遊戯王 スプレッド・ストーリーズ   作:柏田 雪貴

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どうも、プロローグから読み返してみて、意外と誤字が多くて吃驚した作者です。
見直しって大切ですね。

それでは本編です。


紅蓮:三話

 金曜日。翌日が休日ということもあり少しフワフワした空気が漂う中行われるのは担任教師による国語。その中で、一人だけノートに何かを書き込み続ける生徒がいた。

 意外なことに、それは紅蓮である。

 国語の授業で彼が起きていることは少なく、寝てばかりだった。しかし現在は絶え間なくシャーペンを動かし、ルーズリーフを黒くしていく。

 

(【ヴァレット】を入れて【クイック・リボルヴ】で初動を安定させるか・・・・・・だけどそれだと【セイヴァー・デモン・ドラゴン】や【スカーレッド・ノヴァ・ドラゴン】を出しにくくなるしな・・・・・・)

 

 ダメだった。彼はやはりデュエル馬鹿だった。

 

 【ヴァレット・トレーサー】からレベル4【ヴァレット】を展開し【レッド・デーモン】へと繋げるルートなどを色々考え、しかしそれだと枠が足りない。

 

(【天輪の葬送士】は入れるのキッツいな。【切れ気味隊長】も初動にはならないし)

 

 【救世竜セイヴァー・ドラゴン】から【セイヴァー・デモン・ドラゴン】を出す手段が限られているため、それを増やそうと考えるが、それでは専用デッキを組んだ方が早いとなってしまう。

 

(【シャドール】と混ぜるにしても【影依融合】は相手依存だしな・・・・・・それにエクストラに融合モンスターを入れるのはポリシーに反する)

 

 真っ白なエクストラデッキは紅蓮にとって重要な意味を持つ。それを曲げるようなことはしたくない。

 

(【シンクロン】軸も悪くはないが、【転生竜サンサーラ】と【デブリ・ドラゴン】で【琰魔竜レッド・デーモン・アビス】を出すのは気に食わねえし)

 

 気に食わない、というだけでデッキに入れない、というのはどうかと思うが、彼なりの考えの結果である。

 

 嫌いなカード、気に食わないカードを入れたデッキで勝ってもつまらない。そしてそんなカード達が必要な時に力を貸してくれるとは思えない。なら、無理をしてまで入れるよりは入れない方がいい。それが紅蓮の考え方である。

 

(あークソ、【サイキック・リフレクター】の効果でレベルを上げずに特殊召喚できればなあ!)

 

 そうすれば【レッド・リゾネーター】で【バスター・スナイパー】を特殊召喚すれば【琰魔竜レッド・デーモン・アビス】まで行けるのに、と紅蓮は声に出さずに嘆く。

 

(【原始生命態ニビル】のことを考えると、【レッド・ライジング・ドラゴン】を挟まずに【レッド・デーモン】に繋げれば・・・・・・いや、【琰魔竜レッド・デーモン・アビス】を出すなら同じか)

 

 であればレベル8【レッド・デーモン】の蘇生手段を増やして【原子生命態トークン】の横に並べて殴る、という手段も考えたがそれで初動を減らしてしまっては【灰流うらら】や【幽鬼うさぎ】などの手札誘発に止められる。難しい所だ。

 今でさえ、デッキのカードは45枚とかなりカツカツである。別に紅蓮の好物がカツであることは関係ない。

 

「この文章で作者は何を言いたいんだろうね? じゃあ灰村、答えて♪」

 

 ルーズリーフへの書き込みを続ける紅蓮を指す男性教師。珍しく寝ていないので指した、といえワケではなく、ただの偶然であり彼の不幸である。

 

「・・・・・・・・・・・・」

 

「あれ? えーと、灰村くん? 無視されるとオレ悲しいんだけど」

 

 普段の口調ではなく素で戸惑いを見せるこの教師の姿は珍しいのだが、デッキを構築チクチク中の紅蓮はそんなことに構っている余裕はない。

 

