61話です!どうぞ!
隠しエレベーターで地下まで下りたダンテと川内。
エレベーターの扉が開くと、リランカ島の深海棲艦の秘匿泊地にあった研究所に似た場所に出た。
川内「何・・・これ・・・」
研究所には いくつものカプセルがあり、カプセルの中には培養液に浸けられた艦娘が入っていた。
プレートがあり、そこには入れられている艦娘の名前が記載されている。
川内は1つ1つのカプセルを見ながら、姉妹を探す。
ダンテ「(何か居るな・・・)」
何かの気配を感じながらも、奥へと進む。奥にはデスクがあり、モニターや資料もある。
ダンテがデスクに近付くと、独りでにモニターの電源が入った。そこに映っていたのは・・・。
ドクター『やぁ、ダンテ君』
ダンテ「やっぱり お前か」
ドクター『俺の研究所に ようこそ。呉の彼が殺られたと知って、そろそろ来る頃だと思ってた』
ダンテ「コソコソと隠れてないで出てきたら どうだ?決着 着けようぜ」
ドクター『そんな安い挑発には乗れないなぁ』
ダンテ「リブート計画って何だ?艦娘を どうするつもりだ?」
ドクター『計画の事まで知ってるとは・・・艦娘に関しては、後ろを見たまえ』
後ろを振り返ると異形の何かが現れた。それも1体や2体ではない。ダンテと川内は異形の存在に囲まれた。
川内「え・・・神通・・・?那珂・・・?」
異形の存在が身に纏う衣服はボロボロだが、艦娘の制服のデザインが見受けられた。全身は黒く、違う何かに変容している。だが顔の半分は艦娘の時のままとなっている。川内が名前を呼び掛けた2体の顔 半分は、確かに神通と那珂の顔をしていた。
ダンテ「お前・・・何をしやがった?」
ドクター『彼女達は実験の成れの果てだ。まぁ、失敗作だがね』
異形となった艦娘達は、鋭い爪で一斉に斬り掛かってきた。川内は素早く避け、ダンテもリベリオンで その爪を受け止め、往なし躱していく。
川内「やめてよ!私だって!分かんないの!?」
ドクター『ムダだ。彼女達は もう、人の言葉を失っている』
川内は呼び掛け続けるが、呉から連れ去られた艦娘達は獣のような声を出すだけで、執拗に襲ってくる。
人体実験により悪魔の肉体を移植され、別の存在へと作り変えられた艦娘達。
ここに閻魔刀があれば、悪魔と艦娘を切り離し助ける事もできただろうが、今は無い。艦娘達を助けるのは、今この場では不可能だ。ダンテは1つの決断をしなければならなかった。
ダンテはケルベロスを振り回しながら艦娘達を吹き飛ばす。
川内「攻撃しないで!助けるって約束でしょ!」
ダンテ「こいつらは元に戻せない。こいつらも、こんな姿にされて苦しんでるみたいだしな。見てみろ」
ダンテに指摘され、襲い来る艦娘達を見ると、全員が黒い涙を流していた。ダンテには、艦娘達が異形の姿にされ、理不尽に他者を傷付けようとする自分自身に嘆き苦しんでいるように見えた。それは川内も同じだった。
ダンテ「・・・もう楽にしてやれ」
川内「・・・ごめん皆・・・神通、那珂・・・」
川内も涙を流しながら反撃する。吹き飛ばしても何度も立ち上がり襲ってくる。川内は無意識に手心を加え、倒すまでに至っていない。
ダンテも川内に言った事とは裏腹に、何かないかと考え止めを刺さずに吹き飛ばすだけに留まっている。だが考える時間は与えてもらえない。
『Warning!Warning!』
警報と共に警告のアナウンスが研究所内に鳴り響く。
ドクター『君に見付かってしまったのでね、この研究所は焼却処分させてもらう事にした。失敗作と遊びながら死んでくれたまえ』
遠隔操作で研究所に仕掛けられた爆弾を起動したドクター。小さな爆発が起き、置かれている機械からは火花が飛び散る。急いで避難しなければならない。
ダンテ「川内、ここから出るぞ!」
川内「カプセルに残ってる艦娘は!?」
ダンテ「2人だけで全員を連れ出すのはムリだ!」
ダンテはベオウルフを装備して拳を床に叩き付ける。ダンテを中心に光のエネルギーが爆発、『ヴォルケイノ』が周囲の艦娘達を吹き飛ばす。
エレベーターの方には まだ艦娘達が蠢いている。
拳から光のエネルギーを解き放つ『ゾディアック』で残りを蹴散らすと、ダンテと川内はエレベーターに向かって走るが、ダンテは途中で艦娘の入れられているカプセルのプレートを見た。そこに記載されていた名前は、『武蔵』と『あきつ丸』。
“あきつ丸を・・・艦娘を助けてくれ・・・”
病院で元帥がダンテに言った最後の言葉を思い出す。
武蔵は大和の妹である事も知っている。
