*Devil May Cry鎮守府*
夜の廊下を ゆっくり、ゆっくりと歩く少女が居た。
「うぅ・・・。怖いよぉ・・・」
暁だ。夜中にトイレに行きたくなり起きてしまったが、暗がりが怖かった。相部屋の妹に一緒に来てもらうことも考えたが、姉としてのプライドが邪魔して1人でトイレに向かった。
何となく窓の外を見た暁は、鎮守府の敷地内に人が立っていることに気づく。
「えっ・・・?誰?おばけ?」
もしかしたら鎮守府の誰かかもしれない。誰なのか確かめるため、目を凝らして見ると・・・そこに立っていたのは裸婦だった。肌の色は血が通っていないかのように青く、髪の色と眼は赤い。暁は その裸婦と目が合ってしまった。
「ひっ・・・!?」
暁と目が合った裸婦は・・・・・・笑った。
「ぴゃああああああああああ!!!!」
暁は奇声を上げながら、トイレには行かずに何処かへと走っていってしまった。
・・・・・・
朝になりダンテは目を覚ました。
「最近 規則 正しい生活してるなぁ・・・」
身体を起こしベッドから出ようとしたが、何か違和感を感じた。布団を捲ると暁が寝ていた。
「・・・・・・何か湿ってる」
・・・・・・
*執務室*
ダンテは執務机に足を放り出し、椅子に座りながら雑誌を読んでいた。ただし、不機嫌な様子だった。
「提督、あまり怒らないであげてください」
鳳翔がダンテを宥めるが、不機嫌は変わらない。
「大体 何で俺のベッドに潜り込んでんだ」
「夜中に お手洗いに行きたくなって・・・おばけが居て・・・それで・・・」
ベッドに違和感を感じて、それが暁の おねしょであるのは すぐに気付いた。どうしたものかと思い、鳳翔にだけコッソリ言って助けてもらい、今に至る。
「お化けね・・・悪魔が存在するんだ。お化けの1人や2人 居るだろうさ」
「ごめんなさい・・・・・・うっ・・・ひっく・・・うぅ、ふぇぇぇぇん!」
暁は申し訳なさや恥ずかしさ、色んな感情が ごちゃ混ぜになり、ついには泣き出して執務室から飛び出してしまった。
「暁ちゃん!・・・あの子は まだ幼いんです。おねしょぐらいしますよ。あなたの所に居たのは、あなたを頼ってですよ。怒らずに優しくしてあげてください」
「・・・・・・・・・」
ニュースでは連日 男性の変死体が発見される報道がされ、死因も不明なことから世間は恐怖に震えていた。
・・・・・・
*昼 食堂*
「あれ?暁どこ行ったのかしら?」
「朝食の後から見てないのです」
「どうしたチビ共?」
様子の おかしい雷と電を見兼ねて声を掛ける天龍。
「チビじゃないのです!」
「暁が居ないの」
「暁が?」
状況が分からず、顔を見合わせる天龍と龍田と北上。
「お腹 減ったら そのうち来るんじゃない?」
・・・・・・
暁は勢いのまま鎮守府を飛び出していた。兎に角 走った。走って走って走って、気付けば街まで来てしまっていた。最悪なのは、暁が自分の現在地を分かっていないこと。迷子である。暁は街に来るのは初めてなのだ。
「・・・ここ、どこ?」
冷静になり辺りを見回しても、鎮守府への帰り道が分からない。
「ど、どうしよう・・・」
誰かに道を聞こうとしても、見知らぬ場所で見知らぬ人に声を掛ける勇気が出ない。八方塞がりである。
・・・・・・
ダンテは相変わらず執務椅子に座って昼寝をしていた。
そこへ天龍が入ってくる。
「暁 知らねぇか?」
「・・・・・・朝に見て それっきりだ」
「演習の時間になっても来ないんだよ」
「どうせ初雪と一緒にサボってるんだろ」
「・・・提督、今日の お前 何か変だぞ。暁と何かあったのか?」
「・・・・・・・・・」
鋭い天龍だが、ダンテは それっきり喋らなくなり、天龍は仕方なく執務室を出た。
・・・・・・
夜になり鎮守府は蜂の巣を突ついたような騒ぎになっていた。暁が鎮守府の何処にも居ないのだ。鳳翔は心当たりがあった。朝、ダンテから怒られてから皆 暁を見ていない。まさか家出したのではと。
皆は未だに鎮守府を探し回っている。
「おーい!暁ー!何処だー!」
「暁ちゃ~ん?」
「暁ー!」
「暁ちゃん、どこなのですかー!?」
「おーい、早く出ておいでー。お化けが出るぞー」
「初雪ちゃん、そっちは居た?」
「・・・居ない・・・もう疲れた」
天龍、龍田、雷、電、北上、如月、初雪は建物の外を探した。
