ACの愉快な仲間たち(一部)と一緒に艦これの世界に来てしまった…   作:とある組織の生体兵器

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今回は轟沈描写が含まれます。苦手な方は飛ばしてください。
「ついに轟沈描写が来たわね…。」
前言ってなかったっけ?…でも、辻褄を合わせるには、これがあるんだ。
「…まぁ…ね。」
轟沈描写だけを飛ばしたいなら、一番最後まで飛ばして、パラオ泊地と書かれているところから再開すると良いです。
「…艦娘だけじゃないでしょ…。」
えっ?何が?
「とぼけても駄目。読んだわ。」
……。
「…私たちに対して、何を訴えているのかしら…。筆者さんは。」
…所詮は泡沫の夢に過ぎないんだよ。何もかも。
「ブラックが出たわね…。」
みんな死ぬんだよ。どうせ。生き残るのは強いものだけ。主人公が生き残るかどうかも不明。
「…えっ?」
陸軍編が終わったら、他の鎮守府へ行こうか、それとも最終編に行くべきか…。
「…ストーリー…?」
ストーリーだよ…。元々、最終編を書きたくてここまで来た…。だが、完璧な最終編をするなら鎮守府編をしなくてはいけない。
「……。」
エンディングの分岐も考えてある…。ハッピーエンド、バッドエンド、デッドエンド、ハーレムエンド、慈悲無しエンド、???エンドなどなど…。
「怖いわね…。」
なんせ、敵はこの世界の“イレギュラー”や“ドミナント”だから…。
「えっ!?ドミナント!?」
いや、そっちじゃない。訳すと、例外と特別だから…。
「あぁ、そっち…。」
ネタだ。では、あらすじに行こうか。
「えぇ…。て!きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」
ギヂャギヂャ…
「でかい!キモい!背筋がゾッとする!怖い!」
B988A M-typeだね。筆者もすごく嫌いな…。
「嫌いなら呼ばないで!!」
でも、登場したから。あらすじ…。
キヂャギヂャ…。
「きゃぁぁぁぁぁぁ!!!」

ギヂャギヂャ…
ビーー!ビシャァビシャァビシャァ!!ビーー!ビーー!

うわぁ。暴れてる。
「あんたのせいよ!!」
じゃぁ、もういいや。帰って。
シュンッ!
「あっ、消えた…。」


165話 ビスマルクの話 その2

…………

どこかの鎮守府

 

「では…。必ず生きて帰って来い。それが、私の命令だ。」

 

「「「はいっ!」」」

 

提督が言い、ビスマルクやグラーフを含めた艦娘たちが返事をする。そして、出発する順番に、提督と握手を交わしていく艦娘たち。提督は、一人一人、しっかりと目を見て“いってらっしゃい"と、声をかけていた。

 

…………

 

「Feuer!!」

 

ドォォォォォォン!!

 

「攻撃隊!出撃!」

 

ドガァァァァァン!!

 

ここは大決戦の戦場。ビスマルクとグラーフが前線を張っている。

 

「ハァ…ハァ…。…今の残りの艦娘たちは…?」

 

「ハァ…ハァ…。私たちと、あと5人少しか…?笑えないな…。」

 

しかも、ピンチ状態だった。艦娘たちが、一人、また一人と沈んでいく…。そんな状況を目の当たりにしても、悲しむ暇がない。そんな状況を悔やむ二人。現在、中破したビスマルクと小破したグラーフだ。敵である深海棲艦に四方八方囲まれた状態の…。

 

ドガァァァァン!!

 

ギリ…

 

「残り…私たちを含めて5人…。」

 

ドゴォォォォォン!!

 

「…4人…。」

 

バゴォォォォォン!!!

 

「3…。」

 

ドガァァァァァン!

