Devil May Cry鎮守府   作:しゅんしゅん@よし

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今回の話で終わらせようとしたら、今までで1番 文字数が多い お話になってしまいました・・・。

85話です!どうぞ!


Mission85 古代兵器~意外な助っ人~

*テイラー・コープ 第1研究所*

 

アレックス・テイラーは第2研究所から逃げた後、テイラー・コープの横にある研究所に来ていた。カードキーで奥の部屋のロックを解除し、中に保管されていた石棺を運ぶ。そして、赤と青の石も持ち出した。

それらと一緒に広い部屋に移動すると、そこには大きな水溜まりがある。水溜まりはアレックス・テイラーの腰までの深さがあった。石棺を水溜まりの中に入れ、赤と青の石も沈める。水溜まりから出ると、小型のクレーンで石棺の蓋を開けた。中には、新鮮な男の死体が入っていた。アレックス・テイラーはナイフで自分の手を切り、自身の血を水溜まりに垂らす。すると、雷のような電流が水溜まりに向かって何度も落ちる。

 

テイラー「これが最後の切り札だ」

 

 

*第2研究所*

 

ダンテは研究所の外まで出ていた。ダンテを追ってロボットも外に出ている。戦闘は続いていた。

 

ダンテ「思ってたより数が多いな」

 

最初にダンテが見た時より数が増えている。研究所内の他の部屋に保管されていたロボットも起動し、ダンテに襲い掛かってきたのだ。

ロボットは腕に取り付けられた機銃を撃ち、背中から小型ミサイルまで撃ってくる。更に、ロボットは空を飛び、上空から爆撃までしてくる。

 

ダンテ「潰し甲斐があるってもんだけどな!」

 

ダンテはルシフェルを装備し、空中に飛び上がりながら両手に爆発する剣を持つ。

 

ダンテ「コイツを!突き刺す!」

 

6本の爆発する剣を投げると、ロボットに1本ずつ突き刺さる。

 

ダンテ「力を込めて!」

 

間髪入れずにロボットに接近、直接 突き刺していく。

 

ダンテ「角度を変え!」

 

更に爆発する剣を投げて突き刺していく。

 

ダンテ「刺す!」

 

陸軍用のロボット全てに爆発する剣が突き刺さった。

 

ダンテ「更に・・・もっと強く!」

 

空中を飛んでいた空軍用のロボット全てにも、爆発する剣が突き刺さる。

 

ダンテ「ぶち込んでやる!」

 

海軍用のロボットにも次々と突き刺していく。最後の1体にも突き刺し、バラを咥えたダンテが地上に着地する。

 

ダンテ「最後に・・・」

 

ダンテが2回 手拍子すると、最後の1体 以外のロボットが爆発して壊れた。

 

ダンテ「絶頂を迎えた後、君は自由だ」

 

口に咥えていたバラを、最後の1体に向かって投げる。バラが爆発する剣に当たると、最後の1体も壊れた。

 

ダンテ「さて、あいつは どこに逃げたかな?」

 

元帥「お前は さっきから何を言ってるんだ?」

 

元帥と大将が居た。普通に見られてたし聞かれてた。

そこで突如、街が停電した。元帥は大本営に電話を掛けて状況確認を急ぐ。しばらくして やっと状況確認が済んだ。テイラー・コープの会社を中心に、大規模な停電が発生している。しかも、街の電力がテイラー・コープに集中しているらしい。

ダンテは無線で川内に連絡し、テイラー・コープに向かうように指示した。

 

 

・・・・・・

 

*第1研究所*

 

ネロは呉提督にキリエを任せ、川内と共に一足 早く、テイラー・コープの研究所に着いた。中に入り奥へと進むと、アレックス・テイラーが居た。

 

ネロ「テイラー!!」

 

アレックス・テイラーは ゆっくりと振り返る。

彼の後ろには、半透明の巨大な繭が胎動していた。中には、大型 悪魔が繭越しに こちらを見ている。

 

