オリ主がGS世界で色々変えようと奮闘するお話   作:ミニパノ

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いかんいかんいかん、ドラ○エで歩いたり、艦○れでイベントやったり、仕事炎上してる場合じゃない……!
書かねば……!
(GS美神コラボカフェ、2回目行ってきました笑)

※あ、サブタイですが、暴走と言っても別に主人公がいきなり霊力に目覚めて無双!……とかではないので、あしからず……。

追記:今回、視点がコロコロ切り替わります。


10:蛇・暴走・反省~プリンス・オブ・ドラゴン~

「なるほど、その天龍童子、ってのを見つけ出せばいいのね」

 

「はい、人間の都は勝手がわからず」

 

今、目の前では美神さんがお客様と依頼について話している。

そのお客様が俺にとっては問題なのであるが。

 

……時たまチラチラとこっちを見るのをやめていただきたいです。

 

……小竜姫様……。

 

そう、今事務所には小竜姫様が来ており、竜神の王子が家出したとのことで美神さんに捜索を依頼しているところなのだ。

 

「解ったわ、準備したらすぐに出かけましょ」

 

どうやら商談は成立した様で、美神さんが出かける準備をしにリビングを出ていく。

あぁ、二人にしないでほしいのに……。

だからそのじーっと俺を見るのをやめて下さい小竜姫様。

 

「シュウさん?」

「は、はいぃ!」

 

笑顔で俺の名前を呼ぶ小竜姫様を見て俺の身体が硬直する。

いつも思うけどこの世界の女性陣の笑顔って何故か迫力ある人多くないか?

 

「そ、そんなに驚かなくても……」

 

「い、いや、それは……」

 

「はぁ、私に隠し事してるという自覚はあるんですね」

 

「そ、それは」

 

ため息をつきながら悲しそうな表情になる小竜姫様。

ちょっと老師!何で小竜姫様に上手いこと言っておいてくれないんですか!

 

「老師も私はまだ未熟だからこの件に関しては話せん、の一点張りで、いずれ知る時が来るとしか言ってくれませんし、シュウさんに問い正すのも禁止されてますが」

 

おぉ!グッジョブ老師!

 

「こうもあからさまにのけ者にされると……。私は、シュウさんにも老師にも信用されてないのでしょうか……?」

「え、あの、いや、その……ですね……」

 

ギャー!!小竜姫様が涙目にぃ!

そ、それは反則やぁ!!

 

「ほら行くわよ、ってどしたの?」

「いいえ?何でもありませんよ?さぁ行きましょうか」

 

……美神さんが来た瞬間コロっと表情を変えたってことは、……小竜姫様、意外と強かですね。

 

「あら、シュウさんが真っ直ぐ過ぎても良くないと教えて下さったんですよ?」

 

美神さんの後を追う俺の耳元で、すれ違い様に小竜姫様が囁く。

……って俺のせいか!

顔を真っ赤にしているところを見ると結構無理をしているんだろうか。

うーん、小竜姫様が心に余裕を持てたのはプラスと言っていいのかもしれない。

……良いのか?

 

「あ、それはそうと、鬼門も小竜姫様も着替えて頂戴。そんな格好じゃ目立って仕方ないわ」

 

「え?」

 

美神さんが小竜姫様を引きずって奥の部屋に入っていく。

 

それはさておき、これがメドーサとの最初の接触になるのか。

後ろにアシュタロスが居るであろうことも考えると、ここから色々始まると覚悟を決め直したほうが良さそうだな。

あまり顔を知られたくも無いけど、関わらないのは難しいし、動き方次第では裏方に回るしか無い。

後は、この事務所が破壊されるかどうかで、人工幽霊の事務所に移れるかも気になるところだ。

恐らくだけど、ここが破壊されるかどうかは関係なく、事務所から呼び出しが入るとは思うからなぁ。無駄に事務所を破壊されることを前提に動く必要は無いだろう。

というか、事務所が大爆発とか、リスクでしかないことに向けて積極的に誘導する気は全くない。

 

