ダンジョンにこそ響け我が愛の唄《凍結》   作:ベニヤ板

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ウッギギギッギイイイイイイイイイ!!!低レア鯖が主人公の話増えろおおおおおおおおおおおおおお!!!!


勘違いにこそ響け我が愛の唄

オラリオの地下に広がる大迷宮。その中を一人の男が歩いていた。その姿、服装、歩き方からは気品を感じるが、異形の仮面を被り指からは手は血のように真っ赤、ナイフよりも鋭いかぎ爪が指から生えていた。

このかぎ爪、パッと見では指先にナイフの着いた手袋のようではあるが、間違いなく彼の指先から生えているもので、何故か手袋をするとまるで無かったもののようになる。あの手袋がおかしいのかこのかぎ爪がおかしいのか、それはわからない。

 

彼、ファントムは女神ヘスティアから恩恵を受け、冒険者となった。さすがにニートはいやだからね、そのことを伝えたら少し渋られたがOKされたよ。

 

というか神様は何かこう、勘違いをしている節がある。なんかオレのやることなすこと全て重くとらえてるというかなんというか。

 

まあ多分教会内で泣いているところを見られたのが原因だろう。それと顔になんで仮面をしているのか、って聞かれたときにしたオレの返事も悪かった。

その時のオレの返事がこちら。

 

「我が顔を見る者は恐怖を知ることになるだろう」

 

これはどう考えてもオレが悪い。さらにこの発言のあとにあっ、言い方間違えた、やっちゃったと思ったんだが、その時の表情のせいで勘違いは加速した。ああ、これはあれですね、オレ勘違いされる系のオリ主ですね。こういうパターンだともう手遅れですねわかります。

 

・・・・・・・なーんてね!これは現実だ、ちゃんと口で言えば勘違いも解けることだろう!

 

閑話休題(そろそろ本題)

 

因みに今回ダンジョンに潜るのにはもう一つ目的がある。今、オレはファントムなのだが果たしてファントムのスキルが使えるのかどうかだ。

 

ファントムのスキルは無辜の怪物、魅惑の美声、精神汚染、クラススキルで気配遮断を持っている。

 

まず無辜の怪物だが、これはこのスキルの持ち主が創作物などによってそのものに対するイメージが変化し捻じ曲げられた怪物であることを示す。これは確かfgoでは自身の防御力を下げる代わりに自身にスター獲得量増加を付与する。これは正直よくわからん。能力が現実となった今では一体どういった感じで働くのだろうか?後回しだ。

 

次に魅惑の美声。これは女性に対して魅了の状態異常を付与、なのだがまずここに異性がいるかはわからないしいたとしてそれは同業者だろう。まあ女形モンスターには通じるかもだが?とりあえず後回しだ。

 

次に精神汚染。言うまでもなく後回しだ。

 

じゃあまずは消去法でなおかつどういったスキルなのかわかりやすい気配遮断だ。

 

使い方はわからないが・・・・・・・・確か自分の気配を消すスキルだったな。とりあえず気配消えろと心の中で念じる。そしてそのままダンジョン内を進んでいく。途中で何人かの冒険者とすれ違ったが無反応だったことを見るに、恐らく問題なく動作しているのだろうが、確認はしっかりと。

 

通路の向こう側には一匹のゴブリン。後ろからその状態で近付いていくが、ゴブリンは気付く様子もない。そのまま近づいて、近づいて、背後に立つ。ここまでして気付かないということは、確実に存在を見失っているな。いや、最初から視認などできていないか。

 

確か気配遮断は攻撃態勢に移るとランクが大きく下がる。腕を振り上げたら即座に、ゴブリンの首めがけて振り下ろす。彼は知らないことだが、ファントムは筋力がB、敏捷がAある。ゴブリン程度ならば命を刈り取るぐらい容易い。

 

ゴブリンの首が宙を舞い、体からは血しぶきが噴水のように噴き出す。それにより爪はもちろんのこと、服にまで血が飛び散ってしまった。グロイし汚い。

そしてゴブリンの死体は散々血をまき散らした後に灰になって崩れ去り、そこには魔石と呼ばれる紫色の宝石があった。

 

ていうかこれ・・・・・・・ちゃんと洗ったら落ちるのか汚れ?確かなんちゃらソーダ?ていうのがないと服についた血って落ちないんじゃないっけ?何かしらファンタジーな魔法で汚れ落とせないかなぁ・・・・・・・・。グロイのにも慣れてかないといけないし・・・・・・・・・

