オリ主がGS世界で色々変えようと奮闘するお話   作:ミニパノ

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小ネタで全然関係ないキャラの名前が出ますが、
名前だけなので知らない方はモブの名前と捉えてスルーで大丈夫です。

今回、長いです。
どうしてこんなに文字数バランスが毎回違うのか。。。


13:記念受験と合格と心眼と ~誰が為に鐘は鳴る!~

「俺は霊力ないですからねぇ……。けっ」

 

「シュウがすねてらぁ」

 

「横島さん、笑い事じゃないですよ」

 

俺がすねて膝を抱えている姿に、苦笑する横島とおキヌちゃん。

実際どうせ無理だろうと思っていたが、ちょっとくらい希望を持たせて貰ってもいいんじゃないだろうか。

横島が巨大な霊圧を出して(美神さんに対して煩悩を燃やしたからだが)合格した横で、俺は失笑と共に不合格を貰って退場した。美神さんの助手ってだけで最後ギリギリまで残すのやめてほしかった……。

 

そう、ここはGS試験会場だ。

 

小竜姫様からの依頼があり、彼女が得た情報では、メドーサがGS業界を裏からコントロールするために息のかかった者に資格を取らせようとしているとのことで、美神さんに潜入依頼が来たのだが。

美神さんと横島は上手いことGS試験に潜り込むことが出来た。美神さんは、ミカ・レイと言う名前で変装している。

俺はダメ元で出たんだけど、予想通りの記念受験となってしまった。

 

 

 

 

 

「そうだ!横島さんも受けてみませんか?!」

 

という小竜姫様の一言から横島の受験が決定。

やはり小竜姫様は横島の才能をうっすら感じていたのだろう。

 

「それで、えーと、シュウさんですが……」

 

「あ、大丈夫です。霊力なしで受かる試験じゃないのは理解しているので」

 

「そりゃそうね、ま、記念受験でもしてみたら?最初から霊力皆無なのは知ってるし、どうせ良い意味でも悪い意味でも目立ちゃしないんだから、私の恥にもならないし。良い経験にはなるかもしれないわよ?」

 

言いよどむ小竜姫様に、解ってますと返したが、美神さんからまさかの一言で俺も受験することになったのだった。

まぁ美神さんの言う通り記念受験になったわけだが……。

あと、横島には俺の知識通り、天龍と小竜姫様からのプレゼントでバンダナに神通力を流してもらっていたのだが。

おでこにキッスかよ……、と思い出して舌打ち準備万端だったところ、小竜姫様は手を横島のバンダナに置いて神通力を流していた。変なところ知識と違うんだよなぁ。

小竜姫様、チラッと俺のこと見てたけど。

その後、「シュウさんには殿下からまたの機会に何か、というお言葉を貰っていますので、今回はすみませんが」という言葉を貰った。まさか、俺にだけプレゼントが無いことに気を使ってたから適当にやったとかじゃないよな?

ちゃんと心眼登場するんだろうな?と少し心配したが、そんな心配もなんのその。

知識通り横島のバンダナは目を開いてたわけで。

 

 

 

 

「しっかし残念だな。お前が出たら霊力なんかなくても良いとこまでいけそうなのに」

 

「ただの格闘大会じゃないのよ?霊力の乗ってない攻撃は通らない結界が張られてるから、出たとしても恐らく一回戦負けね」

 

横島がため息をつきながら言ったセリフに美神さんが説明を加える。

そうなのだ。

だから試合では力になれないと開き直って、勘九朗とかと戦う時に備えるつもりだ。

それと、心眼……か。

 

「それより、横島くんが無様な真似したら一緒にしばきあげるから、シュウくんは力を残しておいてね?」

 

「え”?」

 

うわぁ、横島ドンマイ。美神さんのプレッシャー入ったよ。

あれに晒されるくらいなら俺は大人しく応援させてもらうよ。

ま、心配しなくてもお前のポテンシャルなら勝てるだろ。

 

 

 

 

 

 

 

 

「おい」

 

……。

……えー。

 

「おい!」

 

……なんで。

 

「お前だよ!そこのガキンチョ!」

 

何で俺がコイツらに目をつけられなきゃいけないんだよ!

