は神妙な顔をしており、それだけで羽黒は嫌な予感がし、胸が締め付けられるようだった。
・・・・・・
病室へと移されたネロはベッドに横になっており、頭には包帯が巻かれ、口には長い管が入れられてる痛々しい姿となっていた。
そんな彼を、羽黒は立ち尽くして見ていた。
羽黒「嫌・・・嫌です・・・ネロさん・・・死んじゃ駄目ですネロさん!!戻ってきてください!ネロさん!ネロさん・・・!」
泣きながら羽黒はネロに呼び掛け懇願するが、ネロが目を覚ます事はなかった。
*明陽学苑高校 校長室*
理事長「分かりました」
理事長は電話で病院からの連絡を受け、ネロの容態を聞いていた。
電話を切ると、校長へ振り返った。
理事長「ネロ先生は、昏睡状態だそうよ」
校長「私は知らない・・・関係ない」
理事長「しっかりしなさい!」
校長は管理システムの情報が外部に洩れた事に加え、更に息子の圭が傷害事件を起こした事で完全にパニックを起こし、冷静さを欠いていた。
もしネロが命を落とせば、傷害罪だけではなく殺人罪にもなるため、それをやったのが自分の息子となると、狼狽えるのは当然だ。
理事長「加賀美 圭の居場所を━━」
校長「知らないって言ってるでしょ!!!」
理事長「あなたの息子が起こした事なのよ!」
校長「あの子 私の子でも何でもない」
理事長「・・・何てこと言うの?」
圭「・・・・・・母さん・・・」
校長室の扉の前には圭が居て、母親の言葉を聞いてしまい、彼の中で心の闇が大きく膨れ上がった。
扉の外に息子が居る事に気付かず、校長はパニックで訳が分からなくなったまま、母親として言ってはならない言葉を続けてしまう。
校長「最初から頭のいい子だとは思わなかったけど、ここまで馬鹿だとは思わなかったわ。単純で扱いやすいと思ったけど、大きな間違いだったわ」
理事長「あなた、何てこと・・・!」
校長「これで、私が進めてきた改革も全部 台無し。それ処か、私は犯罪者の親・・・いいえ、私は親なんかじゃない。元々、血の繋がってない子よ。再婚した相手の連れ子よ。私の息子じゃない。私は関係━━」
パニックを引き起こす校長は うわ言のようにブツブツと1人で喋っていたが、その心ない言葉の数々に理事長の我慢も限界に達し、校長の顔を引っ叩いて黙らせた。
校長は顔を押さえたまま、微動だにしなくなった。
理事長「・・・何てこと言うの・・・!あの子にとっての母親は、あなたしか居ないのよ!あの子の心の傷が、分からないの・・・?!」
理事長が涙ながらに話してると、校長室の扉が開き圭が入ってきた。
圭「もういいよ・・・」
理事長と校長は圭が手に持つ物を見て、硬直した。圭の手には、手榴弾が握られていた。
なぜ圭が そんな物を持っているのか不思議に思うかもしれないが、実は圭が呼び寄せた半グレはヤクザの下請けで、そのヤクザも日本に駐屯するアメリカ軍が横流ししていた武器を買って手に入れていた。その繋がりから、回り回って圭が手に入れていた。
圭「もう何も信じない・・・全員ここで死んでもらう・・・」
*病院*
病院ではネロは目を覚まさず、羽黒は病室から離れて学苑に電話を入れ、保険医と話していた。
羽黒「・・・・・・はい・・・えっ!?加賀美君が校長室に立て籠った!?」
羽黒の声が聞こえたのか、ネロの指が微かに動いた。
*明陽学苑高校 保健室*
学苑では、爆弾騒ぎで生徒達が廊下を走って外に避難しようとしており、女性教師3人は保健室に隠れながら その様子を見ていた。
保険医「警官の格好した紫髪の人の話だと、爆弾みたいな物 持ってたって・・・」