そんな事を考えていたら現代の服装に着替えた小竜姫様がおキヌちゃんと一緒に出てきた。

 

「なんだか恥ずかしいですね。おかしくはないでしょうか?」

 

「似合ってますよ」

 

「からかわないで下さい。私だって恥ずかしいのを我慢しているんです」

 

恥ずかしそうに苦笑する小竜姫様に対し、笑顔で褒めるおキヌちゃん。

出てきた小竜姫様はスカートを履いていた。

素晴らしい。あ、いや、そうじゃない。

いやでも、やっぱり漫画で知ってるのと、実際に目の前で見るのとは全然違うなぁ。

眼福眼福。

 

「いや、冗談抜きに可愛いですよ。いつもの服装も似合っていていいですけど、何というかギャップがあって凄く可愛いです」

 

「かっかかか、からかわないで下さい!!」

 

「ぬわー!!」

 

「しゅ、シュウさーん!」

 

俺がおキヌちゃんの意見に同調すると、顔を真っ赤にした小竜姫様が何故かいきなり霊圧を解放する。

当然押し潰される俺。

 

「ぐぎぎぎぎ……し、しぬぅ……」

 

え?いやなんで?

おキヌちゃんの時とリアクション違いすぎません?

下手したら死んじゃいますよこれ?

 

「あー、シュウくん、誰にでもそういうこと言ってたらいつか死ぬわよ?」

 

「い、意味がわからないです……!というか小竜姫様、霊圧抑えてくれないとし、死んでしまいます……」

 

いや褒めただけやん。

可愛いから可愛いって言っただけなんですけど……。

 

 

 

 

 

気を取り直して、天龍を探して街を歩く一行。

美神さん、おキヌちゃん、小竜姫様、鬼門二人、俺、と結構な人数になっている。

鬼門の二人も人間に変装しているのだが、コイツら身長でかいな……。ちくせう、俺の低身長が目立つ。

 

まずは天龍を見つけるところからだな。

なるべく皆とはぐれないようにするところから……。

 

と思ってたんだけどなぁ。

 

 

 

 

「あれは何ですか?!シュウさん!入ってみましょう!」

 

「いや小竜姫様、天龍様を探さないと…………ってそこはいかがわしい映画をやっている場所なので入っては駄目です!!」

 

「わ?!ハダカの女性が!……国天んらんい「読むなぁ!!」」

 

知らない人間界を見て、小竜姫様のテンションが上がっております。

しかもしっかり皆とはぐれてしまって、俺、小竜姫様、おキヌちゃんの三人で街を彷徨くことになってしまった。

多分今頃、横島が何故か天龍と一緒に居て、それを見つけた美神さんが追っかけて、しかもそこに敵が居ちゃったりするんだろうなぁ……。

ほんで横島だけが捕まっちゃって、美神さんがそれをシレッと見捨ててるんだろうか。

 

――その頃――

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「わぁぁ!」

「よ、横島ー!放せ!横島は余の家臣なのじゃ!」

「奴らの狙いはあんたなのよ!」

「そ、それじゃ俺はー?!美神さーん!!」

「死ぬんじゃないわよっ!」

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――大正解だったりする――

 

 

しかしテンションが上がっちゃってるからなんだろうけど、小竜姫様が俺の腕を取って引っ張り回してくるのが役得……ゲフンゲフン、いや、そんなことしてる場合じゃないし。

小竜姫様も少し身長が低めなのもあって、腕を組んでるような状況のこれはカップルに……いや、良くて姉弟だな、くっ……!

