Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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489話です!どうぞ!


Mission489 真七騎士~囚われた少女の魂~

明陽(めいよう)学苑にて突如として鐘の音が鳴り響き、校舎が青白い結界に包まれる。

その避難の途中、羽黒の目の前で2年4組の生徒達が忽然と消えてしまう。

生徒達は気が付くと、石造りの遺跡のような場所に居た。

学苑では羽黒の要請により、Devil May Cry鎮守府の面々が駆け付けるのだが、結界を打ち破る事はできず、結界を解く方法も見付からなかった。

そこに学苑の異変を知ったネロが現れ、彼だけは結界の中に入れた。

アーロンの推測で2年4組の関係者だけが結界の中に入れると気付き、羽黒も結界の中へと入る事ができ、ネロと共に生徒達を救出に向かうのだった。

一方 遺跡へと飛ばされた生徒達は そこで、楓の親友であり、自ら命を絶った、変わり果てた姿の奈南(なな)と再会した。

その奈南の腹には、アーロンが魔の気配と言っていた正体である悪魔が蠢いていた。

そして校舎の図書室で転移陣を見付けたネロと羽黒も遺跡へと飛ぶのだが、そこで消えた生徒達の悲鳴が聞こえる。

ネロと羽黒は生徒達を救おうと急ぐが、2人の前に有象無象の悪魔が現れ立ち塞がるのだった。

 

 

*??? 10月15日 21:57*

 

ネロと羽黒は協力して、現れた悪魔を倒し進んでいたのだが、また悪魔が現れ足を止めた。

次に現れた悪魔は剣の形をしており、宙に浮いていた。

剣の悪魔は回転し、複雑な軌道を描きながら飛んでくる。

ネロと羽黒は紙一重で避けるが、ギリギリで避けたため羽黒は冷や汗を掻く。

ネロがブルーローズを撃つと、剣の悪魔が一瞬だけ動きを止めた。

 

ネロ「羽黒、俺が動きを止める!その隙を狙ってくれ!」

 

羽黒「はい!」

 

再び飛んでくる剣の悪魔を避けると、振り向き様にネロがブルーローズの弾丸を命中させて動きを止め、間髪入れずに羽黒が砲撃する。すると、剣の悪魔が呆気なく砕け散った。

その後も同じ方法で、現れていた悪魔を次々と破壊していった。

 

 

・・・・・・

 

有象無象の悪魔を倒し再び進んでいたネロと羽黒だったが、今度は首なしの鎧の姿をした悪魔が現れた。

鎧の中はからっぽなのだが、悪魔が取り憑き鎧を動かしていた。

ネロがブルーローズを撃ち、羽黒が砲撃するが、剣の悪魔と違い こちらは1発では倒せなかった。

 

ネロ「固いな・・・!」

 

すると鎧の悪魔は、手に持つ剣から青い斬撃を飛ばし、羽黒を狙う。

 

羽黒「っ・・・!」

 

ネロ「羽黒!」

 

ネロが羽黒を突き飛ばすと、斬撃は2人の横スレスレを通り過ぎた。

 

羽黒「あんなの飛ばしてくるなんて・・・!?」

 

ネロ「兎に角 立て!次が来るぞ!」

 

鎧の悪魔が剣を床に突き立てると、衝撃波が五又に分かれるように床を這って迫ってきた。ネロと羽黒は衝撃波の間に滑り込み、どうにか遣り過ごした。

 

ネロ「俺が注意を逸らすから、羽黒は砲撃を頼む!」

 

羽黒「そんな、危ないですよ!」

 

ネロ「艤装 着けた羽黒より、俺の方が早く動ける!頼むぞ!」

 

羽黒「ネロさん!」

 

ネロはブルーローズを撃ちながら駆け出し、鎧の悪魔の近くまで行き囮となる。

このままではネロが危ないため、羽黒は仕方なく従い、遠距離での砲撃に移った。

 

 

*明陽学苑高校 校門*

 

