Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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534話です!どうぞ!


Mission534 転校生〜願いを叶える赤い球〜

*???の世界 少年の夢*

 

ダンテの世界や艦娘の世界とは別の世界。その世界で生きる小学生の少年は、妙な夢を視ていた。

夢に出てきたのは街が破壊し尽くされ廃墟となり、辺り一面が燃え盛る光景。そんな風景の中で、見知らぬ少女が祈るように胸の前で手を組み、俯いていた。

少女が顔を上げると、少年と目が合った。

 

少年「君は、誰?」

 

少年が疑問を投げ掛けるが、少女は何も言わずに少年を見詰めるだけだった。

すると少年は、何かに吹き飛ばされるように後ろへと引っ張られ、少女の姿が どんどん遠ざかっていった。

 

 

*マンション 5月3日 6:00*

 

直後、賃貸マンションの一室で少年は朝早くに目覚めた。

少年はパジャマから私服に着替えると寝室に行き、リビングにあるテレビに繋げてあるゲーム機を起動する。テレビの画面に映し出されたタイトルは、《Devil May Cry5》だった。

 

 

・・・・・・

 

1時間と少し経ち、少年はネロを操作して出てくる悪魔と戦いながら まだゲームを続けていた。

この世界では、ダンテやネロはゲームキャラとして広く知られており、少年は彼らが出てくる《Devil May Cry》シリーズの大ファンだった。《Devil May Cry》関連のフィギュアやグッズも、誕生日やクリスマスプレゼントで親に買ってもらい多く持っている。

すると、朝から家事をする母親の声がする。

 

母親「《晴人(はると)》ー!早く朝ご飯 食べて学校 行きなさーい!遅刻するわよー!」

 

晴人「うーん・・・」

 

“晴人”と呼ばれた少年はゲームをしながら空返事を返し、キリのいいところでゲーム機の電源を落とすと急いで朝食を食べ・・・

 

晴人「行ってきまーす!」

 

ランドセルを背負って学校へ向かった。

 

 

・・・・・・

 

*街 8:10*

 

登校途中、晴人は大親友と呼べるクラスメイトの友達、眼鏡をする《(すぐる)》と合流して一緒に学校へ向かう。

2人で他愛のない話をしながら歩き、晴人は毎日のようにする《Devil May Cry》の話を今日もするため、優に“またか”と呆れられた。

 

 

・・・・・・

 

*教室 8:30*

 

晴人は教室の自分の席に座りながらクラスメイト達と騒いで話していると、担任の男性教師が教室に入ってきた。

 

教師「今日は最初に、転校生を紹介する。入ってきなさい」

 

担任教師が入ってくるよう促すと、入ってきたのは1人の少女だった。

ただ、晴人は その少女の顔を見て驚いた。今朝の夢に出てきた少女と瓜二つだったのだ。

 

ミユ「《星川(ほしかわ)ミサ》です。よろしく お願いします」

 

挨拶が終わると担任教師に促され、ミサは自分の席に座る。

ミサが席に座ってからも、晴人はミサから目が離せなかった。夢の少女と同じ顔をしてる事から、気になって仕方がなかった。

 

 

・・・・・・

 

*街 15:45*

 

下校途中、道で空を見上げるミサを見付け、晴人は無意識に立ち止まり、それによって一緒に下校していた優の足も止まる。

 

優「女子なんて放っておいて早く いつもの場所に行こうよ」

 

晴人「・・・・・・うん・・・」

 

優が先に歩き出し、どうしてもミサが気になる晴人も、後ろ髪 引かれるように歩き出す。すると、ミサの方に余所見をしていたせいで誰かに ぶつかった。

 

?「イッテェな〜」

 

晴人が顔を上げると、ぶつかった相手はクラスは違うが、同じ学年の苛めっ子3人の少年が居た。

晴人は少しの間 硬直した後、苛めっ子3人を無視して立ち去ろうとした。だが、苛めっ子の内2人が回り込んで道を塞ぎ、晴人は前後を塞がれ逃げられなくなってしまう。

すると、苛めっ子のリーダーである背の高い少年《大志(ひろし)》が、悪い笑みを浮かべながら口を開く。

 

大志「これは これは、誰かと思えば晴人君じゃないか。良くないな〜、人に ぶつかっておいて何も言わずに逃げようとするなんて。これは教育が必要だな」

 

大志達は これから どうやって苛めてやろうかと考えながら笑い、晴人は俯いて顔を見れず、動けなくなっていた。

そこへ、先に行ってしまっていた優が戻ってきた。

 

優「やめろよ!」

 