 

「ちょっと失礼」

 

「え?ちょっ。何を…!?」

 

俺の腕を取っている小竜姫様の手を握って、腕から引き剥がす。

ちょっと手を握る形になるが我慢してもらおう。暴走している小竜姫様が悪い、ということで。

 

「天龍を探さなくては、ですよね?このままだと迷子になりますよ?」

 

「あ」

 

小竜姫様の手を握って真正面から(……正確にいうとちょっと下からだけど)小竜姫様の顔を見て言うと、小竜姫様の顔が真っ赤になった。

ははーん、はしゃぎすぎたことに正気に戻って恥ずかしいんだな?

俯いてボソボソとなにやら呟いている。

 

「……し、しまった。シュウさんと二人なのでちょっと浮かれ……いや違います、私は別に。これも老師があれからも色々言ってくるから……!!そ、そうです!殿下を探さないと!」

 

何に反省していたかは知らんが、とりあえず落ち着いてくれたみたいだ。

顔を上げて天龍童子を探す気持ちを改めて決意してくれた。

 

 

「……あの、私もいるんですが……」

 

ごめん、おキヌちゃん、怖い。やめて。

俺の肩に後ろからいきなり顔を近づけて髪を咥えて青白い顔しないで。

……マジで怖いから。

そもそもテンション上がってたの小竜姫様であって俺じゃないじゃん。

それに、小声で私も横島さんとデート……って、聞こえてるよおキヌちゃん。俺達別にデートしてるわけじゃないって。

 

 

 

 

 

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<第三者目線>

 

「…………あれ?何が起きたんだっけ?」

 

「目が覚めたか馬鹿もん」

 

「……老師?」

 

「えっと……ここは妙神山?」

 

目を覚ましたシュウは混乱する。

ここは妙神山、そしてシュウの眼前には斉天大聖のどアップがあった。

一瞬ビクッと身体を震わせながらも、キョロキョロと周りをみて状況を把握しようとするシュウ。

 

何故彼がこんなところで目を覚ましたか、というと少し時間を遡る必要がある。

 

 

 

 

 

 

――夜――

 

小竜姫とシュウ、そしておキヌは天龍を探して回っていたが、結局見つけることは出来なかった。

そこにシュウからの提案で事務所の方へ向かっていたところ、電気屋のテレビに流れていたニュースで美神の事務所が夕方に大爆発していたことを知る。

そのまま事務所方面へ急行していたところ、ボートに乗った状態でメドーサに襲われる美神一行を発見。

何故か竜族が味方に二人増えており、鬼門が居なくなっていたが。

 

シュウとおキヌは陸から応援していたが、状況は悪くなる一方であった。

一人の竜族が天龍を庇い、メドーサの使い魔に噛まれて石化。

それに激昂したもう一人の竜族がメドーサに特攻。

小竜姫と戦っていたメドーサだったがそれを見て即座に竜族へ攻撃を加えるが、それをかばって小竜姫が怪我を負う。

 

小竜姫は最後の手段と、美神に自らの篭手とヘアバンドを渡して美神の強さを小竜姫と同じまで上げる。

横島達はシュウとおキヌの居る岸にボートを寄せるのだった。

 

 

 

 

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〈横島視点〉

 

ボロボロの小竜姫様とヤームが、空中で戦う美神さんのところへ向かった。

その背中を見ながら自分に力が無いことを嘆くガキンチョ。

シュウもどうやら同じようなことを考えている様で、自分の手を見てため息をついている。

全く、ちっこいコイツがそんな顔をしてたら、俺が何も考えてないみたいで悪者みてーじゃねーか。

 

「放せ!小竜姫が……小竜姫が……!!」

 

「しょーがねーだろ!俺達が行っても邪魔になるだけだ!」

 

俺の言葉にちくしょうと繰り返し涙する天龍。

そんな天龍のツノが突然生え変わる。

 

これなら!と、まさに天龍が小竜姫様と美神さんの力になろうと飛び立とうとした瞬間、それは起きた。

 

「シュウさん!!」

 

一匹の使い魔に気付かなかったシュウ。

……俺も気付かなかったわけなんだけど。

 

「何っ?!」

 

シュウが驚くが反応は間に合わなかった。

おキヌちゃんがシュウを突き飛ばす。

 

「だ、大丈夫ですか?」

「「おキヌちゃん!?」」

 

少しずつ石化するおキヌちゃんを見て、俺とシュウの声が重なる。

シュウは目を見開いて呆然としている。俺も同じ様な表情をしているのだろうか。

 

「これ、幽霊にも、効くんですね……」

「おキヌちゃん!!」

 

完全に石化するおキヌちゃん。

くそっ!!

