Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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524話です!どうぞ!


Mission524 償い〜鹿島の思惑〜

デビルハンター達と艦娘達、そして人間達は、地上に居る全ての人類を、どこかにテレポートさせようとするスペース・ブリッジを止めるため、悪魔と強化人間、テイラー・ドローンの軍勢との戦いに身を投じる。しかし それは簡単ではなく、スペース・ブリッジを形成する柱に近付くのも時間が掛かっていた。

そこに、魔剣士3人が駆け付ける。

ヘルナログを倒したダンテが魔銃を撃ち、柱の1つを停止させ、テレポートも阻止する。

だが彼らの前に、セイファが立ち塞がり、ディラン・グールドが再び柱を起動させ、テレポートが再開されてしまう。

逃げるセイファを、ネロとアーロンが追う。

そしてダンテとバージル、香取と夕張は前線から離れ、Mr.Jが所有するビルに来ていた。

そこでは鹿島とセリーナ、Mr.Jが待ち構えていた。

Mr.Jは鹿島とセリーナに後を任せ、自分はビルの奥へと姿を消す。

鹿島は魔女となっており、セリーナと共にダンテ達の前に立ち塞がる。

ダンテ達は鹿島とセリーナ、そして鹿島が召喚する悪魔と戦いを繰り広げるのだった。

 

 

*シカゴ・ビル 1月17日 16:11*

 

香取が鹿島に馬乗りになり、彼女の顔を殴り続けていると、すぐ横に巨体を誇る悪魔が現れ、香取を蹴り飛ばした。

 

ダンテ「香取!?」

 

悪魔は倒れる香取に追撃を仕掛けようとするが、割り込んだバージルが閻魔刀とミラージュエッジで受け止め、押し返す。

ダンテは魔剣ダンテでセリーナに斬り掛かるが、セリーナは杖をレイピアに変え、刃を防ぐ。

 

夕張「香取さん!」

 

夕張が駆け寄ると香取は起き上がったのだが、左腕が折れていた。

 

香取「私なら、大丈夫・・・鹿島を、止めなきゃ・・・!」

 

夕張「そんな腕じゃ無理だよ!」

 

ダンテ「(Mr.Jは野放し、香取も あの腕じゃ・・・だぁ〜、メンドクセェ!)バージル、ここは俺に任せて先に行け!」

 

バージル「・・・いいんだな?」

 

ダンテ「もうMr.Jの茶番に付き合うのもウンザリだからな!確実に仕留めろよ!」

 

バージル「お前こそ、そこの2人に遅れを取るなよ!」

 

バージルはMr.Jを追い、それを阻止しようと鹿島とセリーナ、悪魔が攻撃を仕掛ける。だがカリーナ=アンIIを持つダンテが、無数の小型ミサイル《ヒステリック》を撃ち、その動きを止める。

その お陰でバージルは、何事もなくビルの奥へと消えた。

バージルが居なくなった事で、鹿島は訝しむように目を細めた。香取が負傷してる現状で、更にバージルが別行動を取り戦力を分散させる事の意味を、考え倦ねていた。

だがダンテは、この状況で勝てる自信があった。シカゴに乗り込む前から、鹿島とセリーナと ぶつかる事は想定していた。そのため、既に秘策を用意している。根性論で言うなら、自分が ちょっと頑張ればいいだけだと思っている。

ダンテはバイク形態のキャバリエーレに乗り、鹿島とセリーナ、悪魔の間や周囲を走り回りながら翻弄する。鹿島達は攻撃を繰り出すが、ダンテには1発も当たらない。

 

ダンテ「どうした どうした?!こっちだ こっち!夕張!例のアレ用意しとけよ!」

 

夕張「え、あ、うん!」

 

キャバリエーレに乗るダンテは、真っ直ぐ鹿島に向かっていく。

鹿島はダンテを止めようとし、魔法陣から伸びた鎖がキャバリエーレに巻き付く。

その瞬間、ダンテはキャバリエーレから跳躍し、悪魔の大群に飛び込んだ。

ダンテは ここまでの戦いの中で、鹿島が魔術を行使すると、すぐに次の行動に移れないという事を既に見極めていた。そのためキャバリエーレを犠牲にし、一旦 鹿島の動きを封じ、先に悪魔を殲滅する事を優先した。ダンテが思い描く流れを成功させる猶予は、鹿島が次の行動に出れるようになるまでの僅かな時間。

