本筋の話に行く前に、今回は短編 詰め合わせとなります。どうぞ!
『すまん』
ある日ダンテは、便利屋としての仕事で動いてる鈴谷から、矢鱈しつこく電話を掛けられていた。
その日 鈴谷は、人手が足りなくなったというメイド喫茶から助っ人を頼まれ働いており、電話もメイド服を着た自分を見に来いというものだった。
ダンテとしては何が何でも行きたくなかったのだが、鳳翔に隠してる事をバラすと脅され、仕方なく行く事にはしたが、1人で行くのは絶対に嫌なので、ネロとバージルを道連れにする事にした。
2人を伴ってメイド喫茶がある場所に着いたのだが、そこで問題が発生した。店の窓から、先客で長門が来ていて はしゃいでるのが見えたのだ。
このまま中に入れば長門に見付かり、その後 彼女はダンテ達がメイド喫茶に来ていたと吹聴し、一生 艦娘達からネタにされる恐れがある。
ネロ「どうするんだよ?」
ダンテ「どうするって・・・」
バージル「帰るぞ」
ダンテ「待て待て待て!ここで帰ったら俺が鳳翔に死刑宣告される事になる!」
バージル「知るか。ここに来てる事を知られて恥を掻くぐらいなら帰った方がマシだ」
ネロ「んじゃ帰る?」
ダンテ「だから待てって。俺が いい方法を思い付いた」
一方、メイド喫茶でメイドと はしゃぐ長門だったが、スマホに着信が入り、彼女は面倒臭そうにスマホを取り出すと、画面には非通知で表示されていた。
長門「ちょちょ、電話 来ちゃった。ちょっと待っててくれ」
メイド「はいはーい☆」
長門「あーもしもし?長門だけど?」
?『すいません』
電話の相手は裏声で喋っており、長門には正体が判別できなかったが、一通り話は聞いてやる事にした。
長門「あぁ、何だ?」
?『北の方で誘拐されそうになってるんですけど、助けてください』
長門「あーどこでだ?」
?『えっと、北の方でなんですけど』
長門「あぁ。誘拐?」
?『足立区くらいなんですけど』
長門「あっ、足立区か!ごめん遠いわ、すまんな!」
?『くっ・・・!』
長門「すまん、悪い、死んでくれ、ありがとな、またな!」
誘拐されそうと言われてるのに、長門は助けようともせず、メイド喫茶を楽しむために一方的に通話を切った。
長門「よし終わった、次!」
一方メイド喫茶の外に居たダンテは、手で顔を覆いながら作戦が失敗した事を嘆き、ネロはスマホ片手に店を見ながら遠い目をし、バージルは白けた顔をしていた。
ダンテの作戦としては、嘘で長門を誘き出し、メイド喫茶から離れた隙に自分達が中に入ろうとしていたのだが、まさか過ぎる理由で断られ大失敗に終わった。
その後ダンテ達は、長門が中々 帰らないせいで しばらくの間、遠巻きから働く鈴谷を見守る事になるのだった。
・・・・・・
『お姫様』
Devil May Cry鎮守府の面々が、オリーブ財団でハロウィンを楽しんでる一方で、鎮守府に残っていた非番の憲兵隊もハロウィンを楽しんでいた。
そんな中で、茶色の全身タイツに馬のマスクで仮装した憲兵1号が敷地内を歩いていると、どこからか言い争う声が聞こえてきた。
そちらの方に行ってみると、ヒラヒラのピンクのドレスを着た3号と、オーバーオールに赤い帽子の48号が、正面ゲートで言い争っていた。
3号「姫扱いしてください、姫扱いしてください!」
48号「3号やんけ。お前ただの3号やんけ」
3号「ピ◯チ姫です!姫扱いしてください!」
48号「お前が姫なわけ━━」
3号「姫扱いしろ!!」
48号「お前おっさんやんけ。おっさんやんけ!」
3号「姫扱いしてください、ピ◯チ姫」
48号「おっさんやんけ お前」
3号「ちゃんと見ろ。ピ◯チ姫なの」
