初代雲の兄弟 霧雲の守護者になった者   作:白炉丸

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邂逅、武器チューナと大地

イタリアを旅してしばらく、僕はある武器商人と出逢った。

 

 

彼の名はジャンカルロ。知り合いにはジャンと呼ばれているそうだ

小太りの彼は、前世、ボンゴレ専属武器チューナの彼にどこか似ていた

 

彼の趣味は武器の改造だと言う。

僕は彼から武器を買い、それを彼に改造してもらうことにした。

武器の改造程度僕にも出来るが、彼の腕を見るために、あえて任せてみた。

 

 

その結果は上々

 

僕が買ったのは なんの変哲もない三節棍

なんとなく手に取ったそれだが異様に手に馴染んだ。

その三節棍が彼の改造によってこう↓なった。

 

 

 

・服の中に隠せる大きさまで畳める。

・完全に組み立てることで棒状になる。

・節の部分は鎖で繋げられている。

・全て伸ばすと身長の倍ほどになる。

(持ち手の棒+鎖)

・任意の場所から(トゲ)が出る。

 

 

今のところ、仕掛けはこれだけのようだ

身長が伸びたら調整するからまた来てくれと言われた。

 

 

一先ず、武器はこれでいいかな。

 

 

 

さて、次は何処へ行こうか。

 

 

 

 

 

  

 

 

 

 

 

∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 やっと着いた… 」

 

 

3週間ぶりに町のある場所にたどり着くことができた

 

三節棍に慣れるために賊潰しをしていたら面倒事に巻き込まれたり、解決したと思ったら天候が悪化し足止めをくらうことになったりと、色々と時間が潰れてしまった。

 

まあそれが旅の醍醐味(だいごみ)というやつで、咬み倒せる草食動物も少なからずいたから、これという不満はないんだけどね。

 

 

 

町に着いた時にはすでに日が落ちかけており空は橙色に染まっている

 

僕は宿を探すため町中に足を進めた。

 

 

 

しばらく大通りを進むと2人の男女が目に止まった。

男の顔は赤く、片手に酒を持っていた。酔っているのだろう男は、女を壁際に追い詰めている様な形で片手を壁についている。いわゆる壁ドン状態だ。

 

迫られている女性は困ったように眉をひそめていた。買い物帰りなのだろう、袋を抱え両手が塞がっている。

 

 

 

 

僕は何となく、男をボコりその女性を助けた。

 

助けた女性に感謝の言葉を言われ、何かできることはないかと聞かれた。その言葉に、僕はこの町の宿屋の場所を問いかけた。

しかしこの町には宿屋が無いという事が分かった。最近物騒で何処もかしこも店を閉めているそうだ。唯一開いていた宿も、数日前に揉め事が起こり閉めざるを得なかったらしい。

 

 

いつも通り野宿でもするかと考えていたとき、助けてくれたお礼として家に泊まりに来ないかと言われた

 

旅をしている身で野宿には慣れていると断ったが、子供に遠慮させるわけにはいかないと、半ば強制的に女性の家に連れて行かれた。

 

行った方が良いと勘が言ったため、僕は抵抗せず彼女について行く事にした。

 

 

 

 

 

道すがら彼女と話した

彼女には夫と一人息子がいるのだと教えられた。夫は仕事で数日帰ってこないらしい。

 

 

 

彼女の家に着くと家には男の子がいた。彼女と同じ赤毛の髪をしている彼はシモン=コザァートと名乗った。

 

 

 

彼女が食事の準備をしている間、僕は彼にせっつかれて旅の話をすることとなった。僕が旅をしていると知った彼は途端に目を輝かせていた。

 

 

 

 

それから一緒に食事をとり、寝るまで彼に旅の話をした

 

誰かと共に食事をとるなど久しぶりで、少しアディのことを思い出し懐かしくなった。

そういえば家庭料理なんて何年ぶりだったか…。

 

 

 

 

僕は彼と同じ部屋で寝ることになったが、他人の気配があるというのはなかなか落ち着くことができない

 

僕は夜中にこっそり抜け出して、情報収集の為夜の町に足を運ぶことにした。

 

 

 

 

*

 

 

彼らが目を覚ます前、日が昇る前に家に戻った。

 

時間が経てば彼らも起き、朝食を共にした。

 

 

彼女が、今日はどうするのかと聞いてきたので、一先ず町を見て回ると答えた。

すると彼女は、それならばと、彼に僕の案内を任せた。彼はすぐに頷いて、僕と共に町へと足を進めた。

 

 

 

 

 

町で子供達と出会った。皆彼の友達なんだそうだ。

 

町の案内に子供達も付いてきた。うるさいのは嫌いなんだけどな。

 

 

 

昼なり案内は中断、家に戻り昼食をとった。

 

 

昼からの案内は断り、1人で町を回った。

見つかり絡まれては面倒なため、幻術で姿を変え僕だとは悟らせないようにした。

 

 

 

 

 

夕方、外に出ていた彼と合流し家へと戻る。

 

 

夕食の時、明日には町を出ると彼らに言った。

急な言葉に彼らは驚き残念がった。

 

早めに言ってくれれば夕食を豪華にしたのにと彼女が言った。

 

 

ただの気まぐれで伸ばした手にそこまでしようとする彼女が、少し、、、

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

気持ち悪かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夜が明けた。

 

 

朝食を食べ家を出る。

 

 

送ると言った彼と町を歩いていると、ガラの悪いのに出くわした。この辺りを荒らしまわっているグループの奴ららしい。

 

彼が近くの店の者に問いかけた。

どうやら荒くれ者共は人を探しているそうだ。

昨日の昼、白マントに仲間がやられ、そいつを探しているという。見つけ次第殺すつもりなのだろう、荒くれ者共の手には刃物が握られている。

 

 

荒くれ者共が僕達の方に来た、僕がこの辺りでは見かけない者だから目をつけられたようだ。

 

刃物を突きつけられた僕を彼が前に出て庇う。

 

全く、倒せるだけのチカラが無いのに何故そんなことをするのか、僕には理解出来ないな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

荒くれ者共は呼びに来た仲間と共に何処かへ消えて行った。そうじゃなきゃ僕が咬み倒していた。

 

 

僕はここまででいいと、途中で彼と別れた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「 久しぶりの獲物だな 」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

夕闇の中、路地裏にて動く影が一つ、カーカーと鳴き声を当てられながら目的を持って進んでゆく

 

 

全身を白いマントで包んでいるその顔は左側だけに赤い模様が入っている仮面に隠されている。

 

 

 

 

それが進んだ先にあるのは荒くれ共の巣

 

それはその騒がしい巣に入っていった。

 

 

 

聞こえてきたのは叫び声呻き声喚き声

 

一刻も経たない内にそれらの声は全て消え、巣の中から出てきた白マントには 所々に赤色が付着している。

 

 

 

 

 

現れた場所では多くの生が消える

そんな彼を、人々は‘‘Morte(死神)’’と呼んだ。





↓手描きモルテ

【挿絵表示】

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