Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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506話です!どうぞ!


Mission506 平行同位体〜狂っていく時空〜

平行世界から来たと言うジョージと、彼の仲間の導きで、艦娘達と大将は あきつ丸が囚われてるとされる謎のラボへ足を踏み込む。

そこには異形の怪物が何体も保管されており、それらは囚われた あきつ丸を研究して創られた彼女の複製体だった。

怪物が保管されてる不気味なラボの探索を続け、艦娘達は閉じ込められてる あきつ丸を見付け、遂に再会を果たす。

あきつ丸が行方不明になって凡そ8ヶ月。彼女は その間の記憶が曖昧で、妙に話も噛み合わなかった。

あきつ丸の事で気になる事や疑問は残るが、今度はラボからの脱出を目指すのだった。

 

 

*オリーブ財団 12月19日 3:14*

 

一方その頃、世界各地で同じ異常が起きていた。

それはオリーブ財団でも察知しており、謎の異常現象に慌ただしくなっていた。

そんな中、ステフと(たける)刹那(せつな)は本部の外で、空を見上げていた。

 

ステフ「何が起きてるの・・・!?」

 

健「分からない・・・こんなの普通じゃない・・・」

 

刹那「空が・・・赤い?」

 

夜である この時間、本来なら空は真っ暗なはずだが、空に浮かぶ月は不気味な程に真っ赤に輝き、空も赤黒く染まっていた。

更に雷鳴と共に稲妻が瞬き、嵐でも近付いてるかのように強風が吹く。

この空の異常は世界中で起きているため、誰もが この異常な現象を目にし、混乱していた。中には、世界の終わりだと絶望する者まで出てきている。

 

ステフ「この異常現象の安全が判るまで、市民の避難を促すわ!」

 

健「分かった!各方面への連絡は僕が!」

 

刹那「私は部隊と一緒に街へ!警察と連携 取って避難させる!」

 

ステフ達は各々 迅速に自分の役割を決め、本部の中へと戻り行動を開始する。

 

 

*秘密研究所*

 

同じ頃ダンテ達の方でも、異常を検知していた。

アーロンの秘密研究所内にはアラートが鳴り響き、顔を顰めていた。

 

ネロ「どうしたんだ?」

 

アーロンは巨大端末を操作し、アラートが鳴る原因を探っていく。それによって判明した事実に、アーロンは目を見開いた。

 

アーロン「(次元が不安定になってるだと!?バカな!まだ猶予はあったはず・・・なぜ!?)」

 

ダンテ「おい、何か判ったなら説明しろ。うるさくて昼寝もできやしねぇ」

 

アーロン「君達が無理矢理こっちの世界に戻った時、“世界の境界線が崩壊し始めた”と言ったろ?」

 

ネロ「・・・それが何だ?」

 

アーロン「その影響で、次元が不安定になってる」

 

ネロ「・・・だから次元が不安定って どういう意味だ?何が起きる?」

 

アーロン「この世界が消滅しようとしてるって意味だ!」

 

ネロ「はぁ!?」

 

アーロン「しかも この世界だけの話じゃない!君達の世界や他の平行世界でも異常が発生してるはずだ!それ程の事態だ!」

 

トリッシュ「対策は?」

 

アーロン「分からない」

 

ネロ「分からない事ないだろ、どうにかしろよ!」

 

アーロン「分からないんだ!分かってれば私だって こんなに慌ててはいない!」

 

『・・・・・・・・・』

 

アーロン「本来なら君達を元の世界に送り返し、世界を あるべき状態に戻せば解決する話だった。だが そうしなかったのは、こんな事態になるには まだ猶予があったからだ。まだ大丈夫だったはずが おかしな事に、境界線の崩壊が加速してしまってる!」

 

トリッシュ「何か打つ手はあるはずでしょ?私達全員を元の世界に送り返せば?」

 

アーロン「もう手遅れだ。今更 君達を元の世界に戻したところで、加速した崩壊を止められる訳じゃない」

 

ネロ「じゃあ、世界が消滅するのを ただ見てろって事か?!」

 

アーロン「(・・・・・・手がない訳ではない。だが それをするには、崩壊を加速させてる原因を取り除き、切っ掛けとなったダンテ君達の存在を完全に消し去るしかないが・・・・・・流石に本人達には言えないよな・・・)」