俺の目の前にはガラの悪い陰念、クネクネ動く勘九朗、腕を組んで俺を品定めするように眺める雪之丞が居た。

胸にはしっかり白龍という文字が。

そうです、しっかりメドーサの手の者です。本当に勘弁してほしい。

普通に廊下歩いていただけなんだが。

 

「……なんでしょうか、俺はお金なんかもってませんよ」

 

「あぁ?誰がカツアゲだ!気にくわねぇな、一発殴らせろ」

 

どこのジャイアンだよ。陰念が因縁つけてるよ。

などとくだらないこと考えてたら雪之丞が口を開いた。

 

「やめとけ、お前じゃ勝てん」

「何だと!俺に指図するな!」

 

雪之丞の言葉に激昂する陰念。

流石はバトルジャンキー、俺が喧嘩くらいなら出来る事に気付いたのか?

あ、でもこいつまだポンコツ状態の横島見ても警戒してたし、当てにならんか。

 

「雪之丞の言うとおりよ。その子、霊力は並み以下だけど、足の運び方が達人レベル、筋肉はでかくないものの締まってるわ。少年なのに引き締まってるなんて、そういうのもたまには良いかしらぁ……」

 

勘九朗も流石に良い目をしてるな。俺が霊力皆無なのもわかってるみたいだ。

最後の言葉は聞かなかった事にする。

 

「へっ、そんな馬鹿な。こんなガキが俺より強い訳ないだろ」

 

陰念が俺を小馬鹿にした口調で近付く。そして無造作に殴りかかってきた。

当然あたってやるわけにはいかないのでかわす。

 

「っと、へぇこれくらいなら避けるか」

 

言いながら蹴りを放ってくる。避ける。

ちょっとむきになって殴りかかって来たので、避ける。

パンチ、避ける。

キック、避ける。

体当たり、避ける、受け流して地面に落とす。

 

「ほらみろ」

 

得意げに言う雪之丞。

やばい、見せすぎたせいで興味を持たれたか。

 

「テメェ!舐めんじゃねぇ!」

 

げ!足元で顔を怒りに染めた陰念が光る。これは身体から霊波を放出しようとしている?!

ご存じの通り俺に霊的防御力はない。

 

「チッ!」

 

放たれた無数の霊波をすべてギリギリで見極めて避ける。動きに本気を出してしまった。

そりゃそうだ、あたったら死ぬっつぅの。

 

「……マジかよ」

 

「おいおい……」

 

至近距離で放たれた霊波をすべて避けたのが意外だったのか唖然とする陰念。

ついでに勘九朗と雪之丞も驚きに顔を引き締めている。

 

「何者なのかしら」

 

「只者じゃないとは思ったが、ここまでとはな」

 

やらかしたかなぁ……。雪之丞と勘九郎が俺を見ている。

頼むからここから俺を脱出させてください。俺、君等の霊波一発でも食らったら重傷なの、病院送りなの。

 

「いや、俺はちょっと目が良いだけで、今のを一発でも貰ったら大怪我を負ってたから必死で避けただけだよ。

大体試験も第一次試験で一瞬で落とされたんだ。買いかぶらないでくれ」

 

「なんて体術と霊力のバランスが悪い子なのかしら」

 

勘九朗に痛いところをつかれる。

俺もその通りだと思います。

 

「とはいえ、体術は天下一品だな」

 

「それも買いかぶり過ぎだよ」

 

雪之丞の言葉にすかさず否定。

お前は横島だけ見ててください。

 

「良く言うわ。報告が必要かしら」

 

げ、メドーサにか?それは困る。

今は目立ちたくないんだけど。

 

「誰に?」

 

「貴方には関係のない事よ」

 

「……名前は?」

 

雪之丞がニヤニヤしながら名前を聞いてくる。正直勘弁。

どうやら間違いなく、雪之丞には興味をもたれてしまった様だ。

 