大志「今度は君か。関係ない奴は引っ込んでろよ。僕達は晴人君に話があるんだから」

 

大志が そう言うと、彼の取り巻きの1人が優を突き飛ばし、優は尻餅を突いてしまった。

 

晴人「優!?」

 

すると大志は、目敏く晴人のランドセルに付けられたネロのキーホルダーに気付き、それを半ば無理矢理 外して奪ってしまった。

 

大志「まだ こんなキャラ物が好きなのか?いい加減、こういうのは卒業した方がいいんじゃないかなぁ?こんな子供っぽいの、恥ずかしくないのか?」

 

晴人「返せよ!」

 

大好きなネロのキーホルダーを取られ、晴人は取り返そうと手を伸ばすが、大志が避けた事で手が空振る。

しかも取り巻きの2人に突き飛ばされ、晴人も尻餅を突く事になってしまった。

その後も大志達は晴人を馬鹿にし嘲笑い、晴人は悔しい気持ちはあったが、地面に座り込んだまま何もできずにいた。

そこへ、ミサが近付いてきた。

 

ミサ「そういうの、やめなよ」

 

大志「何だ君は?」

 

ミサ「返してあげて。人の大切な物を取って馬鹿にするの、恥ずかしいよ」

 

大志「・・・ふん」

 

興が冷めたのか、大志はキーホルダーを返すのではなく、道端に捨てて取り巻きと共に立ち去った。

それを見送ると、ミサは捨てられたネロのキーホルダーを拾い、地面に座り込む晴人に差し出した。

 

ミサ「はい。大切な物でしょ」

 

晴人「・・・ありがとう」

 

晴人はキーホルダーを受け取ると立ち上がり、優も立ち上がると大志達が立ち去った方向へ顔を向ける。

 

優「何なんだよ あいつら。いつも いつも・・・」

 

逆にミサは、感情の読み取れない表情で晴人を見詰めていた。

 

ミユ「・・・・・・言い返すぐらいしたら?」

 

晴人「いいよ、慣れてるから。それに喧嘩したって勝てないし・・・向こうの方が背も大きくて人数も多いし・・・」

 

ミサ「大切な物を馬鹿にされて何も言い返さないの、良くないと思う」

 

晴人「君には関係ないだろ・・・」

 

何だか気まずい雰囲気に優は、晴人とミサの顔を何度も往復しながら見てる事しかできなかった。

 

ミサ「それ、何のキャラクター?」

 

気まずい雰囲気を払拭しようと意図してか意図せずか、ミサがキーホルダーの事を訊ねた。すると晴人は、大好きな《Devil May Cry》のキャラクターであるネロの説明を始め、話に熱も入り喋るのが止まらなくなってしまう。だが見兼ねた優が強制的に割って入り、話を止めた。

 

優「それより早く行こうよ。大志達(あいつら)のせいで秘密基地に行く時間なくなっちゃう。うち帰るの遅くなると お母さん すっごく怒るし」

 

ミサ「秘密基地?」

 

晴人「僕達の秘密の場所。一緒に来る?」

 

優「えっ!?」

 

ミサに助けられた事もあり、晴人は お礼も兼ねて彼女を秘密基地に招待しようとしたが、自分達だけの場所に女子を連れていく事に反対な優は心底 驚いた。

ミサは晴人の顔を見ながら微かに笑みを浮かべて頷き、その顔を見た晴人も自然と笑顔になった。

 

優「マジか〜・・・」

 

もう反対意見など聞いてもらえない雰囲気に、優は早くも諦めた。

 

 

・・・・・・

 

*廃工場 16:15*

 

晴人と優に連れられミサが行き着いたのは、今は使われていない工場だった。

この工場は廃業してから取り壊される事もなく放置されているため、誰の出入りもない事に目を付けた晴人と優は ここを秘密基地とし、以前から勝手に出入りしていた。

2人は放課後よく ここに来ており、ここなら親も先生も、大人は誰も居ない。2人にとって ここは自分らしく、自由に居られる唯一の憩いの場所だった。

建物の中に入ると、工場で使われていた機械などは撤去されており、広い空間が広がっていた。

中心まで行くと、地面に晴人がチョークで描いた、2人のキャラクターの絵があった。

 

ミサ「これは?」

 

晴人「さっき話したネロだよ。こっちはダンテ。2人は悪魔と戦うデビルハンターで、魔剣士の悪魔の家族なんだ」

 

ミサ「魔剣士・・・」

 

