信じてください。
かつてこの国には日本という国が存在した。
しかし日本の政治機構の腐敗、内乱の末に大国同士のパワーゲームに巻き込まれる形で核兵器によって滅んだ。
だが人々は強かった。
例え土地が放射能に汚染されても、
例え放射能の影響で生物が凶悪化しようとも(サメ含む)、
例え世界が荒れ果て、同じ人間同士で殺し合っても、
それでも人々は前に進み続けた。
☆
~とある自衛官の調査報告書~
もう一つの平行世界からやって来た日本。
彼達は核攻撃に晒されながらも再び立ち上がり、複数の国家や様々な自治体が出来上がる程に文明は再建できた。
代表的な勢力はフロンティア、ヒノモト、NUSA、醒、ユーラシア連合や太平洋連邦――そして核戦争を生き延びた日本政府がいた。
しかし転移前の騒動で日本政府、フロンティア、ユーラシア連合や太平洋連邦は壊滅。
現在はヒノモト、NUSA、醒の三大勢力をトップとして各自治体が土地を治めている。
彼達には航空戦力や海洋戦力はなく、基本はパワーローダーと呼ばれる核動力のパワードスーツや戦闘ロボット、軍用車や民間車両を武装したものを戦車として一括りに呼称する物を使用しており、現地の武装勢力も同様の兵器を保持している。
そして最大の脅威として放射能の突然変異によるものか凶暴な生物が跳梁跋扈しており、特に海は巨大生物の楽園と化しており船食いサメと言う全長40m以上の巨大サメ達の住処であり、海上自衛隊の潜水艦やイージス艦を沈められるなどの多大な被害を被ることになった。他の国も同じような被害を被っているらしい。
海辺でも巨大トラックサイズのサメの襲撃などにあったりと事実上海路での進入は不可能である。なお、巨大トラックサイズのサメは現地住民の貴重な食料であったりする。
また陸で活動するサメや首が複数あるサメの存在なども確認されている。
あ、やべ。
サメの襲撃だ。
☆
世界中に宣戦布告したグラ・バルカス帝国ともう一つの日本との戦争は激戦状態になっていた。
と言うかグラ・バルカス帝国の艦隊が勝手に巨大サメの住処へ勝手に進入して死闘を繰り広げている。
夜空に紛れてヘリから超遠巻きに観戦している自衛官達はその様子を顔を青冷めさせながら眺めていた。
自分達も下手をすればああなるからだ。
イージス艦の全火力を投入しても殺しきれなかった巨大サメが複数。
第二次大戦レベルの軍艦が幾らバカみたいにより集まった程度で殺しきれるだろうか。
どんどんサメの餌になったりサメが口から吐く光線で海に沈められていく。
現地住民の呼称、船食いサメの戦闘力は異常である。
レールガンやビーム兵器を使っても殺せなかったらしい。
このサメが元がいた世界の地球ではこのサメを殺すために核兵器を使用したらしいがパワーアップしてより手がつけられなくなっただけに終わったそうな。
そんな化け物と第二次大戦レベルの軍艦ぞろいの艦隊との戦いの結果は分かりきっている。
ただ艦隊旗艦のグレードアトラスターは今のところ船食いサメと互角の死闘を演じている。
光線を浴びたり噛みつかれたりしても反撃の手を緩めない。
もっとも乗員達は上から下まで――「なんでこんなめにぃ!?」、「うんな事言ってる暇があったら撃て!」、「みんなサメの餌になるんだよぉ!?」と大混乱に陥っていた。
そこに巨大カニや巨大タコまで参戦。なんか勝手に海の覇王をきめる戦いが始まった。もっともそれはこの海域では日常茶飯事だが。たいていサメが王者を守り抜く。
これを見ていた自衛官達や遠く離れた日本本土の政治家達は、例え相手が敵国であろうと漢泣きしたとかしないとか。
グラ・バルカス帝国の人達もまさか自分たちの人生がこんなクソ映画みたいな終わり方をするなど思いもしなかっただろう。
ちなみにパーパルディア皇国もこんな感じだった。
なにをトチ狂ったのか次々と彼達も軍艦を送り込んでは軍艦はサメの餌になって海へと沈んだ。
どうにかもう一つの日本本土にたどり着いたワイバーンオーバーロードの部隊も現地で死亡。ワイバーンは住民の食料になったらしい。
フェン王国での日本国民の観光客の虐殺やパーパルディア皇国の民族浄化宣言の後だったので日本国民達もこの結果に不謹慎ながら大爆笑していたものだ。
さて、状況説明をグラ・バルカス帝国艦隊に戻そう。
流石のサメ達も腹が膨れて満足したのか攻撃が徐々にやんでいく。
続けて巨大タコや巨大カニ、また別のサイズの小さな(それでも大型トラックサイズだが……)サメが襲撃する。
巨大タコや巨大カニは軍艦を狙い、大型トラックサイズのサメが海に脱出した人間を次々と食べていく。
「あぶね!!」
そして海から通常サイズのサメが驚異的な跳躍力を披露して上空にいる自衛隊の乗るヘリに襲い掛かるがパイロットの奇跡的な反応速度でどうにか回避できた。
一匹や二匹ではない。
雨のように次々と飛び掛かってくる。
どうやら放射能の影響で通常サイズのサメも身体能力も上がっているようだ。
ヘリのパイロットは古の魔帝国が現れる前にサメに世界が滅ぼされるんじゃないかとバカな想像をしつつ現海域を撤退した。
誰だって、自衛官だってサメの餌にはなりたくない。
自衛隊に入った理由もサメの餌になるためではないからだ。
後に自衛隊はサメの恐怖に怯えながらも東宝自衛隊ばりの軍事改革を行い、メカシャークを開発するがそれはまた別の話だ。
☆
その後のグラ・バルカス帝国の艦隊は悲惨だった。
どうにか世紀末の方の日本に辿り着いた軍艦もサメを含む各種巨大生物や武装勢力、暴走ロボット、各種自治体や様々な国家の陸戦特化型の軍隊に撃退された。
放射能汚染区域に勝手に突っ込んだり放射能の水を飲んだりして死んでいった者達もいた。
そんなグラ・バルカス帝国の悲惨な末路にもう一つの日本の現地住民達は「新たな資源が手に入る」とあんまり同情する素振りも見せず喜んでいたとか。
その後もグラ・バルカス帝国が核兵器を開発して使用してサメを皆殺ししようと目論んだ末にやはりサメ達がパワーアップするだけに終わったり、古の魔帝国が復活してサメを殲滅するべくコア魔法を打ち込んだがサメが「今更効くかよ」とさらにゴ〇ラッぽくパワーアップするだけに終わり、古の魔帝国はヤケになってサメに挑んで大敗北し、弱ったところを他の国に叩きのめされた。
その後も野心に駆られてもう一つの日本に向かってはサメの餌になるパターンが常態化し、もう一つの日本と国交が盛んになるのは日本国がメカシャークの量産体制が整うのを待たねばならなかった。
しかし国交を開通させても苦難の連続は続くことになるのだがそれはまた別の話である。