ネロ「何だよ それ・・・?」

 

テイラー「これこそが、神を殺す存在だ!僕は古代の生物兵器を蘇らせた!もう お前にも、ダンテにも止められない!」

 

アレックス・テイラーは悪魔にも、古代文明とも関係ない。ましてや普通の人間だ。それなのに、なぜ彼は そんな事ができたのか、なぜ知っているのか、それは全てアーロンの入れ知恵だった。

 

川内「あれ・・・どうみても悪魔だよね?」

 

ネロ「お前、何て事したんだ!」

 

テイラー「お前らのせいだ!僕は この世界で、革新的な革命を起こすはずだった。そして皆が、僕を崇めるはずだった。なのに、皆はダンテが現れて“神の遣い”や“英雄”と崇める。お前らさえ居なければ!こうはならなかった!」

 

自分勝手な言い分に、ネロと川内も隠す事なく怒りの形相でアレックス・テイラーを睨む。

アレックス・テイラーは繭の方に振り返った。

 

テイラー「それがムリなら、全部 壊してやる」

 

アレックス・テイラーは、繭を見ながら気味の悪い笑みを浮かべた。

そこで、繭の中に居た悪魔が暴れだした。繭を破り、頭から出てくる。それを見て、アレックス・テイラーは更に笑みを大きくする。

 

テイラー「もう手遅れだ。誰にも止められない」

 

そこで、アレックス・テイラーも予想外な事が起きた。繭から出てきた悪魔が腕を振りかぶり、アレックス・テイラーを叩き潰そうとしたのだ。アレックス・テイラーは咄嗟に身を屈めて、来るであろう痛みに震える。だが、いつまで経っても痛みは来ない。目を開け悪魔の方を見ると、ネロが両手で悪魔の腕を受け止めていた。

 

ネロ「敵と味方の区別もないのかよ・・・!」

 

悪魔は その大きな手でネロを掴み、研究所の屋根を突き破りながら外に飛び出した。

 

川内「ネロ!」

 

 

*公園*

 

研究所から飛び出した悪魔は、テイラー・コープから かなり離れた広い公園に着地した。

その悪魔の姿は、体色が黒寄りのグレーで、体毛の無いゴリラのような姿をしていた。

 

ネロ「放しやがれ・・・!」

 

悪魔は、ネロを何度も地面に叩き付けてから投げ捨てた。その豪腕で投げられた事で、ネロは公園の外にあるビルに激突した。

悪魔は眼から熱線を出し、目に入る物 全てを破壊しようとする。熱線で焼き切られたビルは、熱線が当たった部分から上が倒れ、地上に落下する。

 

ネロ「やめろぉぉお!!」

 

ビルの中から飛び出したネロは、一っ飛びで悪魔に接近し、レッドクイーンで斬り付ける。だが一瞬で悪魔の傷は塞がった。

 

ネロ「嘘だろ・・・!?」

 

悪魔の豪腕で、ネロは殴り飛ばされ地面を転がる。そこに、やっとダンテが駆け付けた。

 

ダンテ「ネロ!」

 

ネロ「ダンテ!」

 

ダンテはエボニー&アイボリーを高速連射しながら悪魔に向かっていく。悪魔は顔の前まで腕を持っていき、弾丸をガードする。ダンテは跳躍し、ギルガメスを装備した状態で急降下キックを悪魔の顔に喰らわせる。また悪魔の顔まで飛び上がり、キックとパンチの連擊を浴びせていくが、悪魔は眼から熱線を出し、ダンテを地面に叩き落とす。更に追撃で熱線を浴びせ、ダンテが地面に沈んでいく。

ネロは悪魔に接近し、悪魔の足を何度も斬る。それでも すぐに傷が塞がるが、ネロは諦めずに攻撃を続けた。

ネロを鬱陶しく思った悪魔は またネロを掴み、頭上で振り回してから、地面から這い出てきたダンテに向かって投げた。2人は ぶつかり、そのまま吹き飛んだ。地面を転がる2人。

