Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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508話です!どうぞ!


Mission508 宇宙計画〜新しい職場〜

日本海軍 大将が、癌を患ってる事が判明した。

鳳翔は その事で、彼と喧嘩別れしてしまう。

それと同時に、アメリカ大統領命令により、オリーブ財団の解体が決定してしまう。

本部長のステフは大統領命令に逆らう事ができず受け入れるしかなく、財団メンバーは政府関係者としての立場を全て失ってしまう。

半月後、無職になった(たける)は就職難に苦しんでいた。

その裏でクリス・ウィーラー率いる特殊部隊は、ウクライナ・エネルギー省の法務部長、ボスコットからのタレコミで、悪魔に関与する物体を回収するためチェルノブイリへと向かった。

部隊を編成して物体は見付けたのだが、そこで幾つもの触手を持つ、巨大な金属のミミズのような巨魔の襲撃に遭い、物体を奪取されてしまう。

部隊は巨魔に応戦して物体は取り戻すが、巨魔を操る悪魔ヘルナログが現れる。

ヘルナログと巨魔は撤退したが、ヘルナログが奪おうとした物体は、魔界産の膨大なエネルギーを生み出す永久機関だった。

思わぬ事態と様々な謎が残る中、Mr.Jの計画は最終段階へと入り動き始めていた。

 

 

*チェルノブイリ ウクライナ時間1月4日 16:59*

 

特殊部隊がヘルナログと巨魔を退けた頃、ボスコットは転びながらも、周囲を見ながら怯えた様子で逃げていた。

それを赤い目を光らせる鳥型悪魔が、涎を垂らしながら建物の窓から見ていた。

ボスコットは怯えた様子は そのままに、自分が乗ってきた白いリムジンの中に逃げ込む。

すると鳥型悪魔は窓を突き破り、リムジンに迫りながら光弾を発射する。

リムジンの周りを旋回しながらボンネットに止まり、中を見ると、ボスコットは光弾に貫かれ絶命していた。

 

悪魔『一緒に働けて良かったよ

 

鳥型悪魔はボスコットの命を奪った事に罪悪感などなく、逆に笑っていた。

 

 

・・・・・・

 

*ワシントンD.C・街 アメリカ時間1月4日 9:27*

 

少し時間を戻し、これから面接を受ける健のため、那智と足柄は車で送ってあげる事にした。

その車内で健は妙に静かで、那智も黙々と運転し、足柄が ずっと喋り倒していた。

 

足柄「面接 楽しみ、ワクワクするわね。ちょっと、ガム噛んだら?緊張すると口が めっちゃ臭くなるわよ」

 

大事な面接であるため頭の中で整理したい事もあるのに、ずっと喋り続ける足柄のせいで健は落ち着かない様子だった。

 

 

・・・・・・

 

その後3社も面接を受けたのだが、健は全部 不採用になった。

また別の会社の面接が終わるのを待っていた間、那智は会社のロビーの階段に座りながらホットドッグを食べていた。

すると、面接が終わった健が戻ってきた。4社目も落ちた。

 

那智「胸焼けがする」

 

健「そう?」

 

那智「あぁ」

 

健「ホットドッグ胃薬漬けにして食べる?で、解決」

 

那智「うん」

 

すると健のスマホに連絡が入り、懐から取り出し確認すると、次の面接の連絡だった。

 

健「来たぁ。面接が入った、行くよ」

 

足柄「・・・那智姉さん!」

 

次の面接に向かうため健は駆け出したのに、那智は その場から動かず呑気にホットドッグを食べ続けるので、流石に足柄も黙ってられなかった。遅刻する。

 

 

・・・・・・

 

そして5社目の面接を受けに来た健は、そこで その会社のCEOである白髪の男性と会う事になった。

 

CEO「座って。さて、君はタケル・スギヤマ君だね?職務経験ほぼゼロ」

 

