遊戯王 スプレッド・ストーリーズ 作:柏田 雪貴
こんなんじゃ・・・・・・満足出来ねぇぜ・・・・・・。
転校から一週間経ったが、柊太はクラスにそこまで馴染めずにいた。
授業中は授業に集中すればいい話なので楽なのだが、問題は休み時間だ。話しかけられれば会話はできるのだが、それが続かない。ある生徒はケータイをいじり、ある生徒はデュエルディスクのデュエルログを見直し、ある生徒はテーブルデュエルを繰り広げ、またある生徒は壁相手にソリティアし、またある紅蓮は寝ている。
だが、柊太はそれを悲観してはいない。彼の目下の目的は『デュエル甲子園』優勝であり、それに関係ないものはどうでもいい。成績等はデュエル甲子園出場に関わるが、クラスメイトとの交流など、一々気にしないだろう。
(・・・・・・灰村、紅蓮。彼も、甲子園優勝を狙ってるって聞いたけど・・・・・・)
正直、あんなデッキで勝てるとは思えなかった。現在の環境でリンクモンスターを使わないデッキは少なからずあるが、【レッド・デーモン】でそれをやっても強くはならない。現に彼は上級生相手とは言え敗戦も多い。先日紅蓮がいない日にコンピューター室で紅蓮で彼のデュエルを閲覧したが、リンクモンスターを使っていれば勝てた、という状況がいくつかあった。
(僕の障害にはならないだろうけど・・・・・・今の内に倒しておいた方がいいかな)
授業中にも関わらずクルクルと右手の指を器用に使ってペンを回す彼の思考には既に『紅蓮と共に切磋琢磨する』ことはなかった。
ーーーーーーーーーー
デュエルスクールの昼休みは40分と長い。これは昼食の時間が含まれているから、というのもあるが、
柊太が今手持ち無沙汰に棒立ちしているのは先日紅蓮も使った第三デュエル場。三つあるデュエル場の内一番校舎から遠く、人気のない場所でもある。
そして正面にいるのはこちら睨むような目で見る赤っぽい髪の青年。整えられていないその髪は方々へ跳ねているが、それはそれで一種のヘアスタイルにも見えるのだから不思議。
「あー、宮津、だったか? 急にデュエルしたいってのは、何でだ?」
まだ名前がうろ覚えてらしく疑問符と共に柊太の名前を呼ぶ彼は何故デュエルを挑まれているのか把握していないようだ。
「・・・・・・君、デュエル甲子園優勝を目指してるの?」
「ああ。そうだ」
そう、と迷いのない答えに柊太はそれだけ返して、ディスクを起動する。紅蓮を含め他の生徒の多くはタブレットとしても扱えるタイプのディスクだが、彼のは少し古い型のようでカードの効果などを確認する液晶が付いているだけのものだった。
「なら、僕の敵ってことだね。僕も甲子園で優勝したい」
有無を言わせない力の籠もった柊太の言葉を聞いた紅蓮はまるで緊張感を持たず後頭部をガリガリ掻いて口を開く。
「ライバル関係になる、とかっつーのは・・・・・・」
「君のデッキで優勝できると思う? そんな人と一緒に出場するほど僕は物好きじゃない」
その質問を睨まれていることもあってか容赦なく切り捨てる。紅蓮はただ目つきが悪いだけで睨んでなどいないのだが柊太がそれを知るはずもなし。
「・・・・・・そうか。まあ、デュエルなら大歓迎だし、これで出場できるかどうか決まるワケでもねーし」
そう言って紅蓮は首だの肩だのを回してから頭の中でスイッチを切り替え、左腕を水平に持ち上げる。
「「デュエルッ!」」
宮津柊太
LP8000
灰村紅蓮
LP8000
「僕のターン、まずは【ライティ・ドライバー】を通常召喚、効果でデッキから【レフティ・ドライバー】を特殊召喚」
ライティ・ドライバー ☆1 チューナー 攻撃力100
レフティ・ドライバー ☆2 守備力100
現れたのは二人で一人な少女ロボット。片方が気絶しそうだが、デッキによっては両方
