オリ主がGS世界で色々変えようと奮闘するお話   作:ミニパノ

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はい、エミさん登場……。するはずだったんですが、なんでこうなったんだろう……。時系列と内容が一部変わってます。
今後も時系列が変わることは多々あると思います。

全然関係ないですが、個人的には外伝のエミさんの過去エピソードが好きだったりします。



5:上を向いて歩こうとしたら、機械じかけの愛が突進してきた

「おはようございます」

 

「おはよう」

 

「……おはようございます」

 

「え?」

 

出勤して早々、俺の挨拶に対して美神さんとおキヌちゃん、二人の反応は薄かった。

なんだかおキヌちゃんに関してはかなり暗い。

うつむき気味に美神さんの方を心なしか恨めしそうに睨んでいるように見える。

 

「何かあったんですか?」

 

「美神さんが、横島さんを追い出しました」

 

「ちょっとおキヌちゃん!私が追い出したんじゃないでしょ!?あれはエミが」

 

「ほとんど追い出したみたいなものじゃないですか!」

 

マジか、数日休みだった間にエミさんの横島勧誘があったとは。

珍しく二人が言い争っているが、やはり後ろめたい気持ちもあるのか美神さんが押され気味だ。

二人の言い争いの内容的にはどうやらエミさんは俺も引き抜くつもりで来ていた様だ。

美神さんにとってはライバルみたいなものだから、だいぶイライラしてるみたいだ。絶対認めないだろうけど横島を取られた様なものだし。

 

「シュウさん聞いてます!?美神さんったら時給10円って言ったんですよ!?もう出てけって言ってる様なものじゃないですか!」

 

「いや確かにあれはちょっと無かったかもしれないけど、経緯はともかく横島君はやめちゃったんだから仕方ないじゃない!シュウくんも居ることだし、そんなに困らないわよ」

 

あ、これ、アカンやつや。

俺の予想通りおキヌちゃんは美神さんの言葉を聞いて、しくしくと泣きながら奥に引っ込んでしまった。

奥の部屋でこっちに聞こえるように、幽霊特有の鳴き声でしくしくと泣いているのがわかる。

 

「あ、あてつけがましい。。。」

 

「いや、今のは美神さんが悪いんじゃないですか?」

 

「あによ、アンタも私が悪者だっての?」

 

「いや、そういうことじゃなくて、横島が居なくても困らないって言い方ですよ。美神さんも横島が役に立ってるのは解ってるじゃないですか」

 

俺の言葉に対して黙る美神さん。

まぁ正直表情は納得行っていない感全開でむくれているが、美神さんも素直になれないだけなんだよなぁ。

などと考えていたらシバかれた。

 

「いたっ!なんでですか!」

 

「ムカつくこと考えてた気配を感じたから」

 

「これだから霊能力者嫌い!あ」

 

「やっぱりか!もいっぱつしばく!」

 

俺は激怒した。必ず、かの邪智暴虐の女性をしばかねば、と決意した。

が、この人を敵に回すと怖いのでその決意はすぐに消え去った。

 

いや、まぁ冗談はさておき、正直大して痛くないけど、基本的に横島が受けてる理不尽な暴力がこっちにくるのはたまったもんじゃないな。

霊力付きで殴られた日には死んでしまうかもしれない。

これはさっさと横島に戻ってきてもらわないと。

……なんだか最近俺も毒されてる気がしてきたが、きっと気のせいだろう。

 

と言っても、エミさんはこの後横島の煩悩を利用して、自分の呪いと混ぜて攻撃してくるから、俺が居ても邪魔になるんだよなぁ。

なんてことを考えていたら思いもよらない声がかかった。

 

「ミス・美神・シュウさん・お借りします」

 

「「は?」」

 

美神さんからの二発目の理不尽な暴力をつい避けてしまい、余計に無駄な追加暴力を受けそうになっていたところに、突然ドアを開けてマリアが入ってきた。

その後ろにはおキヌちゃんが先程と同じ様な陰気な表情でこちらを、いや美神さんを見つめている。

 

「と、突然来て何よ。あんた、ひょっとしてドクター・カオスのとこの?」

 

「イエス・マリアと言います」

 

「それはまぁいいわ、で、どういうこと?」

 

さっさと要件を言えと促す美神さんに対し、相変わらず何を考えているのか解りにくいマリア。

では、と坦々と続ける。

 

「ドクター・カオスから・シュウさんを連れてくるように言われています」

 

「いやそんな急に言われてもね、ちょうど横島君もやめたところで人手が」

「こちら・ドクター・カオスが・間違えてチリ紙交換に出そうとしていた・貴重な錬金術の資料です」

「仕方ないわね、数日だけよ?」

 

「仕方ないのは美神さんだよなぁ」

 

ということで、何故か俺はドクター・カオスの元に借り出されることになった。

その時のおキヌちゃんのすべてを呪うような表情は暫く忘れられそうにない。

何故か俺まで恨む様な表情だったが、俺は悪くないと言いたい。

おキヌちゃん、大丈夫だから。

ちゃんと美神さんはエミさんに勝って横島も戻ってくるから。……多分。

 

 

 

 

