509話です!どうぞ!
ウクライナ・エネルギー省の法務部長ボスコットは、アメリカに情報を売り、クリス・ウィーラー率いる部隊をチェルノブイリへと案内した後、何かに怯えながら その場から逃げていた。
自身が乗ってきたリムジンに乗り込むが、それを見ていた鳥型悪魔に襲われ、彼は殺されてしまう。
一方アメリカでは、無職になってしまった
すると航空宇宙産業アキュレッタシステムズから面接の通知が来て、ブラドスCEOと直接 会う事になる。
しかし募集していたのはメール係だったため、もっと意味のある仕事がしたい健は辞退しようとする。だがブラドスCEOに上手く丸め込まれ、健はアキュレッタシステムズでの就職を決めてしまった。
クリス率いる部隊がアメリカへと戻ると、保健社会福祉省に偽装してる本部に、国家情報局長官シャルティア・ハンマリングが現れた。
部隊のメンバーであったアイオワは、チェルノブイリで見付けた魔界の永久機関が、なぜ人間の手に渡っていたのか問い詰めたが、元々 知っていたのはオリーブ財団の監査のみだったため、情報が遅れていた。
ハンマリングは永久機関に関わる秘密を知る僅かな生き残りとして、NASAの元宇宙飛行士とミッション・ディレクターを紹介する。
同じ頃、海底洞窟にあるアーロンの秘密研究施設では、ダンテ達がアーロンの口から直接、彼が開発した3000万年前のテクノロジーが月に隠されている事実を聞かされる。
そしてネロは、勇み足のアーロンに引っ張られる形でロケットに乗せられ、月を目指して宇宙に飛び立つのだった。
*月*
大気圏を突破し、ブースターから切り離されたシャトルが月へと着陸すると、宇宙服を着たネロとアーロン、そしてニコが遠隔で操作する宇宙探査機が降りてくる。
アーロン『ネロ君、始めるぞ』
アーロンは重力の少ない月で駆け出し、ネロも それを追う。
・・・・・・
*アーク*
月にある遺跡アークに辿り着くと、ネロとアーロンは協力して、レーザーカッターで壁を切断していき、入口を作る。
ネロ『アークの中に入る』
中へ入ると、3000万年前に月へ避難したと思われる、当時の人間達のミイラが所々に転がっていた。
アーロンがスイッチのようになってる装置を押すと、床の一部が左右に開き、そこからミイラになっていない、ただ眠ってるだけのように見える綺麗な状態の初老の男と、5つの謎の柱が浮き上がってきた。
この柱が、アーロンの言っていた3000万年前のテクノロジーその物だった。
ネロ『何で こいつだけミイラになってない?』
アーロン『生命反応は薄い。自ら閉じ籠ったんだ、この柱を護るために』
ネロはデビルブリンガーの腕を伸ばし、浮かぶ柱を引き寄せ回収する。
アーロンは どこか懐かしむように、浮かぶ男を横抱きに抱えた。
アーロン『《セイファ》・・・迎えに来たぞ、古き友よ』
*???*
ノヴァが拠点とする どこか、そこで玉座に座るノヴァの前に、セリーナとベルゼ、白いネロ、鳥型悪魔が集まってきた。
ベルゼが片腕を横に広げると、鳥型悪魔が彼の腕に止まった。
セリーナ「母上、参りました」
ノヴァ「その小さな暗殺者からの報告を聞くとしましょう」
悪魔『デビルハンターがエサに食い付きました。アークを見付け、積荷を無事 回収しました』
ノヴァ「よくぞ月にある あの装置を見付けてくれました。あなたの手先となった人間達も、実に役に立ちましたよベルゼ。ですが もう用済みです、始末しなさい」
ベルゼ「・・・全員 殺せ」
ベルゼに命じられ、鳥型悪魔は飛び去り姿を消した。
セリーナ達も そのまま解散となり、白いネロも玉座の部屋から出ていったのだが、1人になった彼は、悩み苦しんでいた。
白ネロ「どうして・・・どうして僕は勝てない・・・?!兄さん(ネロ)にも、ダンテにも・・・あのベルゼにすら・・・!僕は運命の魔石によって、兄さんとルキフェルスの力から生み出されたはずなのに・・・・・・どうして僕は弱いんだ?!」
自身の疑問を吐露して激昂してると、白いネロはハッとして ある考えに至った。いや“至ってしまった”と言うべきかもしれない。
