神話生物でもサッカーがしたい!   作:ウボァー

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前話にてショゴスの「サッカーで虎を見た」って発言に誰も突っ込まないの謎なんですが。
うん、今回のお話はまあそういうことだ。


しょごととらさん

 ――今日は土曜日。晴れ。絶好のサッカー日和です。

 

 あのクソ邪神(ニャル)は赤いペンギンが出てくるシュートを使おうとしたら、地面から生えてきたペンギン達が恐怖からブルブル震えてシュート技として使えなかったそうです。ザマァ。

 そういえば、休みの日のショゴスはいつも友達と遊びに出かけるそうだけど、友達って誰なんだろう? 普通の人ならいいけどなあ……。

↑1号、蹴った後のアレが全身のコリをほぐすのにいいかなーと思ってたんだけどね byニャル

 

 

 

 

「おまたせー! とらさん! てけりり!」

 

「あ、しょご君!」

 

 しょごの友達、とらさん。ツンツンした黒髪がバッチリ似合う小学生。背の高さはしょごの方が低いけれど、年齢はしょごの方が高いのです。びっくり! ……あ、人間としての姿での計算ね。てけりり。あれ? 本当の姿で計算したら、しょご、お年寄りになるのかな……?

 

「しょごもおてつだいするの! てけりり」

 

 出前でよく見る銀色のあれ(おかもちって言うんだって。知らなかった!)をよいしょ、と両手にそれぞれ持つ。

 

「えっと、今日の出前はここと、あっちと――」

 

 住所を聞いて準備万端。

 

「いてきまーす! てけりりー!」

 

 二人でわっせわっせと出前配達なのです! てけりりーっ!!

 

 

 

 

 

 ――それはある日、試合が終わってのことだった。

 

 

「すごい、すごいすごいすごーいっ! ぜんこく、いやもしかしたらせかい……そのぐらいすごーいしゅーと!! てけりりっ!!」

 

「え、わ、わぁ!?」

 

 どこからともなく駆け寄ってきたちびっ子に両手を握られ、力強く上下にブンブン振られる。

 ……シュートを褒められる。それは初めてのことだった。普段は使わないと決めていた必殺技。チームの和を乱すから、出来る限り使わないようにしていたが……。もしかしたら、という思いで放ったそれを見た仲間達の反応は、今までと変わらなくて。

 ――自分は、シュートを打つべきではないんだ。

 

「……? だいじょうぶ? てけりり……」

 

「あ、ううん、何でもないよ! これからも応援よろしくね!」

 

 顔に出ていたようだ。慌てて取り繕う。

 

「とらさんすごかったの! いつかしあいできたらいいね! てけりり」

 

 そう言ってどこかへと走り去るちびっ子。しあい……試合? どこの小学校の子なんだろう、と疑問に思ったが……。もし試合をするとしても、その時はもう、シュートを使わないと心に決めた後になるだろう。

 

「……あ、もうこんな時間!? 急いで帰らないと……お先に失礼します!」

 

 身体が弱い母が今も一人で店を回しているだろう。早く手伝いに行かなければ。荷物をざっと纏めて、走り出した。

 

「はっ、はっ……ただい」

 

 ま、と続くはずの言葉は途切れた。だって。

 

「――もぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐもぐ」

 

「さっきの子……?」

 

 つい先程別れた、シュートを褒めてくれたちびっ子がご飯を食べていたから。生姜焼き定食を頼んだらしい。肉、野菜、ご飯、ときれいに三角食べをしている。

 かちゃん、と箸を置いて。お冷を飲んで。

 

「お、い、しーーーーいっ!! てけりり・っ!!」

 

 見ているこっちが嬉しくなるようないい食べっぷりだ。

 

「あっ、とらさんだ!? ここ、とらさんのおかあさんのおみせだったの!? てけりり!?」

 

 偶然、なんだろう。多分。名前でこの店に惹かれたのかもしれないが。

 

「とらさんのさっかーすごかったの! ほんっとうにすごかった! てけりりー」

 

 ありがとうねえ、と母がお礼を言う。……自分に対してだけなら何とも思わないが、こう、母親にも言われるとなると……恥ずかしい!