 

ダンテ「あの悪魔、どっから出てきた?」

 

ネロ「テイラーの仕業だ」

 

ダンテ「あんなの どうやって呼び出した?」

 

ネロ「俺が知るかよ!」

 

ダンテとネロは同時に駆け出す。悪魔が掌を振り下ろしてくるが、ネロがデビルブリンガーで受け止める。手を繋いだ状態で力比べのようになっている隙に、ダンテは跳躍する。だが悪魔は残ってる もう片方の手でダンテを掴んだ。悪魔はネロを投げ飛ばし、掴んでるダンテを握り潰そうとする。

ダンテの手は自由で、その手にはエボニー&アイボリーを持っている。ダンテは至近距離で悪魔の顔面に銃弾を浴びせる。これには悪魔も怯み、ダンテを放した。

ダンテに意識が向いている悪魔の背中に、跳躍したネロがレッドクイーンを突き刺す。グリップを捻りクラッチレバーを握る事で、悪魔の背中を抉る。ダンテもルシフェルで爆発する剣を何本も悪魔に突き刺していく。悪魔はダンテを蹴り飛ばし、背中に ぶら下がっているネロを掴んで投げるが、ダンテは爆発する剣を起爆した。

 

ネロ「やったか?」

 

悪魔は全ての傷が塞がり、咆哮を上げる。

 

ネロ「これでもダメなのかよ・・・」

 

ダンテ「久々に“大当たり”だな」

 

悪魔は一っ飛びでダンテとネロに接近する。その動きは見た目と違い かなり素早い。悪魔はダンテを掴み、そのまま公園の外に出てしまった。

 

ネロ「ダンテ!」

 

跳躍の勢いのまま、悪魔はダンテをビルに叩き付けた。ダンテが当たったビルは崩壊していく。更にビルから跳躍して公園に戻ると、ネロを踏み潰した。

悪魔は ゆっくりと宙に浮かび上がり、どんどん上昇していく。そして、ある程度の高度まで来ると、街に向かって熱線を放った。街の あちこちで爆発が起きる。

そこへ、大量の艦載機が飛んできた。艦載機は悪魔に機銃を撃ち、爆撃を開始する。爆撃により悪魔は地上に落下した。

 

龍驤「何や あれ!?」

 

隼鷹「またデッカいのが出てきたなぁ~・・・」

 

悪魔が落下した公園に、Devil May Cry鎮守府の艦娘達とセリーナが駆け付けた。川内も合流している。

艦娘達は明石とセリーナの協力によって意識を取り戻し、艦娘としての能力も取り戻していた。

 

セリーナ「どうして あれが・・・」

 

セリーナは悪魔を見て青くなる。アレックス・テイラーは この悪魔を“古代の生物兵器”と呼んでいた。セリーナも元は その時代を生きた者。知っていて当然だった。

悪魔は熱線で艦載機を撃墜していく。

 

赤城「悪魔を この公園に押し留めます!空母は第2次 攻撃隊を発艦!他の者は砲撃してください!」

 

赤城の指示に、艦娘達は悪魔を囲むように散らばる。空母は艦載機を発艦し、他の艦娘も砲撃を開始する。

 

セリーナ「よせ!お前らでは勝てない!」

 

セリーナは止めるが、既に戦闘に入ってしまっている。艦娘達の攻撃で悪魔は火傷を負うが、その傷も一瞬で消えてしまった。

悪魔は艦娘達に向かって熱線を放つ。艦娘達は避ける為に その場から移動するが、直撃を免れても爆発に巻き込まれて吹き飛ばされる。爆発に巻き込まれた艦娘は大破した。

 

扶桑「そんな、たった1発で・・・」

 

北上「陸で轟沈とか、マジで笑えないから・・・」

 

