【完結】日本国と世紀末日本召喚   作:MrR

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現地査察編

*グラ・バルカス帝国が勝手に滅び、漁夫の利を狙っていたらしいミリシアル帝国に八つ当たり気味に外交で難癖付けられているころのお話だよ。

 

Q;どうしてミリシアル帝国に因縁付けられてるの?

 

 グラ・バルカスSSに登場した海底機動要塞玄武の攻撃で切り札の空中戦艦が一隻落とされ、艦隊も大被害を食らったから。 

 

 世紀末日本は基本、宣伝とか外交とかしないし、日本が必要以上に介入しまくってるせいで世紀末日本は日本国の同盟国、もしくは属領地か政治、外交上の詭弁みたいな認識を持っている国が多いのも原因。

 

 まあ危険地帯すぎて視察とか査察とか出来ないしね。

 

 夜眠っていたら突然基地に携帯式核爆弾が撃ち込まれたり、突如として二足歩行で歩くサメが走る系ゾンビ映画のように大量に攻め込んでくるよるような土地だし。

 

 

 

 

 日本政府のお偉方は外交上で多大な問題を抱えている一方で現在、もう一つの日本に滞在している自衛隊に対してある種の疑念を持っていた。

 

 憲法九条からの逸脱。

 

 シビリアンコントロールから離れて独自に行動している。  

 

 クーデターを画策している恐れがある。

 

 少年兵を勝手に雇って国際法(本当に国会議員の先生はこう言いました)に違反している。

 

 などなど。

 

 早い話が自分達の言う事を段々と聞いてくれないし好き勝手やってるあいつらが気にくわないし、ちょっと復讐される覚えがあるからなんか弱み握ってきて欲しいと言う馬鹿みたいな要望をそれっぽい理由をつけて査察しようとしているのだ。

 

 だが一応現地からの連絡も途絶えているし、土地の状況が状況なのでクーデターを画策されてもなんら不思議ではないと言うのもある。

 

 こうして現地に派遣した自衛隊に対する査察を行う事になった。

 

 

☆ 

 

 

 この査察任務、自衛隊だけでなく日本の外交官や防衛省の役人だけでなく報道陣や市民団体やとある政党の政治家も同行している。

 

 何時もの「報道の自由を~~」とか言って強引に割り込んできた連中だ。

 

 ジャーナリストや女性リポーターまで自衛隊の大型ジェット輸送機に乗っている。

 

 世紀末日本には一度アルタラスなどの国々を経由してからの空路でしか入れない。

 

 なのでFー2戦闘機の護衛にCー2輸送機三機で現地入りすることになった。

 

「しかしもう一つの日本は危険だと言うけど本当なのかね?」

 

「何か隠してるんじゃないのか?」

 

「だけどイージス艦が沈められてるんだろ?」

 

「そんな危険な土地でたかだか一高校生(加藤 佳一)が生きていけるわけがない」

 

 などと好き放題に言う。

 

「もう一つの日本があるとしてそこまで危険な土地なのか?」

 

「まあこの世界で何が起きても不思議ではないと言え、何か隠してるんじゃないのか?」

 

 今回派遣された自衛官達も世紀末日本に関しては半信半疑だった。

 

 

 念のため弁護しておくが現地の自衛官達は涙ながらに現地の情報を上の方に全部一つ残らず流しているが、日本はよほど切羽詰まった状況でないかぎりは「事件は現場で起きているんじゃない、会議室で起きてるんだ」な国である。(海上自衛官がイージス艦でパーパルディア皇国の艦隊に向けて神がかり的な警告射撃をも批判したのが良い例)

 

 めんどくさいし、金がかかるし、支持率とか下がっていやだし、責任取りたくないので、とりあえず外交上の都合で片付けてあんまり一般公開、特に映像は公開しなかった。

 

 それがあんな悲劇を招くことになるとは想像だにしなかった――

 

 

 

  

 C-2輸送機は三機とも墜落した。

 

