緋弾のアリア さよなら殺人鬼   作:されかうべ

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 カナファンの人すいません。
 ちなみに、初めての祐樹さんガチ戦闘


10弾

 武偵校離れ島。ハイジャック事件の傷跡はいまだ修復されておらず深い傷跡を残していた。

 太陽は完全に落ち月が頂点に上る。寮から明かりが消え、あたりは完全な静寂が包んでいた。

「久しぶりだな,カナ」

 月明かりを背に、東雲祐樹が笑う。カナと呼ばれた少女は祐樹を睨み、罠が仕掛けていないか周囲を警戒する。

 祐樹の計画においてカナは邪魔な存在だった。すでに、カナがどんな思惑でイ・ウーに入学したのかは分かっている。祐樹とパトラの計画と、カナの計画なら協力することもできるが、100%無理な理由があった。

 祐樹は遠山キンジと殺し合いたいのだ。

 そうなれば、カナは確実に邪魔してくるだろうし、パトラと違って『計画、及び戦闘中に裏切られれば、対処できないほどの実力をカナは持っている』そして、『カナがいなくても計画は十分すすめられる』この二つを理由に祐樹は決めた。

 

 カナ、遠山金一を喰らう。

 

 パトラには言っていない。祐樹はキンジと違ってそれほど鈍くはないのだ。

「キンジは、どこ?」

 これが、カナがおとなしくここに来た理由だった。今夜離れ島に来なければ、お前の弟遠山キンジの命はない、と。つまり、人質。

「さぁね。アリアと一緒に寝てるじゃね?」

 その言葉にカナは鋭い目をより一層鋭くする。少し考えれば、この戦闘狂が人質なんて言う卑怯な手を取らないことは分かった。いや、この可能性をカナは予想していたが、ここに来ないというのはあり得ない。可能性はあくまで可能性であり、100%ではないのだ。

「あなたとは、戦いたくなかったわ」

 小さくため息をつき呟く。二人の実力はほぼ互角。全力てやり合えばどちらもただでは済まないだろう。

「明日はせっかくの休日なのに、アドシアードの準備があるんだ。遅刻するわけにはいかないし、さっさとやろうぜ」

 どちらもただでは済まない。それを理解していながらも祐樹は口を三日月にゆがめる。

 あたりを静寂が包む。強風があたりを凪き、カナの髪を揺らす。海が波を立て反射していた月がかき消される。

 

 銃声が、静寂を切り裂いた。

 

 

 カナの技、不可視の銃弾。自らの武器は一切見せず、マズルフラッシュの光と銃声が相手を襲う。相手の不意を突けば避けることはほぼ不可能だろう。それは、東雲祐樹も同じだった。

 此方に向かって一直線に飛んでくる弾丸は見えても、胸に狙いを定めたそれを回避するのは不可能だった。

 仕方がないので、弾丸を受け止めた。

 皮がえぐり取られ、肉と神経、血管が破壊される。骨に当たったところで弾丸は勢いを失い、動きを止めた。

「相変わらず、その気持ち悪い性格は治ってないのね」

 普通の人間なら泣き叫び、気絶してしまうような激痛にもかかわらず、祐樹は笑っていた。

「武偵は超偵に勝てない、だっけ?」

 指を傷口に差し込み、弾丸を引き抜く。そうしないと、手に弾丸が埋め込まれた状態のままになってしまうからだ。

「そんなことはないと思うけど。銃は人間の強力な武器。超能力なんかよりよっぽど強力だと思うわ」

「お前のHSSだって超能力だろ」

 破壊された手から流れていた鮮血の量が少しずつ少なくなっていく。それを見たカナがまた、小さくため息をつく。

「私のHSSなんて、所詮は身体能力の強化。ジャンヌやブラド、祐樹みたいなのと一緒にしないでほしいわ」

 そして、ほんの数秒で左手が完全に再生する。これが、グレイマン、アルバート・ハミルトン・フィッシュ四世の力。

 足に力を込め、大地をける。骨が砕ける音と地面が砕ける音が同時に響き、弾丸と変わらない速度で祐樹がカナに肉薄する。砕けた骨もその時にはすでに治っていた。

 銃の技術はカナが上だが、体が壊れるのを全く躊躇せず、異常な速度で攻撃を繰り出す祐樹と接近拳銃戦は無謀すぎる。

 隠し持っていた剃刀を振りおろし目をつぶそうとするが、カナの長い髪がなびき、見えない攻撃による衝撃で祐樹の腕が曲がってはいけない方向へ強制的に曲がる。

「スコルピアか!!」

 猛獣のような笑みを張り付けた祐樹は、体を大きくひねり、肩のあたりで折れた方の腕を大きくしならせ、振る。

 カナは顔を軽く後ろにそらし攻撃を避けるが、車にひかれたような衝撃が腹を襲い、大きく吹き飛ばされる。

 腕による攻撃は囮と視界を遮るためのブラインド。本命は蹴り。地面を踏み砕く脚力から繰り出された蹴りだったのだが、反射的に身を引き、後ろに跳んだのが見えた。直撃を食らっていれば、背骨が砕け立てなくなっていただろうが、受け身をとり素早く立ち上がったところを見るにそんなこともないのだろう。