その後も悪魔は熱線を放ち、艦娘達に向かって熱線が迫る。

 

赤城「セリーナさん!?」

 

セリーナは まだ立っている艦娘達の前に立ち、魔方陣を盾にして守る。だが その威力に魔方陣は砕け、艦娘 共々セリーナも吹き飛ばされた。更に追撃の熱線は迫る。

 

ダンテ「ロイヤルガード!」

 

ビルから戻ってきたダンテが立ち塞がり、ギリギリまで熱線を引き付けてから『ロイヤルブロック』で弾く。

 

赤城「提督!」

 

ダンテ「お前らには荷が重い!下がれ!」

 

その後も何度も『ロイヤルブロック』でガードし、眼からの熱線では駄目だと判断した悪魔は、口を大きく開いて熱線を吐き出す。特大の熱線が迫ってくる。

ダンテはロイヤルガードの能力の1つ、『ドレッドノート』を発動。これによりロイヤルゲージが無くなるまでの間、ダンテは完全無敵の鎧を身に纏う事ができる。

ダンテは腕を交差し、熱線を受け止める。更に悪魔は、眼からも熱線を出し、口からの熱線とも合わさり威力が上がる。ダンテの足下が窪み、足が地面に沈んでいく。

 

セリーナ「(もしかすると、半魔でも勝てないのか・・・?)」

 

セリーナは、最悪の結果を頭に思い浮かべてしまう。

そこで、悪魔の頭上まで跳躍したネロが、デビルブリンガーで悪魔の頭を掴む。自身を振り子にし、悪魔と共に一回転、悪魔を地面に叩き付けた。だが、悪魔は倒れたまま眼から熱線を放ち、ネロを吹き飛ばす。

 

加賀「ネロ!?」

 

ネロ「この・・・!」

 

ネロは すぐに立ち上がり、レッドクイーン片手に悪魔に向かっていった。

 

 

*街*

 

その戦いを、まだ残ってる建物の屋上から遠目で見ている者が居た。黒ダンテだ。彼は ずっとイライラしていた。

 

黒ダンテ「(あんなのに手こずってんじゃねぇよ。イライラするなぁ)」

 

黒ダンテは建物から飛び下り、公園へと向かった。

 

 

*公園*

 

悪魔は公園の外に出て街を破壊しに行こうとするが、それを阻止する為にダンテが悪魔の前に回り込む。ギルガメスで殴り、蹴り、後ろに後退させる。ネロも後ろからデビルブリンガーで悪魔を掴み、公園に引き戻す。悪魔は またダンテとネロに反撃し、2人を吹き飛ばす。それでもダンテとネロは笑っていた。

 

ダンテ「久々に骨のある奴と戦えると、楽しくなってくるな」

 

ネロ「へっ、けど、すぐに回復するんじゃ、どれだけ攻撃してもキリがないぞ。どうする?」

 

ダンテ「どんなに力があろうが、倒せるはずだ。今までも そうだったからな!」

 

ダンテとネロは悪魔に向かって駆け出し、更に加速する。悪魔は2人に向かって拳を振り下ろしてくるが、それよりも速く、悪魔の股の間を駆け抜ける。通りすぎ様に、悪魔のアキレス腱を斬る。すると悪魔は倒れた。傷は すぐに消えるが、起き上がる前にダンテとネロは追撃する。ダンテは突き技『スティンガー』を繰り出し、更に高速の連続突き、『ミリオンスタッブ』も繰り出す。デビルトリガーを発動し、更に速さが増していく。

ネロは閻魔刀が無いのでデビルトリガーを使えないが、ネロも悪魔の頭に何度も叩き付けるようにレッドクイーンを振り下ろす。

悪魔は それでも起き上がり、ダンテとネロを掴んで地面に叩き付ける。そして悪魔の眼が赤く光る。至近距離で熱線を放つつもりだ。

そこへ、黒ダンテが現れ悪魔の背中に閻魔刀を突き刺した。黒ダンテは閻魔刀の魔力を悪魔に注ぎ込む。すると、悪魔の眼から光が消え、もがき苦しみだした。

それを見ていたセリーナは、驚いていた。

 

