オリ主がGS世界で色々変えようと奮闘するお話   作:ミニパノ

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タイトルで判る通り、あの子です。



16:姉ポジ狐

『本当に大丈夫か?』

 

「…………正直まだ迷ってはいる」

 

現在俺は森の中を歩いている。目的地は……殺生石。

変えたい事の一つである。

 

『ここでタマモと関わってしまっては何処に影響が出るかわからんぞ』

 

「解ってるさ。だけど、いつかタマモは間違いなく復活して、間違いなくその身を追われる。

その復活するタイミングが把握できない以上、せめて確認だけでもしておきたいんだよ。

俺の知識ではアシュタロス後に追われているけど、それだって本当にそのタイミングで復活したかは解らない。

最悪ずっと追われる生活をしてたかもしれないだろ」

 

『……こないだの雪之丞との件だな』

 

そうだ。

正直あの件があったせいで俺は急に不安になったのだ。

タマモだけではないが、俺の知っている限りではタマモは間違いなくどこかで人間に追われることになる。

ということは既に追われている可能性もある。それを知っているのに動かないのは俺には不可能だ。

 

『……それもお主の良いところかもしれんな』

 

「悪いところでもあるさ」

 

そう、俺が動けば動くほど掻きまわすのは解っている。どれだけ影響があるかも計り知れない。

出来れば彼女を説得し、アシュタロスの件が終わるまで大人しくして貰って関わらない様に頼むのがベストかな。

 

『お主の事とお主の知識を彼女に説明する気か?』

 

「いや流石にそれは……、ただ最悪それも考えている、けど、やっぱり出来ればそれは避けたい」

 

『当然だな。老師と私以外にこの事を伝えるべきではない』

 

「解ってるって」

 

心眼と話しながら歩みを進めると、目の前がいきなり開けた。

先程までの風景からいきなり草木が生えていない風景に変わる。

その中心にあるのは自分の背丈くらいはある石。

 

「これがあるってことは……」

 

『あぁ、まだタマモは復活していない様だな。それ自身が、彼女だろう。気配も感じるな、確かに復活までそれほど遠い話ではなさそうだ』

 

「これが……」

 

封印されたままなら俺に出来る事は多分無いだろう。

出来れば復活タイミングを知れれば危険を伝えることも、最悪保護も出来るんだろうけど、俺にはさっぱりだ。

当然封印が解けるわけでもない。そう思いながら殺生石に触れようとする。

 

『あ!よせ!』

 

「へ?」

 

俺が殺生石に触れる寸前、心眼の声が響いた。その声に疑問の声を上げるも、俺の手はぴと、と殺生石に触れる。

 

『ば、馬鹿者!有毒ガスのせいと言っても、殺生石が毒を持っている可能性も0とは言えんのだぞ!早くその手を離……?!』

 

心眼の言葉を聞いてぶわっと冷や汗が溢れる。

そういうことは先に言っておいてくれという文句を言う余裕もなく、反射的に手を引っ込めようとする。

…………離れない?!

 

『何をしておる!早く手を離せ!』

「と、取れない!」

『な、何だと?!』

 

慌てる俺と心眼を他所に殺生石が光り始める。

 

「な、何だ?!」

 

『っく、これは?!』

 

「心眼!どうなって……ってうわぁっ!」

 

眩しくて目を瞑っていると、急に弾き飛ばされた。

尻もちをついて空を仰ぐ形になる俺。光が治まり、体を起こして目の前を見ると、見覚えのある少女が俺を見降ろしていた。

 

「人間、何で私を復活させた」

 

「…………?」

 

見覚えのある少女、タマモの言葉に首を傾げる。

それを見てタマモも首を傾げる。その仕草は可愛らしい。

って、別に復活させようとしたわけではないんだけど。

ただ、現に目の前で復活してるしなぁ……。

 

「とぼけるな、確かにようやく殺生石のかけらが集まって、私の封印はもう少しで何もしなくても勝手に解けていた。でも明らかに私を復活させる意思が無いとあの封印はまだ解けないハズよ」

 

『シュウ……お主……』

 

「そ、そんな睨むなよ。確かに復活させられたら良いな、ってチラッとは思ったけど……」

 

心眼のジト目に言葉尻が萎んでいく。

……だって知らなかったし、俺みたいな霊力もないやつが復活させられるとは思わなかったし……。

【拗ねても誤魔化されんからな】

 

「で、どうなの?私を復活させて何をさせるつもりだったの?」

 

「え?いや別に」

 

「は?」

 