「…………匿名希望」

 

「ふざけんな」

 

だめかぁ。

 

どうするかなぁ、情報を与えすぎるのはマズイ、でも名前くらいなら言った方が良いか。

 

「……ヤツメ」

 

「覚えたぜ、また会うだろうよ」

 

「好きねぇ。ま、霊力なしじゃ報告もいらないわね」

 

それだけ言うとまだ喚いている陰念を勘九郎が担いで連中は去った。

 

危なかった。アレ以上興味をもたれていたらメドーサにまで目をつけられるところだった。

とっさに偽名を答えてしまったけど、まぁ横島達と一緒にいたらいつかはどうせバレるだろう。

雪之丞には悪いけど今はとりあえずヤツメと覚えてもらおう。

しっかし、とっさに最近よく行く喫茶店の店長の名前使わせてもらったけど、結構言い淀んだのに、気付かないものだろうか。

まぁ勘九朗の苦笑を見る限りあいつにはばれてそうだったけど。

そういえばあの蜘蛛之巣って喫茶店の店長、なんだか雰囲気からして明らかに妖怪っぽいんだけど、大丈夫なのかな?

 

 

 

無事、横島達のところに戻れたが、そういえばドクター・カオス見かけてないんだよなぁ。

あそっか、カオスの爺さん今家賃払い困ってないからGS試験取りに来なかったのか。

やべぇ、そうなると横島の初戦の相手、誰になるんだ?

 

………………あれ?!これ思った以上にヤバい?!

もともとはカオスがマリア連れてきて、銃ぶっ放して銃刀法違反で勝つ流れが……、大丈夫だよな?!横島勝てるよな?!

 

『横島選手、ドクター高松選手、8番コートへ』

 

「んじゃ行ってくるわ」

 

アナウンスに横島が立ち上がる。

 

「そっちは会場の出口だろうが、もう諦めて行ってこいよ」

 

「お前は見学だろーが!俺は死ぬかもしれんのだぞ?!」

 

悪あがきを……。まぁとりあえず試合には出るらしい。

それにしても、ドクター高松って誰だ?

原作には出てなかったと思うが。

まぁ、最悪心眼がなんとかしてくれるはず、だよな……?

 

数分後

 

『えー、ドクター高松選手、先程「グンマ様が呼んでいます!!」という謎の言葉と鼻血を撒き散らしながら会場を出ていったという情報が入りましたので、横島選手の不戦勝となります』

 

「だぁぁぁ?!」

 

とんでもない内容のアナウンスにずっこけてしまう。

そ、そういえばさっきエミさんが、運もGSにとっての才能って言ってたな……。

あいつ、どうあがいても勝つのかよ……。

まさか世界からGSの資格を取ることを運命づけられているんじゃないだろうな……?

 

そんなイレギュラーもあったものの、無事に横島の一回戦突破という形で、初日は終わったのだった。

 

 

 

 

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「横島やるなぁ」

 

観客席で呟いた俺の言葉に周りも同意を見せる。

実際バンダナの助けがあるとはいえ、あのくノ一相手に勝つのは凄いと思う。

 

GS試験2日目。

さっきの試合で横島はGS試験資格を取ったことになる。

 

ひとまずは横島が資格を取れて一安心といったところかな。

ただ、ここでの俺の主な目的は心眼を消滅させない事だ。

正直試合中の出来事に介入するのは無理があるとは思う。

ただ彼には自分が命を捨ててまで護り、育てた横島がどれだけ成長するのか見てもらいたい。

ただの自己満足かもしれないけど、何とかして助けたいものだ。

 

「難しい顔して何を考えてるの?」

 

「いえ、特に何も考えてませんよ?」

 

「ふぅん……ま、いいわ。しかしまさか横島君がねぇ」

 

美神さんの言葉に苦笑する。

これから貴女が思う以上に成長するんですよ彼は、とは言えないわな。

 

「アイツは俺と違って才能がありますから」

 

