今回は結構迷いました。
ちょっと早いんじゃないかと思ったところもありますが、
原作的にもここから結構重要な話が集中する気がするので、
予定より切り上げて話を進めてたりします。
「おいおい、油断しすぎちゃうか?」
「マジかよ……」
空を見上げた状態で言う。
その首元には立ったまま俺を見下ろした横島が伸ばしたハンズオブグローリーがある。
『とうとう横島が1勝したか』
確かに1勝目ではある、ただ対人戦で負けるのは流石に想定外だった。
横島は油断と言ったが俺は油断していない。
元々横島の非常識っぷりは意識しているので油断する隙はない。
『シュウの動きは単調ではないし多彩な戦術も持っているが、横島と手合わせしすぎたな。こやつ、シュウの動きを先読みして霊力の罠をはっておったぞ』
天才かよ。まぁ、そういや天才だったわ。
妙神山。
「なるほどの。それで焦ってる、というわけか。焦る必要も無いしおぬしも相当強くなってると思うがのぅ」
『正直私としても横島が異常なだけで、誰も人間がこやつに勝てるとは思えんのですが、本人的には焦る出来事だったようでして』
「ふむ、まぁおぬしも流石にこれ以上身体や戦闘技術を鍛えても元々高い部分、伸びしろは少ないじゃろうしな」
『その後何度か手合わせして、やはりシュウがいつも通り勝ってたので異常なのは相変わらずシュウもですが』
老師と心眼の話を聞きながら座禅を組んで集中する。
「おじいちゃんー、このゲームやってていーい?」
「あぁ構わんよー。あ、データは消すなよ」
「はーい」
屋敷からはタマモが顔を出して老師にゲームの許可を取っている。
流石に何日も家に一人は悪いので連れてきたが相変わらず自由な。
「そうそう、その辺りじゃ、だいぶ前より霊力の位置をつかむのは慣れてきたな」
『問題は霊能力ですかな』
「そうじゃのう、もう一皮むければ何かしら本人に合う霊能力に目覚めてもいいもんじゃが」
『現在は霊力で身体強化、少しだけ攻撃に霊力をのせる、とまぁただでさえ少ない霊力を、元々高い身体能力に乗せるだけですからな』
うるせーやい。わかっとるわい。
「乱れとるぞ心が」
「すみません……」
「まぁ良い、一旦休め」
言われて座禅を崩して横になる。
まだまだ霊力のコントロールが難しすぎる。
食卓。
老師、食事を用意してくれていた小竜姫様、ゲームに飽きてそこら中うろうろしてたタマモ、俺、で鍋をつつく。
「それで、今回はどれくらい時間が取れそうなんじゃ?」
「そうですね、一応学校も休み期間ですし、バイトもしばらく休み貰うでOK出てるので、ある程度期間は取れると思いますよ」
老師の質問に一度箸をおいて答える。
タマモ、ご馳走様でしたって意味じゃないから俺の肉を取ろうとするな。
ペシとタマモが伸ばした箸を払う。
「ほぅ、それなら霊力の量も多少増えて扱いにも慣れてきたし、集中的に霊能力を目覚めさせる修行でもしていくか?」
「それならぜひお願いしたいですね」
再度タマモが箸を伸ばしてくるがそれも払う。
抗議するような眼をしてくるが当然無視。
「1週間はかかると思うが良いな」
「そうですね、まぁ大丈夫かと」
何度も箸を伸ばしてくるタマモを見かねて小竜姫様がタマモにお説教を始めた。
ざまぁ。
……鋭いやつめ、にらみつけられてしまった。
小竜姫様のお説教を無視したため、首根っこつかまれて連れていかれるタマモ。
二人とも食事は終わってるのでしばらくは帰ってこないだろう。
「一応1日で終わらせることも可能だが」
「え、じゃあそれでおねがいし」
「ただし霊力は尻から出る」
「みっちり1週間でお願いします」
どこの魔法使いやねん。
「まぁ冗談は置いておくとしてだ。本当に1日で行う修行にした場合、横島が後々行う最難度の修行になる。今命をかける必要はあるまい」
「ですね、出来れば横島の修行もリスク減らしたいんですけどね」
『中々そこを変えるのは難しいだろうな。あやつは追い込まれて力を発揮するタイプだ』
タマモと小竜姫様がいないので先の話をし始める。
「そういえば中世では横島が死ぬような状況にはならなかったと聞いたぞ」
「そうですね、まぁ知ってる通りなら結局変わってない部分かとは思うんですが、かなり危険な内容なので最初から警戒してた部分ではありましたね」
『地獄炉の逆操作についてもだな』
変えたい内容というよりは危険度が高いから何とか乗り切りたい内容だったけど、一応なんだかんだ上手くいって良かったとは思っている。
