お久しぶりです。
かなり投稿が止まっていました、申し訳ありません。
活動報告にも記載させて戴いたとおり、ちょっと色々と忙しく全く書けていない状態でした。
まだ忙しいのは続きそうなので更新速度はかなり落ちると思いますが、頑張って完結させようとは思っておりますのでここまで読んでいただいた方々、宜しければ引き続きよろしくお願い致します。これから読まれる方々は、是非最初から……。ついでに短編の方も是非。
素人のお目汚しですが暇つぶし程度になれば良いかと。
気付いたら年も明けていたので、今年もよろしくおねがいします。
今俺はとんでもないスピードで高速道路を走っている。
走っていると言っても自分で運転しているとかではなく、美神さんの運転する車に乗っているわけだけど、何キロ出てるかが問題なんだよなぁ。
「美神さん!定員オーバーでスピードオーバーですって!」
「細かいこと気にしてんじゃないわよ、シュウくんの体重なら横島くんと足してもデブ一人分にもなりゃしないわ!」
「そういうこと言ってるんじゃないっす!!ついでにスピード違反の方はー?!」
速度メーターは時速250キロを超えている。
更に言うと横島が言う通り、美神さん、横島、おキヌちゃん、俺が車に乗っているけど、この車は定員二名のはずだ。おキヌちゃんをカウントしないにしても定員オーバーだ。
【お主自身も気をつけるのだぞ】
【わかってるって】
心眼からの念話に対して心の中で答える。
【ここでお主の知っている流れなら横島が大怪我をすることになるが】
【あぁ、この速度で落ちると下手したら即死だからな。何とかして防がないと】
そう、俺達は首都高荒らしが発生しているからなんとかしろという依頼を受けてここにいるのだが、実際に首都高を荒らしているのは韋駄天という元神様の鬼で、名前は九兵衛という。そしてその九兵衛を追いかけてもうひとりの韋駄天、八兵衛様が現れたところで九兵衛が横島を車から八兵衛向けて投げつける、というのが俺の知っている流れだ。
「うそっ、後ろからもう一匹来たわ!首都高荒らしは二匹いるの?!」
「ちっ、八兵衛か、これでも食らえ!」
考えているそばから八兵衛様らしき影が俺たちの車の後ろから爆走してくる。
そして九兵衛が八兵衛様に気付き、横島の首根っこを掴んで後ろに向けて放り投げる。
ここだ!
その瞬間俺も同時に車から飛び出し、空中で横島の腕を掴んで回転しながら車へ向けて放り込む。
と同時に霊力を放出、逆噴射の要領で車に向けて戻ろうとするが、流石に車が速すぎて戻ることは出来なかったので勢いを殺すに留まり、地面に着地。
なんか車の方から横島のふぎゃって声が聞こえた気がしたけど気のせいだ。
「よこ?!シュウくん?!」
美神さんが驚きながらギャリギャリとブレーキを踏みながら振り返るが、横島も俺も無事だ。
と考えたところで霊力が枯渇して地面に倒れる。
「はははは!俺を止めることは出来んぞ八兵衛!さらばだ!!」
ごろんと仰向けになって空を見上げると、九兵衛が捨て台詞と共に消えるところだった。
気配を感じて右を見てみるともう一人の韋駄天、八兵衛様が立ち止まってその様子を見ていた。
「おのれ九兵衛!まことの鬼と化したか!!」
いやおのれじゃないよ、追いなさいよ。
原作と違って横島ぶつからなかったんだから立ち止まる意味が無いだろう。
「っと、それどころじゃない、少年は?!」
あぁそういうことか、俺の心配か。じゃあ俺のせいかぁ……。
顔を八兵衛様に向けて無事だとアピール。
「む、無傷……?!いや、しかし霊力が枯渇している……!このままでは……!」
「あ、いやいつものことなんで大丈夫で……!」
「何をしている韋駄天、逃げてしまったぞ」
え?
……誰?
天使……?
