Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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504話です!どうぞ!


Mission504 秘密研究施設〜臭いものには蓋をしろ〜

*海底洞窟 日本時間12月11日 22:07*

 

アーロン「ようこそ。私の研究施設へ」

 

正体を暴かれ、艦娘達に促され鎮守府を離れたダンテとネロ、バージル、トリッシュ、ルシア、モリソン、ニコは、深海棲艦のアカギと ほっぽの導きで、海底洞窟へと辿り着いた。

その奥へと進むと、様々な機械や設備が置かれており、偶然にも そこは、アーロンが誰にも教えていなかった秘密の研究施設だった。

 

ネロ「研究施設って・・・こんな所にかよ?」

 

ダンテ「たまに居ない時があると思えば、お前こんな所に隠れてたのか」

 

アーロン「失礼だな。静かに研究に没頭したい時は、こういう誰も寄り付かない場所にするものだよ。しかし・・・ここも君達に見付かったとなれば騒がしくなるな・・・自爆システム作動させるか」

 

ネロ「させるな」

 

アーロン「それより、君達こそ どうして、こんな辺鄙な場所まで来たんだい?」

 

アーロンの質問に、日本で悪魔だと正体が暴かれ、それによってデモが起き、軍も不穏な動きを見せ、艦娘達の手によって逃され、鎮守府を離れた事を説明した。

 

アーロン「それで ここまで・・・」

 

だがアーロンは、その説明を聞いたからと、呆れたり馬鹿にするように笑ったりもせず、まるで興味がないかのように反応が薄かった。

 

アーロン「まぁ、生きていれば そういう事もあるだろ。特にダンテ君とネロ君は、日本政府が余計な事をしたせいで、この世界で有名になってしまってるからねぇ」

 

アーロンは折角 来たから お茶ぐらい出してやると、ダンテ達を研究施設の奥へと案内する。

その途中、歩きながらアーロンは、どこか面白そうな様子でダンテとネロを見た。

 

アーロン「それで、どんな気分だい?」

 

ネロ「・・・何が?」

 

アーロン「嘗ての私と同じ、世界の敵となった気分は」

 

ダンテ「嫌味な野郎だな」

 

ネロ「いい訳ねぇだろ」

 

アーロン「だろうね。助ける理由もない別世界である この世界のために、悪魔や深海棲艦と戦い、英雄などと担ぎ上げられ、挙げ句 護ってきた人間達から手の平返しされたんだからねぇ。どうだい?もう この世界のために、悪魔と戦う気は失せてしまったかな?」

 

ネロ「関係ない。悪魔を殺すのが俺の仕事だ」

 

ダンテ「“俺達”のな」

 

モリソン「おい、俺は戦えないぞ?」

 

ニコ「私も武器を造るだけ」

 

アーロン「意思は折れないか・・・流石だ」

 

などと話していると、少し広い部屋に通された。一応この研究施設での、客間に当たる場所らしい。

簡素な部屋ではあるがテーブルと、全員が座れるだけの椅子があり、アーロンに促されダンテ達は そこに座った。

 

アーロン「お茶を用意させよう」

 

アーロンがテーブルの上にあるベルを鳴らすと、部屋に誰かが入ってきた。

 

ダンテ「・・・お前・・・どこかで見覚えがあるな」

 

そこに現れたのは、人に夢を視させて現実を食う、夢沅寺(むげんじ)の和尚、妖怪 獏念(バクネン)だった。

 

獏念「貴様・・・!?何故ここに!?」

 

ルシア「知り合い?」

 

事件後、アーロンに引き渡された後、妖怪であると判明してから珍しいという理由で、秘密裏に彼の研究所に送られていた。

 

ダンテ「何で獏念(こいつ)が ここに居るんだ?」

 

アーロン「人間でもなく悪魔でもなく、妖怪を見るのは珍しかったのでね。いいデータが取れる研究サンプルにでもなってくれるかと思ったんだが・・・」

 

あまり大したデータは取れず、不要な存在となり殺処分にでもしようかと思ったのだが、丁度 召使いみたいなのが欲しいと思っていたので、雑用を押し付けて ここで働かせているらしい。

 

アーロン「という訳で獏念君。彼らは私の客人だ。お茶の用意をしてくれたまえ」

 

獏念「は、はい・・・」

 

アーロンの言葉に大人しく従い、獏念は恐る恐る部屋から出ていった。

 

モリソン「何だか、酷く怯えてなかったか?」

 

