Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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評価ありがとうございます!

今回から急展開となり、ちゃんと本筋の話も進み始める予定です。

507話です!どうぞ!


Mission507 チェルノブイリ〜謎のエネルギー実験施設〜

*病院 日本時間12月21日 11:35*

 

ロサンゼルスから戻った大将は、この日 病院にて検査を受けていた。

検査結果が出て医師と話していたが、大将と医師の様子から、あまり いい結果ではなかったようだ。

 

 

・・・・・・

 

大将が病院から出て帰路に就くと、その背中を見詰める者が居た。鳳翔だった。

鳳翔は大将に声を掛ける事なく、病院の中に入っていった。

以前大将は、歳を考えて海軍を辞める旨を鳳翔に伝えたが、鳳翔自身は それだけが理由ではないと勘繰っていた。

そこで青葉に、大将の身辺調査を頼んでいたのだが、それによって定期的に、病院に通っている事が判明したのだ。

 

 

・・・・・・

 

鳳翔は大将の身内だと言い、なぜ病院に大将が通ってるのか医師に問い質した。

 

医師「彼は・・・癌なんです」

 

鳳翔「え・・・?」

 

大将が癌を患ってると知り、鳳翔の頭は真っ白になった。

詳しく話を聞くと まだ初期段階らしいのだが、内視鏡治療や化学療法が必要なため入院するよう言ったが、何故か大将は それを断り続けているそうだ。

今は初期段階であるが、癌が転移したり進行速度が速まれば、今のままでは済まなくなる。

 

 

・・・・・・

 

*大将の自宅 14:41*

 

病院から出た鳳翔は大将に連絡を取り、強い口調で すぐに会うように言った。

そして2人は、大将の自宅で話す事になった。

 

大将「会って話したいなど、急に どうした?ダンテの事もある。今は余計な疑いを向けられぬよう、会わない方がいいと思うぞ」

 

鳳翔「・・・・・・・・・」

 

大将「・・・鳳翔?」

 

鳳翔「・・・あなたこそ、私に話すべき事があるのでは?」

 

大将は1度 鳳翔から目を逸らし、何の事か分からない様子で考える。

 

大将「・・・・・・いや、ないぞ」

 

鳳翔「ご家族は ご存知なんですか?佐世保の提督や、単冠湾泊地の提督は」

 

大将「だから何の話━━」

 

鳳翔「私に嘘を吐きましたね?!退役する理由を歳だからと言ってましたが、あれは嘘ですね?!どうして癌なのを黙ってたんですか?!」

 

大将「・・・・・・・・・」

 

鳳翔は青葉に調べさせて知った事を謝罪しつつ、入院も断り続けてる事も知ってるとした上で、入院するよう捲し立てた。しかし、大将は首を横に振った。

 

鳳翔「どうして?!」

 

大将「俺は軍人だ。死は覚悟の上で生きてきた。今更 長生きしようとは思わん」

 

大将が言い終わった瞬間、彼は鳳翔から平手打ちを浴びせられた。

大将が静かに鳳翔へ顔を向き直ると、彼女は涙を流しながら睨んでいた。

 

大将「鳳翔・・・」

 

鳳翔「私だって戦いに身を置く立場です!誰かの死を、自分の死を覚悟はしています!それでも・・・少しでも長く、生きていてほしいと願わない訳じゃない!」

 

大将「鳳翔、俺は━━」

 

鳳翔「聞きたくありません!」

 

大将「おい、俺の話を聞いてくれ!悪い癖が出てるぞ!?」

 

鳳翔「あなたの覚悟は軍人としては誉れなのかもしれない。けれど、今の時代、そんな覚悟なんて何の意味もない!ただ生きる事を諦め、逃げてるだけじゃない!」

 

大将「命を賭して国を護る、それが軍人だ!お前が それを、覚悟を否定するのか?!」

 

