やってみるさ。この素晴らしい世界で、俺に何ができるかわからないけど。   作:みっはー

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UAが!1000を!超えている!!!!ですよ!!!!!
三原さんが好き!って人が周りに居なかったのですごい嬉しいです!
三原さんってやっぱり人気あるんやなぁ!

今回はライダー戦闘+状況説明会です。
仮面ライダー555劇場版のオリジナル解釈が若干入ります。
苦手な方はご注意ください。


第3話:秒読みは始まった

異世界の地、アクセルで睨み合うオルフェノクとデルタ。

 

(なぜここにオルフェノクが居るのかはわからない。でも、今は!)

 

「はぁっ!」

 

一気に距離を詰めるデルタ。

それに応えるように駆けるスクィッドオルフェノク。

速度はデルタの方が早い。

振るわれたスクィッドオルフェノクの右拳を軽く左手で受け止める。

圧倒的な力を振るっていたスクィッドオルフェノクは、大きく動揺した。

今まで、自分より弱い人間としか戦ったことがなかったのだ。

純粋な身体能力で上をいくデルタに対しての驚愕と硬直。

一方、現代で数多のオルフェノクと戦ってきたデルタはその隙を逃さない。

流れるように拳を払うと、がら空きの胴体に右ボディブロー。

スクィッドオルフェノクが変身してる時に初めて受けた強い衝撃に怯んで後ずさったところにすかさず距離を詰めて拳を振るう。

右、左、右、左。

スクィッドオルフェノクが破れかぶれで殴り返す拳は的確に避け、くぐり、払い、一度として直撃しない。

丸っきり戦いの素人と熟練者の様相を呈していた。

トドメに痛烈な回し蹴りを土手っ腹に一撃入れ、大きく吹き飛ばす。

 

「す、すげぇ・・・これが三原さんの力・・・!」

 

自分の苦戦が嘘のように一方的な戦いを繰り広げる三原。

確かにオルフェノクという化け物と戦っていたのは話で聞いていたが、人類解放軍という名前からして銃を使った軍隊のような戦い方を想像していた和真。

それが実際はどうだ。

先ほどまで圧倒的な力を振るっていた怪人が一方的にやり込められている。

 

「こんなに強い三原さんがやられた三原さんの世界ってどうなってんだよ・・・」

 

起き上がったスクィッドオルフェノクに駆け寄ったデルタが追撃の蹴りを放つが、相手も慢心を捨てたのか、両手でガッシリと受け止める。

が、しかし。

 

「はああ!」

 

「グオオオオ!?」

 

片足の膂力で無理矢理に蹴り飛ばした。

かなりのダメージを負ったのか立ち上がろうともがくスクィッドオルフェノク。

デルタは今度は距離を詰めずに、デルタムーバーごとデルタフォンを抜いた。

腰のデルタドライバーのバックルからミッションメモリーを抜き、デルタムーバーに装着。

 

『READY』

 

「チェック!」

 

『EXCEED CHARGE』

 

デルタムーバーの銃身が伸び、起き上がったスクィッドオルフェノクの胸にΔの形のポインターが浮かぶ。

過たず放たれた弾丸がスクィッドオルフェノクの胸に突き立った。

 

「はああ!」

 

デルタは大きく跳躍、空中で半回転すると右足を前に出してキックを叩き込む。

 

「DIVE!!」

 

必殺の蹴りが炸裂し、Δの紋章が浮かび上がると同時、スクィッドオルフェノクは赤い炎に包まれて灰となった。

赤い炎の向こう側で、ゆっくりと和真に向かって振り返るデルタ。

その圧倒的な力に一瞬ゾッとしてしまい、思わず和真の肩が跳ねる。

が、デルタがおもむろに腰に戻したデルタムーバーからデルタフォンを引き抜くと、見慣れた三原の姿に戻る。

いつもの優し気な三原の雰囲気に、やっと危機を脱した実感が湧いてきたきた和真は一気に脱力してしまった。

同時に、気が抜けたせいかオルフェノクに殴られた腹部が痛烈な痛みを訴えた。

 