八兵衛様を見上げる形で状況を説明しようとしたところで、八兵衛様の隣に背中に翼を生やした金髪短髪の女性が降り立つ。
【神族の様だが、お主の知識にはいない者だな】
【あぁ、流石にこれは忘れてるとかじゃないと思う。やっぱり俺がいるかどうかに関係なく漫画と同じにならない前提で動いたほうが良さそうだな】
「いや、しかしこの少年があの速度で車から投げ出されたのでな」
「……人間か、フン!人間なぞ放っておけば良いだろう。だから面倒なんだ人間は」
え、何この天使の人すごい辛辣。
折角可愛いのに眉間にシワ寄せて不機嫌を隠そうともしない。
そこに美神さんの車が引き返してきた。
「シュウくーん!!無事ー?!」
「あ、はい、見てた通り横島拾って地面に着地しただけなんで、いつも通り霊力枯渇してますけど無事ですよ」
美神さん、横島、おキヌちゃんが車から降りてこちらに近付いてくる。
「相変わらず人間離れしてんなぁだいじょ……って知らん美少女がおるやないか!!こんにちは僕横島!!」
美神さんの影からひょこっと顔を出して、一応俺を心配していたのか駆け寄ろうとしていた横島が一瞬で消えて天使(仮)の手を握る。
「相変わらず人間離れしてるってのは、自虐ネタか?」
ため息と共につぶやいた言葉は完全に無視された。
「……人間ごときが私の手を握るな!」
一瞬、横島の動きに驚いて呆けていた天使(仮)だったが、我に返った瞬間、腰に下げていた短剣を横島の首目掛けて振り抜いた。
「うわち!!」
「なっ……?!」
それをまたも人間離れした動きで避ける横島。
【いや横島もお主にだけは言われたくないだろう】
心眼からの言葉はスルー。天使(仮)もまさか避けられると思っていなかったのか、かなり驚いている。
「エルエル殿!人間相手にそのようなことを!」
「韋駄天、今のはこの人間が私に無礼を働いたのだ。お主らの言葉で言うところの仏罰だ」
「それにしてもやりすぎですよ!」
横島に攻撃を避けられて一瞬固まったものの、そのまま逆の腰からもう一本短剣を取り出して追撃しようとしていた天使の肩に手をおいて八兵衛が止める。エルエルって言うのかあの天使。
そのスキにこそこそと横島が俺の方に近付いてくる。
おぉ、ようやく起こしてくれるのか。
「L、Lと言うには足らんと思わんか?一部的に何かが」
「お前黙ってろよ、本当に殺されるぞ」
横島がつぶやいた瞬間、聞こえていたのかエルエルと呼ばれていた神族のコメカミに血管が浮いたと同時に、双剣が飛んでくる。
一本は俺の右耳真下に刺さり、もう一本は〈スコーン〉という良い音を立てて横島の額に刺さった。
なんで俺まで攻撃されてんのよ。
「ギャー!痛い!!」
「痛いで済むのか」
血を額から吹き出しながら、ギャーギャーと駆け回る横島。
あいつやっぱり絶対不死身だな。本気でアイツの心配するのやめようかなぁ……。
【ギャグ状態の横島は無敵と考えて良さそうだな】
あ、やっぱり?
全然関係ないことを考えていたらエルエル様が双剣を回収して八兵衛様に背中を向けて歩き始める。
「フン、とにかく、私は予定通りあの神族崩れを追う」
「エルエル殿、九兵衛は一応韋駄天であり……」
「今は鬼だろう。何故私が韋駄天の恥晒しを捕まえるなどという仕事の手伝いをしなければならないのだ」
「くっ……、は、恥晒しとは、また手痛いですな」
八兵衛様大人だなぁ。絶対今のカチンと来ただろうに。
「まぁいい、内容は兎も角、私も上司から依頼された仕事だ。私は私で動く。貴様も自分で解決したいのであればなにか手を考えるんだな」
言うことだけ言って消えるエルエル様。
神族も仲悪かったりするのかな?