「レベル4以下のモンスターが特殊召喚されたことで【TGワーウルフ】を特殊召喚。ワーウルフとライティをリンクマーカーにセット、サーキットコンバイン。リンク召喚【
機械の装備を身につけた狼と機械少女の片割れがサーキットに飛び込み、複数の【
「ハリファイバーの効果でデッキから【ジャンク・シンクロン】を特殊召喚、チューナーがいることで手札から【ブースト・ウォリアー】を特殊召喚」
ジャンク・シンクロン ☆3 チューナー 守備力500
ブースト・ウォリアー ☆1 守備力200
【ブースト・ウォリアー】には戦士族モンスターの攻撃力を300上げる効果があるが、あまり重要ではない。
「手札一枚をコストに【クイック・シンクロン】を特殊召喚。【クイック・シンクロン】で【レフティ・ドライバー】【ブースト・ウォリアー】をチューニング、シンクロ召喚【ロード・ウォリアー】」
ロード・ウォリアー ☆8 シンクロ 攻撃力3000
ハリファイバーの左後ろに登場する機械戦士。攻撃力は3000と【
長いなと手持ち無沙汰な紅蓮を他所に、柊太は展開を続ける。
「【ロード・ウォリアー】の効果で、デッキこら【ドッペル・ウォリアー】を特殊召喚。【ドッペル・ウォリアー】に【ジャンク・シンクロン】をチューニング、シンクロ召喚【アクセル・シンクロン】
アクセル・シンクロン シンクロ チューナー 守備力2100
【ジャンクドッペル】というデッキができるほど相性のいい二体からシンクロされたのはどこかの蟹の赤いバイク。
「【ドッペル・ウォリアー】の効果てトークン二体を特殊召喚。【アクセル・シンクロン】の効果発動、デッキから【ジェット・シンクロン】を墓地へ送ることでレベルを一つ上げる。レベル6となった【アクセル・シンクロン】で【ドッペル・トークン】二体をチューニング」
怒濤の連続展開を一度止め、柊太は軽く胸に手を置く。
「―――彼女の輝きを、今ここに。シンクロ召喚、【閃珖竜スターダスト】!」
閃珖竜スターダスト ☆8 シンクロ 攻撃力2500
光の輪となったバイクがトークン達を包み込み、光の柱となる。飛翔したのは光輝く決闘竜。
「【スターダスト】・・・・・・なるほど、俺向きの相手だな。燃えてきたぜ」
【レッド・デーモン】使いの彼としては燃える展開だが、柊太は特に思うところはないのでスルーした。反応がないことに紅蓮はムッとしたが気にしない。
「ターンエンド」
宮津柊太
LP8000 手札0
□□□□□
□□閃□ロ
□ 水
□□□□□
□□□□□
灰村紅蓮
LP8000 手札5
水:
ロ:ロード・ウォリアー
閃:閃珖竜スターダスト
「オレのターン、ドロー!」
手札を使い切った柊太だが、盤面はそこまで強くない。慣れないカードを無理に使おうとしたせいで手札消費が激しくなってしまった、と柊太は分析し、苛立つ。彼女のカードを使いこなせないのでは『デュエル甲子園』に出る意味も薄れてしまう。
「【レッド・リゾネーター】を通常召喚して効果発動だ。手札からレベル4以下のモンスターを特殊召喚する」
「チェーンしてハリファイバーの効果発動。自身を除外することでエクストラデッキからシンクロチューナーを特殊召喚する。【フォーミュラ・シンクロン】を特殊召喚」
フォーミュラ・シンクロン ☆2 シンクロ チューナー 守備力1500
ハリファイバーと入れ替わったミニ四駆シンクロン。ここから恐らく【スターダスト・ウォリアー】辺りになるのだろう、と紅蓮は予測し、その前提で動く。
「特殊召喚するのは【マグナヴァレット・ドラゴン】だ」
マグナヴァレット・ドラゴン ☆4 守備力1200
赤い調律魔が音叉をかき鳴らすと、耳(ドラゴンなので恐らく、だが)を押さえながら弾丸竜がフラフラとフィールドに引っ張られる。
