【完結】日本国と世紀末日本召喚   作:MrR

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グラ・バルカス帝国・陸上部隊撃滅編 前編

 正史とは違い、グラ・バルカス帝国と世界各国の戦いは日本が積極的に戦線に参加せず、限定的な技術交流にとどめているせいで戦争は泥沼化しつつあった。

 

 これは日本が世紀末日本に介入しすぎたせいで自衛隊に多大な被害が出たせいであり、また自衛隊に入ると「世紀末日本送りにされる」と言う話が自衛隊内で出回って大量に辞職者が出たせいでもある。

 

 自衛隊は便利屋でも武装した災害救助隊でもない。

 

 立派な武装組織であり、命令があれば従わなければならない軍事組織である。

 

 そもそも自衛隊に入隊する人間の全てが全て国防や平和など高い志のために入隊しているわけではないし人間である。

    

 寝ている間に核爆弾撃ち込まれたり、巨大サメを筆頭とした化け物やオーバーテクノロジー満載の暴走メカと戦いたくはない。

 

 そこまでして世紀末日本に介入するのは福島などの放射能問題や第三国にこの世紀末日本の超テクノロジーが渡るのを阻止するためであるが代償は高くつき、自衛隊の戦力は総合的に見れば低下していた。

 

 

 

 

 Side 佐伯 麗子(さえき れいこ)*緋田 キンジ曰くクソ女上司

 

 

 まだ日本に、境界駐屯地にいた頃。

 

 緋田 キンジと宗像 キョウスケを地獄に送り込んだバチでもあったのか同じ地獄に放り込まれて私はどうにかこうにか、この修羅の土地で生き延びていた。

 

 本土に戻ったらレンジャーでも空挺でもSにでもなれそうな自信があるぐらいには修羅場を潜った。

 

 たぶん核爆弾やレールガン、各種光学兵器を撃ち込まれて生き延びた自衛官は後にも先にもこの土地の自衛官ぐらいだろう。

 

 先日の五十時間以上にもわたる、フロンティアや日本の後継者との耐久デスマッチ(強制参加)はもう二度とやりたくない。

 

 まだ特殊部隊の訓練でも受けた方がましだ。

 

 少なくとも訓練中に二足歩行で全力疾走するサメやワニが乱入してきたり、トーマ○が基地に突っ込んできたり、アンデッドやオーガなどの大群が突然襲撃してきたりすることはないだろう。

 

 駐屯地は隊員の武装は武器管理手順とか兵器装備の基準とか無視して出来うる限りの重装備をしている。

 

 

 現地住民にも――戦前の女死刑囚とか元米軍の名誉勲章持ち女性兵士に元少年自衛官、日本の少年とか色々といるが――と共同で任務をこなしたり(*独断です)上の方には一応報告はしてある。

 

 別に民間人を虐殺しているワケでもない。

 

 これでクビになって本土に戻れるなら戻りたいぐらいだ。

 

 上の連中もその考えを分かっているらしく、あまり口出ししてこなかったが最近は査察とかしてくるようになった。 

 

 幸い本土とこの土地とでは温度差が圧倒的に違うせいで勝手に自滅しているが――何時か頃合いを見計らって最悪特殊作戦群のクソどもを送り込んだりして密かに消す腹づもりかもしれない。   

 

 

 まあ勝手に自滅するんだろうが・・・・・・この土地は並の特殊部隊だとすぐに死ぬから。

 

 

 それはそうと本題だ。

 

 

 先日海底要塞玄武を沈めたり、アルタラスで訓練をして現地の自衛官の面子を叩き潰したせいなのか外交官どもを通して上の方から厄介な要求をしてきた。

 

 激戦区になってる旧レイフォル地区に部隊を派遣してグラ・バルカス帝国の陸上戦力を叩いて欲しいとのことだ。

 

「どうにかなりませんか?」

 

 と、応接室で膝丈のテーブルを挟んでソファーに居座る朝田外交官が言う。

 隣にはまるで病人のような顔色の篠原補佐官がいた。

 

 本来はこの駐屯地の司令官である五藤 春夫 一佐や同じ女性WACの水島 静香一尉などがいて欲しいが本土連中相手にあれこれ取引を持ちかけていたら何時の間にやら本土絡みの案件は私に一任されるようになった。

 

 本来こう言う案件には五籐司令もいなければいけないのだが現地の人々相手に幕僚本部から来た(左遷された?)白杉 稔と一緒に外交官のような事をしているので司令直属の戦闘部隊ともども留守が多く、近藤 信也 三佐や水島 静香 一尉などと一緒に駐屯地を任されている。