「ぷっ、なぁに?まだ拗ねてるの?意外と見た目通り子供っぽいところもあるのね」

 

「子供って言うほど若くはありませんよ、大人でもないですがね。でも実際どうですか?美神さんから見てもアイツはセンスあるとは思いませんか?」

 

俺の質問に一瞬考えるそぶりを見せる美神さん。

 

「確かにね、完全な素人だったことを考えたら凄いとは思うわよ。……でもアレだからねぇ」

 

クイッと親指を向ける美神さん。その先を見ると横島がくノ一の女性を追いまわす姿が見えた。

横島……この時期は本当にバカなんだよな。まぁ底抜けに優しいのはそのままだけど。あれ?おバカなのもずっとだっけ?

はぁ、と二人で同時にため息をついた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あんの馬鹿!」

 

美神さんの怒鳴り声が響く。

今回は大人しくしていたおかげか俺の知っている通りに事が運んでいる。

ピートが雪之丞に負け、横島には美神さんから棄権するように勧められた後、

ちょうど今横島が雪之丞との試合のために帰ってきたところだ。

美神さんが言う事を聞かない横島を呼び出してリンチを始める。

 

「さて、どうなるか……上手くいくと良いけど」

 

横島が美神さんにシバかれてる横で、俺は拳を握り、誰に向けたわけでもない呟きを漏らした。

 

 

 

 

 

「バ、バンダナー!!」

 

特にイレギュラーも無く、記憶通りバンダナが雪之丞の攻撃を受けてただのバンダナに戻ったように見える。

……ここだ、流石に試合に乱入は出来ない。

けどすぐに心眼の存在が消える訳ではないはずだ。それがもし即消えるということなら俺にはもうどうしようもない。

こればっかりは心眼の生命力に賭けるしか無い。作戦と言うのもおこがましい程に危うい運任せだけど、俺にはこの手しか思いつかなかった。

頼む……!と握る手に汗が滲む。

 

そうこうしてる間にも戦いは進み、横島と雪之丞が同時に倒れる。

今か……!

結界が消える前に自然に舞台に近付く。

そして消えた瞬間に舞台に入り、何気なくバンダナを回収。そのまま横島に近付いた。

 

「お疲れ様、良くやったな」

 

そう言って横島に肩を貸す形で担ぎあげておキヌちゃんや美神さんと共に医務室へ運んだ。

今のところ何も問題ない。自然な動きの筈だ。バンダナからも何となくだけど心眼の気配を感じる。まだ辛うじて大丈夫っぽい。

最初の賭けには勝ったが、何処まで保つか解らないので急ぐ。

 

横島を医務室に預け、闘技場の様子を見てくる、とさっさと退室。

相当危険とは解っているがまっすぐ小竜姫様の元へ向かった。

……メドーサと共にいるはずの小竜姫様の元へ。

 

 

 

 

 

「……」

「……」

 

ピリピリしてるのが滅茶苦茶伝わる……。なんて霊圧をこんな場所で出してんだこの二人は……。ちょっと息苦しいからやめてほしいんだけど。

神父は2本目のジュースでも買いに行っているのだろうか。

なんにせよ時間が無い。バンダナから感じる気配がドンドン感じにくくなっている。

 

「小竜姫様」

 

メドーサに警戒しつつ小竜姫様に声をかける。

 

「!!シュウさん?!何故ここに!」

「ん?…………ガキか……(まさかあの時の……奴ではないな、似てはいる気もするが霊力が感じられん。そもそもこんなにガキじゃなかったはずだ)」

 

小竜姫様の反応を見て、メドーサがこちらを品定めするように俺を見る。しかし俺が人間だとわかると興味を無くした様に会場へと目を移した。霊力が皆無なこともあるだろうし人間にそこまで興味もないんだろう。

どちらにせよ好都合だ。って誰がガキじゃ!