ダンテ「何したんだ?」

 

アーロン「う〜ん・・・生きたまま解剖してみたり・・・まぁ色々だね。あ〜、腹から腸を引き摺り出した時は、酷く錯乱していたなぁ。ハッハッハッ!」

 

ネロ「何やってんだよ お前は・・・」

 

アーロン「そういう意味でも、調教済みではあるから、君達の現実を食べようとはしないから安心したまえ」

 

トリッシュ「現実 食べるって何?」

 

アーロン「まぁ彼の話は どうでもいい。それより、君達は これから どうするつもりだ?」

 

『・・・・・・・・・』

 

悪魔でもあると正体がバレ、艦娘達の協力で ここまで来た訳だが、ただ逃げて隠れてるだけでは、この世界に居る意味はない。

しかし悪魔を狩り続けようにも、今では人脈も後ろ盾も失ってしまった。動きたくても、以前のように動き回るのも難しい状況ではある。

 

ネロ「それは━━」

 

ダンテ「やる事は何も変わらねぇよ」

 

アーロン「・・・ほう・・・?」

 

ダンテ「何だろうが、悪魔が出たら ぶっ殺す。ただ それだけだ」

 

アーロン「・・・・・・いいだろう。それでこそダンテ君だ」

 

ニコ「まるで その言葉を待ってたかのような反応だな」

 

アーロン「当然だ。これで腑抜けていたら、君達に頼る意味はないからね。役立たずは必要ない」

 

ネロ「言ってくれるじゃねぇか」

 

アーロン「まぁ、やる気があるのはいい事だ。それなら、今日から ここを拠点として使いたまえ」

 

ルシア「ここを?」

 

アーロン「一緒に来たまえ」

 

アーロンは意味深な笑みを浮かべると、ダンテ達を連れて部屋を出た。

 

 

・・・・・・

 

研究施設を少し歩き、ある扉の前に着くと、アーロンはカードリーダーにカードキーを通し、扉のロックを解除した。

中に入るが、そこは真っ暗で何の部屋か分からない。

 

ネロ「ここは何だ?」

 

アーロン「サプラ〜イズ♪」

 

アーロンが電気のスイッチを入れると、照明が順番に点灯していき、部屋の中が照らされる。そこは、この研究施設で見た中で1番 広い空間が広がっていた。

 

ニコ「おいおい、何だよ こりゃ・・・?」

 

その場所を見て、ダンテ達は感心したような、少し驚いたような反応を見せた。

そこには、様々な車やバイクが置かれており、奥には大規模なコンピューター端末まである。

ダンテ達は奥へ向かいながら、置かれてる車やバイクを見ていく。

アーロンは壁側に行き、そこにあるスイッチを押すと壁が開き、中から様々な銃火器が大量に出てきた。

 

ダンテ「戦争でもするつもりだったのか?」

 

アーロン「君達が戦争する時のために、長年 集めてきた。どこに行くにしても、足と武器は必要だろ?」

 

トリッシュ「よく こんなに集めたわね」

 

アーロン「資金も貯めに貯めまくったからね」

 

ニコ「ヤバ過ぎ」

 

ネロ「けど、武器と乗り物があるだけじゃダメだ。こんな海のド真ん中じゃ、どこに悪魔が現れるかも分からないし、Mr.Jの情報すら入らないだろ」

 

武器や乗り物は、アマ・デトワール号で運べば どこでも使えるだろう。

しかし海のド真ん中では、人間達の街で今、何が起きてるのかすら情報が手に入りにくいように思える。それでは悪魔が現れたとしても、ダンテ達も気付く事ができない。

 

アーロン「そこは心配無用だ」

 

アーロンは この施設を建設するのと同時に、自分が生まれ育った古代の技術を取り入れ、コンピューターに魔を察知するシステムを組み込んでいた。それもあり、彼は明陽(めいよう)学苑で魔の気配が復活する事も事前に知っていた訳だ。

 

アーロン「それに財団を辞める時に、システムにバックドアを仕掛けておいたから、Mr.Jの情報も筒抜けだ。そちらに対しても遅れを取る事はないだろう」

 

ダンテ「言ってる事の半分も理解できないが、要は財団から情報を抜き盗ってるって事か?」

 

アーロン「そうだよ」

 

ネロ「そんな事していいのか?ステフが知ったら、怒るだけじゃ済まないぞ」

 

アーロン「辞めはしたが、手放しに任せられる状況でもないんだ、仕方ないだろ」

 