 

ギリ…

 

「残り…私たちのみ…。」

 

ビスマルクとグラーフは、仲間が沈んでいくのを悲しむのも、見ている暇もないくらいの敵の猛攻に歯を食いしばっていた。そんな中…。

 

「…ビスマルク…。名案を思いついた…。」

 

グラーフが突然言い出す。

 

「…やめて。駄目よ。絶対に。」

 

「…私はまだ何も…。」

 

「どうせ囮になるって言い出すつもりなんでしょう。」

 

「……。」

 

ビスマルクに心の内を読まれ、黙ってしまう。

 

「…だが、Admiral(提督)はビスマルクを必要としている。…私は…。」

 

「私があなたを必要としている。させないわ。」

 

「……。」

 

ドガァァァァン!!

 

ドゴォォォォォン!!

 

二人は最後の抵抗だと思い、思いっきり暴れまくる。

 

「グギャァァァァァ!!」

 

ドゴォォォォン!!

 

「!?」

 

ドガァァァァン!!

 

「…チッ…やられた…。しかし砲はまだ健在だ…。夜戦なら…Admiral!!」

 

深海棲艦のクリティカルダメージで、グラーフが大破した。艦載機はもう出せない。つまり、夜戦まで攻撃できない。

 

「もう無理よ!」

 

「私を置いて行け!生存率が上がる…!」

 

「馬鹿なこと言わないで!今までどれくらい一緒に過ごしてきたかわかるでしょう!?見捨てられるわけないじゃない!」

 

ビスマルクが肩を貸す。そして、急いでその場所から撤退をしようとするが…。

 

「グギャァァァァ!!!」

 

「ゴァァァァァ!!」

 

ドォォォォォン!!

 

ドガァァァ!!

 

深海棲艦がみすみす逃すわけがない。追撃してくる。

 

ドガァ!ドゴォォォォォン!!

 

「やられた…!舵は!?舵は大丈夫…!?…なら、まだ走れるわね…!行くわよ!」

 

急いで逃げるビスマルク。そのうちに、攻撃され、グラーフにあたる攻撃も、避けたり、自らが当たっていくうちに、大破する。

 

……ここで…死ねるわけないじゃない!

 

…………

どこかの鎮守府

 

「……。」

 

提督が地平線を眺めている。艦娘が帰ってこないかとずっと待っているのだ。すると…。

 

「…!」

 

地平線から、血塗れで二人が帰ってくる。ギリギリ、沈む一歩手前みたいな感じだ。

 

「ビスマルク!グラーフ!」

 

提督が二人に駆け寄る。

 

「…帰ってきたわよ…。感謝しなさい…。」

 

「……。」

 

二人が提督に言う。

 

「そんな格好で…。…他の艦娘は…?」

 

「「……。」」

 

二人は目を合わさない。合わせられるはずがない。

 

「…そうか。お前たちの格好で薄々わかっていた…。おいで。すぐに入渠の準備をしよう。そして…。」

 

「「?」」

 

「よく帰ってきてくれた…。」

 

提督が二人を抱きしめる。

 

……あなたのためなら…。私は…。

 

……Admiral…そこまで心配してくれたのか…。

 

二人が抱きしめられ、幸せに思う。

 

「本当に…ありがとう。」

 

提督が抱きしめながら言う。

 

 

 

 

 

が、幸せは長く続かない。

 

「グギャァァァァ!!」

 

ドォォォォォォン!!!

 

「「「!?」」」

 

三人が驚く。深海棲艦がコソコソついてきていて、隙を伺っていたのだ。

 

「危ない!」

 

「「Admiral!!!」」

 

ドガァァァァァン!!!

 

あろうことか、提督が二人の盾になったのだ。ビスマルクたちに生温かい、赤い液体がかかる。

 

「ゴプッ…。」

 

提督が血を吐きながら倒れた。重傷も良いところだ。背中の肉が焼け焦げ、焦げた骨が露出している。

 

「アドミラール…?」

 

ビスマルクはへたり込んだまま提督を抱き抱える。

 

「ゔあ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"…!!」

 

ドガァァァン!!