「ここにも居ない・・・」
「こっちにも居ないわ」
「こっちもダメでした」
「暁さん、どうして・・・」
赤城、加賀、明石、大淀は建物の中を探す。
食堂では鳳翔と間宮が話していた。
「今朝、提督に怒られて家出したのかもしれません・・・」
「そんな!?暁ちゃんは鎮守府の外には1度も行ったこと無いのに・・・」
「今頃きっと迷子になってます・・・」
そこにダンテが食堂へ入ってくる。
「・・・どうした?」
「暁ちゃんが どこにも居ないんです。もしかしたら家出かもしれません」
「家出?」
食堂のテレビではニュースが流れていた。変死体が発見され、いずれも男性の死体ばかりが見つかると。ダンテは それを見て食堂を飛び出す。
「「提督!?」」
ダンテはバイクで街に向かった。
ダンテは嫌な予感がしていた。ダンテの こういう直感は必ず当たる。
変死体は いずれも同じ地区で発見されている。向かうべきは そこだと目星を付け、制限速度を無視してバイクを飛ばす。
・・・・・・
一方 暁は、ずっと歩き続け、足が痛くなっていた。辺りは日が暮れ、暗くなっていた。寂しさや孤独感で泣きそうだったが、それでも歩いた。
気付けばオフィス街に出ていた。暁は そこで、暗い路地で男女が熱烈なキスをしているのを見てしまった。
「・・・・・・・・・///////」
まだ少女の彼女には刺激が強かったが、様子が変だ。突然 男性の方が倒れた。何事かと見ていた暁は、女性の方を見て絶句した。そこに居たのは、昨晩 見た裸婦だった。赤い目と目が合ってしまう。
「ひっ・・・!?」
『あら?見た顔ね。迷子かしら?こっちに いらっしゃい』
「・・・おばけ!?」
『お化けだなんて失礼な娘ね』
裸婦は暁に近付いてくるが、暁は恐怖で その場から動けない。
・・・・・・
ダンテは街に着き、暁を探す。
しばらく探し回ると蝙蝠を見付けた。だが その蝙蝠は紫の淡い光を纏っていた。蝙蝠は すぐに飛び立ち、ダンテも それを追う。その途中、大量の蝙蝠が高層ビルの上に飛んでいくのが見えた。ダンテは そのビルに着くが、入り口は閉じられており入れない。ならば自身の人並外れた脚力でビルの外壁を駆け昇るまで。『壁走り』で屋上へ着いたダンテが見たのは、かつてテメンニグルに現れた淫魔『ネヴァン』が そこに居た。
『やっと来てくれたのね、坊や』
「・・・どいつも こいつも、俺の手元から離れた途端に問題を起こしやがる」
『ふふっ、ここで貴方を待っていれば、必ず来ると言われて待っていたのよ』
「大人しく待ってた訳じゃなさそうだが?」
『少し味見しただけよ』
「味見ってレベルじゃないだろ。お前のせいで人間が何人 死んでると思ってるんだ?」
『テメンニグルに封印されてから1度も食事をしてなかったもの。お腹が減ってたのよ』
「傍迷惑な食事なこった」
『ふふっ、スパーダも そんな眼で私を見ていたわ。さぁ坊や、遊びましょう』
ネヴァンは紫電を帯びた蝙蝠をダンテに飛ばす。ダンテは蝙蝠を2丁拳銃で撃ち落としながらネヴァンへと接近する。三氷棍ケルベロスを取り出し連撃を繰り出すが、蝙蝠が邪魔してネヴァンに思うようにダメージが通らない。それでもダンテは攻撃を続け、ネヴァンの衣となっている蝙蝠を剥がしていく。危険だと判断したネヴァンは その身を無数の蝙蝠に変え、その場から消える。ダンテから離れた場所に蝙蝠が密集するとネヴァンが再び姿を現し、今度は地面を帯電させる。地面がスパークする瞬間にダンテはジャンプし感電を回避するが、今度は電撃のカーテンがダンテに迫る。ダンテは回避しながらネヴァンに近づくが、今度は口から電撃を吐く。ダンテはギリギリ回避することができた。
「相変わらずエグい攻撃するな」
『痺れるでしょ?』
「痺れるのは良い女にだけだ!」
『なら痺れさせてあげるわ!』
ネヴァンは再び蝙蝠を飛ばしてくる。ダンテは次に魔界の銃『アルテミス』で魔力の矢を放ち、蝙蝠を相殺する。だがネヴァンは すかさず地面から黒い刃を出す。刃はダンテに向かっていくが、ダンテは回避しながら2丁拳銃を撃つ。怯んだネヴァンの隙を逃さずケルベロスで攻撃する。蝙蝠を剥がされたネヴァンの身体にダメージが蓄積されていく。そして また無数の蝙蝠に姿を変え、その場から逃げる。蝙蝠が密集しネヴァンの姿が現れるが、1つだけ違うことがあった。ネヴァンの手元には暁が居た。