 

存在を消し去れば この世界から消滅し、人々の記憶からも消え、最初から存在してなかった事になる。だが そうなれば、ノヴァや悪魔に対抗できる唯一の手段が失われ、アーロンも安易に その選択ができない話だった。

 

ダンテ「やれる事がないなら せめて このアラート止めろ!!うるさくて仕方ねぇ!!」

 

ネロ「世界が消滅するかもしれないって時に、呑気に昼寝かよ?!」

 

ダンテ「救う方法が見付かったら教えてくれ。アーロン!!さっきからビービーうるせぇ この音さっさと止めろ!!」

 

ルシア「(はぁ・・・手伝いなんか引き受けず、デュマーリ島に居れば良かった・・・)」

 

外では赤い空が元の夜空に戻っていたが、雷鳴は轟き稲妻が迸り、強風は吹いたままだった。更に雨も降り出し、世界中で悪天候となっていた。

 

 

*ラボ*

 

そして世界の境界線の崩壊が加速する原因となる、平行世界のアーロンが この世界に造ったラボでは、あきつ丸を救出した艦娘達は世界で異常が起きてると知らないまま、出口を目指していた。

ジョージと その仲間の先導で歩いていたが、どういう訳か来た道とは反対の道に進んでいた。

自動ドアを通り何かの部屋に入ると、そこにある物を見て艦娘達は驚いた。そこにあったのは、部屋の中心でホログラムによって映し出される巨大な脳ミソだった。

 

天龍「何だ これ!?」

 

鈴谷「何これ・・・!?」

 

潮「脳ミソ・・・?」

 

摩耶「何か居る!?」

 

脳ミソを映すホログラムの機械の向こう側には、手足が長い人型の異形が拘束されていた。

更に異形の傍には、手術道具も見付かった。

 

朧「これ あきつ丸さんの脳ミソ?」

 

漣「デカ過ぎない?あきつ丸さんの脳ミソ・・・」

 

あきつ丸「”あきつ丸さんの“じゃないであります!自分のじゃないであります絶対!」

 

摩耶「もっと小さいだろ あきつ丸のは」

 

あきつ丸「馬鹿にしてるであります こいつ!」

 

ジョージ「大変 残念ですけど・・・」ヒソヒソ・・・

 

どうやらジョージの話では、この部屋に拘束されている異形は彼と同じ組織に所属していたようで、既に死んでいるようだ。

ただ、ジョージと その仲間が悲しんでる様子はなかった。

 

ジョージ「残念ですね」ヒソヒソ・・・

 

天龍「こいつ名前なんて言うんだ?」

 

ジョージ「分かりません、既に死んでますんで。彼を この世界に送ったのは、私ではありませんから、どうして ここに居るかも分かりません」ヒソヒソ・・・

 

あきつ丸「どういう事であります・・・?」

 

漣「何にも分かんない・・・」

 

武蔵「落ち着け あきつ丸」

 

あきつ丸「自分は ずっと こんな所に居たでありますか・・・?実験されたでありますか・・・?」

 

那智「大丈夫だ、落ち着け」

 

あきつ丸「自分は ああされるでありますか!?」

 

大和「大丈夫だから」

 

あきつ丸「あなた誰であります?」

 

半狂乱気味になる あきつ丸を落ち着かせると、彼女はジョージを見て、今になって やっと彼の存在に気付いた。ずっと混乱していたので、それも仕方ないのかもしれない。

 

山城「あと、アイオワさんは居ない」

 

あきつ丸「ステフ━━あれ?アイオワ殿は!?」

 

摩耶「あいつは もう居なくなったよ」

 

あきつ丸「え?」

 

摩耶「あいつは提督にフラレて、それで居なくなった」(嘘)

 

あきつ丸「良かった・・・」

 

加賀「“良かった”?」

 

明石「“良かった”!?」

 

摩耶「良かったなぁ ほんとに」

 

天龍「あぁ、良かったな」

 

何が良かったのかは、深掘りしない方がいいだろう。余計な波風を立てる必要もない。

拘束されてる異形に話を戻すが、ジョージの話では、異形に繋げられてる装置は死者を蘇らせる莫大なパワーを司っているらしいのだが、今は もう壊れてるとの事だった。

 

木曾「じゃあ生き返らないって事か」

 