健の経歴と言うと、ブラックリストに乗る元ハッカーで、その後は諜報機関の職員。履歴書には書けないし一般社会の仕事に就いた事もない。

 

CEO「にも拘わらず・・・何故か役員会からの推薦状付き・・・驚き桃の木だね」

 

推薦状の話が出て、健は眉を顰めた。

 

健「僕、コネありました?」

 

CEO「知っての通り、我が、《アキュレッタシステムズ》は航空宇宙産業のリーダーだ。昨年の収益は170億ドル。得意先は国防省やNASA(ナサ)ジェット推進研究所(JPL)。うちで結果を出せば、将来が拓ける」

 

収益と取引先を聞き、夢がありそうな職場に感じた健の顔に自然と笑みが浮かぶ。何より、死ぬような事をしなくてもいい職場なのが より魅力的に感じる。

 

CEO「最初の職場が、その後の人生を決める。順調にキャリアを積みステップアップできるか、それとも人生、落ちる所まで落ちていくか どうかだ」

 

健は緊張した面持ちで、大きく頷いた。

 

CEO「全て、次の私の言葉に君が どう答えるかに懸かっている。アピールしろ」

 

健「・・・今?」

 

CEO「アピールしろ」

 

健「いきなりなんで どこから始めたらいいか━━」

 

CEO「アピールしろ」

 

健「質問には何でも答えます」

 

CEO「じゃあ訊くが、君は切れ者か?」

 

健「そうです」

 

CEO「バリバリ攻めるタイプか?」

 

健「切れます、ナイフみたいに」

 

CEO「つまり攻めるタイプか」

 

健「攻めます。ヴァイキングのように。それが僕。ドカーンと行く」

 

そういう人材を欲してるのだと思い、健はCEOの質問を全て肯定する。

するとCEOは、自分の後ろに飾ってあった写真立てを手に取り、健に見えるようデスクの上に置く。そこに写っていたのは赤いチャイナ服を着て、闘争心 丸出しの顔でファイティングポーズを取るCEOだった。

それを見て、調子に乗っていた健の顔から笑みが消えて固まった。

 

CEO「うちは そういうタイプは求めてない。おべっか使いやゴマすり野郎は お断りだ、うちは・・・」

 

喋ってる途中で、CEOはオフィスの光景で気になる事が目に入り、言葉が止まった。

そして彼は、透かさず内線を繋げる。

 

秘書『はい、Mr.《ブラドス》』

 

ブラドス「あーそこに居る《ションテル》君は、何で また、赤いカップを使ってるのかね?ここは、赤のフロアじゃないだろ、黄色のフロアだ」

 

秘書『対処します』

 

健が後ろを振り向くと、1人の男性社員がゴミ箱を抱えて颯爽と現れた。

 

ブラドス「これは、このオフィスの美観を損なう行為だ。辞めさせろ」

 

社員「バカ者めが」

 

男性社員は仕事中の女性社員ションテルの横を通り過ぎる瞬間、彼女が使っていた赤いマグカップをゴミ箱に入れながら立ち去っていった。

 

ブラドス「不愉快だ!ご苦労!まったく秩序がなってない」

 

健が もう1度 後ろに振り向くと、ションテルが泣きながらオフィスから姿を消した。

 

健「あのー・・・募集してるのは管理部門のスタッフでしたっけ?」

 

ブラドス「いや、メール係」

 

つまり、会社に届いた手紙や、社内での資料を各部署に届けるだけの仕事。ただの雑用係だった。

 

健「・・・失礼します」

 

ただの雑用係だと判り、健は辞退して帰ろうとする。

 

ブラドス「あー分かってるかね?どれだけの、名門大のエリート達が ここに入りたがっているか━━」

 

健「僕は何度も あなたの命を救ったんですよ。いつ どこで、どうやって救ったか、それは、言えませんが、それだけの事をしたんだから、もう ちょっと意味のある仕事をしたい」

 