その頃 学苑では、ネロと羽黒、そして生徒達の無事を祈りながら、ダンテ達が結界の前に佇んでいた。

そこに1台の車が到着すると、明石が降りてきた。

 

明石「アーロンさん、ワクチン完成しました!」

 

アーロン「おおっ!よくやった!思ったよりも早かったね」

 

明石「仕上げは それほど難しくなかったので、私でも どうにかなりました」

 

アーロン「微妙な匙加減が必要な部分は全て私がやっておいたからね。残りは君でもできると思っていたよ」

 

明石「学校に持ってこいって話でしたけど、ネロさんは?」

 

加賀「ワクチンを待たずに中に入ってしまったわ」

 

明石「じゃあ すぐに届けないと!」

 

長門「無理だ。我々は この結界に入れないんだ」

 

明石「そんな!?じゃあワクチンどうしたらいいんですか?折角 持ってきたのに・・・」

 

ワクチンさえ打てれば、ネロは失った悪魔の力を取り戻し、弱った肉体も元に戻る。しかし、そのワクチンを届ける手立てがなかった。

すると、理事長が前に出た。

 

理事長「では、私が行きます」

 

教頭「理事長!?」

 

利根「駄目である!民間人を危険の中に送り出す訳にはいかん!」

 

理事長「ですが、この中に入れるのは2年4組の関係者だけなのですよね?私も関係者の1人ですから、私が行きます」

 

利根「しかし・・・」

 

艦娘達は そんな事はさせたくなかったが、理事長が言う通り それしか今は方法がなく、判断に悩んだ。

その横では、ダンテが深く息を吐き出し難しい顔をしていた。

そしてDevil May Cry鎮守府の面々は悩んだ末、理事長の強い申し出もあり、彼女に任せるしかなかった。

しかし、ワクチンを手に理事長が結界に近付くと、彼女も弾き飛ばされてしまった。

球磨と多摩が慌てて駆け出し、地面に落下していく理事長を寸でのところで受け止めた。

 

球磨「大丈夫かクマ!?」

 

多摩「怪我はないにゃ!?」

 

理事長「は、はい・・・けど、どうして・・・」

 

叢雲「アーロン解説!」

 

アーロン「・・・・・・関係者と言っても、2年4組の生徒と強く繋がりを持ってる者しか入れないのかもしれない」

 

阿賀野「じゃあ、現状ではネロと羽黒さんしか入れないってこと?」

 

アーロン「・・・恐らく」

 

ビスマルク「どうしろってのよ!」

 

完全にワクチンを届ける手立てがなくなり、艦娘達は悔しそうに息を吐き出した。

すると そこに・・・

 

ジャック「おーい!!」

 

漣「ジャック!?」

 

曙「また出た・・・」

 

ハッピーサーカスの団長であり、マフィアのボスでもあるピエロのジャックが、自転車に乗りながら現れた。

 

ジャック「皆さん こんばんは!」

 

漣「ジャック何しに来たのぉ?」

 

ジャック「おお!漣ちゃん!何か、ここで、あの・・・文化祭があるって聞いて。文化祭まだやってるか?」

 

朧「文化祭なら もう終わってますよ」

 

ジャック「おお!子供!えっ、終わったの?終わったのか!?」

 

酒匂「ちょっと今 構ってられないから帰ってよ!」

 

ジャック「ど、どうした!?何があった!?ち、力になるぞ!」

 

天龍「無理だ、お前じゃ役に立たねぇよ。もういいから帰れよ!」

 

ジャック「く、球磨、教えてくれ!」

 

すると球磨は、詳細に且つ簡潔に、ジャックに全て話してしまった。

 

摩耶「言うな言うな言うな!お前なんで言うんだよ?!」

 

ジャックに話せば、必ず首を突っ込もうとするので、ジャックに帰ってほしいと思ってる艦娘達は嘆いて天を仰ぎ見た。

 

ジャック「お?入れないのか?ここ入れないの?なら私が試してみよう。ジャック隊員、行って参ります」

 