“魔剣士”という言葉に、ミサは どこか意味深な顔をした。

その横で晴人は、本当に大好きなのが分かるぐらい、自分で描いたダンテとネロの絵を見ながら笑みを浮かべていた。

そんな中、たまたま優が目を向けた場所に、見慣れない物が落ちていた。

 

優「晴人」

 

晴人「ん、何?」

 

優「あれ、何?」

 

そう言われ、優が見てる方向に晴人とミサも視線を向けると、地面に赤い球が落ちていた。

 

優「昨日まで、あんなのあったっけ?」

 

晴人「・・・ううん、無かった」

 

赤い球が気になり、晴人は そちらに向かう。

 

優「近付くなよ。爆弾かもしれないだろ」

 

晴人「まっさか〜」

 

晴人は どんどん赤い球の方へ行ってしまい、ミサも それに続き、優は恐る恐る2人を追う。

 

晴人「何だろ これ?」

 

晴人が赤い球を持ち上げ首を傾げていると、赤い球が光り ゆっくり明滅する。

 

赤い球『願いを言え

 

晴人「うわっ!?」

 

優「球が喋った!?」

 

赤い球『願いを言え。どんな願いも叶えてやろう

 

晴人「願い?」

 

ミサ「願ってみたら?本当に願いが叶うかも」

 

優「本気か?やめとけって晴人。何か危ない物だったら どうするんだよ?」

 

晴人「・・・・・・・・・」

 

ミサ「大好きなネロに会えるかもよ?」

 

晴人「う〜ん・・・」

 

ミサの言う通り本当に願いが叶うならば、ゲームキャラであるネロと現実に会えるチャンスであるため魅力的ではある。だが優の言ってる事も理解できるため、悩んだ晴人は この場では保留にし、一旦 持ち帰る事にした。

 

 

・・・・・・

 

*街 5月4日 15:45*

 

翌日、晴人と優、ミサが3人で一緒に下校していた。

 

ミサ「どうするか決めた?」

 

晴人「えっ?」

 

ミサ「ほら、昨日の赤い球。何を願うか決めた?」

 

ミサの問い掛けに晴人は足を止めると、ランドセルの中から昨日 拾った赤い球を取り出した。

晴人は赤い球を見詰めたまま、本当に願ってもいいのか まだ迷っていた。

 

晴人「願ったら・・・」

 

ミサ「ん?」

 

晴人「願ったら・・・ネロに会えるかな?」

 

ミサ「・・・願ってみたら分かるよ」

 

晴人「・・・・・・本当に・・・本当に願いが叶うなら・・・僕はネロに会いたい!」

 

晴人は力強く願いを口にすると、赤い球が また光り ゆっくりと明滅する。

直後、空で雷のような轟音が鳴り、晴人達3人は咄嗟に空を見上げる。だが空には稲妻ではなく別の現象が起きていた。空に海が現れたのだ。

上空に現れた海は徐々に面積を広げていき、晴人と優は不安そうな表情で海を見詰め、ミサは何の感情も読み取れない顔で一緒に海を見ていた。

すると、海の中で何かの影が動いてるのが見えた。

少しすると、デビルブリンガーの翼を広げたネロが海から飛び出し、その直後、空に現れた海は縮小して消滅した。

地上では、頭上を飛び抜けたネロを見ながら晴人が満面の笑顔になっていた。

 

晴人「ネロだ!」

 

ミサ「・・・魔剣士・・・」ボソッ・・・

 

一方 上空では、地上を見下ろしながらネロが戸惑っていた。

 

ネロ「どうなってるんだ?俺 深海棲艦と戦ってたよな?それに ここは・・・」

 

ネロは深海棲艦との戦いを手伝うため、Devil May Cry鎮守府の艦娘達と共に出撃した。

だが戦闘の途中で急激な眠気に襲われ意識を失い、目覚めると海中を漂っていて、飛び出すと逆さまに街があり今に至るという状況だった。

晴人達が空を飛ぶネロを見てると、大志達 苛めっ子3人が現れ、同じく空を飛ぶネロを見て驚いていた。

 

晴人「僕が呼んだんだ」

 

大志「君が呼んだ?」

 

晴人「僕が この赤い球に願ってネロを この世界に呼んだんだ」

 

晴人は優越感に浸ろうと自慢して話すが、それがマズかった。それが本当ならばと、大志は晴人の手から赤い球を奪った。

 

晴人「あっ、返せよ!」

 

晴人は取り返そうとしたが、簡単に避けられてしまった。

 

大志「君がネロを呼んだなんて信じられないけど、それが本当なら、もっと面白いものを呼んでやるよ」

 

優「面白いもの?」

 

晴人「何だよ それ?」

 