『ふふっ・・・』
「司令官!」
ダンテは舌打ちをした。暁が居ては攻撃ができない。暁が居て手が出せないダンテに、ネヴァンは蝙蝠を飛ばす。ダンテは球体状の氷で その身を包むケルベロスの技、『アイスエイジ』を発動する。アイスエイジに当たった蝙蝠は凍り付き砕けたが、電撃のカーテンが再び迫り、ダンテは防戦一方となる。
「ぐあっ!」
回避も いつまでも続く訳もなく、ダンテは電撃のカーテンに当たり 吹き飛ばされる。ダンテは感電し、思うように身体が動かせない。
「司令官!」
暁は泣いた。朝からダンテに迷惑を掛け、無断で鎮守府を飛び出したあげく、今も自分のせいで戦えない。自分は姉妹で長姉であるのに、自分が しっかりしなくてはいけないのに・・・。自分を捕まえてる
「一人前のレディは、おばけなんかに・・・負けないんだから!」
ネヴァンから解放された暁は艤装を展開し、その主砲でネヴァンを砲撃し爆ぜた。だが距離が近過ぎた。爆風に煽られ、暁の身体は高層ビルの外へと投げ出された。
「きゃあ!」
「・・・!」
『・・・!?』
ダンテは暁を追いビルから飛び降りる。空中で暁を掴み自分の方へ抱き寄せるが、その間も2人は頭から地面に向かって落ちていく。ネヴァンも無数の蝙蝠に姿を変え2人を追う。蝙蝠はダンテの背中に密集すると魔具の姿に変わった。それを横目で見たダンテは『
暁は落下の恐怖に目を瞑るが、何かに抱き寄せられ浮遊感を感じた。浮遊感が無くなり目を開けると、ダンテに抱き抱えられながら地上に居た。
ダンテは そっと暁を降ろす。
「・・・司令官」
「大丈夫か?よく頑張ったな」
「司令官、ごめんなさい!」
ネヴァンは魔具から本来の姿に戻る。暁はネヴァンが現れると、ダンテの後ろに隠れてしまった。
「どういうつもりだ?」
『私だって その娘を死なせるつもりはなかったわ。そんな事になれば貴方に殺されちゃうもの』
「ここで俺を待つように言ったのは あいつか?」
『えぇ、あの出来損ないの道化師よ。此処に居れば貴方が来てくれるってね。それなのに貴方は いつまで経っても来てくれないし、様子を見に行けば小娘達に囲まれて・・・私、寂しかったのよ。だから貴方と戦ったのは その“し・か・え・し”☆』
ネヴァンはダンテに近付き頬に手を添えてくる。
「暁と一緒に居たのは?」
『食事中に その娘に会ったから、貴方が来るまでの暇潰しをしてたのよ』
ネヴァンは嫉妬から暁を拐い、ダンテと戦ったようだ。
ネヴァンは淫魔であるため男性の精気を吸い取る。暁は女性であるため命を奪われることはなかった。その代わりネヴァンと2人きりで ずっと居た間は、暁にとって地獄のような時間だったが。
『お詫びに貴方にプレゼントがあるの』
そう言ってダンテに渡したのは魔具『ベオウルフ』だった。
「何で お前が これを持ってんだよ?」
『あいつが役に立たないとかで捨てたのをコッソリ拾っておいたのよ。感謝しなさい』
「・・・そりゃ どうも。あいつの目的は聞いてないのか?」
『詳しくは知らないわ。けど貴方と私のような力ある悪魔を戦わせるのが目的みたいよ』
そんな話をしていると、有象無象の悪魔が現れた。
「暁、向こうに隠れてろ」
「う、うん・・・」
「一曲 付き合えよ」
『良いわよ』
ネヴァンは魔具の姿に変わり、ダンテはネヴァンを手に取る。
「
ダンテは無数の蝙蝠と雷光を放出した。
・・・・・・
暁の家出から数日が経過した。
暁は、また夜の鎮守府の廊下を歩いていた。だが今度は1人ではない。ダンテと手を繋ぎ歩いていた。
「一人前のレディならトイレぐらい1人で行ってくれ」
「うぅ・・・」
ダンテは眠そうに言い、暁は まだ暗がりが怖いようだ。
すると前方から誰かが来た。肌の色は青く、髪と眼は赤い。ネヴァンだ。
「ひっ・・・」
暁と目が合ったネヴァンは、ニタァっと笑った。
「ぴゃああああああああああ!!!!」
「嘘だろ!?我慢しろ暁!お前も こんな時に出てくんな!」
『あら、お漏らしするなんて いけない娘ね。お仕置きしてあげる』
暁はネヴァンに可愛がられ、ダンテは1人で後始末をすることになった。
「流石に こいつは、ダセェぜ・・・」
次回も よろしく お願いいたします!