ジャックは皆に敬礼するのだが、皆は どうせ無理と分かっているため、やるなら さっさと行けと呆れながらジャックから顔を逸らした。

 

摩耶「あいつも吹き飛ぶぞ」

 

天龍「あぁ、あいつも吹き飛ぶな」

 

摩耶と天龍はジャックも弾かれ痛い目に遭うのを楽しみにし、そんな中ジャックは、歩いて結界の方に向かっていく。すると どういう訳か、彼は普通に結界の中に入れてしまった。

それを見て、艦娘達は仰天した。

 

ジャック「お?何が入れないだ。何が入れない・・・冷やかしなら帰ってくれ!!」

 

飛龍「いや冷やかしてない冷やかしてない」

 

漣「何でジャック入れるのぉ!?」

 

アーロン「(この男、いったい何者なんだ・・・!?)」

 

普通に考えれば有り得ない事に、アーロンはジャックに対して警戒心を抱いた。

 

天龍「まさか入れるようになったのか!?」

 

天龍は自分も入れるかもしれないと思い、結界に向かって突撃していくのだが、何故か天龍は結界に弾き飛ばされた。

 

ジャック「な、何やってんだ天龍?何やってんだ?ふざけてんのか お前は?!」

 

天龍「ふざけてるの お前の方だろ!何で お前は入れるんだよ?!」

 

ジャック「そりゃ、君、お前、あれだよ。私はマジシャンだから。アッハハ!」

 

青葉「マジシャン絶対 関係ない・・・」

 

曙「何なのよ こいつ・・・?」

 

ジャック「何って子供、パパだよ」

 

曙「うっさい!私は あんたの子供じゃないっての!」

 

ジャック「ハハッ!いい娘だ」

 

曙「うっざ~・・・」

 

加賀「提督、もしかしたら・・・」

 

ダンテ「はぁ・・・こいつに頼んでみるかぁ?」

 

ジャックが結界の中に入れてしまうなら、彼にワクチンを届けてもらうしかなさそうだ。

それに道中で何かあったとしても、ジャックなら死んでも別に構わない。理事長に行かせるより余程マシだ。

一先ず結界の中から出てきたジャックに、ネロの元へワクチンを届けるよう頼むと、ニコがバンからケースを引き摺ってきて それも渡した。それは、レッドクイーンが入ったケースだった。

ワクチンを受け取り、レッドクイーンが入ったケースを自転車の荷台に載せたジャックは、皆の方に振り返り再び敬礼する。

 

ジャック「ジャック隊員、マイフレンズを助けに行って参ります!」

 

『早く行け!』

 

ジャック「あぅ・・・」

 

一々 余計な動作をしないと行動に移さないジャックに艦娘達はイライラし、ジャックは悲しい気持ちで、自転車に乗って結界の中へ消えていくのだった。

 

 

*校舎*

 

ジャック「マイフレンズ!マイフレンズどこだ?!マイフレンズ!マイフレ━━」

 

ネロを探して校舎の中を自転車で走り回っていたジャックだったのだが、自転車に乗ったまま階段を上がろうとして転倒してしまった。

 

ジャック「イッタァイ!アァッ・・・!また両目やっちゃったよ・・・。マイフレンズどこだ?痛い・・・」

 

 

・・・・・・

 

*??? 22:43*

 

転移陣を見付け遺跡のような場所に移動したジャックは、そこでも自転車に乗ってネロを探していた。

すると、ジャックの前に有象無象の悪魔が現れた。

 

ジャック「何だ お前?!何だ お前?!何だ お前?!」

 

ジャックは悪魔を見た瞬間 自転車から降りると、日本に密入国した時に持ってきた銃火器を取り出し、キレながら悪魔と戦い始めるのだった。

 

 

・・・・・・

 

2年4組の生徒達は、青白く光り巨大な姿の、変わり果てた奈南を見て理解が追い付かず、硬直していたのだが、奈南の方からも何のアクションも起こさなかったため、何事もなく時間だけが経過して無事だった。