 

丁度、日が沈み、グラーフが砲撃で敵深海棲艦を沈める。

 

[BGM 艦これアニメ 『絆』]

 

「ビス…マルク…。グラーフ…。」

 

「…Admiral…。」

 

グラーフも駆け寄る。

 

「私は…ゴプッ…。」

 

提督が何か言おうとするが、肺に血液が溜まって血を吐き出す。

 

「話さないで!今…今助けるから…!」

 

ビスマルクは慌てて、傷薬を塗る。

 

……!?指輪が…。

 

ビスマルクは、自分の薬指の指輪が消滅しかけているのに気づく。そう、この指輪はどちらか片方でもでも純愛でなくなったら消滅するのだ。つまり、もう提督の命は…。

 

「いい…。ビスマルク…。」

 

提督がビスマルクの手を血塗れの手で止める。

 

「傷薬で…どうにかなる…わけじゃ…ない…だろう…?多分…私は…死ぬ…。」

 

「ダメ!死んだら許さない!絶対に…!」

 

「わがまま…言わないで…くれ…。」

 

提督は無理に笑顔になる。

 

「ビスマルク…。やめるんだ…。」

 

グラーフも言う。

 

「いや…!いや…!」

 

「ビスマルク…提督の…最後の話を聞け…。」

 

「そんな…。うっ…うっ…。」

 

グラーフは歯を食いしばっているが涙声だ。

 

「グラー…フ…。今まで…ありがとう…な…。お前…が…秘書艦…であっ…た…ことを…誇り…に…思う…よ…。」

 

「私こそ…Admiralのような人に仕えることができて…幸せだった…。」

 

グラーフは帽子で目を隠しながら言う。頬に涙が伝っているのが見えている。

 

「ビス…マルク…。…昨日…ケッコンした…ばっかり…なの…に…。ごめん…な…。あまり…時間…が…なくて…。もっ…と…早…く…渡して…いれば…。」

 

「……。」

 

ビスマルクは涙を流しながら首を振っている。

 

「本当…に…ごめ…ん…。みん…な…。最後…まで…駄目な…提…督…で…。…グラー…フ…。ビス…マルク…。私…は…先に…逝く…。新し…い…提…督…とも…仲良く…な…。」

 

そして、提督は深く息を吸った。

 

「…ありがとう…。」

 

その言葉を言い残し、息を引き取った。その瞬間…。

 

パリィン

 

指輪が粉砕した。

 

「…いや…。…嘘…。ダメ…逝かせない…!」

 

ビスマルクは提督に心臓マッサージをする。

 

「ビスマルク…。」

 

グラーフはビスマルクに言うが応じない。

 

「ふっ、ふっ、ふっ、…。」

 

必死に、息を吹き返させようと心臓マッサージをする。

 

「ビスマルク…!」

 

「今…今…助けるから…。」

 

「ビスマルク!」

 

グラーフはビスマルクを提督から引き剥がす。

 

「離して…!離してよ!Admiralを…。」

 

パァァァァン!

 

グラーフはビスマルクを引っ叩いた。

 

「いい加減にしろ!ビスマルク!Admiralは…!Admiralはもう死んだんだ!」

 

グラーフは歯を食いしばりながら、ビスマルクの肩を掴み、揺さぶりながら言う。

 

「うぅ…うっ…うっ…。」

 

二人は歯を食いしばりながら涙を流す。

 

「うあぁぁぁぁぁ!あぁぁぁぁぁぁ…!」

 

ビスマルクはその場にへたり込み、泣き叫ぶ。本当に絶望しているのだ。

 

「くっ…うっ…くっ…。」

 

グラーフも、同じのようだ。帽子で隠そうとしているが、涙が留めなく溢れてくる。

 

…………

 

「…ひっく…。…に行く…。」

 

「…?」

 

あれからしばらくしたあと、ビスマルクが泣きながら突然立ち上がり、海の方へ行く。

 

「復讐しに…!あいつらを皆殺しにする…!」

 

「!?」

 

今まで見たことも、想像すらしたことないビスマルクの表情と、憎悪の籠もった重い言葉を言い放ったことに、グラーフが驚く。

 