健としては、オリーブ財団での任務は死の危険に直面する事も多く、文句を言いたくなる事も多かったが、それでも充実していたし、オリーブ財団での日々が忘れられなかった。だから同じでなくても、もっと やり甲斐のある仕事をしたかった。

 

健「もう結構です。どうも、じゃあ」

 

ブラドス「まぁ待て」

 

健は帰ろうとしたが、ブラドスCEOは それを止めた。健の話を聞き、彼に何か特別なものを感じていた。

 

ブラドス「この仕事の先に、別の仕事がある。だが、先ずは この仕事が最初のハードルだ。君だったら見事に やって退けると信じているよ。君は若い頃の、私にソックリだ」

 

健に肩を組み説得するブラドスCEOは、そのまま健に手を差し出した。健は その手を掴み握手を交わし、いいように丸め込まれた。

 

 

・・・・・・

 

*ワシントンD.C.某所 15:25*

 

面接が終わり、一旦 家に戻った健は衣笠達と別れ、自分のオンボロ車で青葉の今の職場に向かっていた。

 

健「やぁ、青葉 居ます?」

 

青葉の職場である会社に着き、受付で青葉との面会を希望すると、程なくして中に通され、青葉が居るとされるフロアへ向かう。

向かう途中、会社の中で犬2匹を散歩させてる社員も居てビックリである。

 

健「青葉さん!」ヒソヒソ・・・

 

青葉「ちょっと失礼」

 

車が飾られたフロアで青葉を見付け、できるだけ小声で、それでも彼女には聞こえるように青葉を呼ぶと、仕事中だった青葉も健に気付き、彼の方に向かう。

 

青葉「面接 受かった?」

 

健「ここスッゴいな」

 

青葉「ねぇ受かった?」

 

健「あぁ」

 

青葉「言ったでしょ、お守り(バニー)の お陰」

 

健が面接に受かったと知り、青葉は自分の事のように喜び、健とハグする。

 

青葉「青葉に感謝してよ」

 

健「惚れ直した?」

 

青葉「ちょっとだけね」

 

健「オフィスに《スペ◯ス・マウ◯テン》があるなんて聞いてないよ」

 

青葉「素敵でしょ、ここ?それに、オーナーも格好いいの。最高にクール」

 

健「へぇ」

 

?「タケル」

 

そこに1人の男性が、秘書である高齢の女性と現れ、健の名を呼んだ。

青葉と楽しそうに話していた健は振り返るが、知らない男が自分の名を知ってる事に、その顔から笑みが消える。

 

ディラン「《ディラン・グールド》だ」

 

健「どうも」

 

ディランが名乗った事で、健は この男性の正体に気付いた。青葉から話は聞いており、このディランが、今の青葉の雇い主で、このオフィスのオーナーであると。

そしてディランが手を差し出し、健も手を出し握手を交わす。

 

健「どうぞ宜しく」

 

ディラン「あぁ、こちらこそ。青葉から噂は聞いてる」

 

健「僕もですよ。ここ、いいオフィスですね。まるで《エンタープライズ》号みたい」

 

ディラン「ハハッ、雨漏りするがね。青葉にコレクションの管理を任せる前は ここも、ゴチャゴチャ。だが車の修復は順調だし、今年こそは大会で優勝するよ」

 

オフィスにはレーサーの格好をしたディランの写真とトロフィーが、幾つも飾られていた。

このディランは会計事務所を経営しており、趣味で希少な車を何台もコレクションしている程で、自身もレースに参加するほど車への情熱を向けている。

しかも巨大企業の株も所有する資産家でもある。

 

ディラン「見てろ。なんたって この青葉は、僕の秘密兵器だ」

 

青葉「グールドさんったら大袈裟です。私は ただ整理しただけで」

 

ディラン「いや それ以上だったよ、()()()

 

健「・・・・・・ニックネーム?面白いね」

 

ディラン「あぁ、“公爵様”」

 

秘書「素敵な娘よ」

 

ディラン「海軍に居た彼女を こう口説いた。“国の管理は楽だ、でも もっと貴重なコレクションを管理しない?”」

 