 

 

俺はマリアの案内でカオスの爺さんのところへ向かった。

その道中でマリアから聞いた話では、どうやらマリアもカオスが俺を呼んだ理由は聞かされていない様だ。

 

「おじゃましまーす」

 

「おぉ、シュウ、こないだぶりじゃの。さて、来てもらって早々で悪いが、ワシと一緒に仕事してもらうぞ」

 

「そうらしいけど、なにやるんだ?」

 

「銀行強盗」

 

「帰ります」

 

カオスの爺さんが住んでいる家に入ってすぐ言われた言葉を聞いて即回れ右する。

扉を開ける前にカオスの爺さんにすがりつかれる。

くそ、身体が小さい上にカオスがでかいからほぼ身体全体に絡みつかれる。

振りほどこうと思えばいけるけど多分爺さんが怪我してしまう。

 

「ま、まて、話を聞かんか!」

 

「なんで犯罪行為に手を貸さなきゃいけないんだよ」

 

「いやな、じつは日本に来る前に色々と財産を整理してから来たんじゃが、日本での活動資金が尽きそうなんじゃ」

 

「それでなんで銀行強盗になるんだよ」

 

「美神令子は出来たんじゃろ?お主とマリアのパワーがあれば容易じゃと思ったんだが」

 

「アホか。あれは一応銀行側と事前に合意を取って、訓練って話になってたんだよ。ただ上手く強盗できたら、その金額がそのまま依頼の報酬になるって話になってたらしいぞ。

だから俺達がやったところで成功しようが失敗しようが指名手配されて捕まるだけだって」

 

「なんじゃつまらん。折角マリアとお主のタッグで面白いことができそうだったのに」

 

唇尖らせてすねるなよ。

一応は諦めてくれたようだけど、アホな提案しないでほしい。

 

「で?そんなことに俺を雇うつもりで呼んだのか?」

 

「うむ、そのつもりじゃったな」

 

「そんな事するくらいならあの錬金術の資料を美神さんに売ったほうが金になったんじゃないか?もしくはそういうオカルトグッズを買ってくれるところとか」

 

「そ、その手があったかぁ!!」

 

俺の言葉に頭を抱えて叫ぶカオス。

やっぱり何も考えてなかったのか。

どうにかしてこの人の頭脳を全盛期に戻せたら物凄く有能なはずなんだけど。

 

「ぬぅ、しかしそうなると資金不足に関してはどうするべきかのぅ」

 

「うーん、折角雇われたわけだし、別に力になるのは吝かではないんだけどさ。金儲けはあんまり詳しくないぞ」

 

「お主が言うオカルトグッズを買ってくれるところ、というのに心当たりはないのか?」

 

「あぁ、そういえばこないだ横島と一緒にお使いで行った厄珍堂ってところがそうだな。

ただあそこの店主、客をモルモット扱いでアイテム試そうとしたり、結構金儲けにも汚いから気をつけないといけないけどな」

 

お使いに行った時も俺と横島に頭がパーになる副作用付きの、超能力が使えるようになる薬を勧めてきた。

まぁ、横島がその餌食になりかけたが、俺がカマをかけたらアッサリ厄珍が白状したので被害は無かったけど。

 

それから、俺は数日カオスの世話をマリアとしながら、厄珍との商談に向けての準備にあたることになった。

 

 

 

 

 

 

 

「で、アンタがヨーロッパの魔王、ドクター・カオスね?本物あるか?」

 

「本物だよ。不死身だからそのせいで脳みそがだいぶ衰えてるけど、昔は天才だったらしいよ」

 

「失敬な、今も天才じゃ。……ただちーっとばかり物覚えがわるいだけでの」

 

「ふむ、なるほど。じゃあ早速品物見せるよろし」

 

厄珍堂に来る前に俺が厳選したカオスの発明品を見せると、思いの外良い感触を得られることが出来た。

なんであんなにしょうもない物と凄い発明品が両極端なんだあの人は。

 

「いやぁ、最初は眉唾ものだったけど、思った以上に使えそうなもの多いね。

今後も宜しくさせてもらうね。それで、金額はこんなもんでどうあるか」

 

「おぉ!」

 

「いやいや、既存の類似品で性能が悪い方ですらこの値段なんだから、これくらいはしてもいいよね。爺さんもアッサリ騙されそうになってんじゃないよ」

 

「うーん、前回の時と言い、ボウズはちっこいのに抜け目無いね。もう一人のボウズくらい阿呆でもワタシ的には楽しいよ」

 

「俺が楽しくないわ。というか厄珍にだけはちっこいって言われたくないんですけど」

 

流石にお前よりはでかいわ。

まぁなにはともあれこれでカオスの金銭問題はだいぶ解決しただろ。

 

「本当ならこっちのロボットを売って欲しいあるが、無理となると、やはり量産したいね」

 

「じゃからバラしたら元に戻せんと言ったろう」

 

「なにか設計図とかは残ってないあるか?」

 

「うーむ、あった気もするんじゃが。流石に覚えておらんな」

 