ダンテはクイックシルバースタイルになり、《タイムラグ》を発動して自分以外の時間を緩やかにする。

《タイムラグ》が発動してる間に、ダンテは魔具や銃器を次々と使いながら忙しなく攻撃を繰り出し、一気に殲滅しに掛かる。

出現していた悪魔を全て屠るのと同時に、《タイムラグ》を解除し、ダンテはデビルスターで魔力を回復し、ドッペルゲンガースタイルの《アフターイメージ》を発動する。

魔人の姿となったダンテと、その姿をコピーしたドッペルゲンガーは、同時に鹿島とセリーナへ飛び掛かる。

 

鹿島「遅いですよ!」

 

セリーナ「お前1人で何ができる半魔?!」

 

だが間に合わず、鹿島は次の魔術の行使に入っており、セリーナも それを補助するための魔術を発動していた。現れた魔法陣には、凄まじいエネルギーが収束していた。

 

香取「1人じゃない!!」

 

夕張「当たれぇ!!」

 

だが魔人ダンテが間に合わなかった時の事を考え、いつでも撃てるように備えていた香取と夕張が砲撃し、鹿島とセリーナに着弾した事でエネルギーの収束を遅らせる。

砲撃の反動が折れた腕に響き、香取は小さな呻き声を上げる。

砲弾が着弾した一瞬の僅かな間に、魔人ダンテとドッペルゲンガーは、エネルギーが収束する魔法陣に刃を振り下ろす。だがエネルギーの収束は止まらなければ、魔法陣の破壊にすら至らない。

 

鹿島「終わりです!!」

 

セリーナ「消え失せろ!!」

 

鹿島とセリーナは、エネルギーが収束していた魔法陣から魔力の奔流を撃ち出そうとしたが・・・

 

ダンテ『終わるかぁ!!

 

ダンテは《アフターイメージ》を解除し、即座に真魔人へと変わり、魔剣ダンテを突き出したまま錐揉み回転する事で、《真スティンガー》を繰り出した。その瞬間、魔法陣が砕け散る。

その勢いのまま突進するが、ダンテは直撃させないよう《真スティンガー》を僅かにズラし、鹿島に掠めるように当てる。それでも鹿島の身体にはズタズタに切り傷が入り、吹き飛びながら床に落ちた。

セリーナが魔術の鎖で真魔人ダンテを拘束しようとしたが、同時にダンテは真魔人を解除し、キングケルベロスの鎖を伸ばしセリーナを拘束すると、自分も拘束された。

ダンテとセリーナは互いに引っ張り抵抗し合い、どちらも その場から動けなくなる。

 

セリーナ「放せ半魔・・・!」

 

ダンテ「お仕置きが終わるまで逃さねぇよ・・・!夕張!!」

 

ダンテからの合図に、夕張はセリーナに向かって一気に駆け出した。

夕張の手には、鈍く光を反射する棒状の装置が握られている。

セリーナは夕張が向かってくるのを見て、嫌な予感がして拘束から逃れようと一層 激しく抵抗する。

夕張の足は遅いが、キングケルベロスの鎖がガッチリとセリーナの身体に巻き付いているため、きっと間に合うだろう。

 

夕張「おりゃあ!」

 

夕張が手に持つ装置が、花弁が開くように展開すると、夕張は走る勢いのままセリーナに飛び掛かり、押し倒しながら装置を頭に ぶっ刺した。セリーナは頭に電流を流され、痙攣しながら絶叫する。

 

セリーナ「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!!!!」

 

夕張「あびゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃ!!!?」

 

装置から発生した電流は外側にも放出され、手に持つ夕張も一緒に感電していた。

実は この装置、対セリーナ用にアーロンが開発した物だった。

セリーナは記憶を弄られ、Devil May Cry鎮守府の仲間として共に居た。しかし記憶を戻された事で、セリーナはノヴァの側に付き、Devil May Cry鎮守府の敵となった。

