ACの愉快な仲間たち(一部)と一緒に艦これの世界に来てしまった…   作:とある組織の生体兵器

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第261話 北方棲姫

…………

 

「いででででで!」

 

「ガルルルル…!」

 

あれから、毎日薬を塗ってあげている。3日目だ。そして、腕を引き剥がす。

 

「スッゲーいてぇ…。昨日も一昨日も噛まれているから、治るどころか悪化しているな…。」

 

ドミナントの手の噛まれたところは赤ではなく、紫色に変化していた。

 

「そろそろ傷も治ってくるかなぁ…?…食事は投げないようになってきたけど、全く食べないし…。」

 

…………

四日目

 

ドミナントが家を広げようと、木を切って帰ってみると…。

 

「ウゥ…。」

 

なんとか、ここから逃げようとよろよろ足を引きずりながら行こうとしていた。

 

「おいおい…。まだ治ってないんだから無理するな…。」

 

ガブッ!!

 

「いってぇぇぇ!」

 

手を貸そうとしたら噛み付いてきた。しかも、腫れているところをピンポイントにだ。激痛が走る。

 

「この…!」

 

ドミナントは叩こうとしたが、その子が丸くなって、頭を手で守って、目をギュッと閉じていた。

 

「……。」

 

それを見て、気が失せてしまった。

 

……いかんな。いかん…。この子はまだ幼い少女だ…。それに、俺が勝手に連れてきて、勝手にしているんだ。この子の反応が普通だ。知らない人に軟禁もどきされているんだ。そりゃ噛み付かれる。

 

ドミナントは首を振り、彼女が正しいと思う。

 

「…だが、このままだと治る傷も治らんな。」

 

ドミナントは噛みつかれるのを覚悟で、背負う。

 

ガブリ!!

 

「いってぇけど…!まだ手じゃないだけマシだ…!」

 

ドミナントの背中に噛み付いた。そして、急いで家に入り、寝床に下ろす。

 

「ジャマスルナ…!」

 

「俺はお節介焼きなんでね。おー痛い…。」

 

そして、毎回噛まれながらも傷薬を塗ってあげる。

 

…………

5日目

 

その日、少し変化が起きた。

 

カプッ!

 

「…?」

 

「……。」

 

いつもは思いっきり噛んでくる彼女だが、この日は試すように優しく噛んでいた。だが、それでも十分に痛い。

 

「痛くない、痛くない…。」

 

肌に触れると少し強めるが…。

 

「はい、終わり。」

 

「……。」

 

スッ…

 

すぐに噛むのをやめる。

 

「…あと少しで動けるくらいにはなるよ。」

 

「……。」

 

ドミナントは幼い子に言い聞かせるように言った。その日の食事は全く手をつけなかった。

 

…………

8日目

 

「薬の時間だよ。」

 

「……。」

 

「…あれ?」

 

噛み付かなくなった。

 

ヌリヌリ

 

「大丈夫だよ〜。」

 

「……。」

 

染みるのが痛むのか、少し噛みつこうとしてくるが、噛み付いてはこない。

 

「はい。終わり。明日くらいには動けるんじゃないか?」

 

「……。」

 

「はい。ご飯。」

 

ドミナントはコンビニおにぎりを渡す。投げつけられてもいいようにだ。だが…。

 

ガサガサ…パクッ

 

「!?」

 

「……。」

 

食べたのだ。初めて。

 

「まだおかわりあるよ…?」

 

ジーーー…

 

「……。」

 

「はい。」

 

ドミナントが渡す。そして、一定の量を食べたあと、寝転がる。

 

「…昔々、あるところに…。」

 

「!?」

 

突然始まったおとぎばなし。その子は突然のことでめちゃくちゃ驚いている。

 

「驚いた顔をしてるね。…ここだけの話、実は俺、本当の子供が出来たらこうやって話を聞かせたくてさ。」

 

「フン…。」

 

ドミナントは言うが、興味もなさそうに向こうを向く。

 

「…まぁいいや。そして…。」

 

結局、ドミナントは一人でやった。

 

…………

10日目

 

……?