「い、ててて!」

 

「和真君!大丈夫かい?」

 

慌てて駆け寄ってきた三原が和真の前に屈みこんで傷を見ようとするが、和真がそれを手で制す。

 

「お、俺は大丈夫です。それより、ダストを!あいつ、思い切り吹き飛ばされてから意識が戻ってないんです。」

 

「いいから、少し見せて。」

 

問答無用で和真の服をめくりあげる三原。

脇腹の少し上、ちょうど肋骨の当たりを殴られたようだ。

青くなっているから、内出血はしているし、オルフェノクの力で殴られたなら折れているかもしれない。

が、ある兆候が見られなかったことに三原は胸をなでおろした。

 

(灰化はしていない。使徒化を齎す攻撃は受けてないみたいだ。)

 

現代で三原が死んだ時のように、オルフェノクの攻撃には人間を灰にしてしまうものがある。

それを和真が受けていたらもうどうしようもなかった。

・・・灰になってしまうのはあくまでも副作用で、本来の効果はもっと恐ろしいものなのだが。

とりあえず、下手に動かないように和真に言い含め、ダストの元へ。

こちらは頭を打っているが、ダメージが大きいというより打ち所が少々悪かったようだ。

もう少ししたら目を覚ますだろう。

もちろん、ダストにも灰化の兆候は見られない。

ふぅ、と息をついた三原は一度バイクに戻りアタッシュケースにデルタのベルトをしまい込むと、和真のもとへ。

 

「和真君、立てるかい?一度冒険者ギルドにいって治療を受けよう。本当は治療院に行くべきだけど、時間が時間だからね。多分冒険者ギルドのほうが早い。問題は都合よくヒーラーがいるかどうかだけど。」

 

「大丈夫っす。歩けます。それと馬小屋に行きましょう。アクアのやつが戻ってるはずなんで。たたき起こさないといけないですけど・・・。」

 

「わかった。じゃあ、肩を貸すよ。ちょっと待ってね。ダスト持ってくるから。」

 

よっと軽い掛け声ひとつでダストを米俵のように肩に担ぎ、和真に手を差し伸べた三原。

いつもの優し気な雰囲気の三原に似合わぬ怪力に驚いた和真だがさっきの戦いぶりをみると当然か、と納得した。

 

 

★★★★★

 

 

「アクア!おいアクア!起きろ!」

 

「なぁによう、うるさいわねぇ・・・」

 

無事馬小屋まで着いた3人(うち一人気絶中)。

とりあえず、普段和真が寝ている場所にダストをおろしてから和真がアクアを激しくゆすり声をかけると、嫌々ながらアクアは起きてくれた。

どうやら酒も抜けているようだ。

 

「はえ?シュージじゃない。それにダストまで。どうしたの?飲みすぎて潰れちゃった?」

 

「違うわ。なんかよくわかんないのに襲われて、三原さんに助けてもらったんだよ。とりあえず、治療頼む。」

 

「なに?怪我してるの?見せてみなさいよ。」

 

先ほどの三原のように服をまくり上げたアクアが眉を顰める。

 

「酷いわねこれ。ゴリラにでも殴られたわけ?ヒール!」

 

回復魔法一回で青みが完全に引く。

どうやら痛みを無くなったようで、ようやく人心地ついたのか和真が深く息を吐いた。

 

「はぁ~、助かった。ダストのほうも頼むよ。念のため。」

 

「はいはい。ヒール。で?何があったのよ。」

 

「それが・・・」

 

なんといったものか、口ごもる和真は三原に目をやった。

自然、アクアの目線も三原に向かう。

 

「・・・詳しい話は明日にしよう。今日はもう遅いし、ダストもこのまま寝かしておいたほうがいい。明日、改めて時間を作るよ。お昼に冒険者ギルドに来てくれないか?ダストにも伝えておいてくれ。俺はまだ少しやることがあるから。」

 

そういうと、三原は踵を返して馬小屋から出て行ってしまった。

うーん、と首を傾げるアクア。

 

「あんた達、天使にでも襲われたわけ?」

 