セリーナ「(魔力が・・・弱まった?)」

 

黒ダンテは閻魔刀を引き抜いて跳躍し、ダンテとネロの前に下り立った。

 

ネロ「お前、何のつもりだ?」

 

黒ダンテ「気に入らねぇんだよ。オリジナルとは戦わせてくれねぇし、挙げ句の果てには他の奴に殺させようとする。だから あの木偶の坊を潰せばドクターへの腹いせになるしな」

 

ネロ「お前ら仲間じゃなかったのか?」

 

黒ダンテ「仲間?利害の一致ってやつだ。それに、俺に殺される前に お前らが あの木偶の坊に殺られるのも気に入らねぇ。お前らを殺すのは俺なんだからよぉ」

 

そう言って黒ダンテは悪意に満ちた笑みを浮かべた。黒ダンテはドクターに造り出された人造悪魔だが、目的が違えば いつでも敵になるのだろう。

悪魔は また熱線を出そうとするが出せなかった。それに対し、悪魔は狼狽える。

 

ネロ「あいつ何やってんだ?」

 

ダンテ「閻魔刀の魔を封じる力か」

 

黒ダンテ「ご名答。だからこそ この厄介な刀を奪ったのさ」

 

ネロ「終わったら閻魔刀は返してもらうぞ」

 

黒ダンテ「返す訳ねぇだろ。頭 大丈夫か?」

 

ダンテ、ネロ、黒ダンテが横並びに悪魔を見据える。その様子を遠巻きに見ていた艦娘達は首を傾げた。

 

長門「何だ?仲間になったのか?」

 

夕張「もし そうなら、もう戦わなくて済むって事じゃない!」

 

夕張は喜んでいるが、加賀は そうは思えなかった。

 

加賀「(仲間になる?本当に そうなのかしら?)」

 

悪魔はダンテ達に拳を振り下ろしてくるが、飛び退いて回避する。黒ダンテが腕に飛び乗り駆け上がり、肩まで来ると至近距離で二丁銃を連射する。悪魔が黒ダンテを掴もうとするが、反対側ではダンテがリベリオンで斬り掛かる。ダンテと黒ダンテに翻弄されていると、ネロがデビルブリンガーで悪魔の腹部を殴る。その一撃に悪魔は仰向けに倒れて地面を滑る。

ダンテと黒ダンテが付けた傷は回復しなくなっていた。

 

セリーナ「今なら お前達の攻撃も通用するはずだ」

 

鳳翔「何の根拠があって そう言えますか?」

 

セリーナ「半魔の紛い物が来てから、奴の魔力が格段に落ちている。弱っている今なら、あれを止められるはずだ」

 

鳳翔「分かりました。赤城さん」

 

赤城「大破している艦は待機!戦闘可能な艦で提督とネロさんの援護に入ります!」

 

赤城の指示で艦娘達は すぐに動き出す。空母は艦載機を発艦し、他は水上機を飛ばしながら弾着観測射撃と砲撃を開始する。

悪魔の頭上から爆弾と砲弾が飛んでくる。

 

黒ダンテ「あいつら邪魔だぞ!」

 

艦娘達の援護など必要ないと思っている黒ダンテは、艦娘達が邪魔で仕方がなかった。

爆撃と砲撃、弾着観測射撃による爆発の合間を駆け抜けながら、ダンテ、ネロ、黒ダンテは悪魔への攻撃を続ける。

 

天龍「くっそー、バイタルスターが有りゃ俺も戦えるのに・・・」

 

艦娘達が駆け付けた最初の頃に、天龍も大破していた。

天龍の言葉に、一緒に居たセリーナが反応した。

 