48号「姫な訳ないやろ、お前なにしとんねん!」
3号「姫扱いしろって言ってんだよ」
48号「お前は姫じゃねーだろって」
3号「見えねぇのか?ピ◯チ姫なんだよ俺は!」
48号「鏡 見ろ!あそこに窓あるから鏡 見ろ!」
3号「ピ◯チ姫なの」
48号「“なの”やめろ」
3号「ピ◯チ姫なんだよ どっから どう見ても」
48号「んな訳ねーだろ!」
どうでもいい言い合いを聞いて1号は笑いを堪えながら見守っていると、3号が徐ろにスカートを たくし上げ、48号に尻を突き出しながら履いてるパンツを見せる。
3号「ケツの姫 見ろ。何て書いてあるのケツに?!ケツに何て書いてあるの?!」
48号「“ピ◯チ姫”って書いてある」
3号「姫じゃん!ピ◯チ姫なんだよ」
48号「な訳ねーだろ!」
3号「やめろ!」
48号「な訳ねーだろ」
3号「姫扱いしろ!姫扱いしろ!」
48号「お前が やめろ その格好」
3号「姫扱いしろ!」
48号「お前が やめろ!」
3号「レディーファースト!」
48号「お前は おっさん!」
3号「レディーファーストしろ!」
48号「レディーじゃない!」
3号「エスコートしろ!エスコートしろ」
48号「お前は姫じゃない」
3号「ピ◯チ姫なんだよ」
48号「な訳ない」
3号「ピ◯チ姫なの!」
48号「現実 見ろ!」
言い争う3号と48号だったが、遠巻きに見ていた1号に気付くと一斉に近寄ってきた。1号からすれば、変な人達に近寄ってきてほしくない。
3号「カツラどこに売ってるか知ってる?誰これ?1号やん」
馬のマスクで誰か判らず近寄っていたが、1号の笑い声で彼だと気付く3号と48号。
48号「1号なんか言ってやってくれよ こいつに」
3号「これ いいでしょ!」
1号「え、(服は)可愛い!」
3号「もう目の前で見してあげる、ピ◯チ姫。ピ◯チ姫ほら」
そう言って、3号は48号にしていたように、スカートを たくし上げて履いてるパンツを見せてあげる。そこには、確かに“ピ◯チ姫”と書かれていた。
ただ、1号はパンツではない部分を見て笑わずにはいられなかった。
1号「ふ、太もも・・・」
48号「現実 見ろ。姫な訳ない」
1号「太ももの裏・・・」
3号「ピ◯チ姫」
1号「太ももの裏ヤバい」
3号「ふっはっはっはっはっはっはっ!」
1号「太ももの裏ヤバい!」
思った以上に、太ももの裏が汚かった。
・・・・・・
『威を借る兎』
ある日 卯月は誰かに構ってほしくなり、憲兵隊の所に言って お喋りしていた。
卯月「こう見えて うーちゃんは、戦闘経験の歴は長いぴょん」
22号「歴が長いだけ」
22号の辛辣な返しに、そんな返しをされるとは予想だにしていなかった卯月は、思わず笑ってしまった。
卯月「嫌だぴょん。歴が長いだけって・・・恥ずかしいぴょん・・・」
13号「敵を湧かせない努力は?」
更に追い詰めるような事を言われ、困った卯月は冷や汗を掻きながら呼吸が乱れてしまう。
卯月「艦隊戦にはスリルが付きものだから、分かるぴょん?」
3号「ああ言えば こう言う」
さっきから舐めた態度を取る憲兵隊に、卯月は激怒しそうなのを堪え、落ち着いた態度を見せようとする。
卯月「何だぴょん?やんのかぴょん?」
因みに憲兵隊が卯月に こんな態度を取るのは、これまで彼女がしてきた悪戯が原因でもあった。だから他の艦娘を相手にする時とは違い、尊敬などの気持ちはない。ただのクソガキだと思っている。
卯月「うーちゃん憲兵隊と喧嘩したらさぁ、どっちが強いぴょん?皆って力 強いぴょん?」
14号「ワンパンだわ」
まさか過ぎる回答に、卯月は笑いそうになるのを必死に堪える。