羽黒と電話する保険医の話に、保健室のベッドで横になっていた善之は驚き飛び起きた。
*病院*
羽黒が病室に戻ると、ネロの姿が消えていた。
羽黒「・・・・・・ネロさん・・・?」
病室に風が吹き込み、羽黒は そちらを見ると、窓が開きカーテンが揺れていた。ネロは いつの間にか目を覚まし、窓から抜け出したようだ。
*明陽学苑高校 校長室*
学苑の校長室では、理事長が圭を落ち着かせ説得しようとしていた。
理事長「馬鹿な事はやめなさい」
圭「黙れ!もう終わりだ・・・お前らを道連れに死んでやる・・・!」
そう言って圭は、手榴弾のピンを抜こうと手を掛けるのだが、それを止めようと理事長が咄嗟に しがみ付き、圭は手榴弾を落とした。
圭は理事長を振り解こうとするが、理事長も負けじと しがみ付いたまま離れない。
圭「離せぇぇぇぇ!」
理事長「あなたを ここまで追い込んだのは私の責任でもあるの!だから、これ以上 罪を犯させなぁい!!やり直すの。校長先生と一緒に!私もね、まだまだ やり直しの途中なの。でも間違いに気付けたら・・・!人は気付けたら何度でも やり直せるのよ!ね!加賀美君!だから・・・死んでは駄目ぇ!!生きて、やり直すの!」
圭「・・・・・・だぁまれぇー!」
結局 理事長は引き剥がされ、圭に突き飛ばされ倒れてしまった。
その隙に圭は床に落ちた手榴弾を拾い、ピンを抜くと投げた。
その瞬間、エンジン音と共にバイクが窓ガラスを突き破り、乗っていた者が手榴弾を掴み、更に窓の外へと放り投げた。
手榴弾は校舎の外で爆発し、漂う煙の中から現れたのは、キャバリエーレから降りたネロだった。
ネロ「死んでも何も始まんねぇぞ、加賀美」
この土壇場でもネロの邪魔が入り、圭は驚き目を見開いていた。
理事長「ネロ先生・・・」
ネロ「よう、校長」
ネロは圭の前を通り過ぎ、校長の前へと立った。
ネロ「何が理想の教育だ。
校長「・・・・・・・・・」
ネロ「見てみろよ、加賀美の顔。笑ってるか?泣いてんじゃねぇかバカ野郎!!泣きながら母ちゃん母ちゃんって叫んでんじゃねぇか!!何でテメェの その手で抱き締めてやらねぇんだよ?!学校の評判とか偏差値とか、テメェの目で見える物ばかりで判断しねぇで、子供の心を見ろよ!!頭で考える前になぁ、テメェの精一杯の愛で ぶつかれよ!!」
校長「・・・・・・・・・」
ネロ「子供に その愛を教えてやれるのは、母親のアンタしか居ねぇんだぞ。親子が寄り添う時間になぁ、ムダなんて これっぽっちもねぇんだよ!!」
圭が本当に心に抱えていた事をネロが代弁し、圭は その場で泣き崩れた。
彼も、2年4組の生徒達と同じで、声に出せない助けを求める1人だったのだ。
?『(ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!!)』
同時に、圭に取り憑いていた邪悪な意思も、誰にも気付かれず彼の中から消滅して消え去った。
校長「・・・・・・圭・・・」
すると校長室の扉が開き、羽黒に肩を貸してもらいながら善之が入ってきた。
善之「母さん」
校長「善之・・・」
善之「俺、やり直すよ。自分の道を、自分で見付けるから・・・笑えるように。だから母さんも、今度 会う時は、笑えるようになってくれよ。これ以上 窮屈は ごめんだ」
そして善之は、床に泣き崩れてる圭を1度 見ると、再び校長に顔を向けた。
善之「こいつのこと、頼んだよ」
校長は涙を流しながら頷き、何度も何度も謝罪の言葉を口にした。
それを聞いて善之は優しい笑みを浮かべ、彼の その顔を見たネロも また、笑みを浮かべた。