 護衛のF-2戦闘機も撃墜された。

 

 C-2輸送機は三機は幸運にもあまり犠牲者を出さずに不時着できたが――地獄はこっからはじまる。

 

 

 

*現在の生存者。

 

 C-2の輸送機のパイロット数名。

 

 外交官、防衛省の役人、政治家の数名。

 

 完全武装の自衛官およそ二百名。

 

 報道陣、市民団体の約五十名。

 

 

 

 

「何が起きた!?」

 

「くそ!! こう言う時のための自衛隊だろ!! 早く助けろ!!」

 

「護衛はなにしてた!!」

 

 などと報道陣や市民団体達が口々に文句を言う。

 

 報道陣は撮影機材をきっちり回し、生中継しているテレビ局もあったらしい。

 

 周りは見渡すかぎりの木々に囲まれている。

 

 気候は過酷と言う程ではない。

 

 まだ日も高い。

 

 遠くには建物が見える。

 

「ヘタに動かないでください」

 

「とにかく救助部隊が来るまで大人しくしていてください」

 

 自衛隊は必死にこの場にいるように説得する。

 

 だがそんな彼達に牙が向けられた。

 

「なんだあの化け物は!?」

 

 それはワニの胴体を持つ三つのサメの頭を持つ、サメべロスとも言うべき大型トラックサイズの巨大生命体だった。

 自衛隊の銃弾を物ともせず、片っ端から火の玉を吐いて不時着地点を次々と焼け野原にしていく。

 

 皆一斉に逃げ始めて散り散りになる。

 

「だ、誰か助けて!!」

 

 股に水溜まりを作って涙を流して顔面崩壊した美人レポーターが生放送でサメベロスに頭から丸かじりされ、咀嚼されて飲み込まれる。

 とうぜん日本では放送事故で「しばらくお待ちください」なあの画面が映し出された。

 

 

 サメベロスの襲撃で生存者達は散り散りになる。 

 

 とりあえず市街地に逃げ込んだ。 

 

 そして一息つくと生存者同士、同じ日本人同士で醜い争いが始まった。

 

「いやだ!? こんな場所で死にたくない!?」

 

「現地の自衛隊はなにやってるんだ!?」

 

「銃をよこせ!!」

 

「うるせぇ! おまえらだって危険を承知で来たんだろうが!」

 

 と言う感じでだ。

 震災時では鋼の精神で職務を遂行する自衛隊ですら暴力的になっていた。

 

「今度はゾンビが来たぞ!?」

 

 何かのウイルスなのかそれとも放射能の影響なのか、ゾンビっぽい何かが全力疾走しつつ大群で迫り来る。

 

「撃て撃て!!」

 

「うわぁあああああああ!!」

 

「もうダメだ!!」

 

「まて!! 逃げるな!!」

 

 どうやら逃げ込んだ場所はこのゾンビ達の住処――現地住民の呼称でアンデッド。

 

 目についた存在を全力疾走で近付いて八つ裂きにする。

 

 不幸にも銃を持っていた自衛隊が率先して狙われた。銃の発砲音に引き寄せられる感じだ。

 

 真っ先に逃げ出せた人間はまた安全な場所を求めて逃避行を開始する。

 

 

 

 

 戦える自衛隊の半分以上が死亡。

 

 逃げ遅れた報道陣などもアンデッドに殺された。

 

「こんな任務、志願にするんじゃなかった・・・・・・」

 

「お家に帰りたいよ・・・・・・」

 

「死ぬ。このままじゃ死んでしまう」

 

 夜になり、さらに散り散りになって絶望的な雰囲気になっていた。

 

 ある者は拳銃で自害し、ある者は発狂して何処かへ逃げ去っていく。

 

 そして中には運良く――ガトリングガンを携帯した不格好な二足歩行ロボット、ガンテツさんに出会い『お前ら何してるんだ?』と安全な場所に案内されることになった。

 

 そのラッキーカードを引き当てたのは

 

