80話です!どうぞ!
*Devil May Cry鎮守府 会議室*
セリーナ「先ずは自己紹介しておこう。妾の名はセリーナ。お前達で言う所の魔女だ」
初雪「魔女・・・!」
魔女と聞き、何か凄いのが来たと思い数名の艦娘の眼がキラキラしている。
セリーナ「今、世界の境界線が崩れている」
天龍「は?境界線?」
セリーナ「世界と世界を隔てる見えない壁だと思えばいい」
艦娘達は納得したような してないような難しい顔をし、ダンテとネロは表情を変えず、静かに話を聞いていた。
セリーナは艦娘達に構わず、話を続ける。
本来なら、ダンテやネロが こちらの世界に来る事はなかった。いや、有り得なかった。
セリーナ「だが、兄上が魔界から悪魔を呼び寄せた事で、こちらの世界と半魔の世界の魔界が繋がってしまった」
時雨「ちょっと待ってよ。魔界は1つじゃないの?」
セリーナ「人間界と魔界はコインの表と裏、半魔の世界に魔界があるように、こちらの世界にも魔界はある。話を戻すぞ」
繋がった事で世界の境界線には綻びが出来てしまい、悪意ある者を呼び寄せる結果となった。それがジェスターだ。だが同時に、それらに対抗できる者も呼び寄せられるようになった。それに選ばれ、呼ばれたのがダンテだった。
“提督さんは どうして この世界に来たと思う?”
“何だクイズか?たまたま穴に飛び込んだら こっちに来てただけだろ?”
“違うよ、提督さんは呼ばれたの”
“呼ばれた?誰が俺なんかを呼ぶんだよ?”
“呼んだのは この世界。この世界が抗えない存在が現れたから提督さんは呼ばれたの”
ダンテ「・・・・・・・・・」
セリーナの話を聞きながら瑞鶴を見る。ダンテは嘗ての、瑞鶴の亡霊との会話を思い出していた。
セリーナ「最初は小さなものだった。だが最近になって魔の気配が再び活発になり、境界線は大きく崩れ始めた」
それにより こちらの世界からダンテの世界に行く事も可能になった。ドクターが造り出した人造悪魔、黒いダンテがフォルトゥナに現れたのも それが原因だった。
加賀「もしかして、私がネロと会ったのも・・・」
セリーナ「そういう事だ」
加賀も綻びにより偶然できた歪みに入り、フォルトゥナでネロと出会う事ができた。幸いにも、それがなければ加賀は轟沈していただろう。不幸中の幸いだ。
深雪「でも、境界線が崩れて何が問題なんだよ?そうなったら いつでも司令官と会えるんだろ?」
如月「それ いいわね♪司令官の世界を観光できるし」
セリーナ「そんな愉快な話ではない」
境界線が崩れ、世界を行き来できるのに条件はない。そうなれば、深海棲艦もダンテの世界に行ってしまう可能性もある。他にも、この世界にしか存在しない物が向こうに行ってしまったり、向こうの世界にしか存在しない物が こっちに来てしまう事も考えられる。それは一種の混乱を招く事になりかねない。
川内「でも、深海棲艦が向こうに行っちゃったら、私達で対処すれば良くない?」
ダンテ「分かってねぇな」
向こうに艦娘は存在しない。ダンテの世界の人類が、簡単に艦娘を受け入れるかは別問題だ。下手をすれば深海棲艦と同じ括りにされ、敵と見なされる可能性もある。捕まれば解剖だって有り得る。そこまで聞かされ、数名の艦娘は血の気が引く。
白露「それは嫌かも・・・」
それに、何もトラブルがなく、別の世界に居座る事が可能か どうかも怪しい。ジェスターを倒した直後、ダンテは空間にできた穴に放り出され、気付けば元の世界に戻っていた。2度目に この世界に来た時も、魔界の入り口を塞いでから数日後、また空間にできた穴が現れ、どこまでも追い掛け回してきた。さっさと帰れと言わんばかりに。
赤城「それを止めるには、どうすればいいのですか?」
セリーナ「兄上のやろうとしている事を全て阻止するしかない。それを探り、対処する為にも半魔を呼んだのだが・・・おい、進展はあったのか?」
ダンテ「黄色い石は見付けた」
黄の石は深海棲艦が持っていた。しかし、それから先は何の進展もなかった。
まだ艦娘達が抱く疑問は残っている。
鳳翔「まだ、あなたが何者なのか聞いてません」
ダンテ「それは俺も聞きたいな。
どうやらダンテも そこまでは知らないらしい。