た、確か、天龍が石化した者は天界に連れて行って戻せるって言ってたはず!

 

「おい、てんりゅ……?!おいシュウ?!大丈夫か?!」

 

ガキンチョを問い詰めようと振り返ったところでシュウの様子がおかしいことに気付く。

小さな身体を震わせて何かを呟いている。

その姿は、珍しく見た目相応な反応にも見えるが、様子がおかしかった。

 

「俺が……俺の……こんな……何が起きて……せいか?……展開は……知らな……おれの……おれが……おれがここにいるせいで!」

 

パニックを起こしている?!

 

「シュウ!しっかりしろ!おキヌちゃんは大丈夫だ!治るんだよ!落ち着け!らしくねーぞ!」

「そうじゃ!シュウとやら!余が責任を持ってその娘を天界に連れて行って治す!」

 

「おぉぉぉぉ!!」

 

「「?!」」

 

シュウから光の柱が上がる。

俺や天龍の声にも反応せず、光がシュウを包んでいく。

 

「おぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!」

「いかん!霊力の暴走じゃ!横島!おキヌ殿を連れて離れよ!それほど大きな力ではないが暴発する可能性もある!」

「お、おう……」

 

おキヌちゃんを壊さない様にそっともちあげて離れる俺。

天龍はシュウに近付こうとするが、その前にシュウ、いや、あれはシュウなのか?

俺と同じくらいに身長が伸びて、白く染まったシュウが空に飛び立った。

それを呆けて見ていたメドーサ、小竜姫様、美神さん、ノームが居る空中に向かって。

 

 

 

 

<第三者目線>

 

「なんだいアイツは……!何が起きている……!」

 

「いけません!(今まで霊力すら使えなかったシュウさんがいきなりそんな霊力の使い方をしたら身体が持ちません!)」

 

飛び上がったシュウは凄まじい速さでメドーサに迫る。

 

「な、はやい……!!」

 

小竜姫や美神達がメドーサから一旦離れた瞬間、シュウのスピードが上がり、目を見開いたメドーサはその不意を突かれてシュウに殴り飛ばされた。

飛んでいくメドーサを追い抜いて逆側から背中を蹴りあげるシュウ。

 

「な……!!がぁぁ?!」

 

単純な打撃に混乱するも吹き飛ばされながら体勢を整えるメドーサ。

メドーサを相手にするには、暴走しているとはいえ、霊力が圧倒的に足りない。

 

「ぐぅぅ!調子に……乗るなぁ!!」

 

更に追撃しようと再上昇したシュウを刺又で突くメドーサ。

そのカウンターは完璧なタイミングで行われ、シュウの顔面を貫く角度で放った攻撃を見ながらニヤリと笑ったメドーサだったが、その瞬間、シュウの身体が回転して刺又は頬をかするだけとなる。

 

「何?!ぐぅっ!!」

 

シュウの蹴りがメドーサの腹に突き刺さる。

が、大きなダメージにはならず、再度刺又を突き出す。

その攻撃はシュウの肩を貫き、メドーサは再度口を歪めた、しかしその直後メドーサの口が別の意味で歪む。

シュウが自分の肩を貫かれた事などお構いなしにそのまま突っ込んできたのだ。

 

「ちぃ!だが、これで終わりだ!!」

 

しかし流石にプロとして戦いに慣れたメドーサである、すぐに体勢を立て直し回し蹴りをシュウの腹に当てる。そして今度は刺又をシュウの額に向けて突いた。

 