卯月「・・・・・・こわ・・・。うーちゃんに暴力 振れるぴょん?」
24号「振れるよ」
卯月「あれ・・・?」
卯月自身、流石に女子である自分に暴力を振るう訳がないと思い、挑発的な笑みで訊いてみたのだが、思ってた回答と違って ちょっと焦る。
38号「全然 顔面 行ける」
卯月「最低!クズだぴょん!クズ男!うーちゃんの・・・顔面に、行けるってマジで それ、許せねぇぴょん!戦争だぴょん、こんなの!うちのバックには提督とネロとバージル居るけど大丈夫ぴょん?」
『すみませんでした』
卯月がダンテとネロ、バージルの威を借る事で、憲兵隊が全員 土下座した。
・・・・・・
『上下』
鎮守府で那珂のライブが行われ、最後に憲兵隊から、那珂に日頃の感謝を伝えるため、憲兵39号が手紙を持って前に出た。
39号「普段は先輩ファンの影に隠れてるけど、今日だけは堂々と言わせてくれ。那珂ちゃん大好きー!」
那珂「わぁ〜!那珂ちゃんも大好き〜!ありがとー!全然もう、先輩ファンとか遠慮しなくていいんだから。ファンクラブはね、ファンクラブなんだから、そんなカーストとかある訳じゃないんだから」
すると憲兵47号が歩み寄り、39号の肩に手を乗せた。
47号「39号は もう立派なファンだよ」
那珂「その通り!その通りだね!」
47号「先輩は1号パイセンだけだよ。俺らの中に上下はなく、下に那珂ちゃんが居るのみ」
那珂「違うでしょ!!!おーい、違うでしょ!なに言ってるの?!」
ファンクラブである憲兵隊の、急な裏切り下克上が始まった。
那珂「何で皆の下に那珂ちゃんが居るの?!率いてるの那珂ちゃんでしょ!皆の上に那珂ちゃんが居るんだよ!」
19号「(47号の)いい演説だった」
那珂「じゃないよ!」
すると憲兵3号がステージの上に上がり、仰向けに寝転びながら那珂に擦り寄ってきた。
3号「最近 誕生日を迎えまちた。うれちぃな、えへへ。良かったら那珂ちゃんママに、お祝いや よしよししてほしいバブ。いつも楽ちませてくれて ありがとね。那珂ちゃんママだいちゅき♡」
おっさんが これをやってるという現実に、那珂は顔面蒼白となっていたのだが、ドン引きを通り越して怒りが湧いてきて爆発した。
那珂「こんなこと言ってるファンが那珂ちゃんより上って おかしいでしょうがぁあああああ!!!!!」
・・・・・・
『そいつは そいつ』
ある日 正面ゲートで、摩耶が憲兵48号に怒っていた。
48号が泣いてる事で、心配した他の憲兵隊が駆け寄って止めに入る。
1号「どうしたんですか摩耶さん!?」
3号「
摩耶「悪い事したから、反省してんだ。な?お前 悪い事したんだよな?」
48号「・・・・・・・・・」
摩耶「おい!反省してんのか?!」
46号「怯えてる・・・」
摩耶「しょうがない。落ち込んでもなぁ!過去は戻んないんだよ!反省しな!」
4号「泣かしたでしょ?」
5号「もう やめてあげてよぉ!」
3号「圧やめてもらえます?」
摩耶「あ、そんなこと言うのか あたしに対して。ふ〜ん」
3号が庇うように摩耶の前に立ち塞がると、案の定 捕まり、後ろから顔の皮をギューンと引っ張られてしまう。
摩耶「こいつが どうなってもいいんだ、皆」
3号「ゆる・・・して・・・皮が伸びる・・・」
4号「そいつは そいつ」
48号の時は あんなに庇っていたのに、標的が3号に変わった途端、憲兵隊は彼を見捨てて解散していく。
摩耶「おい、酷い奴らだ!み、見殺しにするのか?おう、冷たい奴ら居るぞ、冷たい奴らが」
・・・・・・
『いつも一緒』
ある日 大淀と明石は、夕張に手を縛られ、目隠しをされた状態でグラウンドに連れてこられた。