セリーナは見回してから口を開く。
セリーナ「ここでは少し狭いな。もっと広い場所に行こう」
『・・・・・・・・・?』
なぜ広い場所に行く必要があるのか よく分からないが、本人が行く必要があると言うなら行くしかない。会議室よりも広い場所となると、外しかない。全員でグラウンドへ移動する事となった。
・・・・・・
*グラウンド*
グラウンドに着き、全員グラウンドの中心に集まると、セリーナは杖を高く掲げる。杖の先端が光ると、グラウンドの風景が変わり始めた。
鈴谷「え・・・何・・・?」
セリーナ「これは記憶だ」
ダンテ達の目の前の その風景は、現代の文明社会の街並みとは全く違う街が広がっていた。
皐月と文月は行き交う人に触れようとするが、実体がない為 通り抜けてしまう。それが おもしろいのか、数名の駆逐艦が遊び始める。
セリーナは記憶の幻を見せながら、滅び忘れ去られた古代文明の話を始めた。
セリーナ「今から3000万年前、悪魔を信仰し、悪魔の力で栄えた文明があった」
人々は悪魔を召喚し、何を造る為か分からないが、石や丸太などを積んだ荷車を悪魔に引かせたり、一種の労働力として使っていた。
風景が変わり、王宮にある王の間のような場所に変わった。玉座には その文明の王と妃、そして横に控えるようにドクターとセリーナ、そして もう1人、若き青年が立っていた。
夕張「ドクターまで居るじゃない」
セリーナ「兄上の本当の名は『アーロン』だ」
ダンテ「(あの男・・・)」
“甘美なる記憶に沈み、魔の深淵、永遠の安息で眠れ・・・”
ダンテには玉座に座る王の姿に見覚えがあった。それは、ジェスターが復活させた神殿の玉座の間で眠っていたミイラと同じ姿をしていた。その時は、ミイラの魂が魔界の瘴気で悪魔に変貌し、ダンテに襲い掛かった。ダンテは知らず知らずの内に、古代文明の王様を倒していた事になる。
ドクター改めアーロンと、セリーナは その文明の王家の血筋だった。
セリーナ「我らは悪魔を使役しながらも、平和な時を過ごしていた。だが、大きな過ちを犯してしまった」
また風景が変わり、今度は研究室のような場所に変わった。そこにはアーロンとセリーナ、若き青年の3人が居た。
セリーナ「兄上、おやめください!」
青年「我々にとって悪魔は使役する存在だ。それと同じになれば本末転倒だぞ」
アーロン「これが成功すれば、悪魔と同じ力を得る事ができる。そうなれば、もう悪魔に頼る必要はなくなる」
青年「後悔する事になるぞ」
アーロン「それは こちらのセリフだ。邪魔するなら、お前こそ後悔する事になるぞ」
セリーナ「兄上・・・」
アーロンは この時代でも研究者であった。
研究室には7つの石が置かれていた。それぞれの石は、赤、青、緑、黄、紫、白、黒の光を放っている。現在、黄の石はダンテが確保し、白と黒の石はアーロンが所有。緑と紫の石は、赤城が誰にも在処を言わずに隠した。赤と青の石はテイラー・コープが保管しているが、ダンテ達は その事を まだ知らない。
陸奥「あの石は何?」
セリーナ「あれが全ての元凶だった」
7つの石は自然のエネルギーが密集して誕生した、エネルギー物質だった。アーロンは そのエネルギーに着目し、これを更なる繁栄に利用できると考えた。
父である王に実験の実施を許可され、膨大なエネルギーが都市と、そこに生きる人間達を呑み込み、人々は異形の姿へと変わり果ててしまった。セリーナと その家族も、異形へと変わってしまった。
アーロンは次期 王となるはずだった。
だが この実験を切っ掛けに、アーロンにとっては弟、セリーナにとっては もう1人の兄に当たる兄弟、一緒に居た若き青年とセリーナの裏切りによって戦争が起きた。
鳳翔「あなたは、どうして彼と敵対する事にしたんですか?」
セリーナ「兄上は やり過ぎた。人間を悪魔に変えるなど、許されるはずがない。あのまま放っておけば、やがて人は滅び、世界も滅びる。妾も元は人間だ。それだけは看過できなかった」
戦争に勝つ為に、アーロンは とてつもなく大きい魔界の入り口を開いた。中から現れた悪魔を見て、ダンテの眼が鋭くなる。その悪魔は白い巨像のような姿をし、三つ目と天使のような羽を有し、まるで神のように神々しい姿だった。