そして羽黒と理事長も泣きそうになりながら笑みを浮かべていたのだが、理事長はハッとしてネロに顔を向けた。
理事長「ネロ先生、あなた病院で、昏睡状態だったって」
それを言われたネロは、勝ち誇ったように笑みを浮かべると・・・
ネロ「多くのダチに守ってもらった命、そう簡単に あの世に持っていけねぇよ」
理事長に拳を突き出した。
そして理事長は安心したように笑い、ネロとグータッチを交わすのだった。
・・・・・・
*校門 16:47*
善之と圭の心も救い、ネロは病院に戻るために帰ろうとしてトボトボと歩いていると、校門に2人分の人影が立っていた。ネロが顔を上げると、そこに居たのは不機嫌顔の摩耶と、泣いてる天龍が居た。
摩耶「テメェはダチ心配させる天才だな」
ネロ「悪いな・・・けど ちゃんと守ってきたぜ」
天龍「ネェーロォ~!もうダメかと思った・・・」
ネロ「頭に響くじゃねぇかよ」
天龍「だよなー」
『ネロー!』
沢山の声がし振り返ると、そこには2年4組の生徒達が居て、反対側には教師達も居た。彼らは、学苑を救ったネロを見送るために来ていた。
生徒達は泣きそうになりながらも、頑張って笑みを作っており、それを見てネロも笑みを浮かべた。
ネロ「いいツラしてんじゃねぇか!いいか、お前ら。ダチと目一杯 笑って、泣いて怒ってケンカして、
ネロの言葉に応えるように、2年4組、総勢33名の生徒達は、ネロに向かって拳を突き出した。
そしてネロも拳を突き出し、気持ちでグータッチ。
ネロ「すぐ戻ってくるからよぉ、バックレるんじゃねぇぞ」
そしてネロは、羽黒と生徒達、教師達に見送られる中、摩耶と天龍に肩を貸してもらい、行ってしまうのだった。
楓「楽しみですね、羽黒先生」
羽黒「えっ?」
楓「ネロ先生が帰ってくるの」
羽黒「あぁ・・・うん。そうね。(魔の気配ってのが探れてないままだから、早く帰ってきてもらわないと困るし・・・)」
潤羽「羽黒先生には負けないから」
羽黒「・・・・・・えっ?何を言ってるの潤羽さん?」
最初は よく分からなかったが、羽黒はピンと来て その意味を理解し、頗る焦った。
羽黒「ダメダメダメダメダメ!!ネロ先生には、キリエさんっていう素敵な奥さんが居るから、絶対に好きになっちゃダメ!」
潤羽「ふ~ん。(じゃあ その人から奪っちゃえばいいのか)」
IQ200の天才少女は、略奪愛の作戦を脳内で練り始めた。
巧「あれ?じゃあ羽黒ちゃんフリーじゃん!」
羽黒「私フリーじゃないから お断りするね」
巧「えっ!?彼氏 居んの!?」
晶人「マジか」
美香「これは詳しく話を聞かないとね」
『ねー?』
羽黒「もう!先生を からかわないの!」
羽黒と生徒達が騒がしくする横で、理事長と教師達も話していた。
理事長「ネロ先生が、身体を張って教えてくれたこと、私達も無駄にはできませんね。よろしく お願いしますね、校長」
理事長は教頭に向かって“校長”と呼び、教頭は一瞬 唖然としたが、すぐに理解して笑みを浮かべると、力強く返事をした。
『ネロー!』
生徒達はネロの名を呼びながら手を振り、ネロは その声を背で受け止めながら、笑っていた。
・・・・・・
紆余曲折はあったが、今年の文化祭も終わり、ある程度の片付けも終わった頃だった。突如として鐘の音が大きく鳴り響いた。
明陽学苑や その周囲には、大きな音を響かせるような鐘は存在せず、学苑に残っていた者達は不思議そうにしながら鐘の音を聴いていた。
すると突然、明陽学苑の校舎が、青白い光の結界に包まれてしまった。
生徒達の心は救えたが、これで終わった訳ではなかった。魔の気配の復活が、始まろうとしていた。
次回も宜しく お願い致します!