「は?天使?なんで?」

 

「なんというか、カズマの傷に天使の気配が少しあったのよ。私の回復魔法でもう塗りつぶしちゃったけど。」

 

「天使・・・いや、あれは天使って感じじゃなかったなぁ」

 

イカ天使とかなんか嫌だろ。

和真は内心の言葉を吐き出すことなく、ダストの横に倒れこむと、そのまま眠ってしまうことにした。

一方で、馬小屋から出てきた三原は置きっぱなしにしていたバイクに急ぎ足で戻ると、そのまま付近を探索していた。

 

(あのオルフェノク・・・弱すぎた。あれは、オリジナルじゃない(・・・・・・・・・)。まず間違いなく、このアクセルのどこかにオリジナルが居るはずだ。)

 

三原の捜索空しく、ほかのオルフェノクの姿は見つけられなかった。

空が白んできたため、三原は捜索をきりあげるのだった。

 

 

★★★★★

 

 

翌日、昼。

午前の配達をいつも通り終えた三原がアタッシュケースを片手に冒険者ギルドの酒場に顔を出すと、既に主だったメンバーは集まっていた。

和真とアクア、ダストとそのパーティメンバーであるリーン、キース。

まず何から話したものかと三原が考えていると、切り出したのはキースだった。

 

「俺は昨日、消耗品やらなんやら買いに行ってたから酒場には行ってねえんだけど。結局のところ何があったんだよ?朝帰りかましたダストに聞いてもシュージが話すとしか言いやがらねぇ。」

 

その発言を受けて、和真が口を開く。

 

「昨日、ダストと飲んだ帰りに・・・」

 

帰り道に具合の悪そうな男を見かけたこと。

ダストが声をかけたら腕を振り払われ、ダストがキレたこと。

そして、その男が灰色のイカのような化け物に変身したこと。

三原が助けに来てくれて、その時に三原も黒い姿に変身したこと。

三原も変身したというくだりで、全員の視線が三原に集まる。

みんなの視線をうけて、今まで沈黙していた三原が重い口を開いた。

 

「昨日、二人を襲ったのは、オルフェノクという化け物だ。」

 

その言葉に和真が目を見開く。

 

「お、オルフェノクって確か、三原さんが戦ってたっていう?」

 

「そうだよ。俺は元の世界で、ずっとオルフェノクと戦っていた。これの力を使ってね。」

 

三原がテーブルの上にアタッシュケースを置き、蓋を開く。

中身はデルタのベルト。

 

「これは、デルタのベルトというんだ。これを装着したものは、昨日和真君が見た姿、デルタに変身することが出来る。人知を超えた力を振るうオルフェノクに対抗できる、数少ない力の一つだ。」

 

「おい、ちょっとまて。さっきから何の話してやがんだ。俺様にもわかるように説明しやがれ。」

 

和真と三原の会話にダストが割り込む。

それを受けて、三原は一度頷くと、

 

「そのためには、まず、俺がどこから来て何をしていた人間なのか、ってことから話す必要がある。」

 

そうして三原は語った。

自分がこの世界の人間ではない事。

別の世界でオルフェノクという怪物と戦っていたこと。

デルタのベルトの力。

そして、自分の最期。

一通り三原が語り終わると、全員話を咀嚼しているのか、場に沈黙が落ちる。

最初に口を開いたのはダストだった。

 

「ってことはアレか?同郷だっていうカズマもそのオルフェノクと戦ったことがあんのか?」

 

「いや、ごめんダスト。正確には同郷じゃないんだ。同じ日本人ではあるんだけど、和真君はもっと平和なところに居たみたいだから。」

 

「ふーん・・・。で?正直眉唾だが、昨日実際にそのオルフェノクとやらには会ってるからよ。丸っきりウソってこたぁねえんだろ。だがよ。異世界の化け物のはずのオルフェノクがなんでアクセルに居たんだよ?」

 

ダストの言葉に、三原は無言で首を振った。

 

「わからない。でも、オルフェノクっていうのは人類から生まれてくるんだ。もしかしたら、この世界でもオルフェノクに覚醒する人間が出始めているのかもしれない。」

 