ジョージ「そうですね、()()。何とも言えませんけど」ヒソヒソ・・・

 

するとジョージは、懐から小型の装置を取り出した。しかし その装置は壊れていて、用途不明だった。

 

ジョージ「これを渡しておきます、上手く使ってください」ヒソヒソ・・・

 

夕張「これを使う・・・?」

 

長門「これは夕張にしかできないかもしれない」

 

夕張「あっ!?」

 

渡された夕張が装置を観察していると、時雨の中から出てきたシャドウが その装置を食べてしまい、すぐに時雨の中に戻ってしまった。

 

夕張「食べちゃった・・・」

 

『え〜っ!?』

 

木曾「何してんだ!おい!」

 

夕張「違う違う違う!私じゃなくてシャドウが!シャドウが食べちゃったんだって!」

 

加賀「時雨、シャドウに吐き出すように言って」

 

時雨「もう手遅れだよ」

 

夕張「ジョージ、もう1個 持ってない?」

 

ジョージ「はい大丈夫です」ヒソヒソ・・・

 

阿武隈「大丈夫なんだ」

 

ジョージ「それはレプリカなんで」ヒソヒソ・・・

 

『レプリカなんだ』

 

加古「良かった〜」

 

龍驤「何で最初にレプリカ渡す?」

 

ジョージ「とりあえず帰りますか」ヒソヒソ・・・

 

漣「うん、帰ろう、皆で帰ろう」

 

蒼龍「あきつ丸ボンベ無いじゃん」

 

あきつ丸「ボンベ?何で皆ボンベ着けてるでありますか?!」

 

神通「まぁまぁまぁ、帰りましょう」

 

漣「あきつ丸さんなら息 続きますよ」

 

かなり無責任な事を言ってるが、本当に続くだろうか?

 

あきつ丸「今・・・いま自分のポケットには、ビールとビーフジャーキーしか入ってないであります」

 

龍驤「何でビールとビーフジャーキーは持ってんねん?!」

 

衣笠「もしかして晩酌中に拉致られた?」

 

変なタイミングで拉致された可能性がある あきつ丸に、艦娘達は笑っていた。

 

 

・・・・・・

 

そして来た道を引き返し、吹き抜けになってる場所まで戻ってくると、ずっと黙っていたジョージが立ち止まって口を開く。

 

ジョージ「皆さん よく聞いてください」ヒソヒソ・・・

 

『はい』

 

ジョージ「この先 非常識な話をすると、何が起きるか分かりませんから、もし何かがあったら、私を置いてでもいいので何とか逃げ帰ってください」ヒソヒソ・・・

 

そう言うとジョージは再び歩き出し、艦娘達と大将も それに追従する。

 

摩耶「分かった」

 

鳳翔「そんな・・・」

 

古鷹「置いて帰るって、ジョージさんを?」

 

長門「そんな事できる訳ないだろ」

 

皆はジョージを置いていく事はできないと納得していなかったが、摩耶が即答で受け入れていた事に関しては、誰も突っ込まなかった。

 

摩耶「ジョージ」

 

ジョージ「はい」ヒソヒソ・・・

 

摩耶「あきつ丸を解放する事に、お前の組織の方は納得してるのか?」

 

その質問に対し、ジョージは彼の仲間に どう思うか意見を求めた。すると その仲間は、腕を組み首を傾げた。

 

ジョージ「なるほど、正直どうでもいいらしいです」ヒソヒソ・・・

 

摩耶「ああ そうなんだ!?」

 

あまりにも拍子抜けする回答に、艦娘達は予想外すぎて爆笑した。

 

ジョージ「正直 攻撃されるかと思いましたけど大丈夫でしたね」ヒソヒソ・・・

 

摩耶「大丈夫だった、良かった〜」

 

平行世界のと言っても、ここはアーロンの平行同位体━━別次元(平行世界・パラレルワールド)の全く同じ人物━━が造ったラボだ。敵対してるジョージや他の者達の侵入に気付き何か仕掛けてくるかと思っていたが、あきつ丸も何事もなく救出でき、ここまで何もなかった。しかし、ここまで何もないのが逆に不気味でもあった。

 

あきつ丸「ここには誰も居なかったでありますか?」

 

衣笠「いや、聞こえたよ実際」

 