「待てっ!大破状態の血塗れで何を言っている!?Admiralの話を聞いていなかったのか!?最後の言葉だぞ!」

 

「でもっ!このまま引き下がれない!」

 

「いい加減にしろ!…私だって行きたい…!あいつらを皆殺しにしたい…!だが、私たちで何が出来る!?あいつらは無尽蔵にいる…!今の私たちを見てみろ!」

 

グラーフがビスマルクに言う。

 

「…でも!私は行く!」

 

「あっ!待て!」

 

ビスマルクは一瞬の隙をついて行ってしまった。

 

…………

 

「……。」

 

深海棲艦がどこかへ向かっていると…。

 

「あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!」

 

ビスマルクが現れる。

 

「!?グギャァァ…!」

 

ドガァァァァァァン!!!

 

「!?ゴギャァァ…!」

 

グシャァァァァァ!!!

 

「!?」

 

ビスマルクは目につく深海棲艦を片っ端から屠って行く。潰したり、引き裂いたり、砲撃したり…。鬼気迫る勢いで殺していく血塗れのビスマルクを見て、深海棲艦は少し怯えていた。が…。

 

「グギャァァァァ!」

 

所詮は深海棲艦だ。艦娘を攻撃する。

 

「ヤメロ!」

 

かに思えたが、今の声を聞いて、深海棲艦たちが鎮まる。

 

「?」

 

ビスマルクは声の主を睨む。深海棲艦だ。

 

「…ワタシノナハ『コン』。オマエノテイトクヲコロシタノハワタシノブカダ。」

 

「!?あ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"ぁ"!!!」

 

ビスマルクはそれを聞くなり、攻撃した。が。

 

ビュンッ!

 

「!?」

 

深海棲艦とは思えないくらいのあり得ないスピードで回避したのだ。

 

「…ヨワイワネ。」

 

「……。」

 

「ソンナニヨワイカラ…テイトクヲウシナウノヨ!」

 

「くっ…。」

 

ビスマルクは歯を食いしばる。

 

「…オワリヨ。ヤリナオシテキナサイ。ワスレテ、アタラシイテイトクニアイナサイ…。」

 

渾が魚雷を発射する。ビスマルクはそれを避けられない。大破状態で、これをくらえば轟沈する。

 

ドガァァァン!!

 

「「!?」」

 

「だから…行くなって…言ったんだ…。」

 

グラーフがビスマルクを庇ったのだ。グラーフも大破状態だった…。グラーフが少しずつ沈んでいく…。

 

「そんな…そんな…!」

 

ビスマルクは首をいやいやと振る。

 

「…ビスマルク…。…Admiralを失って、自暴自棄になったのはわかる…。だが、それをAdmiralが望んでいたと思うか…?」

 

「……。」

 

ビスマルクはやっと正気に戻り、首をゆっくり振る。

 

「私はここまでだが…。お前はこれからも生きろ。私や、Admiralの分まで生きてくれ。…私は深海棲艦になって、記憶を失うかも知れないが、お前はずっと覚えておいてくれ…。…私は行く。また会えたら…その時に…。」

 

「グラーフ…。ごめんなさい…ごめんなさい…。」

 

ビスマルクは必死に謝る。

 

「…なに…。気にするな…。…そう思ってみれば…、最初に艦隊に所属した時も、こんな感じだったな…。何故か、私はお前を庇ってしまう…。…なんでだろうな…。」

 

ビスマルクは少し微笑む。そして…。

 

「コンと言ったな…。」

 

「…エエ。」

 

「一生の頼みだ…。と言っても、すぐだがな…。…ビスマルクを逃してやってくれないか…?頼む…。」

 

グラーフは渾に頼む。

 

「……。」

 

「この通りだ…。」

 

そして、頭まで下げた。

 

「…ワカッタワ。コノカイイキヲデルマデ、ワタシタチシンカイセイカンハナニモシナイ。チカウワ。…グラーフ・ツェッペリン。アナタ…。…ケッコウカッコヨカッタワヨ。」

 

