ACの愉快な仲間たち(一部)と一緒に艦これの世界に来てしまった…   作:とある組織の生体兵器

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血が滾ってきた!
「ど、どうしたんだい…?」
艦これやACのbgmを聴いていたら疼いてしょうがない…。
「相当な戦闘狂だね…。」
まぁ、この小説も大概だけどね。
「そうかもね…。」
通常じゃ絶対に倒せない強大な敵たち…。裏で暗躍する影…。名もなき過去の英雄たち…。オーバーテクノロジー…。…ロマンじゃない?
「…よく分からないな…。」
まぁ、これらが一旦終わった後は普通のイベントとか史実に関係するように直して行くんだけどね。
「へぇ〜。…でも、いつになるのかな…?」
さぁ…。1年後は確定だね…。今から毎日投稿しても1年はかかる…。最終編を書いていて気づいたよ…。…ナニコノカズってね…。
「どれだけ書いたのさ…。」
最終編を少しだけ一般公開出来るくらい。
「よく分からないな…。…ところで、深海棲艦が主役のゆるゆる小説は…。」
あれは嘘だ。
「えぇ!?」
ここは叫ぶところだけど…。
「本当?」
いや?本当は出来てる。でも、ある程度話数を完成させてからじゃないと詰む…。
「溜め込みすぎじゃないかな…?」
しょうがない。案がうじゃうじゃ出てきたんだから…。
「デート編は?」
死んだ。…と、そろそろゲストを紹介…。出来ないんだったな。シグレン。頼むよ。
「ま、また僕…?」
うん。アシスタントの特権。君にはあらすじをやる権利と義務がある。
「わ、わかった…。」

あらすじ
前回、長門さんがウキウキしていたような…がっかりしていたような…。


237話 吹雪との寧日

…………

翌朝

 

「…きつい…。」

 

ドミナントが机の上で手をブランとさせて頬を机につける。やる気なさが見るだけで伝わっている。

 

「…今日はブッキーだっけ…?それとも天龍…?」

 

ドミナントがもうどうでも良さそうに呟いた。

 

……いっそのこと逃げちゃおうかな…。いや、でも逃げたら逃げたでまた大変なことに…。いつもの心優しいセラフが鬼になって俺を探すと思うし…。約束破ったら殺されるし…。

 

ドミナントが机の上で悶々としている。

 

……吹雪たちに正直に話そうかな…。てか、もうなんでも叶う券とか廃止にしようかな…。褒美もこれだと身が持たない…。実際、深海棲艦を倒すよりもキツいし…。命の危険がないだけで、とても重労働…。報酬を貰わないとやっていけないくらい…。…でも、実際、吹雪の持っている元帥発行の券には逆らえないし…。天龍も、吹雪が勝手に承諾したけど、入れ替わっていたとバレたら混乱するから行かなきゃだし…。

 

そんなことをずっと考えていると…。

 

「しれーかんっ。」

 

「うお…。吹雪か…。」

 

吹雪が顔を覗いてきた。

 

「すごく疲れ切った顔ですね…。」

 

「ああ…。この連続する日々が終わったら数日間休暇を取るぞ…。滅多に使わない有給まで使ってな…。部屋に引きこもる。」

 

「たまには外で運動とか…。」

 

「運動なんてしたら死ぬぞ!みんな死ぬ!」

 

「なにを言っているんですか…。それより、早く行きましょう。」

 

「…どこへ…?てか、プラン練るの忘れてた…。」

 

「司令官は忙しいと思いましたので、私がプランを立てておきました。司令官は今日は休んでください。」

 

「……。」

 

……吹雪…。めちゃくちゃ良い子じゃないか…。

 

ドミナントはテキパキとしている吹雪を見ながら思う。

 

「…ところで司令官。」

 

「なに?」

 

「今日疲れているのなら、外じゃなくて鎮守府にしますけど…。どうしますか?」

 

吹雪が言う。その顔は心底心配そうな顔だ。

 

「…大丈夫だよ。ちょっと重労働に感じただけ。」

 