これに関しては、これ以上 問答をしても分かり合える事ではないため、ネロは呆れた顔をするだけで それ以上なにか言う事はなかった。

アーロンとしても、任せられるものなら任せたいとは思うが、自分の知識や頭脳、技術力の面でサポートする必要性が必ず出てくると考えており、オリーブ財団での全ての権限は失ったが、それで何もしないという選択肢はなかった。

 

トリッシュ「一先ず、身を寄せれる場所は確保できた訳だけど、問題は・・・これから どう動くかね」

 

ネロ「気付けば お尋ね者だからな。人間が大勢 居る街なんかに行けば、警察や政府が必ず出てくるぞ」

 

アーロン「では、今後の方針という訳ではないが、作戦会議でもするかい?私も知恵を貸すよ」

 

ダンテ「とりあえず、人間に追われながらも、悪魔だけ ぶっ倒して どうトンズラするかだな」

 

ダンテ達の目的は変わらない。その上で、今後は どう動くか話し合うのだった。

 

 

・・・・・・

 

*マンション 12月14日 1:03*

 

数日後の事だった。鹿島から情報を買い、ダンテとネロが悪魔であると暴露する記事を出した記者が、自宅であるマンションの一室で寛いでいると、不意にインターホンが鳴らされた。

記者は こんな時間に何だと訝しみ、居留守で無視したのだが、その後も何度も何度もインターホンを鳴らされ、誰が来たのかだけでも確認しようと、玄関に向かった。

ドアスコープから外を見るが、人の姿は確認できない。

 

記者「チッ、何なんだよ・・・」

 

悪戯かと思い、記者は部屋の奥に戻ろうと踵を返すが、またインターホンが鳴らされた。

イラッとした記者は、今度こそ正体を見てやろうと再びドアスコープを覗くが、やはり そこには人の姿が確認できなかった。

やっぱり悪戯かと思い、次にインターホンを鳴らしても無視を続けようと決め、部屋へ戻るために振り返った瞬間、目の前にDevil May Cry鎮守府の川内が立っていた。

 

記者「っ・・・!?お前、どこから━━」

 

記者が何か言いかけた瞬間、川内に鈍器で頭部を殴られ、倒れて意識を失った。

川内は そのまま淡々と、玄関の鍵を解錠すると、玄関扉が開いて五十鈴が入ってきた。

五十鈴は視線を下に向け、記者が倒れてるのを見ると、ジト目で川内を見た。

 

五十鈴「あんた やり過ぎ」

 

川内「何が?」

 

ダンテとネロが悪魔であると暴露する記事には、その記事を執筆した記者の名前も書かれていた。そのため記者が どこに住んでいるのかも、青葉によって簡単に突き止められ、こうして五十鈴と川内が来る事にもなった。

2人の目的は、何故あんな記事を出したのか、情報源は どこなのか、それを問い質すために来たのだが・・・。

 

五十鈴「殺すつもり?」

 

川内「私達から提督 奪った奴だよ。死んだって別に構わない」

 

五十鈴「死んでなくて良かった。死なせてたら何も聞き出せなくなってた」

 

川内「死ぬ方が幸せだったって こいつも思うんじゃない?」

 

五十鈴「復讐のために来た訳じゃない。もっと冷静になりなさい」

 

川内「・・・・・・・・・」

 

 

・・・・・・

 

数十分後、意識を失い、手足を縛られ横になる記者の顔面に、ウイスキーが掛けられた。突然の事に驚き、記者は噎せながら目を覚ました。

 

記者「な、何だ・・・!?俺は いったい・・・」

 

五十鈴「おはよう、記者さん。お昼寝はできたかしら?」

 

記者は自分の周りで充満する香りとビショビショの状態から、インターホンが鳴らされるまで自分が呑んでいたウイスキーを掛けられたのだと気付いた。

 

記者「勿体ない事を・・・。お前ら、Devil May Cry鎮守府の艦娘か」

 

五十鈴「あら。よく分かったわね」

 

記者「このタイミングで俺の所に来る艦娘なんて、そこしか考えられないだろ」

 

五十鈴「こんな状況でも頭は冷静に回るようね。頭は大丈夫?痛まない?かなり強く殴られたでしょ」

 

記者「お陰様でガンガンしてるよ」

 

川内「酒で痛覚 鈍ってるくせに適当なこと言うなよ」

 

五十鈴「川内、話は私がするから」

 

