「それで、首尾は?」
「G&Kも一枚岩ではないことは散々見てきたけど……」
指揮官に戻ったダーリンが居ない情報室。
諜報活動をしていたグローザが苦い顔をしていた。
残念なことに今回の前線指揮官が療養に入ったことは内部リークされていたらしい。
それらしい情報だけ掴めたけど向こうも手慣れているのか……
それとももっと上のヤツが関わっているのか……
こっちの構築しているネットワークじゃ引っかからなかった。
ただ手の込みようからI.O.Pも一枚噛んでいるのはわかる。
それもかなりの手練が噛んでいる、かなり面倒くさい事になったなぁ……
「盗賊グループについては?」
「現在本拠地の洗い出し中」
構成員は大体判明してるみたいだけどその活動拠点がどこかが不明。
大本営というかこのグループの親玉は別地区だし……
いや、どこにでも湧いて出てくると言って過言なしかな?
実際に私達がお掃除したりした相手も結構な規模だったりするけど……
あちこちから補充が来る、そして市民を脅かしてから財産とか奪っていく。
この繰り返しばかりだ、いい加減に根を絶たないといけない……
私達の子供の世代にこんなのを残しちゃいけないんだ。
「他の報告は前線基地に多数襲撃があったけど返り討ちにしたって所ね」
「被害は?」
「ダミーが何体か持ち去られた」
「そっか……」
ダミー人形にもパーソナルが設定されている。
本体程ではないにしてもちゃんとした受け答えをするし反応が帰ってくる。
ましてやウチ仕様のダミーとなれば……
早い所連れ戻さないと深刻なメンタルダメージが免れない。
一〇〇式のダミーが2、ステンのダミーが3……スペクトラのダミーが2ね。
最初期のダーリンの被害状況みたいだぁ……
「もしかして指揮能力……」
「悲しいけど鈍ってると思うわ」
うわっちゃぁ……被害状況的にそうかな?と思ったけどグローザが言うなら間違いない……
下手すりゃメインフレームがやられていたかもしれないし……うーん……
「向こうの反応は?」
「口々に情報と違うと言っていた様子……」
「うーん……その他は?」
「とりあえずダミーで"楽しむ"と」
……やることはそれだけか。
知らず知らず目が鋭くなっていたみたいでその後遭遇したFALに心配された。
「とりあえずバカな盗賊がダミーを連れ込んだ穴蔵は分かったわよぉ」
「それで現在戦闘に自信があるエクセキューショナーとハンターが筆頭にM4以下AR-D組が入っている」
ダミーの中でもメインフレーム並の処理能力を持つAR-D組が採用されてる。
指揮能力が落ちたダーリンでもかなり助かる構成だと思うけど……
本来のダミーには必要最低限の演算CPUとその他基本コンポーネントだけなんだけど……
ウチのダミーは発信機が入っている。
特異性を加味してメイン人形と同列に扱われている。
それもあって仮拠点と思われる場所の特定は容易だった。
どこかと思えばすごく原始的な場所に隠れ家を設置しているみたいだ。
「偵察ドローンの情報が今……本当に蛮族というのがお似合いな住居……」
「うわぁ……」
件の地点を偵察していたドローンが首尾良く相手を発見したらしい。
その情報が転送されてきたけど……うん、これは原人だな。
切り立った崖の下に掘った穴に出入りしているみたい。
周辺の木が一部伐採されているのを見て多分中の照明、暖房は火だな。
「これなら私達が行っても……」
「それは指揮官が却下しました」
むぅ、残念だけど決定ならしょうがないや。
「じゃあ私達は奴さん達が連れてこられるだろうから……」
「ドリーマー」
「分かってるわよぉ……丁度私もイライラしているんだから」
私達が思い浮かべている事は合っているだろうな。
とっ捕まえた盗賊の拷問だ。
じゃ、連絡はっと……AK47達ソ連組にっと……
「手を出す相手を間違えたと徹底的に分からせないとね」
全員表情に幾ばくかの怒りが籠もっていた。
という訳で賊には死ぬより酷い目に遭ってもらう。
……予定。