497話です!どうぞ!
*浜辺 日本時間11月18日 15:21*
ある日 暁型だけで、買い物に出掛けていた。
その帰り、浜辺沿いの道を通って鎮守府への帰路に着いていた。
雷「暁は要らない物ばっかり買い過ぎなのよ」
暁「要らなくないわよ!要るもん!」
暁型が買い物に出た理由は、艦娘寮にある自分達の部屋の模様替えをするため、部屋に置く小物などを新調するためだった。
だったのだが、暁だけは・・・。
雷「どこがよ?暁が買ったの お菓子だけじゃない」
暁「お、お菓子は要るもん!」
響「おやつなら、鳳翔さんか間宮さんに頼めば出てくる」
暁「た、たまには外で買う お菓子もいいものなんだから。司令官だって“乙なもんだ”って よく言ってるし。まったく響と雷は分かってないわね」
電「絶対お菓子の話じゃないのです・・・」
暁「もーっ!うるさい うるさい うるさーい!!」
響「暁の方が うるさい」
癇癪を起こす暁に、姉妹艦の3人は やれやれと思いながら溜め息を吐く。
その時、響は ふと浜辺の方に視線を向けた。そこには、スキューバーダイビングの装備を担いだ、ウェットスーツを着る6人の人間が居た。
深海棲艦が現れてから海は危険なため、スキューバーダイビングするのにも許可が必要で、今となってはやる人の数も減っている。
響は珍しいなと思い、言い合いをする暁と雷、それを止める電を置いて そちらに向かう。
深海棲艦の危険もあり、海軍として、艦娘として、市民に注意喚起するのも仕事の内であるので、響は こんな時でも役目を果たそうとしていた。
響が傍まで行くが、ウェットスーツを着た者達は気付いてないのか、こちらに振り返る様子もない。
響「すみません、海軍の艦娘だけど、この辺りは特別な許可がないと海に入れないんだけど、許可証はある?」
響が そう声を掛けると、ウェットスーツを着た者達が振り返ったのだが、その瞬間、響が何かのスプレーを顔に吹き掛けられた。
響は咄嗟に目を瞑り、顔を背けたのだが、急に意識が朦朧として倒れてしまった。
雷「だから暁は━━」
暁「お菓子 買うのは私の自由じゃない!」
電「2人共 待つのです!響ちゃんが!」
「「え?」」
電が気付いたが、ウェットスーツを着た者達は響を回収すると、ゴムボートに乗って海に行ってしまう。
「「響!?」」
*Devil May Cry鎮守府 執務室*
一方 執務室では、ダンテが執務机に置かれた金魚鉢で泳ぐ金魚を見詰めていた。
実は この金魚、潜水艦の艦娘達が勝手に置いていき、暇なダンテは右へ左へ動く金魚を見て、暇を持て余していた。
そこに、血相を変えた大淀が執務室に飛び込んできた。
大淀「提督!暁型から緊急連絡です!駆逐艦 響が、何者かに拐われました!」
ダンテ「響が?」
大淀「犯人は海へ逃走し、現在、暁と雷、電が追跡中です」
ダンテ「犯人の目星は?」
大淀「不明です」
*海*
響を拐ったゴムボートを追い、艤装を装着して海に出た暁達だったが、そこで予想外な事態が発生した。ゴムボートが逃げる先に、ロシア艦隊が待ち受けていたのだ。
しかも そのロシア艦隊から、何の警告もなく砲撃を受けていた。
雷「何でロシアの艦隊が!?」
電「おかしいのです!ロシア軍が日本の領海に入ってくるなんて、そんな報告なかったのです!」
雷「領海侵犯した挙げ句 砲撃って、これ戦争行為じゃない!」
暁「響を返してよ!!響ー!!!」
ロシア艦隊はゴムボートを護衛しながら後退していき、暁達も このまま響を連れ去られてしまう訳にはいかないため、砲撃で応戦しながら追い続ける。
すると、ダンテの命令を受けて出撃した、Devil May Cry鎮守府の艦隊が到着した。
艦隊旗艦には重巡 古鷹、随伴艦に加古、雷巡 北上、大井、駆逐艦 夕立、潜水空母 伊19が編成されている。
古鷹「艦隊は これより、先行してる暁型に合流・支援、駆逐艦 響の奪還を始めます!」
加古「うちの響 拐うとか、度胸があるというか馬鹿というか・・・昼寝の邪魔された恨みは怖いよっと!」