ただ前回の俺とは結びついてないみたいだな、良かった。

 

「小竜姫様に急ぎでお願いしたい事があるのですが……」

 

メドーサには聞こえない様に小声で話す。すると頭の中で小竜姫様の声が響いた。

 

【私が念話しますので心で話して下さい】

 

【流石ですね、確かにメドーサに聞かれない方が良いかと】

 

【この状況で来るということは急用ですね。どうしました?】

 

理解が早いと助かる。

考えている時間は無いのですぐに続ける。

 

【はい、実は先程の横島の試合で散ったバンダナですが、回収しました。

恐れ多いのですが、心眼に再度竜気をふきこんでいただきたいです。

こんな時に大変申し訳ありませんが、彼はこのままだと消失します】

 

【っ!しかし!…………貴方は優しいですね。解りました、その話だと心眼はまだ生きているのでしょう。なんとかこの場を離れて再度竜気をふきこみます。確かに、意識を持った者が消失するのは防ぎたいですね】

 

流石は小竜姫様だ。俺の意図をくんでくれた。

突然席を立つ小竜姫様。メドーサはその様子に驚く。

 

「良いのかい?わたしを一人にして」

 

「良くは無いです。ただ貴女も馬鹿ではないですし、まだ行動は起こさないでしょう。今動けば貴女の計画は潰れますし」

 

「……ふぅん、らしくない考え方が出来る様になったじゃないか。誰の影響だい?その堅い頭を多少は使う様にしてくれたのは」

 

「貴女には関係のない話です。すぐに戻るので、……えーと……とにかく大人しくしてなさい」

 

「……最後のがなきゃマシなんだがねぇ……」

 

確かに大人しくしてなさいと言われて大人しくしてる訳ないんじゃないかなぁ……。

ま、まぁ、そこが小竜姫様のいいところでもあるので何も言うまい。

 

 

 

 

 

メドーサのいた席から離れ、裏庭まで来た。ふいに立ち止り俺に向き直る小竜姫様。

 

「急ぎましょう。メドーサもいつまで大人しくしてるかわかりませんし」

 

「はい!」

 

言って心眼を取りだす。辛うじて気配を感じられる状態だ。

 

「ではバンダナを付けてください」

 

言いながら取りだしたバンダナに手を当てる小竜姫様。一瞬で燃えて千切れていたバンダナが修復される。素晴らしい。

何故付ける必要があるのか疑問に思いながらも時間が無いため言われた通り装着しながら聞く。

 

「付ける必要があるのですか?今ので少し竜気が心眼に注がれたので取りあえずは消滅は無さそうですが、そのまま続けるわけには?」

 

言ってる間に装着し終わった。するとふいに小竜姫様が俺の額、いやバンダナに口付けた。

 

「んなっ!な……なん……!」

 

自分でもわかるくらいテンパる。このイベントは横島だったはず……。

混乱していると、小竜姫様が口を開いた。

 

「竜気はこの方が注ぎやすいので時間がかからないのです。

さぁ、いつまでもメドーサを放っておくわけにはいきません。戻りますね」

 

早口でまくしたて、急ぎ足で戻る小竜姫様の背中を見て思う。

……横島の時は?あ、急いでなかったから?

 

「フ、礼を言わねばならんな」

「うえおう?!」

 

ふと近くから声がして驚く。

あ、心眼か!見えないけど多分バンダナの真ん中で目が開いているのだろう。

 

「おぉ!心眼!無事だったか!」

 

「あぁ、お主のおかげでな。それにしても驚いたぞ、まさかシュウが異世界から来た者だったとはな」

 

………………………………はい?

………………イマナンツッタ?