「それなら、ダメですね。」

 

「え…。」

 

「はぁ…。司令官。そういう、女の子からデートに誘われた時に重労働とか思っちゃダメなんです。もっと言えば、面倒とも微塵も思っちゃいけないんです。」

 

「……。」

 

「折角苦労して誘ったのに、重労働とか思われていると感じたら本当に悲しみますよ?無理矢理連れてこられている感を出した瞬間、女の子は楽しくなくなります。むしろ、迷惑だったと考えて自分を責め立ててしまいます。それを言うなら、金剛さんとか涼風さんとか元気の良い艦娘はとても気付きにくいです。何も気にしてないように見せて、実はとっても悲しんでいたりする、心の奥底にしまって空元気を出して装うタイプです。」

 

「……。」

 

吹雪に言われて、ドミナントが思い出す。金剛と1日を過ごした時の帰り際だ。実際、金剛があの顔をしなければ全く気づいていなかっただろう。

 

「…すまんな…。」

 

ドミナントが少し考えて、謝る。

 

「別に大丈夫です。」

 

「そっか…。」

 

ドミナントが机から身を起こした。

 

「吹雪の話聞いてたら疲れ切っていた俺の心が少し楽になった。ありがとう。」

 

「いえいえ。」

 

吹雪が笑顔になる。

 

「ゆるゆるだね。」

 

「こういう、たまには平和な日常があっても良いですよね。」

 

2人が笑顔になって、ほのぼのする。

 

「…ところで司令官。」

 

「なに?」

 

「思ったんですけど…。ヒゲって剃っていますか?」

 

「まぁ、たまにね。」

 

「だから老け顔なんじゃないでしょうか?」

 

「なんか失礼だぞ…。吹雪…。」

 

ドミナントが苦笑いをする。

 

「そうだっ!司令官!暇なら剃りに行きましょう!」

 

「え…。でも今日…。」

 

「いいから!」

 

「…はい。」

 

吹雪に手を掴まれて、洗面所へ行かされる。そして、ドミナントは髭を剃った。

 

「…これで満足?」

 

「……。」

 

「…吹雪?」

 

吹雪はじっと、ドミナントの顔を見ていた。

 

「おーい。」

 

吹雪が固まったままのため、ドミナントが手を振ってみたり、おでこに手を当てたりする。

 

「…ふぇっ!?し、司令官!?」

 

「やっと目が覚めたか。」

 

「は、はい…。」

 

ドミナントが言い、吹雪がしどろもどろしながらも返事をする。

 

「…司令官が老け顔じゃない…。」

 

「そりゃ、髭を剃ったからな。」

 

「とても若く見えます…。いつもなら、髭のお陰で少し慣れてきたベテランに見えますが、こちらは若手優秀ルーキーに見えます…。」

 

「髭を剃っただけでそんなに変わる?」

 

吹雪がドミナントの顔をじっと見ている。

 

「…変?」

 

「い、いえ!そんなことありません!」

 

……何というか…。今までは気の良いおじさん要素がありましたけど、これはダメです…!その要素が無くなったせいで、恋人要素が…!

 

吹雪は顔を赤くして悶々する。そこに…。

 

「あっ、おい提督〜。ここにいたのか…て、誰だ!?」

 

振り向けばそこにいたのは天龍。警戒心丸出しだ。

 

「俺だ…兄弟。」

 

「誰だ…?」

 

「ドミナントだ。」

 

「提督はそんなに若くねぇ…。若くても老け顔だ…!浅ましい嘘をつくな…!」

 

「いや、本当なんだけど…。てか、老け顔で認識してるのね…。お前たちは。」

 

ドミナントが苦笑いした。

 

「て、天龍さん…。司令官です…。髭を剃っただけです…。」

 

「…え…?」

 

天龍がマジマジとドミナントの顔を見る。

 

「…そんなに見られると恥ずかしいのだが…。」

 

「…紅茶…。」

 

「あん?」

 

「標高400から500、ある地方の名前、苦味も香りもあまりなく、さまざまなバリエーショ…。」

 