とっさに出てしまった言葉に今度はタマモが固まる。

とはいえ実際、別に復活させて何かさせようとしてたわけじゃないしなぁ。むしろ何もしないで隠れておいてくれってお願いしに来た感じだし……。

 

「アンタ、私が何者か知らずに復活させたってわけじゃないわよね。というかそれだと復活させられる訳ないし」

 

「あぁ、金色九尾の狐でしょ?知ってる知ってる」

 

「…………舐めてんの?」

 

「とんでもない、今やりあったら確実に俺が殺されるって」

 

謙遜ではなく事実だ。まだ俺は妖怪と戦える程霊力を操れないし、復活したてで弱っているとはいえ、相手は九尾の狐だ。逃げる事は可能かもしれないが戦えばやられるだろう。

……あれ?それって俺結構ピンチ?

 

【お主、今頃気付いたのか】

 

心眼の呆れた声が頭の中に響く。

 

「…………何の見返りも求めずに、私を殺そうとしたわけでもなく、復活させたって言うの?」

 

「まぁ、そうなる、かな」

 

「そう(そんな訳がないと思うけど、嘘の匂いがしない……混乱させる奴ね……)じゃあ私は行くわよ」

 

「あ、それは困る」

 

立ち去ろうとするタマモをひきとめる。今気付いたが俺の知っているタマモより更に小さい気がする。具体的に言うと真友君と一緒にいた時のタマモより少し大きいくらいか?

 

「(ほらきた)何よ、結局何かさせようっての?」

 

「いや、このまま行ったらタ……君が追われる事になるし、今の世の中のルールを知らないと逃亡生活も厳しいだろうから」

 

『おい、まさかお主……』

 

「ウチに来ないか?」

 

「…………は?」

 

俺の言葉に固まるタマモ。

 

「こっちの都合であまり外出を自由にさせる訳にはいかないけど、それほど不自由な生活はさせないつもりだから」

 

「…………アンタ馬鹿なの?私は大妖怪よ?それを知らない訳じゃないわよね。それとも私を口説いてるつもりかしら?」

 

「いや俺に幼女趣味はな「燃やすわよ?」い、いや、そういうわけじゃなくてな、このままだと妖力も回復しないだろうし、衣食住は提供するから大人しくして欲しい、と取ってくれれば良いから」

 

「(コイツにとってのメリットが少なすぎる。嘘をついている訳でもない。ただ、何か隠しているのは確かだけど、こっちに危害を加える気は本当にないみたい…………それでも信頼出来る訳がない)悪いけど信用は出来ないわね。これでも逃げ隠れするのには慣れてるの、それと、私が前世で頼ったのは私を護る力のある人間。政治的にや体力的にね。貴方にそれが無い限り私は一人で逃げた方がマシ、そういうことよ」

 

残念だがタマモが交渉に応じる気はなさそうだ。

そりゃそうだよなぁ。誰が好き好んでこんな怪しいやつについていくかってんだ。

 

「そうか、解った。悪かったね勝手に復活させた上に変な誘いをして。ただいくつか約束して欲しい、これから大きな出来事がある……。可能性が高い。それこそ世界を包む様な混乱が」

 

「……(何を言っている?)」

 

「その時に絶対にそれに関わらないこと、それと、絶対に人間の前に姿を現さずに隠れきること」

 

「(…………本当にコイツは只のお人よしなのか?私が復活したのはコイツのおかげか……ガキの癖に……)ふん、私を復活させた奴の戯言くらい頭の片隅にでも覚えておくわ。それに言われなくても私は大きなことには関わらずに静かに暮らしたいの」

 

上出来だ。これで彼女はアシュタロスの時に何かの被害にあう可能性は低いだろう。更に人間にも警戒してくれるなら前の様に復活していきなり追われると言う事もないハズ。

このまま隠れて妖力を溜めてくれれば後は静かに生きていけるはずだ。

横島達との出会いを切ってしまったかもしれないが、彼女が危険な目にあわないならそれも仕方ない、と思うのは俺の勝手なエゴだろうな。

 

【心配するな、この世界では彼女が横島達と会うことが決定していた訳ではない。お主が切ったと考えるのは早計だぞ】

 

心眼のフォローがありがたい。

 

「…………復活させてくれてありがと、まだ信用したわけじゃないけど、お前みたいな人間もいるのかもしれないわね。昔にも何人かは訳わかんないやつもいたみたいだし。うーん、記憶が戻ってるわけじゃないけど」

 

「あぁ、元気でな。あ、でも人間は基本的に信用しすぎないようにな、追われることになるからな」

 