「それは…ありがたい…。敵に褒められるのも…変な感じだがな…。」

 

渾が初めて艦娘を褒めた瞬間だった。いや、世界で、初めて深海棲艦が艦娘を褒めた瞬間か。

 

「ビスマルク…。もう私の半身以上は浸かった…。これ以上近くにいると、危ないぞ…。お前まで沈んでしまう…。」

 

「グラーフ…グラーフ・ツェッペリン…。あなたまで失いたくない…。」

 

「…なに…。順番が決まっているんだ…。私の方が早かっただけだ…。お前のせいじゃない…。」

 

「でも…。」

 

「いつか…。記憶を持って生まれてきたら…。その時は…。」

 

言い終わる前に沈んでしまった。

 

「うっ…うっ…うぁ…。」

 

ビスマルクは涙が枯れていた。提督、そしてグラーフ…。心の支えを失ってしまったのだ。生きる希望を失ったのだ。

 

「…ハヤクイキナサイ!!!」

 

渾が叫ぶ。

 

「ワタシヲウラミナサイ!フタリヲコロシタワタシヲ!!ツヨクナッテワタシニフクシュウシニキナサイ!!!ソレマデイキナサイ!イキテ、ワタシヲタオシナサイ!!」

 

「うっ…うっ…うぁぁぁぁぁぁ…!あぁぁぁぁぁぁ…!」

 

ビスマルクは渾を背に、行った。

 

「グギャァ…。」

 

「…イイワネ。テヲダシタラユルサナイワヨ。」

 

渾は深海棲艦に言いつけた。

 

…………

パラオ泊地

 

「…なんて、ことがあったの…。」

 

「……。」

 

ビスマルク中将が言う。

 

「…さっきのレーベって艦娘も、病気で提督を失っているの。…だから、この鎮守府には人間の提督がいないの。失いたくないから…。失うのが怖いから…。」

 

ビスマルクは丸くなり、体を縮こませる。そして、少し震えていた。

 

「…ビスマルク中将…。」

 

ドミナントが声をかける。

 

……ビスマルクさん…ジナイーダに生い立ちが似ている…。だから、あの時すぐに察することができたのか…。

 

ドミナントは思う。そして…。

 

「ビスマルクさん…俺はお前の昔のことに興味はない。」

 

「……。」

 

「人生なんて…結局、誰だって後悔だらけ。それの何が悪い。」

 

「…ありがとう。大佐。」

 

「…まぁ、俺の知っている者の受け売りの言葉だが。」

 

ドミナントはビスマルクに自分の提督服を羽織らせる。

 

「それに、その提督、絶対に幸せ者でしたよ。」

 

「…どうして…?」

 

「だって、死んでも尚、こんなに想い続けてくれる人がいるんですから。」

 

「……。」

 

「それに、グラーフさんも絶対、どこかにいます。」

 

「なんでそう言い切れるの…?」

 

「…何ででしょうね…。勘ですよ。ただの。」

 

「勘…。」

 

「はい。勘です。ポジティブに生きないと、この先生きのこれませんよ?…紅茶です。リラックス効果のある。」

 

「…danke(ありがとう)….」

 

ビスマルクは紅茶を飲む。

 

「熱い…。」

 

「身体が温まれば、自然と心にゆとりが出来ます。」

 

「…ん。」

 

ビスマルクは紅茶を飲む。少しずつ、悲しい気持ちが薄れてきた。

 

「ビスマルクさん。一人で抱え込まないでください。あの話を聞いた以上、聞いた自分にも責任があります。寂しい時や、悲しい時は必ず連絡してください。夜の2時でも受け付けます。その時の悪夢を見て、すぐに連絡してきても良いです。…あなたの仲間はその提督と、グラーフさんだけじゃないんですから。」

 

ドミナントは笑顔を見せる。その時、ビスマルクの目に、亡き提督の面影が重なった。

 

「…ありがとう…。本当に…。」

 

ビスマルクは紅茶を持ったまま、また泣き始める。

 