大志「ネロはデビルハンター。なら俺は、悪魔を呼んでやる。強い悪魔をな!」

 

大志が それを口にした瞬間、赤い球が光り ゆっくりと明滅する。赤い球が願いを聞き届けた時の現象だ。

直後 地面から炎が噴き上がり、中から炎獄の悪魔ベリアルが現れ、近くにあった灯台を手に持つ大剣で破壊した。

 

ネロ「っ・・・!」

 

ベリアルの姿を見たネロはデビルハンターとしての目付きに変わり、直ぐ様ブルーローズを撃ち戦闘を開始する。

ベリアルが暴れる事で周囲が破壊され、近くに居る自分達にも危険が及ぶと本能的に理解した大志は、赤い球を放り投げて取り巻きと共に走って逃げる。

晴人と優も逃げるため駆け出すが、ミサがベリアルと戦うネロを見詰めたまま動かないのに気付き、晴人は慌てて引き返して彼女の腕を掴み、引っ張り一緒に逃げる。

 

晴人「星川さん早く・・・!」

 

優「早く!」

 

ネロ「子供!?っ・・・!さっさと終わらせる!!」

 

空を飛び回っていたネロは、地上で逃げ遅れている晴人と優、ミサの姿を見付け、そちらに被害が及ばないよう本気を出すため、デビルトリガーを発動した。

安全な距離を確保し、尚且つネロの戦いも見れる高台へと避難した晴人と優、ミサ。

 

晴人「デビルトリガーだ!」

 

ネロのデビルトリガーを生で見れて、晴人は笑顔で喜んでいた。

ベリアルが大剣で斬り掛かり、魔人ネロがレッドクイーンで弾いて防ぐ。

だがネロの意思とは関係なく、発動したばかりのデビルトリガーが いきなり解除され、ネロは戸惑う。

 

ネロ「どうなってる!?」

 

疑問に思ってる暇もなくベリアルの攻撃が迫り、ネロはデビルブリンガーの腕でベリアルの大剣を掴んで止めようとしたが、今度はデビルブリンガーの腕が消え、そのまま斬り飛ばされてしまった。

 

ネロ「ぐわぁあああああ!!!」

 

晴人「・・・どうしたんだ、ネロ・・・?」

 

様子の おかしいネロに、晴人の顔が曇り疑問に思う。

ベリアルの追撃が迫り、ネロは更に喰らってしまう。

避難した大志達 苛めっ子3人は、川の上に架かる橋からネロとベリアルの戦いを見ていた。

 

取り巻き「あの化物!」

 

大志「ベリアル」

 

取り巻き「その、ベリ何とかは、大志君が呼び出したんだよね?」

 

大志「ベリアルの武器は、全てを吹き飛ばす《メガクラッシュ》と地面から噴き出す《マグマ》。そして、巨大な剣だ!」

 

デビルトリガーとデビルブリンガーが使えなくなったネロではあったが、レッドクイーンとブルーローズ、デビルブレイカーを駆使してベリアルと渡り合っていた。

幾ばくかの時間に及び戦いが続く中で、ネロは着実にベリアルの体力を削っていた。

 

ネロ「このっ・・・!」

 

ベリアルの身体にデビルブレイカー・オーバーチュアを突き刺し腕から切り離して距離を離すと、オーバーチュアを起爆する。

ベリアルが爆破ダメージで動きを止めた隙に、ネロは持っていたデビルスターで何故か枯渇していた魔力を回復し、再びデビルトリガーを発動し魔人の姿に変わる。

デビルブリンガーの腕も復活し、レッドクイーンとデビルブリンガーの爪から出すX字の風の斬撃、《マキシマムベット》を繰り出す。斬撃を受けたベリアルは、粒子となって消滅した。

 

晴人「やった!」

 

ネロが勝ったのを見て、晴人は優とミサとハイタッチしながら共に喜んだ。

反対に大志の取り巻きは、残念そうに声を上げる。

 

取り巻き「あ〜、大志君のベリ何とかが・・・」

 

ベリアルを呼んだ張本人である大志は、ベリアルが倒された悔しさに顔を歪ませ、橋の手摺りに拳を叩き付けた。

ネロはデビルトリガーを解除し、デビルブリンガーの翼で飛翔する。悪魔として人類に広く知れ渡り、正体を隠すための着ぐるみも無く、ベリアルとの戦闘で目立ってしまった今、長居をする訳にはいかなかった。そのため、一先ず ここから離れる事にした。

だが、それは艦娘の世界での話。ネロは まだ、ここが自分の世界や艦娘の世界とは また違う世界だという事に、気付いていなかった。

 