最後に少しだけ手を振ったあと、子狐に変化、いや、戻って森の方へ入っていくタマモ。

それだけでも俺の気持ちは嬉しさに包まれる。頑固な彼女が礼も言ってくれた事だし、めでたしめでたしとして帰ろうか。

 

「さて、一応丸くおさまった、ということで良いかな?」

 

『ひやひやしたがな、まぁ良しとしよう…………?!シュウ!』

 

「ん?どうした?…………!!」

 

――ターン――

 

「キャイン!!」

 

考える前に身体が動いていた。タマモが消えた森の方へ走る。

それほど離れていた訳でもなく、俺自身の速さもあってすぐにそれは見つかった。

 

「タマモ!!」

 

「お?何だ来ちゃったのか。ガキだったし、そのまま何事もなかったように帰れば見逃してやったんだがな」

 

足を撃たれて動けない子狐に近寄ろうとしていた男が俺の方を振り返る。

手には煙の出ている銃。間違いなく、コイツが発砲したんだろう。

 

「…………何でソイツを撃った」

 

「は?コイツは化け物だぜ?正真正銘の金色九尾の狐、大妖怪だ!それが復活して、更に弱っているとなりゃあ捕まえてうっぱらうしかねぇだろ!野生の妖怪探しに来てみりゃとんだ大物にぶち当たったぜ!いくらになるか想像も出来ねぇ」

 

男は興奮してきたのか声を張り上げて熱弁し始める。

それだけで俺にとっては十分だった。

 

「(所詮、人間……か。ガキはグル……)」

 

「悪いが目撃者になっちまったお前にも死んでもらうが、心配するな、ここなら人間の一人や二人隠す場所なんて沢山ある、俺が捕まる事はねぇよ。あぁそうそう、お前には礼を言わなきゃな、どうやったかは知らんがコイツを復活させてくれたんだからなぁ」

 

「(……ってわけじゃなさそうね)アンタ、さっさと逃げなさいよ。コイツだってアンタみたいなガキンチョ探してまで殺しゃしないわよ」

 

タマモが人型になって俺に何か言っているが、上手く耳に入って来ない。

 

(おい、落ち着け!お主が本気でやったらコイツなぞすぐに死んでしまうぞ!老師の言葉を忘れたわけではあるまい!お主はもっと冷静に)

 

怒りで血が上っているとはいえ頭に直接入ってくる心眼の言葉は多少だが、俺を冷静にさせるには十分だった。

少しだけ落ち着いて状況を確認する。タマモと男の距離は十分ある、俺なら男が何かする前に捕まえる事は可能だ。タマモもまだ人型になることが出来ると言う事は大した怪我では無いだろう。そこまで考えたところで男がタマモの方を見た。

 

「お、人型にもなれるのか、こりゃ別の客もつくな。売る前に味見も出来るし最高だぜ。あぁ、それともう一つ残念な情報だ、ガキンチョでも目撃者には変わりないからな、探してでも殺す、って逃がす事自体がありえねぇよ」

 

「……(外道め)」

 

男の言葉にタマモが睨みつける。

後から思ったことだが、俺はやっぱり冷静になる修行でもした方が良いみたいだ。

その時、どうしても男の言葉に我慢できなかったのだ。

 

「おい」

「あ?プギャン!」

 

 

 

 

 

 

 

<タマモ目線>

 

私は目を疑った。

先程まで取るに足らない存在だった子供。

私の為に駆けつけてくれた事に驚きつつも、無駄死にをすることはない、出来れば逃げてくれれば良い程度に思っていた。それに、私自身もうどうしようもないだろうと諦めていた。

最悪自分でもう一度殺生石に封印されることすら考え始めていた。

当たり前だ、目の前の、いや、目の前にいた男なんかの慰みモノになるくらいなら死んだ方がマシだったからだ。

それがどうだ、今目の前にいるのは。

 

「大丈夫か?とりあえず止血したけど」

 

私を復活させたガキンチョだった。

 

『酷い傷では無いな。弾が綺麗に貫通している上、大事な神経を避けて通っている。運が良かったな、妖怪のこ奴ならすぐに回復する傷だ』

 

「良かった、どうする?一旦俺んち来るか?ここが良いならまた連れて来てやるし、それともとりあえずは近くで隠れられるような場所でも探すか?」

 

心配そうに見てくる少年。確かこのバンダナの使い魔の様な奴の言葉からすると名前はシュウだったか。

 