「キャンディ?」

 

「…提督だな。」

 

ドミナントが即答して天龍が確信する。

 

「答えは知らねぇけど、即答したってことは提督だ。ただの人間なら数秒は悩むはずだ。」

 

「紅茶に詳しかったらそいつが提督なのかい…。」

 

天龍がやれやれとして、ドミナントがツッコミを入れる。

 

「ところで、何か用だったのかい?」

 

「おう。実はよ。明日出かけるだろ?」

 

「そうだっけぇ?」

 

「そうだ。明日どうすんだって話だ。」

 

「明日…ねぇ。今夜ゆっくり考えるよ。」

 

「今夜かよ…。」

 

「仕方ないじゃん。一応、今日はブッキーと過ごす予定だし。」

 

「…は?」

 

「いや、今日はブッキーと…。」

 

「前セラフから断られたのは他の女の方が良かったからなのか…?」

 

「いや、そんなわけな…。」

 

ドミナントは、ふと視線が気になり、窓の外を見た。龍田が覗いていた。

 

「…そんなわけないじゃん。」

 

龍田が怖い笑顔をしている。

 

「いいかい、天龍。ブッキーは実はな、5日くらい前に約束していたんだけど、色々あって今日になっちゃったんだ。その前にも色々限定とか、日にちが決まってしまっているものを要求されてさ。だから、天龍の約束も後の方になったんだよ。誰が良いかなんて、順位つけられないし。みんな大事だし、みんな好きだから。」

 

ドミナントが天龍の頭を撫でながら言う。

 

「だから、明日まで我慢。…出来るかな?」

 

「…ぉぅ…。」

 

「そう。天龍は偉いね。とても優しいよ。」

 

「ったりめーだろ…。俺が1番強いんだからよ…。」

 

……頭撫でてもらって、嬉しそうに目を細めながら言ってるよ。…可愛いなぁ。

 

ドミナントは癒しを求めて、数分間ずっと天竜を撫でていた。

 

…………

 

「司令官、そろそろやめてあげないと…。」

 

「?お、おう。そうだな…。」

 

ドミナントは天龍を撫でるのをやめた。天龍は気持ち良すぎてボーッとしたままだ。

 

「じゃ、天龍。また明日。」

 

「それでは…。」

 

ドミナントと吹雪が去る。そして、数分後…。

 

「…ハッ!?お、俺は一体…。」

 

「提督ならとっくに行っちゃったわよ〜。うふふっ♪」

 

「…そうなのか…。」

 

天龍は残念そうに言った。

 

…………

 

「ブッキー。」

 

「はい。」

 

「今日どこにも行かないの?」

 

「う〜ん…。」

 

吹雪が悩んでいる。

 

「…たまには…。夕食だけ外で食べに行きませんか?」

 

「おっ、いいね。それ。じゃ、夜ご飯いらないってセラフに伝えておくよ。」

 

「はいっ!」

 

吹雪が嬉しそうに頷く。

 

「…それにしても、暇だねー…。」

 

「…たまには安心した日も良いじゃないですか。」

 

「…まぁ、忙しいより暇な方が良いか。それに、国を守る俺たちが忙しい世の中じゃ駄目だしな。」

 

「忙しかったら、毎日戦争が激化している証拠になっちゃいますからね…。」

 

「ね。」

 

ドミナントと吹雪は机の上でトランプを広げる。

 

「…もう1人くらい呼ぶ?」

 

「2人だけだと流石にですし…。」

 

吹雪が微妙な顔をして、携帯を出してLENIする。

 

「吹雪型の皆さんでも呼びますか?」

 

「お、おう…。それはやめて…。」

 

「なら、時雨さんとか…。」

 

「何故時雨…?」

 

「主人公仲間です。」

 

吹雪がLENIをして数分後、時雨が来て神経衰弱をした。艦娘である吹雪たちは情報の重さを理解している。もちろん、元社畜のドミナントも理解しているが、艦娘ほど活用したことがない。つまり、ドミナントは最下位になった。