 

(朝田 泰司外交官か・・・・・・いずれはここに来るとは思ったが・・・・・・)

 

 朝田 泰司外交官は悪い意味で有名だ。

 

 日本の不始末の請負人、尻拭い担当とか色々と言われている。

 ここに来たと言う事は完全に出世コースから外れ、「死んでもいい人間になった」と見るべきなのだろう。

 

 そもそも防衛省は現在、外務省や法務省と致命的に中が悪くなっている。

 

 フェン王国から端を発したパーパルディア皇国関連の責任を自衛隊の現場サイドに擦り付けたり、パーパルディア皇国が暴走軍艦のせいで当時の独立しようとした多くの属領地と一緒に焼け野原になったのを自衛隊のせいにしたのもあるだろう。

 

 勝手に査察をして自滅したり、世界各国の外交圧力に屈して海底要塞玄武を破壊ミッションすることになったりとか――理由をあげればキリがない。

 

「失礼、少し考え事をしていました」

 

 そう言ってガラスのコップに入れた綺麗な水を口に含んで私は言葉を続けた。

 

「お言葉ですが我々も自衛官です。命令には従いますが色々と条件はあります」

 

「他国での武器使用制限解除ですか?」

 

「それが前提です。それにこの駐屯地を維持するための兵力も残しておかねばなりません――それと」

 

「なんですか?」

 

「どうして我々なのですか? いくら第二次大戦かそれ以上の軍事力の相手で(グラ・バルカス帝国)、アメリカ並の工業力は驚異ですし、核兵器も所持しているので驚異に感じるのは分かりますが――」

 

「自衛隊も人手不足なのですよ」

 

「・・・・・・成る程――」

 

 この世界大戦のご時世に自衛隊が人手不足になっているとは聞いていたがまさか我々を頼るレベルまでになっているとは思わなかった。

 

「私がこの土地に来たのは――まあ何となく想像出来ているかも知れませんがあまりにもこの土地に関わって死んだ人間が多すぎて候補者がいなくなって来ているのですよ。自衛隊の内部ですらもね」

 

 補佐官の篠原も「私もです」と相槌を打つ。どうでもいいが空気だなこの人。

 

「私もそう言う話は聞いたことがあります。最近では退職金も受け取らずに辞職届けだけ出して自衛隊を辞める人も出てしまっているとか・・・・・・」

 

「そうです。ワザと犯罪を犯してでもこの土地に来るのを拒む自衛官も出始めているのです。そのせいで政府はとても不安定になっているのです。最近では誓約書を用意して厳守しなければならないと法律で義務づけなければならない程になりました」

 

「色々と言いたい気持ちはありますが――気持ちは分からなくもありません」

 

 自分達だってそうなのだ。

 こんな地獄のような土地に行けと言われたら拒むのは当然だ。

 私も遺書を書いたぐらいだし。

 

「それに敵は目的遂行のためなら平然と核兵器を使うような輩が相手です。そのため政府も派遣に及び腰になっているのが問題です」

 

「それが本題か――」

 

 確かに敵は巨大サメを殺す目的で使用し、海底に潜んでいた要塞を目覚めさせただけに終わったが使ったのは事実だ。

 

 グラ・バルカス帝国にとって核爆弾とは「高性能で破壊力がある爆弾」程度の認識かもしれない。

 

 この世界の住民――覇権主義国家の人間なら核兵器に対して正しい知識があっても平然と使うだろう。 

 

「いくら今の自衛隊が実戦を積んでるとは言え、しょせんは負ける事が恥である相手に対してしかありません。この地獄のような土地で生き抜いてきた貴方達ぐらいしか適任者がいないのです」

 

「ただ単に核が恐くて他に立候補者がいないだけでしょう。まあ条件次第で検討します」

 

 とだけ言っておいた。

 ここで勝手に話を進めれば部下に本気で殺されかねないからだ。

 特にあの二人(緋田キンジ、宗像キョウスケ)ならやりかねない。

 

「最後に――私にはもう一つ役割がありまして――私は外交官としてこの土地の各国家やコミュニティを見て回る事にしました。出来ればその安全確保や腕の良いガイドを紹介して欲しいです」

 

「死ぬおつもりですか?」

 

 この土地の危険性は分かっているだろうに。

 仮に生き残れたとしても精神がいかれる可能性がある。

 とうの本人――朝田大使は「覚悟の上です」とあっけらかんと応えた。

 

 

 

 