一瞬だった、先程男が私におぞましい視線を向けた瞬間、男が吹き飛んだ。手に持っていた銃を落として森の奥へ飛んでいく姿は少しシュールだった。いやいや、そんなことはどうでもいい。

 

「アンタ、何者?!霊力はまるで感じないのに、あの動きは獣の私でもギリギリ追えるぐらいのレベルで速かったわよ?!」

 

「いや、只のGS見習いで……」

 

「ごーすとすいーぱぁ?あぁ、退魔士のこと?それなら尚更私を助ける意味が解らないわ。しかも見習い?!あんだけ強くて見習いって何よ!」

 

「それはほら、お察しの通り霊力が……」

 

「体術が異常だっつってんのよ!大体あんだけ強かったら私の事を退治することくらい簡単でしょうが!」

 

「いや、狐火一発で死ぬと思うけど」

 

「当てられないわよ!」

 

シュウは退魔士だった。ならばそれこそ私を退治しに来たのかと問うと断固としてそれはないと言う。

なんなんだコイツは。私より弱いくせにと思えば異常な身体能力を持っているし、何故か私に良くしてくれる。悪くはない気分だが、全く以て意味が解らない。

 

「ってシュウ!!」

「うん、解ってる」

 

私が叫ぶ前にシュウは動いていた。

私との言い合い(私が一方的に怒鳴っていた気もするが)をしていたと思いきや、横から不意打ちしてきた男の飛び蹴りに気付いていた様で、男の靴底を片手で受け止め、そのままグリンと回して男を叩き落とした。

 

「ぐぁっ!っちぃ!」

 

男もこういう裏の仕事をしているだけあるのか、すぐに体勢を立て直してシュウに向き直る。とんでもない攻撃を二発も食らっているハズなのにコイツはコイツで頑丈な奴だ。

 

「ガキがぁ!大人なめんじゃねぇぞ……!」

 

ナイフを構える男。それを見てピクッとシュウのコメカミが動く。

 

「ガキガキ言うな!俺は17だ!!」

「「なにぃ?!」」

 

しまった、私も男と同時にはもってしまった。あぁ、シュウのジト目が痛い……。

ってそんな場合では無い、怪我はしているが私も参戦……。

 

『やめとけ、妖力がまるで出てないぞ。コヤツに任せておけ』

 

「な、アンタシュウの使い魔でしょ?アイツは外道かもしれないけど確実にプロよ!」

 

『心配するな、この程度じゃシュウの相手にはならん。霊力でも持っていたら違ったんだがな』

 

何を、という前に勝負は終わっていた。

シュウが男の後ろに立っている。男が白目を剥く。

そして、その巨体を響かせ、地面に倒れた。

 

「な……な……」

 

パクパクと口を動かすが声が出ない。

異常すぎる、人間にあのスピードが出せる訳が無い。もしや同僚かと妖気を探ってみるも間違いなくその身体は人間。

 

「改めて、大丈夫だったか?」

 

私を心配そうに見るシュウ。

その手は男を縛るのに忙しいが確実に私を心配しているのが解る。……そのロープは何処から出したのだろう。

 

「…………大丈夫よ、この程度の傷は自然に治るわ」

 

「良かったぁ」

 

不覚にもドキッとした。なんて少年みたいな笑顔をするんだ。17歳の癖に……。

なんだこの気持ちは、可愛いなコイツ。

いや待て、私にそんな趣味はないわよ。

 

「タマモが歩けなくでもなったらコイツに何するか解らなかったからな」

 

…………違う意味でドキッとした。なんて顔をするんだ。人間の癖に。

それにしても、コイツ。

 

「さて、治療はしなきゃだよな。つっても俺が治療出来る訳じゃないからなぁ」

 

「気が変わったわ」

 

「へ?」「ぬ?」

 

「今日から世話になるわ。私はタマモ、宜しく」

 

間抜けな顔をさらすシュウ。正直コイツに興味が出てきた。

私を二度も助けた事もあるし、世話になってやるのも良いかもしれない。……というより逃がすには惜しい男だ。

一から私好みに育てるのもいいかもしれない。……いやいや違う違う、こいつは17歳、17歳。

 

「えぇぇぇ?!」

 

森にシュウの絶叫が響いた。何よ、アンタが言いだした癖に。

男は私が幻覚を見せて普通の妖怪を密猟で追いかけていたところをシュウと私で捕まえた事にして現地の警察に突き出した。悪いが私の事は忘れて貰った。

 

その後、心眼(シュウの頭のバンダナ使い魔)に脳内でお説教を食らっているらしいシュウは、帰り途の間ずっと五月蠅そうに顔を歪めていた。

 