オルフェノクとは人類の進化系だ。

極論、人類さえいればどこでも生まれる可能性がないとは言い切れない。

そこで、今度は和真が口を挟む。

 

「オルフェノクとして覚醒?オルフェノクって、オルフェノクとして生まれてくるわけじゃないんですか?」

 

「それは違うよ和真君。オルフェノクは、元はただの人間なんだ。これはあくまで俺の世界での話だから、この世界でもまるっきり同じじゃない可能性があることを念頭に置いて聞いてくれ。」

 

三原は語る。

オルフェノクの因子を持っている人間が死んだ時、オルフェノクとして蘇生すること。

そうして蘇ったオルフェノクを、便宜上オリジナルと呼んでいること。

 

「そして、俺達の世界がオルフェノクに支配された最大の要因が、もうひとつのオルフェノクの生まれ方。オルフェノクは、人間をオルフェノクにすることができるんだ。オルフェノクが人間を襲うのは、ほぼこれが目的といってもいい。」

 

「人間を・・・オルフェノクに!?じゃ、じゃあ、昨日襲われた俺達は・・・!」

 

さっと顔が青くなる和真とダスト。

三原は狼狽する二人に安心するように笑みをむけた。

 

「大丈夫。昨日まっさきに傷を確認しただろう?その兆候はなかったよ。」

 

三原の言葉に、ほっと息をつく二人。

今度はダストが三原に質問を投げる。

 

「その兆候ってのは具体的になんなんだよ?」

 

「オルフェノクが仲間を増やす時は、傷口から灰が零れるんだよ。あとは、傷口が体を貫いて内蔵に達しているのも条件だ。奴らの攻撃が内蔵に達すると、内臓が一度灰になり、オルフェノクの体に作り替えられるんだ。」

 

その説明に流石に気分が悪くなったのか、ダストの表情がげんなりとしたものに変わる。

三原は一度苦笑をこぼしたあと、真剣な顔に戻ると説明を続けた。

 

「ただし、人間が全員オルフェノクになるわけじゃない。オルフェノクの力に耐えきれなかった人間は、そのまま全身が灰になってしまう。最近アクセルで、失踪事件とかなかったかい?灰の山が見つかったり、失踪者の服とか身に着けていたものだけが残ってたりとか。」

 

その手の噂に強いのはキースだ。

ダストがキースを見やるが、キースは無言で首を振った。

 

「そんな噂は聞いてねぇな。失踪事件なんかも、アクセルじゃそうそう起こるもんじゃねえ。たちどころに噂になるはずだ。俺は一度も聞いてないぞ。」

 

そのキースの言葉に三原は大きく動揺したように見えた。

 

「・・・これは思っていたよりマズイかもしれない。」

 

「あ?どういうことだよ。失踪事件がおきてねーってんだからオルフェノクに襲われた人間がいねえってことじゃねえのか?」

 

「違う。オルフェノクに襲われた人間が失踪扱いになっていないってことだ。」

 

その言葉の意味に真っ先に気付いたのは和真だった。

 

「オルフェノクに襲われた人間が全員オルフェノクになってるってことですか・・・!?」

 

「・・・多分。そもそも、俺達の世界がオルフェノクに支配された一番の原因が、オルフェノクの力に適応できる人間が多すぎたことなんだ。オリジナルのオルフェノクが、人間をオルフェノクに。そのオルフェノクが別の人間、また別の人間、と。オルフェノクがネズミ算で増えてしまった。そのうえ、オルフェノクは人間体の時は見た目で判別が全くつかない。気づいた時には既に対処不能なほどオルフェノクの数が増えてしまっていたんだ。・・・もし、この世界が同じ状況になりつつあるなら。」

 

その場にいたほぼ全員の顔から血の気が引いていく。

もしかしたら、知り合いの中にオルフェノクになっている奴がいるかもしれない。

その事実が、重くのしかかる。

と、重い沈黙に包まれた中、能天気な声が響いた。

 

「そんなことにはなってないと思うわよ?」

 

