6弾
『明日だ。明日私は峰・理子になる』
電話から聞こえる声は、興奮を言葉の節々から滲ませている。
祐樹は窓を開け、女子寮の方を見る。電気は、付いていない。もしかしたら、部屋にいない可能性もある。理子は自分の犯罪現場を自分で調査中だ。
「油断はするなよ。キンジはカナの弟だぞ?」
『お前は何もしなくていい、なにもするな』
今回は何もしない。目的を果たすためには、今動くべきではない。
怪盗と武偵の戦いが始まる。
夜空には三日月
殺人鬼は動かない
翌日、ロンドン・ヒースロー空港行き機内にて
「ご存じの通り、武偵殺しは爆弾使いですから」
ベレッタを向けられ、追い詰められた怪盗。しかし、口元には涼しげな笑みが浮かんでいた。
爆弾を背に、武偵法第九条を盾に。気持ちが高ぶっているのか、理子は、キンジの兄や、イ・ウーことをしゃべり、キンジを挑発する。
「あたしはいつでも二人を歓迎するよ? ――あ! そうだ、キンジ。あたしはあいつにアリアを殺されたくないんだよね。だから、このことを忘れないで」
理子は一度言葉を切り、お別れの挨拶の代りに言う。
「――グレイマンは、キンジのすぐ近くにいる」
「な!? おい、理子! どういうこと、」
言い終える前に、理子の後ろに設置された爆弾が轟音を響かせる。
怪盗と武偵の戦いが一度幕を閉じる。
再び幕が開くのは、もう少し後。
次の舞台は、聖女の悲劇か、殺人鬼の喜劇か。
武偵高校舎の屋上。武偵の生徒たちが空き地島へと着陸する仲間を助けるため動き出した中、二人の男女が屋上で向かい合っていた。
愛の告白、というわけではないだろう。
「お、飛行機! キンジ大丈夫かなぁ?」
男、東雲祐樹が空を見上げながらつぶやく。いつもと全く変わらない口調。彼にとって、友人の安否などどうでもいいのだ。
「パートナーである理子が離脱した今、おまえはイ・ウーに戻ってもいいのだぞ?」
長い銀髪と碧眼。まるでどこぞの人形のような少女は、凛とした声で祐樹に言う。
「いやぁ、俺もそろそろキンジと遊びたかったんだけど、ジャンヌが来たってことは,」
「ああ、悪いが教授から直々に依頼が来た」
まじですかー。と両手を上げ万歳のポーズをとり、祐樹は笑う。
もしこれが、教授からの頼みでなければ傷が治った直後に拳銃を持ってキンジのところへ遊びに行った。そう思ったから、教授はジャンヌをよこしたのだろう。
「じゃあ、グレイマンは静かに傍観するかな」
この言葉にジャンヌは違和感を感じる。この殺人鬼がなぜこうも簡単にあきらめる、と。しかしそう思ったのは一瞬で心に小さなとげを残しながらもジャンヌは口元に微笑を浮かべる。
「ああ。では、ジャンヌ・ダルクがやつらのお相手をしよう」
まだ、始まらない。
グレイマンはまだ動かない。
しかし、
物語の幕は開いた。
・理子は自分の犯罪現場を自分で調査中だ。
原作
・目的を果たすためには、今動くべきではない
ふくせん
・グレイマンは、キンジのすぐ近くにいる
ふくせん
・次の舞台は、聖女の悲劇か、殺人鬼の喜劇か
一巻終了
・ジャンヌは違和感を感じる
ふくせん
今回ふくせん多いなと思いながらも投稿。
原作の裏側のオリジナルストーリー。