*19年11月1日:加筆修正しました。
=現地査察編・後日談=
現地査察編の後日談です。
Side 緋田 キンジ
日本の後継者とフロンティアの残党、その他諸々の戦闘は終了。
小休止挟みながら二日以上壮絶な殺し合いをする事になるとは思わなかった。
だがそれからが大変――なぜかマスコミやら政治家やら外交官やら防衛省の役人、外から来た自衛官が来たのだから。
しかも追加でやって来て二重遭難した査察団の救出部隊までも来る始末だ。
こう言う外部からのお客様の纏め役は対応は五藤一佐や近藤三佐か水島一尉、クソ上司などの仕事なのだが何故か俺やキョウスケなどが一部受け持つとになった。
他にも宮野一尉や三木も担当している。
俺は一先ず復旧作業を手伝わせながら聞き取り調査を行っていた。
「で? お前達は俺達がクーデターを起こしてるか、賊軍してるかもしれないし、もしかして政府ぐるみでこの島の存在をでっち上げてるかもしれないからそれを確かめるためにここに飛ばされてきたと?」
「そ、そうだ・・・・・・」
俺よりも年配の自衛官が力なく答えた。
所属組織によっても目的がバラバラであるが、ようするに本土の人間は俺達を勝手に地獄に放り込んでおきながら勝手に報復を恐れているのだろう。
今回の査察も理由をでっち上げて消す腹づもりかもしれない。
「本当にお前ら、平和な世界に生きてたんだな・・・・・・今時ホウレンソウなんて女児向けアニメでも語ってるご時世なんだぜ?」
なんか泣きたくなってきた。
俺達これでも一応アルタラスで暴走軍艦沈めたりとか頑張ったんだぞ?
にも関わらず味方は後ろから刺そうとしてやがる。
もうヒノモト辺りに亡命しようかな?
だけどキョウスケとかは家族養うためにここに来てるし簡単にできねーよな。
「我々は十分訓練を積んできたし、実戦経験も積んだはずだった――だがこの土地は他の場所とは何もかもが違いすぎる」
「余所の土地がどうかは知らないけどこの土地、特殊作戦群の人間でも気を抜いたら死ねる土地だからな?」
俺としては一体どんな楽な実戦経験を積んだのかぜひ聞かして欲しかった。
こっちは毎日サメやワニやゾンビや暴走ロボットとか相手に懲戒免職上等で殺し合いしているのに。
「敵襲!! 戦車が猛スピードで突っ込んでくるぞ!!」
俺は舌打ちをして「伏せろ!!」と叫んだ。
また戦車が突っ込んできたか。
機銃やビームやミサイルなどを乱射して折角修復した箇所が破壊される。
すぐさまやり返したい衝動に駆られるが相手の戦車はレールガンやビームの直撃を受けても耐えうる装甲を持っている可能性がある。
とにかく迎撃態勢を整えて一気に撃破するしか方法がない。
他の自衛官はこの土地ではまだまだルーキーだ。
相手との火力の違いに心が折れそうになっている。
まあすぐさま退避行動を取る辺り訓練が行き届いていると言うべきだろうか。
その後戦車は基地内に突入して破壊の限りを尽くし、パワーローダーを纏った宮野一尉が特殊なハンマーを用いた接近戦で仕留めました。
あの人もどんどん人間やめて言ってるな。
=海底要塞玄武攻略ミッション=
*このお話は査察団のお話が終わって少しばかりの時間が経過した後の話です。
海底要塞玄武。
かつて日本の守り手だったこの要塞。
しかし今は無差別にこの世界に破壊を撒き散らす要塞と化していた。
政治外向的な都合もあるが日本政府はこれを破壊する事を決断した。
ヒノモト、NUSA、醒などの三大勢力や各自治体も了承済みである。
世界各国から集まった観戦武官は海底要塞玄武から遠く離れた海上で現地から届けられる映像を見る形になった。
なにしろ世界を滅ぼせる、単独で古の魔帝国並の恐怖を世界中に植え付けた機動要塞の攻略ミッションだ。
注目せざるおえない。
その要塞相手にどのような方法を取るのか世界中の人間が注目していた。