白ネロ「そうだ・・・そうじゃないか・・・・・・ハハハッ!そうだよ、どうして気付かなかったんだ!僕は運命の魔石に生み出された。僕なら あの魔石を使い熟す事ができるはず・・・なら、僕が運命の魔石を取り込めば、今よりも強くなれるはず!兄さんにもダンテにも、ベルゼにだって勝てる。他の奴らも・・・全部 捻り潰せる・・・!」
赤城の魂でもある運命の魔石を使い、自身を強化する事を思い付いた白いネロは、邪悪な笑みを浮かべた。
運命の魔石はノヴァが持っている。だから白いネロは、ノヴァに運命の魔石を譲ってくれるよう、玉座のある部屋へ向かった。
・・・・・・
ノヴァ「・・・どうしました?」
白ネロ「母さん、僕は強くなりたい。今度こそ、兄さんやダンテにも敗けないように。もう母さんを悲しませないために!」
ノヴァ「・・・・・・・・・」
呼んでもいないのに戻ってきた事も そうだが、白いネロの様子に、ノヴァは得体の知れない不安を抱き警戒する。
白ネロ「母さん、運命の魔石を僕に譲ってよ。それが有れば、僕は今度こそ━━」
ノヴァ「ダメです」
白ネロ「っ・・・!?どうして・・・!?」
ノヴァなら、自分の願いを聞き届けてくれると信じて疑わなかった白いネロは、大きなショックを受け目を見開いた。
反対にノヴァは、白いネロの考えに呆れた様子だった。
ノヴァ「あなたが運命の魔石を持ったまま、もしデビルハンター達に敗けたら どうなると思います?運命の魔石が、彼らの手に渡ってしまう事になるのですよ」
白ネロ「違うよ母さん!僕は もう絶対に敗けない!今度こそ兄さんとダンテを叩き潰せる!そのためには、運命の魔石が必要なんだ!」
ノヴァ「・・・そんな危険なリスクは冒せません。あなたは私の言う通りにしてればいいのです・・・可愛い息子よ」
白いネロは俯き、肩を落として落ち込んだ様子だった。
白いネロは、ノヴァが運命の魔石を用いて、ネロとルキフェルスの力を利用して生み出した存在。故に、白いネロからすれば、ノヴァは母親も同然だった。そのノヴァから理解してもらえず、考えを否定された事で白いネロの中で、息子から母へ向ける・・・ノヴァに対する愛情が、怒りと憎しみに変わった。
白ネロ「母さんは、僕の事が好きじゃないの・・・?」
ノヴァ「・・・何を言ってるのです?」
白ネロ「僕は母さんのために、どんな事もしてきた。どんな事もするつもりだった。だから どんな命令にも従ってきた。それなのに・・・母さんは僕を愛していないの・・・?」
ノヴァ「勿論、愛していますよ。息子(道具)として」
ノヴァが向ける愛情は、母が我が子に向けるものとは違っていた。使いやすい道具に多少の愛着を抱く程度のものでしかない。だからノヴァは、白いネロが欲する言葉で、甘美なる嘘で本音を隠す。
白ネロ「だったら・・・運命の魔石を渡してよ・・・母さんのために強くなるからさぁ・・・」
ノヴァ「いったい どうしたのです?あなたは今のままでも充分 強い。運命の魔石に頼らなくても良いはずです」
白ネロ「渡してよ・・・」
ノヴァ「それはできません」
白ネロ「渡せよ・・・」ボソッ・・・
ノヴァ「・・・何です?」
白ネロ「運命の魔石を・・・・・・僕に渡せぇええええ!!!」
白いネロから膨大な魔力が膨れ上がり、それは暴風となりノヴァに襲い掛かる。その凄まじい風に、ノヴァは自身の顔の前で手を翳して風を遮る。
風が止むと白いネロは、レッドクイーンに酷似したホワイトクイーンを手に駆け出し、ノヴァに直接 襲い掛かる。
白いネロが飛び掛かりながらホワイトクイーンを振り下ろし、ノヴァは咄嗟に玉座から飛び退くと、ホワイトクイーンの刃が当たった玉座が木っ端微塵に粉砕された。
白いネロはホワイトクイーンを振り下ろした体勢のまま、ゆっくりとノヴァの方に顔を向ける。
白ネロ「渡せぇ"・・・渡せよ"・・・!」
ノヴァ「(暴走している!?なぜ!?私に服従するように生み出したはずなのに━━)うぐっ・・・!」
