緋弾のアリア さよなら殺人鬼   作:されかうべ

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 読専でしたがどうしても書きたくなり執筆、そのまま投稿してしまいました。
 


エピローグ
0弾 


 ――ぐちゅ

 

 ニューヨーク。アメリカ合衆国、最大級の都市で別名『眠らない街』。車のライトが町を照らし、自由の女神が国民を見守る。

 

 小さく、誰にも気づかれないほど小さく、音が空気を震わす。

 それはニューヨークにはあまりにも不釣り合いで、

 この世界のどこであろうと聞こえてはいけない音。

 

 ――何も知らない人が聞いたら、腐った果実がつぶれる音にでも聞こえただろうか?

 

 もちろん不正解だが。

 

「おわったか? グレイマン」

 眠らない街とうたわれるニューヨークも、裏路地に入ってしまえば、太陽の如く輝く人口の光はビルに遮られ、人々を照らすのは淡く光る月だけとなる。

 月明かりの中を歩くのは、暗い印象がある裏路地とはあまりに不釣り合いな一人の少女。ツーサイドアップに結った金髪は薄暗い中でもなお自らを主張し、大量にフリルのついた白いドレス、やや小さめの身長と、背丈の成長に合わせず大きくなった胸など、とても特徴的な少女だ。

 グレイマンと呼ばれた少年は、しゃがみ込み、顔も上げずにひたすら手を口と地面の間で往復させている。

 ――ぐじゅ――くちゅ

 少年が租借をするたびに響く、水っぽい音。少女は顔に自然と現れる不快感を隠そうともせず、もう一度少年の名を呼ぶ。

「――ん? 四世か。少し待て。もう少しで『喰い終わるから』」

「おまえっ! ……日本では私を四世とは呼ぶなよ」

 少年は立ち上がり、口元をハンカチでぬぐう。べっとりとこびり付いたシミを数秒眺めたのち、やってしまったとばかりにため息をつき、ハンカチを捨てる。

「ああ、そうか。教授から頼まれてたんだっけ。――あは! 日本かぁ」

 少女から渡されたチケットをポッケにしまい、空を見上げる。明日の旅立ちを祝福するかのように美しく光る満月。

 

――さっきの殺し合いが楽しくて

 

――肉がとてもおいしくて

 

――満月がとってもきれいで

 

――旅立ちが楽しみで

 

 満月の狂人は、グレイマンは、ブルックリンの吸血鬼は、

   

         食人の殺人鬼は笑う。

 

「なあ、四世。オルメスちゃん、おいしくなったかなぁ? 前、やりあったときはまだまだ青い果実だったなぁ」

「しるか。というか、オルメスを殺したら私がお前を殺すぞ」

 親愛なるパートナーの愛のお言葉をいただき、少年は笑う。

 

 怪盗と殺人鬼が動き出す。

 

 それでもニューヨークは、眠らない。

 

 

 

 

 

 ――そういえば、はじめて人を殺したのはいつだっただろうか。

 

 日本へ向かい飛び立った機械の鳥の中、少年はぼんやりと考える。

 いま、少年が人を殺すのにだって大した理由はない。

 顔がむかついたから。何かイライラしたから。教授が少年に依頼したから。

 復讐なんて大それたことは今まで考えたこともない。

 別に精神異常者ってわけでもない。……わけでもない。と思う。

 薬をやっているわけでもない。

 結論を言えば、遺伝って言葉が最も短くまとめた、それでいて最も正解に近い言葉だろう。

 

 アルバート・フィッシュ

 少年の愛する祖先であり、少年を殺人へと、食人へと駆り立てる。もちろん『それだけではないが』

 

 そして最初の疑問へと戻っていく。

「はて。二歳だったか三歳だったか。……そもそも殺したの誰だっけ? うん。まあ、いいか」

 つまり、その程度。少年にとってこの疑問は、昨日の夕食を思い出すのと同レベルといっていい。

「むにゃ。やめろ、ジャンヌ。それは私の肉だ」

 隣で、よくわからないのごとをつぶやく少女を見習い、少年も目を閉じる。

 

 それは、緋弾と正義のヒーローが出会う、前の出来事。

 

 怪盗と殺人鬼が日本の土を踏む。

 

 誰にも気づかれず、小さく、静かに

 

 緋弾の物語が動き出す

 

 

 




・さよなら殺人鬼
 Youtubeで陣内 智○則のコントを見ていたら『さよなら人類』という歌が流れ、タイトルを決めかねていたのでノリで決定

・食人の殺人鬼
 尻の肉が美味しいらしい

・親愛なるパートナーの愛のお言葉
 ツンデレツンデレ

・はじめて人を殺したのはいつだっただろうか
 現在の殺人についての価値観。これがどう変わっていくか
・『それだけではないが』
 ふくせん

・アルバート・フィッシュ
 ぐぐれ

・私の肉
 ジャンヌは肉食系だと勝手に思ってる

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