北上「響も拐われるなんて何してんのさ?」
大井「北上さんとの時間を邪魔するなんて・・・Devil May Cry鎮守府にケンカ売ったこと後悔させてくれるわぁ!!」
夕立「ソロモンの悪夢、見せてあげる!」
イク「イクも頑張るの!」
・・・・・・
それから数時間が経ち、ロシア艦隊は激しい抵抗を見せ、夜になった海上でDevil May Cry鎮守府の艦隊と激しく撃ち合っていた。
しかし突然、艦隊旗艦である古鷹が機関を止め、随伴艦である加古達と暁達も止まる事になってしまう。
暁「古鷹さん、何で止まるんですか!?」
古鷹「この先に私達は入れない」
雷「何でですか?!」
北上「私らの位置、よく見てみなよ」
電「この先は・・・ロシアの領海なのです!」
暁「えっ!?」
雷「そんな!?」
暁「でも向こうは日本の領海に侵入して、響を拐ったんですよ!」
大井「向こうが領海侵犯したから こっちもしていいって事にはならないでしょ。もし こちらがロシアの領海に入れば、向こうは戦争行為だ何だと騒ぎ始めるでしょうね」
北上「そうなれば、日本とロシア間で戦争状態。政府は それを良しとしないだろうから、私らDevil May Cry鎮守府に責任を取らせようとしてくるかもよ」
イク「戦争を先導した戦犯・・・最悪すぎるの・・・」
電「でも、それじゃあ響ちゃんは・・・響ちゃんは どうなってしまうのです!?」
電の問いに、古鷹達は沈黙した。
ロシア軍が響を拐って どうするつもりなのか、その目的が不明だ。響が どうなってしまうのか、何1つ判断ができない。
ただ拐われた以上、Devil May Cry鎮守府にとって看過できない状況であるのは間違いない。これは許せない行為だ。
加古「こりゃ大変な事になっちゃったね〜。どうする古鷹?」
古鷹「・・・艦隊 反転。鎮守府に帰投します」
艦隊と暁達は鎮守府に戻る航路を取り、帰投中に事の顛末も報告するのだった。
・・・・・・
*Devil May Cry鎮守府 執務室 11月22日 13:45*
この事態に、Devil May Cry鎮守府は大本営に報告し、大本営から政府へと話が通され、日本政府からロシア政府へと抗議が為された。しかし、ロシア政府からの返答は、“自分達は関与してない”の一点張りだった。
これでは駄目だと思ったDevil May Cry鎮守府は、今度はオリーブ財団に協力してもらえるよう頼んだのだが、財団立ち上げ時に加盟した国にロシアは入っておらず、外交での対話は不可能に近く、ロシアが相手となると下手に動く事もできないらしい。
しかもオリーブ財団は、Mr.Jに関する任務で忙しく、人員を割く余裕もない。
そんな状況下で、Devil May Cry鎮守府は頭を抱えた。
響を拐った主犯がロシアでないにしろ、ロシアが関わっているのは間違いない。
外交で取り戻す事ができないなら襲撃してやろうかとも考えたが、艦娘が動けば どこの国の所属かバレ、ダンテとネロも、この世界では目立ち過ぎて顔が割れているため、すぐに外交問題に発展するのが懸念された。
そこでDevil May Cry鎮守府は考え、派手に動いても誰か判らないような者が、4人だけ居る事に気付いた。
そして執務室に、ダンテと大淀に呼ばれたバージルとトリッシュ、ルシア、ニコが来ていた。
バージル「・・・何?」
ダンテ「サクッと行って響 連れ帰ってくれ」
バージル「知るか、お前が行けばいいだろ。なぜ俺が小娘1人のために動かねばならん?」
ダンテ「俺が行けば問題になるって大淀が うるせぇんだよ」
大淀「私達 艦娘が行けば、どこの国の手の者か すぐに気付かれます。特に私のような日本艦は。提督とネロさんも世界中に その存在が知られています。ですので、正規に どこにも所属していない4人が1番 適任だと考えました」
バージル「勝手に決めるな」
ダンテ「いいのか、そんなこと言って?」
バージル「・・・どういう意味だ?」
何か悪巧みするようにニヤニヤするダンテが誰かを呼び込むと、執務室に間宮が入ってきた。