 外交官、政治家、防衛省の役人。

 

 自衛官数十名。

 

 報道陣の数名である。

 

 

 

 

 ガンテツは有名人である。

 

 なにしろアルタラスの暴走軍艦に乗り込んで自沈させた立役者の一人だからだ。

 

 報道陣の人間や政治家、外交官、防衛省の役人は安全な場所に案内される道中――代わる代わるに質問をした。

 

 例えば「現地の自衛官に問題はあるのか?」とか、「勝手なことをしてないのか?」とか。

  

 とりあえず本来の職務に戻って代わる代わる質問をする。

 

 中には「なぜ、加藤 佳一はこんな場所に戻ったのか?」とか質問する人もいた。(ちなみに加藤 佳一も暴走軍艦を沈めた立役者の一人だ)

 

 ガンテツはくそ真面目に『そんなのしらねえよ』と返していく。

 

 加藤 佳一に関しては『こっちの方が居心地いいんじゃねえのか? 女もいるし?』と返した。 

 

 とりあえずこの土地の自衛隊の基地に案内される。

 

 

『ついたぞ』   

 

 眼前には元自衛隊の基地と言う名の廃墟があった。

 

 現在自衛官が現地の協力者と一緒に激しい銃撃戦を繰り広げている。

 

 何やらキノコ雲も定期的に発生してるが気のせいだろう。

 

 現在自衛隊は現地の武装勢力――日本の後継者やフロンティアの残党と仁義なき殺し合いの真っ最中だった。

 

 レールガンやレーザー、ビーム、プラズマ、果ては核爆弾が飛び交う。

 

 互いのロボット兵器や戦車、パワーローダーが交差する。

 

 時折サメやらアンデッドやら醜悪で攻撃的に変貌した人間の成れの果てであるオーガなども参戦してくる。

 

 SF超大作映画クライマックスバトルを彷彿とさせる壮絶な光景にここまで来た人々は言葉を失った。

 

「ガンテツ!? そいつら増援か!?」

 

 大声で現地の自衛隊の一人が駆け寄ってくる。

 

『どうなんだ?』

 

 ガンテツも尋ねる。

 

「いや、我々は――」

 

 皆どう言えばいいのか迷う。

 まさかクーデター起こそうと思ったので査察しに来ましたと言える雰囲気ではない。

 だが敵はこちらに気づいたようで攻撃を開始する。

 銃弾だけではなく、レーザーやビーム、プラズマにレールガンが飛んできた。

 

「とりあえず何でもいいから武器を持って戦え!!」

 

「お、俺達は民間人――」

 

 報道陣の一人がそう言ったが――

 

「だからどうした!? 大丈夫だ!! 死んでから文句を言えばいい!!」

 

 などとメチャクチャな理論で現地の自衛隊はガンテツと一緒に戦闘を続行した。

 同じ自衛隊の人達もその様子に唖然としていた。

 

 

 

 夜が深まり、戦闘は収まって査察団はもう当初の目的などどうでもいいから日本に帰りたい一心で助けを呼ぼうとした。

 

 現在自衛隊は廃墟となった基地に腰を据え、簡単なテントやらを設置して皆忙しそうに活動している。

 

 Cー2輸送機から生き延びた人間も次々と辿り着いているが皆、抜け殻のようになっていた。

 

「はあ!? 助けは来ない!?」

 

 政治家や外交官、防衛省の役人。

 

 自衛隊に報道陣までもが現地の自衛隊の言葉に唖然とする。

 

「ああ。妨害電波を破壊しなければな。まあ仮に助けを呼んでも撃墜される。何しに来たかあえては尋ねないが運が悪かったな――」

 

 と、現地に染まりきった自衛官の一人が言う。

 

 政治家は文句を言おうとしたが敵の襲撃で会話を中断せざるおえなかった。

 

「また敵が来たぞ!!」

 

「いいかよく聞け!! 増援はアテにならん!! 俺達で対処するぞ!!」

 