全く想定していなかった白いネロの様子にノヴァが狼狽えていると、白いネロから伸びた金色のデビルブリンガーの腕に首を掴まれ、引き寄せられてしまった。
白いネロはノヴァが隠し持つ運命の魔石を奪い取ると、ノヴァを投げ捨てた。
床に落ちたノヴァが身体を起こし目にしたのは、白いネロが運命の魔石を腹部に埋め込む姿だった。
ノヴァ「やめなさい!!」
しかしノヴァの声は届かず、白いネロから再び膨大な魔力が膨れ上がり、同時に眩い光も放たれると、ノヴァは腕で光を遮る。
光が消えると、そこには魔人ネロに酷似した白い魔人が立っていた。
白ネロ『これだ・・・この力だよ!兄さんにもダンテにも、ベルゼにだって2度と敗けない。誰も僕には勝てないんだ!』
ノヴァ「お待ちなさい!運命の魔石を持ち出す事は許しません!」
ノヴァが白いネロを止めようとするが、ホワイトクイーンと金色のデビルブリンガーの爪から放たれた、黄金の風の斬撃が傍を駆け抜け、その動きを止めざるを得なくなった。
白ネロ『僕は強くなったんだ。待ってて母さん。僕達の邪魔する奴は、皆み〜んな、皆殺しにしてあげるからね』
白いネロはデビルブリンガーの翼を広げて飛翔すると、天井を突き抜けて姿を消してしまった。
ノヴァ「なんてバカな子なの・・・!」
自分に絶対服従するように生み出したはずであるが、暴走した様子の白いネロが運命の魔石を奪取し、しかも そのまま姿を消してしまった事で、ノヴァの顔は怒りで酷く歪んでいた。
・・・・・・
*アキュレッタシステムズ 1月13日 8:11*
就職が決まり、アキュレッタシステムズで働き始めてから数日、健は今日も出勤していた。
健が配属された部署はメール係で、各部署に資料や手紙を運ぶだけの仕事だった。
そんな中、航空宇宙部門で仕事をしていると、気まずい現場に遭遇した。上司である男性社員とラテン系の女性社員が口論をしているのだが、女性社員は会社員らしからぬ、少々 際どい格好をしており、その格好の事で口論になっていた。
男「何だ、へそ出しルックで。いいか、ここは航空宇宙部門だ、そんな格好じゃ許さん。新入り(健)も、いいな?真似して堕落するな。あんな へそ出しルックで来てみろ、クビにするからな」
新しい職場で気まずい現場に遭遇し、しかも上司の剣幕もあり、健は無言で何度も頷くしかできなかった。
男「そのカートは2年半お世話になるんだ。可愛がって名前 付けろ」
すると先程の女性社員が、八つ当たり紛いに開いていた棚の戸を強く閉め、その音に驚いた健はビクッとして顔が強張る。
男「だが、この部署に伸し上がる階段は無いからな」
健「了解」
男「行け!」
・・・・・・
それから健は、資料や手紙を載せたカートを押しながら、各部署の様々な人に それらを渡して駆けずり回り、時には渡され それを また渡しに走り回った。
そんな風に健が頑張っているのを、コソコソするアジア系の男性社員が見ていた。
そこに、別の男性社員が来た。
男「前に言ってた資料 見付けたよ」
男「・・・・・・・・・」
男「なに見てんの?」
男「うるさい!」
アジア系の男性社員は同僚が持つ資料を払い落とし、何かを疑うように健に見入っていた。
男「今度そんな真似したらケツ蹴るぞ!」
・・・・・・
また時間が過ぎ、健は自分の部署にあるデスクで書類仕事をしていた。
すると どういう訳か、青葉が健に会いに現れ、後ろから抱き締めた。それに対し、健も嬉しそうにする。
青葉「どうも」ヒソヒソ・・・
健「やぁ、僕の天使」ヒソヒソ・・・
青葉「調子どう?」ヒソヒソ・・・
健「いいよ」ヒソヒソ・・・
青葉「仕事で近くまで来たから寄ったの、マズかった?」ヒソヒソ・・・
健「どうだろ?就業規則が500ページもあって、読む気しないし」ヒソヒソ・・・
青葉「ここ凄い」ヒソヒソ・・・
健「あぁ。艦娘は世界を救い、僕はファイル整理、夢みたい・・・行こ」ヒソヒソ・・・
健は皮肉を言いながら席から立ち、青葉の手を引いて会議室に向かう。
男「部外者 入れちゃダメだろ」