 

「何を驚いておる。当然だろう、横島から生まれた時もそうだが、今回はお主と繋がって生まれ変わったのだ。お主の事なら何でも知っているぞ」

 

ま、まさかそんな落とし穴があるとは……。

 

「心配せんでも小竜姫様にはもちろん他の者にも他言などせん。とはいえ聖天大斉様はご存じの様だが」

 

「あの方に隠し事は出来ないからなぁ」

 

「フム、その通りだろう。さて、私はこれからお主のサポートに回るつもりだが」

 

「へ?横島じゃなくて?」

 

「お主の記憶、漫画の知識と言った方が良いか?それによると横島は私のサポートなしで成長していくだろう。それなら下手に手を加えるよりお主と共に周りからサポートした方が良かろう」

 

流石心眼、考えてるなぁ。

確かにその方が影響は少ないしプラスに働く可能性が高いな。

それに俺一人でやるより、二人での方が良いだろう。心強い味方だ。

 

「でも良いのか?俺なんかのサポートで。霊力もないし。それにこれから結構無茶もするし危険だぞ?」

 

「フ、お主も横島同様自分に自信がないな。心配するな、私も自分の意思でそなたや横島の力になりたいと思っている。それに私の元々の在り方を忘れたか?霊力をろくに使えない者の為の補助輪みたいなものだぞ」

 

そうか、横島の最初の師匠だしな。

流石にここで『自分ほど信じられんものがあるか』とかボケるつもりはない。

 

「わかった、改めて宜しく、心眼」

 

「あいわかった、こちらこそ宜しく頼もう。

それにしても、我が一歩目を示しただけであれほど成長するとはな、感慨深いモノがある」

 

心眼が俺の知識を見ての横島に対する感想だろう。確かに心眼からしたら感極まるものがあるだろうな。

 

「まだただの助平だが、とはいえ確かにセンスは感じるから納得と言えば納得か」

 

「あぁ、アイツこそ主人公だよ」

 

苦いモノも含めて同意する。

 

「…………あのような未来は私も認めん。横島一人が『英雄』として犠牲になった未来などな」

 

「わかってるさ、そのために俺はいるつもりだよ」

 

「お主も良くあの女と共におれるな」

 

心眼の口調に厳しさを感じる。

ひょっとして美神さんのことか?

 

「あの人も悪気があるわけじゃないし、別にあの人が悪いわけじゃないだろ?」

 

「……フン、私はそこまで好意的には見れんな。横島に対して残酷な……!あの母親が出てきた時に耐えられるかもわからんぞ」

 

結構感情的なところがあるんだなぁ。

 

「二度も生まれた影響かもしれん。それにお主の知識を取り入れたからな、横島の時と合わせて多少自我が強くなっているのだろう」

 

「ま、元々横島にツッコんだりしてたし」

 

「自立式の使い魔とでも言えば良いか、まぁ元々その様なものだからな。小竜姫様とのパイプも繋がっておらんぞ」

 

なるほどねぇ、むしろ俺との契約をした使い魔ってとこか。

想定外だけど、とにかく心眼が助かって本当に良かった。

 

「さて、いつまでもここにいる訳にもいくまい、戻った方が良いのではないか?」

 

「あぁ、そうだな……ってあれは?」

 

戻ろうかと思った瞬間少し離れた所から凄い速さで走ってくる男が……雪之丞だ。

必死の形相で走ってくる雪之丞は俺を見つけると捲し立てる様に言った。

 

「か、匿ってくれ!」

「は?!」

 

言うなりすぐに近くの茂みに潜り込む雪之丞。

なんでこんなところに……ってそうか、横島の代わりに変質者として追われるんだったっけ?

マズイな、ここで会うとは思わなかった。

とか考えていたら凄い人数の怒った人々が走ってきた。

 

「君!ここに変質者がこなかった?」

 

半裸の女性が俺に問う。見た、あんただ、と言ってやりたいわ。

 

「え~と、変質者かどうかはわかんないですけど、凄い勢いで赤いバンダナ付けたジーパンジージャンの男があっちに走りぬけましたけど」

 

完全に横島にターゲットを戻すためにわざわざ特徴まで伝える。

横島め、勝つためとはいえ犯罪だってことをそろそろ覚えろっつうの。

 

「そいつよ!覗いてた時はその格好だったわ!また着替えたのね!」

 

言いながら警官や女性達は俺が指差した方へ走りだす。

その際に俺に質問した女性が最後に爆弾を落としていった。

 

「ありがとう!『ぼうや』」

 

………………ぼうや?そこまで幼くないわい!