目隠しが外されると、目をウルウルさせた夕張の後ろには、シートが被せられた何か大きな物があった。
「「・・・・・・えっ・・・?」」
夕張「2人共ごめんね。私、2人に黙ってた事がある。落ち着いて聞いてね。私、実は・・・」
言葉を区切った夕張がシートを外すと、そこには新作の爆弾が大量に積まれていた。
夕張「もう、爆発しちゃうんだ。ほんとは2人のこと、巻き込みたくなかったんだけど、2人と一緒に居たくて・・・でも、やっぱり どこへ行くにしても、2人と、一緒がいいなと思ってるから━━」
大淀「離れて」
夕張「・・・2人共、いつも一緒に居ようね。“どんな時も、一緒に居る”って、言ってくれたよね?あの時の私、凄く嬉しかった」
明石「ちょっと離れてもらっていい?」
夕張「ダメだよ、2人のこと・・・離さない。いつも一緒だよね、2人共?」
夕張は逃げようとする大淀と明石を後ろから抱き締めるのだが、首が締まって2人は窒息し、泡を吹いて気絶した。
夕張「あれ?2人共?声がしないなぁ。どうしちゃったのかなぁ?疲れちゃったのかな?それなら仕方ないよね。2人共、これからも、ずっと、ずっと一緒だよ、2人共・・・」
そして既にタイマーを作動させてた爆弾が遂に爆発し、大淀と夕張、明石を巻き込み、グラウンドと その周辺が吹き飛んだ。
夕張は新作の爆弾の威力を確かめられて満足していたが、その後 加賀と鳳翔から めちゃくちゃ怒られるのだった。
・・・・・・
『謝罪』
ある日 非番の加賀が外に出掛けていると、過去にボディーガードの依頼をしてきたアイドル、
麗歌「あっ、そういえば」
麗歌は加賀と会う前に、那珂と会うためDevil May Cry鎮守府に行ったそうなのだが、その時に本館のロビーで、ラジコンレースをしてる者が居た事を思い出したように告げ口した。
それを聞いた加賀は、また しょうもない事をしてるのが居るのかと呆れてしまった。
加賀「許せないわね」
麗歌「ちょっと言っとこうと思って。因みに、那珂ちゃんと、明石って艦娘ね」
加賀「耳が痛いわ・・・」
加賀は麗歌と別れると、落ち着いて話すために車に乗り込み、漣に連絡を取ると、鎮守府に居る者全員にグループ通話に参加させるように言った。
しばらくして、数名の艦娘が続々とグループ通話に入ってきた。
加賀「先程、一般市民の方からのタレコミにより、鎮守府の本館内で、ラジコンのレースを行っている艦娘が居ると報告を受けている」
漣『見た人 居るんですか?』
加賀「それは、匿名よ」
漣『匿名じゃ ちょっと信用ならないです』
那珂『確かに〜』
加賀「あれ!?どうしたの漣!?」
漣『漣 本館に居ましたもん』
加賀「ほぉ〜〜」
漣『しかも あの場に居た一般市民 約1名だから判りますよ、あの人 頭 打ってたから妄言 言ってます!』
加賀「なるほど」
漣『あとアイドルだから嘘 吐きがちです』
加賀「同じアイドルとしては どうなの?」
那珂『那珂ちゃんのこと言ってるの?』
漣『那珂ちゃんは嘘ばっかりです!』
加賀「とりあえず了解」
グループ通話を終了した加賀は車を走らせ、一先ず鎮守府に戻る事にした。
そして鎮守府に着いて駐車場に停め、車から降りるとメッセージの通知が来た。
加賀「おっ・・・?」
明石:すみません、めちゃくちゃ汚しました
明石からの謝罪のメッセージと共に添付されていた画像には、タイヤ痕とオイルで真っ黒になった本館ロビーの床が写っていた。
それを見て加賀は、思っていた以上の事態に驚愕した。
加賀「何?これはぁ!」
加賀は駐車場で立ち止まったまま、メッセージで明石を詰める事にした。
加賀:なに・・・これは・・・
明石:オイル・・・?