鳳翔「あきつ丸さんを救い出す時も無理矢理 付いてきたのは、もう死んでもいいと、今すぐ死んでもいいと思っての行動なんでしょ?!親より子が先に死ぬなんて、そんな親不孝な真似しないでください!」

 

大将「親ではない、“親代わり”だ」

 

鳳翔は また平手打ちを浴びせると立ち上がり、出ていった。

残された大将は、ヒリヒリと痛む頬に触れると、考えは変わらないと言わんばかりに目を伏せるのだった。

その後 泣きながら帰ってきた鳳翔に艦娘達は驚き、訳を訊くが鳳翔は何も答えず泣き続け、艦娘達は困惑しながらも彼女に寄り添い、慰めるのだった。

 

 

・・・・・・

 

*オリーブ財団 ブリーフィングルーム アメリカ時間12月21日 0:41*

 

鳳翔が大将と会っていた同時刻、オリーブ財団でも思わぬ事態が発生した。アメリカ大統領から連絡が入ったのだ。

ブリーフィングルームの大型スクリーンには大統領が映り、ステフが直接 対応に当たり、(たける)刹那(せつな)も傍に控えていた。

 

大統領『オリーブ財団は解体する事が決定した』

 

その決定に、健と刹那は驚いた様子の顔で、互いの顔を見合わせた。

 

ステフ「待ってください、どういう事です?」

 

大統領『オリーブ財団は これまで、事件の解決に尽力してくれた。しかし同時に、国家間の問題を起こす事も少なくなかった。君達には様々な権限を与えていたが、私は それが原因だと考えている』

 

ステフ「権限の問題なら、活動の規模を縮小するだけで済む話では?」

 

大統領『済む訳がない。ブラウン本部長、君はDevil May Cry鎮守府の者達を財団のメンバーにした。奴らが悪魔であるという情報が確定した今、政府内でも君達が“敵のスパイ”、“裏切り者”ではないかという意見が出ている』

 

ステフ「大統領、あなたは知ってるはずです。財団は これまで、国家の敵となる者の陰謀を阻止し、世界の均衡を守るために手を尽くしてきたと。そのために何人もの諜報員が、自分の命を懸けてきた」

 

大統領『君の言いたい事は理解してるつもりだ。だがオリーブ財団を このままにしておくのは、国家の危機だと判断した』

 

大統領は そのまま、世界中に散らばるオリーブ財団の諜報員は全員、速やかに国へ帰国させるよう厳命し、オリーブ財団は本日付で解体となり、所属するメンバーも与えられていた権限は全て剥奪される事となった。

 

大統領『それと、君達が保有する情報は全て、FBIとCIAに引き渡すように。彼らが君達の任務を引き継ぐ。オリーブ財団は これまで存在しなかった事になる。アメリカ政府との関係も一切ない。これまでも、これからも』

 

ステフ「大統領、1つ聞かせて」

 

大統領『・・・何だ?私は忙しい。手短に頼む』

 

ステフ「どこから圧力を掛けられたの?」

 

ステフは今回の決定に、裏で何者かの力が働いてるのではないかと、長年 諜報員として活動してきた勘のようなものを感じていた。

もし大統領が何者かに脅されていて、今回の決定を下すしかない状況であるなら、自分達なら助けられるという意味も含めて追及したが・・・

 

大統領『・・・・・・話は以上だ』

 

大統領は何も言わず通信を切ってしまった。

ステフは もう どうしようもないと、諦めたように目を伏せ、健と刹那は不安そうに、彼女を見ていた。

 

健「僕達どうなるの?」

 

ステフ「聞いた通りよ」

 

刹那「急すぎて意味 分かんない」

 

ステフ「オリーブ財団は事実上 消滅。関連情報は全て抹消され、政府との繋がりもなかった事になる。所属メンバーに関しても同様で、諜報活動と捜査権限が剥奪された事により、実質クビよ」

 