「させんわ!!」

 

が、それが当たる前にメドーサの横顔を霊弾が弾く。ギロと霊弾が飛んできた先を見るとそこには両手を構えた天龍の姿が。

 

「好都合だ!ターゲットから来るなんてな!はははは!手間が省けたよ!!」

 

メドーサはシュウに一瞬目をやり、それを無力化出来た事を確認してから天龍に向き直る。

そこからはシュウが知る流れ通りに進むのだが、湖に落ちていくシュウにはそれを知る由もなかった。

 

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<シュウ目線>

 

そうだ、俺は、おキヌちゃんが石化して、目の前が真っ白に……。

って……!!

 

「おキヌちゃんは?!」

 

「心配するな、天龍童子が天界へ連れて行って治した。今は美神らと共に妙神山で待機しとる。温泉にでも行っとるんじゃないかの」

 

「そう、ですか」

 

「まぁ今回はお主の霊力を無理やり目覚めさせてフォローをしておかなかったわしにも非はあるが、そう簡単に我を失ってどうする」

 

「………………」

 

沈黙が痛い。

俺のせいでおキヌちゃんが危険な目にあった。

俺がいなければ何事もなく終わっていた話が、俺という存在がいるせいで……。

 

「喝ぁ!!」

 

「っ!!」

 

当然の叱咤で身体が硬直する、目の前の存在にはそれだけの威圧感がある。

 

「まだ勘違いしておるようじゃな……、お主、死ぬところだったんじゃぞ……」

 

「……」

 

むしろそうなっていた方が良かったのではないかとすら思ってしまう。

 

「愚か者め……今からそれでどうする。横島を、ルシオラを、仲間を救いたいんじゃなかったのか」

 

「!……救いたいです」

 

「ならば一つ失敗したくらいで心を乱すな。先を知っとるお主が一番冷静さを保たなければならんのじゃぞ」

 

その通りだ。しかし、俺のせいで実際おキヌちゃんは……。

 

「お主、わしの言葉を忘れていないか?……お主が居なかったところで、本当におキヌは石化してなかったのか?」

 

「何を…………っ!」

 

「気付いたか。今回、キッカケは確かにお主をかばったことかもしれんが、本当にそれだけが原因かはわからんぞ。

お主が先を知っとると言っても、それが本当にこの世界の先かは解らんと言ったじゃろう。

お主がおる時点でこの世界はこの世界として独立して進んでおるとわしは考えておる。

それに、今までも知っている知識と違うことは起きておったのじゃろう?」

 

「……」

 

「心当たりはあるようじゃな、さて、何をすれば良いか解るな」

 

「……知ってる未来の情報に囚われ過ぎず、それでいて知ってる未来の情報を上手くつかってより良い方向へ導く様努力する……」

 

「わかっとるならお説教は以上じゃ」

 

本当にこのお方には頭が上がらない。

というか俺の精神が弱すぎるな……。なんだろう、この身体に引きずられているって考えるのは言い訳かな?

そんなことを考えていると、気を取り直して、と老師が椅子に座り直す。

 

 

 

「さて、次にお主に起きた事じゃが、簡潔に言うと霊力の暴走じゃ」

 

気を取り直して煙管に火をつける老師。俺も俯いていた顔を上げて老師を見る。

 

「暴走、ですか」

 

「うむ、まぁ結論としては、ワシが悪い」

 

「…………は?」

 

「お主の霊力を使えるようにしたと言ったが、使い方を教えなかっただろう」

 

「はい、ですがそれは私も納得して」

 

「ならばせめて軽い封印くらいはしておくべきだったのじゃ」

 

「……何故?」

 

「お主に車を与えた、動かし方を教えた、アクセルを踏むということだけじゃな。そして、その車はアクセルが滅茶苦茶堅い、が、本気で踏めば一気に踏み込んでしまう。極めつけは、アクセルの踏み方、まぁ強弱の力加減じゃな、それをわしはお主に教えていない。……これだけ言えばわかるかの」