 私は篠原補佐官と一緒に屋上で話をすることにした。

 

 まだ日も高く、銃声が多少聞こえる程度で平和な日だ。篠原補佐官はビビッているが。

 

 屋上は駐屯地を全体を一望できて隣の飛行場やヘリポートも見える。

 

 安全確保のために基地内に銃座やロボット兵器を徘徊させて、兵士もパワーローダーや戦車に乗り込んで巡回している。

 

 駐屯地周辺はフェンスではなく、二重のバリケードで守られていて、タレットがそこかしこに配備されている。

 

 更に外側には塹壕に地雷やドローン、戦闘ロボット達が徘徊し、囮の見張り台には銃座。本命の隠れた見張り台には腕利きのスナイパーがレールガンなどを持って待機している。

 

 周辺ではこの土地周辺に住み着いた行商人や現地住民、賞金稼ぎなどが勝手に建物を建築して住み着いている。いざと言う時は本土の自衛隊よりも優れた装備で襲い掛かる頼れる連中である。たぶん核兵器とか持ってるけど気にしてはいけない。

 

「篠原さん? 朝田大使はどうしてしまったのですか?」

 

「考えなくても分かるのでしょう。恐らく――この世界に疲れてしまったのです」

 

「・・・・・・霞ヶ関の魑魅魍魎どもの餌食になったか」

 

 容易に想像出来るシナリオだ。 

 

「それもありますが、パーパルディア皇国の一連の出来事がキッカケでしょうな」

 

「ああ、邦人200人が処刑されたあの事件か」

 

 パーパルディア皇国がフェン王国に侵攻した際に観光客の邦人200人がスパイとしてパーパルディア皇国に処刑された大事件。

 あの事件で一時期、日本の世論は一気に右傾化したほどだ。

 

「朝田さんはあの事件を未だに悔やんでるです。それを魔法式のテレビで見せつけられて、レミール皇女に貴方達こそが蛮族だと激高した程ですよ・・・・・・ですがパーパルディア皇国は何を考えたのかこの土地に攻め込んで勝手に自滅し、そして暴走軍艦事件で属領地もろとも沿岸部の村や町、首都など殆どが焼け野原になりました」

 

「その責任を外務省どもは我々の責任にしたのは今でも記憶に残ってますよ」

 

 自衛隊も命懸けで戦い、命を落とした自衛官も少なくないにも関わらずこの仕打ちである。

 

 この土地の自衛官が現地住民と一緒に暴走軍艦を止めたのは言っちゃ悪いが一部の現場の暴走や命令などの拡大解釈による懲戒免職上等の行為ではあるが、緋田や宗像だって命懸けで大任をこなしたのだ。

 

 にも関わらずこの仕打ちだ。誰だってブチぎれる。私だってキレそうになった。

 

 この事を問われた篠原補佐官は「それは・・・・・・」と言い淀んだが私は「まあいいでしょう。続きをどうぞ」と話を促した。

 

「レミール皇女を捕らえた際、皇女にこう言われたんですよ。「私達が蛮族なら貴様らも同じ蛮族ではないか」と・・・・・・首都は焼け野原になっていて、そこかしこに焼死体や人体のパーツが転がっていて、酷い有様でした」

 

「それで精神を病んだと?」

 

「ええ。それとグラ・バルカス帝国の世界への宣戦布告の際に、巡視艇の職員を救えなかったのも――」

 

「真面目だな。この土地では長生き出来ないタイプだ」

 

 グラ・バルカス帝国関連に限っては運が悪かったとしかいいようがない。

 

 そもそもにしてこの世界の国はどいつもこいつも血の気が多すぎる。

 

(もっともそれは私達が言えた義理ではないがな)

 

 と私は自分達のことを皮肉った。

 

「ともかくガイドについては実績がある腕利きの連中を紹介してやる。それと派遣部隊だがこの土地の傭兵も雇いたい」

 

「傭兵ですか?」

 

「なあに。武器弾薬に食料にジュース――資源ゴミの塊とかでもいいぞ? なんなら敵の戦車などを鹵獲する権利とか集めた物の運搬費用を自腹するとか言えば食いついてくるさ」

 

「報告には聞いてましたがそれで命を張れるんですか?」

 

「この土地の住民は日本人と違って逞しいのさ。そこらの子供でもヘタな自衛官より役に立つ」

 

 

 そうして世紀末日本から一部部隊の派遣が決定された。

 

 さらに朝田外交官と篠原補佐官の護衛部隊と一緒に各コミュニティや各国家と接触することになった。

 

 

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