間宮「バージルさん・・・」
バージル「間宮?」
間宮「響ちゃんが拐われて、もう心配で心配で仕事も手に付きません・・・!これでは、バージルさんの大好きな お茶も出せません・・・」
バージル「・・・・・・・・・」
間宮「バージルさんが大好きな和菓子だって・・・ヨヨヨ・・・」
嘘臭い演技で泣く間宮が、バージルを脅しに掛かった。
間宮が居ないとバージルが困るとダンテは気付いていたため、これは使えると思い、間宮に協力してもらう事にしていた。で、その協力のしてもらい方が これである。
間宮「響ちゃん、響ちゃ〜ん・・・!」
間宮は顔を手で覆い、泣き崩れるように その場に座り込み、大袈裟な演技で更に畳み掛ける。
バージル「・・・・・・ええい、鬱陶しい!行けばいいのだろ!ダンテ、覚えていろよ・・・!」
ダンテ「ちゃんと五体満足で連れて帰れよー」
怒ったバージルは執務室から出ていき、扉が閉まる音を聴き、間宮は顔を上げた。
間宮「提督、これで良かったですか?」
ダンテ「あぁ、完璧だ。間宮が居ると あいつ扱いやすいな。今度から何かあったら、全部 間宮に任せるか」
大淀「提督、最低です・・・」
ダンテ「いいんだよ、バージルだから」
間宮「私だって いつでも こんな事する訳じゃないですよ。バージルさんが怒ると、いつもヒヤヒヤするんですから」
ダンテ「トリッシュとルシアも頼むぞ」
トリッシュ「簡単に言ってくれるわね」
口では そう言うが、トリッシュとルシアは最初から響のために動くつもりだったので、静かに執務室から退室した。
ダンテ「・・・それにしても、何で戦艦も空母も出払ってる時に来るのかねぇ・・・?」
響が拐われた日、様々な諸事情で、戦艦と空母の艦娘達は全員 鎮守府に居なかった。
もし彼女達が出撃し、ロシア艦隊と交戦していれば戦況も大きく変わり、響が連れ去られる事もなかったかもしれない。
居なかったものは仕方ないため、ダンテも文句は言えず、溜め息を吐くのだった。
*バージルの私室*
自分の部屋へ戻ったバージルは、クローゼットを開けた。そこには、国際指名手配された容疑者215として動いていた時の仮面が置かれていた。
バージル「また これを使う日が来るとはな」
バージルは少しの間それを見詰めると、手に掴むのだった。
*ロシア国内某所 ロシア時間11月22日 8:00*
同じ頃、連れ去られた響は目覚めてから、ロシア海軍に丁重に扱われていた。
与えられた部屋は綺麗なもので、食事も欠かさず出てきた。
それでも、部屋の鍵は外から掛けられ、軟禁状態ではあった。
何もする事がない響は、部屋で大人しくボーッとしていると、部屋の鍵が開く音がした。
そして入ってきたのは、合同演習でも一緒だったロシアの艦娘、ガングートだった。
ガングート「ヴェールヌイ、気は変わったか?」
響「私はヴェールヌイじゃない。“響”だ」
ガングート「何を言ってる?お前は“ヴェールヌイ”だ。元は日本艦だが、第ニ次改装が行われた お前は その時点でロシア艦だ」
響「艦艇だった頃は確かに そうだった。賠償艦としてソ連に引き渡され、そこで私は、“信頼できる”という意味の艦名を与えられた。でも今の私は違う。日本海軍、Devil May Cry鎮守府の“響”だよ」
響を拐った主犯はロシアだった。
響は第ニ次改装により、“ヴェールヌイ”というロシア艦に変わる。それを理由に、ロシアはDevil May Cry鎮守府の響を自国の物にしようと、こんな強行手段に出たのだ。
ガングート「いい加減にしろ。お前は“ヴェールヌイ”で、ロシアの物だ」
響「違う。私は日本海軍Devil May Cry鎮守府の“響”だ」
ガングート「・・・どうして そこまで、日本艦に・・・“響”である事に拘る?」
響「司令官が、居たい自分で居ればいいと言ってくれたからさ」
ダンテがバージルと共に2人で この世界に戻った時、響は いつの間にか第二次改装が済んでいた。
響自身も最初は、暁に“響”と呼ばれても、自分は“ヴェールヌイ”であると否定していた。
