需要あれば続き書く
西暦2133年
一世を風靡しているゲームがあった。
DMMORPG「ユグドラシル」
西暦2126年日本のメーカーが満を持して発売した、仮想世界内で現実にいるかのように遊べる体感型ゲームである「ユグドラシル」は数多存在するDMMO-RPGの中でも燦然と輝くタイトルとして知られているゲームであり、日本国内においてDMMO-RPGといえば「ユグドラシル」を指すとまで言われる評価を受けていた。
その自由度の高さと運営のぶっ飛び具合から多くのゲーマーを魅了したこのゲームにおいて発売から7年、1つの伝説が幕を下ろそうとしていた。
ユグドラシル。
世界樹の周囲には普段であればあり得るはずのない光景が見れた。
1人の横たわる異形の男がピンク色のスライムの異業種に膝枕をされている。
その近くには39人の異形たる存在が2人を囲んでいた。
41の異形。一様にその指には同じ指輪がはめられている。
さらにその周囲には種族問わず多くのプレイヤーが彼らを囲んでいた。
再度言う。
これはあり得ない光景だ。
異業種狩りと呼ばれる行為が行われる「ユグドラシル」において、異形の者もそうでない者も一様に集うことなどほとんどない。
だが、今日この時においてはその限りではなかった。
『は、は。なんだこの光景は』
その言葉は漏れ出た。
ユグドラシルの真下にいる41人。
その中心地にて横たわる男は瞳に涙が浮かび上がる。
『こいつは夢でも見てるのかなぁ』
『夢ではない』
漏れ出た言葉に答えたのは厳格な声色の骸骨だった。普段とは違う、ロールプレイがかったその口調が、その男には今は心地が良かった。
『見ろ!ーー!!この光景を!今ここに多くのプレイヤーが集まっている。種族問わずにだ!これは我々だからできたことではない。お前が、ーーというユグドラシル最強のプレイヤーだからこそ作れた光景なのだ』
その声は厳格だが、どこか震えていた。
しかし、それでも骸骨、オーバーロードたる存在は言葉を続ける。
『聞け!集いしプレイヤーよ!ユグドラシルという世界を楽しむゲーマーたちよ!今日、ユグドラシル最強のプレイヤー星王がこの世界を去る!これは避けられぬ運命だ!』
その言葉を周囲の者は静かに聞く。
『だが、星の息吹が消えようと我々は忘れない!星王という偉大な男が居たことを。我々は忘れない!かの者の偉大な功績を!』
オーバーロードのないはずの瞳が見える。
潤み、今にも溢れ落ちそうな涙が。
『星王は不変の伝説である!』
その言葉を最後に割れんばかりの声が響く。
オーバーロードへの賛同の声もある。
去りゆく星王への嘆きの声もある。
多くのものがその瞳に涙を浮かべていた。
皆が一様に彼が去ることを惜しんだ。
そんな光景を見た星王。
横たわる異形から一筋の涙がこぼれた。
『は、はは。そうか、これが俺が生み出した光景か。俺が歩んできた軌跡か
なぁ。俺はさ…
ずっと…ずっと…考えてたんだ。
俺がリアルに、ユグドラシルに存在する
意味はなんだろうって…………
たくさんの金や薬、機械を使って
多くの人に迷惑をかけてまで……
1人生き永らえたのに、
リアルでは周りからは虐げられて
何も生み出すことも与えることもできず
悩み苦しみ、悶えて
その果てにただ消えるだけなら
まだ家族が生きていた
あの瞬間にみんなと一緒に
いなくなっていた方がよかった…
何度も何度もそう思った。
なんで俺は生き永らえたんだろうって…
だが……だが!!!
この世界に来て
茶釜に会って、お前らに会って、
アインズ・ウール・ゴウンに出会えて
ようやく答えが見つかった気がする。
意味なんてなくても生きてていいんだって
だって最後の瞬間がこんなにも
満たされているんだから………
この世界に来て
たくさんの人と出会って
親友ができて、ライバルができて
そして大好きな人ができた………
そうして今大好きな人の腕の中で
旅を終えられるんだから………
俺はこの世界に来れて……
茶釜や皆に出会えて本当によかった。
皆と一緒にいて本当に幸せだった。
今までありがとうな。
俺を受け入れてくれて…
俺と一緒に生きてくれて…
俺の過去を受け入れてくれて…
本当にありがとう。
もうこの旅が終わっても……
俺はまた新しい旅が始まったら
またお前らに出会い、
またお前らと冒険をする。
何度だって、何度だって、
お前らと出会い、
お前らと冒険をしよう。
俺の愛する
アインズ・ウール・ゴウンと共に』
万感の思いを込められた言葉。
それを皮切りに、耐えていた彼の仲間もついに耐えきれなくなった。
『馬鹿野郎!こっちの台詞だ!!何度だって、何度だって……これで終わりになるわけがねぇだろう!』
『礼を言うのはこっちだ……何度お前に助けられた、何度お前に救われた!お前が居たから俺らは!!!』
『そこでその言葉はズリィだろうが……』
湧き上がる感情が止まらなかった。
自分達では止められないほどの感情が溢れ出ていた。
その声を聞き満足げに微笑みと彼は一度瞳を閉じる。
瞼の裏に浮かぶのは彼らとの旅路。
そして……
彼女との日常だった。
『ありがとな茶釜』
『こっちこそありがとう』
瞼を開け礼を述べる彼の言葉に、彼女は簡潔に応える。
世界樹のもとに来るまでに、すでに互いの思いは告げた。
もはや、交わす言葉はもはや交わし終えた。
『あばよ、ダチ公』
そう言って閉じられた瞳が
再び開かれることはなかった。
存続の必要性
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続き欲しい
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いらない