するとディランは、唐突に飾ってあった車を、健に紹介し始める。

 

ディラン「これは39年型ドライエ、タイプ165カブリオレ。フランス人のデザインだ。この曲線、エレガントだろ?美しく・・・艶めかしい。まるで完璧な女性のボディーだよ」

 

車の話であるはずだが、ディランの視線は あからさまに青葉の身体に向いており、その視線に気付いていた健は複雑な心境だった。

 

ディラン「来て。父は たった10ドルの机からスタートして、1代で帝国を築いた」

 

ディランに促され、彼の案内で隣の区画へ移動すると、そこには様々な価値ある車が何台も並んでいた。

 

健「うわぁ、凄い」

 

ディラン「今やアメリカ最大の会計事務所だ。父の死後、僕がベンチャー企業を始めてね。未来への投資だ。勝ち馬に乗る。車集めは、僕の精神安定剤(息抜き)だ」

 

健は沢山の車が並んだ区画を見て回っていると、壁に幾つも写真が飾られてるのを見付けた。その写真には どれも、青葉とディランのツーショットの写真ばかりで、健は嫉妬から眼が血走っていた。

 

健「2人共カッコいい・・・!」ボソッ・・・

 

青葉「ああ。この日は最高でしたね」

 

ディラン「初めて見たぞ」

 

青葉「えぇ、私も」

 

ディラン「タイトなパンツだな」

 

健は腸が煮えくり返る思いで、息を吐き出し自身を落ち着かせる。

 

 

・・・・・・

 

それから、折角 健が来たという事でディランの計らいで、青葉は この日、もう退勤していい事になった。

青葉と一緒に外に出た健は、停めてある自分の車に向かいながら1度オフィスの方に振り返ると、見送りにディランと その秘書も外に出て、わざわざ見送りに来てくれていた。

 

健「あ"〜ムカつく。勘弁してよ。見たアレ?値踏みだよ、車で判断してる。手なんか振るなよ・・・!」

 

青葉「だって彼 青葉のボスだよ。食べさせてもらってる。家賃も」

 

健「あぁ、分かってるよ、お陰で いい物 食べさせてもらってるしね。だけど、僕は もう玩具じゃない。ズボンも大人用だし。乗れよ、公爵様」

 

健の様子に、青葉は何を思ったのか笑っていた。

 

青葉「ちょっと何?彼に負けたと思ってる?」

 

その指摘に、健は爆笑しながら車の運転席に乗り込んだ。

 

健「負ける?何が?金か?権力?ルックス?残念、大ハズレ」

 

青葉「あなたってキレると とってもワイルド」

 

健「早く乗って」

 

青葉は健の ご機嫌を取ろうとしながらドアを開け、助手席に乗り込んだ。

 

青葉「健君、青葉にニッコリするのは彼だけじゃない、気にする事ないよ」

 

健「そうじゃなくて。君がニッコリ返すのが嫌なんだ、分かる?」

 

青葉「分かった、もうニッコリしない、約束する」

 

健「だったらいいけど」

 

健は車のエンジンを掛けようとするが、調子が悪く いつまでも掛からず、イライラが遂に爆発する。

健は車から降りてボンネットを開けると、八つ当たり紛いにエンジンに蹴りを何度も入れまくる。

それを遠目で見ていたディランが、見兼ねて近付いてきた。

 

ディラン「落ち着けよ、おい。そんなんじゃ掛からないぞ」

 

健「まだ修復中なんですよ、出来は32%ってとこ。あとバックにスポイラー付けて、完了」

 

ディラン「職を探してるって青葉から聞いた。実は僕は、アキュレッタシステムズの役員なんでね、口を利いておいたよ」

 

まさか就職できたのがディランの根回しだと知り、健の表情が曇る。

 

ディラン「これは ここだけの話に、青葉も喜んでる。幸せ者め」

 