隣の席の同僚から小言を言われたが、健は そんな彼の言葉を無視する。
その途中、コピー機の前で順番待ちする男性社員と目が合った。その男性社員は、コソコソと健を見ていた あのアジア系の社員だった。
その視線が気になり、健の歩くペースが落ちた。
健「どうかした?」
男「どうもしない」
会議室へと来た健は、午後からある会議の準備のため、各席に資料を置きながら青葉と話していた。
青葉「聞いて」
健「あぁ」
青葉「土曜日、ディランの家でビジネスパーティーなの、あなたも誘っていいって」
健「そう言ったの?」
青葉「青葉の下手なジョークで笑って、場を盛り上げてくれない?」
健「いいよ。ここまで どうやって来た?」
青葉「・・・車」
健「持ってないだろ?」
青葉「持ってる」
健「何、宝くじで当てた?」
青葉「あー、ディランがくれた」
健「車をポーンと?」
青葉「多分ボーナス代わりだよ」
健「・・・ボーナスね。で、どんな車?」
健は会議室にあるテーブルの上座にある、パソコンの前に座った。
青葉「あ・・・メルセデスSLS・AMG。とってもパワフルなの」
車種を聞いた途端、健はパソコンで検索し、出てきた車の詳細を見て大きな溜め息を吐いた。
健「これに乗ってきたの・・・?20万ドルもするぞ」
青葉「知ってる」ヒソヒソ・・・
健「僕が こんなの買えるの、いつかな?」
青葉「・・・・・・将来?」
健「そうさ、53年も先」
青葉「
健「だったら売り払って、2人の家を買おう」
健のイライラした様子を見て、青葉は慈しみのある顔と眼差しで彼を見詰めた。
青葉「・・・・・・ストレス溜まってるのね、青葉も経験ある。今は下積みの時期よ。その内いい事ある」
ブラドス「
この会社のCEOであるブラドスの声がし、健は青葉の手を引き慌てて会議室を出ると、急いで自分の席に戻り、仕事をしてる振りをする。
青葉は左手を健の右肩に乗せ、右手を自身の腰に当て、笑みを浮かべて立ってると、ブラドスが現れた。
男「ブルース、僕やります」
健の横の男性社員が立候補したが、ブラドスは見知らぬ青葉が居る事に目を止め その声を無視し、健の前で立ち止まった。
ブラドス「スギヤマ」
名前を呼ばれ、仕事をしてる振りをしていた健は、素っ惚けた表情で顔を上げ、ブラドスを見る。
ブラドス「君の活躍で我が社は回っている。こちらの お嬢さんは、妹か?フェイ◯ブック友達?ツ◯ッター仲間?」
健「青葉さん、こちらブルース。ブルース」
簡単にだが、健が互いを紹介すると、青葉とブルースは握手を交わした。
青葉「彼のガールフレンドです、よろしく。健君の言う通り、素敵なロマンスグレイの髪」
ブラドス「それは どうも」
青葉はDevil May Cry鎮守府に所属していた間の、取材で培った話術でブラドスの機嫌を取り、ブラドスも それに気を良くしたようで、部外者を中に入れた お咎めはなくなりそうだった。
青葉「青葉 行くね」
健「あ、うん」
青葉「これ、プレゼント」
そう言って、青葉は赤い器に入った赤い お菓子を、健のデスクに置いた。
それを見て、健の顔は固まり、他の社員も顔を強張らせた。会社のフロアは色分けされており、ここは黄色のフロアであるため、会社に必要でない物は基本的に、フロアの色に統一しなければいけなかった。
健は就業規則を読んでいないが、面接の時の事があったため、彼も これはマズいと理解していた。
青葉「赤、お好きな色でしょ?じゃあ失礼、ブラドスさん」
ブラドス「じゃあね」
青葉「またね皆」
青葉は お菓子の1つを取り、それを食べながら去っていった。
残された健は、青葉のプレゼントで どんな処分が下されるのかと、落ち着かない様子だった。
・・・・・・
結局 色に関しても お咎めはなく、健は午後からも変わらず仕事を続けていた。
次の部署に行くため満員になってるエレベーターに乗ってると、健を見ていたアジア系の男性社員と、その同僚が口論を始めた。
男「あのファイルの件、納得いかないよ、《ジェリー》」
ジェリー「ミルクを飲んでからでいいか?《ダニー》」