 

「虎丸、この子、サッカー友達なの? お手伝いは大丈夫よ、今はお客さんそこまで入ってきてないから。母さん、練習相手がいない、って悩んでたの知ってるんだから」

 

「っ」

 

「あいてがいない、の? てけりり……」

 

 彼はあの試合を見た。シュートを、見た。だから誤魔化しは効かないだろう。

 自分と、他人ではレベルが違う。全力を出したら一人だけでサッカーをすることになってしまう。そうなったら、嫌悪の視線が、ずっと、付き纏う。

 

「……おそと、いく? てけりり」

 

 だから、その誘いを断ることはできなかった。

 

「…………」

 

 ぽん、ぽん、と軽くパスを続ける。時たまに全力を出したりもするが、それも難なく拾っていく。

 自分の全力についていけるこの子は間違いなく強い。それでもって、この子に対しては隠し事が出来ない、そんな気配がする子。ぽつり、ぽつりと言葉をこぼすのも仕方ないことだった。

 

「とらさん、つらくない……? てけりり」

 

「……うん」

 

 本当はシュートを打ちたい。全力を出したい。でもそうすると、皆に迷惑をかけるから。……自分が、皆と違うから。

 

「ずっと、ぎゅーってしてるとつかれちゃうの。てけりり。だからこうしてどっかーん! もたいせつなの! てけりり!」

 

 そう言うとしょご君はサッカーボールをこっちに渡して、距離をとって。

 

「だからしょごにおもいっきりぶつけるといいの! しょごはつよいからだいじょうぶなの! てけりり!」

 

「え、でもっ」

 

 その小さな身体で受け止められるはずがない。このシュートは、自分より体格の大きい相手でも吹き飛ばせる威力がある。

 

「しょご、じつはこうみえてとっぷくらすのDFなのです。せかいにでてもまけません。ふふん。てけりり」

 

 世界、と言われても信じられない。確かに彼が強いのは分かる。が、そのレベルにまで達しているかなんて自分には分からない。よくある誇張表現だろう。

 

「……むー、あまりこういうのとくいじゃないんだけど、やるしかないのかなあ……とらさんのよわむし! へっぽこ! いくじなしー! そんなんだとさっかーするしかくなんてないぞー! おかあさんに『とらくんはだめなこ』っていっちゃうぞー! てけりり!!」

 

 罵倒に慣れていないのが丸わかりだ。呟きが丸聞こえだったし。どうやらしょご君はどうしてもシュートを打たせたいらしい。

 

 ……なら、やってやる。そしてこれが、この必殺技を使う本当の最後になる。

 

「タイガー……ドライブッ!!!!」

 

 

 ――虎が、吠えた。

 

 

 

 

 

 

「……なんてこともあったねえ、せいしゅんだねえ。てけりり」

 

「って、しょご君! あの時のこと思い出させるの、恥ずかしいからやめて欲しいんだけど!」

 

 あんなこともあったけど、今ではすっかりお友達。しかも店のお手伝いもしてくれる。

 

 

 ――そう、あの時のタイガードライブは、彼に受け止められた。そしてこう言われた。

 

『いまでもすごいけど、もっとれんしゅうしたら、もっともーっとすごくできるの! しょごがれんしゅういっしょにするの! しょごはたのしい! とらさんはぜんりょくだせるの! これってうぃんうぃんってやつ……であってる? てけりり?』

 

 ――ああ、あの時が一番サッカーをして楽しいと思えた瞬間になるんだろう。

 

 

 ……まあ、実は彼が中学生だってことには驚いたけど。

 しょご君の中学校にはしょご君よりも強い人がゴロゴロいるらしい。あれだけ実力者が複数いて、フットボールフロンティアに出場したことがないってのは今も気になってるけど……。

 

「これからもよろしくね、しょご君!」

 

「こっちこそ、なの! とらくん! てけりりっ!」

 

 

 宇都宮虎丸は、今日もサッカーを楽しんでいます。




ニャル「全身マッサージよろしくお願いねー」

皇帝ペンギン「やだ……人間の姿の邪神にダメージ与えて体力0にしちゃったら本体でてきア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛」

禁断の技とはつまりそういう意味だった……?

ニャル→(宇宙に存在する殆どの)生物に嫌われる
人間→(神話)生物に好かれる


とらくんで何となく分かった人もいるだろうけどそういうことでした。そりゃ練習相手がアレなら小学生でも世界行ける強さになりますわぁ……。
原作の響さんシュート使わないって言ってる彼の情報どこから掴んだのか謎なんだけど。

〜オリジナル必殺技〜
「窮極の門」
ヨグ=ソトースの本気技。ボールとともに異次元へ消え、ボールを蹴るとKPの背後にボールが出現する。
なおデザーム様もといオサーム様の使用する必殺技のグングニルと違い、異次元からシュートしているのではなく蹴った瞬間にゴールに入っている(瞬間移動させている)ので防ぎようがない。
……シュートってなんだっけ?
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