そこでアーロンは、なら同じ事をしてしまおうと考えた。セリーナの持つノヴァの記憶だけを消し飛ばせば、残るはDevil May Cry鎮守府の者達と過ごした記憶だけが残り、仲間として戻ってくる可能性が高い。

脳の記憶のメカニズムは、神経細胞(ニューロン)が作る回路網を電気信号が伝わり、細胞同士が神経伝達物質を遣り取りする事で行われる。そのメカニズムを利用し、思いっきり電気を流せば記憶を吹き飛ばせるかもというのが、アーロンが造った この装置の開発理念である。

当然 艦娘達は、そんなピンポイントでノヴァの記憶だけ消せるのか、命に危険はないのかと疑問を口にした。だがアーロン曰く、“天才科学者の私に不可能はない!”との事だったので、とりあえず任せたのだった。

その結果が・・・

 

セリーナ「あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"あ"っ!!!!」

 

夕張「あびゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃびゃ!!!?」

 

これである。

これが、セリーナを取り戻す秘策だった。

装置から放出される電流が止まり、少しして倒れた夕張は動かなくなり、それはセリーナも同様だった。

傷だらけで痛む身体を起こした鹿島は、セリーナも動かなくなったのを見て、敗北を認めて笑っていた。

 

ダンテ「鹿島・・・」

 

鹿島「完敗です。付け焼き刃の魔術を会得しても、やはり提督さんには勝てないようですね・・・」

 

ダンテは鹿島に歩み寄ろうとしたが、鹿島が何かの装置を取り出し足が止まる。

 

ダンテ「それは・・・?」

 

鹿島「忘れましたか?言いましたよね?私も、“艦娘売買で売られた艦娘"だと」

 

艦娘売買で取引された艦娘は皆、裏切り防止で爆弾の首輪が着けられる。だが鹿島の首には、首輪は無い。

 

鹿島「私はMr.Jにとって特別でした。だから他の艦娘のように、首輪を着けられる事はありませんでした。でも、彼は用心深かった。爆弾の首輪は着けられませんでしたが、その代わり、心臓の傍に爆弾を埋め込まれたんです」

 

ダンテ「・・・鹿島。そのスイッチを置け」

 

鹿島「できる訳ないじゃないですか・・・私は敗けたんです。Mr.Jにとって、私は もう用済みなんです!今、このスイッチを押さなかったとしても、もう私には生きる資格はないんです!!」

 

これまでの彼女自身がやってきた事を考えれば、このまま捕まっても解体は免れず、死が待つだけ。

このスイッチをMr.Jから渡された時、敗北した場合は自らを処分するよう言われている。自らスイッチを押さなかったとしても、Mr.Jが予備のスイッチで起爆する。どの道 死ぬ事になるなら、最後は自らの手で命を絶とうと考えていた。

 

ダンテ「やめるんだ・・・」

 

鹿島「最後になりますからね。提督さんには、真実を話しておきます」

 

そこから鹿島が語ったのは、これまで暗躍してきた裏で、Mr.Jの思惑とは別の、鹿島個人の思惑だった。

 

鹿島「アレックス・テイラーを護送した日の事を、あなたは私が“信用を得るため"と言っていましたね」

 

ダンテ「・・・あぁ」

 

鹿島「でも、それだけじゃなかったんです」

 

鹿島自身も、艦娘売買の被害者だった。好きでMr.Jに従ってた訳ではない。胸に爆弾を埋め込まれ、選択肢がなかっただけだ。当然Mr.Jに対して、恨みもある。だが鹿島の頭脳を以てしても、あの男からは逃げられなかった。

Mr.Jに命じられるまま、人を言葉巧みに操り、陥れ、あの男に都合がいい状況を作り出す内に、鹿島の心は擦り減り、いつしか罪悪感も感じなくなった。

そんな日々が続いた ある日・・・。

 

鹿島「あなたや、Devil May Cry鎮守府の噂を聞いたんです」

 