 

…………

 

「最下位ってろくなことがないな…。」

 

「「ごちそうさま(です)!」」

 

「へいへい。」

 

3人は間宮さんのお店にいる。餡蜜を奢らされたのだ。

 

「あら、提督。お久しぶりです。」

 

「間宮さん。お久しぶりです。」

 

2人とも深々とお辞儀をする。

 

「伊良子の姿が見えませんが、いずこに…。」

 

「今日はお休みです。ちなみに、今夜の酒保は『居酒屋鳳翔』となっております。」

 

「おぉ…。鳳翔さん。」

 

話に割って入ってきたのは鳳翔さんだ。

 

「今までお目にかかりませんでしたので…。」

 

「そうですね。初めて話した気がします。」

 

「提督が酒保へ来てくださったのは、丁度私がお休みの時だったので…。」

 

「そうなんですか〜。」

 

ドミナントは真面目に話を聞いた。

 

「提督は今日…。」

 

「すみません…。今日は吹雪と先約がありまして…。」

 

「そうですか…。では、また今度いらしてください。」

 

「必ず行きます。」

 

鳳翔さんは会話した後、店の奥の部屋へ行った。

 

「少しガッカリしていましたね…。」

 

「…でも、あまりお酒は得意じゃなくて…。」

 

「それは知っています。」

 

ドミナントがバツの悪そうな顔をした。

 

「お酒…飲むとね…。」

 

「どうなるかご存知です。」

 

「司令官が酔うと、陽気になって一人一人の良いところを包み隠さずにストレートに言うじゃないですか。しかも人によっては大胆になって、少し強引になったりするじゃないですか。」

 

「提督はなんだか、僕たちの弱点を突くのがうまいからね。」

 

「そんなつもりはないのだが…。」

 

皆がやれやれとする。

 

「さてと…。皆食べ終わったみたいだし、そろそろ店の邪魔になるから行くか…。」

 

ドミナントが立ち上がる。吹雪たちは餡蜜を食べ終わったところだ。

 

「久しぶりに娯楽室に行くか…。」

 

「そうですね!」

 

「僕は用事があるから…。」

 

お会計を済ませながら3人が言う。時雨は用事があるらしく、一人で部屋へ戻って行ってしまった。

 

…………

娯楽室

 

「この時間に誰もいないなんて珍しい…。」

 

「本当ですね…。」

 

吹雪が周りを見渡す。誰もいない。いつもは賑わっていてうるさいくらいなのにだ。

 

「…あっ、そうか。今日は主任の演習日だ。」

 

「あー…。て、ことは知らずにここに来た艦娘たちは全員連れられて…。」

 

「ま、一応今日は吹雪とデートみたいなものだからね。この広い空間を自由に使うか。」

 

ドミナントがテレビの前の座布団に座る。

 

「吹雪も隣に…。」

 

「はい。」

 

「…て、またそこ?テレビ見れないんだけど…。」

 

吹雪はまたドミナントの膝の上だ。

 

ピッ

 

『深海棲艦による目撃情報が例年よりも少なくなり、生物的にも数が減少しているのではないかと言う声が…。』

 

「例年より少なくなって、暇で良いですよね。」

 

「まぁな。」

 

ニュースを見て、2人がそんな感想を述べた。が。

 

「でも、引っかかるよね…。」

 

「何がですか?」

 

「いや…。いくら秘密にしているとはいえ、ミッドウェー、渾がいたんだよ?」

 

「まぁ…。」

 

「それで目撃情報が少ない…。おかしいよ。あんな化け物が一斉に動き出したんだよ?今まで無かったのに。深海棲艦たちも大騒ぎで目撃情報が増えるはずなのに、逆に減っている…。おかしすぎやしないか?」

 

「…そうですね…。」

 

「レイヴンの勘だけど…。今にとんでもないことが起きる気がする。」

 

「……。」

 

ドミナントがそんなことを言う。いつもなら、笑って気にしないはずのドミナントが怪しんでいる。

 