あきつ丸と再会する少し前、衣笠は何かの鳴き声を聞いていた。その鳴き声の正体は、今も謎のままだ。

 

?「お前ら ここで何してんだ?」

 

天龍「それは━━うわっ!?」

 

橋のようになってる通路の中腹まで行くと、遠くから何者かの声がし、皆は驚き立ち止まる。

 

阿武隈「え、何?何?」

 

木曾「誰だ?」

 

飛鷹「今、アーロンっぽい声が」

 

長門「誰だ、こんな所に?」

 

摩耶「いま気持ち悪い声が聞こえた」

 

声の主を探すように、艦娘達は歩を進め更に通路を渡っていく。

すると・・・

 

那珂「あーっ、右!」

 

天龍「うわっ!」

 

北上「うわっ!」

 

大井「うわっ!」

 

鬼怒「居る!」

 

那珂の声に釣られるように右に振り向くと、崖となってる場所に人影が居た。そこに居たのは艦娘達も見知った顔の、若い姿のアーロンだった。

だが、彼は艦娘達が よく知る この世界アーロンではなかった。平行世界に存在するはずの、アーロンの平行同位体だった。

 

天龍「何だアーロン?」

 

陸奥「アーロン何で こんな所に?」

 

パラレル・アーロン「何で こんなとこに勝手に来てんだ おい?」

 

吹雪「え、あ、え・・・」

 

若葉「“勝手に”って何だ?」

 

浦風「勝手にって・・・」

 

摩耶「イキり方が凄い」

 

五十鈴「イ、イキり方・・・?」

 

大将「我々は あきつ丸を助けに来た」

 

武蔵「何か文句でもあるのか?」

 

大和「こんな所に あきつ丸を閉じ込めておいて・・・!」

 

パラレル・アーロン「おい、ジョージ君」

 

ジョージ「はい」ヒソヒソ・・・

 

天龍「おい、ちょっと待てよ。ジョージの仲間が銃 構えてるぞ」

 

ジョージと共に ここまで案内してくれた彼の仲間は、アーロンの平行同位体を警戒して銃を構えていた。それを見て、艦娘達も事の重大さを思い出し、緊張が走る。

 

パラレル・アーロン「ジョージ君」

 

ジョージ「はい」ヒソヒソ・・・

 

パラレル・アーロン「君がね、勝手に こんなとこに来てもらっちゃ困るんだよ」

 

白露「怒ってる・・・」ボソッ・・・

 

ジョージ「私は救いに来たんですよ あきつ丸を」ヒソヒソ・・・

 

パラレル・アーロン「君がね、新しい“歪み”を生んだら困るんだよ」

 

『歪み・・・?』

 

この世界のアーロンなら その言葉の意味が解ったかもしれないが、艦娘達や大将には その意味が全く理解できなかった。

 

パラレル・アーロン「昔から、私の邪魔をするよね。世界の均衡を荒らしたいのか君は?」

 

摩耶「いや どういうこと?」ヒソヒソ・・・

 

以前ジョージから聞いた話では、アーロンの平行同位体が全ての平行世界を破滅させる実験を行っているような事を言っていたが、いま目の前に居るアーロンの平行同位体の口振りでは、まるで そうなるのを良しとしていないかのように聞こえる。これは どういう事だ?

するとジョージが、仲間にアーロンの平行同位体を撃つように言った。

 

パラレル・アーロン「おい」

 

ジョージの仲間は指示に従い銃を撃ち、いきなりで艦娘達と大将は驚愕する。

撃たれたアーロンの平行同位体は、血を流しながら倒れ込むように、奈落へと落ちていった。

 

木曾「おいおい!」

 

漣「いいの!?」

 

隼鷹「殺しちゃったぞ!?」

 

摩耶「バイバーイ!」

 

だが奈落の底へ消えたアーロンの平行同位体は、何もなかったかのように いつの間にか、また崖の上に無傷で立っていた。

 

摩耶「えー死なねー!?」

 

天龍「(自分達の知ってる)アーロンと違うぞアレ!」

 

この世界のアーロンは既に不老不死ではなくなっているため、目の前のアーロンの平行同位体が撃たれても死なない事に、この世界のアーロンとは根本的に何かが違うと艦娘達は思い知る事になる。

 