鹿島が耳にしたのは、ダンテやDevil May Cry鎮守府の艦娘達の、破天荒 且つ非常識な話ばかりだった。

本来なら不可能と言われる状況ですら、有り得ない方法で全てを ひっくり返す彼らの話に、鹿島は彼らなら、Mr.Jですら潰す事ができるのではと思った。だが、それを期待できるだけの者達なのかは、確信が得られなかった。

 

鹿島「そして私は、直接 自分の目で確かめるために、Devil May Cry鎮守府へ転属になるよう仕向けました」

 

そして話は、テイラー護送の日へと戻る。

本来 鹿島は、表向きには元帥がクビにならないよう、合同演習でDevil May Cry鎮守府が勝てるようにするために転属となった。それなのに鹿島がテイラー護送に付いてきたのは、ダンテ達Devil May Cry鎮守府が利用できる存在か見極めるためだった。

 

鹿島「そして便利屋としてテイラーを護ろうとする提督さんや、自分の能力を遺憾なく発揮して活路を見出す艦娘達を見て、疑念は確信へと変わりました。私の望みを叶えてくれる人達だと」

 

ダンテ「やっぱり お前は━━」

 

鹿島「待ってください」

 

ダンテ「・・・・・・・・・」

 

鹿島「待ってください。最後まで・・・最後まで私の口から、言わせてください・・・最後まで・・・聞いてください・・・」

 

ダンテ「・・・・・・分かった」

 

そしてDevil May Cry鎮守府は、Mr.Jの息が掛かった組織と何度も ぶつかる事になった。そうなったのは、Mr.Jに悟られぬようにしながら、オリーブ財団が情報を掴めるよう、鹿島が情報操作しながら少しずつ、情報を流出させていたからだった。

しかし それでも、情報を掴んだとしても、容易には動いてくれない時もあった。それが、メキシコの麻薬カルテルの時の話だった。

 

鹿島「そこで私は、鎮守府の艦娘を餌にする事にしました。嫌でも動かざるを得ないようにするために」

 

そして鹿島は、無断で麻薬カルテルの調査へ向かうよう鈴谷を唆し、彼女と一緒にメキシコへと向かった。

Mr.Jの手先として動き、鈴谷を艦娘売買の商品として売り飛ばして行方不明にすれば、居なくなった彼女を探そうと、必ず関係者の誰かが動くと考えた。その思惑は見事に当たり、呉提督が1人で麻薬カルテルを壊滅させた。

だが鈴谷に関しては、それだけではなかった。メキシコの麻薬カルテルの繋がりから、マイアミで流通する麻薬エクストリームに、必ずオリーブ財団が辿り着くと判っていた。だから鈴谷を、エクストリームを流通させてる組織へと売った。ダンテ達がエクストリームを追う事になれば、必ず鈴谷の存在にも気付く。そして鈴谷を救出し、艦娘売買で売られる前の、元鞘の状況に戻せると予想して。

このように、Mr.Jに連なる組織をダンテ達が潰せば、Mr.Jの力は削がれていく。そうすれば、いずれ奴は追い詰められて破滅する。それが、鹿島の真の目的だったのだ。

 

鹿島「正直、提督さん達がMr.Jを追い詰める事ができるかは、賭けでした。まだ どうなるか分かりませんが、上手くいって良かったです・・・」

 

ダンテ「悪人を演じてまで、飼い主に噛み付く。その心意気は大したもんだ。生半可な気持ちで、そこまでできないだろうしな」

 

鹿島「いいえ。正真正銘、私は悪人なんです。これまで奪ってきた命、人の人生を狂わせてきた事を考えれば、私は悪人以外の何者でもない・・・」

 

ダンテ「鹿島、戻ってこい」

 

鹿島「・・・・・・何を、言ってるんですか・・・?」

 

ダンテ「鎮守府の艦娘共は、お前を まだ仲間として、家族として見てる。ここまで あいつらが死に物狂いで頑張ってきたのは、お前を連れ戻すためだ」

 

鹿島「私は罪人なんですよ・・・そんなの無理に決まってるじゃないですか!もう後戻りできない所まで来てしまったんです!!」

 

ダンテ「確かに お前のやった事は許されないかもな。艦娘の中にも怒ってる奴は居た。だけどな、それでも あいつら言ってたぞ。“家族がやった事は家族の責任"、“家族が悪さしたら、自分達が お仕置きするのが筋"ってな」