ダニー「そんなミルクの事なんか、知るか。人を舐めるなよ」
エレベーターが止まり扉が開くと、健と“ジェリー”と呼ばれたアジア系の男性社員だけが残った。
エレベーターの扉が閉まり動き出すと、ジェリーはギロリと横の健を見てから、残りのミルクを飲み干す。
次の瞬間、ジェリーは健の前に回り込み、壁ドンして逃げられないようにする。
ジェリー「君を知ってるぞ〜」
健「何を━━」
ジェリー「スギヤマ、スギヤマ!君を知ってるぞ!話がある!」
エレベーターが止まり扉が開くと、健はジェリーを押し退け無理矢理エレベーターから降りる。
しかしジェリーも一緒に降りてきて、腕を掴んで一緒に歩いてくるため、逃げようにも逃げにくい。
ジェリー「おいおいおい、待てよ。君は6枚の写真に写ってた。デビルハンターと艦娘と一緒になぁ。あれ君だろ?ワシントンの。君はデビルハンターと艦娘と知り合いだ。またな」
ジェリーは健が腕に掛けていた上着を奪うと逃げ、健は上着を取り戻すために追う。
健「ジャケット返せよ!」
ジェリーがトイレに逃げ込み、健も中に入ると、そこで掴み合いになるが、力負けして個室に押し込まれた。
ジェリー「俺は《ワン》だ。間諜の、ワン。意味 分かるか?“間諜”だよ」
健「お尻(浣腸)?」
ジェリー「そっちじゃない!スパイのこと!シーッ!クソッ・・・!」
ジェリーは外を警戒して落ち着きがなく、健が声を出そうとすると口を塞がれた。
ジェリー「シーッ!奴らが、見張ってる。政府にコネがないんだ。君ならあるだろ。いま恐ろしい事が起きてる。コード・ピンクだ、ピンク・フロイド、ダーク・オブ・ザ・ムーン。なぜ72年から誰も行ってない?!」ヒソヒソ・・・
健「あんたの話、相当ぶっ飛んだ話だよね。なに言ってるか全然━━」
理解してない健に、ジェリーは呆れて溜め息を吐くと、いきなりベルトを外してズボンを脱ぎ出した。
健「うわぁ。ちょっと・・・よせよ。ぶん殴るぞ」
ジェリー「ぶん殴り返すさ」
するとジェリーは、太ももに着けるタイプの銃のホルスターから、何重にも折られた紙の束を取り出し、健の顔に押し付ける。
ジェリー「俺の声明文。俺達は消される。ダークサイドの秘密を知れば━━」
物音と人の話し声がし、ジェリーの言葉が途切れる。
だがジェリーには時間がないのか、早口に話を再開した。
ジェリー「君の仲間達のデビルハンターと艦娘に、危険が迫ってる。ほら!」ヒソヒソ・・・
トイレの外からブラドスが来ると・・・
ジェリー「落ち着け、落ち着け!」
健「待て・・・!」
ジェリー「ア〜ウッ・・・!暴れんな、タケル!」
個室で暴れる物音と、健とジェリーの声に、洗面台の前で足を止めた。
個室の方を見てると、ズボンが脱げた状態のジェリーと、通常の状態の健が出てきた。
ジェリーは澄ました顔でズボンを上げ、ベルトをしながら洗面台の方に行き、健は気まずさで その場から動けず固まっていた。
するとジェリーは、ブラドスが ずっと見てる事に気付き、自分の雇い主なのに睨み始めた。
ジェリー「なに見てんだよ?おいオッサン」
しかも詰め寄っていく。
ジェリー「何か文句あんのか?アンタどこの
そしてジェリーは、思いっきり床を踏み付け大きな音を鳴らすと、その音に驚いたブラドスの身体がビクッとする。
ジェリー「俺の勝ちだな」
そう言って、ジェリーは さっさと行ってしまい、トイレから姿を消した。
・・・・・・
その後 健は自分のデスクに戻り、ジェリーから渡された紙を広げた。そこに書かれていたのは新聞の切り抜きや、ジェリー直筆のメモだった。
健「(“月”、“衛星”・・・暗号か・・・“ロシアの宇宙計画”。“専門家 死亡”、“宇宙計画 終了”・・・ダークサイド?“ダークサイド・ムーン”・・・)」
いったい これが何を示し、デビルハンターや艦娘に関係あるのかと、健は考えを巡らせていると、上司に声を掛けられ咄嗟にメモを隠す。
男「トイレの外に落ちてた。これ君のか?運んどけ」
健「はい!」