「・・・・・・悩んでる。今まで通り初動を増やして安定性を増すか、それとも誘発を多くして相手の動きや誘発を止めるか」

 

 名指しされたことで考えていたことをそのまま口に出す紅蓮。男性教師は呆気に取られて口を開けたままにし、数名の生徒は笑いを堪えて失敗しクスクスしている。

 

「えーっと灰村。確かにそれは悩ましいことだ♪ ただ―――」

 

 さてどうしたものかと言葉を探し、しかし諦めて彼はストレートに変化球を放つことにした。なんだろうこの矛盾。

 

「今は授業中だ♪ 後はわかるな?」

 

 え、と我に帰った紅蓮の耳に入ってきたのは大量の笑い声と教師の呆れたようなため息。どの辺りが変化球だったのだろうか。

 

「まあ、いいか♪ 他の先生の授業で同じことするなよ」

 

 成績は下げるけど、と紅蓮にギリギリ聞こえない程度に呟いて授業に戻る男性教師。その口元には小さくだが、確かに過去を懐かしむような微笑があった。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

 そんな日の放課後。紅蓮は調整したデッキの試運転をすべく、学校から真っ直ぐに寄り道して帰ることにした。またも矛盾。

 

 寄り道先はカードショップ『Rabbit』クスィーゼ店。『Rabbit』はいくつか店舗があるチェーン店だが規模はそこまで大きくない。丁度十年ほど前に出来た店なので、成功している方だろうか。

 

「いらっしゃいませー」

 

 紅蓮がボタン式の自動ドアという矛盾しているようてしていないサムシングを開け店内に入ると、店員らしき桜髪の女性か抑揚のない声をかけてくる。

 

 それに軽く会釈だけしてから、あんな店員いたっけかと少し首を傾げショーケースのカードを見る。

 

 一通り見終えてからデュエルスペースへ足を運ぶと、そこにはちょっとした人だかりができていた。

 

「クソッ、負けた!」

 

「いよっしゃあ十一人抜きぃ!」

 

 その中心から聞こえてきたのはデュエルが終わったと思わしき声。紅蓮も人と人との間から覗き込んでみると、彼と同じくらいの年の白髪(はくはつ)の少年と茶髪の中年が握手していた。

 

「このままニ十人抜きでも目指すか! 次、誰か相手してくれるか?」

 

 少年が勢い付いた様子で人だかりに声をかけるが、その中身は彼に敗れた者と度胸なししかいないようで、誰も名乗り上げることはしない。

 

「なら、次はオレだ。いいか?」

 

 そこで手を挙げたのは赤みがかった黒髪の少年。言うまでもなく、紅蓮である。

 

「おう、よろしくな!」

 

 少年がにこやかに承諾すると、紅蓮は腰のケースからデッキを取り出し、プレイマットに置く。少年もカードを纏めてお互いにカットアンドシャッフル。

 

「「デュエルッ!」」

 

「「デュエルッ!」」

 

少年

LP8000

 

灰村紅蓮

LP8000

 

 テーブルデュエル故にソリッドビジョンがなく描写が少ないので楽な今回のデュエル、コイントスによって先攻となったのは白髪の少年。

 

「【不知火の隠者】を通常召喚。効果発動までいいか?」

 

 ディスクなしなので誘発の確認をキチンとしながら進める少年に、紅蓮は手札の【エフェクト・ヴェーラー】をチラ見してから手の平を見せて何もないことを示す。

 

「ふむ、なら【グローアップ・ブルーム】をデッキから特殊召喚」

 

グローアップ・ブルーム ☆1 チューナー 守備力0

 

 【グローアップ・バルブ】が禁止になったことによる怨念の籠もったカードをプレイマットの中央に置く少年。【グローアップ・ブルーム】の登場は禁止になる前なのでそんなことはない。

 

「【アンデット・ワールド】を発動して【グローアップ・ブルーム】一体でリンク召喚、【リンクリボー】」

 