 

「た、助かったぜ。ありがとうよヤツメ」

 

…………。

……?

 

「ヤツメ?」

 

え?店長がここに?

キョロキョロする俺に怪訝そうな顔の雪之丞。

……?!あ、やべっ!!

 

「あ!俺の事か!いやいや気にしないでくれ」

 

やべーやべー、こいつに偽名教えたの忘れてた。

 

「…………お前、偽名だな?」

「ギクッ」

「てめぇ……」

 

三白眼で睨んでくる雪之丞。

さっき助けた事でチャラにしてほしいなぁ。正直勘九朗とかに本名知られたくなかっただけなんだが。

 

「へっ、まぁ良い、さっきのでチャラにしてやるよ。で、本名はなんっつうんだ?」

 

「シュウだ。悪かったな、メドーサを警戒してたからな」

 

「へぇ、お前もメドーサのことを知ってたんだな。ひょっとして横島の仲間か?」

 

鋭い。ただのバトルジャンキーじゃないんだなぁ。

 

「そんなところ」

 

「そのバンダナはあの時横島がしていたものか」

 

「さよう、お主に消されかけた者だ」

 

ちょっとうらみがましく言う心眼。

あれ?根に持ってる?

 

「悪かったな、こっちもまさかそんな事になるとは思わなかった。そもそもそこまで意思のある存在だとは思っていなかったしな」

 

「フム、良かろう」

 

偉そうだな心眼。まぁ本人が良いならいいか。

 

「さて、俺は一旦姿を消すつもりだ、捕まえるか?」

 

俺をみて構える雪之丞。獰猛な笑みを見せるのは少し戦う事を期待しているのだろうか。

おいやめろ、ステップ踏むな。

 

「いんや、俺じゃお前に勝てないし良いよ」

 

「やってみなきゃわからんと思うがなぁ。横島とは戦ったし、次はお前とも戦ってみたかったんだが」

 

「手負いで何言ってんだ、さっさと行けバトルジャンキー」

 

シッシッと手で払う様にすると苦笑しながら構えを解く雪之丞。

とりあえずひいてくれてよかった。ここで戦うとか考えたくもない。

 

「ま、次の機会を楽しみにしてるぜ。また何かあったら会うだろう」

 

「そっちこそ何かあったら頼ってくれ。まぁ俺が何かの力になれるとは思わないけど、美神さんか横島ならなんとかしてくれるさ」

 

「……さっきまで敵だった俺にそんな言葉かけるとは、な。……ふっ、また会おうぜ」

 

あ、横島が実は弱いって伝えた方が良いかな?……まぁいいか、どうせ強くなるし。

後ろ姿で手をあげて雪之丞は去った。……カッコつけめ。キザなやつだなぁ。

 

「これで香港の時は間違いなく我々を頼るだろうな」

 

「俺が何も言わなくてもそうなるだろうけど、念の為な」

 

心眼の言葉に苦笑しながら俺は会場に戻った。

 

 

 

 

 

っていい感じに終わったつもりでいたけど、今会場修羅場真っ只中やん?!

会場に戻った俺を迎えたのは戦場だった。

 

雪之丞の自白をキッカケに失格となった勘九郎、だが開き直って暴れだした勘九郎に対して、正体を晒した美神さんや他のGS達が囲って戦っている。

 

「ちょっと!どこ行ってたの!アンタも手伝いなさい!!」

 

「す、すみません!」

 

わ、忘れてたぁ!

心眼助けることに意識を集中しすぎてた!

 

【お主、結構抜けてるな】

【ほっとけ!】

 

心のなかで罵倒してきた心眼に返す。そして気を取り直して勘九郎に向かって走る。

すぐに反応して巨大な剣で俺を斬りに来る勘九郎。

薙ぎ払いを前宙でかわして剣の側面を足場にもう一度ジャンプ。

勘九郎の頭を越えて振り向きざまに後頭部に膝蹴りを叩き込む。

ってかったい!!硬すぎる!霊的防御ガッツリ固めてるじゃねぇか!!