 

なんで老師が車の事を知っているかは置いといて……それは大事故が起きてしかるべきだな……。

 

「すまんの、とりあえずいきなり暴走しない程度には封印をしておいた。後は上手く霊力を使う方法を知ることじゃ」

 

「ありがとうございます。ちなみに、俺の霊能力って……」

 

「今回は単純に霊力が暴走してお主の身体能力を激しくサポートしただけにすぎん。それこそメドーサとタイマンでやりあっても体術であれば勝てる程にな。それと空も霊力の放出で無理矢理飛んでいたとか。ゆえに能力はまだ解らんよ」

 

残念だ……。霊能力さえ定まれば多少は俺でも前に出て戦える可能性が増えるんだけど。

つか空飛んでたんだ俺。

え、でもそれだけ霊力を出すことが出来たのなら暴走とはいえ今後その力が使えるってことじゃ。

 

「それと、期待をさせて落とすよりさっさと伝えておいた方が良さそうなので先にいうが、残念な知らせじゃ。

暴走した時のお主の霊力は報告から推測するに、大したものではない。

かなり派手に見えるものの、かなり無茶をして暴走したにも関わらず、出力自体は大したことなかったそうじゃからの。

ちなみに小竜姫基準じゃないぞ、一般的な霊能力者より低かったかもしれんそうじゃ。

それを無理やり空を飛ぶなんて無茶なことに使ったせいでお主自身の霊力も枯渇しておったからの」

 

「……凹む情報しかないじゃないですか」

 

「まぁ極端に伸びると期待せずに、コツコツ修行してまずは霊力量を伸ばすことじゃな。あぁそれと、身長は伸びていたらしいぞ」

 

「?!本当ですか?!じゃあこの子供ボディがなんとかなるかもしれないんですか?!」

 

「落ち着け、そうと決まったわけではない。暴走、じゃからな、ちゃんと霊力の使い方を学んでもそうなるとは限らん」

 

……えぇ、残念過ぎる情報以外ないのか。

 

「そう焦るな、とはいっても時間は待ってくれん、どうする、ここらで本当に妙神山に入山するか?

なぁに、使い方さえ解れば暴走は起きなくなる、というか起こせないな。身体が霊力の使い方を覚えてしまえば、むしろ暴走は起こせなくなる」

 

「……お願いします」

 

「ふむ、とはいえ、事務所をずっとあけるわけにもいかんからの、たまに来い。稽古をつけてやろう。本当は纏まった時間が欲しいがの。とりあえず、今からでも始めようかの」

 

「お願い……します」

 

 

そうして、俺はもう一度加速空間に入ることになった。

 

 

 

 

 

 

 

 

「お主……本当に霊力に関してはセンスないのぅ」

 

「……ほっといてください」

 

「まぁ良い、一度霊力を自力で出せただけマシか。これで暴走はほぼ起きないじゃろうが、やはり霊力をちゃんと扱えるようになるには何かきっかけや補助が必要じゃな。

それに、さっきも言ったが、使えるようになったとしてもグーンとパワーアップするわけではなく、コツコツ努力で伸ばすしかないぞ。

今のお主は傍目で見たらやはり霊力の使えないパンピーじゃ。いや、パンピー以下じゃな」

 

「言い過ぎです……」

 

「事実じゃ。ほれ、加速空間を解くぞ、仲間達に顔見せして来い。小竜姫も忘れるなよ。良いか?小竜姫を忘れるなよ」

 

「なんで二回言ったんですか」

 

「気にするな」

 

 

 

 

その後、小竜姫様には滅茶苦茶怒られた。

当然事務所の皆からも滅茶苦茶怒られた。

横島が意外と心配してくれたことに感動した。

 

 




小竜姫様に叱られたい。
あ、仏罰は抜きでお願いします。

ちなみに、美神さんの事務所は原作通り爆発しております。

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