【まぁ色々あるだろうが、あれは本人の問題のような気がするがな。確かに派閥も違うがな。韋駄天の方はブッちゃん様、あのエルエルという神族はおそらくキーやん様の管轄で】
【その辺りの話はなんか怖いから遠慮させてもらうわ】
【そうか?わかった】
それはともかく、誰か俺のこと担いでくれませんかね。
あ、すみません初対面なのに、しかも神様なのに恐れ多い。
え?あぁ、ウチの事務所の人間はちょっと人格に問題のある人と、人格はもう文句なしなんですけど身体がない人しか居なくてですね。
いやいやもう慣れましたよ。
「そういやシュウは実際大丈夫なのか?霊力枯渇はさておき身体とかは」
さておかれた。
一応忘れてなかったのか、八兵衛様の肩に俵担ぎされた俺に心配の声をかける横島。
「まぁな、知っての通り霊力使いきったから霊力は枯渇してるけどな」
「ってことはなんだ?あのスピードの車から飛び降りて、その中俺を空中で拾って、俺を車に放り投げて、そのまま無傷で着地したのか?おっまえとうとう人間じゃなくなったんやな」
「おい待て横島、なんだそのいつかは人外になると思ってましたと言わんばかりの言葉は」
「違うのか?」
「ちがわい!!」
「違ったの?」「違うんですか?」
「美神さんにまさかのおキヌちゃんまで!」
ひどすぎる。苦笑しながらだから冗談なんだろうけど、まさかおキヌちゃんにまでそう思われていたとは。
やっぱりこの事務所の良心は俺だけだったみたいだ。
【寝言は寝て言え】
……泣いていいかな。
「じゃあアンタはその九兵衛を捕まえるまでは私達のところに居るのね?」
「うむ、本来人の手を借りるつもりはなかったのだが、恐らく奴が次に現れた場合、美神殿の事務所に依頼が来るだろう、悪いがその時に情報を渡してほしいのだ。その間も当然九兵衛の気配を探るつもりではあるが、すぐ見つかるとも思えんしな」
「えらく効率的ね、まぁ確かに闇雲に探すよりは良いだろうけど」
「すまん。その代わり、その間の美神殿の手伝いはするつもりなので宜しく頼む」
「え?マジで?!じゃあ早速仕事受けまくるわね!」
「じ、神通力も限界があるのだ、それに九兵衛も探さなければならないのでな。多少で許してくれ」
「チッ」
仮にも神様相手にいい度胸してるよなこの人。
一応俺が動いた意味はあったようで、横島は大怪我していないため八兵衛様も横島に取りついていない。
そしてそれぞれ自己紹介をした後に色々と八兵衛様の話を聞いてみたところ、どうやら先程のエルエルと呼ばれていた天使は、上司に言われて九兵衛逮捕の協力に来たらしく、元々人間や魔族、妖怪、元妖怪の神様などを見下す癖がある神族らしい。
韋駄天も元々鬼だったこともあり、彼女からすると下に見ているらしい。
【実際には派閥が違うはずなので上下はなく……】
ただ根は真面目らしい。
とまぁ美神さんと八兵衛様で話も纏まったようで、あとは九兵衛を捕まえるだけだな。
【おいまだ話の途中】
さて、心眼の時にもわかってたけど、横島の大怪我を避けられたことを考えると、歴史の修正力はそこまで気にしなくて良いかもしれないな。
まぁ油断は出来ないけど、やっぱり俺の知識で言う原作、という流れに対しては歴史の修正力の対象外なのかもしれない。
【唐突に考え始めることではないだろう】
天使はオリジナルキャラです。
ネットで検索してみたらエルエルというキャラも居るみたいですが、全く関係なく、たまたま名前が一緒になってしまっただけです。
ちなみに、以前も記載しましたが、もう一人のオリキャラ、猫又の方は見た目は某東方の地獄に居る猫さんが成長したような感じですが、一応オリキャラです。思いついた見た目があの娘で思い付いてしまったのですが、キャラ設定などは全くあの作品とは関係ないです(いつかあの作品二次も書きたいなぁ)
宗教関係の管轄、あまり触れない様にしてますが、特に大きい理由があるとかではないです。難しいなぁ、と思っただけなので、この作品の中でもふわっとしてるので特に考えなくて大丈夫です。