リンクリボー link1 攻撃力300

 

 最近【リングリボー】という大変紛らわしいお仲間ができた【クリボー】シリーズの一体。某赤帽子オジサンは関係ない。赤帽子で『コナミくん』繋がり、ということもない。

 

「墓地へ送られた【グローアップ・ブルーム】の効果発動だ、デッキから【死霊王ドーハスーラ】を手札に加え、フィールドに【アンデット・ワールド】があることで代わりに特殊召喚する!」

 

死霊王ドーハスーラ ☆8 攻撃力2800

 

 【リンクリボー】のリンク先ではなく、フィールドの中央に置かれるアンデット達の王。どこにも打てない【エフェクト・ヴェーラー】に憤慨する紅蓮だが、それを表情に出してはバレる可能性があるので全て「どうぞ」と椅子宜しく通しである。

 

「ターンエンドだ」

 

 

白髪の少年

LP8000 手札3

 

□□□□□

□□ド□□ア

 □ リ

□□□□□

□□□□□

 

灰村紅蓮

LP8000 手札5

 

リ:リンクリボー

ド:死霊王ドーハスーラ

ア:アンデット・ワールド

 

 

 デッキからカードを引き合つつ、【死霊王ドーハスーラ】にどう対処しようかと思考を巡らせる紅蓮。二回も飛んでくる妨害は大変面倒である。

 

「手札一枚をコストに【ワン・フォー・ワン】を発動、デッキから【サイキック・リフレクター】を特殊召喚するぜ」

 

サイキック・リフレクター ☆1 チューナー 守備力0

 

「【死霊王ドーハスーラ】の効果を発動だ」

 

「手札から【幽鬼うさぎ】の効果の効果を発動するぜ。【死霊王ドーハスーラ】を破壊する」

 

「ゲッ、マジか」

 

 【死霊王ドーハスーラ】は自身の効果を同一チェーン上で使うことができない。なので、【幽鬼うさぎ】によってアッサリと破壊される。

 

「逆順処理だ。【サイキック・リフレクター】をどうする?」

 

「そうだな、除外の方を使う」

 

 カードをプレイマットの外に置いてから【バスター・スナイパー】を手札に加え、紅蓮は次のカードを切る。当然だが切断ではなく使う、という意味合いである。

 

「【レッド・リゾネーター】を召喚、効果で【調星師ライズベルト】を特殊召喚」

 

レッド・リゾネーター ☆2 チューナー 攻撃力600

 

調星師ライズベルト ☆3 守備力800

 

 レベル変動効果によって【レッド・ライジング・ドラゴン】やレベル8【レッド・デーモン】にアクセスでき、【緊急テレポート】にも対応しているためピン刺ししていた【調星師ライズベルト】。しかし、今回は効果を使わない。

 

「【レッド・リゾネーター】で【調星師ライズベルト】をチューニング、シンクロ召喚【TG(テックジーナス)ワンダー・マジシャン】」

 

TG(テックジーナス)ワンダー・マジシャン ☆5 シンクロ チューナー 守備力0

 

 【水晶機巧-ハリファイバー】の登場で正規シンクロされることが少なくなったシンクロチューナーモンスター。【TG(テックジーナス)】で使われることも少ない気がするが。

 

「【TG(テックジーナス)ワンダー・マジシャン】の効果発動、【アンデット・ワールド】を破壊するぜ」

 

 【死霊王ドーハスーラ】はフィールド魔法があればスタンバイフェイズに帰ってくる。大変厄介だ。『厄介』とは『やっかい』であり『やくすけ』ではないというどうでもいいことを追記しておく。

 

「あー、これでターンエンドだな」

 

 これ以上の展開はできない。紅蓮は悔しさと共にターンを終えた。

 

白髪の少年

LP8000 手札3

 

□□□□□

□□□□□

 ワ □

□□□□□

□□□□□

 

灰村紅蓮

LP8000 手札2

 

ワ:TG(テックジーナス)ワンダー・マジシャン

 

 