「クソ!! まだ魔王の方がマシだった!!」

 

「あの役立たずどもが!! わざわざこの土地に観光でもしにきたか!?」

 

「レールガン持ってこい!! 殺される前に殺せ!!」

 

 なんか皆、完全に目が血走りながら戦闘態勢を整えていく。

 

 報道陣だろうが外交官だろうが役人だろうが政治家だろうが知ったこっちゃないと言う感じだ。

 

「お、おい私達はどうすれば――」

 

 状況に取り残された政治家が説明を求めようとしたが――

 

「ギャーギャーやかましい! こちとら毎日この職場で戦国時代おくっとんのじゃ!? 死ぬか生きるかで必死なんだよ!! ほら! 戦う気がないならシェルターにいけ! 少なくとも核爆発で死ぬことはない! GO、GO!!」

 

 そう言って説明役の自衛官は仲間を伴って誘導する。

 外は再び戦場になっていた。

  

 

 シェルターに案内される。

 かなり頑丈に作られており、時折響いてはならない轟音が響き渡る。たぶん核爆発だろう。

 外から着た自衛隊も一応護衛として待避することになった。あまりにも戦いが壮絶過ぎてついていけないと本能的に悟ったからだ。

 

『死ね―!!』  

 

『まだ生きてるぞ!?』

 

『トドメを刺せ!!』

 

『サメだ―!!』

 

『クソ!! またサメか!!』

 

『誰かチェーンソー持ってこい!!』

 

 などと外から怒声が響き渡る。

 時折シェルターの入り口に直撃弾くらったり、入り口が崩壊してサメやらゾンビやらが雪崩れ込んできそうになったり、「こんなところにいられるか!! 俺は逃げるぞ!!」と死亡フラグを立てて自衛官の一人がサメの餌になったりした。

 

 

 

 

 ~四十八時間後~

 

 戦闘が収まり、外に出てみると死屍累々だった。

 

 自衛隊が敗残兵狩りしたり、追い剥ぎしていた。

 

 二足歩行のサメを焼いて食べて基地の復旧作業に当たっている。

 

 それを呆然と眺めていると「妨害電波を破壊確認、基地を襲撃した残党も殲滅しました」と報告し、「帰りのヘリも手配しました。もう暫くお待ちください」と言い残してそのまま連絡役らしい自衛官の一人が立ち去った。

 

「わ、私達は生き延びたのか?」

 

「そのようです――」

 

 政治家や外交官に防衛省の人も安堵した。

 

「俺達帰れるのか!?」

 

「やったー!!」

 

 などと自衛隊達も喜ぶ。

 

「おっしゃ、帰ったら大スクープだ!!」

 

「これは特ダネになるぞ!!」

 

 報道陣も喜んだ。

 

 

 

 

 そして帰りの大型ヘリ、CHー47が到着。

 

 そうして我先にとヘリに乗り込む。

 

 見送りの自衛官とはいなかった。

 

 再び銃撃戦が始まったからだ。

 

 皆尻に火がついたように涙目になって急いでヘリに駆け込む。

 

 そして搭乗して空に上がり――ちょっとの間があって――

 

 

 

 

 けっきょくヘリはすぐに墜落した。

 

 今度は現地の野盗の攻撃である。

 

 そしてまた自衛隊基地を目指して戦闘に巻き込まれてを繰り返し、再びヘリを要請するが「安全確保が出来ない状態でヘリを向かわせる事は出来ない」と言われて泣く泣く復旧作業に従事することになった。

 

 同時に自給自足のサバイバル生活と過酷な戦いの日々がはじまる。

 

 とにかく戦闘が多い。戦闘が無い日は幸運な日である。

 

 日本の本土から査察団の様子を見に派遣されて二重遭難した精鋭部隊や、やはりついてきた報道陣と言う名の犠牲者も増えたりもしたが些細なことである。

 

 こうしてさらに自衛隊の現地での活動は混迷を極めるのであった。 

 

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