「【フォーミュラ・シンクロン】の効果で一枚ドロー、そして処理後に【フォーミュラ・シンクロン】の効果によりシンクロ召喚を行う。【ロード・ウォリアー】に【フォーミュラ・シンクロン】をチューニング、アクセルシンクロ。【サテライト・ウォリアー】」
サテライト・ウォリアー ☆10 シンクロ 攻撃力2500
紅蓮の予想は外れ、登場したのは最近出た新たな【ウォリアー】シンクロモンスター。
「なっ、そっちか!」
「そっちでもどっちでもいいよ、効果発動。墓地のシンクロモンスターの数まで、相手のカードを破壊して、その数だけ攻撃力を上げる。対象はその二体だ」
【サテライト・ウォリアー】が衛星と更新を始め、三秒ほどで空からビームが降ってくる。極太のビームに焼かれた二体は断末魔すら上げられず消し炭になった。元々ソリッドビジョンに断末魔なんて上げられないのだが。
サテライト・ウォリアー 攻撃力2500→4500
「【レッド・ライジング・ドラゴン】までは行けると思ったんだがな・・・・・・」
【予想GUY】だったぜ、と悔しそうな紅蓮。彼は墓地効果のある【レッド・ライジング・ドラゴン】を出し、無効にされた上で更に展開するつもりだったのだろう。
「【クイック・リボルブ】を発動して、デッキから【ヴァレット・トレーサー】を特殊召喚するぜ。更に【竜の霊廟】を発動、それにチェーンして【ヴァレット・トレーサー】の効果発動だ。【竜の霊廟】を破壊してデッキから【メタルヴァレット・ドラゴン】を特殊召喚だ」
ヴァレット・トレーサー ☆4 チューナー 守備力1000
メタルヴァレット・ドラゴン ☆4 守備力1400
そして破壊された【竜の霊廟】の効果が適用される。何故破壊しているのに効果が使えるのかと効かれると大変面倒な説明となるので『【サイクロン】で【聖なるバリア-ミラーフォース-】を無効にできない』のと同じである。簡単に言うと『破壊』と『無効』は違うということだ。どこが面倒なのか。
「墓地へ送られた【アブソルーター・ドラゴン】の効果でデッキから【ヴァレット・リチャージャー】を手札に加える。そして【ヴァレット・トレーサー】で【メタルヴァレット・ドラゴン】をチューニング! 爆ぜろオレの魂【琰魔竜レッド・デーモン】!」
琰魔竜レッド・デーモン ☆8 シンクロ 攻撃力3000
【レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト】では【サテライト・ウォリアー】を破壊できないため、今回は
「【琰魔竜レッド・デーモン】の効果発動! 自身以外のモンスター全てを破壊するッ!」
「【閃珖竜スターダスト】の効果を発動。自身を対象に、1ターンに一度、戦闘・効果で破壊されなくなる」
レッド・デーモンが炎を撒き散らしながら【サテライト・ウォリアー】を蹴り上げ、そのまま至近距離でブレスを叩き込む。そしてスターダストに殴りかかるがクロスカウンターで応じられお互いのフィールド戻された。
「なんでこんな演出? ・・・・・・まあいいか。破壊された【サテライト・ウォリアー】の効果発動。墓地から【ウォリアー】【シンクロン】【スターダスト】シンクロモンスターを三体まで特殊召喚できる。【ロード・ウォリアー】【フォーミュラ・シンクロン】【アクセル・シンクロン】を特殊召喚」
ロード・ウォリアー ☆8 シンクロ 攻撃力3000
アクセル・シンクロン ☆5 シンクロ チューナー 守備力2100
フォーミュラ・シンクロン ☆2 シンクロ チューナー 守備力1500
増えてしまったシンクロモンスター達に、げ、と声を漏らす紅蓮。効果の確認を怠ったのが悪いので、柊太はアホなのだろうかと呆れる。
「・・・・・・ならバトルフェイズに入るぜ」