 

「グシャアッ!!!」

 

そんな事を考えてるうちに後ろからいつの間にかゴブリンが一匹襲い掛かってきた。振り返りざまに爪で切り裂く。どうやらこのファントムボディ、ゴブリン程度なら正面から戦っても余裕なようだ。しかしもしも反応が遅れていたならば負傷していたことだろう。魔石を二つ回収してもう一度気配を遮断する。

 

ダンジョン内では油断しないようにしよう。

 

 

 

 

 

 

 

 

「ファントム君、一人でダンジョンに潜ったけど大丈夫かな・・・・・・・・」

 

この度、初めて自身のファミリアを持ったジャガ丸くんという揚げ物を撃っている屋台でバイトしている少女、ヘスティア。彼女は今、ただ一人のファミリアのメンバーであるファントム・オブ・ジ・オペラのことを心配していた。

 

それも当たり前の事、たとえ複数人で潜ったとしても死傷者の出るダンジョン、そこにたった一人で潜っていったのだ。心配しないわけがない。

 

それに、彼はどこか心に傷を負っている節がある。あの時、帰ってきたら何故か廃教会にいた彼。なぜか泣いていた彼。その夕日で照らされた横顔とその姿はまるで一つの芸術のようで、だけれども薄い陶器のように簡単に壊れてしまいそうな印象を受けた。

驚いて声をかけた時、彼はこちらを向いたのだが、その顔の右側につけている以上の面にはギョッとした。雪のように白く、口は耳まで裂けていて目の周りは血が充血したかのように赤く目には白目が無くただ闇のように黒い黒色で塗りつぶしたのみ。趣味が悪い、で片付けられるものではなかった。この面を作ったのは狂気を孕んだ芸術家か何かなのか?

何故そんな仮面をしているのか、と聞いたところ、

 

「我が顔を見る者は恐怖を知ることになるだろう・・・・・・・・」

 

こういった後に見せた彼の悲しげな表情からすべてを悟った。ああ、間違いない。彼は何か過去にあったのだ、と。もともとそんな節は合った。

何故こんな廃教会にいたのかと聞いた時、わからないと答えた。これは嘘ではなかった。しかしこの後、彼は自身を記憶喪失だ、といった。それは嘘だった。その時はまた後で色々聞けばいいだろうと思っていた。

 

だが、これでほぼ確定だろう。彼は思い出したくない程の過去を背負っている。心底忘れたいと思うほどの。あの狂気じみた仮面もそれが原因なのだろう。・・・・・・・・・彼の顔に何があるのかはわからない。彼が話したくないのであればそれでいい。

 

「ね、ねぇ何かしらあれ・・・・・・・・・」

 

「怖いわねぇ、あんなに血まみれでおかしな仮面までして・・・・・・・・・」

 

「なんだありゃあ・・・・・・・・・」

 

「一体何があったんだ・・・・・・・・?」

 

何やら周りの人がある一点を見ているのに気が付いた。周りの人の視線に流され、その方向へと目をやる。

 

「ッ!?」

 

そこには、キッチリとしていた服も手袋も、髪も仮面で隠れていない左半分の綺麗な顔までもが血にぬれていたただ一人のヘスティア・ファミリアのメンバー、ファントムがいた。むしろこれでは血が付いていない場所を探す方が難しいというものだ。

 

「ファントム君!!」

 

彼女はバイト中であるということも忘れてファントムに駆け寄って、強く抱きしめた。バイトの制服も汚れてしまっているが構わなかった。

 

「・・・・・・・・・ヘスティア様?

私は今汚れている、今触れてしまえばあなたまで汚れてしまう。」

 

「構わない!構わないさッ!!

そんな事より君の事だよ!どうして、どうしてそんなになるまで・・・・・・・・・!」

 

「そんなになるまで・・・・・・・・・?

なるほど、この血はすべてダンジョン内のモンスターのもの、我が血は一滴たりとも付着しておりません。

それに汚れは洗濯すれば落ちるもの、ヘスティア様がそんな心配に思うことなどありません。

なぜなら私はあなたのファミリアの一員なのだから。

そのようなことよりも、これを。」

 

そういってファントムはズッシリとお金の入った袋を見せる。

 

「初日ではありますがこれほど稼げました。

これならばあなたもいずれはバイトもせずに生活が可能でしょう、我が女神よ」

 

「返り血だとか洗濯だとか、稼ぎとかの話じゃないんだよ!