「オレのターンだな、ドロー」

 

 かなりの劣勢に紅蓮は歯噛みをする。【琰魔竜レッド・デーモン・アビス】を出せるような手札だったなら良かったのだが。

 

「手札の【屍界のバンシー】をコストに【ジャック・ア・ポーラン】を特殊召喚する」

 

ジャック・ア・ポーラン ☆7 守備力2200 

 

 見慣れないカード(【ジャック・ア・ポーラン】)に紅蓮は許可を取ってからカードを手に取り効果を確認すると、その余りの優秀さに苦笑いしかできない。

 

「・・・・・・なるほど、止めて悪かったな」

 

「いや、平気だ。墓地の【屍界のバンシー】効果発動だ、除外してデッキから【アンデット・ワールド】を発動する」

 

 また【死霊王ドーハスーラ】が出てくるのかと額に皺を作る紅蓮。決して老けたワケではなくただ眉を顰めただけだ。しかつめらしい、とも言う。

 

「【牛頭鬼】を召喚して、効果を使うぜ。デッキからアンデットを墓地へ送る」

 

「【エフェクト・ヴェーラー】だ。無効にさせてもらう」

 

 通していれば【馬頭鬼】辺りを落とされて更に展開されていただろう。冗談ではない。

 

「【ジャック・ア・ポーラン】と【牛頭鬼】でリンク召喚、リンク2【アドヴェンデット・セイヴァー】!」

 

アドヴェンデット・セイヴァー link2 攻撃力1600

 

 【セイヴァー】という名前に一瞬だけ【救世竜セイヴァー・ドラゴン】関連かと驚き期待した紅蓮だったが、【ヴェンデット】の名前とその禍々しいイラストに【セイヴァー】違いかと自己完結した。

 

「バトル、【アドヴェンデット・セイヴァー】で【TG(テックジーナス)ワンダー・マジシャン】を攻撃だ!」

 

 効果でデッキから【馬頭鬼】を墓地へ送って【TG(テックジーナス)ワンダー・マジシャン】の攻撃力を800下げるが、守備表示なので墓地肥やし以外の意図はない。

 

「【TG(テックジーナス)ワンダー・マジシャン】が破壊されたことで、一枚ドローする」

 

「りょーかい、ターンエンドだ」

 

 

白髪の少年

LP8000 手札2

 

□□□□□

□□□□□

 □ セ ア

□□□□□

□□□□□

 

灰村紅蓮

LP8000 手札2

 

セ:アドヴェンデット・セイヴァー

ア:アンデット・ワールド

 

 

「オレのターン、ドロー」

 

 引いたカードを確認し、紅蓮は少し複雑そうな顔をする。

 

「? どうかしたのか?」

 

「いや、なんでもない。そのままスタンバイフェイズだ」

 

死霊王ドーハスーラ ☆8 守備力2000

 

 【死霊王ドーハスーラ】が帰還すると、紅蓮は先程引いたカードを発動する。

 

「【冥王結界波】を発動だ。相手モンスター全ての効果を無効にする。そしてモンスターがこの効果にチェーンすることはできない」

 

 おおうマジか、と思わず漏らす白髪の少年。

 このような反応も由来して、紅蓮はあまりパワーカードの類は好きではない【冥王結界波】は【レッド・デーモン】と多少のシナジーがあるのと名前がカッコいいのもあって入れているが、【サンダーボルト】やら【ブラックホール】やらは入っていない。それで勝っても「なんだかなあ」と勝った気がしないのである。

 

「【バスター・スナイパー】を召喚して効果発動するぜ。デッキから【サイキック・リフレクター】を特殊召喚だ」

 

「なーんもねぇから全部通しだ」

 

バスター・スナイパー ☆4 攻撃力1600

 

 少年は失礼とわかっていても少し雑な態度をとってしまう。その心情を表すならば「なんで俺に気持ちよくデュエルさせねぇんだ、俺はお前が苦しむ姿を見ていたいんだよ!」である。そこまで過激ではない。