「そうそう、アンタに聞きたいことがあったのよ」

 

「んぁ?何?」

 

「何でアンタ私の名前知ってんのよ」

 

「…………(手を顎にやって思考。熟考。…………助けに行った時を思い出す…………『タマモ!』…………OK思い出した。冷や汗ダラダラ)」

 

【馬鹿者……!全くお前と来たら封印は解くは暴走しかけるわ挙句にタマモを連れて帰る事になるわ……!】

 

私の一言が説教の引き金になった様だが。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ねぇ、何で私の名前を知ってたのよ」

 

『しつこい、教えられんと言っただろう』

 

「悪いな、タマモの安全にも関わってくるからさ、それに話してもとても信じられる様な話じゃないし」

 

「……ふぅん」

 

【馬鹿者、情報を与え過ぎだ】

【しょうがないだろう、多少理由も言わないとコイツも納得しないだろうし】

 

頭の中でした心眼の声に返す。

 

結局タマモを家に連れてきてしまった。これで色々変わってしまうことがまた増えた。

せめてタマモは家で大人しくして貰って、アシュタロスとの戦いが終わるまでは美神さん達と関わらない様にすればなんとか……。

 

「……そうそう、不思議と言えばシュウの強さもよね。霊力はほとんどないけど体術は人間とは思えないわ」

 

「しゅ、修行したんだよ」

 

厳しすぎる言い訳。タマモのジト目が痛い。

いや実際修業はかなりしたからな?このスペック高すぎる身体に慣れるのも結構時間かかったし。

 

「そう、それも秘密なのね。なら良いわ、自分で色々調べるから」

 

「え?」

 

「教えてくれないならアンタについてまわるしかないでしょ」

 

「ちょ、約束がちが」

 

「生憎約束をした覚えはないわ」

 

ぐぅ……確かにこっちの一方的なお願いだった……。

 

「まずはシュウの職場からかしら、周りのGSもアンタと同じで異常なの?」

 

『阿呆、コイツの様な人間がごろごろいてたまるか』

 

酷い言われようだ。

最近心眼の俺に対する扱いが雑になってる気がする。

 

「へぇ、まぁ見てみれば解るわ」

 

最悪だ。一番マズイパターンだ。どうするか……。

 

【ふむ、仕方がないな】

 

心眼?

 

『タマモ』

「なによ」

 

心眼がバンダナから目を開いてタマモに語りかける。

変わってタマモは不機嫌そうだ。自分がのけ者にされている様で嫌なのだろう。

 

『この件に関してはシュウのこれからにも関わってくる。当然関わってこようとした場合、お主にもな』

 

「……それはもう何度も聞いたわ。でもそんなに大事なの?」

 

『大事だ。……シュウにも追われる辛さを味わわせる事になるぞ』

 

「!」

 

言い過ぎだ。心眼、それは。

 

【お主はだまっとれ】

 

……。

……………………いや、黙ってはいるんだけど。

 

(やかましい!そういうことではない!)

 

はい、すみません。隅っこで体育座りしてます。

くそぅ、修業つけて貰っているのもあって強く出れない……。

 

『何点かそうなる要因があるのだ。まずお主でも解ることで言えば、お主自身がすでに解っているのではないか?』

 

「……私はそんなへまはしないわ」

 

『解っている様だな。そう、お主はまごうことなき九尾の狐、六大妖怪の一人だ。それが復活して、あろうことかGSに準ずる者が庇っていた事が気付かれでもしたら』

 

「追われるわね。少なくとも人類の敵にはなるでしょうね」

 

それは俺も自覚してるけど。

 

『あぁ、まぁここまで弱った妖怪を見てそれを見破るなんて人間は殆どいないうえに、これについてはバレる心配はあまりしておらん。問題はコイツが持っている秘密にある。それが万が一にでも世間にばれる様な事があれば、こいつは多方から命やらその身やらを狙われることになる』

 

「…………あーもーいいわよ。私もここで暮らす限りシュウが安全で居てくれないと私も安全じゃないし」

 

『なんだ、やけに物わかりがいいな。ひょっとしてお主最初から』

 

「別にこだわるつもりはなかったわよ。どうせ重要な事だろうし、いつかは教えてくれるんでしょ?シュウ」

 

「あぁ、もちろんだ」

 

結論から言うとタマモは渋々納得してくれた様だ。

この後についても、隙あらば色々耳を立てて聞いくるものの、基本的に自分から何か聞いてくる事は無くなった。

あと問題はタマモの妖力だが。

 