すると奈南の腹に居る黒い球体の悪魔の1つ目がギョロギョロと動き、奈南を見上げるように上を向いた。

すると奈南は、泣きながら何かを拒絶するような素振りを見せるのだが、悪魔の1つ目が赤く光ると、奈南は苦しみながら悲鳴を上げ、生徒達は また耳を塞いだ。

すると奈南は、泣きながら生徒達に手を伸ばしてきた。

生徒達はギョッとしながらも動けずにいると、轟音と共に壁が吹き飛び、更に銃弾が奈南の手に命中し、奈南は その痛みに手を引っ込めた。

生徒達は不安になりながら砂埃が舞う場所を見てると、砂埃の中からネロと羽黒が現れ、生徒達は驚いた。

 

『ネロ!?/先生!?』

 

ネロ「やっと見付けたぜ」

 

羽黒「皆、大丈夫!?」

 

巧(たくみ)「羽黒ちゃん、その背中の・・・」

 

羽黒「皆には黙ってたけど、私、艦娘なの」

 

晶人(あきと)「羽黒ちゃんが、艦娘・・・?」

 

ネロ「来るぞ!」

 

奈南の腹に居る悪魔の1つ目が再び赤く光ると、奈南は苦しみ悲鳴を上げながら、ネロと羽黒に手を叩き付けようとしてくる。

ネロと羽黒は駆け出し避けると、羽黒が前に出て砲撃し、ネロは生徒達に駆け寄りブルーローズを撃つ。

ただ、生徒達はブルーローズの銃声に驚き後退った。

 

輝男(てるお)「お前なんで銃なんか持ってんだよ!?」

 

ネロ「え?ああ、俺も お前らに話してなかったけど、俺デビルハンターなんだ」

 

美香(みか)「先生が、デビルハンター・・・?」

 

ネロ「内緒にしてて悪かったな」

 

ネロが再びブルーローズを撃ち、その銃声に生徒達は また耳を塞いだのだが、楓(かえで)が撃たせまいとネロの腕に しがみ付いた。

 

ネロ「楓、何やってるんだ!?危ないぞ!」

 

楓「先生 撃たないで!あれは奈南なの!奈南を撃たないで!」

 

ネロ「奈南・・・?」

 

ネロは まさかと思い、青白く光る巨人を見上げると、その顔は確かに、写真で確認した事がある奈南の顔だった。

楓は撃つなと言うが、向こうは待ってくれなかった。悪魔の1つ目が光り奈南が苦しむと、ネロ達に向かって手を叩き付けてきたのだ。

 

ネロ「みんな走れ!」

 

ネロは生徒達を連れて走り、羽黒も反対方向へ走り大きな手から逃げる。

どうして死んだはずの奈南が変わり果てた姿で ここに居るのか不明だが、それでも生徒達を護るには、今は危害を加えてくる奈南に攻撃するしかなかった。

 

ネロ「危ないから下がってろ!」

 

ネロと羽黒は奈南に向かって再び撃ち、奈南は泣きながら怯んだ。

 

楓「やめてぇ!!奈南を撃たないで!!」

 

楓はネロを止めようと前に出ようとするのだが、他の生徒達が楓を止めた。

 

楓「放して!あれは奈南なの!奈南なのに!」

 

輝男「馬鹿野郎!近付いたら危ねぇぞ!」

 

楓「だって奈南が!」

 

潤羽(うるは)「楓!今は先生に任せよ!きっと先生が どうにかしてくれる!」

 

楓「・・・・・・・・・」

 

ネロと羽黒の攻撃に奈南が怯むと、彼女の腹に居る悪魔の1つ目がギョロギョロと動き、ネロと羽黒を見下ろした。

悪魔と目が合い、ネロは その悪魔が、アーロンの言っていた魔の気配の正体であると気付いた。

 

ネロ「お前が生徒達(こいつら)を ここに引き込んだ悪魔か」

 

すると悪魔は、奈南と入れ替わるように奈南を取り込み、自ら外に出てきた。

 