それをダンテに相談し、“好きにしろ”と、“居たい自分で居ればいい”と言われた。それにより、響は“響”として生きる事を選んだ。その選択は、本当は響自身も“響”で居たかったという事だったのだろう。
響「だから私は、ロシア艦としてではなく、司令官の艦娘として生きる事を選んだ」
ガングート「・・・・・・・・・」
響「そっちが私を どうしようと、何をしようと、どれだけ待遇が良くても、私は“響”で在り続ける」
ガングート「・・・今は そう思っているといい。どれだけ拒絶しようと、お前が受け入れるまでは ここから出られないのだからな」
そう言って、ガングートは部屋を後にした。
そしてベッドの上で座っていた響は、顔を膝に埋めた。
響「司令官、助けて・・・」
・・・・・・
*モスクワ・街 11月24日 11:45*
翌日、ロシアにバージルとトリッシュ、ルシア、ニコが入国した。
日本を経つ前に、ダンテから先に向かうよう言われた場所に着くと、そこは今は使われていない古びたアパートだった。
指定されていた部屋は鍵が掛かっておらず、3人は そのまま中に入ると、1台の蓄音機が置かれていた。
トリッシュがセットされていたレコードを掛けると、流れたのは音楽ではなく、男性の声だった。
男『バージル君、トリッシュ君、ルシア君、ニコ君、よく来た。ここはオリーブ財団が所有する隠れ家の1つだ』
オリーブ財団は協力できないと言っていたが、バージル達が響を奪還するのに必要な物資と情報は用意すると、全面協力はできないが ちょっとしたサポートはしてくれる事になっていた。部屋に置かれていた蓄音機も、そのサポートの1つだった。
男『Devil May Cry鎮守府所属、駆逐艦 響は現在、クレムリンに居る可能性が高い』
トリッシュ「クレムリン・・・元ロシア帝国の宮殿。今は大統領府を擁する中枢とも言える場所ね」
ルシア「そんな所に響が?」
男『駆逐艦 響を奪還するためには、クレムリン内部に侵入するしかない。そのためにトリッシュ君には、《アナスタシア・アブディエフ》将軍に化けてもらう』
きっとステフはダンテから、トリッシュが変装が得意であると聞いていたのだろう。それもあり、トリッシュがロシア軍の女将軍に変装する作戦が決まったものと思われる。
男『最悪な事に、ロシアは洗脳装置の開発に成功したらしい。恐らくロシア軍は、第二次改装が済んでいる響、元いヴェールヌイを、戦力として自軍に帰属させようとするだろう。今回 君達に与えられた任務は、クレムリン内部の中枢エリアに侵入し、駆逐艦 響が洗脳される前に奪還すること。最新情報によれば、ロシアは既に動いている。よって あと、4時間と52分以内に侵入すること。時間がないため、チームの派遣はできない。例によって、君達が捕らえられ、或いは殺されても、財団は一切 関知しない。任務に必要な物は こちらで用意しておいた。活用するといいだろう。このメッセージは5秒後に自動的に消滅する、成功を祈る』
5秒 経つと、レコードが焼かれ煙が上がった。
ルシア「必要な物って、どこにあるの?」
部屋を見渡すが、ここは空き家同然で、蓄音機以外は何も置かれていない。
トリッシュは ゆっくりと部屋を観察していると、ある壁で目が止まった。
その壁に近付き、1ヶ所だけ色が変色してる場所を押すと、部屋の四方の壁が全て回転し、大量の武器や装置が出てきた。
ルシア「うわ、凄い」
トリッシュ「これ全部 使い放題なんて、財団は太っ腹ね」
*???*
その頃 響は、ガングートとロシア軍の部隊に連れられ、通路を歩いていた。
響「どこに連れていくつもりだい?」
ガングートと部隊も その質問には答えず、淡々と通路を歩いていくと、ある部屋に着いた。
そこに入ると、部屋の壁に沿って大量の機械が置かれており、そこから伸びるコードは部屋の中心に続いており、そこには機械仕掛けの椅子があった。
響「な、何をするつもり・・・?」
ガングート「お前は これから、心身共にロシア艦になるんだ」
響「な、何だって!?」
