問題児と死にたがりが異世界で番外編をするそうですよ?   作:天月照詠

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第三話「罰ゲームは意外と恐ろしいものだった」

『……………………』

 

しーんと静まった空間。

畳が広がった空間に俺たちは円で囲むようにして正座している。

円の中には無数のかるたがある。

 

「それでは一枚目、読むぞ?」

『(ゴクリ)』

 

全員のこめかみに一筋の汗が伝う。

なぜこんなにも真剣かといえば白夜叉がゲームを始める前に言った言葉にあった。

 

『そうじゃ、当然一番枚数が少なかったものには罰ゲームがあるので覚悟するように』

『え』

 

この言葉で俺たちは全員全力でやりあうことになった。

 

 

 

 

「では、まず一枚目」

『(ドキドキ)』

「黒ウサギ~「えっ?」なんじゃ黒ウサギ、急に声を出して」

「いえ、黒ウサギが呼ばれたものですから」

「そういう句じゃ、気にするでない」

 

コホン、と一息。

 

「では、黒ウサギ~バニーを脱いで、新衣装」

『!?』

 

なんだその句は!?

 

「もう一度読むぞ?黒ウサギ~バニーを脱いで、新衣装」

「な、な、な」

 

黒ウサギはカルタどころではないという感じで固まっている。

 

「キラン!見つけたー!」タンッ!

 

全員が固まった中唯一動き出していた十六夜が一枚のカルタを弾いた。

そこには何やら服が入った箱の横で黒ウサギが普段着ている服を脱ごうとしている絵が書かれている。

 

「ふっふっふ!よくとったぞ小僧!」

「ヤハハ!当然だぜ!」

 

二人が笑い合うと揃って黒ウサギの方を見る。

 

『さて、黒ウサギ?』

「!? いやです!やりません!やりませんよ!」

「カルタに書かれたことをせねば敗北じゃぞ?」

「それは十六夜さんが、ですよね?」

「ぐっ!気づいておったか」

 

そう、黒ウサギは今回指令を受ける必要は一切ない。

かるたをとったのはあくまで十六夜であり、指令をやらなければならないのは十六夜なのである。

 

「黒ウサギがやらないってことはウラ面に書かれたことしなくちゃならないってことかよ」

「ちなみに、裏面を見たら必ずそちらをやるのじゃぞ?」

「はいはい、どうせろくでもないこ…と…が……はぁ!?」

 

かるたの裏面を見た十六夜が顔を少し青くしながら叫んだ。

 

「どうかしたのかの」ニヤリ

「! でめぇ白夜叉ァ!こうなることがわかってやがったな!?」

「さて、どうかのう?」

「一体何が書いてあったっていうのよ?」

「それは…………」

「隙有り(スッ)」

 

飛鳥の言葉に一瞬詰まった十六夜の隙を突いた春日部が十六夜からカルタを奪った。

 

「何が書いてあるんだ春日部?」

「ちょっとまって……『黒ウサギが着るはずだった衣装を着る』だって」

『は?』

「ククク」

「クソッ!」

 

十六夜が黒ウサギの新衣装を着るってことか?

てことは要するに女装するってことかよ!?

 

『アハハハハハハハハ!!』

「ちょ、それ!マジか!?」

「白夜叉もなかなかやるわね、プッ」

「飛鳥、こらえれてない、プッ」

「そういう君もだ、耀。フッ」

「レティシア様もですよ?(ふるふる)」

「そういう狐の嬢さんもしっぽがすごいことになってるぜ?ククク」

「ガルド、お前はもう隠す気すらないだろ?」

「それで?白夜叉、その新衣装ってのはどんなやつだったんだ?」

「ふふふふふ……衣装は、これじゃ!」

 

白夜叉はいつ用意していたのかどこからともなく箱を取り出すとそこから一着の服を取り出した。

それは…………………

 

「チャイナ服?」

「うむ!外の世界で行く俗に言うチャイナ服、といわれるものじゃな」

「あら、案外拍子抜けね」

「つまらない」

「フフ、そういうものではないぞ主たちよ」

「そうだな」

「たしかにあれはきつい」

「? どういうこと」

 

チャイナ服をみた女性陣はつまらない、という反応を示していたが。

男性陣は苦い顔をしていた。

 

「私が説明しよう。チャイナ服、たしかに布の多さを考えれば恥ずかしい格好とは一見違う反応になるじゃろう。しかし!これを黒ウサギに着せていれば、黒ウサギの余りある胸を強調するように服は張り、そのバニースーツで隠れている黒ウサギの素足が現れるという素晴らしい衣類じゃ!しかしその反面男が着るとなればそれは180度反転する。胸なぞ男が隠したところで何も意味はない、問題は足を晒すということじゃ」

「足?」

「うむ、女性は裸よりも下着姿を恥ずかしがる、それは何か邪魔なものがある故にそこに視線が集まるからじゃ。しかし、男が下着一枚になったところで恥ずかしいとは思わん。では逆に、足だけでておればどうじゃ?それもそこの小僧は普段学生服とやらを来ておって肌なんぞほとんど出さん、その物珍しさから全員の目線は足へと集まるじゃろう」

 

そのとおりだ、もしかしたら足を見られるときに何か見つけられるかもしれない。

そんな怖さが今の十六夜にはあるんだろう。

 

「そ、そんなのリタイアすれば問題ねぇじゃねけか」

 

それも回避するための方法だ。

 

「ほう、それでいいのじゃな」キラン

 

!? まさか!?

 

「あぁ、そr「待て十六夜!」なんだよ士人」

「落ち着いて考えろ、白夜叉は言っていただろう?最下者には罰ゲームがあると」

「それがどうし……!?」

 

ようやく気付いたか。

 

「そう、もしこのままお前がリタイアすればお前の最下位は確定する。つまり罰ゲームで何をされるかはわからない、その罰ゲームが女装だとしたら? お前は結局着なければならなくなる。だったらリタイアせずにおとなしく着て、優勝を目指したほうがいいはずだ」

「カッカッカッ!気付いておったか」

「アンタが目を光らせた時にな」

「私としたことが油断しておったか、だがルールはルールじゃ。小僧、着るか、リタイアか、どちらか選べい」

 

白夜叉が十六夜にそう言うと十六夜は目を閉じて少し考えた節を見せると顔をぱっと上げ

 

「やってやるよ」

「ほう」

「あぁ、着てやるよ!どうせ年越しだ!なんだってやってやるよ!」

 

十六夜はそう言うと白夜叉から服を受け取ると更衣室にダッシュした。

ちなみに更衣室は割烹店員がいつの間にか用意していた。

 

「看板娘です」

「それはもういい。というか、だとしてもそれ看板娘のすることか?」

「お客様が服の試着を申し出た時に更衣室や試着室がなければいけませんから」

「ふ~ん」

 

 

 

このあと、十六夜がチャイナ服で登場して俺たちの腹筋が崩壊しかけたことはいわずもかなである。

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