Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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56話です!どうぞ!


Mission56 大逆転~大和を奪還せよ~

*屋敷*

 

朝になり大和が目を覚ますと、横にダンテの姿はなかった。部屋にも居ないようで、とりあえず着替えを済ませて朝食に向かった。

ダンテは駐車スペースでレディと会っていた。

 

ダンテ「何で お前が送迎係なんだ?」

 

レディ「仕方ないでしょ、元帥からの頼みだったし」

 

ダンテ「怪しい奴は見付かったのか?」

 

レディ「う~ん、疑ってると全員 怪しく見えちゃうのよねぇ・・・」

 

ダンテ「おいおい、しっかりしてくれよ・・・」

 

レディ「そっちこそポーカー大丈夫なの?前みたいに崖っぷちじゃないでしょうね?」

 

ダンテ「まだ そこまでじゃねぇよ。それより頼んでた物は?」

 

レディ「ちゃんと持ってきたわよ」

 

レディは車のトランクを開けて、持ってきた物をダンテに見せる。そこには魔具が入れられていた。

 

ダンテ「全部 持ってきたのか?」

 

レディ「どれが必要になるか分からないし」

 

 

・・・・・・

 

時間になり、またポーカーに興じていた。

レディはバーカウンターで大和と共にゲームを見守っている。

ゲームは荒れに荒れて脱落者も出始めた。12人居たプレーヤーは今じゃ7人に減っている。

ドクターのベッティングラウンドになり、ドクターは どうするか、耳たぶを触りながら考えている。ダンテは じっとドクターの挙動を観察している。

 

ドクター「・・・レイズ」

 

ダンテ「降りる」

 

ベットされている現在の賭け金はトータルで200万となっている。

ショーダウン。参加者が手札を公開する。

 

主人「ハートの4が2枚とクラブの8が2枚のツーペア、そちらの勝ちです」

 

ドクターにチップが移動する。

戦績はダンテとドクターが他の参加者を上回り、手持ちのチップは両者が多く持っている。

 

主人「そろそろ休憩にしましょう」

 

休憩となり参加者は取り巻きと話しながら部屋を出る。ドクターも どこかへと行った。ダンテはレディと大和の元へ。

 

レディ「どうなの?」

 

ダンテ「ハッタリ(ブラフ)だ」

 

大和「ブラフ?」

 

ダンテ「手札が大した事がない時に、あいつは耳を触る癖がある」

 

レディ「なら、その時がチャンスね」

 

 

・・・・・・

 

休憩も終わり、ゲーム再開。ゲームは続き、また脱落者が出た。残っているのはダンテとドクター、他2名のみだ。

 

大和「あっ・・・ブラフです」

 

ドクター「オールイン」

 

ドクターは耳を触り、手持ちのチップを全て賭けた。ダンテの読みが正しければ、これは かなりデカいハッタリだ。

 

ダンテ「コール」

 

ダンテは勝負に出た。

他2名は勝負から降りて一騎討ちとなる。

ダンテとドクターの手持ちのチップは同額。これに勝てば、ダンテの手持ちは約8000万のチップを得る事ができる。

ショーダウン。

ディーラー側のカードはクラブの8、K、A、スペードのK、ハートのK。先にダンテが手札を見せる。ダンテの手札はクラブの3と4。

 

主人「クラブの3、4、8、K、Aのフラッシュ」

 

ダンテの役は、ディーラー側のカードと合わせてフラッシュの役になる。

次はドクターが手札を見せる番だ。ドクターは焦っているような表情を見せながら、手札の1枚を ゆっくりと捲る。ハートのJ。そして もう1枚も捲る。

 

ドクター「おっと・・・」

 

ドクターは嫌な笑みを浮かべながらダンテを見る。

捲られた2枚目のカードは、スペードのJ。

 

主人「Kが3枚とJが2枚のフルハウスです」

 

ドクター「ブラフをしていると思ったのかな?ダンテ君」

 

ダンテ「・・・・・・・・・」

 

フルハウス、フラッシュよりも強い役だ。

ブラフのブラフ、ブラフだと思わせてダンテを勝負に引き摺り出し、罠に嵌めた。

昼の部のポーカーが終了して各々は一時解散する。

レディと大和は言葉が出ない。

 

 

・・・・・・

 

大和は部屋に先に戻り、何かを考えていた。遅れてダンテが、レディと共に部屋に戻ってきた。

 

大和「・・・・・・・・・」

 

ダンテ「追加の300万が要る」

 

