プライベートの方は中々落ち着かないのでやはり不定期更新ですが、ようやく香港編に入ります。
香港編が終わるまではなるべく連続で投稿するようにがんばります。
※ちょっとは続きも書いてるので
「これが」
「あぁ、私のところに送られてきたものだよ」
現在唐巣神父の教会で、美神さん、唐巣神父、ピート、横島、俺、心眼が針を囲んでいる。
タマモは置いてきた。香港に連れていくつもりもない。
そういえば既に原作と流れが違う。確か針は唐巣神父達が留守の間に届いて、ご近所さんが一旦受け取ってたんだったと思ったんだけど。
やっぱり細かい状況は常に変わってるみたいだな。
それにしても、とうとう香港か……。
結局俺は大した霊能力も得られぬままここまで来てしまった。
あれから新しく出来たことと言えば、小出しに拳や蹴りに霊力を乗せて攻撃出来る様になったくらいだ。
全力を出せば結局時間制限は2秒。
あとは霊的防御だけど、それだって一部に特化させてしか出来ない。
【気にするな、それでも全くなかったころに比べたら天と地の差がある】
【……これじゃ足りないんだよなぁ】
心眼に心の中で返事する。
結局メドーサ達より先に動けなかったせいで何人もの風水師が犠牲になる……。
無意識にギリと歯を食いしばってしまったところを横島にみられて怪訝な顔をされてしまう。
こいつ結構鋭いから気をつけないとな。
【さて、針は結局最初に話していた通り】
【あぁ、守れれば御の字で、最悪一度奪われても仕方なし、だな。相当不本意だしあまり納得できないけど、流れが読みやすくなるのは間違いないし】
【来たぞ】
大きな音を立てて雪之丞が教会の扉を開く。
「そいつは俺が送ったんだよ。美神の旦那の事務所に送るか迷ったんだがな、どちらにしてもあんたらならヘマはしないと思ってな」
「雪之丞?!」
現れた雪之丞に横島が驚きの声をあげる。
美神さんと唐巣神父、ピートは既にいつでも動けるように構えている。
「ヘマはしないってどういうこと?」
「その針をメドーサや勘九郎が狙ってるのさ」
「メドーサ?!またあいつが出てくるの?!」
雪之丞の言葉に美神さんが反応する。
それにしても雪之丞、結構元気そうだな。
本来なら空腹で倒れるんじゃなかったっけ。
【シュウ】
【あぁ、来たな】
「その前にお客さんみたいっすよ!」
「シュウ?!」
全員に聞こえるように叫んで窓に向かって飛び上がる。
大きな音を立ててガラスを割って入ってくる何者かに合わせる形でそのまま蹴り落とした。
俺のつま先がゾンビの顔面に突き刺さり、そのままマスクが剥がれてゾンビの顔が露わになる。
うっわ、グロッ……最悪だよ。
向こうからしたら完全な不意打ちをするはずが、逆に不意打ちされることになったからか、簡単に倒せたのは良かったけど。
「ぞ、ゾンビ?!」
横島の声に反応するように他のゾンビ達も次々と教会へ入ってくる。
全員で対処しようとするが、他のゾンビ達は動かない。
「驚いたわ、あのスピードで反応するなんて。予定より人数が多かったから少し減らそうと思ったんだけど、やっぱり私の目に狂いはなかったわね」
「か、勘九朗!」
横島の声に反応して入り口を見ると、勘九朗が感心した様な顔で立っていた。
雪之丞もこちら側に飛び退いて勘九郎に向けて構える。
「さて、その針は私達の物なのだけれども?返してもらえないかしら」
「雪之丞君は我々を頼って来てくれたんだ、私はそれに答えようと思うよ」
やっぱり神父は人格者だなぁ。
まぁ俺も簡単に渡すつもりはないけど。
「あらそう、そっちは?」
「えー、報酬とかないのはなぁ……」
「み、美神君……」
神父の呆れ顔に同意するしかない。我らが所長ながら悲しすぎる……。
つってもこれが美神さんだよなぁ。
「美神さん、雪之丞の依頼主に請求したら良いんじゃないですか?」
「あら、それもそうね、こんな厄介な状況になる位だもの、雪之丞だって単独行動じゃないでしょ?」
「まぁ、そうだな」
「OK、手伝いましょ」
流石だよな、この人。
さて、ここからどうなるか正直読めないけど、頑張るしかないわな。
「そ、残念ね。じゃあ、死んで頂戴」
勘九郎の声を切欠に、戦闘が始まった。
雪之丞が魔装術に身を包み、横島がサイキックソーサーを構え、美神さんが神通棍を構える。
神父もピートも霊力をみなぎらされているし、このメンツなら勘九郎相手でも勝てるんじゃないか。
とにかく、珍しく俺が活躍できそうな場だ、頑張らないとな。
「悪いけど、ゾンビだからって防御が高かろうがコイツらにとって俺は天敵だ」
言いながら即近くに居たゾンビの腹に蹴りを打ち、他のゾンビに突っ込ませる。
それだけで向こうの陣形はかなり崩れる。
崩れた場所に一気に移動して近くにいたゾンビに足払いをかける。
前宙して、体制を崩したゾンビの顔面に踵を落とす。
相手の身長を考えると結構高く飛び上がらないと届かないのが辛いところだ。
ゾンビの顔面が潰れて動かなくなったのを確認して、俺の後ろに迫っていたゾンビに対して振り向きながら手刀で首を飛ばす。
「あー!触りたくないから蹴ってたのに!!」
手についたどどめ色した謎の体液を振り落としながら周りのゾンビに追撃をする。当然蹴りで。
「チッ、アンタは予想以上に厄介ね」
「横島!」
「おう!」
勘九郎の言葉を無視して横島に声をかけながら周りから一斉に襲ってきたゾンビをかわして空中に飛び上がる。
その直後に俺がいた場所で複数のゾンビを巻き込んで爆発が起こる。
横島が投げたサイキックソーサーが爆発したのだ。
「よっしゃー!」
「はぁ、もう少し楽しもうと思ってたけど、そんな余裕はなさそうね。これで文字通り足止めさせてもらうわ」
勘九朗が将棋の駒の様なものを取り出す。
ここだ……!!
