「夜 寝室 父と息子」
とおちゃん。
ん、なんだ?
ねむれないん。
……わかった。じゃあ、とおちゃんがお話してあげるっぺよぉ、聞いてる間に眠れっちゃ。
ん。
これはカントーに伝わる古い話んだ。寝ない子を寝かせる為の話でもあるし、そして、絶対にやってはならないことを教えるための話んでもある。
こわいおはなし?
まぁ、ん。そだな。けっこ怖い話んになるな。
……それきいたら、ねむれなくならないん?
それは大丈夫。どんな人でも、この話を最後まで聞けるん人はいない。
でも。
まぁ聞け。この話んは「ポケモン百物語」っていってな。まず___
【1、まず暗い部屋に数人で集まり(3人以上が望ましい)、それぞれが蝋燭とマッチを箱いっぱいを用意する。
2、全員で蝋燭に火をつけ、1人づつポケモンにまつわる話をする。
3、話おわった人間は蝋燭の火を消し、次の人の話がおわった頃にまた火をつける。これをマッチがなくなるまで繰り返していく。】
それだけ?
ん、それだけ。だけんども、用意するマッチの数は人それぞれだろ、んだから途中でマッチがなくなった人はそれより後、話んをすることはできね。んで、最後に残った人は他に話んをする人がいなくなっても、また蝋燭に火をつけて話ん続ける。そんで最後は誰も火をつけなくなって終わる。
それで、おわったらどうするの?
終わったら、終わりだ。
?
……終わったら、終わりっちゅうこっちゃ。
?? いみわかんない。
まぁ、お前もわかるようになるん。
ふーん。
んでな、昔とおちゃんはこの「ポケモン百物語」をやったことがあんのよ。
やっちゃいけないんじゃなかったの?
そだけども、やってしまったんだな。誰がいいだしたんのかは忘れちまったが。学校のクラスメイト全員でやることになったの。
みんな、わるいねぇ。
夏休みの夜に皆んなでおれんち集まって、百物語しようって。まぁ、ハナダで一番でかい家だったからな、うちは。
でも、サクラくんちのがもっと大きいよ。
昔の話んだ。当時の一番。
ふーん。ほんと?
ほんと。そんで、今でもとおちゃんは、皆んなの話を覚えとるん。
え、とおちゃん、すごいあたまいいん。
そういうことではなっだども、覚えとるん。それを今からお前に話す。
いいよ こわい。
いんや、お前はこの話を聞いて、なんで「ポケモン百物語」をやってはいけないか知らんといかん。
ん……わかった。
じゃあ、話すんど。まずは冷ちゃんの話から。おれらの百物語んは冷ちゃんの話んから始まったんだ___