ガングート「座らせろ!」
部隊に取り押さえられ、響は抵抗はするが、艤装が出せず腕力では敵わなかった。
ガングート「お前の艤装との繋がりは絶ってある。抵抗してもムダだ」
響「やめて!放して!」
響は椅子に座らされ、手足が拘束されると、頭にはコードで繋がったヘルメットまで被せられた。それは、オリーブ財団が入手した情報にあった、洗脳装置だった。
響「嫌だよ!やめて!司令官!司令官 助けて!!」
部隊と共に部屋から出たガングートは、響が繋げられた装置を動かすコントロールルームに移動した。
ガングート「起動しろ」
科学者「起動します」
ガングートの指示で、白衣を来た科学者が装置を起動すると、響は喉が張り裂けんばかりの悲鳴を上げるのだった。
・・・・・・
*赤の広場 13:30*
響奪還の準備をしたバージル、トリッシュ、ルシア、ニコは、クレムリンがある赤の広場に来ていた。
ニコは観光人を装い、手に持っていた赤い風船から手を離し、空へと飛ばす。その風船には、カメラが付いていた。
バージルは容疑者215の仮面をし、クレムリンの宮殿の天辺に立っていた。
*クレムリン*
そしてアブディエフ将軍に変装したトリッシュと、彼女に付き従うように歩く軍服を着たルシアは、クレムリンの敷地内を歩いていた。
*赤の広場*
ニコはビデオカメラを構えながら覗くが、それは赤の広場の風景を撮影してる訳ではない。ビデオカメラ越しに、風船に取り付けたカメラの映像が見れるようになっていた。
その映像では、ニコが目的とする煙突に風船が近付きつつあった。
ニコ「装置を落とす」
ニコがビデオカメラのスイッチを押すと、空を飛ぶ風船が割れ、取り付けられていたカメラが煙突の中に落ちた。
カメラは青い光を点灯させていたが、それが赤に変わり、点滅を始めた。それは ただのカメラではなく、オリーブ財団が開発したハッキング装置であった。
*クレムリン*
トリッシュとルシアは宮殿の中に入り、金属探知機と荷物検査をクリアし、階段を上がっていく。
更に その先には、関係者か確認するためのゲートがあった。ロシアの中枢ともあって、かなり厳重だ。
そこに近づいていくと、そこで警備を担当する憲兵が椅子から立ち上がり、敬礼した。
トリッシュとルシアは そのまま素通りして奥へ行こうとしたが、その行動に敬礼していた憲兵は唖然とし、慌ててトリッシュ達を呼び止めた。
トリッシュとルシアは足を止め、面倒な事になったと思いながら、少しして振り返る。
イゴルフ「《イゴルフ》です。IDの提示を。本人確認を お願いします」
イゴルフは恐る恐る具申すると、トリッシュとルシアは そちらの方へ ゆっくりと歩を進め、憲兵の前に立つ。
トリッシュ「上官の顔も覚えられないのか」
そう言って、トリッシュは偽造した身分証を差し出し、イゴルフは緊張から固唾を飲み、身分証を機械に読み込ませる。
ルシアはコッソリとズボンのポケットからスマホを取り出し画面を見ると、ダウンロード80%と表示されており、それを横目で見たトリッシュは、早くしてくれと顔を引き攣らせる。
機械が読み込むのを待っていると、機械は該当データがないと表示し、本人確認が取れなかった。
イゴルフ「読み込めません」
ダウンロードが100%になり、それを教えるため、ルシアは爪先をトリッシュの足に当てた。
トリッシュ「もう1度やれ、2等兵」
ルシア「降格よ」
トリッシュに睨まれ、イゴルフは緊張の面持ちで再度、身分証を機械に読み込ませる。すると、今度は名前と顔写真が正しく表示された。
イゴルフ「失礼しました、将軍」
イゴルフは敬礼し、トリッシュとルシアは何も言わずに奥へと向かった。
*???*
洗脳装置に掛けられた響は、椅子に拘束されながらも暴れ、悲鳴を上げていた。
今の響は、Devil May Cry鎮守府の所属としての記憶を次々と破壊されている状態で、それは彼女に とてつもない激痛を与えていた。
その様子を、ガングートは顔色1つ変えず、淡々と見詰めていた。
次回も宜しく お願い致します!