『あいつら何か企んでいる気がするんだよね。なんて言うか…。静かすぎるんだよ。嵐の前の静けさって感じ。』

 

吹雪はふと、佐藤中佐の言葉を思い出した。彼女も元レイヴンだ。

 

「……。」

 

そう思うと、今まで気にしなかった…わざと気にしないようにしていたが、改めて実感する。すると、嫌な胸騒ぎがして止まない。

 

「…これから、どうなるんでしょうか…。」

 

「…武蔵が言うには、まだまだ幹部がいるらしい。攻めてくるだろうな。俺たちは1人を沈めて、もう1人を沈める手伝いをした。相手からは要注意鎮守府だと認識されているだろう。残りの幹部たちを引き連れて一斉に叩いてくるかもしれない。」

 

「そうなったら…どうなってしまうんでしょうか…?」

 

「さぁね。ま、俺の言ったことはあくまでも、俺の思惑。相手がそうするとは限らない。…まぁ、下手に挑んで数を減らされるより、一斉に叩いた方が確実に潰せるからね…。俺ほど用心深かったらそうなる。…まぁ、そう来ても対処できるようにしなければいけないけどね。課題だよ。俺たちの。」

 

「……。」

 

「何、心配するな。相手も俺たちをよく知らないから、下手に動けない。それと同様、俺たちも相手のことをよく知らないから動けない。情報戦だよ。まずは。…でも、2年前の敵幹部のデータはこちら側に存在する。相手は不利な状態から戦うようなものだ。」

 

「司令官は相手の弱点を…。」

 

「知らない。知ってたらこんなに苦労しない。」

 

「…ですよね…。」

 

「まぁ、俺はあくまでも提督。恐怖というのはとても大事だ。勝手な恐怖で相手が争いに来ないのなら、それで良い。俺たちもわざわざ潰しに行く必要がない。死ぬかもしれない戦闘は避けるのが1番。他人から情けないとか言われてもね。でも、どんなに反感を買っても自分がそれで良いのなら、そうする。好きなように生きて、好きなように死ぬ。それが、俺らのやり方だから。」

 

「……。」

 

吹雪は口元を緩ませて、心底、司令官は司令官だなと思った。

 

…………

夕方

 

「……。」

 

ドミナントが珍しくスーツを着ている。

 

コンコン…ガチャ

 

「司令官、そろそろ…。」

 

吹雪は、ドミナントのスーツ姿を見て戸惑う。

 

「吹雪か。そろそろ行ったほうが良いな。」

 

「え…えと…。」

 

吹雪は自分の服装を見る。一応出かけるようの服そうだが、少し味気ない。市販の、カジュアルな服装。

 

「す、少し待っていてください!」

 

「?」

 

バタンッ!

 

タッタッタッ…!

 

吹雪は急いで着替えに行った。

 

「…スーツは似合っていなかったか…?」

 

鏡を見て呟くドミナントだったのだ。

 

…………

吹雪型の部屋

 

「ない!これもダメ!うう…!」

 

「ど、どうしたの…?」

 

吹雪が服で部屋を散らかし、白雪が聞く。寝ていた初雪は吹雪の出した服に埋まってしまっていた。

 

「大人っぽい服知らない!?」

 

「お、大人…?」

 

突然言われて戸惑う白雪。

 

「大人…て、吹雪ちゃんまだ子供でしょう。」

 

「司令官がスーツなのに、私がこれじゃ…。」

 

「スーツ?あの司令官が?…はぁ…寝言は寝てから言いなさい。」

 

「ひどい!本当だよぉ!」

 

「第一、スーツを着てしまうとより年寄りっぽく…。」

 

「髭剃ってるから!今!司令官!」

 

「髭…。…司令官の髭がない感じが想像できません…。」

 

「皆んな髭で判断してない?」

 

白雪が考え込み、吹雪が色々服を出す。

 

「…仕方ないですね…。吹雪ちゃん。」

 

「?」

 

「これ着ていきなさい。」

 

「これは…。」

 

「最近ファッションブックに載っていた物よ。」

 

「貸してくれるの…!?」

 

「はい。…でも、ちゃんと返してね。」

 

「うん!ありがとう!」

 

吹雪は急いで着替えて、走っていった。

 

「…やれやれね。吹雪ちゃんも気になる年頃になっちゃうとは。」

 

白雪がやれやれとして、出ていこうとしたが…。

 

ムギュッ!