 

「【サイキック・リフレクター】の効果で【バスター・ビースト】を手札に加え、効果で捨ててデッキから【バスター・モード】をサーチ。【バスター・モード】を相手に見せることで【サイキック・リフレクター】の第二の効果を使って【バスター・ビースト】をレベル7で特殊召喚だ」

 

サイキック・リフレクター ☆1 チューナー 守備力0

 

バスター・ビースト ☆4→7 守備1200

 

 正直キングクリムゾンしたいほどの文量の一連の流れ。ここから現れるのは当然彼の魂のカード。【魂の牢獄】ではない。

 

「【サイキック・リフレクター】で【バスター・ビースト】をチューニング、シンクロ召喚。燃えろオレの魂【レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト】!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト ☆8 シンクロ 攻撃力3000

 

 傷付いた右腕に力を溜めているようなイラストの白枠カード。右腕が痛くて抱えているように見えなくもないが、恐らくそんなことはないだろう。ないないずくしで読みにくい。

 

「【レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト】の効果発動だ。コイツの攻撃力以下のモンスターを全て破壊し、その数×(かける)500ダメージを与える、だが【冥王結界波】を使ったターン、相手に与えるダメージはゼロになる」

 

 そこが難点だが、それがなければは禁止級の強さである。登場早々に禁止(【Emヒグルミ】)のような悲劇は繰り返したくない。

 

「・・・・・・ターンエンドだ」

 

 

白髪の少年

LP8000 手札1

 

□□□□□

□□□□□ア

 レ □

□□□□□

□□□□□

 

灰村紅蓮

LP8000 手札2

 

レ:レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト

ア:アンデット・ワールド

 

 

 手札枚数は同じだが、状況が圧倒的に不利なのは紅蓮である。というか、デッキの相性が悪い。【レッド・ライジング・ドラゴン】やレベル9以上の【琰魔竜】はシンクロ素材に種族指定があるため、【アンデット・ワールド】ととことん相性が悪い。

 

「俺のターン、ドロー」

 

 スタンバイフェイズに帰ってくる【死霊王ドーハスーラ】。鬱陶しいことこの上ない。

 

「【リヴェンデット・バース】を発動、デッキから【リヴェンデット・スレイヤー】を素材に、儀式召喚! 出番だぜ、【リヴェンデット・スレイヤー】=サン」

 

リヴェンデット・スレイヤー ☆6 儀式 攻撃力2300

 

 リンクモンスターとはまた別の青枠のカード。大変紛らわしい。

 

「行くぜ、【リヴェンデット・スレイヤー】と【死霊王ドーハスーラ】でリンク召喚! 【アカシック・マジシャン】!」

 

アカシック・マジシャン link2 攻撃力1000

 

 【トーチ・ゴーレム】を乱用するデッキでよく見かける【シャイニート(ダウナード)・マジシャン】や【アルケミック・マジシャン】のライバル的キャラ。ライバルになっているのだろうか。

 

「【リヴェンデット・スレイヤー】の効果発動だ、デッキから【リヴェンデット・ボーン】を手札に加えて【ヴェンデット・ストリゲス】を墓地へ送る!」

 

 そして【ヴェンデット・ストリゲス】は墓地へ送られた時に手札から【ヴェンデット】カードを見せることで特殊召喚できる。完結した効果である。

 

ヴェンデット・ストリゲス ☆2 守備力2000

 

「更に【リヴェンデット・ボーン】を発動、墓地の【リヴェンデット・スレイヤー】を除外して儀式召喚! 【リヴェンデット・スレイヤー】!」

 

リヴェンデット・スレイヤー ☆6 儀式 攻撃力2400

 

 二枚の手札から実質モンスター三体分。爆アドである。以前にも書いたような気がしないでもないが気のせいだろう。そう思いたい。

 

「【リヴェンデット・スレイヤー】と【ヴェンデット・ストリゲス】でリンク召喚、【セキュリティ・ドラゴン】」

 