五十鈴は冷静な行動が取れなくなってる川内を睨み黙らせると、申し訳なさそうな苦笑を浮かべながら記者に向き直った。

 

五十鈴「ごめんなさいね。私の相方、あなたの記事のせいで凄〜く怒ってるの」

 

記者「そっちの艦娘に言ってやれ。俺を どうこうしようとしても、何も変わらないってな」

 

五十鈴「・・・どういう意味かしら?」

 

記者「お前らが俺の所に来た考えられる理由は、俺の命か、情報源を吐かせるためか、その両方だ。けど残念だったな。記事は もう出たんだ。今更 俺を殺しても何も変わらないし、情報も自分の足で探して見付けたネタだ。つまり俺自身が情報源って訳だ。無駄足になったな」

 

五十鈴「そうでもないわよ」

 

記事「・・・何?」

 

五十鈴「あんたの事は、うちの青葉さんが調べ上げた」

 

正直に言って、この記者の経歴や仕事の成果は大した事はない。これまで出してきた記事は、鳴かず飛ばずの内容で、芸能人などの有名人のプライベートを追い、人の粗探しをしたようなネタを書くだけ。

記事のネタになった張本人に打撃を与えられる訳でもなく、世間を あっと驚かせザワつかせる訳でもなかった。

 

五十鈴「そんな三流記者が、セキュリティの整った鎮守府のトップシークレットを突き止められるはずがない。もっと言うなら━━」

 

しかも記事と共に載っていた写真は、あのルキフェルスが魔王となった最後の戦いでの、魔人化したダンテとネロの写真だった。

それが おかしいのだ。あの時Devil May Cry鎮守府は、ルキフェルとの戦いが始まる前まで、魔界化の中で取り残された民間人を避難させていた。

手遅れだった者は全員、クリフォトの養分となり命を落としている。

更に写真のアングルから、撮られたのは どう考えても、魔王ルキフェルスとの戦いの傍。魔剣士達や艦娘達が吹き飛ばされる程の激戦区で、ただの人間である記者が呑気に写真を撮ってられるような場所でもなかった。

 

五十鈴「私達 艦娘ですら、その場に居るだけで命を落とし兼ねないリスクがある場所で、あなたが あんな写真を撮れるとは到底 思えない」

 

記者「・・・・・・・・・」

 

五十鈴「まだ認めるつもりはないって目をしてるわね。そう。なら・・・当時の事は、私も離れた場所に居て直接 目にしてないから、ここからは私の相方が説明するわ」

 

そう言って五十鈴が後ろに下がると、川内が記者の前に立ち見下ろす。

 

川内「あの時、ルキフェルスの攻撃は想像を絶する威力を持ってた」

 

記者「それが何だって━━」

 

記者が口を挟んだ瞬間、川内に顔を殴られた。

 

川内「話は最後まで聞けよ。常識だろ」

 

五十鈴「川内?」

 

五十鈴に咎められ、川内は自分を落ち着かせるために大きく息を吐き出し、話を再開するために口を開く。

 

川内「強大な悪魔との戦いに慣れてる提督達ですら何度も吹き飛ばされて、意識を失う程だった。私達 艦娘も、その戦いの余波で吹き飛ばされて、近付けない程だった。そんな中で、人間が あの場所に留まれる余裕なんてないんだよ。ましてや、写真を撮るなんてね」

 

記者「偉そうに御高説 垂れてるが、俺は記者だ。そこにある真実を、ありのまま世間に伝えるのが俺の仕事だ。あの写真は俺が撮ったんだ!」

 

川内「お前こそ記者が どうのこうのと御高説 垂れてるけど、そんなタマじゃないでしょうが。セコい記事しか書けないくせに。もし お前が本当に、あの場所で、あの写真を撮ったって言うなら、普通なら死んでなきゃ おかしいんだよ」

 

五十鈴「あの時あの場所に居たのは、Devil May Cry鎮守府のメンバーと、協力者達だけだった。協力者の中には普通の人間も居たけど、特別な訓練を受けた元軍人、元傭兵。何かしらの訓練を受けた事があるなら兎も角、何もしてこなかった あなたが あの場所に居るのは不可能なのよ」

 

記者は五十鈴と川内の言い分に返す言葉もなく、2人から目を逸らした。

 

五十鈴「あの写真を撮れるのは、あの場所に居た者だけ。その中には、鎮守府を裏切った鹿島さんも居た・・・彼女なんでしょ?あなたに、提督が悪魔だと情報を売ったのは」

 