パラレル・アーロン「意味ない事は知ってるだろ君も。私に逆らうのは やめたらいいんじゃないのか そろそろ」

 

ジョージ「嫌です」ヒソヒソ・・・

 

長門「アーロンは世界融合させようとしてるのか この世を?!」

 

パラレル・アーロン「・・・何だ それは?」

 

長門「え?」

 

文月「違うの〜?」

 

浜風「聞いてた話と違う・・・」

 

パラレル・アーロン「真実を私が君に言うと思うか?」

 

摩耶「あ、確かに・・・」

 

自慢気に計画の詳細を話し邪魔されては困るだろう。アーロンの平行同位体も、そこまで馬鹿ではないという事かもしれない。

 

阿賀野「え、あ、いや、でも・・・」

 

パラレル・アーロン「知ろうとするな」

 

ジョージ「嫌です私達にも知る権利はありますから」ヒソヒソ・・・

 

巻雲「そうですよー!」

 

あきつ丸「どういう事であります?」

 

パラレル・アーロン「知らない方がいい事もあるだろ。さっさと行け。でないとな━━」

 

ジョージ「嫌です」ヒソヒソ・・・

 

パラレル・アーロン「おう、いいのか?これ以上 知ろうとするな、こうなるぞ」

 

アーロンの平行同位体が手を向けてくると、自然発火現象を発生させてジョージが火達磨になり、彼は死んだ。それを見て、艦娘達は阿鼻叫喚となる。

 

夕張「ジョージ!?」

 

木曾「ジョージ!」

 

天龍「ジョージ!」

 

ジョージの仲間はジョージが殺された事に怒り、仇討ちでアーロンの平行同位体に銃を撃つが、彼もジョージと同じく火達磨にされ死んでしまった。

 

摩耶「みんな逃げろ!逃げろ逃げろ!」

 

天龍「急げ!」

 

一瞬でジョージと その仲間が殺されたのを目にし、艦娘達と大将は本能的にマズいと思い、形振り構わず その場から逃げ出し、出口を目指す。

 

天龍「早く!!」

 

パラレル・アーロン「殺されたいのか お前達も?!」

 

摩耶「嫌だ!」

 

天龍「一旦 逃げろ!一旦ここは撤退だ!一旦 撤退だ!」

 

パラレル・アーロン「もう戻ってくるんじゃねぇぞ!」

 

摩耶「おい、“戻ってくるな”って!」

 

木曾「駄目だ。もう あいつに逆らうな」

 

那珂「無理しちゃ駄目だよ川内ちゃん!」

 

神通「姉さん!」

 

その場に残ってアーロンの平行同位体を倒そうとする川内を後ろに、蒼龍と摩耶、最上が先に水路へ飛び込み、泳いで反対側に出ると、入り口だった洞窟の外へと出た。

外は既に夜が明け、明るくなっていた。

 

摩耶「駄目だ・・・危なかった・・・」

 

最上「ここに居ちゃ駄目だ━━えっ!?何これ!?」

 

摩耶「風の音が凄い」

 

外では強風が吹いてるのだが、その風は どこか、身体に纏わり付くような重苦しさが感じられた。

 

最上「外━━月が赤い!」

 

蒼龍「えっ!?」

 

摩耶「えっ!?えっ!?」

 

蒼龍と摩耶は空を見上げるが、明るくなった空には どこにも月は見えなかった。

 

摩耶「えっ、月・・・?」

 

最上「月が赤い!」

 

摩耶「何を言ってるんだ最上!?」

 

蒼龍「そんな事ないよ」

 

摩耶「あたし達には見えないよ」

 

すると最上の説明では、いま見える空の話ではなく、SNSに投稿された写真の話だった。

それを聞き、蒼龍と摩耶はスマホを取り出し確認してみる。すると、多くの人が赤黒い空に浮かぶ真っ赤な月の写真をアップし、大騒ぎしていた。

 

摩耶「何だ これ!?・・・・・・何これ?」

 

蒼龍「(世界融合)始まった?」

 

摩耶「始まってる これ」

 

最上「早く外に出た方がいい。早く外に」

 

蒼龍「死にたいの?」

 

摩耶「映画だったら死んでるって」

 

3人に続いて出てくる者がなく、心配になって洞窟に引き返すのだが、他に誰1人として水溜りから出てくる者は居なかった。

 