 

鹿島「・・・・・・やっぱり・・・Devil May Cry鎮守府は頭の おかしい人達ばかりです!家族?!私が?!家族の責任?何が?私は あなた達を利用したんです!陥れ、命を脅かしただけ!そんな相手を家族?どこまで綺麗事を並べれば気が済むんですか?!」

 

ダンテ「・・・香取」

 

ダンテに呼ばれ、香取は折れた腕を押さえながらダンテと並び立ち、鹿島と向き合う。

 

鹿島「香取姉・・・」

 

香取「あなたを取り戻すために ここまで来たけど・・・正直、どうしたらいいのか分からない・・・」

 

鹿島「取り戻す・・・?私は、あなたの妹を殺したんですよ!」

 

香取「そうね・・・それは分かってる。だからこそ、憎いほど許せない」

 

鹿島「だったら━━」

 

香取「だけど!!・・・だけど違うの・・・」

 

鹿島「・・・・・・・・・」

 

鹿島「あなたが妹を殺し、私や皆を騙していた事は許せない。だけど違うの・・・そうじゃないの・・・」

 

鹿島「何が違うって言うんですか?私は、香取姉が憎むべき敵なんです!」

 

香取「そうじゃないの!!」

 

鹿島「・・・・・・・・・」

 

香取「確かに あなたの言う通りよ。それは事実。でも、もう1つ、確かな事実があるの」

 

鹿島「・・・そ、それって・・・?」

 

香取「大本営で、そして鎮守府で、私達は確かに、姉妹として過ごしてきた。その時間は嘘じゃなかったと、私は思ってる」

 

鹿島「・・・は・・・はは・・・あははっ!まさか、香取姉まで そんな夢物語を言うようになるなんて思いませんでした!嘘じゃなかった?馬鹿なんですか?!私は!あなたの姉妹艦を殺したんですよ!」

 

香取「あなたは、香取型 練習巡洋艦2番艦、鹿島でしょ!!」

 

鹿島「っ・・・!?」

 

香取「あなた()、確かに私の妹なのよ・・・」

 

鹿島「それでも私は・・・・・・やっぱり、戻る事も、生きる事もできない。私は、これまでやった事の罪を償わなきゃならない」

 

香取「何を言ってるの・・・?」

 

鹿島「提督さん達が ここまで来る事は予測していました。そして私が あなた達と戦ったのは、最後に敗北して、死ぬためでした」

 

香取「鹿島!?」

 

ダンテと香取の言葉は、鹿島には届かなかったようで、鹿島は爆弾のスイッチを持つ腕を上げた。

 

鹿島「さよなら」

 

鹿島はスイッチを押したが、爆発どころか何も起こらなかった。

焦る鹿島は何度もスイッチを押すが、やはり何も起きない。

 

鹿島「な、何で・・・?」

 

ダンテ「これは予想できなかったか?」

 

鹿島「いったい これは・・・どういう事なんですか?!」

 

ダンテ「ヒントをくれたのは お前だ」

 

実はビルの中に入る前に、夕張が置いて起動させた装置は、艦娘売買で艦娘が着けられる爆弾の、起爆信号を妨害するための物だった。

以前にも鹿島は、ダンテに自分も艦娘売買で売られた艦娘であると言っていた。その言葉をヒントに、鹿島にも何かしらの形で爆弾が有る可能性を考慮し、事前に信号を妨害する装置を夕張が造っていた。

首輪ではない場合の爆弾の可能性に考えが至ったのも夕張であり、信号妨害の装置を造れたのも、以前 島風が着けられていた首輪を夕張が解析していたからだ。

もし夕張が爆弾解除のエキスパートでなければ、首輪ではない爆弾の可能性に気付く事すらできなかっただろう。

これが、鹿島を取り戻すための秘策であった。

 

ダンテ「これで分かっただろ?俺達は お前を逃さない。死んで全てをなかった事になんかできやしねぇのさ」

 

鹿島「だからって・・・だからって、死ぬを やめる訳には・・・!」

 