健「おかしいって!僕達は ずっと、危険を冒して犯罪者やテロリストを止めてきた!なのに、その見返りがクビ?」

 

ステフ「そうよ」

 

健「ハッ・・・何だよ このクソみたいな話・・・。やっぱり政府は、いつも自分達の都合しか考えてないんだ!」

 

健は怒ってブリーフィングルームから出ていってしまい、その背中を見送った刹那は、改めてステフに向き直った。

 

刹那「これでいいの?」

 

ステフ「ホワイトハウスの決定よ。覆す決定的な切り札(カード)が無い」

 

刹那「らしくないね。ステフは“破壊神”と呼ばれた凄腕のスパイでしょ」

 

ステフ「私を その名で呼ばないで」

 

刹那「なのに、このまま引き下がるの?バージル達も見付けられてない。Mr.Jも止めれてないまま」

 

ステフ「私は()政府の人間よ。大統領の考えを変えさせられるなら私だって そうしたい。けど今の私は、それができるだけの権限が もうないの」

 

刹那「・・・・・・・・・」

 

ステフ「あなたも健も、普通の生活に戻りなさい。命を懸けずに済む、普通の人生に」

 

刹那「・・・・・・分かった・・・」

 

刹那は諦めたように、ブリーフィングルームから出ていった。

それを寂しそうに見送ったステフは、オリーブ財団 解体に向け、本部長としての最後の仕事を始めるのだった。

 

 

・・・・・・

 

*空港 8:36*

 

朝、空港に荷物を持った健と刹那の姿があった。

 

刹那「健は どうするの?」

 

健「僕?僕は こっちで、就職活動でもしようかなって。そっちは?」

 

刹那「私は お姉ちゃんの仕事 手伝う事にした」

 

「「・・・・・・・・・」」

 

健「あー、こういうのってさ・・・何か気まずいよね」

 

刹那「うん、かもね。じゃあ・・・私こっちだから。じゃあね」

 

健「あ、うん・・・それじゃ」

 

健はアメリカに残って就職活動する事にし、刹那は真田(さなだ)産業を引き継いだ姉の茉優(まゆ)の仕事を手伝うため、日本に帰国する事にした。

2人は別れを惜しみつつ、それぞれが乗る飛行機の搭乗口へ向かった。

そしてオリーブ財団が解体された事は、ステフからDevil May Cry鎮守府にも連絡が行った。

加賀はダンテ達を探すための大きな協力者を失った事に、頭を抱える事になった。

 

 

・・・・・・

 

*ワシントンD.C・街 1月4日 7:45*

 

それから半月後、ワシントンD.Cの街にある家に、Yシャツだけを着た青葉の姿があった。

青葉は階段を上がり寝室に向かうと、椅子に置いてあったウサギの ぬいぐるみを手に取り、ベッドで寝てる健を見る。

 

青葉「私のヒーロー、起きる時間よ」

 

青葉の声に、寝ていた健はパチッと目を開けて起きた。

実は健がワシントンD.Cで職探しをするのを機に、青葉は健と同棲するためDevil May Cry鎮守府を辞め、今は解体されて艤装との繋がりもなくなり、普通の人間となっていた。

青葉はベッドに歩み寄ると、笑顔を見せながらウサギの ぬいぐるみを掲げた。

 

健「それ何?」

 

青葉「お守りのウサちゃん」

 

青葉はウサギの ぬいぐるみを投げ渡すと、健は それを片手でキャッチする。

 

健「うわぁ、気持ちは嬉しいけど、ウサギの お守りって、普通は この部分(脚)だけを使うもんだろ?ウサギの脚が幸運の お守り」

 

すると青葉はベッドの上に上がり、健の上に跨がるように乗った。

 

青葉「お守りなんて何でもいいの。ん?気持ちの持ちようなんだから。今日は大事な日だよ」

 

青葉は甘えるように健に凭れ掛かり、健も青葉の頭を軽く撫でるが、青葉は すぐに離れてしまった。

 