悪魔『邪魔しないでよ。僕は産まれるんだから』

 

ネロ「産まれる?なに言ってんだ?」

 

それに答える事なく、黒い球体の悪魔の外縁部にある触手が伸び、ネロと羽黒に振り下ろしてくる。

ネロと羽黒は回避行動を取ったが、触手が床を叩いた事によって発生した衝撃波に巻き込まれ、吹き飛ばされてしまった。

 

杏子(あんず)「先生!」

 

昂(のぼる)「先生!」

 

晶人「無理だ・・・あんなのに勝てる訳がない・・・」

 

ネロと羽黒は痛みに顔を しかめながら身体を起こすのだが・・・

 

ジャック「居たぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!ネ゛ロ゛ォ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛オ゛!!!!やったぁ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛!!!!」

 

そこにネロを見付けて大喜びするジャックが、自転車に乗って現れた。

 

ネロ「ジャック・・・?」

 

羽黒「どうして ここに!?」

 

ジャック「おおっ!何だ こいつ!?」

 

ジャックは悪魔を見ると驚き、急ブレーキを掛けて止まった。

 

ネロ「ジャック、どうして お前が ここに居るんだ!?」

 

ジャック「マイフレンズ!お前、君、君を探してたんだ!皆から た、頼まれた!ワ、ワクチン届けろって!ワクチンだ!君に届けろって!」

 

ネロ「ワクチン・・・?ジャック、それを渡してくれ!」

 

ジャック「いま行くぞ!いま行くぞマイフレンズ!待ってろ!」

 

ジャックは自転車を降りて、ワクチンの注射器を掲げながらネロに向かって走るのだが、悪魔が伸ばした触手に殴り飛ばされ、彼は壁に激突して床に落ちた。

殴り飛ばされた時に、手からワクチンが離れ床に転がった。

 

ジャック「ア゛ア゛ア゛ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!痛ぁい・・・アァッ・・・!」

 

ネロ「ジャック!」

 

楓「っ・・・!」

 

『楓!』

 

楓は突然 駆け出すと、ワクチンを拾いネロに向かって走る。

楓はワクチンの注射器が今のネロに必要なのだと気付き、考えるよりも先に身体が動いていた。

 

ネロ「よせ、楓!下がれ!!」

 

悪魔は楓を狙って触手を床に叩き付けると、それによって発生した衝撃波で楓が吹き飛ばされてしまった。

その拍子に、彼女の手から離れた注射器が床に落ち、割れてワクチンが流れ出てしまった。もう、ネロの身体にワクチンを打つ事はできない。

楓は痛む身体を起こすのだが、更に最悪な事に、彼女に悪魔の触手が迫っていた。

 

ネロ「楓ー!!」

 

ネロは楓を助けるため立ち上がり、彼女に向かって駆け出す。しかし、ネロは間に合いそうになかった。

もう駄目だと誰もが思った瞬間、全ての時間が止まり、時間に取り残されたネロだけが動いていた。

突然の事に、ネロは狼狽え周囲を見渡す。羽黒も、ジャックも、生徒達も、悪魔の触手も、自分以外は何もかも止まっていた。

すると突然、宙に青い炎が燃え上がり、それは巨大な人の姿を形作ってネロの前に現れ、顔はフルフェイスのマスクでもしてるように判別ができなかった。

 

?『ネロ』

 

ネロ「誰だ お前?どうして俺の名を知ってる?」

 

?『俺は お前を知ってる』

 

ネロ「誰なんだ?!」

 

ベルゼ?『我が名は“ベルゼ”』

 

ネロ「ベルゼ!?ベルゼだと?!どうして お前が、ダンテのクローンと同じ名を持ってる?!」

 

ベルゼ?『あれはルキフェルス王子が、自然の理に反した あの男を七騎士に迎え入れるために、我が名と役目を意味もなく継承させたに過ぎない』

 

ネロ「・・・・・・つまり・・・アンタは七騎士で、本物のベルゼだって言いたいのか?」

 

ベルゼ?『そうだ』

 