大和「無理です・・・」

 

ダンテ「なに・・・?」

 

大和「お金は・・・出せません」

 

大和が一緒に来たのは、現地で追加の お金を出しても良いか判断する為に来ていた。つまり、大和が追加資金を出さないと決めれば、ダンテはポーカーを続ける事ができない。

 

ダンテ「本気で言ってるのか?」

 

大和「これ以上やっても、政府の お金が悪用される結果になるだけです!」

 

ダンテ「よく考えろ。あいつは深海棲艦や悪魔を利用してる奴だぞ。あいつに金が渡れば、また何が起きるか分からない」

 

大和「・・・できません」

 

ダンテ「確かに俺は負けた。だが次は勝つ。俺を信じろ」

 

大和「できません・・・!」

 

黙って2人の会話を傍観していたレディが、ここで口を開いた。

 

レディ「信じてあげなさい。確かにギャンブル運は欠片もないような奴だけど、これはダンテの()()よ。そういう勝負には、絶対 負けない男だから」

 

大和「あなたは・・・」

 

大和の認識では、ダンテとレディは初対面だったはず。なのに、レディは まるでダンテの事を よく知っているような口振りで話すので、大和は訳が分からなかった。

大和はダンテとレディを交互に見る。ダンテの眼は、“次は絶対に勝つ”という強い意志が宿っている。レディの眼は迷いがない、ダンテを信頼しているという自信が現れているように見える。

 

 

・・・・・・

 

夜の部のポーカーは始まり、ダンテの姿はない。

始まってからはドクターの1人勝ちが続いていた。ドクターにとっては、残っている参加者は大した驚異ではない。このまま研究資金を稼げると思い、余裕の笑みを携えていた。

そこに、ドクターの向かい側の席に誰かが座った。見ると、ダンテが追加のチップを持って座っていた。

 

ダンテ「まだ時間はあるよな?」

 

ドクター「・・・あぁ」

 

余計な手間を使わずにダンテを排除できたと思っていたが、何食わぬ顔でダンテは戻ってきた。忌々しいと思いながらも、これはチャンスだとドクターは考えた。戻ってきたなら、全てのチップを奪ってやろうと。

レディと大和も見守っている中、ゲームが再開される。

 

 

・・・・・・

 

ダンテは追加で得た300万から徐々にチップを増やし、ドクターと並んだ。

 

参加者「くそっ・・・!」

 

残っていた参加者も脱落し、残るはダンテとドクターの2人だけとなってしまった。

もうチマチマと賭けていられる状況ではない。ゲーム終了の時刻は迫ってきている。

 

ドクター「幸運の女神のキスも、効果はなかったんじゃないかな?」

 

ダンテ「そう思うか?俺を信じてくれている間は、負けるつもりはないぜ」

 

ダンテは手持ちのチップを全てテーブルの中央に差し出した。オールインだ。ドクターはダンテが出したチップを見てから、自身の手札を見て笑った。

 

ドクター「オールインだ」

 

両者オールイン、これで決着が着く。

大和は両手を握り合わせて祈る。

ショーダウン。

ディーラー側のカードはハートの7、10、J、K、ダイヤの8。ドクターが手札を捲るとハートの8と9。

 

主人「ハートの連続した数字、ストレートフラッシュ」

 

ドクター「これで君は、金と信頼を失った訳だ」

 

勝ちを確信したドクターは、ダンテを馬鹿にするように高笑いする。だが笑っているのは、ダンテも同じだ。

 

ダンテ「いや、まだだ」

 

ダンテは手札を公開する。1枚はハートのA。そして もう1枚は・・・

 

ダンテ「女神のキスは効果があったぜ」

 

ハートのQ。

 

主人「最上級の役、ロイヤルストレートフラッシュ、あなたの勝ちです」

 

レディと大和はダンテの勝利を喜び、ハイタッチした。大和がダンテを信じ、追加の お金を渡した お陰でダンテは勝つ事ができた。信じた甲斐はあっただろう。

ゲーム終了後、賭け金は指定の口座に送金された。手続きはドクターも見守っていた。

 

ダンテ「お前には一緒に来てもらうぞ。訊きたい事が山程あるしな」

 

ドクター「そう上手くいくかな?」

 

ドクターが指をスナップすると、屋敷内に悪魔が現れ、屋敷に居る者 全員に襲い掛かる。悪魔はダンテやレディ、大和にも襲い掛かり、飛び退いて回避する。

 