青葉「さぁ起きて。ほらナイスなネクタイして」

 

健「うん」

 

青葉「ランチの お金は要る?」

 

青葉は自分が着る服を見繕いながら、健の方に振り返りながら訊く。すると、健の顔は曇った。

 

健「・・・いや、ランチの お金は間に合ってる。昨日のランチ代の残りがある。面白がってる?僕を玩具にしてるだろ?」

 

青葉「ふふ、玩具の恋人君♪」

 

青葉は笑みを浮かべながら階段を降りていき、ベッドから出た健は その背中を見ながらジーパンを履く。

 

健「世界を何度も救ってるのに就職 決まらないなんてヘコむよ」

 

青葉「皆あなたの活躍 知らないのよ健君、でも青葉は知ってるけど」

 

健「政府がワシントンで仕事くれたっていいよね。何で僕に艦娘と仕事させてくれないんだ?」

 

青葉「政府の お陰でサイバーテロの罪は不問にしてもらったんでしょ。大統領は勲章くれたし」

 

健は過去の栄光を懐かしむように、笑みを浮かべて壁に飾ってあった勲章に目を向ける。

 

青葉「でも人生最大のラッキーは その後でしょ?」

 

健はファイアー・セールによるサイバーテロを通じて、青葉と出会う事になった。

その後もDevil May Cry鎮守府に協力し、オリーブ財団の任務を経て、2人は自然と惹かれ合うように付き合う事になった。

 

青葉「ほら今は就職難だから」

 

健「急がないと、来週 衣笠さん達が来るのに、まだ無職だってバレたら お仕置きだよ、もうタイムリミット」

 

青葉「いいよ、じゃあ仕事あげる。ロマンチックなディナータイムにして。そしたら、ボーナスあげてもいいよ」

 

そして青葉は、仕事に向かうため上着を着込んだ。

 

青葉「普通の彼氏とは大違い」

 

健「そこが好きなんだろ?」

 

青葉「今のままじゃ恋人未満ね。あなたが半分 家賃を払えるようになるまではね」

 

健「・・・・・・じゃあね」

 

そして青葉は一足 早く、仕事に向かうため出ていった。

 

 

・・・・・・

 

遅れて健も、面接に向かうためにジーパンにカッターシャツ、スーツの上着を口に咥え、両手に鞄とスマホを手に家から出る。

 

那智「ここ停めて平気か?」

 

足柄「大丈夫、レッカーされないわよ」

 

妙高「青葉さんと健君は どこ?」

 

家の前に停まるバスから、浮かれた格好の衣笠と妙高型、羽黒の恋人であるフィルが降りてきて、健は口から上着を落として固まった。

すると衣笠と妙高型も、健が居る事に気付いて名を呼ぶ。しかし健は、他人の振りをしながら家の中に引き返していった。

 

衣笠「もう何?それ笑える、アハー」

 

健「会いたかったよ皆」

 

衣笠「でしょ?」

 

観念した健は再び衣笠達の前に姿を見せ、久し振りの再会を喜ぶようにハグをしていく。

 

足柄「美人の彼女は どこ?青葉は?」

 

健「出掛けたよ、新しい仕事」

 

衣笠「そう」

 

健「来るの来週じゃなかった?」

 

羽黒「仕事が前倒しで終わったので、急いで来ちゃいました」

 

健は話を聞きながら上着を着て、その格好に衣笠達が目敏く気付く。

 

衣笠「あら、出掛けるとこだった?もしかして、会社とか?」

 

那智「やっと決まったか、心配したぞ」

 

やっと就職できたのかと、衣笠達は安心したように笑みを浮かべるのだが、反対に健の顔からは明るさが消えた。

 

健「・・・あ〜、こ、これから、面接なんだよ」

 

足柄「・・・・・・そう、良かったじゃない」

 

妙高「良くない」

 

足柄「やめて」

 