ダンテ「ムンドゥス・・・!」
ネロ「ムンドゥス?ムンドゥスって魔界の王か!?」
赤城「あれが、提督の家族を奪った悪魔・・・」
今 目の前に居るムンドゥスは、ダンテが倒したムンドゥスとは別のムンドゥスだ。この世界の魔界のムンドゥスである。
アーロン「魔界の王、魔帝ムンドゥス!いや、神よ!この戦争に勝つ為に、我に力を!」
ムンドゥス『人間風情が、この魔帝に力を求めるのか?』
アーロン「私は最早 人間ではない!この戦争に勝った暁には、人間界を あなたに差し上げよう!その代わり、私に王としての力を!」
ムンドゥス『・・・・・・おもしろい。ならば この魔帝の為に、力を尽くすがいい』
セリーナ「兄上が呼び出した悪魔は、それだけではなかった」
アーロンは魔帝ムンドゥスだけでなく、羅王アビゲイル、覇王アルゴサクスまで魔界から呼び出した。この3体の悪魔は、魔界の覇権争いをしていたが、人間界を手中に納める為に一時的に協力していた。全てが終わった後、お互いに潰し合うつもりでいた。
アーロンが率いる魔の軍勢と、悪魔を信仰する事を良しとしない人間、それに協力する人間界の土地に住まう、神や精霊と呼ばれる存在とで戦争が続いた。見た事もない生き物や、人のような姿をしているが、どこか人とは かけ離れた姿をした者達が、悪魔と戦っている。
日向「なんて醜い争いなんだ・・・」
その戦争は、まるで この世の終わりかと思わせる程のものだった。
セリーナも人間側に付いて戦った。しかし、戦いは魔帝、羅王、覇王の力と その軍勢も相まって、人間側が劣勢を強いられていた。
セリーナ「それでも、力ある者は力を振り絞って戦った」
悪魔を信仰していた者達は、皆 悪魔の力を その身に宿していたが、戦争は人間側が勝利した。
魔帝ムンドゥス、羅王アビゲイル、覇王アルゴサクスは力を奪われ封印された。
アーロンは、戦争が終結した時には行方不明となっていた。死体すら出ず、死んだものと考えられていた。
セリーナ「だが、敵は内部にも居た」
そしてアーロンの弟は、セリーナをも裏切った。戦争を引き起こしたのは、自分が王位を引き継ぐ為であり、自分の野望を叶える為に全てを利用したに過ぎなかった。だが悪魔の力の使い方を誤り、文明が滅びる結果となった。
悪魔の力を得ていたアーロンとセリーナは、不老不死となっていたので今日まで生き永らえてきた。
青葉「ちょっと待ってください!こんな文明があったなんて、今まで聞いた事ありませんよ!それに関する遺物だって、発掘された話もないですし!」
それだけの事があったのなら、何かしらの爪痕が残っていても おかしくない。または それに関する痕跡も。それらが発見されなかった理由を、セリーナは知っていた。
セリーナ「当然だ。存在その物を消されたんだ」
同じ悲劇を繰り返さぬ為に、封印と共に その文明と悪魔に関する記録や痕跡は、力ある存在によって抹消された。だからこそ、現代に至るまでに悪魔を信仰していた文明に関する何もかもが失われていた。それから別の文明が誕生し、滅び、それを繰り返し忘れられ、現代に至る。
セリーナ「それも完璧ではない。この人間界で魔の力が活発になれば、神殿や石を封印していた遺跡が顕現してしまう」
それが、今まで見付けられる事のなかった神殿や遺跡が、ダンテ達の前に姿を現したカラクリであった。
そこで、北上が挙手をする。
北上「ねぇ、1個 思ったんだけどさ、あの変な生き物とかに また悪魔を どうにかしてもらうってのは どうよ?」
大井「さすが北上さん!」
セリーナ「それはムリだ。この戦争で、彼らは力を使い果たした。彼らは、人間の正しい心の信仰心が力の源になっている。信仰心の薄れた今の人間界では、彼らの力は衰えているだろう」
大井「チッ、使えないわね・・・」
吹雪「(神様みたいな存在に対して舌打ちした・・・)」
明石「でも それって、昔 提督と お花見に行った時に、桜の木が言ってた事に似てませんか?」
“悪魔の世界と この世界の境界が曖昧になっている。それを止めてほしい。我や他の、この地に住まう守護する者達は力を失った。我らでは最早 止められない”