レディ「大和!」

 

3人の距離が離れたのを狙い、ドクターは大和に何かを嗅がせた。すると大和は意識を失いグッタリして倒れる。

ドクターは大和を抱えて屋敷から脱出する。ダンテとレディも追おうとするが、悪魔が立ち塞がり助けに行けない。ダンテは徒手空拳で悪魔を蹴散らし、レディは その辺にある物で悪魔を殴り飛ばす。そうしながら屋敷の外に出ると、大和とドクターの姿は消えていた。

ダンテは小型の機械を出す。機械の画面には光の点が点滅しているのが映し出されている。しかも移動しているのか動いている。

 

レディ「こっちは任せて」

 

レディは車から銃弾薬を持ち出し、悪魔を一掃する為に屋敷へ戻る。

ダンテは車に乗り込み、機械が示す場所へと向かう。

 

 

・・・・・・

 

大和が目を覚ますと、椅子に縛られていた。場所は どこか分からない。辺りを見回すと、金属で出来た部屋なのか、所々 錆びている。そして強烈な鉄の匂い。

 

ドクター「目が覚めたかい?」

 

大和「あなたは・・・いったい何が目的なんです?」

 

ドクターは大和の目線に合わせる。

 

ドクター「なに、簡単な事だよ。口座番号とパスワードを教えてほしい」

 

大和「教えると思ってるんですか?」

 

ドクター「優しく言ってる内に喋った方が良い。綺麗な顔を傷付けるのは心苦しい。じゃないと・・・」

 

ドクターは後ろを振り返る。大和も その方向を見ると、部屋の扉から悪魔マリオネットが6体 入ってきた。その手には刃物など、拷問で使われる道具を持っている。

 

ドクター「こいつらは利口じゃない。途中で喋っても やめてくれないぞ」

 

大和「何をされても言いません!」

 

縛られた状態で悪魔を前にしても、大和は気丈に振る舞い、ドクターの申し出を拒否する。

ドクターは呆れたように溜め息を吐いて、部屋から出ようとする。

 

ドクター「君にはガッカリだ。そういえば、大本営で しばらく戦艦 武蔵を見ていないだろ?」

 

大和「どうして それを・・・」

 

ドクター「今 彼女は俺の所でモルモットになってるよ」

 

大和「そんな・・・!」

 

戦艦武蔵、大和型 戦艦2番艦で大和の姉妹艦だ。

大本営には武蔵も所属していたが、長い間 行方不明となっていた。

 

ドクター「喋ってくれないなら、武蔵も序でに壊すけど」

 

大和「やめて!武蔵に手を出さないで!」

 

ドクター「なら早く言え。あいつは助けに来ないぞ」

 

大和「・・・番号は・・・」

 

バァーン!バァーン!

 

その時、遠くから銃声が響いた。

 

ドクター「チッ、まだ邪魔するのか・・・」

 

ドクターは部屋の外に出て、戻ってくる事はなかった。

 

大和「武蔵・・・」

 

 

*タンカー船*

 

ダンテは機械の信号を辿ると、港で使われなくなったタンカー船に辿り着いた。中へ突入すると、悪魔が徘徊していた。ベオウルフを装備したダンテは、悪魔を屠りながら船内を進む。

信号は近い。信号が示す場所まで来ると、縛られた大和がマリオネットに囲まれていた。ダンテは魔銃『ナイトメアβ』を取り出し魔力弾を撃つ。魔力弾は1体のマリオネットに当たると、乱反射して他のマリオネットにも何度も当たり、耐えきれなくなったマリオネットは破壊された。

悪魔を一掃したダンテは、大和を縛る縄を解く。

 

ダンテ「大丈夫か?」

 

大和「どうして ここが・・・?」

 

ダンテは自分の頭を つつく。大和は最初、何の事か解らず首を傾げたが、何かに気付いた顔になり、頭の髪飾りを外して見た。

 

ダンテ「発信器だ」

 

大和「どうして発信器を?」

 

ダンテ「備えあればってやつさ」

 

それはダンテが夕張に作らせた物だった。髪飾りから発信される信号を、ダンテが持っていた小型の機械が受信して居場所が特定できる。

 

ダンテ「あいつは?」

 

大和「分かりません。ここを出て そのまま・・・」

 

ダンテ「仕方ない、レディを迎えに行くぞ」

 

大和「はい」

 

 

・・・・・・

 

タンカー船を出ると、また悪魔が現れた。

 