 

ドミナントは気配を感じて、ふと、森の中で後ろを見る。

 

……ついてきてる。あの木の後ろにいる…。頭のてっぺんにある一本だけのアホ毛…?が木からはみ出てる…。可愛いな。

 

だが、ドミナントは気付かないフリをして歩き始める。

 

……やっぱり、ついてきてる。

 

見てなくても、足音などで分かるのだ。

 

……このままの生活を続ければ、打ち解けるような気がする…。そうすれば、うちの鎮守府に正式に招待できるな。

 

ドミナントはふとそんなことを考えながら歩いていると…。

 

「今日も買いに来たか?」

 

「あっ、ジャック。」

 

いつの間にか鎮守府の門の前だ。いつも薬を買いに来ている癖で来てしまったのだ。ちなみに、ドミナントが建てたボロボロの家と門は結構近い。徒歩3分だ。

 

「傷薬を頼む。」

 

「良いだろう。300円だ。」

 

「一回限りなのに相変わらず高いな…。足元を見るんじゃない。一応住まわせているんだから…。大家さんだぜ?俺は。」

 

「む…。なら、150円で良いだろう。」

 

「さっすがジャック。男前!」

 

「分かっているじゃないか。」

 

…守銭奴…。

 

「何か言ったか?」

 

「あっ、いえ。なんでもないです。」

 

ドミナントは毎度お馴染みの傷薬を買う。

 

「ところで…。」

 

「?」

 

「動けるようになっているじゃないか。」

 

ジャックは存在に気付いているようだ。

 

「まぁ、まだ動けるだけだよ。しっかり完璧に治さないと。」

 

「…とか言って、実は満更でもないんじゃないだろうな?」

 

「…いや?」

 

「艦娘たちはお前が出て行ってから士気がだだ下がりだ。遠征まで失敗続き、出撃すれば一回戦目でほぼ全員大破だ。代わりにジナイーダが提督を務めているが、仕事で悩ましている。それと…えーっと…。自称神はほぼ毎日ジナイーダを責めているぞ。」

 

「あいつ…。」

 

「仕方ないだろう。ジナイーダも、責める時以外はアホ毛がシナシナになって、トボトボ歩いてため息ばかりついて心配していることを知っている。いい加減可哀想だ。」

 

「戻りたいけどねぇ…。あの子を中に入れることは出来ないからねぇ…。敵意がないとわかったら、正式に招待する。そうすれば、全て丸く収まるからね。」

 

「…なるべく早くしろよ。遅かった場合はいつ自称神が爆発するかわからん。」

 

「なるべくね〜。」

 

ドミナントはそんな感じで行こうとするが…。

 

「少し待て。」

 

「?」

 

ジャックが呼び止める。

 

「…その腕の傷、治りがやけに遅いな。」

 

「そうか?」

 

「転んで打撲した訳ではないだろう。少し見せてみろ。」

 

「いや、良いよ。」

 

「…内出血をしているな。…噛み付かれたか…?」

 

「…いや?」

 

「噛み付かれた場所の肌が切っていた場合は他の菌が入り、繁殖する。…取り返しがつかなくなる前になんとかした方が良い。」

 

「大丈夫だ。…それに、もうお金も全然ないし…。」

 

「…そうか…。」

 

ドミナントはジャックに軽く手を振りながら、戻って行った。

 

…………

 

……あれ?いない。

 

ドミナントとジャックが話している隙に、何処かへ行ってしまったらしい。

 

……薬が無駄になったかなぁ…。まぁ、海に戻ったならそれで良いが、ここまでしたんだ。内出血に毎日噛まれてお金も使って…。道中怪我をしたらマジで怒る。

 

ドミナントはそんなことを思いながら帰宅する。

 

「やっぱり、出て行ったか。」

 

誰もいなかった。

 

「さてと…。俺も帰るか。…あれ?」

 

ドミナントが立ち上がったが、あることに気づく。

 

「艤装だ…。別名たこ焼き。」

 

艦載機を持つ。深海棲艦の物なので、とても禍々しい。飛行機とはとても思えない。ましてや飛ぶなんて…。投げつける用ではないかと疑問に思ったりする。

 

「…まぁ、そんなことはどうでも良いとして…。これがあるってことは海に帰ってないのか…?帰ってないってことは、まだ森の中にいるのか…。」

 

直に座りながら呟く。そして、ふと外を見る。夕方だ。

 

……外がオレンジ…。夕方か。…ん?待て。あんな小さな子が夕方まで帰ってこないってことはおかしくないか…?…野生動物…。…武器になる艤装はここにあるし。…怪我したらマジで無駄になる。行ってこよう。

 

ドミナントは気が気でなくなり、飛び出した。

 

…………

 

「おーい!どこだー?」

 

ドミナントは森の中を捜索する。日が沈み始めている。

 

「ちっくしょ…。日が完全に沈んだらアウトだぞ…!真っ暗な森の中、敵とは言えあんな子が一人でいるとわかったら心配する…!ましてや、10日ほど一緒にいた子だからなぁ…。」

 

森の中を走りながら、慌てながら呟く。

 

……こうなったら仕方ない…。AC化…!