 

 

 

 

「なにこれ!とんでもなく美味いじゃない!!」

 

目の前には原作の知識通りの姿であるタマモ。まさかきつねうどん一つで妖力がかなり戻るとは思わなかった……。

 

「流石に全盛期には程遠いし、単純に今持てる妖力まで回復しただけで上限が戻ったわけじゃないけど、これならしばらくはこれ食べるだけで自分の身くらい護れる妖力はねれるわね。少なくとも時間をかけて復活を待ったとした場合くらいの力にはなったわよ」

 

「安上がりだな。どういう身体してるんだお前……」

 

呆れる俺ににやぁと悪戯を思いついた顔になるタマモ。

……嫌な予感しかしない。

 

「あら、シュウったら興味あるのかしらぁ。おませさんねぇ。なんなら確認してみる?この姿ならあんな失礼な言葉も出ないでしょ?」

 

ニヤニヤしながらすり寄ってくるタマモ。あのなぁ……とコメカミを抑えたくなる。

俺は17だしお前はどう見ても中学生程度にしか見えん。

 

「何度も言うが俺に幼女趣味はなぁぁぁ!熱い!熱いって!!」

 

呆れ顔で言おうとした言葉を遮る様に俺の手が狐火に包まれた。

 

「フン!!」

 

当のタマモは顔を背けて部屋の隅に移動し、狐に戻って不貞寝している。

どうでも良いが霊力なしだとこの攻撃だけでも俺にとっては死活問題なんだが、消してはくれないようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「うわっ、お前どうしたんだその手は」

 

「…………火傷」

 

学校の友人が包帯でぐるぐる巻きになった俺の左手を見て騒ぐ。

タマモにやられたのだが、まさかそんな事は言えるわけもなく。横島の横に座ると珍しく起きていた横島が寄って来た。

 

「おいおい、そんなんで美神さんとこいけるのか?」

 

「あぁ、確かに今日は除霊入ってたな。大丈夫だ、問題ない」

 

「ちょっと横島、シュウ君がこんな怪我してるのに無理やり仕事に連れていく気?」

 

「……お前ら話聞いてたか?」

 

クラスの女子の言葉に横島が青筋を立てて言う。

俺も横島と同意見だ。そもそも俺を子供扱いするクラスメートに疑問を持たざるを得ない。

クラスメートって言葉の意味をもう一度考えてみて欲しいんだけど……。

 

「はぁ、とにかく一応美神さんには言っとくからお前は休めよ」

 

「いや、別に俺らが除霊するわけじゃないんだから大丈夫だろ」

 

「たまに巻き込まれるだろ。俺がサイキックソーサ使えるようになったからってお前護りながら戦えるほど強くなったわけじゃねーんだぞ」

 

「けっ、お前に護って貰わなくてもダイジョーブだよ」

 

「はっ、言ってろ。とにかく今日は俺にあのチチシリフトモモを独占させろ」

 

「おい本音が漏れてるぞ、というか俺がいようがいまいが独占出来る訳じゃないだろ」

 

「しまった!また口に出してた!」

 

「サイテー……」

 

クラスの女子に白い目で見られる横島。

とはいえ、こいつなりに気を使ったのだろう。本当に俺を心配して言っているのは伝わった。

 

 

 

 

 

 

 

放課後。

 

「ねぇ、シュウ君にお客さんよ」

 

「へ?」

 

教室のドアから廊下にいた女子が顔を出す。

誰だ?と疑問に思う前に俺は固まった。

 

「や♪」

「「「「「おぉぉぉぉ!美少女!」」」」」

 

た・ま・も?何故お前が学校いるの?

石化して固まる俺にタマモが近付いてくる。

 

「来ちゃった♪てへぺろ♪」

 

てへぺろじゃねぇ~!!ズガンと頭を机に落としてそのまま頭を抱える俺。

 

「シュウ、手を火傷してるのに頭にまで怪我増やさないでよ。ほら、帰るわよ、折角私が迎えに来てやったんだから」

 

「お・ま・え・の・せいだろうが……!!」

 

ギギギと顔を起こして睨みつける。しかしタマモはどこ吹く風。

アイアンクローしたろかコイツ……!!