ディランは健の肩をポンポンと叩くと、その場から立ち去った。

しかし健からすれば、気に入らない人物の お陰で就職できたなどと、これほど面白くない話はなかった。

 

 

・・・・・・

 

*保健社会福祉省 1月5日 10:11*

 

翌日、異様に警備が厳重な保健社会福祉省では、チェルノブイリに行っていた特殊部隊が集結して戻ってきていた。

実は この保健社会福祉省は表向きで、その実態は元Devil May Cry鎮守府のアメリカ艦を中心とした、対悪魔専門の特殊部隊本部だった。

 

隊員『艦娘 到着。15分後に集合し、報告のほど。サウスダコタ、23番メインへ。ホーネット、37番で兵装点検

 

すると そこへ、1人の女性が秘書や護衛を引き連れ、電話しながら現れた。

 

?「議員、国家安全保障局(NSA)が予算が欲しい時、頼るのは私です。CIAが標的を消したい時、先ず許可を求めるのも私。議会で どの議員が脛に傷を抱えているか、突けば、ボロが出てくるか、大統領が知りたい時でも、私に訊くんですよ」

 

その声に、クリスも気付き仕事の手を止める。

女性が立ち止まると、秘書がスニーカーを出し、女性はヒールから履き替えた。

そして通話が終わりスマホを秘書に渡したタイミングで、対応するためにクリスが近付いてくる。

 

?「中東の事件でCIAが しつこく訊いてくる、あなたのチームが関与してるの?」

 

クリス「・・・あー、よく分かりません」

 

?「国家情報局長官としてハッキリした情報を貰いたいわね」

 

クリス「あ、正直 言って把握し切れないんです。艦娘はガキみたいに始終 家を抜け出すもんですから」

 

それはDevil May Cry鎮守府での生活の影響である。

 

?「あなた司令官でしょ、ウィーラー大佐」

 

クリス「Yes,madame(マダム)、そうです、でも━━」

 

クリスが“マダム”と言った瞬間、国家情報局長官は足を止めるのと同時に彼に振り返った。

 

?「“Madame(マダム)”は やめて、Madame(マダム)じゃない。そんな風に見える?」

 

国家情報局長官が秘書に問うと、秘書はクリスの顔を見ながら首を横に振った。

 

クリス「No,madame(マダム)、あ、いえ、はい・・・」

 

国家情報局長官は また歩を進め、クリスはタジタジになりながらも それを追う。

そして向かったのは、集まってるアメリカ艦の艦娘達の元だった。

 

ホノルル「いい所に来てくれたね。何か言ってあげて、かなり お怒りだから」

 

クリス「アイオワ、《シャルティア・ハンマリング》だ。国家情報局長官」

 

しかしアイオワは、腕を組んだまま何も言わず、背を向けていた。

 

ホーネット「ご機嫌 斜めでね。今日は誰とも口 利かないの」

 

ハンマリング「・・・・・・何なの?ストライキとか?」

 

サウスダコタ「見たところ、そんなもんじゃない」

 

ホノルル「うん、違うね」

 

サウスダコタ「もっと、深刻だ。アイオワ、少しは何とか言えよ」

 

そしてサウスダコタがアイオワの肩を叩くと、怒り顔のアイオワが やっと振り返った。

 

サウスダコタ「怒ってる」

 

アイオワはスタスタとハンマリングに迫り、クリスが間に入って止めた。

 

アイオワ「隠していたわね。悪魔に関する情報は全て教える約束よ。いったい何故 永久機関(これ)が人間の手に渡ったの?!」

 

ハンマリング「我々にも知らされてなかったの。オリーブ財団の監査(アーロン)だけが知る秘密だった」

 

ハンマリングは秘書にバッグを持ってくるように言い、ハンマリングは そのバッグから、持っていた資料の一部を取り出した。

 

ハンマリング「この秘密を知る者は僅か。もう生き残りも少ない。この機会に紹介するわ。NASA創設時のミッション・ディレクターと、宇宙飛行士。初めて月に降りたメンバーの1人よ」