 

「きゃっ!」

 

「ふぬぅ!?」

 

初雪を踏んでしまった。白雪はすっ転び、初雪は丁度溝に入ったようで悶絶していた。

 

「もぅ〜!吹雪ちゃんが帰ったら説教しなくちゃいけませんね!」

 

「…!!??」

 

白雪は吹雪の服をしまいながらぶつぶつ呟いた。初雪は全て片付け終わるまで悶絶していた。幸い、身体の重要な部分にダメージは入らず、夕食までには何とかなっていた。

 

…………

 

ガチャ!

 

「司令官!」

 

「うおぅ…。ブッキー…。どうした?そんな服着て…。かわいいぞ?」

 

「ありがとうございます!…て、司令官こそどうしてスーツを…?」

 

「そりゃ…。ブッキーのような可愛い子と隣に老け顔のよれよれシャツ着たおっさんが楽しそうに会話していたら、間違いなく事案発生だからな…。」

 

「そんなわけないじゃ無いですか。」

 

「いやいやいや…。このご時世、世知辛いからね…。」

 

「……。」

 

ドミナントが儚げに言い、吹雪が微妙な顔をした。

 

…………

レストラン [大蕐]

 

せっかくだから、ドレスコードのお店来たけど…。

 

お値段が高いですよ…。

 

2人は意外とお金のかかるメニューを見てこそこそ話す。

 

しかも、周りがもうマナーが完璧…。プレッシャーだよ…。

 

吹雪と周りを見てみる。黒服の男性や、ドレスの女性が音を出さずに黙々と食している。そんなこんなをしているうちに…。

 

『お待たせいたしました。』

 

料理が来る。

 

……一皿いくらだっけ…?

 

……マナーは完璧に…。

 

2人がもう硬直。2人とも落ち着かなくて大変なのだ。

 

「「……。」」

 

2人はナイフとフォークを持ったまま、数分間手をつけられなかった。

 

…………

帰り

 

「大将、ラーメン麺を硬めにして野菜マシマシで。吹雪は?」

 

「あっ、私は脂っぽいものはちょっと…。野菜を多くしてください!あと、餃子を一皿お願いします!」

 

『はいよー!』

 

結局、ドレスコードで食べていたが、味も分からずあまり食べることが出来なかったため、ラーメン屋に寄っている。

 

「いや〜…。やっぱダメだね。ああいうの。」

 

「そうですね。私も少し緊張して…。」

 

「俺は騒ぐ系の方だからね。静かで肩肘張って、いちいちマナーに気をつけなくっちゃいけないとか…。たしかに、大事だと思うけどやりすぎは逆に楽しむことが出来ないからね。」

 

ドミナントが割り箸を吹雪の分まで取ってあげると…。

 

『へい!お待ち!』

 

「来たな。」

 

「わ〜!」

 

吹雪がラーメンを見て、目を輝かせる。

 

「じゃ、今日も1日頑張った!」

 

「はい!」

 

2人が手を合わせて…。

 

「「いただきます!」」

 

2人は店主の前で料理を美味しそうに食べたのだった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

…………

???