「メインフェイズ終了時【フォーミュラ・シンクロン】の効果発動、シンクロ召喚を行う。【閃珖竜 スターダスト】に【フォーミュラ・シンクロン】をチューニング。アクセルシンクロ! ―――彼女の輝きに、彼の者の力を。【シューティング・スター・ドラゴン・
シューティング・スター・ドラゴン・
【フォーミュラ・シンクロン】が複数に分かれ、一昔前のアニメのようにパーツが質量保存の法則に反して拡張していき、【閃珖竜スターダスト】に装着されていく。
「更にアクセルシンクロ、か」
これだから主人公テーマは、という紅蓮の意味不明な言葉を気にしないことにして、柊太は盤面に目を向ける。
こちらはシンクロモンスターが三体。攻撃を一度無効にできる【シューティング・スター・ドラゴン・
対して紅蓮は【琰魔竜レッド・デーモン】のみであり、効果を使ったことてあのモンスターでしか攻撃できない。シューティング・スターで無効にすればそれ以上攻撃されることはないだろう。
「ならメインフェイズに戻るぜ。自分フィールドにシンクロモンスターがいることて【シンクローン・リゾネーター】を特殊召喚。そのまま【琰魔竜レッド・デーモン】とシンクロするぜ。深炎より来たれオレの魂【琰魔竜レッド・デーモン・アビス】!」
琰魔竜レッド・デーモン・アビス ☆9 シンクロ 攻撃力3200
新たな調律魔の力によって進化する【レッド・デーモン】。お値段もかなり進化しているのだがこれ以上は進化し過ぎて安くなっている。
【シンクローン・リゾネーター】の効果で【レッド・リゾネーター】を回収する紅蓮に構わず、柊太は眉を寄せる。
「アビスか・・・・・・面倒だね」
「お前の盤面よりマシだと思うぜ? 何せこっちは一体で戦ってるんでな」
あまり大きくはなかった柊太の呟きに、律儀に返す紅蓮。どこか自嘲気味な言葉とは裏腹に、口元の笑みは好戦的なものだ。
ここまでのやり取りで、柊太は紅蓮と己との明確な違いに気付いた。
―――
それは柊太にはできない考え方だ。彼はデュエルを『勝敗を決めるもの』だと認識している。どちらが上かを決め、雌雄を決する。それが柊太にとってのデュエルだ。
『柊太は頭が硬いな〜。もっと色んな角度から見てみなよ』
ふと脳裏に浮かんだのは、彼女の言葉。フィールドの【シューティング・スター・ドラゴン・
「オレはこれでターンエンドだ」
宮津柊太
LP8000 手札1
□□□□□
□ア□□ロ
琰 シ
□□□□□
□□□□□
灰村紅蓮
LP8000 手札4
シ:シューティング・スター・ドラゴン・
ロ:ロード・ウォリアー
ア:アクセル・シンクロン
琰:琰魔竜レッド・デーモン・アビス
紅蓮の声でデュエルに引き戻された柊太は、一度頭を左右にブンブン振ってからデッキに指をかける。ブンブンと言うと
「僕のターン。・・・・・・さて、どうしようかな」
引いてから考えるか、などとは言わないがやることがないのも確かだ。
【シューティング・スター・ドラゴン・
(一応、【ブースト・ウォリアー】て攻撃力を上げて【ロード・ウォリアー】で攻撃すればアビスは破壊できるけど・・・・・・)
【ヴァレット・リチャージャー】によって壁を特殊召喚され、ダメージは与えられない。その上、エクストラモンスターゾーンが空いたことにより【レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト】を出されれば、柊太のフィールドは壊滅する。
「このままターンエンドだ」
宮津柊太
LP8000 手札2
□□□□□
□ア□□ロ
琰 シ
□□□□□
□□□□□
灰村紅蓮
LP8000 手札4
シ:シューティング・スター・ドラゴン・
ロ:ロード・ウォリアー
ア:アクセル・シンクロン
琰:琰魔竜レッド・デーモン・アビス
ターンが渡った紅蓮は、どこか不満そうな顔でカードを引く。
「何だよ、動きなしか。ならその盤面突破させてもらうぞッ!」