 

カッ!

 

ドミナントがACになる。

 

「これで、敵だからあの子がロックオンされる筈だ。これを頼りに行こう。」

 

ドミナントは滅多にならないACで捜索する。太陽は沈み、目に見えるものは青っぽい。あと10分くらいで真っ暗だ。

 

…………

 

「グスッ…。」

 

一方、こちらは一人で森の中で泣きながら彷徨っている。

 

「イエノバショガワカラナイ…。」

 

どうやら、迷子になってしまったようだ。

 

「ブキモナイ…。」

 

泣きながら歩く。すると…。

 

ガサガサ…

 

ビクッ!

 

「フゴフゴ…。」

 

イノシシが現れた。

 

「……。」

 

突然のことで固まってしまう。

 

「コ、コナイデ…ッ!」

 

「!?」

 

突然声を出したことにより、イノシシが気付いてしまう。しかも、意外と近い距離だ。一方、近くにあった棒を前に出して、僅かな抵抗をしている。だが、イノシシが突進してきた。

 

「タスケテ…ッ!」

 

ガシャァァァン!!

 

そう呟いた途端、目の前に大きな鉄の塊が降りてくる。

 

「「!?」」

 

巨大な人形ロボットだ。

 

ジーーー…。

 

イノシシは一目散に逃げていったが、その子は恐怖で足が動かなくなってしまった。

 

ガタガタ…。

 

初めて見る恐怖の塊に、震えながら少し泣いていた。

 

「…やっと見つけた。」

 

「!?」

 

カッ!

 

ドミナントが人型に戻る。

 

「全く…。艤装もなしに帰る奴がいるか…て、うわっ!」

 

ガシィィ…!

 

「あ、あの…。腹が…苦し…。力緩め…て…!中身出ちゃう…!」

 

とても怖かったのか、ドミナントに抱きつく。

 

「コワカッタ…。グスッ…。ヨカッタ…。」

 

「あーあーあー…。提督服が鼻水と涙で…。…まぁ、無事で良かった。怖かったね。よしよし…。」

 

ドミナントはよしよししてあげる。

 

……敵でも、中身は幼い少女なんだな。そりゃ怖いよな。

 

よしよししながら思う。そして、しばらくよしよしした後…。

 

「で、どうしてこんなところにいるんだい?」

 

ドミナントが理由を尋ねる。

 

…………

 

「つまり、川で魚を取っていたら帰り道がわかんなくなっちゃったの?」

 

コクコク…

 

「……。」

 

ドミナントが聞き、泣きながら頷いている。

 

「そのとった魚も、多く取りすぎてバケツがひっくり返って、川に落としちゃって全部逃げちゃったの?」

 

コクコク…

 

「……。」

 

泣きながら頷く。ドミナントは哀れんだ目で見ている。

 

「諦めて薪を取っていたらこんなところまで来ちゃって、その薪すらも少しずつ気付かずに落としちゃってもう無いの?」

 

コクコク…

 

「……。」

 

哀れすぎる…。

 

「……。」

 

ドミナントが立ち上がる。その子は怒られると思って、目をギュッと閉じていたが…。

 

ポンッナデナデ

 

「…?」

 

頭に手をポンとして、そのまま撫でる。

 

「…まぁ、そんな時もある。何もかも上手くいかない時もあるよ。俺もそうだ。だから、そんな泣くな。次頑張れば良い。今回失敗したことは無駄じゃないから。次成功する糧になる。」

 

「……。」

 

ドミナントは気にした風もない。優しく言う。

 

「じゃぁ、帰ろうか。ご飯まだでしょ?」

 

「ウン…。」

 

そんな感じで帰るのだった。




現在MIとレイテ、艦娘と暗躍者の戦いで結構長引いています…。
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