その間にも、誰だとか、どういう関係だ、とかふざけた質問が飛び交う。

おいこら先生、何一緒になって質問してんだ、止めろよ、つか学校に関係者じゃない奴入れるなよ。

 

「恋人です♪」

「「「「「「「「「「「なにぃ~!!!!」」」」」」」」」」」

 

おいこらふざけんな。俺の生活滅茶苦茶にしに来たのかタマモ。

くそっ、ま、まぁいい、とにかくこの混乱を止めなければ。

 

「何度も言うが俺は幼女趣味じゃな」

「確かにシュウの見た目を考えたら釣り合う!美少女とショタの組み合わせキタコレ!いつもなら嫉妬全開だが横島じゃないなら許せる!…………まぁあまり許せんがギリ許せる!むしろ少女の方がお姉さんでおねショタの構図に!」

「おいこらどういうことだ」

 

男子クラスメートの叫びに横島がツッコむが、それは俺が言いたいくらいだ。というか話聞け。

 

「だから俺は」

「大体私達は17歳、この子は多分中学生くらい、大丈夫!歳の差は大したことないわ!むしろシュウ君なら年下に見えるし!」

「いや、中学生に手を出すわけないからって聞けよコラ」

 

今度は女子クラスメートが叫ぶ。なんだこのクラス。

全員がわちゃわちゃ騒ぎ出し、教室中がカオスとなる。

 

「なぁシュウ」

「おぉ、横島は俺の話を聞いてくれるか」

「お前やっぱ除霊現場でて大怪我でも負え」

 

横島……、お前もか。

というかコイツもロリではないハズだが。

 

「あぁ、俺は別にそう言う趣味はない。単純にお前に抜け駆けされたのが悔しいとかではない」

「そういうことかよ相棒(クソッタレ)」

 

ドンドン騒ぎが大きくなる。タマモに至ってはドヤ顔である。そんなに俺を困らせて楽しいかちくしょう。

あーもー、収集つかん!

 

「聞けって!!」

 

いつも以上に声を張り上げると流石に教室が静まり返った。

 

「コイツは、えーと、い、いとこだ!訳あって今預かってるんだが妹みたいなもんだ。勘違いすんな」

 

シーンとなったあと、なんだつまらんと全員が落ち着いた様だ。

タマモは不貞腐れて頬を膨らませているちくしょうたしかにかわいい。

ただし美少女が教室にいることには変わりない様で、危険な視線が増えた。

 

「ちなみに、妹だと思っているので、変な事を考える奴は…………イナイナ?」

「「「「サーイエッサー!!」」」」

 

ヤバめな奴等から同意の回答が得られて良かったよ。

 

「でも絶対妹じゃなくてお姉さんの間違いよね」ヒソヒソ

「シッ、怒られるよ?」ヒソヒソ

 

やかましいわ!聞こえてるよ!

 

「…………姉か」

 

おいタマモ、今何呟いた。嫌な予感しかしないんだけど?

 

【諦めろ】

 

心眼のありがたくないお言葉が俺の頭の中で響くのだった。

 

 

 

 

 

 

「で、どうするんだ?結局お前今日は休むか?」

 

「いや、やっぱり行くよ」

 

「つってもその子はどうするんだ?いとこ預かってるなら連れていくかお前が休むかしかないだろ。流石に家に一人は可哀想だぞ」

 

いやコイツ妖怪だから大丈夫、とは言い辛い。割とすぐいう必要が出てくるとは思うが。

 

「私もついてくから大丈夫よ」

 

おいばかやめろ。美神さんがお前の事妖怪だって気付かないわけないだろ。

大人しく家で待ってて。

 

「そっか、なら火傷もしてんだしなるべく安全なところでこの子と見学してろよ」

 

やべぇ、逃げ場がない。タマモさん?話が違いませんか?

 

「あ、あぁ……」

 

俺にはそう答えるしかなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「で」

 

「……はい」

 

「その妖怪は何処で拾って来たの?」

 

「え、何この子妖怪?」

 

「お前はどんだけ私と仕事してきたー!!」

 

「ホギャー!」

 

神通混でシバかれる横島はスルーして、現在俺は美神さんの目の前で正座させられています。

隣には堂々と立っているタマモ。つかお前も正座して、頼むから。

 

「何よコイツ、シュウより弱そうだけど」

 

「おいばかやめろ」

 

「…………シュウくん、コイツ殺して良い?」

 

「そ、それだけはご勘弁をぉ!!」

 

ザ・土下座。

何言ってるのこの子ホント勘弁して。

 

「え、だって霊力は確かに人間にしては遥かに強いけど、シュウが戦ったら瞬殺でしょ?なんだか精神的に幼そうで短気っぽくて金に汚そうだけど」

 

「お願いだから黙っててくださいお願いしますなんでもし」

「OK殺すわ答えは聞いてない」

 