加賀:それは判っているけど どうして こうなったの
明石:すみません、私が ふざけて遊んだ結果 破損させてしまいました
加賀:なるほど、じゃあ先の市民からのタレコミは本当だったのね
明石:そうですね、大変 申し訳ありません
明石:悪いのは私ですので、漣ちゃんは無理して庇ってくれただけですので
加賀:了解した。正直に話してくれて ありがとう
メッセージでの やり取りを終えて、加賀は本館に向かうと中に入った。すると そこには、天龍と明石、漣が居た。
ロビーの床は掃除されたのか綺麗になっていたのだが、焦げ臭さが充満していた。
加賀「ただいま。さて、何か私に話す事とかは、特にないかしら?」
明石「・・・・・・すみません━━」
天龍「摩耶と那珂はあるんじゃないか?」
天龍が名指しで言った瞬間、漣が我慢できず笑った。
明石「いえ あの私が〜、ラジコンで少々、本館で遊び過ぎたようでして・・・」
漣「漣です!」
天龍「漣も悪くないよ。あの2人だよ全部。全ては あの2人が悪いんだ!」
天龍が摩耶と那珂を推し続けるので、今度は漣だけでなく、明石まで笑ってしまっていた。
明石「関係ない艦娘 巻き込んでるから・・・!」
実は摩耶と那珂も この件に関係あるのだが、床を汚す行為をしたのは その2人ではないため、明石は2人を庇った。
庇おうとしたりと、誰が本当の事を言ってるのか現状では判断できないため、加賀は天龍達の良心を突いて白状させる事にした。
加賀「いいのね?私は じゃあ、摩耶と那珂に━━」
明石「違う違う違う違う違う!」
加賀「雷を落としてもいいのね?」
明石「違います違います!違います違います!ちょ、ちょっと補佐艦、中庭 行きましょう、中庭」
加賀は明石に言われるまま中庭に行くと、戦々恐々とした様子の明石が先に口を開いた。
明石「どこまで把握されてますか・・・?」
明石からの質問に加賀は、麗歌から那珂と明石が、本館内でラジコンのレースをしていた事を聞いたと答えた。
明石「その通りです」
加賀「なるほど。まぁ それならば、私から言う事は、本館内で、ラジコンカーのレースは、禁止という事だけよ」
明石「大変すいませんでした・・・」
加賀「ただ問題は、あの、オイルは何なの?」
オイルの話が出た瞬間、明石は我慢できず普通に笑ってしまった。
明石「あの〜━━」
加賀「あの撒き散らされたオイルと、タイヤ痕は何なの?」
明石「タイヤ痕は隠せないよなぁ・・・」ボソッ・・・
明石が何やらボソッと言ったが、加賀は それについては追求せず、明石からの正直な答えを待って沈黙する。
明石「レース終わった後にですね、野良のラジコンが入ってきたんですよ」
加賀「野良のラジコン!?」
何で鎮守府に野良のラジコンが入ってくるのかと、加賀は理解に苦しく思わず復唱してしまう。
明石「これはマズいなと思って、そのラジコンのコントロールを奪ったんですね」
加賀「なるほど」
明石「で、天龍も、これはマズいなと思って そのラジコンを止めようと、天龍のラジコンで攻撃したんですよ、そのラジコンに。その結果ですね、あの、オイル祭が始まりまして」
つまり野良のラジコンを攻撃し、損傷させたか させられたかの結果、ラジコンに使われてるオイルが漏れ、床に撒き散らす事態になったという事だった。
明石「で、まぁ、良くないなって・・・思ったんですね、我々は1度」
加賀「うん」
明石「オイルを、何とか頑張って消そ・・・」
加賀「・・・証拠の隠滅を図った?」
明石「・・・まぁ公にしたくなかった」
あまりにも正直すぎる返答と内容に、加賀は呆れて笑ってしまい、明石も釣られるように一緒に笑った。