 【セキュリティ・ドラゴン】の効果対象は【レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト】だが、【バスター・モード】により【レッド・デーモンズ・ドラゴン/バスター】にフォームチェンジ。HERO関連の速攻魔法【フォーム・チェンジ】ではない。

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン/バスター ☆10 攻撃力3500

 

「【アカシック・マジシャン】と【セキュリティ・ドラゴン】でリンク召喚! えーと、星杯に選ばれし剣士よ、戦いを糧とし・・・・・・何だっけ? まあいいやリンク召喚! リンク4、【双穹の騎士(ジャックナイツ・パラディオン)アストラム】!」

 

双穹の騎士(ジャックナイツ・パラディオン)アストラム link4 リンク 攻撃力3000

 

 召喚口上を覚えていないのか、途中で諦めてそのまま場のカードを置く少年。そのコメディな行動とは逆に、かなり強いモンスターである。

 

「バトル、【双穹の騎士(ジャックナイツ・パラディオン)アストラム】で【レッド・デーモンズ・ドラゴン/バスター】にアタック!」

 

「何もないぜ」

 

双穹の騎士(ジャックナイツ・パラディオン)アストラム 攻撃力3000→6500

 

灰村紅蓮

LP8000→5000

 

 初めて削れたライフポイント。その分、一撃でかなり持っていかれた。

 

「【レッド・デーモンズ・ドラゴン/バスター】の効果で【レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト】を蘇生するぜ」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト ☆8 シンクロ 攻撃力3000

 

「ターン終了っと」

 

 

白髪の少年

LP8000 手札0

 

□□□□□

□□□□□ア

 □ 双

□□レ□□

□□□□□

 

灰村紅蓮

LP5000 手札2

 

双:双穹の騎士(ジャックナイツ・パラディオン)アストラム

レ:レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト

ア:アンデット・ワールド

 

 

「オレの、ターン」

 

 ドローの後に帰ってくる【死霊王ドーハスーラ】を考えると、紅蓮はギリッと歯軋りをしてしまうほどに嫌悪感を抱く。

 そして、落ち着こうと一度目を閉じ、開く。要は少し長いまばたきであるが、それで気を取り直した紅蓮は冷静に状況を見直す。

 

(【レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト】の効果は【死霊王ドーハスーラ】によって止められる。除外の方の効果ならモンスターを全滅させられるし、多分無効の方だろ)

 

 無効効果を先に使わせようとしても、除外するモンスターは相手が選ぶために【レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト】を除外されることも考えられる。つまり、一番初めに【レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト】の効果を発動しなければならない。

 

「ドロー」

 

 とにかく引いてから考えようと、紅蓮はデッキの一番上のカードをドロー。

 そして、視界に収めて一瞬膠着し、そのまま発動する。

 

「ドローフェイズに【緊急テレポート】を発動! デッキから【幽鬼うさぎ】を特殊召喚するぜ!」

 

「ッ!?」

 

幽鬼うさぎ ☆3 チューナー 守備力1800

 

「スタンバイフェイズに入る」

 

「墓地の【死霊王ドーハスーラ】を特殊召喚・・・・・・」

 

死霊王ドーハスーラ ☆8 守備力2000

 

 運によってだが、活路は得た。

 

「【レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト】の効果を発動するぜ。攻撃力3000以下のモンスターを全て破壊する!」

 

「【死霊王ドーハスーラ】の効果発動、」

 

「チェーンして【幽鬼うさぎ】の効果だ。【死霊王ドーハスーラ】を破壊するだ」

 

 そして無効になる【レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト】の効果。これでシンクロ召喚の縛りはあれど、多少は動けるようになった。

 

「【チェーン・リゾネーター】を通常召喚、効果でデッキから【シンクローン・リゾネーター】を特殊召喚する」

 

チェーン・リゾネーター ☆1 チューナー 攻撃力100

 