2人の艦娘は、表面上では何か変化があるようには見受けられない。
ダンテはカプセルを破壊して、中から武蔵とあきつ丸を出すと、2人を抱えてエレベーターに乗り込む。地上への行き先階ボタンを押すが反応しない。爆発の影響で上手く作動しない。
そうしてる間にも、吹き飛ばした艦娘達は立ち上がり、ゾンビのようにエレベーターへと迫り来る。
万事休すかと思った瞬間、2体の異形が他の艦娘達の前に立ち塞がり、バリケードとなる。
呉那珂「センダイチャンノ コエ、キコエタヨ・・・」
呉神通「ネエサンハ、イキテ・・・」
川内「神通、那珂・・・一緒に逃げよう!」
呉の神通と那珂は、首を横に振り、川内の提案を拒否する。
川内「どうして・・・!?」
呉神通「ワタシタチハ、バケモノダカラ・・・」
呉那珂「モウ、オサエテラレナイ・・・」
呉の神通と那珂は、ここで死ぬ道を選んだ。
他の異形となった艦娘達を抑えているが数が多く、2人で抑えるには限界が来ていた。
呉神通「アノ、アカイカタニ、オネガイガアルノデスガ・・・」
ダンテ「何だ?」
呉神通「ネエサンヲ、オネガイシマス」
ダンテは頷いて意思を示す。そしてエレベーターのパネルを殴って破壊すると、エレベーターの扉が閉まり始めた。
川内「神通ー!那珂ー!」
扉が閉まり切るまで川内は叫び続けた。
川内が最後に見たのは、神通と那珂の笑っている顔と、抑えきれず他の艦娘の波に呑み込まれた光景だった。
地上へ到達し、急いで武器庫から離れる。
直後、巨大な爆発が起き武器庫が炎に包まれる。川内は頭を抱えて地面に伏せ、ダンテは武蔵と あきつ丸に覆い被さり、飛んでくる瓦礫の破片から自身を盾にする。
その後、ダンテと川内はレディとトリッシュ、艦娘達と合流する。
トリッシュ「終わったの?」
ダンテ「ここでの仕事はな」
地上では、陸軍の基地の あちこちから火の手を上げ、廃墟となり基地とは呼べない有り様となっていた。
瓦礫を押し退け、基地司令官が飛び出してくる。
司令官『死ねぇーー!!』
夕張「これなら どうかしら!」
司令官『ギャアアアアア!?』
強靭な肉体により、これまで あまりダメージが通らなかった基地司令官が、夕張が撃った1発の砲弾に悲痛な叫び声を上げる。同時に悪臭も広がる。
夕張「いや~、前の残り物 持ってきといて良かったぁ」
数年前のジェスターとの決戦で用いたカレー砲弾を、夕張は処分序でに持ってきていた。
基地司令官の身体には罅が入り、ボロボロになる。
ダンテ「おい、前より酷い臭いだぞ」
夕張「昔のだから腐ってるのかも・・・」
基地司令官はボロボロになりながらも こちらに向かってくる。
「「「出直してきな!」」」
ダンテ、レディ、トリッシュが銃を連射し、無数の弾丸を浴びせられた基地司令官は木っ端微塵となった。
・・・・・・
その後、大本営で武蔵と あきつ丸を大和に任せ、ダンテ達は鎮守府へ帰った。
川内は連れ去られた艦娘達が どうなったかを伝える為に、呉鎮守府へと戻った。
それから数日後、元帥の葬儀が執り行われた。Devil May Cry鎮守府からは鳳翔が出席する。
葬儀が行われている建物から、少し離れた場所でダンテ、トリッシュ、レディが建物を見ていた。
ダンテ「ったく、秘密の多い じーさんだったな」
トリッシュ「顔を出さなくて良かったの?」
ダンテ「ここで充分さ・・・じゃあな、じーさん」
ダンテは その場から去っていく。レディとトリッシュは1度 顔を見合せ、ダンテを追った。
・・・・・・
*Devil May Cry鎮守府 船 甲板*
葬儀も終わり、夕日に照らされながら幽霊船は海を進む。ダンテは、鳳翔を短い船旅に連れ出した。護衛の為に艦隊が船の周りに付いている。
今は甲板の手摺に凭れながら、ダンテと鳳翔が話していた。
鳳翔「元帥は、幸せだったでしょうか?」
ダンテ「・・・さぁな」
鳳翔「・・・・・・・・・」
ダンテ「別に辞めたっていいんだぜ」
鳳翔「え・・・?」
ダンテ「お前は じーさんと ずっと戦ってきた。艦娘を辞めて普通の人間として生きても、誰も文句は言わないさ」
鳳翔「私は・・・」
ダンテ「何か やりたい事とかはないのか?」
鳳翔「そうですね・・・いつか、小さな お店でも開きたいですね」
ダンテ「・・・そうか」
ダンテは鳳翔から静かに離れる。
船の舵へ向かうが、大将がダンテを待ち構えていた。ダンテは大将も船に招待していた。
大将を無視して通り過ぎようとするが、呼び止められた。
大将「武蔵と あきつ丸を救ってくれた事は感謝する」