加賀「で?その結果━━」
明石「どうしよっかなぁ、これ私 庇った方がいいのかなぁ?」ボソッ・・・
加賀「庇った方がいい!?」
まだ隠してる事があるようで、加賀は声に出して驚いてしまった。
明石「オイルって、消し方どうするかってなったんですよ。火 点けようってなったんですよ」
あまりにも頭の悪い方法に、加賀は呆れながらも驚愕した。
加賀「ちょっと まさか、本館内で火を起こしたっていうの?!」
明石「気付いたら本館内に、車が居たんですね。エンジン吹かした際のバックファイヤーありますよね?」
加賀「えぇ」
明石「あれを使って火を点けた艦娘が居まして」
つまり誰かが、カスタムした車のマフラーから噴き出す炎で撒き散らしたオイルに着火し、完全燃焼させてオイルを消そうとした訳だ。ロビーに焦げ臭さが充満していたのも そのせいか。なんて頭の悪い・・・。
加賀「なるほど。じゃ全て纏めると、本館内でラジコンレースした挙げ句、野良ラジコンカーとバトルをし、オイル漏れが発生したため、そのオイル漏れを証拠隠滅するために、本館に車を突っ込んだ挙げ句、車のバックファイヤーで本館内に火を点けたという事でいいのね?」
明石「その通りです」
加賀「なるほど・・・」
どうしたものかと、加賀は頭を悩ませながら息を吸って しばらく沈黙する。
加賀「よし分かった」
聞きたい事は聞けたので、加賀は中庭から立ち去った。
そして この後、野良のラジコンを操作してた犯人が摩耶である事と、車のバックファイヤーで火を点けた犯人が天龍である事も判明したが、加賀は何も言わず、今回の騒動に関わった者達が どうするのか、様子を見る事にした。
翌日、また出掛けていた加賀が鎮守府に戻ると、摩耶と天龍、那珂、漣と すれ違ったのだが、彼女達は急いだ様子で車に乗り込み、出発してしまった。
気にせず加賀が本館に入ると、ロビーで空気椅子をする木曾が待ち構えており、意味が分からず加賀は立ち止まる。
木曾「おかえり」
加賀「ただいま。何か皆こぞって出掛けていったけど?」
木曾「何やら、謝りたい事があるらしくて。まぁ俺は よく分かんないけど」
加賀「ほう。じゃあ私は ここで待ってればいいの?」
木曾「まぁ、あと数分もすれば多分、戻ってくると思うぞ」
加賀「そう」
加賀は さっきの木曾のように、ロビーで空気椅子しながら摩耶達を待ち、木曾は普通に立って加賀の傍に控える。
しばらく待つ中、加賀はGPSで摩耶達の居場所の確認をする。
加賀「おっ、服屋を出たわね。来るわよ」
そして また しばらく待っていると、黒いスーツに身を包んだ摩耶達が、落ち込んだように頭を もたげながら戻り、加賀の前に並んだ。
摩耶「補佐艦」
加賀「何?」
摩耶「この度は、この本館内で、ラジコンのレースをしたこと、そして、その、ラジコンによって、本館を、汚してしまったこと、大変、申し訳ございませんでした」
そう言って、摩耶は加賀に頭を下げた。
加賀「まだあるでしょ」
「「「申し訳ございませんでした・・・」」」
天龍と那珂、漣も謝罪を口にすると、加賀に向かって頭を下げた。
加賀「まだあるでしょ」
加賀からの追及に、摩耶と天龍、那珂から笑いを堪える声が漏れた。
しかし誠意を見せるため、摩耶達は土下座までした。
加賀「オイルに着火した件は どうしたの?」
摩耶「あっ・・・その件、我々の立場を考えた中で、そういった軽率な行動をしてしまったこと、本当に、申し訳なかったと思ってます。すいませんでした」
那珂「すいませんでした・・・」
天龍「すいませんでした」
漣「すいませんでした」
加賀「那珂 声が小さいわよ」
那珂「すいませんでした!!!」