盤面を突破する。その言葉に、柊太は目を見開いて驚く。【レッド・デーモンズ・ドラゴン・スカーライト】ならば確かに突破できるが、リンクモンスターをデッキに入れていない彼が【琰魔竜レッド・デーモン・アビス】を退かす術を持っているとは思えなかったからだ。【シンクロキャンセル】等のカードも考えられるが、紅蓮のデッキにシナジーがあるとも思えない。
「【レッド・リゾネーター】を召喚、効果で手札から【ヴァレット・シンクロン】を特殊召喚ッ!」
柊太は忘れていた。【レッド・デーモン】には、この状況を突破できる進化形態がいることを。
「いくぜ、【レッド・リゾネーター】と【ヴァレット・シンクロン】で【琰魔竜レッド・デーモン・アビス】をダブルチューニング! 惨禍と化せオレの魂【琰魔竜王レッド・デーモン・カラミティ】!」
琰魔竜王レッド・デーモン・カラミティ ☆12 シンクロ 攻撃力4000
アクセルシンクロとは異なるシンクロの力、ダブルチューニング。他にもデルタアクセルとかリミットオーバーアクセルシンクロとかあるが、今はどうでもいい。
とある世界での、ぶつかり合う魂のデュエルの様に。レッド・デーモンとスターダストは相対する。
「カラミティの効果により、このターン相手はフィールドで発動する効果が無効化される。シューティング・スターの攻撃無効も発動できないぜ」
アビスの効果を使ってチューナーを減らしておくべきだったか、という紅蓮の言葉は、柊太の耳には入らない。
(マズい、また失敗した。どう挽回する? 攻撃された後シューティング・スターの効果を使って・・・・・・いや、シューティング・スターが攻撃されるとは限らない。エクストラモンスターゾーンを空けないために狙うのは【ロード・ウォリアー】か? だとしたら・・・・・・)
彼の頭の中にあるのは『この後どうするべきか』のみ。ディスクに置かれたカードと液晶、そして手札を行き来する目線から、紅蓮はなんとなく柊太が何を考えているのかわかった。
「チッ、テメェ・・・・・・」
苛立ったように舌打ちを一つ。それに驚いたのか顔を上げた柊太の目に映ったのは、眉を寄せて顔を顰め、どう見ても怒っている紅蓮。
「テメェ、オレを見てるか?」
その苛立ちをそのまま吐き出しただけの言葉。それだけで収まるはずもなく、紅蓮は続ける。
「さっきから手札と盤面ばっか見て、オレの方を見ようともしてねぇ。随分と独りよがりなデュエルしてるじゃねぇか」
彼の苛立ちは尤もだった。柊太の思考にあったのは自分が彼女のカードを使いこなすこと、自分のしたい動きをどれだけできるかということ。【サテライト・ウォリアー】をシンクロ召喚した時も、相手の動きを読んだ訳ではなく、偶々裏をかけただけだ。
デュエルとは、相手がいることでこそ成立するもの。その根本的なことを、柊太は失念していたらしい。
「・・・・・・灰村―――」
何を言おうとしたのか、柊太にもわからない。だが、その先が紡がれることはなかった。
「あ? もうそんな時間か」
予鈴の音に遮られ、紅蓮の怒りも霧散する。どうする? と目だけで訊かれ、柊太はディスクを付けた腕を下ろした。
簡単なキャラクター紹介⑦
宮津柊太
デュエルスクール クスィーゼ校 一年
紅蓮のクラスに転校してきた生徒。元々【ウォリアー】軸の【ジャンクドッペル】を使っていたのだが、あることをきっかけに【スターダスト】もデッキに入れた。今回自己中心的なデュエルをしてしまったのもそのせい。
元々身内以外と距離を詰めようとしない性格だったが、【スターダスト】を使うようになってからはそれがより顕著になった。
身長は160と少々小柄で、黒髪黒目。紅蓮に言わせれば『雄猫みたい』とのこと。若干のくせっ毛と猫背のせいか、はたまた彼の性格をなんとなく掴んだのか。