【おいシュウ!!まさか!!】
頭の中に心眼の声が響くが反応はせず、勘九朗が投げた駒を全て蹴落とし、自分の足元に落とす。
「「「なっ!」」」
知識通り俺の足元から石化が始まる。
くっそ、出来れば俺も避けられればベストだったんだけどな!
【シュウ!お前最初からそのつもりで……!!】
【悪い心眼、今の俺のレベルだと俺が行くより唐巣神父が行った方が勝率も被害も抑えられる可能性も上がるって】
心眼に心のなかで謝りながらバンダナを取って横島の方へ投げる。
視界の端で勘九郎は笑っていた。
「ふふふ、ちょっと予定外だったけど、厄介なのが一人減ったと考えれば問題はないかしらね。
さて、針も手に入ったことだし、私達はここらで退散させて貰うわよ」
「げ!いつの間に!アンタ、ウチの従業員を元に戻していきなさいよ!!」
勘九朗の横にいるゾンビが針を手にしているのを見て美神さんが叫ぶ。
石化は既に腰まで来ている。
「全員石に変えてあげられなくて残念ね。ま、私達の邪魔をするならアンタ達も同じ目にあうと言う事を肝に銘じておくのね」
それだけ言い残して勘九朗たちは姿を消した。
「シュウ!」
横島が俺にかけよる。ギリギリで霊的防御を行っていた為か、石化の進行は多少遅い。
ただ俺の霊的防御じゃ大して時間は稼げないだろう。
「悪い、アイツらの事は頼んだ。元に戻してくれることを期待してるわ。あと、心眼を連れて行ってくれ」
「それは土角結界だ、術者の手を当てれば元に戻る」
「雪之丞、この貸しは高いからな」
「う……スマン……」
見て解る程に消沈する雪之丞。
やべっ、そりゃ気にするわな。
「冗談だよ。戻してくれるんだろ?」
「あぁ、アイツの手を切り落としてでも戻す……!」
「ちょっと!アンタら何勝手に締めてるのよ!何とかならないの?!」
グッと拳を握って俺に見せた雪之丞の肩を掴んで美神さんが焦るも、既に石化は俺の首まで来ている。
横島はおキヌちゃんと一緒にあわあわと右往左往しているが、次に見るときには横島はまた強くなってるんだよなぁ。
また離される、か。
「……美神君、精霊石を渡したまえ」
「先生?どうするつもり?」
疑問の声を上げながらもすぐにネックレスにつけていた精霊石を投げ渡す美神さん。
ってまずい!!
「やめて下さい唐巣神父!!それじゃ俺が止めた意味が……!!止めろ横島ぁ!!」
そこまで言ったところで口まで石化する。クソ!最悪の事態だ!
「悪いねシュウ君、君はもしかしたらこうなるのを解って自分がそれを食らったのかもしれないけど。後は若い者に任せるよ」
「せ、先生?!まさか」
唐巣神父が言いながら俺の石化した肩に手を置く。
美神さんが気付くがもう遅い。
「後は頼んだよ?美神君」
「まっ!」
唐巣神父が握っていた精霊石が光り輝き、俺を覆っていた石化が凄まじい早さで神父を包む。
俺が石化から解放されて膝をついた時には、既に神父様は石に包まれて動かなくなっていた。
「せ、先生!」
ピートがようやく何が起こったかを理解して叫んだ。
……クソ!!
なんかシュウがいらんこと考えてると、だいたい失敗している気がする。