「まあ、ダメージ0ってわけでもなさそうだな。内臓でも痛めたか? 血が出てるぜ」

 すでに再生を終えた腕の調子を確かめながら、距離を詰めようと一歩踏み出す。

 再生の力を持つ祐樹だが、カナに勝機がないわけではなかった。再生能力も使い続ければ疲労しやがて使えなくなる。

 祐樹が超能力が使えなくなるのが早いか、カナが致命傷を受けるのが早いか。

 カナが不可視の弾丸を使うより早く、祐樹は行動を開始した。懐から手榴弾を取り出しさっきのけりで距離が離れてしまったカナに向かって投げつける。

 手榴弾が狙いではなく、回避によって体勢を崩すのが狙いと予想し、身をかがめながら、プロペラの陰に身を隠す。瞬間気づく。罠であることを。

 あたりが暗いせいで、警戒していたにもかかわらず気付けなかった。プロペラの柱に設置された爆弾に。

 恐らくすべてのプロペラに設置されているのだろうそれは、C-4と呼ばれるプラスチック爆弾で、カナに気づかれないように、量はやや少量である。

 閃光が爆発し、熱風がカナを襲う。頭をかばい目をやられることはなかったが、両手に手榴弾を持った祐樹が熱風をものともせずカナの正面に立った。

 

 ――爆発

 

 

 超能力で体が再生していく。と、いっても手に持った状態で手榴弾が爆発したのだ、腕の再生はあと数10秒かかるだろう。防弾性であるはずの制服もただの布切れになり果てた。そして、祐樹と違い再生の力がないカナがこれを受けてただで済むわけがなかった。

 しかし、祐樹の考えは外れていた。

 カナは立っていた。祐樹と同じように制服は破れ体も傷ついてはいたが、それでもたっていた。

「――何、したんだ? おまえ」

 戦闘中常に浮かべていた笑みを消し祐樹が茫然と尋ねる。息もかなり荒く、再生能力の限界を告げていた。

「簡単、よ。飛んでくる破片を撃ち落とせばいい」

 手榴弾は爆風や手榴弾の破片を四散させることで相手を殺す兵器である。熱風を防ぐことはできなかったが、飛来した破片を撃ち落とすという人間離れした技をカナはやって見せた。

 だが、だからどうした? まぐれとは言わないが未完成の技だ。撃ち落とした破片より食らった破片の方が多いだろう。血を流しすぎているのか、意識が朦朧としていることは誰の目から見ても明らか。重心も安定せず立っているのが精いっぱいだろう。

「おとなしく、さっきので死んどけばよかったんじゃねぇの?」

 剃刀を懐から取り出しカナのもとへ歩く。祐樹に敵をなぶる趣味はない。動脈を切りカナは死ぬ。

「祐樹、あなたは見落として、いるわ」

 祐樹の足が、止まる。すでに死を待つだけであるはずのカナが笑った。つまり、まだ諦めていない。

「不可視の弾丸は全てを隠す。そして、回避は不可能」

 離れ島を強烈な閃光が包んだ。その光は祐樹の視力を奪いカナの姿を隠した。

「武偵弾かよ!?」

 剃刀をふるうが手ごたえはなく風を切る音が響く。この状態で剃刀を振り回しても恐らく当たらないだろう。運が悪ければ海に落ちる。そう思い動きを止め視力の回復を待つ。

 

 

 

 白く塗りつぶされた視界が正常になる。あたりを見渡すがカナの姿はなかった。つまり、海に飛び込んだということだ。あの傷で、武偵校にたどり着いても祐樹に殺されることは分かっているだろう。ならば、あの体でどこに行くつもりなのか。

「運任せ、波任せってか?」

 戦いが、終わった。

 




・ハイジャック事件
 原作一巻

・祐樹はキンジと違ってそれほど鈍くはないのだ
 あの鈍感はやばい

・アリアと一緒に寝てる
 かも

・完全に再生
 祐樹さんの能力

・飛んでくる破片を撃ち落とせばいい
 これはチートすぎる

・戦いが、終わった
 カナ退場
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