はい、美神さんをなだめるのに30分かかりました。

 

「なるほどねぇ、妖孤を外道な人間から匿ったと」

 

「はい。それで、こいつ生まれたばかりだから色々教えないと危険だし、話も解る奴だったので……」

 

「…………はぁ、別にいいんじゃない?」

 

「は?」

 

美神さんから帰ってきたのは一番予想していなかった言葉だった。

 

「それなりに強い妖力も持ってるし、シュウ君が大丈夫って思ったなら大丈夫なんでしょ。私が養う訳でもないし。…………まぁ問題起こしたらただじゃおかないけど。でもその辺りはシュウ君理解してるしょ?むしろ元でタダで依頼を手伝ってもらえて私ハッピー?!」

 

目がドルになった。ある意味許してもらえた場合の予想通りの展開だ。

 

「いや、なるべくコイツは事務所連れてこないつもりです」

 

「「なんでよ!」」

 

いやタマモ、お前まで何で……。

完全にいろいろと首突っ込む気満々だよな。

 

「妹みたいなもん「お姉ちゃんね」ですし、折角助かったのに危険な目には合わせたくないんです」

 

タマモが途中で茶々を入れるが、スルー。

誰がお姉ちゃんだ。お前はどっちかというと妹じゃい。

 

「……チッ、タダの戦力ゲットだと思ったのに」

 

『それと、万が一手伝わせるなら当然賃金を請求するぞ』

 

「心眼、それは私に死ねと言っている様なものよ」

 

『そ、それほど金を払いたくないか……』

 

心眼も横やりを入れるが美神さんのあまりにもな回答に呆れを通り越して驚愕しているようだ。

 

「も~、美神さんも意地っ張りですねぇ。私には結構お給料くれてるじゃないですか」

 

「へ?おキヌちゃん日給10円じゃ……」

 

おキヌちゃんの言葉に横島がキョトンとしながら疑問を口にする。

あ、そういえば。

 

「それは最初だけでしたよ。美神さんドンドンお給料上げてくれちゃって」

 

「お、おキヌちゃん!それは秘密……!」

 

「…………何で俺は時給255円のままなんじゃー!!」

 

横島の咆哮が響いたのは当然の結果だった。

一応俺もそこそこ貰ってるしな。それこそタマモを養っても余裕がある程度は。

美神さんの横島への扱いもう少しなんとかならんかなぁ。。

……ならんだろうなぁ、あれも一種のツンデレなのか?

 

「そうそう、そんな事よりちょっとだけ心眼貸してちょうだい。相談したいことがあるのよ」

 

「へ?まぁいいっすけど」

 

『……』

 

別段心眼からの否定が無かったので素直に渡す。

そんな事よりって……と横島が凹んでいるがスルー。

 

 

 

 

 

 

 

『……なんだ』

 

「あら、相変わらず嫌われてるわね」

 

『……別にそんなことはないぞ』

 

「まぁ良いわ。…………心眼」

 

『…………ふぅ、やはり気付いておったか、心配するな。私もアイツもタマモの正体には気付いておる。というかお主がそれに気付いていて放置するのが意外だがな』

 

「やっぱか……、あちゃー、まさか九尾の狐を拾ってくるとは流石に思わなかったわ……。本当に大丈夫なんでしょうね」

 

『そう思うなら何故許した。しかも気付いていないフリなど』

 

「べ、別にアンタ達が大丈夫って言うなら大丈夫だろうと思っただけよ」

 

『…………やけに信頼されているな。意外だが』

 

「アンタ、本当に私の事嫌いねぇ。ま良いわ、特にアンタが大丈夫って言うなら大丈夫でしょ。ただし、厄介事だけは勘弁よ」

 

『……厄介事が起きたとしても仲間の為に警察すら動かしそうだがな』

 

「んな!ん、んなわけないでしょ!私は自分さえよけりゃいいのよ!!って誰が冷血人間よ!」

 

『言ってないだろう。(それならさっさと追い出すだろうに)…………お主に対する態度を少し改めた方が良いかもしれんな』

 

「?あら、ようやく私の偉大さに気付いたのかしら」

 

『前言撤回だ』

 

「あによ」

 

『(こ奴も結局二十歳の娘か……横島の時もこ奴だけが悪いわけではない……この娘も私も結局子供だったか)』

 

 

 




ということでタマモが超フライングで登場しました。
おかしいな、一万文字超えとる……。

これからはシュウの部屋で、シュウ、心眼、タマモの三人暮らしが始まります。

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