「アクアさん?」

 

終始不思議そうな顔で話を聞いていたアクアだ。

 

「難しい話はよくわかんなかったけど、ようはオルフェノクってのは人間を仲間にできるテンプレのゾンビ映画みたいな増え方するのよね?で、昨日カズマを襲ったのがそのオルフェノクなら、私、一目で人間かオルフェノクか判断できると思うわ。少なくとも、アクセルで今まで見かけた人にオルフェノクは居なかったと思うの!」

 

「そ、それは本当かい!?」

 

勢い込んで、三原が訪ねると、その勢いに驚いたのか、アクアがちょっと怯んだ。

 

「え、ええ。だって、昨日のカズマの傷跡には、天使に似た気配の力の残滓が残ってたのよ。多分、オルフェノク自体はもっと強い天使の気配を纏ってると思うから、なんなら近くに居るだけでわかると思うの。少なくとも、この周辺にはいないわね!」

 

アクアのその言葉に、全員の強張っていた体から力が抜けた。

どこか得意げにしているアクアにダストが疑問を投げた。

 

「オルフェノクがいねぇってのは結構なんだがよ。本当にわかんのか?天使の気配なんてよ。」

 

「わかるわよ!私は女神!水の女神なんだから!天使の気配にはかなり敏感だと思うわよ!」

 

「と、女神を自称してるただのアンポンタンだからあんまり真に受けないでいいぞ。ただ、プリーストとしての力は本物だから、天使の気配が分かるっていうのは本当だと思う。」

 

「なぁんでよぉ!」

 

和真の辛辣な物言いに、半泣きで喚き散らすアクアを見て苦笑いを浮かべる三原。

意識して顔つきを真剣なものになおすと、一度咳払いをして空気を戻す。

 

「と、なると。あのオルフェノクはアクセルで襲われたんじゃなくて、外でオルフェノクに襲われた後にこの街になんらかの目的で入ってきた、と考えるのが妥当かな。」

 

その発言に、和真が首を傾げる。

 

「あいつがオリジナルのオルフェノクで、覚醒したって線は考えないんですか?」

 

「違うよ。あいつはオリジナルじゃない。」

 

その言葉に、三原は確信を込めていた。

 

「オリジナルのオルフェノクは、恐ろしく強いんだ。・・・あいつはオリジナルにしたら弱すぎる。」

 

「弱い・・・あれで・・・?」

 

和真とダストは、昨夜襲われた時を思い出す。

命がけで時間を稼いだ和真はもちろんのこと、ダストも、一瞬で接近してくるスピードと人間を吹き飛ばすパワーは身をもって体験した。

だが、三原の口ぶりからすると、オリジナルは比べ物にならないくらいには強いようだ。

戦えば明らかに違うと思えてしまうほどに。

そのことに、ダストと和真は恐怖した。

和真は震えを隠そうともせずに、ダストは抑え込んだが、わずかに震えた指先が視界に入り、盛大に顔をゆがめた。

ふと、顔を上げたダストの視線がテーブルの上のデルタのベルトにむく。

 

「なあ。そのベルトを使えば、俺もそのデルタとやらに変身して、オルフェノクと戦えるくらい強くなれるんだよな?」

 

その言葉に三原は頷いた。

 

「そうだね。でも」

 

オススメはしない。

そう続けた三原。

 

「なんでだよ。なんかあんのか。」

 

「デルタのベルト・・・というか、ほかにも何本か俺の世界に存在していたベルトも、オルフェノクの因子に適応できない人間が灰になるように、適正のようなものがあったんだ。適応できない人間が変身すると・・・」

 

そこで言い淀んだ三原に、少し顔を青くしたダスト。

 

「ま、まさか灰になんのか?」

 

「いや、他のベルトだと灰になってしまう物もあったけど、デルタのベルトはそうじゃない。・・・性格が変わるんだ。」

 

「性格?」

 

そこだけ聞くと、灰になることと比べると大したデメリットには聞こえない。

一同、不思議そうな顔になる。

 

「そう。俺達も最初は、特に副作用らしいもののないデルタのベルトを戦える者で使いまわして戦っていた。でも、デルタに変身した人間は、一部適応できた人を除いて、とても攻撃的になるんだ。そして、ベルトに強い執着を見せるようになる。」

 

性格が攻撃的になり、強い依存性のあるデルタのベルト。

そんなベルトの影響下にある人間が複数集まったらどうなるのか?