加賀「なぜ私が怒ってるか分かる?」
摩耶「この鎮守府で、本来、するべき、行動ではないことを、してしまったからだと思ってます」
加賀「・・・違う。じゃあ次、天龍」
天龍「セーフゾーンで、着火行為をしてしまった事だと思っています」
加賀「違う、那珂」
那珂「我々の、家である鎮守府に、火を、放ってしまった、事だと思ってます」
加賀「火を、放った・・・それも大概よ、だけど違う。漣」
漣「嘘 吐いて隠そうとしたからです・・・」
加賀「あなたは本当に偉いわね」
漣が褒められたのを聞き、何故か摩耶と天龍、那珂から、笑いを堪える声が漏れた。
加賀「なに笑ってるの?」
那珂「笑ってません」
加賀「私はねぇ、すぐ連絡を入れたわよね?一般市民からのタレコミがあって、本館内でレースをしてる人物が居ると。その時に、誰か1人でも素直に答えた?」
摩耶「いいえ」
那珂「いいえ」
漣「嘘 吐きました・・・」
加賀「吐いたわね。私は その事に関して怒ってる」
那珂「すいませんでした・・・」
漣「ごめんなさい・・・」
そして加賀は、どうしたものかと悩み、唸った。
加賀「そうね・・・ちょっと待ってて」
加賀は摩耶達から離れ、いつの間にか離れた場所に居た木曾の方へ向かう。
加賀「木曾ラジコンある?」ヒソヒソ・・・
木曾「ある」ヒソヒソ・・・
木曾からラジコンを受け取り、加賀は摩耶達の元に戻った。
加賀「今から あなた達に罰を与える」
「「はい」」
天龍と那珂だけ返事し、摩耶は ちょっと笑ってしまうが、加賀は木曾から借りたラジコンを床に置いた。
那珂「えっ・・・!?」
それを見て摩耶達は、これから何をされるのかと想像が付かず、戸惑った。
しかし土下座の姿勢のまま、罰を受け入れようとジッとしてると・・・
加賀「あっ、間違えた!」
摩耶「イッテ・・・!」
いきなり摩耶が、加賀に頭部を思いっきり蹴り上げられた。ラジコンを使って何かしようとしていたようだが、ミスって摩耶を蹴ってしまったらしい。
摩耶が吹き飛んだのを横目で見ていた天龍と那珂は、突然の事に理解が追い付かず、笑ってしまっていた。
那珂「笑っちゃ駄目だ・・・」
加賀「反省しなさい!」
しかし このままでは格好が付かないため、加賀は蹴ってしまった序でだからと、ボコボコにする事にした。
しばらく打撃音が鳴り響き、それが止まり静かになると、加賀にボコボコにされた摩耶が大の字でダウンして倒れていた・・・摩耶だけが倒れていた。
それを見て、何もされなかった天龍と那珂は また笑ってしまう。
那珂「摩耶さん・・・!」
加賀「今ので、ラジコン君の痛みが よく分かったでしょ」
那珂「はい、分かりました」
天龍「はい・・・」
どういう訳か、何の痛みも受けてない天龍と那珂が返事をし、倒れていた摩耶は、無言で土下座の姿勢に戻った。
反対に、何故か天龍と那珂は立ち上がった。
那珂「すいません。那珂ちゃんが明石ちゃんに持ち掛けたんです」
漣「“バレないからやっちゃおう”って言いました・・・」
摩耶がボコボコにされたのを見たからか、那珂と漣が、ラジコンレースをする切っ掛けを自白した。
すると天龍が再び土下座したのだが、何故か摩耶の真後ろで土下座し、頭と尻で連結した。
それを見た那珂も、天龍の後ろで土下座し連結した。
加賀「ちょっと。お尻に・・・」
すると漣まで立ち上がり、那珂の後ろに回り込む。
加賀「駄目よ!」
那珂「漣ちゃんは駄目だよ」
天龍「そこで止ま・・・」
加賀と天龍、那珂が止めたにも拘らず、漣も土下座して連結してしまった。
漣「皆がやってるのに漣だけ謝らないのは・・・」
加賀「ムカデ艦娘は やめなさい」