健は資料を受け取ると、その足でジェリーのデスクがある部屋に向かった。
ジェリー「全部 言う通りにしたのに!」
健「話があるんだ。さっき言ってたこと━━」
ジェリー「うわっ!?ノックしろよ。取り込み中なんだから。誰だよ・・・お前」
健「・・・・・・トイレで僕に跨っただろ?あんな体験 初めてだ、忘れっこない」
ジェリー「知らない・・・」
ジェリーは気が動転したように慌てた様子で、健の話を否定して椅子に座る。
健「ほら、トイレの個室で変な物 出したろ」
ジェリー「おい、ボーイフレンド面するな。お前なんか電話1本でクビにしてやる!分かったかゲイロード?!」
話にならないと思い、健は扉を閉めて離れようとしたのだが、中からジェリーの呻き声がし、また扉を開ける。
健「大丈夫?」
ジェリー「痔でケツが痛くて・・・!」
健「出直そうか?いつ来ればいい?」
ジェリー「礼儀を覚えてから出直せ・・・!」
ジェリーの態度に健は怒り、今度こそ その場を後にした。
ジェリー「あんな奴 知らない。俺は何も言ってない!」
ジェリーは痛がりながら窓の方を向くと、ベルゼが遣わした あの鳥型悪魔が現れた。
鳥型悪魔は翼を広げ、ジェリーに迫り眼前で滞空する。
ジェリー「ま、待て!待て!言われた通り観測衛星に細工しただろ!オマケにプログラムに穴も作っておいた!これ以上どうしろって!?」
悪魔『ジェリー、お前は俺の お気に入りなんだよ』
ジェリー「何でも言う通りにするから」
悪魔『分かってる。だが上の命令で お前には・・・』
ジェリー「なぁ、頼む、やめてくれ」
悪魔『自殺してもらう』
ジェリー「やめてくれ・・・」
ジェリーは怯えて手が震え、汗を掻きながら命乞いをする。
悪魔『お前、スギヤマに何を話した?』
それを問われ、もう逃げられないと悟ったジェリーは椅子から立ち上がるのと同時に、個人的に所有して隠し持っていた2丁銃を鳥型悪魔に向けた。しかし、その手は やはり震えている。
ジェリー「アハー、この野郎!あ?今夜のディナーは焼き鳥と行くか?今日の俺は、気が ちょ〜っと立ってるんだ!来いよ!ほら掛かってこい!」
強い言葉で挑発したが、鳥型悪魔に羽で素早く攻撃され、その衝撃にジェリーは怯み椅子に座ってしまうと、鳥型悪魔に椅子を押され、窓を突き破り外に転落していった。
ブラドス「おい、何だ!?」
ブラドスが会議室で会議をしてると、窓の外で悲鳴と共にジェリーが落下していくのが見え、慌てて窓越しで下を見る。
健も落ちていく瞬間を目にし、危険が迫っている事を自覚すると、自分を落ち着かせるため胸を押さえた。
ブラドス「法務部を。はいはい諸君?同僚は死んだが、窓から覗いても、生き返らないぞ、もう仕方ない。ずっと見てたって、起き上がりはしないぞ、ハンプティ・ダンプティと同じだ。分かるな?」
騒然とする社内で、ブラドスは歩きながら社員達に、冷たい言葉であるも落ち着くよう促し、その足で真っ直ぐと健の方に行き、彼を呼び止めた。
ブラドス「私はマスコミ対応、君は掃除。ワンが あちこちに散らばってる。下の階のビストロにも。植え込みにも。手摺の上にもな」
社内が騒然とする中、鳥型悪魔は隠れながら、高い視力と聴力を使い、健を見ながらブラドスとの会話を聞いていた。
ブラドス「ワンの荷物は箱に詰めて駐車場の名札も消せ、それと・・・さっき見た事について、何も言う気はない、君が誰とトイレに入ろうと それは君の勝手だ」
すると社内で爆発が起き、社員のダニーが吹き飛び壁に叩き付けられた。
直後 連続した爆発が起き、社員達が逃げ惑う中、鳥型悪魔が魔力弾を撃ちながら姿を現した。
ブラドスは果敢に立ち向かおうとしたが、鳥型悪魔の脚に掴まれ、棚に叩き付けられてしまう。
健が その場から逃げ出すと、鳥型悪魔は攻撃しながら彼を追う。
健はサーバールームに逃げ込み、鳥型悪魔も追い続けていたが、小回りが利かないのかサーバーの1つに ぶつかり、床に落ちた。
その隙に、健は全力で走り会社から出ると、どうにか逃げ切るのだった。
次回も宜しく お願い致します!