☆
自衛隊達が使った方法はただ一つ――デコイや高出力のECM兵器を可能限り長時間展開させている隙に超音速の飛行ユニット(ロケットブースター)に括り付けたパワーローダー部隊を突入させ、潜水不可能なぐらいのダメージを与えると同時に砲台を含めた防衛兵器を破壊する。
その後は強化されたイージス艦の火力で吹き飛ばすプランA。
内部に突入するプランBなどが用意されている。
この作戦を任されたのは現地の人外達もいるが現地の洗礼を受けて人外と化した自衛官も何名か混じっている。
この無茶苦茶なミッションに自衛隊の上層部は「正気か!?」と目を疑った。
だが実際問題これぐらいしか方法がないので上も渋々と承諾した。
そうして作戦は決行された。
「日本は狂っている」
「頭がおかしい」
「信じられない」
「精神がいかれてる」
パワーローダーの一体から送られてくる画像から観戦武官は口々にそう言った。
ECM、デコイを持ってしても完全には相手のレーダーを誤魔化すことはできずにマッハの速度で近付くパワーローダー隊に集中砲火が浴びせられる。
少しでも敵の目を反らすためにECM、デコイ、チャフ、フレアを満載した特殊装備の戦闘機隊も出撃してパワーローダー隊の突入を援護する。
ある程度の距離でパワーローダー隊はロケットからパージされ、切り離されたロケットはそのままミサイル代わりに要塞の彼方此方に直撃して大爆発が起きる。
ちなみにこの時のパワーローダー隊の損耗率はゼロ。
自衛隊や世紀末日本からの精鋭揃いとは言え、全員人外らしいことに味方ですら恐怖した。
『此方パワーローダー隊、要塞内部に突入。破壊を開始する』
そして、現在機動要塞の彼方此方でパワーローダーが防衛兵器や無人ロボット相手に破壊活動をしていた。
レールガンや反応弾(誓って核爆弾ではありません・・・・・・)、ビームガトリング、プラズマランチャーなどでパワーローダー隊は破壊の限りを尽くす。
そうして粗方目につく砲台が破壊され、強化されたイージス艦で破壊するプランAが実行され一旦退避したのだが破壊し尽くせず、失敗に終わったので現在は内部に突入して破壊するプランBに以降。
苛烈な攻撃に晒されながらもパワーローダーや現地の味方ロボットなどが突き進んでいく。
時には人外的なアクションで。
また時には大火力と重装甲で押し切るパワープレイで要塞内部を駆け抜けていく。
さながらリアルス○ーウォーズだ。
そうこうしているウチに要塞内部の動力炉に到達し、爆破工作が完了して外に脱出。
要塞外部の敵もあらかた掃討されて部隊も退避完了し、海底要塞は爆破されて海の底に沈んでミッションは完了された。
この戦いを見た観戦武官達は口々に言う。
「日本を敵に回すのはやめておけ」と。
=戦争の英雄=
*このお話は
世紀末の日本には――嘗ての大戦を生き抜いた数々の英雄がいた。
核攻撃をシェルターで生き延び、コールドスリープで眠りにつき、現在まで全盛期の状態を維持した戦士が。
その戦士は強かった。
東側の大部隊を相手に仲間達と戦い、核が撃ち込まれるその日まで戦い抜いて生き延びた。
そして何百年物間コールドスリープをして、再び目覚めたその戦士は――誰も止められなかった。
フロンティアも。
同じくコールドスリープして長きに渡る眠りについて再起した日本の後継者ですらも。
あらゆる勢力がその戦士を狙ったが誰も殺せなかった。
この異世界に転移しても――誰も――
その戦士の名は木之元 セイ――
☆
日本がわざわざ危険なもう一つの日本に介入を進める理由は様々であるがその理由の一つに古の魔帝国対策がある。
古の魔帝国がパワーローダーと類似する兵器を使用していると言う話もあり、対パワーローダー訓練と平行して日本産のパワーローダーの実用化や実戦訓練が急がれた。