セリーナ「・・・4つだけなら有る」

 

天龍「マジか!?なら2つは俺と龍田だ!」

 

日向「残りは我々が使おう」

 

名乗りを上げたのは天龍と龍田、伊勢と日向だった。4人はバイタルスターを使い、艤装の損傷も ある程度は修復された。そして刀と矛を持って そのまま走っていってしまった。

 

天龍「よっしゃー!天龍様の お通りだー!」

 

瑞鶴「何してんの!?」

 

暁「行っちゃった・・・」

 

天龍と龍田、伊勢と日向は攻撃を続けている艦娘達を通り過ぎ、悪魔へと突撃していった。

艦娘4人に気付いた悪魔が拳を振り下ろしてくる。だが そこに、ネロがデビルブリンガーの拳を ぶつける。

伊勢と日向は刀で悪魔の足に斬り掛かる。

 

天龍「ネロ、俺達を投げろ!」

 

ネロ「どうなっても知らないぞ!」

 

ネロは天龍と龍田を悪魔に向かって投げた。投げられた2人は刀と矛を悪魔の眼に突き刺した。痛みに もがき、悪魔が暴れる。そのせいで、突き刺さったままの刀と矛に ぶら下がっている天龍と龍田が振り回される。少しすると、刀と矛が抜けて2人は落ちる。

 

天龍「提督ー!」

 

ダンテ「(あのバカ共が!)」

 

空中でダンテが天龍と龍田を掴み、地面に下ろす。

 

ダンテ「何で突撃してきた?後ろでチマチマ撃ってりゃ良かっただろ?」

 

天龍「俺だってカッコ良く戦いてぇ!」

 

ダンテ「(ダメだ こりゃ・・・)」

 

天龍の聞き分けのない言い分に、ダンテも溜め息を吐くしかなかった。

悪魔は眼球を潰され、回復しなくなった事で、度重なる攻撃に満身創痍だ。

 

黒ダンテ「終わらせるぞ」

 

ダンテはリベリオンを逆手に持ち構え、ネロもブルーローズを構え、自身の魔力を込める。黒ダンテも閻魔刀で居合いの構えになる。伊勢と日向が悪魔から離れると、紅い衝撃波『ドライブ』と『チャージショット』、『ディメンジョンスラッシュ』が悪魔を呑み込む。

力尽きた悪魔は仰向けに倒れ、徐々に身体が消滅していく。そこに黒ダンテが向かっていく。悪魔の身体からは赤と青の石が浮かび上がってきていた。

 

ダンテ「クソッ!」

 

ネロ「しまった!」

 

ダンテとネロも追い掛けるが、先に駆け出した黒ダンテの方が先に石を確保した。

透かさず追ってくるダンテとネロに『ディメンジョンスラッシュ』を繰り出してくる。ダンテとネロは横に飛び退き、斬擊の渦の範囲から脱出する。2人は地面を転がり体勢を建て直して銃を構えたが、黒ダンテの姿は どこにもなかった。

 

ダンテ「逃げたか・・・」

 

ネロ「あの野郎・・・!」

 

これで、アレックス・テイラーが引き起こした事件は幕を下ろした。

夜は既に明けていた。

 

 

・・・・・・

 

*Devil May Cry鎮守府*

 

鎮守府に戻ってきたダンテとネロ、そして艦娘達。キリエも一緒だ。

そこに元帥と大将が労いの言葉を掛けに来た。

 

元帥「今回は ご苦労だった。ん?ダンテ、お前は除隊処分にしただろ。どうして ここに居る?」

 

『除隊処分!?』

 

事情の知らない艦娘達は、知らない内にダンテがクビになっていた事に驚愕した。大将も表には出さないが、内心 焦っている。事件が解決すれば、またダンテを提督に戻すと思っていた。

 

大将「(ち、違うのか?)」

 

だがダンテには、この偏屈 頑固ババアを黙らせるネタを持っていた。

 

ダンテ「おかしいな。確かに俺はクビにされたが、テイラー・コープの研究所で会った時に、アンタは俺を“提督”と呼んでいた。なら俺は、提督って事だよな?」

 

比叡「(出た~。悪魔の囁き・・・)」

 

 

“ダンテ提督!?ここで何をしている?”