ネロ「う、うわぁああああああ!!!?」

 

分からない事ばかりで頭を捻るネロだったが、またデビルブリンガーが消え、空を飛んでいたネロは地上へと落下してしまった。

 

ネロ「イテテ・・・今日は何なんだよ・・・?うわっ!?」

 

地上へと落下したネロが顔を上げると、眼前に小学生の少年の顔があり、ネロは思わず驚く。

だが すぐに、ネロは異様な状況に また驚かされる事になる。ネロが落ちたのは小学校のグラウンドで、いつの間にか大勢の小学生に囲まれていた。

 

ネロ「・・・・・・・・・」

 

『・・・・・・・・・』

 

ネロ「・・・・・・ご、ごめん!」

 

小学生の子供達が黙って見詰めてくる異様な雰囲気に耐えられなくなったネロは、小学生の人垣を掻き分け包囲網から抜け出すと、その場から逃げ出した。

 

 

・・・・・・

 

デビルブリンガーも出せない事から空も飛べないネロは、街の中を走っていた。ネロが走る後ろで小学生を始め、大人まで走っており、ネロは大勢の人間に追われる状況で大騒ぎになっていた。

ネロとベリアルの戦いは大勢の人に目撃されており、デビルトリガーまで使って魔人の姿になった事から、人々はゲームキャラが現実に現れたと思い、本物のネロを一目 見ようと追い掛けていた。

 

ネロ「何なんだ この街は!?何で皆 笑顔で追い掛けてくるんだーー!!?」

 

まだ この世界が艦娘の世界だと思ってるネロは、自分を敵視して追い掛けてくるなら理解できるのだが、笑顔で追ってくる意味が分からず、ちょっとした恐怖体験となっていた。

ネロは持ち前の脚力で追ってくる人々を引き離し、適当な店の中に入り込んで身を隠す。

ネロが店の中に居る事に気付かず、大勢の足音が店の前を通り過ぎ、ネロは安堵の溜め息を吐いた。

ネロは何の店に入ってしまったのかと、店の中に視線を向けると、また驚く事になってしまった。入ったのは どうやらフィギュアショップのようなのだが、店の一角にダンテやネロ、バージルのフィギュアが売り物として並んでおり、壁にはダンテとネロ、Vが写る《Devil May Cry5》のポスターが貼られていた。

自分達を模したグッズが商品として並び、ポスターまで貼られている店内に、ネロは戸惑い驚きが隠せない。

 

ネロ「これは・・・!?」

 

店長「いらっしゃいませー」

 

カウンター内で背中を向けていた店の店長がネロの声に気付き、振り返るとネロを見て驚き、指を指しながら何度もネロとポスターを見る。

すると店長は慌てて何かを取り出し、その手に持っていたのはダンテが持つエボニー&アイボリーを精巧に再現したグッズだった。

 

店長「ジャックポット」

 

店長はグッズの銃口をネロに向けながら、何故かダンテの決め台詞を言う。どうやらネロの事を、ネロのコスプレをしてる人だと思ってるようで、外国人でもあるため、ダンテの決め台詞を言ってパッションで“おもてなし”の意を表しているようだ。

ただネロは、理解が追い付かない状況が続いてるせいで、店長を見ながら何の反応もできなかった。

すると誰かの視線を感じ振り向くと、晴人と優、ミサがネロを見上げていた。

 

晴人「やっぱり、本物のネロだ」

 

ネロは咄嗟に晴人の口を塞いだ。

 

ネロ「頼む、俺が ここに居るって言わないでくれ。気付かれると大変な事になるんだ」

 

そう言われると、晴人はネロの手を自分の口から下ろさせ、誰にも言わない事を約束した。

そして晴人は笑顔で優の方に顔を向ける。

 

晴人「ほら、やっぱり本物のネロだ。声も日本語の人と同じだし」

 

ネロ「それより この街なんか変なんだ。どうして皆 笑いながら俺を追ってくるんだ?」

 

優「どうしてって・・・」

 

優は説明しづらいのか晴人を見て、ミサも詳しい訳ではないので、説明を任せる意味で同じく彼を見る。

 

晴人「そりゃ そうだよ、だってネロは人気者だし。本物なら誰だって会いたいもん」

 

ネロ「人気者って・・・本物ならって どういう事だ?」

 

ここでは ゆっくり話せそうにないため、晴人はネロを、自分達の秘密基地に案内する事にした。

その後ネロは、彼から思いもよらぬ衝撃的な事実を聞かされる事となるのであった。




次回も宜しく お願い致します!
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