ダンテ「あの時か・・・よく覚えてたな」
明石「たまたまですよ」
セリーナ「兄上は世界を、星の誕生から やり直し、自分の世界を取り戻そうとしている」
それがアーロンのリブート計画。ダンテは それを止める為に呼ばれた。
周りの風景が、元のグラウンドに戻る。
セリーナ「妾は臆病者だ。兄上が やろうとしてる事を知りながら、これまで人目を避けて生きてきた」
ダンテ「なら、今になって どうして俺に助けを求めた?」
セリーナ「兄上が やろうとしている事は、最初は不可能だと思っていた。だが、これまで兄上がしてきた事を見て、それが可能な気がしてきた。我らは滅んだ過去の異物、今の時代を滅ぼす権利はない」
ダンテ「見て見ぬふりができなくなった訳だ」
セリーナ「その通りだ・・・頼む、兄上を止める為に、力を貸してくれ」
ダンテ「元々そういう依頼だったしな。その代わり、お前も力を貸せ。家族の事は、家族の問題だ。お前が あいつのケツを叩いてやれ」
“親父?そんなのは関係ない。あんたが気に入らない。それだけさ”
ダンテも そうしてきた。最初は関係ないと思っていた。ただ気に入らなかっただけだった。
“俺にとっても家族の問題って訳だ。最初はムカついてただけだったけどな。お前の お陰で何が大事かが分かった。何をしなくちゃいけないのかも”
だが、自分が何をするべきか気付かされた。
“忌まわしきスパーダの血を引く者!目は見えずとも、貴様の臭いは覚えた!貴様を殺すまで追い続けてやる!貴様の臭いを辿ってな!”
“親父の尻拭いまでしなきゃいけないのか。もう ちょっと楽させてほしいんだけどな”
“お前、ただの人間ではないな?何者だ?・・・・・・!まさか、伝説の魔剣士スパーダ?そんなバカな”
“鋭いな、その息子ダンテだ。ネンネしな”
だからこそ父スパーダや、兄バージルのしてきた事の尻拭いを、これまでやってきた。それは、家族の問題だから。セリーナにも、同じ事をしろと言いたいのだ。
セリーナ「・・・分かった!」
天龍「しっかしよぉ、こんなガキみたいな婆さんが役に立つのかぁ?背も小せぇし」
セリーナ「誰がロリババアじゃ!“合法アダルト幼女”と呼べ」
セリーナ、見た目は子供、推定3000万歳。
天龍「誰が呼ぶか!」
瑞鶴「(呼ぶ方が恥ずかしいっての)」
熊野「合法アダルト幼女って何ですの?」
鈴谷「し、知らない・・・熊野も知らなくていいから」
呼び方は兎も角、セリーナの協力も得られるようになった。
そこで突然、曙が大声を出した。何事かと思い、全員 曙を見る。
曙「私、今日 遠征に行く日だった・・・」
北上「もう朝じゃん」
気付けば朝になっていた。つまり、全員 徹夜した事になる。昨日は外食でバカ騒ぎ、その後 悪魔の大群と戦闘、帰ってきたら難しい話を聞かされて徹夜。それで遠征に行くのは気持ちの面で辛いというか、しんどい。
文月「ふえ~!部屋に戻って ぐっすり寝たいよ~!」
暁「一人前のレディは、徹夜ぐらい・・・」Zzz・・・
電「暁ちゃん!外で寝ちゃ駄目なのです!」
赤城「どうします?」
ダンテ「1日ぐらいサボったっていいんじゃないか?」
赤城「そう言うと思いました」
ダンテ「いいよな?大淀」
大淀「はぁ・・・仕方ないですね」
『やったぁー!』
大淀は溜め息を吐きながらも了承し、この日、鎮守府は特別な休みとなった。
・・・・・・
*居酒屋『鳳翔』*
その日の夜、鳳翔の店には客は1人だった。ネロだ。日本の法に従い、アルコール飲料は出していない。他の者は既に艦娘寮に戻った後だった。ネロは1人で、何かを考えていた。そこへ、暇を持て余した鳳翔が話し掛けてきた。
鳳翔「閻魔刀の事を考えてるんですか?」
ネロ「・・・別に」
鳳翔「嘘が下手ですね」
ネロ「放っといてくれ」
鳳翔「きっと取り戻せますよ」
ネロは、鳳翔の言葉を無責任な発言だと思った。ネロとしては、閻魔刀は必ず取り戻すつもりでいるが、鳳翔は何の根拠があって そう言えるのか分からなかった。
ネロ「何で そう言えるんだよ?」
鳳翔「提督も そうでしたから」
ネロ「ダンテも?」
“この魔具はオレ様が貰っていくからな。ヒャーーハハハハハ!”