摩耶「居なくなってない皆!?」

 

その時、まるでアーロンの平行同位体の怒りを表すかのように雷鳴が轟いた。

 

摩耶「うわっ!?雷が!」

 

蒼龍「ヤバーい!」

 

3人は外に出てみると、晴れていた空は曇天に覆われ、霧も発生し、風も更に強まっていた。

 

蒼龍「もう帰ろうよ」

 

摩耶「いや駄目だよ。置いていっちゃいけない」

 

蒼龍「うわぁ〜・・・!」

 

稲光と共に雷鳴が轟く中、蒼龍は泣きそうな声を出しながら また洞窟に戻る。

すると水溜りの中から、次々と艦娘達と大将が浮上し、蒼龍と摩耶、最上は安心した。

皆で洞窟から出て空を見上げてると、豪雨まで降り出した。

 

明石「これ、夕張が貰ったやつで どうにかするしかないんじゃない?」

 

夕張「これで?うわっ!?増えてる!」

 

那珂「何!?」

 

由良「何が?」

 

ジョージから受け取った装置を確認すると、何故か装置が増殖していた。

夕張は装置が増えた分、何人かの艦娘に配る事にした。

 

夕張「これ何に使うの?決して使用しないでね」

 

摩耶「これシャドウみたいに食べれんのかな?」

 

鈴谷「絶対ダメだよ!」

 

伊勢「ちょっと洞窟に入らない?」

 

酒匂「濡れちゃう」

 

加賀「雷 危ないから」

 

 

・・・・・・

 

*ロサンゼルス・ルーケンズ山 10:23*

 

天気が回復するのを待ってから下山した艦娘達と大将は、バスに乗り一旦オリーブ財団に向かおうと走り出す。

 

天龍「・・・・・・ジョージもう居ないんだよな?」

 

加賀「ジョージは あの場所に・・・」

 

あきつ丸「アレは ほんとにアーロンでありますか?」

 

摩耶「だと思うけどねぇ」

 

陽炎「いや〜アーロンだと思いますよ」

 

霰「でも・・・撃たれても復活した・・・」

 

天龍「人間じゃないだろアレは!」

 

木曾「元から人間だったかアーロンって?」

 

『えっ・・・』

 

明石「確かに・・・」

 

漣「変な魔法みたいなの使うもんね」

 

山城「急に、ポンと消えたり・・・いきなり現れたり」

 

摩耶「どうしたらいいんだ?」

 

今回の件に唯一 詳しいはずのジョージは もう居ない。そのため、話の全貌が見えない艦娘達には、これ以上どうにかする術がなかった。

 

 

・・・・・・

 

*ロサンゼルス 街 11:20*

 

艦娘達と大将を乗せて、ロサンゼルスの街へと戻ってきたバスだったが、そこで異変が起きた。彼女達と共に一瞬にしてバスが消えたのだ。

 

 

*オリーブ財団 ヘリポート*

 

次の瞬間、バスはオリーブ財団本部の上に現れ落下する。

 

『うわぁあああああ!!!!』

 

突然の浮遊感に艦娘達は悲鳴を上げ、衝撃と共に浮遊感がなくなり窓から外を見てみると、何故かオリーブ財団本部の屋上にあるヘリポートに居た。

 

天龍「何だ!?」

 

漣「何!?」

 

摩耶「おいおい、いよいよ時空が もう・・・」

 

木曾「もう駄目だ・・・」

 

混乱しつつも、異常現象に巻き込まれたバスに このまま乗ってるのも危険だと判断し、艦娘達と大将は続々と降りていく。

 

高雄「降りて早く!早く降りて!」

 

そんな中、夕張と あきつ丸だけ動かず、降りようとしなかった。

しかも あきつ丸に至っては、意味の分からない事を叫んでいた。それを見て、皆は焦って早く降りるよう怒鳴る。

 

あきつ丸「世界が!世界が!」

 

武蔵「早く降りろ あきつ丸!」

 

大将「あきつ丸!」

 

明石「夕張も その装置 後回しでいいから早く降りて!」

 

矢矧「夕張!」

 

あきつ丸「皆、動いておりますか世界が?」

 

大和「動いてるわよ」

 

あきつ丸「動かない。世界が、止まったままであります。あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"!!!!」