 

ハンマリングは元宇宙飛行士と握手を交わし、アイオワ達 艦娘を紹介すると後ろに下がった。

 

元宇宙飛行士「私は、同じく地球を愛する者に会えて光栄だ」

 

アイオワ「こちらこそ、光栄です」

 

 

*海底洞窟*

 

同じ頃、海底洞窟にあるアーロンの研究施設では、ダンテ達がアーロンから、知らなかった事実を聞かされていた。

 

ネロ「ちょっと待てよ。アンタの時代からダンテが この世界に来るまでの間は、悪魔は1度も現れなかったって話じゃなかったのか?」

 

アーロン「実を言うと、そうではなかったんだ」

 

ダンテ「セリーナは そう言ってたけどな」

 

アーロン「セリーナは私達の母上に記憶を改竄されていた。だから そう認識するようにされていたのだろう」

 

ニコ「けど、実際 悪魔が現れたって話は どこにもないんだろ?何で誰も知らないんだ?」

 

アーロン「私が気付かれる前に片付けていたからだ」

 

アーロンが自身のクローンに監禁され、そこから抜け出した後、この海底洞窟にもある魔を検知するシステムを使い、人知れず悪魔を駆逐していた。

 

アーロン「だが昔、私でも止められない事が起きてしまった。私のクローンは あるエネルギー実験に着手し、その実験の影響で放出された波動が、月にある遺跡を目覚めさせてしまったんだ」

 

ニコ「・・・・・・月?月に人工物があるって?アンタなに言ってんだ?」

 

アーロン「知らないのか?今時 都市伝説にもなってる話だぞ」

 

一時期ネットでは、月面にピラミッドやオベリスク、何かの施設と思われる金属の建築物、その施設と施設を繋ぐパイプラインを写す、衛星からの画像が出回り騒然とした。

 

ネロ「都市伝説かは兎も角、何で月に そんなのが?」

 

アーロン「宇宙進出計画というのは、何も今の時代の文明に限った話ではない。私の時代にもあったのだよ。宇宙進出計画が」

 

3000万年前にアーロンは、ルキフェルスとセリーナと戦争し、その結果 文明を滅ぼした。

当時 破滅が確定した状況が迫る中、地球に残る者と、宇宙へと避難する者とで分かれた。

 

アーロン「だから月に、文明の痕跡があるのも不思議な事ではない。私の時代では、ピラミッドは特別な意味を持っていた」

 

ニコ「ちょっと待て!じゃあエジプトにあるピラミッドは?」

 

アーロン「私の時代の生き残りが、古代エジプト人に教えた名残だ」

 

だが今の時代、古代エジプト人が どうやってピラミッドを建設したのか その技術は未知で、本来なら不可能と言われている。

だが それも そのはず。その技術を齎した者は、今の時代よりも進んだ文明を築いたアーロンと同じ文明人で、古代エジプト文明が終焉を迎えるのと同じくして死に、その技術は後世に受け継がれる事なく闇に消えた。

それに南極の底でも、3000万年前にアーロンが、制御できない悪魔を封じ込めておくために造った場所も、ピラミッドの形をしていた。南極、月、古代エジプト、それらの場所にアーロンや同じ時代の者が関わっていたのなら、共通してピラミッドがあるのも不思議ではない。その形に拘るだけの、特別な意味があるなら尚更。

 

アーロン「話を戻そう。私のクローンがエネルギー実験を行った事で、月にある遺跡が目覚めた。そのせいで、今の人類は1歩、悪魔に近付く事になった」

 

 

*ワシントンD.C. *

 

ハンマリング「60年代のソ連との宇宙開発競争は、ある事件が切っ掛けなの」

 

元ディレクター「我々は月に、不思議な振動がある事を知った。宇宙飛行士達が、月にある遺跡を調べた。生存者はナシ」

 

元宇宙飛行士「“極秘にせよ”と、最高司令官に命令されてね」

 