 

「オヨビデショウカ…?」

 

???がこうべを垂れて言う。

 

「…現在の状況は?」

 

???が???に言う。

 

「ゲンザイ、『コン』ト『ミッドウェー』ガヤラレテオリマス。」

 

「そう…。ミッドウェーの後釜は?」

 

「ハッ。コウホハオリマス。」

 

「そう。」

 

「シカシナガラ…。『ダイヨンサセボチンジュフ』ヲケサナイカギリ、ワレワレノショウリハムズカシイカト…。」

 

「分かっている。先ずは第4佐世保鎮守府を潰さないとね…。」

 

「ソウナレバ、コノヨウナサクセンハイカガデショウ…?」

 

「どんな?」

 

「チンジュフニドウシヲオクリコミ、ソトトナカカラコウゲキヲスルノデス…。」

 

「なるほど…。良い作戦だ。」

 

「ハッ。オホメニアズカリ、コウエイニゴザイマス…。」

 

「幹部たちの動きは?」

 

「サホドウゴキハナイカト…。」

 

「そう。なら話は早い。私の直属の部下2人を行かせようか。」

 

「イエ、アナタサマノシモベガデルマクモアリマセン。ウゴイテイナイカンブニイカセマス。」

 

「そう。なら、今回ダメだった場合、私の直属の部下を1人送る。勝利は確実に…だ。」

 

「ハッ。キモニメイジテオキマス…。」

 

「行け…。そして、勝利を我々に…。」

 

「ショウリヲワレワレニ…。」

 

???が消えた。

 

「…提督ー…。部下1人ッテ、誰ヲ送ルンダ?」

 

「そうだね…。この子を送るよ。最終的にどんなになるかが楽しみだし。」

 

深海提督が近くの窓辺で気配を完全に消していた??に言う。深海提督は脈打っている、黒い塊を手に持ち、下に落とした。すると…。

 

「ギュルル…?GLUルル…?」

 

それがイ級に変わった。

 

「さて、私の左腕になる直属の部下…。君はどんな怪物になるのかな?」

 

「?」

 

深海提督はそのイ級に向かって、不敵な笑みを浮かべた。




暗躍者がもう1人…。
相手の悲しい気持ちに気づけるようになりないなと…思います。

登場人物紹介コーナー
大蕐…大手食品メーカーの会社。一応、高級レストランも運営している。どこかの企業と似ているが気の所為である。
ブッキー…ふぶっきー。元ネタは金剛。
スーツ…ドミナントの幻のスーツ姿を見たのは吹雪が初めてである。

「長門コーナーだ。」
「吹雪です!よろしくお願いします!」
「吹雪か。」
「はい。」
「今回は艦の紹介をするか?まだやっていなかったはずだから…。」
「分かりました。ワシントン条約制限下で設計された、世界中を驚愕させたクラスを超えた特型駆逐艦の1番艦、吹雪です。私たちは、後の艦隊型駆逐艦のベースとなりました。」
「当時の列強海軍に衝撃を与えたらしいな。」
「はいっ!その後も、さまざまな戦いに参加しました。当時、私の名前は『第三十五号駆逐艦』と言う名前だったけど、改名されたんです。」
「様々な戦いか…。」
「あっ、あとそう思ってみれば、神州丸さんに魚雷が誤射された時、最初は私のせいにされたけど、実は最上さんだったと言う濡れ衣も着せられたっけ…。」
「笑っていいのか悪いのか微妙なラインを言うな…。」
「実は、もっと前に深雪ちゃんは電ちゃんと衝突して沈んじゃったっけ…。」
「よく鎮守府で衝突していたのはそれが原因か!?」
「衝突しているんですか…。あと、私が沈む時のワレアオバ事件ですね…。」
「…あれか。」
「別に、青葉さんに恨みとかはありませんよ?あの海域では敵が見えず、誤射するのはよくありましたし…。単純に不運だったと思います。…でも、艦長や大切な人たちを守れずに私は…。」
「吹雪、言うな。仕方のなかったことだ。それは誰もが同じだ。それを乗り越えて、私たちはここにいる。次は守れば良い。…提督もそう言っていた筈だ。」
「はい…。」
「そうだ。次は守れるさ。私たちはあの時よりも何倍も強くなった。次は深海棲艦。勝てるさ。」
「はい…!」
「よし、なら次回予告だな。吹雪、やってみろ。」
「はい!次回、第238話『天龍との佳日』ですね。」
「また天龍か。…そうだ、提督が言っていたな…。天龍可愛がり隊がどうとか…。」
「何ですか?それ…。」
「さぁ…。」

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