 

 

確かに言っていた。

 

元帥「うっ・・・~~~っ、帰る!」

 

元帥は顔を真っ赤にして怒って帰ってしまった。大将も慌てて追い掛ける。

ダンテとしては、クビなら それでも良かった。だが全てが終わるまでは、もう少しだけ艦娘達に付き合おうと考えていた。

 

白露「提督、お菓子は?」

 

ダンテ「お菓子?」

 

艦娘達はハロウィンの事を忘れてなかった。

 

白露「仕事の帰りに買ってくるって言ってたでしょ!」

 

「「・・・・・・あ」」

 

ダンテとネロは しばらく考え、思い出した。確かに そんな事を言った気がする。

 

『お菓子くれなきゃイタズラしちゃうぞ!』

 

ダンテ「(ハロウィンの時期は過ぎたってのに・・・)」

 

艦娘達から お菓子を催促されるが、無いのでイタズラを決行された。ダンテとネロは艦娘達に囲まれた。

 

ダンテ「おい!それ どこから出した!?顔に付けるな!」

 

ネロ「何で俺まで・・・イテッ!髪の毛 引っ張るな!」

 

ダンテ「今 噛んだの誰だ!」

 

完全に蚊帳の外のキリエに、鳳翔が近付いてきた。鳳翔は顔の手当てを提案し、医務室へと案内した。

 

 

・・・・・・

 

*刑務所*

 

アレックス・テイラーは川内に拘束され、そのまま警察に引き渡されていた。

後日、刑務所に収監される日にダンテとネロも付き添っていた。両者は鉄格子を挟んで話している。

 

ダンテ「数ヶ月すれば お前はアメリカの地下 刑務所に移送される。そうなりゃ、金属とコンクリートの厚さ20メートルの箱の中だ。快適に昼寝ができるぞ」

 

ネロ「いいか、お前が どこに居ようと、何をしようと、俺達が見張ってると思え」

 

アレックス・テイラーは鉄格子に組み付き、格子の間に顔を挟みながらダンテとネロを見る。

 

テイラー「それは どうかな。鐘は もう鳴らされた。奴らは皆 聴いた」

 

ネロ「何を言ってる?」

 

テイラー「英雄も血を流すと皆 知った。そうなれば、お前ら2人を邪魔に思ってる連中は皆 殺しに来る。悪魔も、深海棲艦も、人間も」

 

ネロ「・・・意味 分かんねぇな」

 

ダンテとネロは その場を立ち去っていく。

 

テイラー「もう止められない!お前らは奴らに なぶり殺される事になる!鐘は鳴らされた!」

 

2人の姿が見えなくなっても、アレックス・テイラーは叫び続けた。

 

 

・・・・・・

 

*テイラー・コープ 第2研究所*

 

テイラー・コープの研究所に、アーロンが居た。彼はコンピューターを操作し、アレックス・テイラーが開発したテイラー・ドローンのデータをコピーしていた。

アーロンはダンテとネロの共倒れは望んでいた。だが それだけではなかった。アレックス・テイラーが共倒れになる事も望んでいた。全てはアレックス・テイラーの研究開発データを奪うため。

コピーが終わると、彼は すぐに立ち去った。

 

 

・・・・・・

 

*大本営 艦娘寮 大和型の私室*

 

武蔵「何だ・・・これは?」

 

以前ダンテが助けた武蔵が、部屋に1人で居た。彼女は自分の腕を見詰めていた。その腕には、白い痣があった。




次回はテイラー・コープの話の後始末をしながら、後半の話に入っていく予定です!

次回も よろしく お願い致します!

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