今回は喫茶鉄血へとお邪魔回。
平行世界というものはとても不思議なものだ。
いくつもある分岐から隣り合った次元に存在する物。
お互いに認知することは本来は出来ないし行き来も出来やしない……筈なんだけど。
「どういう訳か喫茶鉄血に迷い込んだ報告例が多数上がってるのよね」
「で、なんで私が呼ばれてるのさ」
「原理を知りたいのよ、純然たる興味でね」
と話すのは妊娠発覚後安静にしていたドリーマー。
ぽっこりお腹を抱えて話す姿は紛うことなき妊婦。
臨月程じゃないにしてもホント早いものだよ。
私もそうであったと言うんだから不思議な感覚だよ。
気絶するほど痛かったけど母親になった実感と喜びは……
「戻って来なさい」
「へぶっ」
「アンタを呼んだのはコレを着けてデリバリーしてきて欲しいのよ」
トリップしかけてた……んで、ドリーマーが言うには原理を知りたい。
けれどももう一度実体験してもいいけれど子供が心配。
そこで私に白羽の矢が立ったというわけだ。
過去2度に渡って訪問している実績があるからだろう。
渡されたのはセンサーの塊と記憶装置。
観測できるデータを全部取ってやるっていう魂胆らしい。
それで狙って行き来出来るようになれば色々教えを請う事も捗るって訳だ。
まぁその可能性は限りなく低いというのがドリーマーの言。
「原理が私達の認知し得ない物だったらどうしようもないもの」
とあっけらかんに言ってのけやがった。
出来る限りは尽くすけれども出来ない時は出来ない。
ニュートンが重力発見したように偶然見つかるかも知れないし。
そこは研究に身を尽くすことができれば叶うかもしれないとのこと。
「無茶なんてしないわよぉ、流れたら私発狂物よぉ」
「うん、それが良い」
考えたくはないけどそういう可能性は無きにしもあらず。
私の先例があるけど無茶は出来ないのがお約束。
「じゃあダーリンにちょっと相談してくる」
「積荷とかかしらぁ?いってらっしゃぁい」
まぁミルクの在庫が溢れるし新鮮なのは積んでっと……
後は何か載せれる在庫があったかなぁ……
「赤字にならない程度なら好きにしていいけどなぁ」
「それ一番困る返答だよ、アナタ」
「んーでもなぁ……こっち生産のコーヒー豆とかどうだ?」
「あー、環境調整して生産してるアレかぁ……良いね」
幸いな事にこちらで赤字になることは今の所ない。
客層はともかくとして常連客は居着いたし新規客もそこそこ来てくれる。
金払いも渋ってはない、いいお客がほとんどだ。
ともかく、ウチ生産のコーヒー豆数キロとミルク、砂糖に卵。
軽食の中でもスイーツ系生産に必要な原材料を積むことにした。
あと私が作ったエッグタルトも多数突っ込んだ。
観測装置は車両に取り付けられて準備はOK。
「今回は護衛とかはなしなんだね」
「その代わりに……」
「まぁま、まぁま」
「ネーナ連れて行くって?大丈夫かな……」
「いや、だってなぁ」
「まぁま……」
うぐ……最近喋りだして驚いたばかりだけどママ連呼されたうえにぐずりそうな我が子には……
ま、ママ強いし大抵のことはへっちゃらだけどこれは無理!
というか朝からぐずってたの私が原因?
「OK、それじゃあ」
「背負紐はこっち、おむつはそっちな」
「あぁありがと……いってきまーす」
「はい待った」
「ぐぺっ……何よ、ダーリン?」
「俺も行く」
「ついでに私とリンも行こうではないか、ロマニーも行きたいそうだし」
結局行くのは私、ダーリンとヴィオラ、ロマネシア……それとネーナとリン。
物資コンテナ牽引した貨物バンが行く。
赤子と夫妻と食料載せて。
「あ、この臭い漏らしちゃったの!?」
「びえぇぇぇぇえええ!!」
「あーはいはい、すぐスッキリしましょうねー……え、おっぱいも欲しいの?」
「哺乳瓶じゃダメだもんなぁ……俺が運転するからシーナはネーナの世話頼むな」
「はいはい、頼みましたよ、アナタ?あっあっネーナいきなり飛ばしすぎ……んひぃ」
「リンもお腹が空いた様子だな……ん、よしよし……」
「ねぇママ達私じゃダメ?」
「「多分ぐずるからダメ」」
先はすこーし遠そうです。
つくかなと思ったらほら匂ってきたコーヒーの匂い。
往来は多くなり活気が溢れる町並み……
喫茶鉄血の文字はたぶんすぐそこまで……
流石に子持ち全員は無理があろうなのでな。ウチの看板娘3人+赤ん坊で
観測云々はまぁ最悪通信だけでもできたらなー程度でねじ込んだ、反省してません。