 

大和「あきつ丸!あきつ丸!!」

 

あきつ丸は喉が張り裂けんばかりの絶叫をし、それを聞いた大和が悲鳴に近い声で あきつ丸の名を呼ぶと、バスの中に残っていた夕張と あきつ丸が一瞬にして消えた。

 

『あーっ!?』

 

大和「あきつ丸!!」

 

天龍「嘘だろ!?」

 

五十鈴「あれ?川内は?」

 

那珂「川内ちゃんも消えた!」

 

何故か、バスの外に居たはずの川内も、忽然と消えてしまっていた。

 

摩耶「また連れ戻されたのか?」

 

阿賀野「何か足 速くなった気がする、見てて」

 

そう言って阿賀野は その辺を走り回るのだが・・・

 

由良「全然 普通。全然いつもと一緒だよ」

 

気のせいだった。

 

深雪「え、今“ヤバそう”って言って鳥海さんも居なくならなかった?」

 

摩耶「鳥海!?」

 

愛宕「あれ?居ない」

 

摩耶「鳥海?」

 

気付けば、鳥海まで姿を消してしまっていた。

直後、漣の様子が おかしかった。彼女は黙々とバスを見たまま、動かなかったのだ。

心配した皆は漣に近付き声を掛けるが、彼女は振り返りもせず、返事も返さない。

 

龍田「ショックで気絶した?」

 

曙「立ったまま?」

 

次の瞬間、皆の目の前から一瞬にして漣が消えた。

 

『あーっ!!えーっ!?』

 

 

・・・・・・

 

数時間後、消えた者達を心配して皆がヘリポートに残っていると、突然 消えた者達が同時に現れた。

 

大潮「あー!あきつ丸さん!」

 

皆は心配して、消えた者達に駆け寄った。

 

あきつ丸「いや・・・ただいまー皆ただいまーであります!」

 

『おかえりー!』

 

あきつ丸「はぁー良かった。皆、自分はアーロンじゃないであります大丈夫であります。いつも皆の事を見ていたであります」

 

いきなり訊いてもない事を あきつ丸が答え出し、その あまりの不自然さに皆は固まった。

 

天龍「・・・・・・え、どういうこと?」

 

阿武隈「おかしい おかしい!」

 

摩耶「なに言ってんだ こいつ!?」

 

あきつ丸「さっ、財団本部に戻るであります」

 

あきつ丸は何事もなかったかのように、オリーブ財団本部の中に入っていってしまった。

 

天龍「誰だ あいつ?」

 

摩耶「本物の あきつ丸かアレ?」

 

鈴谷「え、分かんない」

 

あきつ丸の不自然さに、皆は他の消えていた者達に、消えていた間なにがあったのか訊いたのだが、彼女達は消えていた間の記憶が全くなかった。そのため、何があったのか不明だった。

 

摩耶「漣、アーロンじゃないよな?」

 

漣「なに言ってるんですか?あんな恐ろしい人と一緒にしないでください・・・!」

 

摩耶「あー良かった・・・」

 

曙「これは漣ね」

 

如月「間違いなく知り過ぎましたね」

 

磯波「そうだよ。顔も覚えられたよ私達・・・」

 

その後ステフに事の顛末を話し、オリーブ財団の部隊がルーケンズ山へ調査に向かった。

艦娘達が話した洞窟と、その中に水溜りは確かにあったのだが、しかし彼女達の話とは違い水溜りは浅く、その下にあるはずの水路も存在していなかった。艦娘達が見たラボは、この世界から忽然と消えていた。

平行同位体であるアーロンが何をしようとしてるのか、ジョージが言っていたように本当に全ての平行世界を融合させようとしてるのか、今は何もかもが分からなかった。

しかし全ての平行世界が消滅してしまう程の危機は、病が身体を蝕むように ゆっくりと、確かに近付きつつあった。




前回と今回に関わる核心となる お話は、しばらく先となる予定です。ただ、《Devil May Cry》シリーズから沢山の様々なキャラを一斉に出す予定なので、恐らく お祭り回のようになると思います。
そして次回は突然の急展開となりますが、お付き合いいただけたら幸いです。
そして また、しばらく投稿できないと思います、すみません!
できるだけ急ぐようにします。

次回も宜しく お願い致します!
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