シンクローン・リゾネーター ☆1 チューナー 攻撃力100

 

 並んだ二体のチューナーモンスター。そして、【アンデット・ワールド】の影響下でも出せるモンスターとなれば、行き着く先は一つである。

 

「【チェーン・リゾネーター】【シンクローン・リゾネーター】で【レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト】をダブルチューニング! 君臨せよオレの魂【レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント】!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント ☆10 シンクロ 攻撃力3500

 

 【双穹の騎士(ジャックナイツ・パラディオン)アストラム】の横に並ぶ暴君。エクストラモンスターゾーン同士では睨み合いなどしにくいのではないかと思ったが、アニメでは出来ていたのだから何とかなるのだろう。

 

「【レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント】の効果発動だ。コイツ以外のフィールドのカードを全て 破壊する」

 

 【双穹の騎士(ジャックナイツ・パラディオン)アストラム】は対象に取られない効果こそ持っているが、破壊耐性などはないために除去される。

 しかし、ただでは死なないのがこのカード。いや、別に死んでないが。

 

「【双穹の騎士(ジャックナイツ・パラディオン)アストラム】の効果、【レッド・デーモンズ・ドラゴン・タイラント】をデッキに戻す!」

 

 これでお互いの場はがら空き、手札もゼロ。完全なるドローゴー合戦であり泥沼のかほりがする。

 

「ターンエンドだぜ」

 

 

白髪の少年

LP8000 手札0

 

□□□□□

□□□□□

 □ □

□□□□□

□□□□□

 

灰村紅蓮

LP5000 手札0

 

□:焼け野原

 

 

「俺のターン」

 

 ライフでは勝っている少年だが、リソースのない状態では安心できない。【リヴェンデット・スレイヤー】などの一枚では動けないカードを引いてしまえば、なにもできずターンを終えることになってしまう。

 

「危っね【牛頭鬼】を召喚、効果発動!」

 

牛頭鬼 ☆4 攻撃力1700

 

 効果によって墓地へ送られるのは【馬頭鬼】。ふと思ったのだが馬頭でツノがあったらそれは鬼ではなくユニコーンではないだろうか。

 

「【馬頭鬼】の効果、除外して【死霊王ドーハスーラ】を特殊召喚!」

 

死霊王ドーハスーラ ☆8 攻撃力2800

 

 これで総攻撃力は4500。止める手段のない紅蓮は受けるしかない。

 

「バトル、二体でダイレクトアタック!」

 

灰村紅蓮

LP5000→3300→500

 

 一気に十分の一まで減ったライフ。次のターンで何か引かなければ、紅蓮の敗北である。

 

「ターン終了だ」

 

 

白髪の少年

LP8000 手札0

 

□□□□□

□ド牛□□

 □ □

□□□□□

□□□□□

 

灰村紅蓮

LP500 手札0

 

ド:死霊王ドーハスーラ

牛:牛頭鬼

 

 

「オレのターン、ドロー」

 

 ライフ差は16倍。しかし、俗に言う鉄壁状態でもある。100ほどまで削れていたならもっと確実だったのだが。

 

「【復活の福音】発動、蘇れオレの魂【レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト】!」

 

レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト ☆8 シンクロ 攻撃力3000

 

 【アンデット・ワールド】がない今、紅蓮を阻む物はあんまりない。

 

「【レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト】の効果発動だ! 吹き飛べ!」

 

白髪の少年

LP8000→7000

 

 ようやく減った少年のライフ。ここまで紅蓮が攻勢に出れなかったのは主に蛇と屍世界のせい。

 

「バトルだ、ダイレクトアタックだぜ」

 

「ライフで受ける!」

 

白髪の少年

LP7000→4000

 

 半分まで減ったライフだが、紅蓮のソレは更に八分の一であり簡単に言うとベリーヤヴァイ。語彙力がないのか。

 

「俺の、ターン・・・・・・」

 