ダンテ「どっかで見た事がある猫だな」

 

その悪魔は『シャドー』。ヒョウのような姿をしているが、それは仮の姿。実体を持つ生きた影そのものと言うような存在で、霊体の表面に呪文を覆うことで様々な姿を形作る不定形の悪魔だ。

ダンテはエボニー&アイボリーを連射するが、シャドーは素早い身のこなしで躱していく。躱しながら形が変わり、牙そのもののような姿でダンテに迫り、噛み付こうとしてくる。ダンテは跳躍して回避して、すぐさまリベリオンで斬り掛かる。だがバリアでシャドーは防御し、魔力の矢を飛ばしてくる。

シャドーは知能も非常に高く、太古の昔から人間達と戦ってきているためか、その対抗手段も身に着けており、影の身体に戦士達が使っていた武器を記憶させることで、 その攻撃に対してバリアを張って防ぐ処か受けた力を そのまま魔力の矢に変換して跳ね返してしまう。

シャドーは刃の形になりダンテを攻撃するが、突然の砲撃に吹き飛ぶ。シャドーはダンテばかりに気を取られ、大和の存在を失念していた。砲撃は大和によるものだ。

また、シャドーは昔の戦士達の武器ばかり記憶しているために、現代の武器である銃器にまでは対応できていない。

そこからはダンテと大和の連携で、銃撃と砲撃でシャドーの身体にダメージが蓄積される。魔力を維持できなくなったシャドーは形が崩れて、影の中から心臓部であるコアを剥き出しにしてしまう。

 

ダンテ「相性が悪かったな!」

 

チャージショットと砲撃の同時攻撃で、コアを破壊されたシャドーは消滅した。

 

 

・・・・・・

 

*屋敷*

 

レディ「やっぱり弾を ぶち込んで ぶっ壊すぐらいしないとね」

 

屋敷から出てきたレディは、久々に暴れたからか顔はハツラツとしていた。

少し歩くと屋敷は崩れ落ちた。

 

レディ「・・・やり過ぎたかしら?」

 

超重火器『カリーナ=アン』を背負い直し、また歩き始める。

すると1台の車が来た。

 

ダンテ「終わったか?」

 

レディ「見ての通りよ。そっちも奥さん取り戻せて良かったわね」

 

ダンテ「今日で離婚だけどな」

 

依頼を達成した今、偽装夫婦も終わりだ。

レディも車に乗り込み、大本営に報告する為に車は走り出す。

 

大和「あの、2人は以前からの知り合いなんですか?」

 

「「・・・・・・・・・さぁ?」」

 

大和「どうなんですか?」

 

ダンテ「日本語 分からねぇ」

 

レディ「私も」

 

大和「お、教えてくださいよ!」

 

 

・・・・・・

 

*Devil May Cry鎮守府 執務室*

 

大本営に総理の依頼を達成した報告を済ませ、ダンテは朝方に鎮守府に戻った。

艦娘達が気になるのはポーカーの結果だった。

 

愛宕「それで、どうだったんですか?」

 

ダンテ「余裕に決まってるだろ」

 

時雨「じゃあ依頼は達成できたんだね」

 

ダンテ「お陰様でな」

 

北上「ほうほう、じゃあ その腕前を見せてもらいましょうかねぇ」

 

北上は いつの間にかトランプを用意していた。そして またポーカーが始まった。

 

赤城「これは・・・フルハウス!」

 

羽黒「ツーペア・・・」

 

皐月「ボクもツーペア!」

 

夕張「スリーカード!」

 

金剛「フラッシュデスネ」

 

ハチ「はっちゃんはワンペアですね」

 

ダンテ「・・・・・・ブタ」

 

鈴谷「全然ダメじゃん!」

 

加賀「本当に勝ったの?」

 

ダンテ「おかしいな・・・」

 

 

・・・・・・

 

*???*

 

ドクターはステビア海アンズ諸島沖の、深海棲艦の秘匿泊地にあった研究室に よく似た部屋に居た。

 

ドクター「君の お姉さんには困ったものだよ。お陰で研究資金が得られなかった」

 

培養液のカプセルには、大和の姉妹艦 武蔵が入れられていた。

ドクターの前にある机には、白と黒の光を放つ2つの歪な形の鉱石が置かれていた。




しばらく話が とっ散らかってましたからね、そろそろ軌道修正しないといけませんね。
できるかな・・・?
いつも お付き合いいただき、ありがとうございます。

次回も よろしく お願いいたします!

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