加賀から再度 注意され、連結を やめた摩耶達は、立って横に並び直した。
加賀「私が怒っているのは、今回に関しては隠し事をした事よ。正直に言えば、ここまでする事はなかったはずよ」
また叱られ、摩耶達は落ち込んだように また頭を もたげる。
加賀「私だって あなた達のノリに付き合って、本館内でラジコンを走らせるし、スケートボードに乗る事もあった。だけど その時、隠し事したのが良くない」
しかし摩耶達が頭を もたげてるのが気に入らず、加賀は話を止めた。
加賀「あなた達全員 眠いの?」
天龍「いえ、眠くないです」
摩耶「シャキーン」
加賀に指摘されると、摩耶達は顔を上げた。
加賀「通常通りの・・・」
加賀が話を再開しようとしたのだが、天龍が鼻を穿ってるのを見て また止まった。
すると天龍は何を思ったのか、摩耶に鼻糞を擦り付けると見せかけ、加賀に向かって飛ばした。
『・・・・・・・・・』
摩耶「天龍」
それは違うと、ふざけるにしても ちょっと違うと、摩耶は天龍の前に立って圧を掛ける。
加賀「今のは何?」
加賀が口を開くと、摩耶は大人しく並び直した。
加賀「いま私に向かって鼻糞を飛ばしたわね?」
すると天龍だけ、また土下座した。
天龍「飛ばすつもりは、ありませんでした」
摩耶「飛ば・・・!飛んでんじゃねぇか・・・」
天龍の言い分を聞き、つもりがないなら飛ぶ訳がないと、摩耶は吹き出して笑ってしまった。
すると今度は、那珂が取り出したハンバーガーを食べ始めた。
加賀「おい」
那珂「ハッ・・・!?」
目の前で食っておきながら、加賀に見付かったと驚いた那珂は、ハンバーガーをポケットに仕舞った。
加賀「おい」
那珂「はいっ」
加賀「今、物 食べるような状況?」
那珂「命は、粗末にはできません。那珂ちゃんの
加賀「何で先に食べてこなかったのよ。私は、あなた達が戻ってくるまで時間が掛かると思ったから、水分補給もしてあるし、お腹も満たして、ずっと、ここで、腕 組んで、空気椅子で、数十分も待ってたのよ」
那珂「数十分!?」
加賀「分かってるの それを?」
そして説教も終わり、いよいよ解散となる頃・・・。
加賀「さぁ、もう業務に戻るのよ」
那珂「はっ!」
加賀の命令に、那珂は敬礼しながら元気良く返事をする。しかし加賀の目には その態度が、反省しておらず、ふざけてるように見えた。
加賀「・・・那珂は、北海道で(依頼)50件」
那珂「えぇーっ!?全員で50件。交代交代で」
天龍「俺達は4人で1つです」
数が数だけに、それは苦だと天龍は那珂を庇い、一緒にノルマを背負おうとする。
すると ずっと見守っていた木曾が、話に割り込んできた。
木曾「那珂、俺 言ったよな?」
那珂「何を?」
木曾「那珂が北海道に行く時は、俺も お前を助けるって」
何か知らんが木曾も一緒に行くらしい。
摩耶「補佐艦」
加賀「いや待ちなさい、あなた達。私も補佐艦よ。あなた達 部下の責任は私にもある。だから全員で行くわよ」
そして加賀達は、ロビーの掃除をしてる まるゆの横を通りながら、颯爽と出口に向かっていく。
加賀「このDevil May Cry鎮守府も今日限りよ。あとは頼んだわ、まるゆ」
まるゆ「えぇえええ!?何でぇぇ!?何でぇぇ!?」
今日、鎮守府に居る艦娘は この面子だけで、加賀達が北海道に行ってしまったら、鎮守府の艦娘が まるゆ1人となる。そうなると、運営や防衛、任務など、全ての業務が回らなくなる。
まるゆ「まるゆ大して戦えないのに!」
天龍「その内 帰ってくる」
そして加賀達は、便利屋としての仕事探しで北海道へ旅立つのだった。
次回も宜しく お願い致します!