 

“今回の任務は、一切 他言はしないように”

 

“了解しました”

 

 

元ディレクター「NASAの本当の計画を知っていたのは、僅か35人だ。ソビエトも無人探査機を着陸させていた。彼らも この燃料(永久機関)を回収したのだろう」

 

ハンマリング「恐らくソ連は この物質が、核燃料の一種であると推測し、チェルノブイリでエネルギー実験を行っていたのよ」

 

元ディレクター「我々は6度も月に行き、何百もの写真とサンプルを採取し、永遠に封印した。そしてアポロ計画は終了」

 

サウスダコタ「その遺跡は隅々まで調べたか?」

 

それは どういう意味かと、艦娘以外は戸惑った様子で沈黙した。

 

 

*海底洞窟*

 

アーロン「その遺跡の名は《アーク》。新たな植民地とするため、何人もの同胞が月に行くのを見た。その遺跡には、私と共同開発者が開発した、戦争に勝つためのテクノロジーが隠されている」

 

ネロ「戦争に勝つ?」

 

アーロン「知ってるだろ?3000万年前、悪魔の力に魅了されていた私は、ルキフェルスとセリーナと戦争をしていた。その戦争に勝つための手段だった」

 

ニコ「何で そんな物騒な(もん)、月なんかに隠した?」

 

アーロン「一種の安全策だよ。私と共同開発者以外が使えないようにね。だが そのテクノロジーの存在は、セリーナも我が母ノヴァも知っている。できれば彼女達が見付けるより先に、こちらで確保しておきたいものだ」

 

 

・・・・・・

 

*海 13:59*

 

アーロンの秘密研究施設がある海底洞窟、その上に位置する海上では、海が不自然に荒ぶって波が立ち、直後、海が割れた。そして割れた海からカタパルトが上昇し、ロケットが現れた。

そのロケットには、ネロと若い姿のアーロンが、宇宙服を着て乗っていた。

 

ネロ「これ どうなってんだよ?!」

 

アーロン「さぁ、果てしない銀河に飛び立つぞ!」

 

ネロ「何でロケットなんか持ってるのか説明しろ!宇宙なんかに行かねぇぞ!降ろせよ!」

 

アーロン「ロケットを造るなんて、私からすれば朝飯前だ!」

 

ネロ「ノヴァもセリーナも どうせ宇宙まで行けやしないだろ!テクノロジーか何か知らないけど、妙な物 地球に持って帰ろうとするな!放っとけよ!」

 

アーロン「ダメだ!!もし あの2人がアレを手に入れたら、大変な事になる!それなら先に確保して、我々の手で護ってる方が安全だ!」

 

ネロ「兎に角 俺は宇宙なんかに行かないぞ!降ろせぇええええ!!!!」

 

アーロン「もうムリだ!発射までのカウントダウンは始まってる!」

 

ネロ「あと何秒だよ?!」

 

アーロン「あと3秒!」

 

ネロ「降りる時間もねぇのかよ!!」

 

アーロン「しっかり掴まってろ!!歯を食い縛れ!!Gに耐えろ!!」

 

3・・・2・・・1・・・

 

カウントダウンが0になり、ネロの抗議も空しくロケットは宇宙を目指して発射された。

 

 

*海底洞窟*

 

一方 海底洞窟では、巨大モニターでロケットが飛んでいく様子を、ダンテ達が見ていた。

 

ダンテ「・・・・・・ネロの奴、行っちまったぞ」

 

トリッシュ「アレ、ほんとに宇宙まで行けるの?」

 

モリソン「何で誰も止めてやらないんだ・・・?」

 

誰も止める事すらせず、ネロも行ってしまったので、ダンテ達は自由時間を過ごすため解散した。

しかし このアーロンの勢いだけの行動が、後にMr.Jの計画を更に強固なものにし、地球上で新たな大惨事を招く事になるとは、この時は誰1人として予想していなかった。




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