「ちょ、泣かないでくださいよ…。ジナイーダに見られたら…。」

 

ドミナントが慌てて言うが…。

 

ゴゴゴゴゴゴゴゴ

 

「ハッ!?」

 

…………

ドコカノウミノウエ

 

「…!」

 

ソロモンがいきなり反応する。

 

「…ドコカデ…ナニカ…。ナツカシイオモイデ…。…ビスマルク…。アナタナノ…?」

 

ソロモンは、一人呟くのだった。




ソロモン…。コン…。

登場人物紹介コーナー
トクニナシ。

「長門コーナーだ。」
「今回は…私ですか。」
「でたな。物語の提督。」
「は、はい。」
「ビスマルクの夫。」
「その話はやめて…。」
「そうか。…もう故人なのだな…。」
「はい。筆者?と呼ばれる人の降霊術でいます。」
「なら、幽霊なのか?」
「幽霊…かどうかはわかりませんけど、まぁ、そんな感じです。」
「そうか…。」
「はい。…ビスマルクとはあまり良い思い出作れなかったな…。もっと早くにケッコンをしていればなぁ…。」
「……。」
「何も残してあげられなかったよ…。グラーフは元気かな?ビスマルクも、新しい提督とうまくやってるかな?」
「……。」
「まぁ、ビスマルクを取られちゃうのは嫌だけどね…。はは…。」
「…大丈夫だ。二人は元気だ…。ビスマルクもグラーフも新しい提督と元気にやっていけている。」
「そうなの?そうなら、嬉しいんだけどね。」
「ああ。それに、ビスマルクは取られない。そう断言できる。」
「どうして?」
「ビスマルクは、お前が死んでも尚、思い続けている。お前は幸せ者だよ。」
「本当?嬉しいなぁ。大決戦が終わって、みんな無事だったら、どこかの遊園地や、動物園、ピクニックに行きたかったなぁ…。」
「…後悔するようなことを言うな。」
「ごめんよ。」
「…私の知り合いに亡霊がいる。…多分、今もどこかを彷徨っていると思うが…。そいつはなるべく後悔しないようにしていたぞ。」
「へぇ。その人、カッコ良いね。参考にしようかな?」
「それが良い。」
「あと、私を励ましてくれようとしてありがとう。」
「別に良い。」
「そろそろ次回だね。冥土の土産に次回予告しても良いかな?」
「構わん。」
「…次回、第166話「このザワークラウト絶品だな」ですね。タイトルが変わったことは、この場の内緒です。」
「そうだな。」
バァン!
「提督!」
「!?ビスマルク!?」
「おぉう…。筆者め。再会を許したな…。死人と現世の人との接触は避けろと言っていたのに…。」
「提督…!」
「ビスマルク。久しぶり。」
「うぅ…ひっく…。」
「泣かないでくれ…。それに、もう時間もない。言いたいことが山ほどあるだろうけど、短くまとめられるかな…?」
「やっぱり…あなたなのね…。人の気持ちも考えられないその言い方…。グスッ…。」
「そんな感じだよ。常に。」
「そうね…。グスッ…。…私、あなたのことを忘れない…。あなたが死んでも尚、愛し続けるから…。ひっく…。必ず、必ず生まれ変わって、私に会いに来なさい…!今まで甘えられなかった分、取り戻してやるんだから…!」
「…ビスマルク…。」
「…ああ。必ずね。」
「ひっく…。グスッ…。」
「もう時間が間近だね…。最後に、ビスマルクに一言だけ…。」
「…?」
ガバッ
「提督の魂は…常に君と共にある。悲しむことはない。また会える。…だから、希望を持って生きるんだ…。」
「ええ…約束する…。ありがとう。」
スゥ…
……
「…抱きしめて、言いながら消えていったか…。」
「…長門、ありがとう…。」
「別に良い…。…生きろよな。」
「ええ。約束守らなくちゃね…。」
「そうだ。」

後書きが必要かどうか

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  • たまにいる
  • いる

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