ダンテが初めて この世界に来た日、リベリオン以外の全ての魔具を奪われた事があった。それでも問題に対処しながら、1つずつ取り戻し、最後には奪われた魔具を全て取り戻した。
鳳翔「提督が取り戻すと言ったんです。必ず取り戻せますよ」
ネロ「・・・そっか」
閻魔刀が奪われた現実は変わらないが、あのダンテにも そんな時があったのかと思い、ネロの張り詰めていた気持ちが、少しだけ和らいだ。
話をしている序でに、ネロは鳳翔に聞きたい事があった。
ネロ「アンタも他の皆も、どうして まだ“さん”付けで呼ぶんだ?」
ネロとしては、固っ苦しいのは嫌いだ。呼び捨てで構わないと言ってるのだが、一部の艦娘達は未だにネロを“さん”付けで呼ぶ。
鳳翔「う~ん、性格ですから仕方ないですね」
仕方ないの一言で片付けられてしまった。こればっかりは どうしようもないかもしれない。
すると、店の扉が開き、慌ただしくダンテと川内が入ってきた。
ダンテ「鳳翔、まだ時間 大丈夫だよな?」
鳳翔「店仕舞いまでは時間はありますけど、どうしました?」
ダンテ「寝てたら食堂でメシ食い損なった」
朝から今の今まで寝ていたダンテと川内。食堂が開いている時間に間に合わず、慌てて鳳翔の店に駆け込んできたのだ。
ダンテはネロの横に座り、川内はネロとは逆の、ダンテの横に座った。
鳳翔は簡単な料理を用意していく。
ネロ「ダンテ」
ダンテ「ん?奢ってくれるのか?」
川内「マジ!?」
ネロ「閻魔刀は、必ず取り戻す」
川内「なんだ、違うのか・・・」
ダンテ「・・・当たり前な事 言ってんじゃねぇよ」
ネロ「え・・・?」
ダンテ「家族の形見だ。つまりは家族の問題だ。あんな連中に持たせられねぇからな」
鳳翔「
ダンテ「いや、俺が言ってる家族ってのは━━」
鳳翔「ネロさんも、今じゃ家族みたいなものですからね。ネロさんにも頑張ってもらわないと」
川内「私も頑張るよ!」
ダンテ「おい、だから意味が━━」
鳳翔「ね?ね!」
鳳翔が笑顔で圧を掛けてくる。これでは全員で取り戻しに行くかのようになってしまう。ダンテとしては、いざという時にはネロも艦娘達も巻き込まないつもりでいた。しかし、話の流れがダンテの思惑とは違う方向に行ってしまう。
ネロ「家族か・・・」
家族と聞き、ネロはキリエや孤児院の子供達に無性に会いたくなった。今頃どうしているだろうか?
そんな事を考えていると、ダンテが ある疑問を口にした。
ダンテ「鳳翔、金 取るのか?」
今更だが、鳳翔の店は鎮守府内で経営してるが、普通の店と同じように料金を貰う。これまで店に来た艦娘達にも払ってもらっている。ダンテも それは承知している。だが1つだけ解せない事がある。
ダンテ「海軍から給料 貰ってるし、鎮守府でやってんだからタダでもいいだろ?」
艦娘は海軍から給料を貰っている。そして、鳳翔の店の売り上げは鳳翔の懐に入る。早い話が、海軍からの給料で困らないだろうからタダにしてくれという訳だ。
鳳翔「お店ですからね、支払いは しっかりしてもらいます」
ダンテ「ケチな話だな」
その一言を言った瞬間、ダンテとネロの顔の間を何かが通り過ぎた。ダンテ、ネロ、川内は後ろを振り返る。後ろの壁には包丁が突き刺さっていた。
川内「うわ~・・・」
ダンテ「料理が守備範囲外な俺でも分かるぞ。包丁は投げるもんじゃねぇ」
ネロ「いいから鳳翔に謝れよ」
*テイラー・コープ 社長室*
アレックス・テイラーは、社長室の黒革の椅子に座りながらクルクル回っていた。暇なのだろうか?そこへ、武装した男と、その男に連れられて縛られている女が入ってきた。
テイラー「キリエ~、キリエ キリエ キリエ~」
キリエ「・・・あなたは誰なの?」
テイラー「今は知る必要はない。けど、いずれ皆 知る事になる。世界を導くリーダーが誰かを」
アレックス・テイラーは邪悪な笑みでキリエを見る。キリエは、このアレックス・テイラーから悪意を感じ、気丈にも睨み返す。
フォルトゥナに居るはずのキリエが、この世界で捕まっていた。
次回も よろしく お願いいたします!