鹿島はスイッチを放り投げると、今度は銃を取り出し、銃口を自分の頭に押し当てた。

その銃には、艦娘と艤装との繋がりを断つ薬品が仕込まれており、頭を撃ち抜けば艦娘でも確実に殺せる。

 

香取「鹿島!!」

 

鹿島が引き金を引こうとし、ダンテは彼女に向かって駆け出す。

そしてロビーには銃声が鳴り響き、香取は足から力が抜けて立っていられなくなり、その場で座り込んでしまった。

撃ち出された銃弾は、鹿島の頭ではなく天井に穴を空けていた。ダンテが鹿島の腕を掴み、軌道を逸らしていた。間に合ったのだ。

 

鹿島「どうして・・・どうして死なせてくれないんですか?!」

 

ダンテ「お前は賢い奴かと思ってたが、結局お前も、バカの1人だな。天龍や川内を上回る程にバカだ」

 

鹿島「・・・それは どういう意味ですか・・・?!」

 

バカ呼ばわりされ、鹿島は怒りで顔を歪めながらダンテを睨む。

 

ダンテ「死んで罪を償うだと?それで どう償えるんだ?お前は ただ逃げてるだけだろうが!1番 楽な方法で逃げてるだけだろ!!」

 

鹿島「・・・・・・・・・」

 

ダンテ「死ぬのは簡単だ、逃げる事もできる。だが お前が死んでも、何も変わりゃしねぇ。何かを変えたきゃ、生きるしかないんだ。本気で償いたいなら、生きる事でしか償えねぇんだ!生きろ。生きて償い続けろ。そうすりゃ お前も、少しは真っ当な道を進めるだろうよ」

 

鹿島からすれば、自分には生きる資格がなく、自分は存在してはならないと考えており、死ぬ事でしか償えないと思っていた。

だがダンテの言ってる事の正しさも理解できるため、鹿島は葛藤し、迷い、涙を流した。

 

鹿島「でも・・・でも私は・・・」

 

ダンテ「ここまで言っても まだ分からねぇのか?香取の言葉を聞いても、艦娘達(あいつら)の気持ちを知っても、まだ分からねぇのか?!」

 

鹿島「でも私は・・・今ここで死ななかったとしても、どの道 解体される。それは“死”を意味するんです!」

 

この世界では解体は、2種類ある。青葉のように艤装との繋がりを断ち、人間となる解体と、資材に戻される解体だ。

鹿島が これまでやってきた事を考えると、当局に掴まれば後者での解体は免れないだろう。それを考えれば、鹿島からすれば今ここで、死なずに生きようとするのは意味のない事だった。

 

鹿島「それでも私に生きろって言うんですか?!」

 

ダンテ「それでもだ!」

 

鹿島「・・・・・・・・・」

 

ダンテ「死ぬのが決まってたとしても、少しでも長く生きて、罪を償え。お前には それしかねぇんだ。それに お前は、1つ重要な事を忘れてるぞ」

 

鹿島「・・・・・・?」

 

ダンテ「お前は今でも、Devil May Cry鎮守府の艦娘だ。だから お前に、最後の“提督命令”だ。生きろ。生きて償い続けろ。命令のキャンセルはしねぇし反論も認めねぇ。俺の艦娘なら、それぐらいの根性 見せてみな」

 

鹿島は涙を流しながら、弱々しい笑みを浮かべてダンテを見返した。

 

鹿島「そんな風に言われたら・・・聞くしかないじゃないですか・・・」

 

香取「鹿島・・・」

 

鹿島は死によって逃げるのではなく、生きて正しい事をする道を選んだ。それができるのは僅かな時間だけかもしれないが、それでも価値のある時間になると信じたい。

香取も、鹿島が自ら命を絶つのを やめた事に安心し、優しい笑みを浮かべるのだった。

 

 

・・・・・・

 

少し時間を戻し、鹿島とセリーナにダンテ達の相手を任せたMr.Jは、杖を突きながら暗いビルの通路を歩いていた。

だが後方から、何者かの足音がして振り返ると、通路の角からバージルが現れ、悠々と歩いてくるのが見えた。

蒼い悪魔は、Mr.Jの命を狩り取るために、獲物を捉えていた。




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