小言が始まりそうなのを足柄が止め、それに反論したそうな妙高が顔を向けると、足柄は小さく首を横に振った。

 

健「そう暗くならないでよ。折角ワシントンで、皆が集まったんだから、楽しんでよ」

 

那智「しかしなぁ、先ずは仕事がないとは━━」

 

健「ほら、行ってみたい所とか、あるでしょ?」

 

足柄「えぇ」

 

健「美術館とか」

 

足柄「まぁ、面接があるだけマシじゃない」

 

那智「土産はやらんぞ」

 

健は面接に行くのに車を使うため、ガレージに向かう。その後ろを、衣笠達も付いていく。

 

衣笠「健、面接に行くなら ちゃんとしたズボン履かなきゃ」

 

健「そっちこそマトモな服 着てよ」

 

妙高「悪魔にすら仕事があるのに」

 

足柄「やめて」

 

フィルは人間と同等の力しかない魔界生まれの悪魔だが、主を裏切り羽黒と付き合うようになってからは、自力でフラワーショップの経営を始め軌道に乗っていた。

妙高は そんなフィルと健を比較し、足柄が即座に やめさせる。

健はオンボロの車に乗り込みエンジンを掛けようとするが、調子が悪くエンジンが掛からず、苛立ちからハンドルを叩いた。

 

足柄「いらっしゃい、乗せてあげる」

 

このままでは健が可哀想なので、衣笠達はバスで牽引していた車で、彼を面接のある会社へと送る事にした。

 

 

・・・・・・

 

*ウクライナ某所 ウクライナ時間1月1日 14:33*

 

以前バミューダ海域でDevil May Cry鎮守府に助けられた事がある、元CIAの戦術部隊の隊長クリス・ウィーラーは現在、軍に出向し、対悪魔専門の特殊部隊を率いる司令官となっていた。

そんな彼の部隊に、ある電話が入った。その電話の相手は、悪魔に関する情報を伝えたいので、内密でウクライナまで来てほしいと言ってきた。

どうやらウクライナ政府の関係者のようで、罠の可能性も低いと判断し、クリスが1人で密会する事にして、3日前にウクライナへと訪問していた。

 

ボスコット「私は《ボスコット》。ウクライナ・エネルギー省の法務部長だ。ここでの会話は、公にはできないので そのつもりで。閉鎖された施設で、ある物が発見された。恐らく それには、悪魔が関与している」

 

クリス「・・・・・・・・・」

 

ボスコット「その施設の名は、《チェルノブイリ》」

 

 

・・・・・・

 

*チェルノブイリ 1月4日 16:03*

 

そして現在、クリスは部隊を編成し、悪魔に関与するとされる物を回収するため、チェルノブイリへと来ていた。

部隊の中には元Devil May Cry鎮守府のアメリカ艦と、内密に協力を要請して来てもらった飛鷹と時雨も居た。

オリーブ財団が解体された事で、所属していたメリーランドとマサチューセッツも この部隊に合流している。

合流予定地点に到着すると、ボスコットとウクライナ兵士達が待っていた。

 

クリス「ボスコットさん、ここは86年から閉鎖?この先 当分 人は住めないだろうと聞きましたが」

 

ボスコット「恐らくな。ウクライナは、豊かな土地だったのに、残念だ。こちらへ」

 

クリス「装備 用意!立ち入り時間は60分!レベルをモニターしろ!」

 

部隊は防護服を着て、ボスコットの案内で目的地へと向かう。

 

クリス「ボスコットさん、防護服は?」

 

ボスコットは防護服を着ず、そのまま隔離された建物の中へと入っていき、部隊は困惑しながらも その後ろを追従していく。

建物の中へ入っていくと、そこは嘗て学校だったのか、子供が描いたと思われる絵や、勉強机や椅子が当時のまま置かれており、異様な程に大量のマスクが散乱し、荒れ果てていた。

 

クリス「防護服を着ないんですか?」

 