なんだかんだで気はあうんだろうか。ずっとああでもないこうでもないと喋っている二人を見て思う。

やれやれ、とりあえずこれで雇われた分くらいは働いたかな。

そういえば、エミさんの横島勧誘騒動ってどうなったんだろう。

 

――ぐらっ

 

――ぽろっ

 

――ガチャン

 

「は?」

 

俺の目の前には、カオスと厄珍がヒートアップして机を叩いた時に棚が揺れて落ちてきた何かが当たり、その中身の液体をかぶってしまい、ちょうどこちらを見ていたのか、目線が俺とバッチリあってしまったマリアの姿があった。

なーんか……、このシーン……、見た覚えが……。

 

「そ、それは!」

 

厄珍が床に散らばった液体が入っていた容器のかけらを見て叫ぶ。

 

「それは強力すぎて発売中止になったホレ薬あるよ!一旦効きだしたら相手の背骨が折れるまで抱きしめて、窒息するまでキスするね!!」

 

で、ですよね~……。

と、言うことは……。

ギギギ……、とブリキの様にマリアに首を捻って視線を向ける。

 

「シュウく・シュウさん・愛・して・ます」

 

ですよね!

目の前に迫ってきたマリアを避けながら店の外に転がり出る。

つぅか、マリアのやつ心のなかではずっと俺のことシュウ君って呼んでたな?!

ってそんなこと考えてる場合じゃねぇ!

 

「シュウくん・愛・して・ます」

 

「マリア!止まれ!止まるんじゃ!」

 

「ノー・ドクター・カオス・シュウくん・愛・して・ます」

 

まさか横島じゃなくて俺が惚れ薬騒動に巻き込まれるとは。

完全に油断してた。確かにこんな話もあったな。

とはいえ、経緯が違うからか解らないけど、古代中国の銅像みたいなのは無かったからマリアだけが惚れ薬をかぶったのは不幸中の幸いだったかもしれない。

 

えーと、確かマリアのブレーカーが落ちれば解決だったと思うけど。

 

「愛・してます!!」

 

「のわっ!あぶねっ!」

 

マリアのヘッドバット。かわすが、俺の後ろにあった壁が粉々に粉砕される。

うおぉ、マジか、あれ普通に食らったら死ぬだろ。今の俺だとどうなるか気になるものの絶対試したくない。

 

「なぜ・キスを・よけますか?」

 

「マジか、今のキスかよ!キスはもう少し優しくしたほうが良いと思うな!俺としては!普通の相手なら死ぬぞ!」

 

「シュウくんは・普通では・ないので・ノープロブレムです」

 

「そういう問題じゃないって!」

 

こうなったらマリアには悪いけど、一度ブレーカーが落ちるまで出力を出し切ってもらうしかない。

まずは人の居ない場所に移動しないと、と思い走り出す。

一気に加速するが、後ろから凄まじい速さで追ってきているのがわかる。

 

何度かキスという名の頭突きを避け、ハグという名のハサミギロチンをかわしながら河原にたどり着く。

一応周りに人の気配はない。

 

「シュウくん・ハグを」

 

「その力でハグしたら背骨折れると思うんだけど!」

 

再度襲ってきたマリアの腕を受け止める。

実際これだけの力だと、背骨どころか上下に引きちぎれる気がする。

グロいオブジェが完成してしまう。

お互いの手を握り合う状態で拮抗する。

 

「全力で・抱きしめます!」

 

「もはや殺害予告だぞそれは!」

 

それにしても前回よりマリアの力が強くなってる気がする。

カオスが改良したのか、それとも惚れ薬の影響か。多分後者だろうな。

さ、流石にキツイな。耐えられているだけでも驚きだけど。

 

とはいえ、マリアも負荷がかかっているようで、軋むような音と煙を上げ始めている。

 

『負荷増大』

 

「も、もう少しか……?」

 

「シュウ・くん・好き・です」

 

「お、おう、ありがとうな。再起動してまたそう思ったら言ってくれると嬉しいよ」

 

更に負荷をかけるために力を込める。

 

『ブレーカー作動』

 

プシュー、という音とともにマリアのブレーカーが作動したのか、マリアから力が抜けた。

 

「な、なんとかなったか」

 

「おーい、シュウ!無事かー!」

 

カオスが何やら大きな機械を持って走ってきた。

一安心だ。後はちゃんとカオスにマリアを再起動して貰えば、解決だな。

後から聞いた話では、カオスはマリアのブレーカーが内部にあることを思い出し、外側から作動させる機械を急ぎで作ったとのことだが、どうやら失敗していたらしい。

こんな短期間で作ることを考えると、改めて天才と何かの紙一重だと感じた。

 

「あー、死ぬかと思った」

 

 

 

ちなみに事務所に帰ると、ちょうど美神さんがエミさんの相手に、赤字覚悟で勝利し、横島も事務所に戻ることになったとのこと。

聞いた話では元々俺が知っている流れと全く同じだったので、改めて俺が居なくてちょうどよかったのかもしれない。

ただ、エミさんに会えなかったのは個人的には残念だった。

無事横島の時給も255円になったらしい。……それでいいのか横島。

 




連続で投稿してみましたが、連続って難しいんだと改めて感じました。
次はちょっと止まります。

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