ネロ「・・・それで、こんな時に俺に何の用だ?」

 

真ベルゼ『お前は知る必要がある。あの悪魔が何なのか、なぜ死せる少女の魂が悪魔に囚われたのか』

 

ネロ「・・・・・・・・・」

 

真ベルゼ『3000万年前━━』

 

そこから本来の七騎士の1人である真のベルゼが語るのは、3000万年前まで遡る。

3000万年前、突如として巨大な黒い球体の悪魔が現れた。

その悪魔は生まれながらに強大な力を持ち、自分の力を試すかのように次々と村や都市を滅亡に追いやった。

そこで その悪魔を討伐するために立ち上がったのが、当時の運命の巫女と真ベルゼだった。

しかし、運命の巫女と真ベルゼが協力し合っても、生まれながらに強大な力を持っていた悪魔との戦いは熾烈を極め、3ヶ月もの間 続いた。

 

真ベルゼ『それでも奴は未熟児のような状態で、不完全な形で この世に生まれ落ちた存在だった』

 

そのせいか、悪魔は複雑な策を講じる知能も まだ持ち合わせていなかったため、運命の巫女と真ベルゼは、逆に奇策を用いて悪魔の封印に成功した。

 

真ベルゼ『そして奴は、3000万年もの時の中で力を蓄え、地上の人間界へと干渉を始めた』

 

悪魔は楓の親友である奈南が死に、それを受け入れられなかった2年4組の生徒達が利用できると考え、彼らに干渉を始めた。

悪魔は無から魔術書を生み出し、図書室に居る楓の元に落とした。

何かが落ちた音に気が付いた楓は魔術書を拾い、中を見ると楓でも読める文字で書かれていた。

そこには死せる魂を呼び戻し、甦らせる儀式の方法が書かれていたが、それは偽りであった。

 

真ベルゼ『悪魔の目的は、胎児となる己を完全なる形で産み落とす、母体となる器の魂を捕らえる事だった』

 

そうとも知らず、2年4組の生徒達は物は試しと、魔術書に書かれた儀式を行ってしまった。

だが奈南は甦らず、儀式は失敗に終わり、生徒達も眉唾だと思い忘れる事にした。

しかし、厳密には失敗したのではなく、中途半端に成就してしまっていたのだ。悪魔が望んだ形とは少し違うため、失敗は失敗だったのだが、奈南の魂を呼び戻し、悪魔が彼女の魂を母体とするところまでは成功していた。

だが、奈南の魂を母体とした事で、悪魔と2年4組の生徒達との間に奇妙な繋がりができてしまい、それが楔となり悪魔の復活を遅らせていた。

悪魔との繋がりができてしまった事で、生徒達が抱える心の闇が膨れ上がり、奈南を喪った悲しみを増幅させ、担任外しという過激な行動を取るように悪影響を与えていた。それは2年4組に編入した加賀美 圭(かがみ けい)にも例外なく影響を与えた。

繋がりを断つには生徒達の心に巣食う闇を払い救う必要があり、ネロがしてきたのは間違いではなかったのだが、その繋がりを断つという事は同時に、悪魔を楔から解き放ち、復活に近付ける事にもなった。つまりネロは、生徒達を救うためとはいえ、図らずとも悪魔の復活に手を貸していた事になるのだ。

 

ネロ「・・・・・・・・・」

 

真ベルゼ『これより、ベルセルクの審議を始める』

 

ネロ「は?ベルセルクの審議って何だ?!」

 

真ベルゼ『お前が力を持つに相応しいか、資格を示せ』




ジャックが結界の中に入れたり、本物のベルゼを名乗る者が現れたりと、謎ばかり増えていきますが、いつか しっかりとした形で明かしていきたいなと思っております。

話は変わりますが、投稿も500回を超え、このシリーズ自体も5年が経ち、6年目に入りました!
完結までの道筋は既に、私の頭の中で出来上がっておりますので、もう しばらく お付き合いいただけたら幸いです。

次回も宜しく お願い致します!
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