ボスコット「私はいい。今更 防ごうとは思わん。ここを通っていく」

 

 

・・・・・・

 

そのままボスコットに付いていくと、巨大な施設に到着し中に入った。

 

ボスコット「《ミューリ》が下へ案内する。あと1つウィーラー、話がある。ここで、あるエネルギー実験が・・・」

 

建物の中で、赤い目を光らせる何かが、部隊とボスコットを見ていた。

 

ボスコット「・・・・・・い、いや、何でもない!」

 

それに気付いたボスコットは、怯えた様子で その場から立ち去った。

 

 

・・・・・・

 

ボスコットの部下であるミューリの案内で、部隊は兵装を構え警戒しながら、施設を進んでいく。

 

クリス「付いてこい、いいな?よし、ここだ。サウスダコタ、確認した」

 

そこには、何なのか不明である装置があった。それはアルファベットのCのような形をしており、球体状の物体が繋がっていた。

 

クリス「何か金属の、輪っかのような物を嵌めてある。・・・これは・・・?」

 

視線を下に移すと、床に大きなケースが置かれていた。

小さな瓦礫片を払うと・・・

 

クリス「おい、ソビエトの宇宙探査計画のマークが付いてある」

 

すると、エネルギー反応をモニターしていた隊員が持つ機械が、何かを感じ取りアラームが鳴る。

 

隊員「エネルギー反応あり。強くなってる。下から・・・どんどん近付いてくる」

 

隊員の言葉に部隊が警戒してると、地響きのような音と振動が大きくなっていき、壁を破壊しながら掘削機のように回転する口を持つ、巨大な金属の触手が現れた。

 

クリス「危ない!!」

 

隊員「うわっ、デケェ!!」

 

クリス「下がれ!!」

 

部隊は兵装で応戦するが、金属の触手が何本も現れ、狭い足場では部隊も満足に戦えなかった。

そんな中 触手の1本が、球体状の物体を掴み持ち去っていく。

 

アイオワ「地上に戻って!!行け行け行けー!!」

 

外では、施設を破壊する金属の巨大なミミズのような巨魔と並走するように、サウスダコタが大型トラックを走らせ追い掛けていた。

 

サウスダコタ「うわぁああああ!!!」

 

巨魔が いきなり方向転換して前に出た事で、大型トラックは巨魔に ぶつかり、吹き飛ぶように横転すると、サウスダコタが外に投げ出された。

 

クリス「急げ、行け!兵装を構えろ!」

 

地上へと出た部隊が戦闘に入るが、地中から出てくる幾つもの触手に翻弄され、戦況は芳しくなかった。

 

クリス「下がれ!周りを囲まれた!来い!急げ!」

 

そんな中 軽巡の艦娘が飛び出し、球体状の物体を掴む触手を砲撃で吹き飛ばす。

すると動きを止めた巨魔の中から、1つ眼の人型悪魔が姿を現した。

 

悪魔『艦娘共

 

しかし姿を現したが、悪魔は すぐに巨魔の中へと戻り、巨魔と共に撤退していってしまった。

 

クリス「今の奴は何だ?」

 

すると、飛鷹の中からグリフォンが現れた。

 

グリフォン『アーロンから前に聞いた。あいつは、《ヘルナログ》だ

 

ダンテ達の世界の魔界では、魔銃を造る“魔界の銃工”マキャヴェリが存在するように、艦娘の世界の魔界では、マキャヴェリに相当するのが さっきのヘルナログらしい。恐らく あの金属の巨魔も、ヘルナログが造り出した兵器の一種なのだろう。

クリスは地面に落ちてる球体状の物体に近付くと、しゃがみ込んで それを見る。

 

クリス「何故これを狙ってた?」

 

だがグリフォンは それを見ると、驚いたように目を見開いた。

グリフォンは、バージルがネロアンジェロだった時の記憶、悪夢そのものだ。だからネロアンジェロが魔界で見た物は、グリフォンも記憶として持っていた。

 

グリフォン『何でだ!?有り得ない!これは膨大なエネルギーを生み出す永久機関だ!