どうして・・・・・・・・・どうして・・・・・・・・・」

 

―――――――――――どうしてそんな悲しそうな顔をするんだい・・・・・・・・・

 

仮面の真っ黒な目から、赤い涙が垂れている。ヘスティアにはそう見えた。

 

 

 

 

 

 

「・・・・・・・・・換金を、していただきたい。」

 

「は、はい・・・・・・・・・・」

 

あの後も長い事潜っていたのだが、そのせいで服はモンスターの血で血まみれ、さらに町の人から奇異の視線で見られながらギルドまで来たためとても不機嫌。早く廃教会に戻ってお風呂入りたい。

 

「5000ヴァリスになります」

 

「ファッ!?」

 

し、初日で、しかも一人で5000ヴァリス・・・・・・・・これはもしかしなくとも凄いんじゃないのか!?いや、凄いな!この調子で毎日稼げば生活もだいぶマシになるのでは!?いや、オレには成長の余地がある!ここからさらに稼ぎは上昇していくはず、この調子ならばヘスティア様もバイトなんてしなくていいのでは!

 

ルンルン気分で教会への帰路についたわけだが、血まみれでルンルン気分がいけなかったらしく奇異の視線はより濃厚に。気付けばまた不機嫌になっていた。あ~あ、やんなっちゃうよまったく。人を何だと思っているのか。服が血で汚れない戦い方も模索していかなきゃな。

 

「ファントム君!」

 

「アフンッ!?」

 

現実逃避のために深く考え事をしていると、何故かヘスティア様が抱き着いてきた。その際にヘスティア様の豊満なソレが押し付けられる。

 

「(煩悩退散煩悩退散煩悩退散)ヘスティア様?

私は今汚れている、今触れてしまえばあなたまで汚れてしまう。」

 

「構わない!構わないさッ!!

そんな事より君の事だよ!どうして、どうしてそんなになるまで・・・・・・・・・!」

 

「そんなになるまで・・・・・・・・・?」

 

はて、何のことを言っているのだろうか?そんなになるまで?別に外傷とかはないし・・・・・・・・あ、もしかして洗濯のことか?それともしかしたらこの血のせいでオレが傷を負っていると勘違いしているのだろうか?

 

「なるほど、この血はすべてダンジョン内のモンスターのもの、我が血は一滴たりとも付着しておりません。

それに汚れは洗濯すれば落ちるもの、ヘスティア様がそんな心配に思うことなどありません。

なぜなら私はあなたのファミリアの一員なのだから。

そのようなことよりも、これを。」

 

そういってお金がズッシリ入った袋を見せる。・・・・・・・・それと、そろそろ離れてもらいたい。煩悩が!煩悩が!これでも男なんですよオレ!?しかも結構見られて恥ずかしいし!

 

「初日ではありますがこれほど稼げました。

これならばあなたもいずれはバイトもせずに生活が可能でしょう、我が女神よ」

 

「返り血だとか洗濯だとか、稼ぎとかの話じゃないんだよ!

どうして・・・・・・・・・どうして・・・・・・・・・」

 

今にも泣いてしまいそうな感じのヘスティア様。

え・・・・・・・・?オレ、何か悪いことしました?ど、どうすればいいんだろうか・・・・・・・・・まるで心当たりがない・・・・・・・・・

 

結局、その後もしばらく考えてみたがわからなかった。




・ファントム ただ不機嫌だっただけだが薄幸そうなイケメンフェイスのせいで厄介な勘違いをされてしまった。またダンジョン帰りはこれからも常に血まみれなため怪人という不名誉なあだ名がつく。レベル2になったら間違いなく正式に二つ名になる。

・ヘスティア 厄介な勘違いをした女神。その心は純粋故なおさら厄介。

・ゴブリン アイズと出会う前のベル君にすら負けるキング・オブ・雑魚。

・エイナ まだ未登場だがファントムの存在は確認していると思われる。彼に世話を焼くかどうかは不明。

・ヘスティアのバイト先 恐らく今回一番の被害者。不審者とバイトの子の繋がりが認知されてしまったため。
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