「アップルパイ気に入ってもらえたかなー?」
「悪くない反応だったと思うが……」
「ねぇ、こんなに霧が出る地帯だったかしらぁ?」
「五里霧中ね」
R06基地で甘い物押し付けるだけ押し付けてから早々に出た私達。
さて次のデリバリー先にと出ていったんだけど……ドライバーシートから見える景色はまぁー見事に霧!
旧世代の英国、ロンドンはこんな霧に包まれるとか聞いたことあるな。
「これでは何も見えんな……」
「幸い舗装路は続いてるし……こんな時のためのフォグランプってね」
「……計器が狂ってないかしらぁ?」
「地磁気コンパスがとんでもない数値だしてるわぁ……」
視覚センサーで見る限りはもう数メートル先も見えやしないや。
道路を外れてない事を確認するためにフォグランプを点灯させてるけど……
で、後部でぐだ巻いてるドリーマー二人が何かぶつくさ言ってるんだよね。
地磁気はこのコーラップスで汚染された世界でも変わらず存在している。
衛星等を新しく打ち上げる余裕のない現状大まかな緯度経度を出すのに利用されていたりする。
ヴィオラの方も怪訝な表情でデータを読み漁ってるみたいだ。
残念ながら私やスピットファイア、HK45には搭載されてない。
磁気コンパスだけは搭載されてるけど……単独行動することを前提にしているモデルとかはあるんだろうけど。
「おー抜けた抜けた……はい?」
「……このデータは」
「とうとう私もイカれたかしらぁ?」
「時速80kmで走って……辻褄が合わない、もう一度計算して……」
「おぉーかなりにぎやかな街に出ましたね!」
「ライブしたらかなり人来そうじゃない?」
はてー……この町並みはちょっと記憶を参照して……
あーやっぱり、あの街だ。あの時はヴィオラとダーリン含めた3人で行ったから……
「不思議なことは二度あるって事かな?」
「二度あることは三度ある、またなにかあるかもしれんな……」
「ふふ、そうかもね」
S09地区みたいな緯度経度の町並みをTransitは走っていく。
街を行き交う人の波を横目におおよそ30kmといったかなり遅いスピードで。
「商店街か、また懐かしいものが……」
「ショーテンガイ?」
「WW3前の日本の話で良いか?」
「「有り得ない有り得ない有り得ない……」」
「ちょっとドリームぅ?壊れちゃいないから安心していいから黙っててー?」
でもまぁ科学的根拠が無いから……納得するかねぇ?
ほら、また香り立つ良い珈琲の匂いがしてきた。
近くの駐車場を見つけてからTransitを停める。
アホみたいにデカイ車体はスペースからはみ出てるが……まぁ酷い迷惑にはならないはず……めいびー
思わぬ機会になったけど私達もカフェの後輩として商品を売るくらいにはなったんだから……
喫茶店の先輩には見てもらわないとね?
「スタッフオンリーのところじゃない、なんでこっち?」
「ここのマスターとは顔見知りなの、ねーヴィオラ」
「向こうが覚えていたら……だが」
ちょっと裏手の路地に入ってから裏口をノック。
片手にはウチ自慢のケーキやシュークリーム等のお菓子が詰まったクーラーボックス。
気に入ってもらえたらバックヤード人形に振る舞いたいしそのまま商品として並べてもらっても……
「おや?」
「ハロー、少しお時間よろしいですか?ちょっとここのマスターにお話がありまして」
出てきたのは休憩中だっただろうガードだな。
私達そろってメイド服なもんだからまぁーそりゃ怪訝な目で……
おう、目線が胸元にいってんのモロバレだからな。
「……少々お待ちを」
「こっちまですごい目で見てなかったかしらぁ?」
「特に私ぃ、ゾッとするようなものでも見た感じにねぇ……ひどい話だと思わなぁい?」
「まぁまぁまぁ……」
「「というか毒され過ぎですが鉄血人形が普通の応対した時点でおかしいんですからね!?」」
ここは喫茶鉄血、私達とは文字通り違う世界のあり得たかもしれないとても平和な世界。
またここに来れた奇跡に感謝しながら……まぁ待ちましょう。
「で、一通り終わって離れてみれば霧の中、晴れたら全然時間が進んでないときたもんだ」
「現実は小説よりなんとやら……」
「……ブツブツ」
「リリーお姉さま?あまりぶつくさ言ってるとぉ……」
「あぁん♪」
「暴れないでねー、次はっと……HUBが近いね」
そろそろ結婚しててもおかしくないあの二人組とー……SPASと指揮官くんの二人組に甘いもんのプレゼントだね。
ドリーマーのレズレズはほっといて……
「気張っていこー……できるだけ早く済ませてネーナを抱きたいの」
「リン……お母さんが先に駄目になりそうだ……」
「はい、これキメて落ち着きましょうね」
ダーリンのハンカチで精神安定を図るヴィオラ……これがなければ完璧だと思うんだけどなぁ……
現実味ぃ?知らんな。
こじつけご都合主義バンザイね