記者「・・・・・・名前は知らない」

 

記者は観念したのか、あの暴露記事を出す切っ掛けから話し始めた。

ある日 非通知で連絡が来て、お金を払ってでも あるネタを記事にしてほしいと頼まれた。

最初は胡散臭いと思ったが、記者としての直感から お金になる予感がし、約束の場所で落ち合う事にした。そこに現れたのは、銀髪ツインテールの少女で、何が楽しいのか、妙にニコニコと笑みを浮かべていた。

 

川内「その特徴、間違いなく鹿島さんだね」

 

五十鈴「やっぱりか・・・」

 

そのまま情報と写真を受け取り、口座に お金が振り込まれていたこと以外は、記者自身、何も知らなかった。鹿島の名前も、その正体も。

 

記者「お前らが知りたい事は全部 話した。俺の知ってる事は全部な。だから俺を解放してくれ」

 

川内「・・・解放?なに言ってるの?」

 

記者「・・・・・・は・・・?どういう事だ・・・?」

 

川内「私達が ここに来て問い詰めた時点で、提督が悪魔だって認めた事になる。そんな状態で、お前を野放しにすると思う?」

 

記者「・・・・・・ちょっと待ってくれよ・・・俺を本気で殺すつもりなのか・・・?知ってる事は全部 話したじゃねぇか!解けよ!!放せよ!!」

 

喚く記者を冷たい眼差しで見る川内は、彼の胸ぐらを掴み引き寄せると、顔を近付ける。

 

川内「お前は知り過ぎたんだよ・・・悪いけど、消えてもらうから」

 

記者「待ってくれ!!頼む!!助けてくれ!!助けてぇ!!!」

 

川内「お前も記者の端くれなら、()()呉鎮守府の事くらいは小耳に挟んでるでしょ?」

 

記者「呉・・・鎮守府・・・?昔と言うと・・・・・・まさか・・・!?」

 

川内「そう・・・私達は()呉鎮守府の艦娘。殺しも何でもやった、黒い噂が絶えない原因の張本人。そこまで言えば、お前も理解できるでしょ?私達に都合が悪い障害は、生かしておかないって」

 

五十鈴「まっ、そういう事だから」

 

記者「ひぃっ・・・!?」

 

間近で川内が邪悪な笑みを浮かべ、艦娘2人の正体を知った記者は その顔を見て、自分の末路を悟り小さな悲鳴を上げるのだった。

 

 

・・・・・・

 

記者を乗せた黒いバンが走り去り、マンションの前で それを見送った五十鈴と川内。

記者はオリーブ財団の方で処理してもらう事になった。

川内は“生かしておかない”と言ったが、命まで奪うつもりはなかった。

オリーブ財団の力で、記者に関する全ての情報は抹消される。彼が居たという痕跡さえも。つまり、最初から この世に存在していなかった事になるのだ。

オリーブ財団が彼を どう処分するのか、五十鈴と川内も そこまでは知らないが、かなり甘い処分になれば、これまでの人生を捨てさせ、その人生で知った事は秘匿する事を確約させ、別人としての人生を与えられる事になるだろう。少なくとも、日本に彼の居場所は もう無い。

その後、日本で その記者を見た者は居なかった。

 

五十鈴「さて、嬉しくないけど予想通りってとこ?」

 

川内「そうだね。鹿島さんが動いてたなら、やっぱり今回の事は、Mr.Jが関わってたと考える根拠にはなる」

 

五十鈴「悪魔に深海棲艦、Mr.J、オマケに今の私達の状況・・・やる事が山積みなんだけど」

 

川内「だね」

 

五十鈴「いったい何から手を付ければいいのやら・・・」

 

川内「でも、それらは全部 繋がってる気はする。それ以外にも、ノヴァやセリーナ、ベルゼも含めて、いつも裏には、その影が見え隠れしてた。だから どれか突けば、他も連動で動き始める気がするんだよね」

 

五十鈴「蜂の巣を突くようなものね・・・」

 

川内「そうだよ。でも、1番 手っ取り早いのも それしかない。加賀さんや財団のステフも、そう考えてるみたいだしね」

 

五十鈴「ま〜た とんでもない事になりそうな予感」

 

川内「街で魔界化が起きた時よりはマシなのを願おう」

 

五十鈴と川内は、記者との話で判明した事と、彼の顛末を話すために、一旦 鎮守府へと戻るのだった。




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