「それ以前に横島が死んで美神のタイムスリップが発動した場合、そもそも横島が死んだ世界はどうなるのかワシにすら読めんからな。あれは起こすべきではない」
それは確かにそうだ。まぁ一つの変えられて良かった内容ではあるか。
『メドーサに動きが無いのが気になるのと、死津喪姫、ベルゼバブ、デミアン、当然アシュタロスの件に、フェンリル、平安京、そういえば月もあったか』
「まぁ全然他にも普通の依頼で死にかけることいっぱいあるんだけどな、アシュタロス勢力の話は気になるよ」
「いつ起きてもおかしくないから事務所から離れたくない気持ちはわかるが、流石にそこまで気を張っているわけにもいかんからのぉ」
老師が前に言ってくれたが、ルシオラの件以外はあくまで<可能な限り>変えられたら、という意識を持つようにはしている。
実際いつの間にか終わっていた知っている事件はすでに何度も起きている。
前に横島に聞いたことがるけど、おキヌちゃんに似ていた子を救うために死神とやりあったことがあるといっていた。
しかもそれは俺と出会う前の話らしい。いつごろの事件かまでは流石に覚えてないが本来あれはもっと後の話のはずだ。
多分だけど他にも色々俺が知らない間に終わったものとかあるんだろう。
「あ、そうだ老師」
「どうした」
思い出して老師を呼ぶ。
キセルを取り出して吸い始める老師に改めて聞く。
「気ってわかります?霊力ではなく」
「おぉ、ワシも使えるぞ。まぁ使い手は相当少ないし滅多には使わんが。それがどうした」
「実は私の知ってる漫画の中には気の話は出ないんです」
「ほぅ」
『なるほど、確かに言われてみれば盲点だった』
興味深そうに目を細める老師。
心眼も同調するように興味深そうに返す。
「で、こないだメドーサと会ったんですがその時に教えてくれたんですよね」
『なに?!なぜ報告しない!』
「あ、忘れてた」
俺の言葉に、忘れるようなことじゃないだろうとかいろんな小言が始まる。
いや実際あのあと帰ったらお隣さんに小鳩ちゃんが引っ越してきて、
依頼から帰ってきた横島が、止めてるのに俺の知ってる通り貧乏神を攻撃したせいでてんやわんやだったし。
小鳩ちゃんと横島が結婚したら解決するんじゃないかって西条さんが言った時の美神さんとおキヌちゃんめっちゃ怖かった。
「まぁ無事ならええじゃろ、話を進めるぞ心眼。確かにシュウが気を使えるかどうかは試したことがなかったのぅ」
「一応メドーサも生命力が関係する力って言ってたんですが」
「生命力そのものみたいなもんじゃな。霊力みたいに枯渇して倒れてをそう簡単に繰り返して良いものではない。使いすぎると実際に死ぬ。それに回復も霊力に比べれば遅い」
なるほど、メドーサが言ってた内容もなんとなく理解したな。
「外に出るか、実際に少し見せてやろう」
よっこらせと腰を上げる老師。
残った食事をかき込んでそれについていく。
「これが気じゃ。ま、さっきも言ったが使い手もほとんどおらんし、ワシとしても盲点ではあったな」
えーと、なんか黄色に光るビームを老師が打ち出すとドラゴンボール思い出すな。ご丁寧にかめはめ波の手の形で出してくれたし。
「まぁ霊力と質は違うが結局やってることは大して変わらん。今のも霊波砲と同じ要領で出したしのう。さっきも言ったが、霊力の代わりに生命力を使ってるイメージじゃ」
『簡単に試すなよ、万が一使えてコントロール出来なかったら死ぬぞ』
あぶねぇ、心眼が止めなかったらやってみたかも。といってもどう使っていいかわからないんだけど。
「まぁ一旦こういう力があるのは知っておいていいと思うが、どうする、先ほど話した通り霊能力を目覚めさせる修行をするか、気を試してみるか」
「あー、迷いますねぇ、ただまぁ使えるかどうかもわからないんで一旦予定通り霊能力を目覚めさせる修行をお願いしたいです」
「承知した」
言いながら気の放出を止めてキセルを咥えなおす老師。
「いつの間にか修行やってるー!見たかったんだけど!」
いつの間にかお説教が終わったのか、タマモが文句を言いながら歩いてくる。
困り顔の小竜姫様も一緒だ。
気の話はまた霊能力がもし上手くいったら試していければいいか。
少ない使い手に老師が含まれててよかった。
ということで修行編開始です。
と言っても次回あたりに終わると思いますが。。
シュウのパワーアップはずっと悩んでたところで、実は予定してたより前倒してたりします(前書きにも書きましたが)