ただでさえ魔装術使ってるし、ダメージは対してないだろうけど、膝蹴りを受けて吹き飛んでいく勘九郎。

 

「あなたの霊力じゃ私の魔装術は破れないわよ」

 

体制を整えて勘九郎が言う。

 

「それでも衝撃は逃しきれないだろ。俺にだって体制崩したり隙は作れるんだよ」

 

「そういうこと!」

 

俺に気が向いた勘九郎の後ろから美神さんが攻撃を加える。が、うまく反応して避ける勘九郎。やっぱりかなり強いな。

横島はサイキックソーサが安定しないのか必死に制御している。

 

ふと、後ろを見る。

小竜姫様がメドーサから刺又を向けられているのが見えた瞬間、気付いたらそこに向かって跳んでいた。

 

「唐巣神父!!」

 

叫びながら近づく。

迫っている俺に気付いたメドーサ、俺の言葉を聞いて唐巣神父に向き直るが、俺にとっては特に何の合図でも無い。

気を少しでも逸らせれば程度に思っていたが、神父は期待以上の動きをしてくれた。

霊力を練り上げている神父、流石最高レベルのGS、かなりの霊力がみなぎっている。

 

「ちっ」

 

舌打ちをするメドーサ、俺への注意も無くしていないようだが、半分の意識で俺の動きを追えると思っているのであればなめ過ぎだ。

意識が一瞬逸れたタイミングでスピードをMAXまで上げる。

観客席を駆け上がりながら左右に身体を振ってメドーサの刺又を蹴り上げる。

 

「な?!」

 

当然これだけだとプロのメドーサは対処してくるだろう。

ただし、当然ここには頼りになる神様がいるわけで。

 

「形勢逆転ってやつね……!!」

 

小竜姫様が抜いた剣がメドーサの喉元で止まる。

その瞬間、舞台上では勘九郎に横島のサイキックソーサーが当たって爆発、そのタイミングで美神さんが勘九郎の腕を切り飛ばした。

 

それを見て再度舞台に向けて走る。

火角結界を使わせる前に倒す!

即座にメドーサから距離を取り、勘九郎の元へ!

 

「確かにここまでのようね。勘九郎!引き上げるわよ!」

 

「わかりました」

 

俺が勘九郎に攻撃を仕掛ける前に、メドーサの言葉を聞いて地面に何かを投げる勘九郎。

その瞬間、美神さんや横島達を含めて、俺は巨大な火角結界に囲まれた。

 

「くそっ、間に合わなかったか……!」

 

両方を意識したのは失敗だったか。

地味にここも変えたかったんだけどな。ここで勘九郎だけでも確保出来たらと思ってたんだけど。

 

 

 

その後、結局、メドーサと勘九郎には逃げられてしまった。

俺たちを守るためにメドーサを見逃す羽目になった小竜姫様だが、霊波で火角結界を一時的に停止、小竜姫様からの指示通りの場所を確認すると、お約束通り爆弾解体に使われそうな2本の導線が入っていた。

正直ずっとこの場面のことを考えていたが、結局どっちの色が正解だったかの確証は持てなかった。どっちの色かは流石に思い出せないって。

大体覚えていたとしても、その知識が役に立つかもわからないのに、勝手なことを言ってドカンは勘弁願いたい。

 

結局、横島が選んだ色、ではない方の線を美神さんが切ることで、爆発を逃れることが出来た。

ということで一番変えたかった心眼救出は成功したけど、他は変化なし、と。

 

 

 

こうして、まる二日かけた長いGS試験は幕をおろしたのだった。

 




ということで心眼生存です。
次回からオリジナルの話が増えてくると思います。

ちなみに、ヤツメは椎名高志先生の別の漫画に出てくる、蜘蛛の妖怪です。
※ご存知の方が居たら嬉しいです。

ドクター高松はパプワくんに出てくるキャラですが、この作品に出てくることはありません。

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