 ここで何かしらの対抗手段を引かねば紅蓮の紅蓮魔竜に押し負ける。紛らわしいが事実である。

 

「―――【異次元からの埋葬】、発動! 除外されている【グローアップ・ブルーム】【屍界のバンシー】【馬頭鬼】を墓地へもどす!」

 

「ンな!?」

 

 バカな、と言おうとしたが、自分も【復活の福音】を引いているので引き運は平等てまある。しかしあちらは一枚で最高三枚のアドが取れるので不釣り合いな気もする。どっちだ。

 

「墓地の【馬頭鬼】の効果、除外して【死霊王ドーハスーラ】を特殊召喚!」

 

死霊王ドーハスーラ ☆8 攻撃力2800

 

 本日何度目かもわからないほどに登場するウロボロス。この時点で紅蓮は勝敗を察した。

 

「【屍界のバンシー】の効果を発動、チェーンして【死霊王ドーハスーラ】の効果! 【レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト】を除外する!」

 

 墓地に逆転の手段はなく、場と手札にカードはない。

 

「バトルだ、【死霊王ドーハスーラ】でダイレクトアタック!」

 

「・・・・・・オレの負け、か」

 

灰村紅蓮

LP500→0

 

 負けた悔しさはあるが、改善点は見つかった。それだけでも十分な収穫である。

 

「何だっけ、ガッチョ? あ、ガッチャか。楽しいデュエルだったぜ」

 

 白髪の少年が人差し指と中指を揃えて立てた右手を紅蓮に突き出す。よくわからないまま、紅蓮は取り敢えず自分の手を出して握手した。

 紅蓮が席を立ったのと同時に少年は周囲の客に声をかける。

 

「さて、次は誰だ? 十三人目になりたいお方〜?」

 

 その声を耳に入れながら紅蓮はカードを数枚購入し、店を出た。

 

 

ーーーーーーーーーー

 

 

(今日は勝率いいな、やっぱ地域が違うと使われてるデッキも若干違うのかな?)

 

 十三人目の【捕食植物】相手に【アンデット・ワールド】でメタりながら少年は少し思考する。

 

(【オルフェゴール】とか【ドラゴンリンク】は【アンデット・ワールド】で止まるし。というか、種族参照してる時点でカモだしな)

 

 彼の叔父はドラゴン使いだが、それでも少年に勝つので一概にカモとは言えない。しかし今の彼は少し調子に乗っているためにそこまで考えが及ばなかった。

 

(【オルターガイスト】相手だと結構負けるんだけどなー、【オルガ】使いは少ないのかな?)

 

 【オルガ】と言うと希望の花でも咲かせそうなデッキだが、無論【オルターガイスト】のことである。ならば何故そんな紛らわしくしたのか。ちょっと格好付けたかったからである。

 

(・・・・・・あ、アイツの名前聞いてない)

 

 種族メタを使っても中々倒れなかった赤っぽい髪の彼。もし彼が先攻だったなら、デュエルの結果はわからなかった。ライバルになれるかもしれない相手だったのに、と少年は悔やむ。

 

 しかし、彼とはまた会える気もしていた。

 

(アイツも出るのかな、『デュエル甲子園』)

 

 もしそこで会えたなら、と少年は口角を釣り上げた。どれだけ楽しいだろうか、と。

 

 

 ここからは完全に蛇足だが。

 

 結局少年は調子に乗ってその後もデュエルを続け、【オルターガイスト】に負けるまで十八連勝した。が、その頃には父親と約束した時間を過ぎており置いて帰られたので仕方なく一人で電車を使って帰ったとか。

 そして母親には心配され父親にはアホかと一笑され、デュエルにまで発展した後ボコられたそうな。




簡単なキャラ紹介④

白髪の少年
アンデットを使う謎でもなんでもない普通の少年。紅蓮と同じく高校一年。
別の町に住んでいるが、叔父の用事に付いてきた。
男性教師と同じ毛く名前出てない勢だが、匿名を解除する頃には出せる、はず。多分。きっと。
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