 

飛鷹「永久機関?」

 

グリフォン『何で これが人間の手に渡ってるんだ?

 

グリフォンは この永久機関が、魔界の奥 深くに残されたままだと記憶しており、人間界に渡ってるのは有り得ないと驚愕していたが、それはダンテ達の世界での話であり、艦娘の世界では また訳が違うのかもしれない。

 

 

・・・・・・

 

*シカゴ・街 アメリカ時間1月4日 10:00*

 

クリス率いる特殊部隊がヘルナログと巨魔の襲撃に遭った頃、シカゴにあるビルのMr.Jのオフィスでは、彼と鹿島が居た。

そこで空間が歪み、中からセリーナとベルゼが現れた。

 

ベルゼ「よう、J」

 

J「さて、役者は揃ったな」

 

ベルゼ「ハッ、この取引も いよいよ大詰めって訳だ。しかし人間ってのは時に、悪魔以上に狡猾だな」

 

J「どういう事かね?」

 

ベルゼ「ダンテ達を追い込むために、あいつらの正体を暴く記事を出させ、艦娘共の元から離れさせた。挙句、一国の大統領を脅し、奴らの後ろ盾であるオリーブ財団を解体させる。結果、ダンテ達は孤立し、人間共も敵に回さざるを得なくした」

 

J「いい取引を持ち込んでくれた君への、ちょっとした感謝を込めたショーだと思ってくれ。悪くなかっただろ?」

 

ベルゼ「あぁ。あそこまで あいつらを追い込んだ人間は、アンタが初めてかもな。恐れ入ったよ」

 

J「だが まだ足りん。邪魔者は、死ぬまで邪魔だからな」

 

ベルゼ「あいつらの命まで取ろうってか?アンタ、やっぱり悪魔になる素質あるぜ」

 

J「悪魔も、私にとっては目的を達成するための手段に過ぎん。“秩序の名の下に”、私が この世界を導いてやるのだ」

 

ベルゼ「(世界を導く?ハッ、もう神にでもなったつもりなのか このジジイは。こっちからすれば、テメェも目的を達成するための手段に過ぎねぇんだよ。まぁ、今の内に夢を見てればいいさ)」

 

ベルゼとMr.Jが話してる間、鹿島はニコニコと笑いながらセリーナへ近寄った。

 

セリーナ「魔力が また上がってるな。訓練は続けてるようだ」

 

鹿島「はい♪お陰様で、私も魔女の仲間入りが果たせました。あなたの お陰ですよ、セリーナさん」

 

セリーナがノヴァ側に寝返った後、鹿島はセリーナから素質を見抜かれ、密かに魔術を教わり魔女としての訓練を受けていた。だから鹿島は、Devil May Cry鎮守府とオリーブ財団を裏切った あの日、ダンテが見てる前で悪魔を召喚する事もできた。

 

セリーナ「だが魔術を使えたからと、半魔達に勝てる訳ではないぞ」

 

鹿島「心配ありません。艦娘の肉体に あなたから教わった魔術。そして私の頭脳が合わされば、きっと目的は成就するでしょうから」

 

セリーナ「(妾も気紛れで、久し振りに弟子を取ってみたが、鹿島(こいつ)の腹の内は、底が知れん。まるで何か、別の目的を持っているような・・・)」

 

健が就職難で苦しんでる裏で、それぞれ思惑を持つ者達が大きく動き出そうとしていた。それは日本で起きた魔界化に相当する、脅威となりつつ近付いていた。

世界の敵となっても悪魔と戦おうとするダンテ達、現状を打破しようと足掻く艦娘達、悩む健。彼らは、目前まで迫る脅威に どう立ち向かうのか?

Mr.Jの計画は、最終段階へと入った。




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