実戦訓練の相手は世紀末日本でも治安がよいとされる国家や自治体からの選抜形式、整備に必要な人員や付き添いなども含めて三十名以上になった。
またパワーローダーは核動力で非核三原則の原則に違反していると言う厄介な話もあるため、他の国の土地を間借りして行うことになった。
アルタラスの土地を借り、アルタラスの武官、文官のみしか観戦出来ない極秘演習である。
結果は――自衛隊サイドの惨敗だった。
念のため擁護しておくが、そもそも自衛隊はこの世界に来てから一部を除いて勝てる戦いしかしていないし、装備の質もアグレッサ―役の相手が上だ。
世紀末日本絡みの戦いは一部を除きほぼ全て辛酸を舐める結果になっている。
今回の訓練は装甲車両付きの歩兵部隊だけでなく、戦車や戦闘ヘリまでも投入しての大人げない訓練だったが心配無用だった。
「お前達少しは自衛隊としての意地を見せてみろ!? 何をしている!?」
『無茶言わないでください!! あの赤いパワードスーツ速すぎます!!』
『赤い彗星かよ!!』
通信から悲鳴のような声が響いてくる。
司令官も「まさかここまでとは・・・・・・」と眉間を押さえた。
アグレッサー役のパワーローダー達がとにかく強すぎる。
距離が離れていてもミサイルやレールガンの的。
中途半端に距離を詰めようものなら一気に接近してきて狩り回られる。
特に赤いパワーローダーが強すぎて一気に戦線が崩壊していた。
まるで人型の戦闘機のようなスピードと効率的に敵を滅するための位置取りはもう芸術と言っていい。
もしもこれが実戦だったら目を覆いたくなる程の結果になるだろう。
「戦車二両撃破判定! 被害拡大止まりません!」
「戦闘ヘリ一両撃破判定!」
「歩兵部隊被害拡大!」
オペレーター達も驚愕しながら被害報告する。
全滅まで秒読み段階の状態だった。
結局、次の訓練では赤いパワーローダー抜きで戦う事になったがそれでも、顔面傷やヤケドだらけのアメリカ人美女(コールドスリープされていた名誉勲章持ちの英雄)だとか、コールドスリープされていた女死刑囚だとか、なぜかいた加藤 佳一などのせいで何度か自衛隊側は「訓練にならねぇ!?」とバランス調整を行ったと言う。
「こんなの上にどう報告すればいいんだ!? 映画の撮影じゃないんだぞ!?」
と、最終的に現場の責任者は頭を抱えたという。
それぐらい非現実的な目を覆いたくなるような悲惨な結果になったのだ。
そんな上の苦悩などしったこっちゃない演習参加者はと言うと暢気にアグレッサ―役のパワーローダーの人達や付き添い、整備スタッフと交流していたという。
まるで自分達の年齢も忘れて、アルタラスの人達も巻き込んで熱狂的に交流したという。
なんだかんだで自衛隊も体育会系、武人気質なのである。
例え所属する国家は違えど、礼儀を弁えていれば強い人は尊敬されるのだ。
意外にも女死刑囚も馴染んでいたが・・・・・・
その中に木之元 セイの姿もあった。
☆
Side 木之元 セイ
「いや、完敗だよ・・・・・・あそこまで叩き潰されたら素直に負けを認めるしかないね」
「はは、帰ったら訓練のやり直しかなこれは――」
「君の経歴は見たけど本当だったんだね」
僕は駆け寄ってくる「異界の」自衛官達に口々にそう言われた。
悔しさを通り越していっそ清々しさを感じているようだ。
僕としては技量云々以前の問題――兵器の質に差がありすぎるのでその辺からどうかした方がいいと思うのだがそう言うのは考えにないらしい。
だからと言って前線の兵士達に言ってもどうにもならないので「大人げないぐらいに完膚無きまでに叩き潰す」方向で上にメッセージを送ることにした。
これで少しは改善してくれればいいのだが・・・・・・と僕は思う。
体調不良の中、無理して投稿しました。
ご意見、ご感想お待ちしております。