結果は火を見るよりも明らかだった。

 

「仲間内で凄惨な殺し合いが始まった。デルタのベルトをめぐって、多くの仲間を失ったよ。ついこの間まで、みんなで笑いあって過ごせていたのに、本気で憎しみと殺意を持っての殺し合いが始まったんだ。紆余曲折あって、結局デルタのベルトは適応できた俺が使う事になったけど。」

 

その話を聞くと、途端にデルタのベルトが呪いの装備のようにおどろおどろしい物に見えてくるから不思議だ。

 

「まあ、そんなところだから、ベルトを使うのはあんまりオススメしない。どうなってしまうかわからないからね。だから、もしオルフェノクを見つけたら、下手に戦わないで俺を呼んでほしいんだ。これからは配達の仕事も調整してもらって、アクセルからすぐ近くのところまでに限定してもらうつもりだ。日中はなるべくこの冒険者ギルドにいるからさ。」

 

三原のその言葉で、一旦集まりはお開きとなった。

 

 

★★★★★

 

 

魔王城。

人類の不倶戴天の怨敵である魔王の住む城。

周囲は強力な結界で覆われており、認められた者しか入ることが出来ない。

 

その城で殊更警備の厳重な部屋があった。

玉座の間、魔王の御前である。

玉座には老いた魔王がおり、その正面には膝まづく事すらせず、一人の男が立っている。

魔王相手にへりくだる気配を見せず堂々としているが、魔王がそれを咎める様子もないことから、二人が対等の立場であることが伺える。

魔王が男に向かって口を開いた。

 

「それで?抜け出したオルフェノクは見つかったのか?」

 

「いえ、それがどうやら、始末されたようですね。」

 

「なに?」

 

淡々と返す男に、魔王が怪訝な様子で聞き返す。

 

「オルフェノクは人類の進化系。上位冒険者にすら負けはしない、と聞いていたのだが?」

 

「その通りです。が、何事にも例外はある。」

 

男は整った顔立ちを皮肉気に歪めると、

 

「デルタのベルト・・・あれを確保する必要がありますね。あれは本来、私たちの物だ。」

 

「フン、随分簡単に言うな。アレに苦労していたと聞いたのだが?オルフェノクもあっさりやられてしまったようだしな。」

 

「なんの問題もありません。やられたのは所詮オルフェノクの中でも下の下です。私がこの世界で見つけだした上の上の方たちなら簡単に成し遂げてくれるでしょう。」

 

自信満々の笑みを浮かべた男に、魔王は一つ頷く。

 

「では、任せるとしよう。」

 

男はその言葉を受けて、背を向けて玉座の間を退出した。

 

「下の下、ですね。」

 

魔王に聞こえぬようにそう零して。




お読みいただきありがとうございました。

劇場版555でオルフェノクがあんなに増えてしまったのは、テレビ版の世界と比べてオルフェノクに成れる人が凄まじく多かったのでは?という解釈です。
テレビ版だと殆どの人間が灰になるって話だったのに、劇場版で普通に社会を運営できるくらいオルフェノクが居ましたからね。
そりゃあファイズ、カイザ、デルタ+木場さん達の勢力じゃあネズミ算で増えるオルフェノクに勝つとか無理だよなぁと。

次回からはこのすばのストーリーにも絡んでいきます。

デルタギアの作中での呼び方について。テレビ版では巧達は「〇〇ギア」という呼び方をあまりしていなかった記憶があり、拙作でも「〇〇のベルト」という呼び方にしています。しかし、読んでいて「〇〇ギア」のほうがスッと入ってくるのかなと。ご意見お聞かせください。

  • デルタのベルト(現状維持)。
  • デルタギア
  • いいから続き書くんだよ
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