ダンテ「感謝なんかするな。全員は救えなかった」
大将「それでもだ・・・あきつ丸はな━━」
ダンテ「どうでもいいさ」
大将「・・・そうか。しかし何故 俺が疑われていた?」
ダンテ「最初に疑ったのは鳳翔だ」
大将「・・・・・・・・・」
ダンテ「あんまり母親を泣かすもんじゃないぜ。例え母親代わりでもな」
ダンテは そのまま舵へ向かってしまった。
大将は夕日を眺めてる鳳翔の背中を見てから、鳳翔の元へと歩を進めた。
大将「鳳翔」
鳳翔「・・・どうしました?」
大将「その、あれだ・・・お前には感謝している」
鳳翔「急に改まって、雨でも降るのかしら」
鳳翔は昔、元帥と恋仲でもあった。
元帥が まだ、横須賀の提督だった頃に お見合いの話が舞い込んだ。相手は上官の娘で、そこには出世の意味合いも含まれていたので、同じ軍属の者なら誰もが羨む話だったが、元帥は断るつもりだった。
しかし、結婚の後押しをしたのは鳳翔だった。上に行けば、理想を現実にできる可能性が大きくなるからと。“理想”、それは深海棲艦との戦争を終わらせ、平和を取り戻す事。
鳳翔と何度も話し合った結果、元帥は お見合いの話を受ける事にした。そして産まれたのが大将だ。
その後も しばらくは横須賀で提督をしていたが、深海棲艦の襲撃で元帥は妻を亡くし、鳳翔が母親代わりとなり大将を育てた。
そして出世の時が来た。大本営へと配属が決まり、数々の功績を残し、遂に元帥となった。
元帥は大本営で海軍を指揮し、鳳翔は艦娘として出撃し、2人は それぞれの場所で戦い続けた。
大将「本当なら お前が親父と━━」
鳳翔「その話は今はしないでください」
大将「すまん・・・」
鳳翔「・・・・・・・・・」
大将「それでも、俺を育ててくれた事には感謝している」
鳳翔「こちらこそ、良い経験をさせてもらいました」
大将「それから、どうして俺が疑われた?」
鳳翔は理由を話した。騎士姿の悪魔の正体は呉提督だったが、最初の頃の喋り方が大将に似ていたと鳳翔は感じていた。
その姿の呉提督は演技をしていた訳だが、呉提督も今の横須賀提督のように大将に鍛えられた1人だった。それもあり、呉提督は大将の口調を真似をしていたのかもしれない。
大将「・・・・・・母親代わりの お前に疑われるのは、さすがの俺もショックだ」
鳳翔「ごめんなさい・・・」
大将「い、いや、怒ってはいないぞ」
それから鳳翔と大将は、ずっと他愛のない話を、いつ振りかの親子の会話をした。そんな2人の様子を、ダンテは舵を取りながら ずっと見ていた。
ダンテ「そろそろ帰るか・・・」
夕日に照らされながら、船は鎮守府への航路を進む。
・・・・・・
*数日後*
ある場所に、一軒の お店があった。お店の名前は『居酒屋 鳳翔』。
隼鷹「じゃあ鳳翔さん、また来るね~」
鳳翔「気を付けて戻るんですよ」
数名の艦娘が店から出て、店内には誰も居なくなった。
時間が来て鳳翔は閉店作業を始めたが、店の扉が開く音がした。
鳳翔「すみません、今日は もう終わり・・・提督」
ダンテ「まだ大丈夫だろ?」
ダンテは鳳翔の返事も聞かぬままカウンターの席に座った。鳳翔は それを咎める事もなく、ダンテの為だけの営業を始めた。
鳳翔「何にしますか?」
ダンテ「え?あ~、ビールでいい」
それからは2人で ずっと話し込んでいた。執務の愚痴や艦娘の愚痴、お店の話など。
ダンテ「それじゃ、俺は鎮守府に帰るぜ。元気でな」
しばらくしてダンテは満足したのか、ダンテは お金だけ置いて お店を出ようとする。扉の前まで行くと、鳳翔に呼び止められた。
鳳翔「提督」
ダンテ「何だ?」
鳳翔「ここ・・・鎮守府ですよ」
ダンテ「・・・・・・・・・」
この数日の間に、明石、夕張、工廠の妖精さんが急ピッチで鎮守府に お店を建設し、お店を開く為の資材などの必要な資金は、ダンテが船にあった財宝を換金して使った。
鳳翔は艦娘を辞めなかった。元帥の目指したものを現実にする為に、鎮守府に残った。
営業時間は夜なので、夜戦ができない空母の鳳翔には丁度 良かったのかもしれない。
ダンテ「もう ちょっとノリに付き合ってくれても良かったんじゃないか?」
鳳翔「冗談 言ってないで お店 片付けるの手伝ってください」
ダンテ「俺 客だよな?」
鳳翔「とりあえずテーブル拭いてください」
ダンテ「何で俺が・・・」
『居酒屋 鳳翔』、鎮守府にて絶賛 営業中、本日は閉店なり。
次回の話は まだ考えていないので、また日が空くと思います。
次回も よろしく お願いいたします!